(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】PerCPを含有する抗体製剤を安定化させるための組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/533 20060101AFI20221206BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221206BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20221206BHJP
A61K 47/68 20170101ALN20221206BHJP
A61K 49/00 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G01N33/533
G01N33/53 K
G01N33/53 D
C12Q1/06
A61K47/68
A61K49/00
(21)【出願番号】P 2020511288
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(86)【国際出願番号】 US2018047897
(87)【国際公開番号】W WO2019046118
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,アンナ・マイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブソン,ティナ・ブリンク
(72)【発明者】
【氏名】クーナウ,ジェスパー
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-519908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0231473(US,A1)
【文献】特表2012-512161(JP,A)
【文献】特開平07-222600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含
み、前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはPerCPタンデム蛍光色素である、少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていな
いPerC
Pまたはその断片もしくはバリアントを含む安定な製剤であって、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する製剤。
【請求項2】
前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)である、請求項2に記載の製剤。
【請求項3】
前記コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントが、少なくとも約50μg/mLの濃度である、請求項1
または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記標識された結合剤が、抗CD19抗体、抗CD34抗体または抗MPO抗体を含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記標識された結合剤に対する、前記コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比が、少なくとも約2:1である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記コンジュゲートされていないPerCPが完全長PerCPである、請求項1~
5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントが、別の化学的部分に付着も結合もしていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを有しない製剤よりも、優れた安定性を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤の蛍光強度が、約20℃の温度において、約1日間から約180日間で約25%以下の変化を示す、請求項1~
8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での前記標識された結合剤が、前記製剤の温度が少なくとも約10℃、35~150日間かけて上昇する場合、約25%以下の蛍光強度の変化を有する、請求項1~
9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
分析試料を形成させるために、細胞を含む試料を、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤と
、ここで、前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはPerCPタンデム蛍光色素であり、(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントとを含む製剤と接触させるステップと、フローサイトメトリーを使用して分析試料を分析するステップとを含む、フローサイトメトリーを使用して試料を分析する方法であって、前記製剤が、少なくとも約0.1μg/mLの総ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)濃度を有する、方法。
【請求項12】
前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記製剤が、少なくとも約75μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する、請求項
11または12に記載の方法。
【請求項14】
蛍光色素の蛍光発光に基づいて細胞組成物において細胞を選別することをさらに含む、請求項
11~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記標識された結合剤が、抗CD19抗体、抗CD34抗体または抗MPO抗体を含む、請求項
11~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞がヒト血球である、請求項
11~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記接触が少なくとも約20℃の温度で行われる、請求項
11~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含
み、前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはPerCPタンデム蛍光色素である、少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを含むキット。
【請求項19】
前記コンジュゲートされた蛍光色素がペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)であり、前記キットが少なくとも約20℃の温度で保管される、請求項
18に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、2017年8月31日に出願された米国仮特許出願第62/552,557号に対する優先権および当該出願の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は、参照によって本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[本発明の分野]
本開示は、安定した結合剤を含む製剤、方法、およびキットを目的とする。
【背景技術】
【0003】
フローサイトメトリーは、個々の細胞の特性を特徴付けし、異種混合物において細胞のタイプを同定するために使用される、強力な方法である。細胞は一般に、細胞培養物または組織試料から懸濁液を調製するステップと、細胞を試験管またはマイクロタイタープレート内で未標識の抗体または蛍光色素標識された抗体とインキュベートするステップとによって、染色される。懸濁液はフローサイトメーターに導入され、細胞のフローにレーザービームが照射される。細胞とレーザービームとの間の相互作用によって生じる蛍光発光および光散乱が検出され、細胞の1つまたは複数の特徴が、測定された蛍光発光および/または散乱に基づいて定量される。
【0004】
フローサイトメトリーはまた、測定された光学的特性に基づく、個々の細胞の同定、定量、分離、および/または単離を可能にする。この方法は免疫表現型決定として知られており、異種混合物における複数の細胞集団を分析するために使用することができる。免疫表現型決定は、細胞マーカーに結合し得る抗体を、細胞マーカーを含む細胞に導入すること、および任意の得られた蛍光または散乱を、フローサイトメトリーを使用して検出することによって、行うことができる。細胞マーカーが2つ以上の細胞型において発現している場合、複数の抗体を異種混合物に添加して、集団を効果的に区別することができる。このようなケースでは、各抗体は異なる蛍光色素にコンジュゲートされており、それによって複数のマーカーを同時に検出することが可能となる。例えば、第1の蛍光色素にコンジュゲートされた抗体および第2の蛍光色素にコンジュゲートされた抗体を異種混合物に添加し、フローサイトメトリーによって分析して、2つの異なる細胞集団を検出し、測定し、選別することができる。フローサイトメトリープロセスにおける複数の蛍光色素の使用は、マルチカラーフローサイトメトリーとして知られている。一部の場合では、例えば、同様に標識された抗体が異なる細胞型上のエピトープを認識する場合、マルチカラーフローサイトメトリーでは、1つまたは複数の抗体上で同一の蛍光色素を利用する。
【0005】
様々なタイプの蛍光色素を、フローサイトメトリー法において使用することができる。例えば、一般には有機化合物またはタンパク質である単一の蛍光色素を、結合剤にコンジュゲートさせることができる。フローサイトメトリーにおいて使用される典型的な単一の蛍光色素としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、R-フィコエリスリン(R-PE)、アロフィコシアニン(APC)、およびペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)が含まれる。2つの蛍光色素が互いに付着しているタンデム蛍光色素もまた、抗体にコンジュゲートさせることができる。タンデム蛍光色素は、蛍光色素ドナーおよび蛍光色素アクセプターを含む。ドナーが光によって励起すると、ドナーはエネルギーを発し、このエネルギーはアクセプターに移動する。第2の蛍光色素は励起状態に達し、蛍光発光を生じさせ、これが検出され、測定され得る。典型的なドナーには、PerCP、R-PE、およびAPCが含まれ、その一方で、典型的なアクセプターには、ALEXA FLUOR(登録商標)蛍光色素およびシアニン蛍光色素が含まれる。タンデム蛍光色素は一般に、単一の蛍光色素よりも強い明るさをもたらす。しかし、タンデム蛍光色素は光感受性であることが多く、細胞標識およびフローサイトメトリー分析の間の光暴露を低減または最少化させることが必要である。
【0006】
