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特許7189194低温多層収縮フィルム、およびその作製方法
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  • 特許-低温多層収縮フィルム、およびその作製方法 図1
  • 特許-低温多層収縮フィルム、およびその作製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】低温多層収縮フィルム、およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221206BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/32 103
B65D65/40 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020500203
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040169
(87)【国際公開番号】W WO2019010071
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】201741023793
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】グプテ、カウストゥブ
(72)【発明者】
【氏名】リー、エドワード エル.
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ、マルロス ジウンティーニ デ
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ラジェン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ライモンディ、ギジェルモ エー.
(72)【発明者】
【氏名】シャー、プラジャワル
(72)【発明者】
【氏名】ザネッティ、マクシミリアン
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522759(JP,A)
【文献】特表2009-517509(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105377555(CN,A)
【文献】特開平10-272747(JP,A)
【文献】特開2012-183732(JP,A)
【文献】特表2018-531162(JP,A)
【文献】国際公開第2017/058493(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
B65B 11/00-11/58、49/00-49/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層収縮フィルムであって、
.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を、第1のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%含む第1のスキン層と、
.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を、少なくとも1つのコア層の総ポリマー重量に基づいて、15~65重量%含む、少なくとも1つのコア層と、
.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を、第2のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%含む第2のスキン層と、
を含み、前記少なくとも1つのコア層が、前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間に配置され、
前記第1のスキン層に存在する前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、前記コア層に存在する前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、前記第2のスキン層に存在する前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、前記コア層に存在する前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、
前記多層収縮フィルムが、前記多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、25重量%~75重量%の前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含み、
前記多層収縮フィルムが、前記多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、30~55重量%の、0.910~0.930g/ccの密度および0.1~10g/10分のIを有する低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む、多層収縮フィルム。
【請求項2】
前記第1のスキン層、前記少なくとも1つのコア層、および前記第2のスキン層に存在する前記エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物が、前記エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物に存在する1000個の炭素原子あたり0.15ビニル未満のビニル不飽和、および2~20の範囲のゼロ剪断粘度比(ZSVR)を有する、請求項1に記載の多層収縮フィルム。
【請求項3】
前記第1のスキン層、前記少なくとも1つのコア層、および前記第2のスキン層に存在する前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、6~12のI10/Iを有する、請求項1または2に記載の多層収縮フィルム。
【請求項4】
前記第1のスキン層および前記第2のスキン層が、独立して、前記多層収縮フィルムの全厚の5~35パーセントである厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコア層が、前記多層収縮フィルムの全厚の30~90パーセントである厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【請求項6】
前記フィルムが、20~100ミクロンの範囲の全厚を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【請求項7】
前記フィルムが、ASTM D2732に従って、120℃で4%超のCD収縮を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【請求項8】
前記フィルムが、ASTM D2732に従って、120℃で6%超のCD収縮を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、粘着防止剤、加工助剤、スリップ剤、染料または顔料、および充填剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層収縮フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、ポリエチレン系収縮フィルムに関し、より詳細には、低温で改善された収縮を有するポリエチレン系収縮フィルム、およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収縮包装は、一般に、物品を収縮フィルムで包んで包装を形成し、次いで、それを収縮およびフィルムと物品との間の密接な接触を引き起こすのに十分な熱にさらすことによりフィルムを熱収縮させることを伴う。熱は、加熱空気などの従来の熱源によって提供することができる。従来の収縮フィルムは、140℃で収縮を示す。しかしながら、そのような収縮温度を実現するには、収縮トンネルを高温で動作する必要がある。特定の用途、例えば、医薬品用途では、高温が熱に敏感な製品に悪影響を与える可能性がある。さらに、収縮トンネル温度が高いと、ヘッドスペースでPETボトルが変形する可能性がある。
【0003】
