IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウエー・スホーネン・ビヘール・ベー・ベーの特許一覧

<>
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図1
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図2
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図3
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図4
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図5
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図6
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図7
  • 特許-効率的な透明角氷の製造 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】効率的な透明角氷の製造
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/20 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F25C1/20 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020505237
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018070626
(87)【国際公開番号】W WO2019025381
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】17184004.4
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510000194
【氏名又は名称】ウエー・スホーネン・ビヘール・ベー・ベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューネン, ヴィルヘルムス フランシスクス
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532458(JP,A)
【文献】実開昭59-062477(JP,U)
【文献】特開昭63-116075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 ~ 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角氷を作成するための装置であって、
氷柱のための空間(117)を規定し、少なくとも液体物質が凍結されている間に前記空間(117)が少なくとも実質的に閉じられる少なくとも1つの細長い型(102)と、
前記少なくとも1つの細長い型(102)に前記液体物質を供給するための供給装置(118)と、
前記少なくとも1つの細長い型(102)内の前記液体物質を冷凍するための凍結装置(111)と、
前記少なくとも1つの型(102)の縦方向において前記少なくとも1つの型(102)を通って延在するように構成された細長い要素(101)と
を備え、
前記細長い要素(101)は、前記細長い要素(101)の縦軸のまわりで回転するように構成され、
前記型(102)の内側面(107)は、前記型(102)の前記縦方向の前記型(102)の端、好ましくは前記型(102)の底に凹部(113)を有し、前記凹部(113)は、前記細長い要素の先端(115)を受けるように構成され
前記少なくとも1つの細長い型(102)は、2つ以上の型半体(103、104)を有し、
前記2つ以上の型半体が接続している間、前記凹部(113)が、前記2つ以上の型半体が接続している位置の表面上に形成される装置。
【請求項2】
前記細長い要素(101)の外側面の少なくとも一部分が、きめが粗いか、ざらざらしているか、凹凸を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細長い要素(101)の側面が、少なくとも1つの突起及び/又は少なくとも1つの凹部を有し、かつ/又は断面が非円筒状である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記細長い要素(101)に動作可能に結合されて前記細長い要素(101)の前記回転を制御するアクチュエータ(110)を備えた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ(110)は、前記液体物質が冷凍されているときの少なくとも一部分の間に前記細長い要素(101)を回転させるように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記型の温度を検出する温度センサを備え、