ペリジニン-クロロフィルタンパク質複合体(PerCP)は、100年以上前に最初に開示されたカロテノイド-タンパク質複合体である。PerCPのペリジニン分子は、青緑色の波長(470から550nm)の光を吸収し、エネルギーをクロロフィル分子に効率良く移動させる。PerCPは、非常に大きい消散係数、高い量子効率、および大きいストークスシフトを有する。PerCPタンパク質は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)などの蛍光免疫標識利用において一般に使用される。PerCPおよび関連するコンジュゲートの特性のおかげで、これらの複合体は、FITC、PE、および他の蛍光色素でのマルチカラー分析に有用である。
【0007】
PerCPは、単独でまたはタンデム蛍光色素において使用することができる。例えば、PerCPにシアニン(例えば、Cy5.5)に付着させて、PerCP-Cyタンデム蛍光色素(例えば、PerCP-Cy5.5)を形成し得る。PerCPのシアニンタンデム(例えば、PerCP-Cy5.5)は、標準的な488nmのレーザーで励起し得る。例えば、PerCP-Cy5.5は、694nmの波長で最大蛍光発光を有し、コンジュゲートされていないPerCPは、677nmの波長で最大蛍光発光を有する。免疫表現型決定分析では、PerCP-Cy部分は、所望の標的に特異的に結合する抗体に連結し得る。しかし、PerCP蛍光色素を使用することの短所は、その固有の不安定性である。PerCP製剤は、安定性を維持するために、8℃を下回る温度で典型的には保管される。製剤は高温で分解するため、PerCP製剤を使用する場合またはPerCP製剤を運搬する場合には、細心の注意を払わなくてはならない。PerCP製剤の運搬が遅延すると、またはPerCP製剤をうっかり冷蔵されないままにすると、温度が上昇し、PerCP蛍光色素は急速に分解されてしまう。PerCP蛍光色素は、既知のラベル表示された濃度を有する液体製剤として消費者に提供されるため、蛍光色素の何らかの分解が、実験誤差を生じさせ得る。このような事象のせいで新たなバッチが必要になり、これは、医学的診断または予後の遅延の原因となり得る。
【発明の概要】
【0008】
したがって、PerCP蛍光色素の安定性を増大させるための新規な製剤および方法が必要とされている。このような製剤および方法は、フローサイトメトリー分析における蛍光色素の蛍光特性に干渉することなく、PerCP蛍光色素の安定性を理想的に増強させる。
【0009】
一実施形態では、本開示は、安定な製剤を提供する。安定な製剤は、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントを含み、ここで、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、PerCPタンデム蛍光色素である。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、ペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)である。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、PerCPである。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、少なくとも約50μg/mLの濃度である。一部の実施形態では、抗体は、抗CD19抗体、抗CD34抗体、または抗MPO抗体である。一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、少なくとも約2:1である。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPは、完全長PerCPである。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、別の化学的部分に付着も結合もしていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体である。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを有しない製剤よりも優れた安定性を有する。一部の実施形態では、製剤の蛍光強度は、約20℃の温度で、約1日間から約180日間で約25%以下の変化を示す。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下において、標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約10℃上昇する場合、約25%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメトリーを使用して試料を分析する方法を提供する。本方法は、細胞を含む試料を、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤と、(b)コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントとを含む製剤とを接触させて、分析試料を形成させるステップと、フローサイトメトリーを使用して分析試料を分析するステップとを含む。製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、PerCPタンデム蛍光色素である。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、ペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)である。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、PerCPである。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約75μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。一部の実施形態では、本方法はさらに、蛍光色素の蛍光発光に基づいて細胞組成物において細胞を選別することを含む。一部の実施形態では、抗体は、抗CD19抗体、抗CD34抗体、または抗MPO抗体である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト血球である。一部の実施形態では、接触は、少なくとも約20℃の温度で行われる。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメーターにおいて細胞を分析するためのキットを提供する。キットは、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、コンジュゲートされた蛍光色素は、ペリジニンクロロフィルタンパク質-シアニン5.5(PerCP-Cy5.5)であり、キットは、少なくとも約20℃の温度で保管される。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの標識された結合剤を安定化させる方法を提供する。本方法は、安定な製剤を形成させるために、コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントを、結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤に添加するステップを含む。安定な製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。
【0013】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメトリーと共に使用され得る安定なビーズ製剤を提供する。安定なビーズ製剤は、(a)少なくとも1つのPerCP標識されたまたはPerCP-Cy5.5標識されたビーズ、(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、および(c)液体を含み、ここで、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。
【0014】
本製剤および本方法のこれらのおよび他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲と組み合わせて、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0015】
[定義される専門用語]
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。定義される用語は、定義された用語の技術的および科学的意味に加えて、一般に理解されるおよび本教示の技術分野において認められるものである。
【0016】
用語「蛍光色素」は、比色分析によってまたは蛍光分析によって検出され得る部分を指す。用語「コンジュゲートされた蛍光色素」は、結合部分にコンジュゲートされている(例えば、結合部分に連結されているまたは共有結合している)蛍光色素を指す。
【0017】
用語「安定な」は、化合物または組成物の蛍光特性が大きく変化しない化合物または組成物を指す。一部の実施形態では、安定な化合物または組成物の蛍光強度は、温度が変化する場合(例えば、約40℃、約30℃、約20℃、約10℃、または約5℃の温度の上昇)、約25%以下、約10%以下、約5%以下、約1%以下、または約0.1%以下の変化を示す。
【0018】
用語「結合部分」は、標的に結合し得る部分を指す。非限定的な例としては、抗体または核酸プローブが含まれる。
【0019】
用語「標識された」は、蛍光色素が付着している部分(例えば抗体)を指す。
【0020】
用語「PerCPの総濃度」または「ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体の総濃度」または「総PerCP濃度」は、製剤中のPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総量(モルまたは質量)を、製剤の全容積で割ったものを指す。PerCPの総量は、コンジュゲートされていないPerCPおよび/またはその断片もしくはバリアントの量と、標識された結合剤中のPerCPの量との合計である。
【0021】
用語「コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質」または「遊離PerCP」は、本明細書において区別せずに使用され、抗体または核酸プローブに結合していないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体またはその断片もしくはバリアントを指す。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、また、その通常の意味に加えて、用語「実質的な」または「実質的に」は、当業者にとって許容可能な限度または程度内であることを意味する。例えば、「実質的に取り消される」は、当業者がその取り消しを許容可能であるとみなすことを意味する。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、また、その通常の意味に加えて、用語「ほぼ」および「約」は、当業者にとって許容可能な限度または量内であることを意味する。用語「約」は一般に、示された数値のプラスまたはマイナス1.5%を指す。例えば、「約10」は、8.5から11.5の範囲を指し得る。例えば、「ほぼ同一」は、当業者がその項目を比較して同一であるとみなすことを意味する。