したがって、より低い温度で改善された収縮を有する代替のポリエチレン系収縮フィルムが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の実施形態では、多層収縮フィルムが開示される。一実施形態では、多層収縮フィルムは、第1のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含む第1のスキン層と、少なくとも1つのコア層の総ポリマー重量に基づいて、15~85重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含む、少なくとも1つのコア層と、第2のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含む第2のスキン層と、を含み、少なくとも1つのコア層が、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置され、第1のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、第2のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、多層収縮フィルムが、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、25重量%~75重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含み、多層収縮フィルムが、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、30~55重量%の、0.910~0.930g/ccの密度および0.1~10g/10分のIを有する低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む。
【0005】
本明細書における実施形態では、多層フィルムを作製する方法も開示される。別の実施形態では、方法は、第1のスキン層組成物、第2のスキン層組成物、および少なくとも1つのコア層組成物を押出機で同時押出して、第1のスキン層組成物から形成された第1のスキン層、第2のスキン層組成物から形成された第2のスキン層、および少なくとも1つのコア層組成物から形成された少なくとも1つのコア層を有する管を形成することと、管を冷却して多層収縮フィルムを形成することと、を含み、第1のスキン層組成物が、第1のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、第2のスキン層組成物が、第2のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、少なくとも1つのコア層組成物が、少なくとも1つのコア層の総ポリマー重量に基づいて、15~85重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、少なくとも1つのコア層が、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置され、第1のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、第2のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、多層収縮フィルムが、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、25重量%~75重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含み、前記多層収縮フィルムが、前記多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、30~55重量%の、0.910~0.930g/ccの密度および0.1~10g/10分のIを有する低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む。
【0006】
実施形態では、第1のスキン層、少なくとも1つのコア層、および第2のスキン層に存在するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物が、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物に存在する1000個の炭素原子あたり0.15ビニル未満のビニル不飽和、および2~20の範囲のゼロ剪断粘度比(ZSVR)を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0007】
実施形態では、第1のスキン層、少なくとも1つのコア層、および第2のスキン層に存在するエチレン/α-オレフィンインターポリマーオレフィンインターポリマーが、6~12のI10/Iを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0008】
実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層が、独立して、多層収縮フィルムの全厚の5~35パーセントの厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0009】
実施形態では、少なくとも1つのコア層が、多層収縮フィルムの全厚の30~90パーセントである厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0010】
実施形態では、フィルムが、20~100ミクロンの範囲の全厚を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0011】
実施形態では、フィルムが、ASTM D2732に従って、120℃で4%超のCD収縮を示す、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0012】
実施形態では、フィルムが、ASTM D2732に従って、120℃で6%超のCD収縮を示す、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0013】
実施形態では、フィルムが、ブロッキング防止剤、加工助剤、スリップ剤、染料または顔料、および充填剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の多層収縮フィルム。
【0014】
実施形態の追加の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態に記載され、一部はその説明から当業者に容易に明らかになるか、または発明を実施するための形態および特許請求の範囲を含む本明細書に記載の実施形態を実践することによって認識される。前述および以下の説明の両方が様々な実施形態を説明し、特許請求された主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】不飽和の領域を図表によって示す図である。
図2】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の反応器ストリーム供給データフローのフロー図を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、多層収縮フィルムの実施形態、およびその方法について詳細に言及する。多層収縮フィルムは、複数の物品の包装に使用され得る。しかしながら、これは、本明細書に開示された実施形態の例示的な実装形態に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上述したものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、本明細書に記載される多層収縮フィルムは、丈夫な輸送袋、ライナー、袋、スタンドアップパウチ、洗剤パウチ、小袋等などの他の可撓性包装用途で使用され得、これらのすべては、本実施形態の範囲内である。
【0017】
本明細書に記載される多層収縮フィルムは、ポリエチレン系またはエチレン系である。「ポリエチレン系」または「エチレン系」という用語は、本明細書では互換的に使用され、フィルムが、フィルムに存在する総ポリマー重量に基づいて、50重量%超、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、少なくとも100重量%のポリエチレンポリマーを含有することを意味する。
【0018】
本明細書の実施形態では、多層収縮フィルムは、第1のスキン層、少なくとも1つのコア層、および第2のスキン層を含む。少なくとも1つのコア層は、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置される。第1および第2のスキン層は、同じでも異なっていてもよく、Aが、第1および第2のスキン層が組成において同じであることを示すABAフィルム構造、またはAおよびCが、第1のスキン層および第2のスキン層が組成において異なることを示したABCフィルム構造を有し得る。いずれの構成(ABAまたはABC)でも、第1のスキン層および第2のスキン層は、等しい厚さを有してもよく、あるいは等しくない厚さを有してもよい。