前記アクチュエータは、前記検出温度が摂氏0度より高いときに第1の回転速度で前記細長い要素を回転させ、前記検出温度が摂氏0度より低いときに第2の回転速度で前記細長い要素を回転させるように構成され、前記第2の回転速度が前記第1の回転速度より早い、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記冷凍が完了した後で前記細長い要素を回転させ続けるように構成された、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記縦方向の前記型(108)の端、好ましくは前記型の最上部にある前記型(102)の壁は、前記細長い要素(101)が中を通って延在するように構成されたオリフィス(109)を備えた、請求項乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記型(102)の前記壁にある前記オリフィス(109)は、柔軟な固体材料(112)で少なくとも部分的に覆われた、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ(110)は、前記細長い要素(101)の一部分(116)に機械的に結合され、前記一部分(116)が前記型(102)から伸びている、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記型(102)の少なくとも1つの壁(119)は、前記凍結装置(111)の少なくとも一部分を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記型の内側面(105)の少なくとも一部分は、アルミニウムなどの金属を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの型(102)は、相互接続された角氷の細長い氷柱を形成するための一連の相互接続された空洞を規定するか、前記装置は、互いに関連したマトリクスに配向された複数の型(6)を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
角氷を作成する方法であって、
氷柱のための空間を規定し、少なくとも液体物質が凍結されている間に前記空間が少なくとも実質的に閉じられる少なくとも1つの細長い型に液体物質を供給するステップ(201)と、
前記型の縦方向において前記型を通って延在する細長い要素を、前記細長い要素の縦軸のまわりに回転させている間、前記少なくとも1つの細長い型内の前記液体物質を冷凍するステップ(202)であって、前記型の内側面は、前記型の前記縦方向の前記型の端、好ましくは前記型の最下部に凹部を有し、前記凹部は、前記細長い要素の先端を受け、前記少なくとも1つの細長い型(102)は、2つ以上の型半体を有し、前記2つ以上の型半体が接続している間、前記凹部が、前記2つ以上の型半体が接続している位置の表面上に形成される、ステップと、
そのように形成された前記氷柱を前記型から取り出すステップ(203)と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な角氷製造のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
角氷は、例えばケータリング産業やスーパーマーケットに納入するために大量生産される。更に、カフェ又はレストランでは、角氷がその場で作成されうる。
【0003】
特許文献1は、少なくとも1つの細長い型に液体物質を供給するための供給装置と、前記液体物質を冷凍するための凍結装置とを含む角氷を作成するための装置及び方法を開示し、少なくとも1つの型は、少なくとも前記液体物質が冷凍されている間少なくとも実質的に閉じられた氷柱のための空間を画定する。少なくとも1つの型は、互いに可動な2つの型半体を有し、この型半体は、氷柱が形成された後で離間されうる。本文献は、更に、少なくとも実質的に閉じた空間を有する型に液体物質を供給し、型内の液体物質を冷凍し、このように形成された角氷を型から取り出すステップを含む角氷を作成するための方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、角氷の連続供給を提供するために例えばカフェ又はレストラン内で角氷を作成するための装置を開示しており、この装置は複数の細長い要素を有する。細長い要素に対して複数の型部品が移動可能である。複数の型部品は、細長い要素のうちの第1の細長い要素のまわりに型を構成するように可動である。細長い要素に対して複数の型部品の動きを制御して、第1の氷柱が型内に形成された後で第1の細長い要素のまわりに型を構成する型部品を動かし、細長い要素の第2の細長い要素のまわりに型を構成するように制御ユニットが構成される。第1の氷柱を除去する氷除去装置が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2009/005339号