【0024】
本開示では、数値範囲は、その範囲を規定する数値を含む。本開示では、実施形態が特定の特徴を「含む」と記載される場合は全て、本開示は、その特徴「から基本的になる」またはその特徴「からなる」他の実施形態も検討する。化学構造および化学式が例示的な目的のために引き延ばされ得るまたは拡大され得ることを認識されたい。
【0025】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0026】
本教示は、以下の詳細な説明を添付の図面と共に読んだ場合に最も良く理解される。特徴は必ずしも一定の比率で描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1A~1Jは、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートした抗ヒトCD19抗体を含む結合剤である抗CD19/PerCP-Cy5.5の高速の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すグラフである。
図1A~1Eは、抗CD19/PerCP-Cy5.5で処理した血液のフローサイトメトリー側方散乱プロットを示す。
図1F~1Jは、抗CD45/パシフィックブルー散乱プロット上でゲートされたリンパ球のヒストグラムを示す。
【
図2】
図2A~2Dは、4℃および37℃で保管された抗CD19/PerCP-Cy5.5の短時間の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。
【
図3】
図3A~3Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、染色された血液から得られたリンパ球のヒストグラムを示す図である。
図3A~3Dは、抗CD19/PerCP-Cy5.5で染色された血液から得られたリンパ球のヒストグラムを示し、
図3E~3Hは、抗CD3/PerCP(PerCPとコンジュゲートした抗ヒトCD3抗体)で染色された血液から得られたリンパ球のヒストグラムを示す。
【
図4】
図4A~4Hは、様々な濃度で血液を染色するために使用される、抗CD19/PerCP-Cy5.5(50μg/mL)およびコンジュゲートされていないPerCP(130μg/mL)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。
図4A~4Dは、50μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5および130μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPを使用する結果を示し、
図4E~4Hは、12.5μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5に32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPを添加した、4倍希釈の同一の試薬を使用した結果を示す。
【
図5】
図5A~5Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートした抗ヒトCD34抗体を含む抗CD34/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーデータを示すヒストグラムである。抗CD34/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、試験の前に、37℃で3日間、50μg/mLの試薬濃度で、130μg/mLの遊離PerCPとともに、または遊離PerCPなしでインキュベートした(明るい方のピーク)。参照を4℃でインキュベートした(暗い方のピーク)。インキュベーションの後、試薬を、130μg/mL(
図5A~5D)および12.5μg/mL(
図5E~5H)の濃度で、それぞれ130μg/mLおよび32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPの存在下で(+PerCP)、またはコンジュゲートされていないPerCPの非存在下で(-PerCP)、試験した。
【
図6】コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、抗CD34/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。
図6A~6Hの実験は、
図5A~5Hの実験を反復したものである。
【
図7】
図7A~7Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートした抗ヒトMPO抗体を含む抗MPO/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムであり、ここで、血液試料は、2人の別個のドナー(すなわち、ドナー1およびドナー2)から得られたものであった。抗MPO/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、50μg/mL(
図7A~7D)および12.5μg/mL(
図7E~7H)の濃度で、それぞれ130μg/mLおよび32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPの存在下で(+PerCP)、またはコンジュゲートされていないPerCPの非存在下で(-PerCP)、試験した。試験の前に、試薬を、37℃で3日間、50μg/mLの濃度で、130μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPに添加して、または添加せずにインキュベートした(明るい方の影)。類似の試薬を4℃で保管し、参照として使用した(暗い方の影)。
【
図8】
図8A~8Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、抗MPO/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムであり、ここで、血液試料は、2人の別個のドナー(すなわち、ドナー3およびドナー4)から得られたものであった。抗MPO/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、50μg/mL(
図8A~8D)および12.5μg/mL(
図8E~8H)の濃度で、それぞれ130μg/mLおよび32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPの存在下で(+PerCP)、またはコンジュゲートされていないPerCPの非存在下で(-PerCP)、試験した。
図8A~8Hの実験は、
図7A~7Hの実験を反復したものである。
【
図9】
図9A~9Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖を含むポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、150μg/mL(
図9Aおよび9E)、75μg/mL(
図9Bおよび9F)、37.5μg/mL(
図9Cおよび9G)、ならびに18.6μg/mL(
図9Dおよび9H)の濃度で試験した。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCP無しで(
図9A~9D)および90μg/mLの遊離PerCPとともに(
図9E~9H)試験した。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照と比較した(暗い方の灰色)。
【
図10】
図10A~10Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD22を含むマウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5(アイソタイプIgG1カッパ)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図10Aおよび10E)、50μg/mL(
図10Bおよび10F)、25μg/mL(
図10Cおよび10G)、ならびに12.5μg/mL(
図10Dおよび10H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCPなしで(
図10A~10D)、および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図10E~10H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照と比較した(暗い方の灰色)。
【
図11】
図11A~11Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD1aを含むマウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5(アイソタイプはIgG2aカッパである)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図11Aおよび11E)、50μg/mL(
図11Bおよび11F)、25μg/mL(
図11Cおよび11G)、ならびに12.5μg/mL(
図11Dおよび11H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCP無しで(
図11A~11D)および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図11E~11H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照と比較した(暗い方の灰色)。
【
図12】
図12A~12Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD7を含むマウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5(アイソタイプはIgG2bカッパである)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図12Aおよび12E)、50μg/mL(
図12Bおよび12F)、25μg/mL(
図12Cおよび12G)、ならびに12.5μg/mL(
図12Dおよび12H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCPなしで(
図12A~12D)、および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図12E~12H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照と比較した(暗い方の灰色)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
様々な実施形態を記載する前に、本開示の教示が、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本教示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において使用される専門用語は特定の実施形態のみを記載する目的のものであり、限定することを意図したものではないことも理解されたい。
【0029】