【0019】
本明細書に記載される多層収縮フィルムは、20~100ミクロンのフィルム厚を有し得る。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層フィルムは、20~95ミクロン、20~90ミクロン、20~85ミクロン、20~80ミクロン、20~75ミクロン、20~72ミクロン、25~72ミクロン、25~70ミクロン、または30~70ミクロンの範囲のフィルム厚を有し得る。
【0020】
第1のスキン層および第2のスキン層は、独立して、多層収縮フィルムの全厚の5~35パーセントである厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層は、独立して、多層収縮フィルムの全厚の10~35パーセント、10~30パーセント、15~25パーセント、または20~25パーセントの厚さを有し得る。少なくとも1つのコア層は、多層収縮フィルムの全厚の30~90パーセントの厚さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコア層は、多層収縮フィルムの全厚の40~90パーセント、50~90パーセント、50~85パーセント、50~80パーセント、50~75パーセント、50~70パーセント、または50~65の厚さを有する。他の実施形態では、少なくとも1つのコア層は、多層収縮フィルムの全厚の55~90パーセント、60~90パーセント、65~90パーセント、70~90パーセント、または75~90パーセントの厚さを有する。
【0021】
第1のスキン層および第2のスキン層と少なくとも1つのコア層との厚さ比は、収縮フィルムの光学的および機械的特性を維持するのに適した任意の比であり得る。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層と少なくとも1つのコア層との厚さ比は、1:5~1:1、1:4~1:1、1:3~1:1、1:2~1:1、または1:1.5~1:1であり得る。
【0022】
第1のスキン層は、第1のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む。上記のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、第1のスキン層は、25~55重量%、30~55重量%、35~55重量%、または40~55重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。他の実施形態では、第1のスキン層は、25~50重量%、25~45重量%、または25~40重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。
【0023】
第2のスキン層は、第2のスキン層中の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む。上記のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、第2のスキン層は、25~55重量%、30~55重量%、35~55重量%、または40~55重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。他の実施形態では、第2のスキン層は、25~50重量%、25~45重量%、または25~40重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。本明細書で前述したように、第1のスキン層および第2のスキン層は、同じ組成物を有してもよく、または同じもしくは異なる量のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む異なる組成物を有してもよい。
【0024】
少なくとも1つのコア層は、少なくとも1つのコア層の総ポリマー重量に基づいて、15~85重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む。上記のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコア層は、25~85重量%、30~85重量%、35~85重量%、40~85重量%、または45~85重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。他の実施形態では、少なくとも1つのコア層は、25~75重量%、25~65重量%、または25~50重量%のエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み得る。
【0025】
第1のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量は、少なくとも1つのコア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なる。また、第2のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量は、少なくとも1つのコア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なる。多層収縮フィルムは、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、25重量%~75重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含む。上記のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムは、多層収縮フィルムに存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物のポリマーの総重量に基づいて、30重量%~75重量%、35重量%~75重量%、または40重量%~75重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含む。多層収縮フィルムは、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、30~55重量%の低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む。上記のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムは、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、35~55重量%の低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む。
【0026】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、(a)100重量パーセント以下、例えば、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも92重量パーセントのエチレンから誘導される単位、および(b)30重量パーセント未満、例えば、25重量パーセント未満、20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、または8重量パーセント未満の1つ以上のα-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。「エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物」という用語は、50モルパーセント超の重合エチレンモノマー(重合性モノマーの総量に基づいて)を含有し、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーを指す。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術等の任意の好適な技術を使用して、および例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,498,282号で記載される13C NMR分析により測定され得る。
【0027】
α-オレフィンコモノマーは、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択され得るか、または代替的に1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択され得る。