【文献】国際公開第2014/193222号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的は、角氷を作成するための改善された装置を提供することである。
【0007】
この課題に取り組むため、第1の態様では、本発明は、角氷を作成するための装置を提供し、この装置は、氷柱のための空間を規定し、少なくとも液体物質が凍結されている間この空間が少なくとも実質的に閉じられる少なくとも1つの細長い型と、
液体物質を少なくとも1つの細長い型に供給するための供給装置と、
液体物質を少なくとも1つの細長い型内で冷凍するための凍結装置と、
前記少なくとも1つの型の縦方向において前記少なくとも1つの型を通って延在するように構成された細長い要素と
を備え、
細長い要素は、細長い要素の縦軸のまわりに回転するように構成される。
【0008】
細長い要素の回転によって型内で液体物質が循環される。これが液体物質の連続運動を提供し、例えば封入された環境空気などの気体を冷凍物質が含む汚染をより少なくする。これにより角氷がより透明になりうる。
【0009】
例えば、細長い要素の回転によって、液体物質が細長い要素のまわりで循環する。これは、細長い要素の全ての側面で細長い要素間に十分な空間を提供することによって実現されうる。このようにして、細長い要素は、液体物質の遠心運動を生成する。この遠心運動により液体物質が型の壁に押し付けられる。液体物質が、典型的には、環境空気に含まれる気体などの気体よりも大きい質量密度を有するので、液体物質が型の壁に押し付けられている間、気体が細長い要素のまわりに集中する。
【0010】
細長い要素の表面の少なくとも一部分は、きめが粗くてもよく、ざらざらしてもよく、凹凸でもよい。これは、液体物質と細長い要素の表面の間により大きい摩擦を提供し、それにより、液体物質の回転運動が改善される。
【0011】
類似の理由のため、細長い要素の表面は、少なくとも1つの突起及び/又は少なくとも1つの凹部を有しうる。
【0012】
細長い要素にアクチュエータが動作的に結合されうる。これにより、細長い要素の回転の制御が可能になる。
【0013】
例えば、アクチュエータは、少なくとも液体物質が凍結されているときに細長い要素を回転させるように構成されうる。これにより、角氷が透明になることができ、不要なときに回転を止めることによって電力を節約できる。
【0014】
型の壁は、型の縦方向の端、好ましくは型の最上部で、細長い要素が通って延在するように構成されたオリフィスを有しうる。これにより、細長い要素のまわりに集まる可能性のある気体がオリフィスを通って逃れうる。更に、これにより、アクチュエータと細長い要素の間の機械的結合を型の外部でできる。
【0015】
型の壁のオリフィスは、少なくとも部分的に柔軟な固体材料で覆われうる。これは、型と細長い要素の間の摩擦を減らすのに適した材料である。
【0016】
型の内側面は、型の縦方向の端、好ましくは型の底に凹部を有し、凹部は、細長い要素の先端を受けるように構成される。これにより、細長い要素の先端が凹部内に固定された状態で細長い要素が回転でき、したがって、細長い要素は、動き回らず定位置で回転する。
【0017】
凹部は、柔軟な固体材料を含むことができ、この柔軟な固体材料は、細長い要素の先端と接触しうる。これにより滑らかな回転が可能になりうる。例えば、柔軟な固体材料は、ガスケットを有する。柔軟な固体材料は、例えば、ゴム又はシリコンゴム、或いはプラスチック又は合成材料であってよい。
【0018】
先端は、細長い要素の第1端に対応しうる。アクチュエータは、細長い要素の第2端に機械的に結合されてもよく、第1端は第2端の反対側である。機械的結合が第2端に提供されるので、細長い要素の第1端で動作は不要である。したがって、氷柱のための空間は、細長い要素の先端を受ける型の端で完全に閉じられうる。例えば、型の底側は、完全に閉じられうる。
【0019】
型の内側面の少なくとも一部分は、アルミニウムなどの金属を含みうる。この材料は、凍結を比較的迅速に及び/又は効率的にできる。
【0020】
前記少なくとも1つの型は、相互接続された角氷の細長い氷柱を形成するための一連の相互接続された空洞を規定しうる。これは、多数の角氷を互いに接続することを可能にし、それにより、角氷の取り扱いが容易になる。
【0021】
装置は、互いに関連したマトリクスで配向された複数の型を含みうる。これにより、多数の角氷を一度に作成できる。更に、この多くの型のうちの少なくとも幾つかの型は、凍った液体物質で満たされうるチャネルによって相互接続されてもよく、したがって、氷柱も相互接続されうる。このようにして、格子パターンに相互接続された角氷の板が作成されうる。