本明細書において開示されているように、多くの値の範囲が提供される。文脈から別段のことが明らかに示されない限り、その範囲の上限と下限との間にある、下限の10分の1までの各値もまた、具体的に開示されることを理解されたい。任意の言及された値または言及された範囲内にある値と、あらゆる他の言及された値またはその言及された範囲内にある値との間の、より小さな各範囲が、本発明に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してその範囲内に含まれ得るかまたはその範囲から除外され得、また、言及された範囲内にある任意の具体的に除外された限界の下で、両限界のいずれかがそのより小さな範囲に含まれる、両限界のいずれもそのより小さな範囲に含まれない、または両限界がそのより小さな範囲に含まれる各範囲もまた本発明に包含される。言及された範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0030】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されものに類似のまたは同等の任意の方法および材料もまた、本教示の実施または試験において使用することができるが、一部の典型的な方法および材料を以下に記載する。
【0031】
本明細書において言及される全ての特許および刊行物は、参照することによってその全体が明確に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示に対してであり、本発明の特許請求の範囲がこのような刊行物に先行して特許を付与されていないということを承認するものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の公開日とは異なる場合があり、この公開日は独立して確認することができる。
【0032】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、用語「a」、「an」、および「the」は、文脈から別段のことが明らかに示されない限り、単数形および複数形の両方の指示対象を含む。したがって、例えば、「部分」は、1つの部分および複数の部分を含む。
【0033】
本開示を読めば当業者には明らかであるように、本明細書において記載および説明される個々の実施形態の各々は、本教示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るまたは前記特徴と容易に組み合わされ得る、個別の構成要素および特徴を有する。いかなる列挙される方法も、列挙される事象の順序で、または論理的に可能なあらゆる他の順序で行うことができる。
【0034】
標識された結合剤の安定性を増大させる製剤および方法が提供される。コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントと、結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む標識された結合剤(例えば、蛍光色素にコンジュゲートされた抗体)とを含む製剤は、コンジュゲートされていないPerCPを有しない製剤と比較して、安定性が増大している。PerCPまたはその断片もしくはバリアントが、ある一定の濃度以上で製剤中にあると、標識された結合剤の安定性が増大することが予想外に発見された。コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントが十分な濃度で存在していると、温度安定性が増大した標識された結合剤が得られる。PerCP製剤は一般に、2~8℃の温度で保管される。本製剤の一部の実施形態の利点は、これらが、標識された結合剤を実質的に分解することなく、8℃を上回る温度(例えば室温)で保管され得ることである。その結果、本開示の製剤の一部の実施形態は、使用前に良好に調製され得る。本製剤の一部の実施形態の別の利点は、標識された結合剤が、安定性を損なうことなく、低濃度にすることができることである。本製剤および本方法は、単一の蛍光色素またはタンデム蛍光色素(例えば、単一のPerCPまたはタンデムPerCP)を含む様々な蛍光色素を利用し得る。結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む、標識された結合剤は、様々な細胞標的を検出するために使用することができる。
【0035】
一実施形態では、本開示は、安定な製剤を提供する。安定な製剤は、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)またはその断片もしくはバリアントを含み、ここで、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。
【0036】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの標識された結合剤を安定化させる方法を提供する。本方法は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤に添加して、安定な製剤を形成させることを含む。安定な製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。
【0037】
一部の実施形態では、蛍光色素は、単一の蛍光色素である。一部の実施形態では、蛍光色素は、タンデム蛍光色素である。
【0038】
一部の実施形態では、蛍光色素は、PerCPまたはその断片もしくはバリアントを含むか、それから基本的になるか、またはそれからなる。一部の実施形態では、蛍光色素は、PerCPを含むタンデム蛍光色素である。一部の実施形態では、蛍光色素は、PerCP-シアニンを含むタンデム蛍光色素である。一部の実施形態では、シアニンは、イソチオシアニン、ベンズインドジカルボシアニン、インドカルボシアニン、ベンズインドカルボシアニン、インドジカルボ-シアニン、インドトリカルボシアニン、ベンズインドジカルボシアニン、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、CYA(3-(イプシロン-カルボキシ-ペンチル)-3’エチル-5,5’-ジメチルオキサカルボシアニン)、およびメロシアニンから選択される。一部の実施形態では、シアニンは、Cy5、Cy5.5、Cy3、Cy3.5、Cy7、およびCy7.5から選択される。一部の実施形態では、蛍光色素は、PerCP-Cy5.5である。
【0039】
一部の実施形態では、蛍光色素は、PerCPまたはその断片もしくはバリアントの最大蛍光発光と異なる波長で最大蛍光発光を有する。例えば、PerCPまたはその断片もしくはバリアントをシアニンとタンデムで含む蛍光色素は、PerCPまたはその断片もしくはバリアント単独の波長と異なる波長で最大蛍光発光を有する。
【0040】
PerCPは、ペリジニン、クロロフィル、および脂質に結合したペリジニン-クロロフィルタンパク質を含む。PerCPタンパク質は、2つのモノマーを有するホモダイマー形態、遺伝子複製を介してホモダイマー形態から生成されるモノマー形態、またはモノマーPerCPの3つのコピーから生成されるトリマー形態で存在し得る。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質をホモダイマー形態で含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質をモノマー形態で含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質をトリマー形態で含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質をホモダイマー形態、モノマー形態、トリマー形態、またはその組み合わせで含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、ホモダイマー形態、モノマー形態、およびトリマー形態は、異なる遺伝子によって発現される。
【0041】
PerCPタンパク質は、様々なアイソフォームまたはバリアントとして存在し得る。例えば、PerCPタンパク質は、異なる長さ、配列、またはフォールディング構造を有し得る。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質の1つまたは複数のバリアントを含むPerCPタンパク質を含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。
【0042】
一部の実施形態では、PerCPは、PerCP断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質の少なくとも1つの断片を含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、製剤は、PerCPタンパク質と実質的な配列同一性を有するがPerCPタンパク質と同一ではない断片を含む、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素を含む。一部の実施形態では、断片は、完全長PerCPタンパク質の配列の少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%を含む。しかし、PerCP断片は、本明細書において記載される使用と矛盾しない任意の長さを有し得る。
【0043】
一部の実施形態では、PerCPは、野生型PerCPタンパク質と比較した少なくとも1つのアミノ酸の欠失、挿入、または置換を有するPerCPバリアントを含む。一部の実施形態では、PerCPバリアントは、野生型PerCPタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または95%を超えるアミノ酸同一性を有する。しかし、PerCPバリアントは、本明細書において記載される使用と矛盾しない、野生型PerCPタンパク質との任意の程度のアミノ酸同一性を有し得る。一部の実施形態では、アミノ酸同一性の程度は、デフォルトパラメータを用いてBLASTPを使用して決定することができる。
【0044】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはコンジュゲートされた蛍光色素は、完全長PerCPタンパク質を含む。
【0045】
クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、PerCPまたはその断片もしくはバリアントにおいて変化し得る。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約1:1から約6:1である。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約3:1から約6:1である。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約3:1から約4:1である。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約4:1である。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約6:1である。一部の実施形態では、クロロフィルに対するペリジニンのモル比は、約3:1である。