【0028】
本明細書の実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、0.890~0.915g/ccの範囲の密度を有する。0.890~0.915g/ccのすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、0.890、0.895、または0.900g/ccの下限から0.915、0.912、0.910、0.908、または0.905g/ccの上限の密度を有する。
【0029】
密度に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有する。0.1~5g/10分のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、0.1、0.2、0.5、または0.8g/10分の下限から1.2、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5、3.0、4.0、4.5、または5.0g/10分の上限の範囲のメルトインデックス(I)を有する。
【0030】
密度およびメルトインデックス(I2)に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)を有する。1.8~3.5のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、1.8、2、2.1、または2.2の下限から2.5、2.7、2.9、3.2、または3.5の上限の範囲の分子量分布(M/M)を有する。
【0031】
密度、メルトインデックス(I2)、および分子量分布(M/M)に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有する。95~200のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、95~175、95~150、または95~125のCDCを有する。
【0032】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、およびCDCに加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物に存在する1000個の炭素原子あたり0.15ビニル未満のビニル不飽和を有し得る。密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、およびビニル不飽和に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、2~20、例えば2~10、2~6、または2.5~4の範囲のゼロ剪断粘度比(ZSVR)を有し得る。
【0033】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、ビニル不飽和、およびZSVRに加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、6~12のメルトインデックス比、I10/I2を有し得る。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、6~11、6.5~11、7~11、7~10、または7.5~10のメルトインデックス比、I10/I2を有し得る。
【0034】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、ビニル不飽和、ZSVR、およびメルトインデックス比(I10/I2)に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成は、50,000~250,000g/モルの範囲の分子量(Mw)を有し得る。例えば、分子量(Mw)は、50,000、60,000、70,000g/モルの下限から150,000、180,000、200,000、または250,000g/モルの上限であり得る。
【0035】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、ビニル不飽和、ZSVR、メルトインデックス比(I10/I2)、およびMwに加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成は、4未満、3.75未満、3.5未満、3.25未満、3未満、または1.8~3.8、1.8~3.5、1.8~3.3、1.8~3.0、2.0~3.0、または2.0~2.8の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有し得る。
【0036】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、ビニル不飽和、ZSVR、メルトインデックス比(I10/I2)、Mw、およびMz/Mwに加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、98℃未満のビカット軟化点(℃)を有し得る。98℃未満のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、97℃未満、96℃未満、または95.5℃未満のビカット軟化点(℃)を有し得る。他の実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、70℃~98℃未満、70℃~97℃、または70℃~96℃の範囲のビカット軟化点(℃)を有し得る。
【0037】
密度、メルトインデックス(I2)、分子量分布(M/M)、CDC、ビニル不飽和、ZSVR、メルトインデックス比(I10/I2)、Mw、Mz/Mw、およびビカット軟化点に加えて、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、123℃未満のピーク融点温度(℃)を有し得る。123℃未満のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、120℃未満、115℃未満、110℃未満、または105℃未満のピーク融点温度(℃)を有し得る。他の実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、90℃~120℃未満、90℃~115℃、または90℃~110℃の範囲のピーク融点温度(℃)を有し得る。
【0038】
任意の従来のエチレン(共)重合反応プロセスは、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を生成するために用いられ得る。そのような従来のエチレン(共)重合反応プロセスには、1つ以上の従来の反応器、例えば、流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌タンク反応器、並行、直列、および/またはそれらの任意の組み合わせのバッチ反応器を使用して、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、溶液相重合プロセス、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な重合プロセスの例は、米国特許第6,982、311号、米国特許第6,486,284号、米国特許第8,829,115号、または米国特許第8,327,931号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
低密度ポリエチレン(LDPE)
低密度ポリエチレンは、0.910g/cc~0.930g/ccの密度を有する。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンは、0.912g/cc~0.930g/cc、0.915g/cc~0.930g/cc、0.915g/cc~0.927g/cc、0.917g/cc~0.930g/cc、0.917g/cc~0.927g/cc、または0.919g/cc~0.925g/ccの密度を有し得る。密度に加えて、低密度ポリエチレンは、0.1g/10分~10g/10分のメルトインデックス、すなわちI2を有する。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンは、0.1~7g/10分、0.1~5g/10分、0.1~4g/10分、0.1~3.5g/10分、0.1~3g/10分、0.1g/10分~2.5g/10分、0.1g/10分~2g/10分、0.1g/10分~1.5g/10分のメルトインデックスを有し得る。他の実施形態では、LDPEは、0.1g/10分~1.1g/10分のメルトインデックスを有する。さらなる実施形態では、LDPEは、0.1~0.9g/10分のメルトインデックスを有する。