【0022】
別の態様によれば、角氷を作成する方法が提供される。この方法は、氷柱のための空間を規定し、少なくとも液体物質が冷却されている間この空間が実質的に閉じられる少なくとも1つの細長い型に液体物質を供給することと、
型の縦方向において型を通って延在する細長い要素を、細長い要素の縦軸のまわりに回転させる間、少なくとも1つの細長い要素内の液体物質を凍結させることと、
形成された氷柱を型から取り出すことと
を含む。
【0023】
当業者は、前述の特徴が、有効と考えられる任意の方法で組み合わされうることを理解するであろう。更に、システムに関して記述された修正及び変更は、同様に方法及びコンピュータプログラム製品にも適用され、方法に関して記述された修正及び変更は、同様にシステム及びコンピュータプログラム製品にも適用されうる。
【0024】
以下で、本発明の態様は、図面を参照して例として説明される。図面は、概略図であり、一律の縮尺で描かれないことがある。図全体にわたって類似の要素は同じ参照数字で示されうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】閉位置の型の概略縦断面図である。
図2】開位置の図1の型の概略縦断面図である。
図3】角氷を作成する方法を表すフローチャートである。
図4】氷柱のための型の開状態の概略斜視図である。
図5】閉位置の型の概略断面図である。
図6】開状態の型のマトリクスの断面図である。
図7】閉位置の型の断面図であり、型は、型の側面で型を通る細長い要素を有する。
図8】開位置の図7に示された型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特定の典型的実施形態は、添付図面に関してより詳細に記述される。
【0027】
説明で開示された詳細な構造や要素などの事柄は、典型的実施形態の包括的理解を支援するために提供される。したがって、そのような具体的に定義された事柄なしに典型的な実施形態を実行できることは明白である。また、周知の操作又は構造は、無駄な詳細により説明を不明瞭にするので詳述されない。
【0028】
本発明は、その第1の態様によれば、角氷を作成するための装置に関する。用語「氷」は、本明細書で使用されるとき、凍結物質を指す。この用語は、凍結した水又は凍結した液体だけに限定されず、食料(例えば、ピューレ)などの凍結した液体物質を含む。簡潔にするため、用語「氷」は、本明細書では、凍結物質の集まりを示すために使用される。
【0029】
図1は、型を縦断面で示す。型102は、互いに対して可動な2つの型半体103,104を有し、したがって、型半体は、氷柱が形成された後で離間されうる。その結果、氷柱は、互いに対して可動な前記型半体を氷柱から離すことによって、型から容易に外されうる。
【0030】
型102は、複数の類似の可動部品103,104及び/又は細長い要素101を有するように延在されうる。この延在の例は、図5図6に示され、これらの図に関して記述される。細長い要素101は、アクチュエータ110に機械的に結合される。アクチュエータ110は、例えば、電動モータ(図示せず)などのモータを含みうる。アクチュエータ110は、更に、ホイール(図示されたような)を有し、ホイールは、細長い要素の側面に触れて、ホイールから細長い要素に回転運動を伝える。ホイールの回転運動は、モータによって駆動されうる。細長い要素101の回転運動は、型102内の細長い要素101のまわりの液体物質の回転運動を引き起こしうる。
【0031】
細長い型102は、氷柱のための空間117を規定し、空間117は、少なくとも液体物質が凍結されている間少なくとも実質的に閉じられる。例えば、型が実質的に閉じられているとき、型は、底面と側面で閉じられ、同時に液体物質が型の最上部にある開口から型に供給されることを可能にするように構成されうる。
【0032】
型は、2つ以上の型半体103,104を有しうるが、これは限定ではない。氷柱を型102から取り出す他の手段が実現されうる。例えば、型の一方の側が、冷凍中に型の一方の側を閉じて後で開くバルブの形で実現されうる。型の壁を加熱することによって、氷柱は、壁から外れ、型の外へ開口を通って滑り出しうる。細長い要素からの氷柱の脱離を改善するために、壁の加熱と同時に細長い要素も加熱されうる。例えば、バルブは、型の下側を覆ってもよく、これにより、氷柱は、重力を利用して型から容易に滑り出しうる。これは、氷柱が凸形状を有するときに特にうまく機能するはずである。
【0033】
図1に戻ると、装置は、液体物質を少なくとも1つの細長い型102に供給するための供給装置118を有しうる。この供給装置118は、液体物質を型102に送るために、例えば一端がリザーバ又はポンプに接続された管であってよい。
【0034】