【0046】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、別の化学的部分に付着も結合もしていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体またはその断片もしくはバリアントである。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、別の化学的部分に共有結合によって付着していないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体またはその断片もしくはバリアントである。
【0047】
コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、任意の適切な量で使用することができる。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、少なくとも約0.1μg/mLの濃度で含む。したがって、一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約110μg/mL、少なくとも約120μg/mL、少なくとも約125μg/mL、少なくとも約130μg/mL、少なくとも約150μg/mL、少なくとも約175μg/mL、または少なくとも約200μg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、約0.1μg/mLから約250μg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、約10μg/mLから約500μg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、約25μg/mLから約250μg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを、約50μg/mLから約200μg/mLの濃度で含む。
【0048】
一部の実施形態では、結合部分は抗体である。抗体は、抗ヒト抗体、抗マウス抗体、抗ラット抗体、抗ヤギ抗体、または抗非ヒト霊長類抗体であり得る。
【0049】
一部の実施形態では、結合部分は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、または組換え抗体である。一部の実施形態では、結合部分は、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体、IgD抗体、またはIgE抗体である。一部の実施形態では、結合部分は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。
【0050】
一部の実施形態では、抗体は、抗CD19抗体、抗CD34抗体、抗CD45抗体、抗CD1a抗体、抗CD8抗体、抗CD2抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD9抗体、抗CD10抗体、抗CD11a抗体、抗CD11b抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD16抗体、抗CD16b抗体、抗CD18抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD24抗体、抗CD25抗体、抗CD27抗体、抗CD28抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD36抗体、抗CD38抗体、抗CD39抗体、抗CD41抗体、抗CD42b抗体、抗CD43抗体、抗CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD48抗体、抗CD49d抗体、抗CD50抗体、抗CD52抗体、抗CD53抗体、抗CD54抗体、抗CD55抗体、抗CD55抗体、抗CD56抗体、抗CD57抗体、抗CD59抗体、抗CD61抗体、抗CD64抗体、抗CD66抗体、抗CD68抗体、抗CD71抗体、抗CD73抗体、抗CD79アルファ抗体、抗CD82抗体、抗CD87抗体、抗CD90抗体、抗CD117抗体、抗CD142抗体、抗CD236抗体、抗CD239抗体、抗CD240抗体、抗CD241抗体、および抗CD242抗体から選択される。
【0051】
一部の実施形態では、抗体は、抗MPO抗体である。
【0052】
一部の実施形態では、結合部分は、アビジンまたはストレプトアビジンであり、これらの実施形態は、ビオチンにコンジュゲートされた一次抗体(ビオチン化抗体)と共に使用するために適している。
【0053】
本開示の製剤および方法は、標識された結合剤を低濃度で含む製剤を安定化させるために特に有用である。一部の実施形態では、標識された結合剤は、約200μg/mL未満の濃度で溶液中に存在する。したがって、一部の実施形態では、標識された結合剤は、約200μg/mL未満、約175μg/mL未満、約150μg/mL未満、約125μg/mL未満、約100μg/mL未満、約75μg/mL未満、約50μg/mL未満、または約25μg/mL未満の濃度で溶液中に存在する。一部の実施形態では、標識された結合剤は、約0.01μg/mLから約250μg/mLの濃度で溶液中に存在する。一部の実施形態では、標識された結合剤は、約1μg/mLから約200μg/mLの濃度で溶液中に存在する。一部の実施形態では、標識された結合剤は、約0.1μg/mLから約100μg/mLの濃度で溶液中に存在する。一部の実施形態では、標識された結合剤は、約0.1μg/mLから約50μg/mLの濃度で溶液中に存在する。しかし、本開示の標識された結合剤は、任意の適切な濃度で使用することができる。
【0054】
コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントおよび標識された結合剤は、標識された結合剤を安定化させるために必要な任意の適切な比で使用することができる。一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、約0.1:1から約100:1である。一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、約0.1:1から約20:1である。したがって、一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、約0.1:1から約20:1、約0.5:1から約20:1、約1:1から約20:1、約1:1から約15:1、約1:1から約10:1、約1:1から約8:1、約1:1から約5:1、または約2:1から約8:1である。一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、少なくとも約1:1である。したがって、一部の実施形態では、標識された結合剤に対する、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの比は、少なくとも約1:1、少なくとも約1.5:1、少なくとも約2:1、少なくとも約2.5:1、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、または少なくとも約8:1である。
【0055】
一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。したがって、一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約60μg/mL、少なくとも約75μg/mL、少なくとも約80μg/mL、少なくとも約90μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約110μg/mL、少なくとも約120μg/mL、少なくとも約125μg/mL、少なくとも約130μg/mL、少なくとも約150μg/mL、少なくとも約175μg/mL、または少なくとも約200μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。一部の実施形態では、製剤は、約0.1μg/mLから約250μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。一部の実施形態では、製剤は、約25μg/mLから約500μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。一部の実施形態では、製剤は、約50μg/mLから約500μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。一部の実施形態では、製剤は、約100μg/mLから約400μg/mLのPerCPまたはその断片もしくはバリアントの総濃度を有する。
【0056】
一部の実施形態では、製剤は溶液である。一部の実施形態では、製剤は水性溶液である。一部の実施形態では、製剤は、有機溶媒を含む溶液である。
【0057】
本開示の製剤は、さらなる構成要素を含み得る。一部の実施形態では、製剤は、緩衝液、防腐剤、界面活性剤、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態では、防腐剤は、イソチアゾリノンを含む。一部の実施形態では、防腐剤は、アジ化物塩を含む。一部の実施形態では、防腐剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアジ化物を含む。一部の実施形態では、防腐剤は、アジ化ナトリウムを含む。
【0058】
一部の実施形態では、製剤は、Tris/HClを含む緩衝液を含む。一部の実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを含む緩衝液を含む。一部の実施形態では、製剤は、ウシ血清アルブミンを含む緩衝液を含む。一部の実施形態では、製剤は、約0.01Mから約0.2MのTris/HCl、約0.01Mから約0.4Mの塩化ナトリウム、約0.1mMから約100mMのアジ化ナトリウム、および約0.1%から約5%ウシ血清アルブミンを含む。
【0059】
一部の実施形態では、製剤は、Tris/HCl、NaCl、アジ化ナトリウム、およびウシ血清アルブミンを含む緩衝液を含む。一部の実施形態では、製剤は、約0.02Mから約0.08MのTris/HCl、約0.05Mから約0.2Mの塩化ナトリウム、約5mMから約25mMのアジ化ナトリウム、約0.5%から約2%ウシ血清アルブミンを含む。一部の実施形態では、製剤は、約6.5から約7.5のpHを有する。
【0060】
一部の実施形態では、製剤は、少なくとも2つの標識された結合剤を含む。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも3つの標識された結合剤を含む。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも4つの標識された結合剤を含む。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも5つの標識された結合剤を含む。このような実施形態では、様々な標識された結合剤の蛍光色素は、同一であっても異なっていてもよい。
【0061】
一部の実施形態では、製剤は、少なくとも1つの標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを含み、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを有しない製剤よりも優れた安定性を有する。