【0040】
密度およびメルトインデックス(I2)に加えて、低密度ポリエチレンは、10cN~35cNの溶融強度を有し得る。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンは、10cN~30cN、10cN~28cN、10cN~25cN、10cN~20cN、または10cN~18cNの溶融強度を有し得る。他の実施形態では、低密度ポリエチレンは、12cN~30cN、15cN~30cN、18cN~30cN、20cN~30cN、または22cN~30cNの溶融強度を有し得る。さらなる実施形態では、低密度ポリエチレンは、12cN~28cN、12cN~25cN、15cN~25cN、15cN~23cN、または17cN~23cNの溶融強度を有し得る。
【0041】
密度、メルトインデックス(I2)、および溶融強度に加えて、低密度ポリエチレンは、5~20の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)を有し得る。すべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンは、5~18、5~15、5~12、5~10、または5~8のMWDを有し得る。他の実施形態では、低密度ポリエチレンは、8~20、10~20、12~20、15~20、または17~20のMWDを有し得る。さらなる実施形態では、低密度ポリエチレンは、8~18、8~15、10~18、または10~15のMWDを有し得る。MWDは、以下に概説するトリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TDGPC)試験方法に従って測定され得る。
【0042】
LDPEは、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を超える圧力で、当該技術分野で既知の任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、オートクレーブおよび/もしくは管状反応器、またはそれらの任意の組み合わせにおいて、部分的もしくは完全に単独重合または共重合される分岐ポリマーを含み得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、LDPEは、その開示が本明細書に組み込まれるPCT特許公開第WO2005/023912号に説明されているように、高レベルの長鎖分岐を付与するように設計された単相条件下でのオートクレーブプロセスにおいて作製され得る。好適なLDPEの例には、エチレンホモポリマー、および、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはそれらの組み合わせを用いて共重合されたエチレンを含む高圧コポリマーが含まれ得るが、これらに限定されない。エチレンはまた、アルファ-オレフィンコモノマー、例えば、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、およびそれらの混合物などの、少なくとも1つのC3~C20アルファ-オレフィンと共重合され得る。例示的なLDPE樹脂には、LDPE 132I樹脂、LDPE 621I樹脂、LDPE 662I樹脂、またはAGILITY(商標)1000および2001樹脂などのThe Dow Chemical Companyより販売されている樹脂、EF412、EF602、EF403、またはEF601などのWestlake Chemical Corporation(Houston、TX)により販売されている樹脂、PETROTHENE(商標)M2520またはNA940などのLyondellBasell Industries(Houston、TX)により販売されている樹脂、ならびにLDPE LD 051.LQまたはNEXXSTAR(商標)LDPE-00328などのThe ExxonMobil Chemical Company(Houston、TX)により販売されている樹脂が含まれ得るが、これらに限定されない。他の例示的なLDPE樹脂は、参照により本明細書に組み込まれるWO2014/051682およびWO2011/019563に説明されている。
【0043】
多層収縮フィルム
本明細書に記載の多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、任意のポリマーおよび添加剤をさらに組み込み得る。例示的な任意のポリマーには、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の0.5~30重量%のMDPEを含み得る。0.5~30%のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の1~30重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%のMDPEを含み得る。さらなる実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の5~10重量%のMDPEをさらに含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の0.5~30重量%のHDPEを含み得る。0.5~30%のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の1~30重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%のHDPEを含み得る。さらなる実施形態では、多層収縮フィルムの第1のスキン層、第2のスキン層、および/または少なくとも1つのコア層は、ポリマー組成物の5~10重量%のHDPEをさらに含み得る。
【0045】
例示的な添加剤としては、帯電防止剤、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、TiO2またはCaCO3などの充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、およびそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。多層収縮フィルムは、多層収縮フィルムに存在する材料の総重量に基づいて、約0.1~約10パーセントのそのような添加剤の合計重量を含有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層収縮フィルムは、粘着防止剤、加工助剤、スリップ剤、染料または顔料、および充填剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層収縮フィルムは、ASTM D2732に従って120℃で4%超のCD収縮、またはASTM D2732に従って120℃で6%超のCD収縮を示し得る。
【0047】
本明細書に記載される多層フィルムは、インフレートフィルム技術等の様々な技術によって作製され得る。多層インフレートフィルムを作製するための方法は、米国特許第6,521,338号(Maka)に記載され、その全体は、本明細書に参照により組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態では、多層収縮フィルムは、第1のスキン層組成物、第2のスキン層組成物、および少なくとも1つのコア層組成物を押出機で同時押出して、第1のスキン層組成物から形成された第1のスキン層、第2のスキン層組成物から形成された第2のスキン層、および少なくとも1つのコア層組成物から形成された少なくとも1つのコア層を有する管を形成することと、管を冷却して多層収縮フィルムを形成することと、によって作製することができる。
【0048】