少なくとも1つの細長い型102内の液体物質を冷凍するために凍結装置111が提供される。凍結装置111は、部分的に型102の壁内にある管111として図1に示される。管111を通って、冷たい流体が、型102内の液体物質を冷却するために循環されうる。管111の両端は、冷凍機に流動型に接続されうる。あるいは、凍結装置は、当該技術分野で既知の任意の方法で実現されうる。
【0035】
細長い要素101は、型102の縦方向において、型102を通って延在する。図面で、細長い要素101は、細長い要素101の一部分116が型より外になるように、型から突出する。この実施態様例は、細長い要素101がアクチュエータ110にどのように機械的に結合されうるかを示す。また、細長い要素101は、型の底側114で型102から突出できる(図示せず)。その場合、型102から液体物質が漏れ過ぎるのを防ぐように注意されたい。
【0036】
細長い要素101は、細長い要素101の縦軸のまわりで回転するように構成される。細長い要素101の回転は、液体物質が冷却されている時間の少なくとも一部分の間、続きうる。回転のタイミング、又は回転速度は、例えば、コンピュータプロセッサなどの制御ユニット、又は専用電子回路を使用して制御されうる。そのような制御ユニットは、アクチュエータ110の操作による細長い要素の回転を制御でき、同時に凍結装置111を使用して凍結が行われる。タイマに基づくか、または、例えば温度測定に基づいて、凍結が停止され型壁の加熱が開始されうる。例えば、細長い要素101の回転は、細長い要素101が氷柱に凍り付くのを防ぐために、氷柱が型から取り出されるまで続けられうる。
【0037】
特定の実施形態で、細長い要素101の少なくとも一部分116(アクチュエータ110が細長い要素101と接触している)は、動作を改善するために、円筒状でありかつ/又は滑らかな面を有する。あるいは、ホイール(図示せず)が、細長い要素に固定されてもよく、それにより、細長い要素101は、ホイールの軸になり、ホイールは、回転を制御するために使用されうる。例えば、そのホイールは、歯車であってよい。
【0038】
細長い要素101は、形状が円筒であってよい。しかしながら、これは限定ではない。細長い要素101の断面は、任意の所定の形状を有しうる。例えば、断面の多角形状は、回転中の撹拌量を高めうる。
【0039】
細長い要素の表面は、滑らかであってよい。これは、細長い要素から氷柱の取り外しを容易にする。細長い要素の表面は、少なくとも部分的にきめが粗くてもよく、ざらざらしてもよく、凹凸でもよい。これは、回転運動の撹拌効果を改善しうる。
【0040】
細長い要素101は、機械式アクチュエータによって効果的に回転されうるが、細長い要素がその縦軸のまわりに回転可能なので、代替として、細長い要素101は、細長い要素101の手動操作によって回転されうることを理解されよう。
【0041】
図1に示されたように、型102の最上部にある型102の壁108が、冷凍段階の間、細長い要素101が通って延在できるオリフィス109を含みうる。これにより、細長い要素を回転させるための細長い要素の取り扱いが容易になる。
【0042】
回転を容易にするために、細長い要素101が型102に触れる接触領域は、プラスチックや樹脂材料などの柔軟な固体材料で覆われうる。この材料は、細長い要素101の表面又は型102の表面に付着されうる。図面では、柔軟な固体材料112は、オリフィス109の周囲に提供されている。
【0043】
図1に示されたように、型102の内側面107は、型の底端に凹部113を有する。凹部113は、細長い要素101の先端115を収容できる。細長い要素101の先端115を凹部113に嵌め込むことによって、細長い要素101は、型102内に回転可能に固定される。先端115の反対側にある細長い要素101の他端120は、型102の外側の固定面122にある別の凹部121内に回転可能に固定されうる。面122は、凹部113の方に付勢されうる。凹部113及び121の一方又は両方が、柔軟な固体材料114を含みうる。これにより回転が容易になりうる。
【0044】
型102の壁119は、金属などの任意の適切な材料で作成されうる。適切な金属は、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼である。型の外側は、必要に応じて断熱材料によって覆われうる(図示せず)。
【0045】
型102は、壁106によって分離された相互接続された角氷のための空間を規定しうる。例えば、これらの壁106は、やはりアルミニウムやステンレス鋼などの金属で作成されうる。
【0046】
図2は、図1と同じ型を示し、異なる点は、型半体103,104が互いから離れた位置にあることである。したがって、氷柱は、細長い要素に沿って(例えば下方に)滑ることによって細長い要素から取り出されうる。例えば、回転運動により、氷柱は、細長い要素101に凍り付いておらず、細長い要素101に沿って容易に滑る。
【0047】