【0062】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が、35~150日間かけて少なくとも約10℃上昇する場合、例えば、約4℃から約14℃まで35~150日間かけて上昇する場合、約25%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約20℃、7~180日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約24℃まで7~180日間かけてまたは20~75日間かけて上昇する場合、約25%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約30℃、1~10日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約37℃以上まで1~10日間かけてまたは1~3日間かけて上昇する場合、約25%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0063】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約10℃、35~150日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約14℃まで35~150日間かけて上昇する場合、約20%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約20℃、7~180日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約24℃まで7~180日間かけてまたは20~75日間かけて上昇する場合、約20%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約30℃、1~10日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約37℃以上まで1~10日間かけてまたは1~3日間かけて上昇する場合、約20%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0064】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約10℃、35~150日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約14℃まで35~150日間かけて上昇する場合、10%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約20℃、7~180日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約24℃まで7~180日間かけてまたは20~75日間かけて上昇する場合、10%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約30℃、1~10日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約37℃以上まで1~10日間かけてまたは1~3日間かけて上昇する場合、10%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0065】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約10℃、35~150日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約14℃まで35~150日間かけて上昇する場合、5%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約20℃、7~180日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約24℃まで7~180日間かけてまたは20~75日間かけて上昇する場合、5%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約30℃、1~10日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約37℃以上まで1~10日間かけてまたは1~3日間かけて上昇する場合、5%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0066】
一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約10℃、35~150日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約14℃まで35~150日間かけて上昇する場合、1%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約20℃、7~180日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約24℃まで7~180日間かけてまたは20~75日間かけて上昇する場合、1%以下の蛍光強度の変化を有する。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントの存在下での標識された結合剤は、製剤の温度が少なくとも約30℃、1~10日間かけて上昇する場合、例えば、約4℃から約37℃以上まで1~10日間かけてまたは1~3日間かけて上昇する場合、1%以下の蛍光強度の変化を有する。
【0067】
一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約25%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で少なくとも約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約20%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で少なくとも約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約10%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で少なくとも約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約5%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で少なくとも約180日間安定である。したがって、一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約25%以下、約20%以下、約10%以下、または約5%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で少なくとも約180日間、少なくとも約150日間、少なくとも約120日間、少なくとも約100日間、少なくとも約90日間、少なくとも約80日間、少なくとも約75日間、少なくとも約70日間、少なくとも約60日間、少なくとも約50日間、少なくとも約45日間、少なくとも約40日間、少なくとも約30日間、少なくとも約25日間、少なくとも約20日間、少なくとも約15日間、少なくとも約10日間、少なくとも約7日間、少なくとも約5日間、少なくとも約4日間、少なくとも約3日間、少なくとも約2日間、または少なくとも約1日間安定である。
【0068】
一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約25%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で約1日間から約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約20%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で約1日間から約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約10%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で約1日間から約180日間安定である。一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約5%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で約1日間から約180日間安定である。したがって、一部の実施形態では、製剤は、蛍光強度が約25%以下、約20%以下、約10%以下、または約5%以下しか変化しないという点で、約20℃の温度で約1日間から約180日間、約1日間から約150日間、約1日間から約120日間、約1日間から約100日間、約1日間から約80日間、約1日間から約60日間、約1日間から約45日間、約1日間から約30日間、約1日間から約14日間、約1日間から約7日間、約1日間から約4日間、約7日間から約180日間、約14日間から約180日間、または約30日間から約180日間安定である。
【0069】
一部の実施形態では、製剤は、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントと、PerCP-シアニン(例えば、PerCP-Cy5.5)にコンジュゲートされた蛍光色素を含む標識された結合剤とを含む。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、およびコンジュゲートされた蛍光色素のPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、同一の種から単離される。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、およびコンジュゲートされた蛍光色素のPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、異なる種から単離される。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、およびコンジュゲートされた蛍光色素のPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、構造的に異なる。一部の実施形態では、コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、およびコンジュゲートされた蛍光色素のPerCPまたはその断片もしくはバリアントは、構造的に同一である。
【0070】
一部の実施形態では、蛍光色素は、ストレプトアビジンまたはアビジンにコンジュゲートしている。一部の実施形態では、ストレプトアビジンにコンジュゲートされたPerCPまたはタンデムPerCPを含む標識された結合剤は、ビオチン化一次抗体と組み合わせて使用される。
【0071】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメトリーを使用して試料を分析する方法を提供する。本方法は、分析試料を形成させるために、細胞を含む試料を、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤と、(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントとを含む製剤と接触させるステップと、フローサイトメトリーを使用して分析試料を分析するステップとを含む。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。