第1のスキン層組成物は、第2のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、第2のスキン層組成物は、第2のスキン層の総ポリマー重量に基づいて、25~60重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、少なくとも1つのコア層組成物は、少なくとも1つのコア層の総ポリマー重量に基づいて、15~85重量%の、0.890g/cc~0.915g/ccの範囲の密度を有するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物、0.1~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)、1.8~3.5の範囲の分子量分布(M/M)、および95~200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を含み、少なくとも1つのコア層が、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置され、第1のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、第2のスキン層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量が、コア層に存在するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物の重量%量とは異なり、多層収縮フィルムが、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、25重量%~75重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を含み、多層収縮フィルムが、多層収縮フィルムに存在するポリマーの総重量に基づいて、30~55重量%の、0.910~0.930g/ccの密度および0.1~10g/10分のIを有する低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む。
【0049】
試験方法
特に明記しない限り、以下の試験方法が使用される。
【0050】
密度
密度は、ASTM D-792に従って測定され得る。
【0051】
メルトインデックス
メルトインデックス(I)は、ASTM D-1238、手順B(条件190℃/2.16kg)に従って測定することができる。メルトインデックス(I10)は、ASTM D-1238、手順B(条件190℃/10.0kg)に従って測定することができる。
【0052】
ビカット軟化点
ビカット軟化点は、ASTM D-1525に従って測定され得る。
【0053】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5検出器を備えたPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフからなっていた。オートサンプラーオーブン区画を摂氏160度に設定し、カラム区画を摂氏150度に設定した。使用したカラムは、3本のAgilent「Mixed B」30cm 10ミクロンの線形混合床カラムおよび10umのプレカラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0054】
GPCカラムセットの較正を、個々の分子量の間に少なくとも一桁の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配列された、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて行った。標準は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準を調製した。ポリスチレン標準を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準ピーク分子量を、(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のように)式1を使用してポリエチレン分子量に変換した。:
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン (式1)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0055】
第5次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準NBS1475が52,000g/mol(Mw)で得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するために、Aに対してわずかな調整(約0.415~0.44)を行った。
【0056】
GPCカラムセットの総プレート計数を、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)エイコサンで行う。プレート計数(式2)および対称性(式3)を、以下の式に従って200マイクロリットル注入で測定した:
【数1】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数2】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後部ピークはピーク最大値より後の保持体積でのピークテールを表し、前部ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を表す。クロマトグラフシステムのプレートカウントは24,000超となるべきであり、対称性は0.98~1.22の間となるなるべきである。
【0057】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製された:2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付バイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解した。
【0058】
Mn、Mw、およびMzの計算は、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用し、式4~6に従い、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、それぞれの等間隔のデータ回収点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からの点(i)の狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用したGPC結果に基づいた。
【数3】
【0059】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカーは、試料中のそれぞれのデカンピークを狭い標準較正内のデカンピークと整合することによって各試料の流量を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、流量およびクロマトグラフィー勾配の両方における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(較正スロープの測定値としての)有効流量は式7のように計算される。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行われた。
【数4】
【0060】
コモノマー分布定数(CDC)法
コモノマー分布定数(CDC)は、CEFによってコモノマー分布プロファイルから計算される。CDCは、以下の式に示されるように、コモノマー分布指数を100倍したコモノマー分布形状因子で割ったものとして定義される:
【数5】
コモノマー分布指数を、35.0~119.0℃で0.5のコモノマー含有量中央値(C中央値)~1.5のC中央値の範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の総重量分率で表す。コモノマー分布形状因子を、コモノマー分布プロフィールの半値幅をピーク温度(T)からのコモノマー分布プロフィールの標準偏差で割った比として定義する。
【0061】
CDCを、以下の工程に従って計算する。
【0062】
(A)以下の式に従って、CEFからの0.200℃の温度ステップ上昇で、35.0℃~119.0℃の各温度(T)での重量分率(w(T))を得る工程、
【数6】
【0063】
(B)以下の式に従って、累積重量分率0.500での温度中央値(T中央値)を計算する工程:
【数7】
【0064】
(C)以下の式に従って、コモノマー含有量較正曲線を用いて、温度中央値(T中央値)でのモル%での対応するコモノマー含有量中央値(C中央値)を計算する工程:
【数8】
【0065】
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の参照材料、すなわち狭いコモノマー分布(35.0~119.0℃のCEF中の単峰性コモノマー分布)を有する11の参照材料を用いてコモノマー含有量較正曲線を作成し、0.0モル%~7.0モル%の範囲のコモノマー含有量で(従来のGPCによって測定される)35,000~115,000の重量平均Mを、CEF実験の項に明記されているのと同じ実験条件でCEFによって分析する工程、
【0066】