図1図2の両方を参照すると、装置は、細長い要素を異なる速度で回転させるように構成されうる。例えば、液体物質を型内に供給し、液体物質を冷凍し、必要に応じて型を加熱して氷柱を型から外し、氷柱を型から取り出し氷柱を細長い要素から取り出すサイクルの間、装置は、様々に選択された回転速度を適用できる。例えば、工程は、型が約0度の温度になるまで比較的遅い回転で開始してもよい。その時点で、型の内側面、例えば細長い要素の先端115に接触する型102の面107の凹部113に、薄い氷層が形成されることがあり、回転のための滑らかな面を提供する。
【0048】
更に、凍結が終了した後、型内に十分な量の液体物質が凍結しているので、型は、必要に応じて、例えば型壁内の管111を通して熱い流体を循環させることによって加熱されうる。この加熱時に、回転速度は、冷凍時間中よりも遅くなりうる。これにより、型から外された後の氷柱の破損が回避されうる。更に、加熱中の回転速度は、型が摂氏0度の温度に達する前に適用された回転速度より大きくてもよい。
【0049】
例えば、氷柱が型から外された後、又は氷柱を型から滑り出すときは、もっと低い回転速度、例えば、型が摂氏0度に達する前に適用された回転速度と等しいかそれより低い回転速度が適用されうる。
【0050】
装置は、型の温度を検出する温度センサを備えてもよく、アクチュエータは、細長い要素を、検出温度が摂氏0度より高いときは第1の回転速度で回転させ、検出温度が摂氏0度より低いときは第2の回転速度で回転させるように構成されてもよく、第2の回転速度は、第1の回転速度より高い。
【0051】
アクチュエータは、冷凍が完了した後で細長い要素を回転させ続けるように構成されうる。
【0052】
装置は、冷凍が完了した後で型の少なくとも一部分を加熱するように構成された加熱装置を備えることができ、アクチュエータは、細長い要素を、氷柱を冷凍するときに第2の回転速度で回転させ、型の少なくとも一部分を加熱するときに第3の回転速度で回転させるように構成され、第2の回転速度は第1の回転速度より遅い。
【0053】
アクチュエータは、細長い要素を、氷柱を冷凍するか又は型を加熱するときに第4の回転速度で回転させ、冷凍後及び任意で加熱が完了した後で第5の回転速度で回転させるように構成されてもよく、第4の回転速度は第5の回転速度より早い。
【0054】
特定の例では、装置は、凍結が開始されたときに細長い要素を約500回転/分で回転させ始める。次に、型の温度が所定の温度しきい値(摂氏0度など)より低いときに、細長い要素の回転は、約2500回転/分で継続される。凍結が終了した後、加熱によって氷柱を型から外す際、細長い要素の回転は、約1200回転/分で継続される。氷柱を型から外した後、回転は、約300回転/分以下で継続されうる。例えば国際公開第2014/193222号に開示されたような例えばカフェ又はレストランで角氷を作成して角氷の連続供給を提供する装置で、氷柱がもっと長い時間期間に細長い要素上に残るとき、回転は、もっと低い速度(例えば、100回転/分)で継続されうる。これらの値は、本明細書では単に例として提供される。
【0055】
図3は、角氷を作成する方法を示す。ステップ201で、液体物質が、氷柱の空間を規定する少なくとも1つの細長い型に供給され、この空間は、少なくとも液体物質が冷却されている間少なくとも実質的に閉じられる。ステップ202で、型内で型の縦方向に延在する細長い要素を、細長い要素の縦軸のまわりに回転させている間、液体物質が、少なくとも1つの細長い型内で冷凍される。ステップ203で、このように形成された氷柱が型から取り出される。
【0056】
各型内で複数の角氷を作成できるようにするには、前記少なくとも1つの型が、相互接続された角氷の細長い氷柱を形成する一連の相互接続された空洞を規定することが好ましい。角氷が、型の形状によって規定されたように相互接続されるので、使用時に効率的な手法で包装又は配向されうる。角氷間の相互接続は、最小の接続から、細長い柱が得られ、言わば個別の角氷を区別できなくなるような並列面の全体領域にわたる接続まで多様になりうる。実際に、そのような柱から、様々な長さの角氷を砕いたり切り出したりできる。
【0057】
したがって、型は、後で別個の角氷に分割できる氷の棒を作成するように連続した内側面を有してもよいが、型は、細長い氷柱の隣接角氷間に小さい直径部分を形成するように小さい直径部分を有することが好ましい。その結果、この段落の最初で述べたように、角氷を後で使用するときに個別の角氷を互いに分離することが、連続した型の場合よりも容易になる。
【0058】
あるいは、前記少なくとも1つの型は、複数の個別の角氷の氷柱を形成するための一連の個別の空洞を規定しうる。これの利点は、少なくとも後で貯蔵する際に角氷が一緒に凍るのを防ぐ場合に、後の段階で角氷を互いに分離しなくてもよいことである。
【0059】