【0072】
試料は、任意の細胞型または細胞調製物を含み得る。一部の実施形態では、試料は、細胞培養物である。一部の実施形態では、試料は、細胞懸濁液である。例えば、細胞懸濁液の細胞は、固形組織に由来し得る。
【0073】
一部の実施形態では、試料は、血球を含む。一部の実施形態では、試料は、ヒト血球を含む。一部の実施形態では、試料は、リンパ球などの白血球を含む。一部の実施形態では、試料は、骨髄細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、リンパ器官に由来する白血球(例えば、リンパ節または脾臓)を含む。一部の実施形態では、試料は、治療または診断の目的で使用される操作された細胞などの、操作された細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、CAR-T細胞を含む。
【0074】
一部の実施形態では、本方法はさらに、蛍光色素の蛍光発光に基づいて細胞組成物において細胞を選別することを含む。一部の実施形態では、本方法はさらに、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して細胞選別を行うことを含む。
【0075】
一部の実施形態では、分析中の細胞は、代謝プロセスを阻止し、細胞質および核が結合剤にアクセスできるようにするために、固定され、次いで、少なくとも1つの標識された結合剤で染色される。
【0076】
一部の実施形態では、標識された結合剤は、一次抗体を認識する二次抗体である。
【0077】
本開示の本製剤および本方法は、高温で保管された場合に蛍光色素のシグナル強度が損なわれるという課題に対処する。本開示の製剤および方法は、様々な温度での製剤の取り扱いおよび保管を可能にする。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約10℃の温度で試料と接触させられる。したがって、一部の実施形態では、製剤は、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、または少なくとも約40℃の温度で試料と接触させられる。
【0078】
一部の実施形態では、本方法は、マルチカラーフローサイトメトリー方法である。
【0079】
フローサイトメーターを操作するための方法、およびそのようにして得られたデータを分析するための方法は変更が可能であり、このような変更は本分野において既知であり、一般的である。
【0080】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメトリーと共に使用され得る安定なビーズ製剤を提供する。安定なビーズ製剤は、(a)少なくとも1つのPerCP標識されたまたはPerCP-Cy5.5標識されたビーズ、(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアント、および(c)液体を含み、ここで、製剤は、少なくとも約0.1μg/mLの総PerCP濃度を有する。一部の実施形態では、液体は、水性液体である。一部の実施形態では、液体は、有機溶媒である。一部の実施形態では、安定なビーズは、CaliBRITEビーズである。一部の実施形態では、ビーズは、ラテックスビーズである。一部の実施形態では、ビーズは、ポリメタクリル酸メチルビーズである。一部の実施形態では、製剤は、アジ化物塩を含む。
【0081】
別の実施形態では、本開示は、フローサイトメーターにおいて細胞を分析するためのキットを提供する。キットは、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤、ならびに(b)コンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを含む。
【0082】
一部の実施形態では、キットは、構成要素(a)および(b)を別個の容器内に含む。したがって、一部の実施形態では、キットは、結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤を第1の容器内に、またコンジュゲートされていないPerCPまたはその断片もしくはバリアントを第2の容器内に含む。
【0083】
一部の実施形態では、キットはさらに、例えばフローサイトメトリーに適切な1つまたは複数のさらなる化合物を含む。一部の実施形態では、キットは、緩衝液、防腐剤、界面活性剤、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態では、さらなる化合物は、同一または別個の容器内に提供される。
【0084】
一部の実施形態では、キットは、キットの構成要素を使用するための指示を含む。一部の実施形態では、キットは、別個の構成要素を混合するための指示、構成要素および/または混合物のための適切な条件、および/または組成物を混合するための適切な器を含む。
【0085】
一部の実施形態では、キットは、(a)結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む少なくとも1つの標識された結合剤と、(b)コンジュゲートされていないペリジニンクロロフィルタンパク質複合体またはその断片もしくはバリアントとを含む製剤を含む、「予め混合された」容器を含む。
【実施例】
【0086】
[実施例1]
この実施例は、標識された結合剤の安定性に対する温度および保管の影響を示す。
【0087】
PerCP-Cy5.5にコンジュゲートされた抗CD19抗体(すなわち、抗CD19/PerCP-Cy5.5、DAKO)の高温下での安定性を、高速の安定性試験を使用して調べた。健康なドナーの血液を、抗凝固性のEDTAの存在下で、抗CD19/PerCP-Cy5.5で染色した。100μLの血液アリコートを抗CD19/PerCP-Cy5.5と混合し、2~8℃で、暗所で30分間、インキュベートした。2mLポーションのFACS lysing solution(BD Biosciences)を血球組成物と混合し、10分間、暗所にて、周囲温度でインキュベートした。処理した血球を300×gで5分間、周囲温度で遠沈させた。上清を除去した。細胞を2mLのPBS中で洗浄し、遠沈させ、0.4mLのPBS中で再懸濁させた。試料を、Naviosフローサイトメーター(Beckmann Coulter)を使用して分析した。細胞を、抗CD45/パシフィックブルー(DAKO)で共染色した。リンパ球を、側方散乱/パシフィックブループロットでゲートした。
【0088】
結果を、未処理細胞および抗CD19/PerCP-Cy5.5を用いて4℃で処理した細胞と比較した。細胞を、24℃で75、131、および187日間保管した25μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5溶液で処理した(
図1E)。
【0089】
実験のプロットを
図1A~1Jで示す。
図1A~1Eは、4℃または24℃で、示された日数にわたり保管された抗CD19/PerCP-Cy5.5により処理された血液のフローサイトメトリー側方散乱プロットを示す。
図1G~1Jは、抗CD45/パシフィックブルー散乱プロットでゲートされたリンパ球のヒストグラムを示す。
図1Bおよび1Gで示すように、4℃で保管された抗CD19/PerCP-Cy5.5で細胞を処理すると、ヒストグラム上に、抗CD19陽性リンパ球とCD19陰性リンパ球との良好な分離がある。
図1Cおよび1Hは、一体となったピークによって証明されるように、抗CD19/PerCP-Cy5.5を24℃で75日間保管すると、CD19陽性リンパ球およびCD19陰性リンパ球のピークの分離が不十分となることを示す。
図1D、1E、1I、および1Jは、CD19陽性リンパ球のピークがヒストグラムから消えていることを示す。この結果は、抗CD19/PerCP-Cy5.5が高温では長時間安定ではないことを示す。
【0090】
[実施例2]
この実施例は、標識された結合剤の短時間の安定性に対する温度および濃度の影響を示す。
【0091】
高温での抗CD19/PerCP-Cy5.5の安定性を、短時間の安定性試験を使用して調べた。実験の前に、DAKOから入手した抗CD19/PerCP-Cy5.5および別の販売者から入手した抗CD19/PerCP-Cy5.5を、4℃および37℃で2.5日間、215μg/mLおよび25μg/mLの濃度で保管した。健康なドナーの血液を、保管された抗CD19/PerCP-Cy5.5で染色し、実施例1の手順を使用してフローサイトメトリーによって分析した。
【0092】
リンパ球のヒストグラムを
図2A~2Dに示し、図中、4℃および37℃での実験で得られたシグナルは重なっている。
図2Bおよび2Cは、蛍光強度の中央値が、希釈製剤(すなわち、25μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5)とインキュベーションした後の方が、濃縮製剤よりも、すなわち、37℃で濃縮製剤(215μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5)としてインキュベートし、フローサイトメトリーによる試験の直前に25μg/mLに希釈した場合よりも、大きく低下したことを示す。
図2Dで示すように、別の販売者から入手した抗CD19/PerCP-Cy5.5でもシグナルの低下が観察され、このことは、観察された抗CD19/PerCP-Cy5.5の安定性がその入手元に依存するものではないことを示唆している。この結果は、PerCP-Cy5.5コンジュゲートの安定性が製剤の濃度に依存することを示す。
【0093】
[実施例3]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度のコンジュゲートされていないPerCPの存在下での、結合剤と単一の蛍光色素とのコンジュゲートおよび結合剤とタンデム蛍光色素とのコンジュゲートの安定性を示す。
【0094】
コンジュゲートされていないPerCPの存在下での、抗CD19/PerCP-Cy5.5およびPerCPにコンジュゲートされた抗CD3抗体(すなわち、抗CD3/PerCP)の安定性を調べた。実験の前に、コンジュゲートされていないPerCPの存在下で、抗CD19/PerCP-Cy5.5(25μg/mL)および抗CD3/PerCP(25μg/mL)を、2週間、4℃および37℃で保管した。コンジュゲートされていないPerCP(渦鞭藻綱の種(Dinophyceae sp.)から単離された、Prozyme Inc.から入手したPhycoPro(商標)(PB40))を、異なる濃度(すなわち、0、75、100、および200μg/mL)で使用した。健康なドナーの血球を、保管した蛍光色素で別個に処理し、実施例1の手順を使用してフローサイトメトリーによって分析した。FACSCanto IIフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用した。
【0095】
リンパ球のヒストグラムを
図3A~3Hに示し、図中、4℃および37℃で保管された製剤を使用した実験のシグナルは重なっている。
図3A~3Dは、抗CD19/PerCP-Cy5.5で染色された血液のリンパ球のヒストグラムを示し、一方、
図3E~3Hは、抗CD3/PerCPで染色された血液のリンパ球のヒストグラムを示す。
【0096】