(E)各参照材料のピーク温度(T)、およびそのコモノマー含有量を用いて、コモノマー含有量の較正を計算する工程、較正は、以下の式に従って、各参照材料から計算する:
【数9】
式中、Rは相関定数である。
【0067】
(F)0.5×C中央値~1.5×C中央値の範囲のコモノマー含有量を有する総重量分率からコモノマー分布指数を計算し、T中央値が98.0℃より高い場合、コモノマー分布指数が0.95と定義される工程、
【0068】
(G)35.0℃~119.0℃での最も高いピークについて各データ点を検索することによって、CEFコモノマー分布プロファイルから最大ピーク高さを得て(2つのピークが同一である場合、その時にはより低い温度のピークが選択される)、半値幅が、最大ピーク高さの半分での前面温度と背面温度との間の温度差として定義され、最大ピークの半分での前面温度が、35.0℃から前方に検索され、一方最大ピークの半分での背面温度が、119.0℃から後方に検索され、ピーク温度の差が各ピークの半値幅の合計の1.1倍以上である、明確な二峰性分布の場合、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅が、各ピークの半値幅の算術平均として計算される工程、
【0069】
(H)以下の式に従って温度の標準偏差(Stdev)を計算する工程:
【数10】
【0070】
コモノマー分布プロファイルの例は、参照により本明細書に組み込まれるEP 2571690の図23に示される。
【0071】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融および結晶化挙動を測定する。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を行う。試験中、50ml/分の窒素パージガスフローを使用する。各試料は、約175℃で薄フィルムに溶融押圧され、次いで、溶融された試料は、室温(約25℃)まで空冷される。フィルム試料は、「0.1~0.2グラム」の試料を175℃、1,500psiで30秒間押圧して、「0.1~0.2ミル厚」のフィルムを形成することによって形成される。3~10mg、6mmの直径の試料は、冷却されたポリマーから抽出され、秤量され、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に載置され、圧着閉鎖される。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。その熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、5分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間等温保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線を、ベースライン終点を結晶化の開始から-20℃まで設定することにより分析する。加熱曲線を、ベースライン終点を-20℃から融解の終了まで設定することにより分析する。決定される値は、ピーク溶解温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(ジュール/グラム)、および結晶化度%=((Hf)/(292J/g))×100を使用するポリエチレン試料についての算出された結晶化度%である。融解熱(Hf)およびピーク融解温度を、第2の熱曲線から報告する。ピーク結晶化温度を、冷却曲線から決定する。
【0072】
溶融強度
溶融強度は、長さ30mmおよび直径2.0mmの平らな入射角(180度)を備えたGoettfert Rheotester 2000キャピラリレオメータで溶融供給したGoettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill、SC)を使用して190℃で測定され得る。ペレット(20~30グラムのペレット)をバレル(長さ=300mm、直径=12mm)に供給し、圧縮して10分間溶融させた後、所与のダイ直径で38.2s-1の壁剪断速度に対応する0.265mm/sの一定のピストン速度で押出す。押出物は、ダイ出口の100mm下に位置するRheotensのホイールを通過し、2.4mm/sの加速速度でホイールにより下方へ引っ張られる。ホイールに加えられた力(cN)をホイールの速度(mm/s)の関数として記録する。溶融強度は、ストランドが破断する前のプラトー力(cN)として報告される。
【0073】
クリープゼロ剪断粘度測定法
ゼロ剪断粘度は、190℃で直径25mmの平行板を使用したAR-G2応力制御レオメーター(TA Instruments、New Castle、Del.)で行ったクリープ試験によって得る。取付け器具をゼロにする前に、レオメーターオーブンを少なくとも30分間試験温度に設定する。その試験温度で、圧縮成形された試料ディスクをプレート間に挿入し、5分かけて平衡させる。次いで、上側プレートを所望の試験間隙(1.5mm)より50μm上に下げる。余分な材料をトリミングして除去し、上側プレートを所望の間隙まで下げる。測定は、5L/分の流速での窒素パージ下で行う。デフォルトのクリープ時間は2時間に設定する。
【0074】
定常状態の剪断速度がニュートン領域になる十分な低さを確実にするために、試料のすべてに20Paの一定の低剪断応力を加える。得られた定常状態の剪断速度は、この試験におけるサンプルについては10-3~10-4-1の範囲内にある。定常状態は、log(J(t))対log(t)(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウ内のすべてのデータについて線形回帰を取ることによって決定される。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態に達したと見なし、次いでクリープ試験を停止する。この試験におけるすべての場合において、傾きは2時間以内に基準を満たす。定常状態の剪断速度は、ε対t(εは歪みである)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウにおけるデータのすべての線形回帰の傾きから決定される。ゼロ剪断粘度は、加えられた応力の定常状態の剪断速度に対する比から決定される。
【0075】
クリープ試験中にサンプルが劣化しているかどうかを決定するために、0.1~100rad/秒の同じ試料についてクリープ試験の前後に小振幅振動剪断試験を行う。2つの試験の複素粘度値を比較する。0.1rad/秒における粘度値の差が5%より大きい場合、クリープ試験中に試料が劣化したとみなし、結果を廃棄する。
【0076】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)は、以下の式に従って等価重量平均分子量(Mw-gpc)における分岐ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)の線状ポリエチレン材料のZSVに対する比として定義される。
【数11】
【0077】
ZSV値は、上述した方法により190℃でのクリープ試験から得た。Mw-gpc値を従来のGPC法によって決定した。線状ポリエチレンのZSVとそのMw-gpcとの間の相関を、一連の線状ポリエチレン参照材料に基づいて確立した。ZSV-Mwの関係についての説明は、ANTEC会報において見られ得る:Karjala,Teresa P.;Sammler,Robert L.;Mangnus,Marc A.;Hazlitt,Lonnie G.;Johnson,Mark S.;Hagen,Charles M.,Jr.;Huang,Joe W.L.;Reichek,Kenneth N.ポリオレフィン中の低レベルの長鎖分岐の決定。Annual Technical Conference-Society of Plastics Engineers(2008),66th 887-891に見い出すことができる。
【0078】
H NMR法
3.26gの原液を10mmのNMR管内の0.133gのポリオレフィンサンプルに添加する。原液は、テトラクロロエタン-d(TCE)およびペルクロロエチレン(50:50、w:w)と0.001MのCr3+との混合物である。管内の溶液を5分間Nでパージして酸素量を減少させる。蓋をした試料管を室温で一晩放置して、ポリマー試料を膨潤させた。試料を振とうしながら115℃で溶解する。試料は、不飽和の一因となり得る添加剤、例えばエルカミドなどの滑剤を含まない。
【0079】
H NMRを、Bruker AVANCE 400MHz分光計で120℃において10mmのクライオプローブを用いて実行する。2つの実験、すなわち対照実験および二重前飽和実験を実行して不飽和を得る。
【0080】