細長い要素は、前記少なくとも1つの型の縦方向にて、前記少なくとも1つの型を通って延在する。型内で細長い要素のまわりに角氷が形成される。例えば、角氷を後の段階で操作しかつ/又は角氷の冷凍領域を拡張できるように、角氷内に空洞を形成することが好ましいことがある。空洞は、貫通孔又は凹部でよい。
【0060】
細長い要素は、加熱手段を有しうる。前記加熱手段は、また、溶融によって、例えば、最初に型を加熱し、次に型半体を氷柱から遠ざけ、その後で細長い要素を加熱することによって氷柱を細長い要素から素早く外すことを容易にでき、それにより、氷柱が細長い要素に沿ってパッケージに滑り込みうる。
【0061】
前記少なくとも1つの型は、実質的に垂直方向に向けられうる。この利点は、例えば、型半体を前述されたように遠ざけることによって、角氷が型から取り外されたときに、氷柱又は個別の角氷がパッケージ内に真っ直ぐ落ちることができる点である。細長い要素は、氷柱又は角氷のガイドとして働きうる。
【0062】
能力を更に高めるために、装置は、並列に向けられた1列の型を有しうる。更に、装置は、互いに関連したマトリクスに向けられた幾つかの型を含みうる。このようにして、角氷を大量に作成するための比較的小型の装置が得られる。
【0063】
装置によって形成された角氷を収集するために、前記少なくとも1つの型の下に容器を位置決めするための搬送手段が提供されうる。このようにして、角氷を適切かつ効率的に包装でき、同時に作成工程を機械化しかつ/又は自動化でき、それにより人間の操作が不要になる。これにより、作業が効率的だけでなく衛生的にもなりうる。
【0064】
更に、前記少なくとも1つの型に供給される液体物質を予冷するための予冷手段が提供されうる。一般に、前記少なくとも1つの型に供給される液体物質が冷たいほど、より迅速に型内の更なる凍結によって前記液体を氷に変換でき、より迅速に作成工程を完了できると言える。これは装置の能力向上にも繋がる。
【0065】
型内に冷凍手段が提供されてもよく、それにより、前記少なくとも1つの型によって液体物質を冷却し冷凍してもよい。その結果、液体物質が型内で直接冷却され凍結され、それにより相対的に高い出力が得られる。少なくとも1つの型は、更に、得られた氷柱を溶融によって外すための加熱手段を備えうる。
【0066】
各型内で複数の角氷を作成できるようにするために、前記少なくとも1つの型は、相互接続された角氷の細長い氷柱を形成するための一連の相互接続された空洞を規定してもよい。角氷が、型の形状によって規定された通りに相互接続されるので、角氷を使用時に効率的に包装し配向できる。角氷間の相互接続は、最小接続から、細長い柱が得られるような、言わば個別の角氷を区別できなくなるような並列面の全体領域にわたる接続まで多様になりうる。実際に、そのような柱から様々な長さの角氷を砕いたり切り出したりできる。
【0067】
したがって、型は、後で別個の角氷に分割できる氷の棒を作成するように連続した内側面を有してもよいが、型は、細長い氷柱の隣接角氷間に小さい直径部分を形成するように小さい直径部分を有することが好ましい。その結果、この段落の最初に述べたように、角氷を後で使用するときに個別の角氷を互いに離すことが、連続した型の場合よりも容易になる。
【0068】
前記少なくとも1つの型は、複数の個別の角氷の氷柱を形成するための一連の個別の空洞を規定してもよい。この利点は、少なくとも後で貯蔵する際に角氷が一緒に凍結するのを防ぐ場合に、後の段階で角氷を互いに分離しなくてもよいことである。
【0069】
前記少なくとも1つの細長い型内で冷却されている間に液体物質を撹拌するための撹拌手段が提供される。撹拌は、細長い要素をその縦軸のまわりで回転させることによって実行されうる。更に、前記撹拌手段は、凍結工程中に前記少なくとも1つの型及び場合によっては装置の他の部分を振動させる振動装置を備えうる。
【0070】
図4は、角氷を作成するための型1を示す。型1は、矢印Pによって示された方向に互いに可動な2つの型半体1a,1bと、細長い要素、この場合は懸架システム3を備えた管2とを備える。管は、図1図3に関して述べたように、その縦軸のまわりで回転するように構成されうる。型半体1a,1bはそれぞれ、板4と、上下に配置された一連の型要素5とを備える。型1は、矢印Pによって示された方向に互いに近づき遠ざかることができる2つの型半体1a,1bを備える。図4で、型半体1a,1bは、最も離れた状態で示されている。型半体1a,1bはそれぞれ、上下に配置された型要素5を備える板4を有する。この例で、型要素5は、形状が長方形であり、管2のための空間を作るための半円凹部を備える。型半体1a,1bが一緒に移動された位置で(図5を参照)、2つの対向する型要素5が、角氷のための空間を形成する。型要素は、交換可能であるように提供されてもよく、本発明による装置内で様々な形状の型要素を使用できる。懸架システム3から懸架された細長い要素2(例えば、管)は、2の型半体1a,1bの間で垂直方向に延在する。
【0071】