対照実験について、データを指数窓関数、LB=1Hzで処理し、ベースラインを7~-2ppmに補正した。TCEの残留Hからの信号を100に設定し、対照実験においてポリマー全体からの信号として-0.5~3ppmの積分値I合計を使用する。ポリマー中のCH基、NCHの数を以下のように計算した:
【0081】
NCH=I合計/2
二重前飽和実験について、データを指数窓関数、LB=1Hzで処理し、ベースラインを6.6~4.5ppmに補正した。TCEの残留Hからの信号を100に設定し、不飽和についての対応する積分(Iビニレン、Iトリ置換、Iビニル、およびIビニリデン)を図1に示す領域に基づいて積分した。
【0082】
ビニレン、三置換体、ビニル、およびビニリデンの不飽和単位の数を計算する。
ビニレン=Iビニレン/2
三置換=I三置換
ビニル=Iビニル/2
ビニリデン=Iビニリデン/2
【0083】
不飽和単位/1,000,000個の炭素を以下のように計算する:
ビニレン/1,000,000C=(Nビニレン/NCH)*1,000,000
三置換/1,000,000C=(N三置換/NCH)*1,000,000
ビニル/1,000,000C=(Nビニル/NCH)*1,000,000
ビニリデン/1,000,000C=(Nビニリデン/NCH)*1,000,000
【0084】
不飽和NMR分析の要件は、以下を含む:定量レベルは、3.9重量%の試料(Vd2構造については、Macromolecules,vol.38,6988、2005を参照されたい)、10mmの高温クライオプローブを用いて、200回の走査(対照実験を実行するための時間を含む、1時間未満のデータ収集)でVd2について0.47±0.02/1,000,000炭素である。定量レベルを信号対雑音比10として定義する。
【0085】
TCT-d2からの残留プロトンからのH信号について化学シフト基準を6.0ppmに設定する。対照を、ZGパルス、TD 32768、NS 4、DS 12、SWH 10,000Hz、AQ 1.64秒、D1 14秒で実行する。二重前飽和実験を、修正されたパルスシーケンス、O1P 1.354ppm、O2P 0.960ppm、PL9 57db、PL21 70db、TD 32768、NS 200、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sで実行する。Bruker AVANCE 400MHz分光計での不飽和のための修正されたパルスシーケンスを以下に示す:
;lc1prf2_zz
prosol relations=<lcnmr>
#include<Avance.incl>
“d12=20u”
“d11=4u”
1ze
d12pl21:f2
2 30m
d13
d12 pl9:f1
d1cw:f1ph29cw:f2ph29
d11do:f1do:f2
d12 pl1:f1
p1 ph1
go=2ph31
30mmc#0~2F0(zd)
出口
ph1=0 2 2 0 1 3 3 1
ph29=0
ph31=0 2 2 0 1 3 3 1
【0086】
引張特性
降伏引張強さ、ヤング率、2%割線弾性率、極限引張強さ、および極限伸びを含む引張特性は、Instron Universal Testerを使用してASTM D882に従って機械方向および横断方向で決定される。
【0087】
引裂き強さ
引裂き強さは、ASTM D-1922に従って測定される。
【0088】
120℃および130℃での収縮
120℃および130℃での収縮は、ASTM D-2732に従って機械方向および横断方向で測定される。
【実施例
【0089】
フィルムに使用される樹脂を以下の表1に示す。使用される添加剤には、ポリマー加工助剤(「PPA」)、AMPACET(商標)102823 BA、スリップ剤(「スリップ」)、AMPACET(商標)901021 BX、およびアンチブロッキング剤(「AB」)、AMPACET(商標)901300 BXが含まれる。
【表1】
【0090】
発明の樹脂1を除くすべての樹脂は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0091】
発明の樹脂1を以下のように作製し得る:反応環境に導入する前に、すべての原材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)をモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流を、機械的圧縮機を介して反応圧力よりも高い圧力まで加圧する。溶媒およびコモノマー供給物を、ポンプを介して反応圧力よりも高い圧力まで加圧する。個々の触媒成分を、精製された溶媒によって手動でバッチ希釈し、反応圧力より高い圧力まで加圧した。すべての反応供給流を質量流量計で測定し、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御する。
【0092】
2つの反応器システムを直列構成で使用し得る。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒構成成分供給物の独立した制御が可能である。各反応器(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)への全新鮮供給ストリームは、供給ストリームを熱交換器に通過させることによって単一溶液相を維持するように温度制御する。各重合反応器への全新鮮供給物を、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入する。新鮮供給物を制御し、各インジェクターは、全新鮮供給物質量流量の半分を受容した。触媒成分は、特別に設計された注入ストリンガーを通して各重合反応器に注入する。主要な触媒成分供給物は、特定の目標で各反応器のモノマー転化を維持するためにコンピュータ制御する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入の位置の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0093】
第1の重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、およびポリマーを含有する)流出物は、第1の反応器ループを出て、第2の反応器ループに添加される。
【0094】
最終的な反応器流出物(二重直列構成の場合の第2の反応器流出物)は、適切な試薬(水)の添加および反応により失活させるゾーンに入る。この同じ反応器出口位置に、ポリマーの安定化のために他の添加剤を添加する(例えば、押出およびインフレーション加工中の安定化に適した酸化防止剤)。
【0095】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマーストリームから除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物をペレット化して収集する。非ポリマーストリームは、システムから除去されたエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応モノマーの大部分は、精製システムを通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびモノマーをプロセスからパージする。
【0096】
発明の樹脂1を生成するために使用し得る表2の値に対応する反応器ストリーム供給データフローを、図2で図表によって記載する。データは、溶媒再循環システムの複雑さが考慮され、反応システムが貫流フローダイアグラムとしてより簡単に処理できるように表示される。
【表2】
【表3】
【表4】
【0097】
フィルムプロセス
比較フィルム1:3層フィルムは、Reifenhauser、3層、3つの押出機ブローフィルムラインで生成する。フィルム構造を表4に概説する。インフレーションフィルムラインのパラメータを表5Aに示す。
【表5】
【0098】
比較フィルム2~5および発明のフィルム1~6:ジュンダイラボ5層、5ライン押出機ブローフィルムラインで3層インフレーションフィルムを生成する。3層フィルムを生成するために、同じ配合物が3つのコア層にある。層分布は、A/B/B/B/A(25%/15%/20%/15%/25%)であり、上記の表4に概説するようなフィルム構造を有する。インフレーションフィルムラインのパラメータを表5Bに示す。
【表6】
【0099】
フィルムの特性を測定し、以下の表6Aおよび6Bに示す。
【表7】
【表8】
【0100】
結果は、発明のフィルム1~6が、比較フィルムと比較して、低温で改善された収縮を有することを示す。また、結果は、比較フィルムと比較して、発明のフィルム1~6の匹敵するまたは改善された引張特性を示す。
図1
図2