図5は、図4に示された原理による3つの型6a,6b,6cの組立体6の断面図であり、これらの型は、U形部分7とH形部分8からなり、管9が通って延在している。図5で、型6a,6b,6cは、実質的に閉じられ、即ち、型半体が一緒に移動されており、したがって、それぞれの管9のまわりに1つの実質的に閉空間が形成される。図5で、型半体は、組立体6の外側のU形部分7と中心のH形部分8とからなる。この実施形態では、例えば、中央管9は、静止したままでよい(その軸まわりの回転を除く)。H部分8は、中央管9から遠ざかることができ、外側管9は、H部分8から外方に更に遠ざかることができる。U部分7は、外側管9に対して更に外方に動かされうる。このようにして、全ての管9のまわりに、型6a,6b,6c内に形成された氷柱を取り外すのに十分な空間が作成される。
【0072】
図6は、図4の原理による9個の型を含むマトリクス型10を示し、これらの型は、部分要素11,12からなり、管13が通って延在する。部分要素11はマトリクス型の外側にあり、部分要素12はマトリクス型の中心にある。マトリクス型10の動作原理は、図5に示された動作原理に対応する。図6で、部分要素11,12は、図4と同じように離間関係で示される。図が示すように、管の間隔は図5のものより大きい。
【0073】
図6に示されたようなマトリクス型によって氷柱を作成するには、型は、部分要素11及び12を一緒に移動させることによって実質的に閉じられてもよく、即ち、管13の中央列の左側の部分要素は、できるだけ右側に移動され、管の中央列の右側の部分要素11,12は、できるだけ左側に移動される。管9は、部分要素の間でほぼ中心に向けられたままである。その後で、氷点近い温度を有する水が、各型の上側から型に導入される。型は、底側が閉じられ、それにより型は水で満たされる。型に十分な水が導入された後、部分要素11,12は、本質的に既知の方法で冷凍され、型内にある水が凍る。こうして氷柱が型内に形成されたとき、部分要素11,12が短時間加熱されてもよく、その結果、氷柱は、部分要素11,12と接触している周囲が溶け、部分要素11,12を離して図6に示された位置に戻ることができる。
【0074】
特定の実施形態では、氷柱が管13に凍り付くので、氷柱は、部分要素11,12が離された後で適所に留まる。その後で管13が加熱されてもよく、それにより、氷柱がその内周で溶けて、管13から外される。
【0075】
特定の実施形態では、管の回転運動によって氷柱が管13に凍るのが防止されるので、氷柱は、管13に凍り付かない。
【0076】
型の下に氷柱のための容器が配置されてもよく、それにより、氷柱は、貯蔵と輸送のために包装される前記容器に直接落ちる。次に、部分要素11,12は、再び一緒に移動され、次の作成工程が開始できる。
【0077】
図7は、別の実施態様例の図を示す。型602は、2つの型半体603及び604を有する。管601は、型602の中心ではなく型602の側面で型602を通って延在する。型半体604の表面は、管601が収まる凹部605を有する。図8は、同じ実施態様の例を、型半体603及び604が離間された状態で示し、したがって、型602内に形成された氷柱を取り外すことができる。管601は、その縦軸のまわりで回転するように構成される。動作では、回転管601の表面が、液体物質と接触する。管601と液体物質との摩擦により、液体物質も動き始める。例えば、液体物質は、型602の断面内で回転し始める。このようにして、透明な氷柱が生成される。例えば、型602の断面は、(凹部605は別として)円形である。しかしながら、断面は、正方形や長方形などの別の形状を有しうる。代替の実施態様(図面に示されない)では、管602は、型表面の任意の凹部内ではなく型の側面にあってもよく、したがって、管602は、氷柱に穴を開けうる。
【0078】
本明細書に記載された例及び実施形態は、本発明を限定するものではなく例示するものである。当業者は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義されたように、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、代替実施形態を設計できる。請求項で括弧に入れられた引用符号は、請求項の範囲を限定するように解釈されるべきでない。請求項又は詳細な説明で別個の実体として記載された要素は、記載された要素の特徴を組み合わせる単一のハードウェア又はソフトウェア要素として実現されうる。
【符号の説明】
【0079】
101 細長い要素
102,108 型
103,104 型半体
105,107 内側面
106 壁
109 オリフィス
110 アクチュエータ
111 凍結装置
112,114 固体材料
113 凹部
115 先端
117 空間
118 供給装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8