図3Aで示すように、37℃で保管された抗CD19/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを使用すると、CD19陽性リンパ球とCD19陰性リンパ球との間の分離は変化する。
図3Eは、37℃で保管された抗CD3/PerCPコンジュゲートを使用すると、CD3陽性リンパ球のシグナルが消えたことを示す。しかし、
図3Bおよび3Fで示すように、各蛍光色素を75μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPの存在下で保管すると、抗CD19/PerCP-Cy5.5および抗CD3/PerCPの両方で、ヒストグラムは、4℃および37℃で類似していた。
図3C、3D、3G、および3Hは、PerCPの濃度を100μg/mLおよび200μg/mLに上昇させると、抗CD19/PerCP-Cy5.5および抗CD3/PerCPの両方で安定性がさらに増大したことを示す。何らかの特定の理論に拘束されることは望まないが、抗CD19/PerCP-Cy5.5および抗CD3/PerCPの両方がコンジュゲートされていないPerCPの存在下で安定性の増大を示すため、コンジュゲートされていないPerCPは、抗体-PerCPコンジュゲートのPerCPタンパク質を安定化させる可能性が高いと考えられる。
【0097】
[実施例4]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0098】
異なる濃度の抗CD19/PerCP-Cy5.5およびコンジュゲートされていないPerCP(渦鞭藻綱の種から単離された、Prozyme Inc.から入手したPhycoPro(商標)(PB40))を有する製剤の安定性を調べた。試験は、2人の異なるドナー(すなわち、ドナー1およびドナー2)の血液を使用して行った。実施例1で開示した手順を使用して、細胞を抗CD19/PerCP-Cy5.5で処理し、フローサイトメトリーを介して分析した。
【0099】
抗CD19/PerCP-Cy5.5の運搬に対するコンジュゲートされていないPerCPの影響を、運搬シミュレーションを使用して調べた。運搬シミュレーションレジメでは、抗CD19/PerCP-Cy5.5の試料を-20℃で16~24時間凍結し、4℃で2~8時間解凍し、-20℃で16~24時間凍結し、4℃で2~8時間解凍し、37℃で16~24時間インキュベートし、そして25℃で7日間インキュベートした。
【0100】
リンパ球のヒストグラムを
図4A~4Hに示す。
図4A~4Dは、50μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5および130μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPを使用した結果を示し、
図4E~4Hは、12.5μg/mLの抗CD19/PerCP-Cy5.5および32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCPを使用した結果を示す。この結果は、試験した製剤が高温で良好な安定性を有することを実証する。この結果はまた、試験した製剤が、周囲温度で輸送するために十分に安定であることを示唆する。
【0101】
[実施例5]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0102】
PerCP-Cy5.5にコンジュゲートされた抗CD34抗体(すなわち、抗CD34/PerCP-Cy5.5)の高温下での安定性を調べた。実験の前に、抗CD34/PerCP-Cy5.5製剤を、4℃または37℃で3日間、保管した。抗CD34/PerCP-Cy5.5を、70%KG1a(CD34陽性)細胞および30%U937(CD34陰性)細胞の細胞懸濁液の表面染色に使用した。抗CD34/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、50μg/mLおよび12.5μg/mLの濃度で、それぞれ130μg/mLおよび32.5μg/mLのコンジュゲートされていないPerCP(渦鞭藻綱の種から単離された、Prozyme Inc.から入手したPhycoPro(商標)(PB40))の存在下で(+PerCP)、またはコンジュゲートされていないPerCPの非存在下で(-PerCP)試験した。各試料について、100万個の細胞を含有する100μLの細胞懸濁液を製剤と混合し、30分間、2~8℃で、暗所で染色した。2mLのFACS lysing solution(BD Biosciences)を添加した。試料を混合し、10分間、周囲温度で、暗所でインキュベートした。細胞を5分間、300×gで、周囲温度で遠沈させた。上清を除去し、細胞を2mLのPBS中で1回洗浄し、遠沈させ、そして、0.4mLのPBS中で再懸濁させた。試料をNaviosフローサイトメーター(Beckmann Coulter)に供した。各実験をさらに3回繰り返した。
【0103】
実験のヒストグラムを
図5A~6Hに示す。コンジュゲートされていないPerCPを有しない製剤で染色したCD34陽性細胞で、蛍光強度の中央値が低下した。逆に、コンジュゲートされていないPerCPの存在下で、抗CD34/PerCP-Cy5.5で染色した細胞は、製剤を4℃および37℃で保管しても、類似のヒストグラムとなる。この結果は、コンジュゲートされていないPerCPが抗CD34/PerCP-Cy5.5の安定性を増大させることを実証する。
【0104】
[実施例6]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0105】
PerCP-Cy5.5にコンジュゲートされた抗MPO抗体(すなわち、抗MPO/PerCP-Cy5.5)の高温下での安定性を調べた。抗MPO/PerCP-Cy5.5を使用して、4人の健康なドナーの血液を染色した。抗MPO/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、50μg/mLおよび12.5μg/mLの濃度で、130μg/mLのコンジュゲートされていないPerCP(渦鞭藻綱の種から単離された、Prozyme Inc.から入手したPhycoPro(商標)(PB40))の存在下で(+PerCP)、またはコンジュゲートされていないPerCPの非存在下で(-PerCP)試験した。使用する前に、試薬を、4℃または37℃で3日間、50μg/mLの濃度で、コンジュゲートされていないPerCPとともに、または、PerCP無しで保管した。各試料について、血液を、細胞内染色手順を使用して染色した。各試料について、50μLの血液を100μLのIntraStain試薬A(DAKO)と混合し、15分間、周囲温度で固定した。EGTAを抗凝固剤として使用した。2mLのPBSを添加し、細胞を300×gで5分間、周囲温度で遠沈させた。上清を除去した。細胞を再懸濁させ、原形質膜を100μLのIntraStain試薬B(DAKO)で透過処理した。染色製剤を添加し、細胞を15分間、周囲温度で、暗所でインキュベートした。2mLのPBSを添加し、細胞を遠沈させ、0.4mLのPBS中に再懸濁させ、そしてNaviosフローサイトメーター(Beckmann Coulter)で分析した。細胞をCD45/パシフィックブルー(DAKO)で共染色し、顆粒球を、側方散乱/パシフィックブループロットでゲートした。
【0106】
顆粒球の実験のヒストグラムを
図7A~8Hに示し、図中、4℃および37℃の製剤についての実験のシグナルは重なっている。4つのドナー試料は、コンジュゲートされていないPerCPを有しない製剤で染色したMPO陽性細胞について、蛍光強度の中央値の低下を示した。逆に、コンジュゲートされていないPerCPの存在下で、抗MPO/PerCP-Cy5.5で染色した細胞は、4℃および37℃で保管された製剤で類似のヒストグラムとなった。結果は、コンジュゲートされていないPerCPが抗MPO/PerCP-Cy5.5の安定性を増大させることを実証する。
【0107】
[実施例7]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、コンジュゲートされていないPerCP断片またはそのバリアントを使用するための手順を示す。
【0108】
PerCPの天然のバリアントおよび断片は、褐虫藻(Zooxanthellae)(シャコガイ属の種)、アンフィディニウム・カルテレ(Amphidinium carterae)(プリマス450)、カコニア・ニエイ(Cachonina niei)、ゴニオラックス・ポリエドラ(Gonyaulax polyedra)、グレノジニウム(Glenodinium)の種、アンフィジニウム・ライノセファレイウム(Amphidinium rhynocephaleium)、およびギムノディニウム・スプレンデンス(Gymnodinium splendens)を含む様々な生物の抽出物から単離することができる。例えば、多様なアミノ酸配列を有するPerCP複合体を、アンフィディニウム・カルテレなどの渦鞭毛藻で見出すことができる。PerCPバリアントはまた、参照することによって本明細書に組み込まれる、Schulteら(Eur.J.Cell Biol.2010、89、990-997)において記載されているように、インビトロでの再構成系を使用して生産することができる。一部の実施形態では、PerCPの断片は、タンパク質修飾(例えば、PerCPタンパク質のタンパク質分解性の修飾)のための化学的または酵素的方法を使用して作製することができる。一部の実施形態では、PerCPの断片またはバリアントは、PerCPタンパク質の断片またはバリアントをコードするようにPerCPのDNA配列を変化させるための標準的な遺伝子工学技術を使用することによって作製することができる。例えば、一部の実施形態では、PerCPの断片またはバリアントの発現をコードする修飾された配列は、インビトロでの合成、例えば、化学的DNA合成または酵素介在性のDNA合成を使用して作製することができる。PerCPの断片をコードする配列は、所望の断片を生成するために選択された増幅プライマーを使用することによって酵素的に作製することができる。一部の実施形態では、突然変異生成または所望の突然変異を含有するプライマーでの増幅を使用して、バリアントタンパク質を生成することができる。一部の実施形態では、PerCPの断片またはバリアントは、参照することによって本明細書に組み込まれる、Millerら(Photosynthesis Research、2005、86、229-240)によって記載されているような、大腸菌(E.coli)などの組換え発現のための非藻類宿主を使用して作製することができる。一部の実施形態では、PerCPの断片またはバリアントは、標準的な遺伝子工学技術を使用して作製することができる。結合剤の安定性に対するPerCP断片またはバリアントの影響は、本明細書において記載される方法のいずれかを使用して評価することができる。
【0109】
製剤は、結合部分およびコンジュゲートされた蛍光色素を含む1つまたは複数の標識された結合剤と、コンジュゲートされていないPerCP断片またはバリアントとを組み合わせることによって形成させることができる。例えば、抗CD19/PerCP-Cy5.5は、コンジュゲートされていないPerCP断片またはバリアントと組み合わせることができる。PerCP断片またはバリアントは任意の適切な濃度で使用することができる。例えば、製剤は、PerCP断片またはバリアントを約25μg/mLから150μg/mLの濃度で含み得る。製剤は、形成の直後に使用しても、長期間にわたり保管してもよい。例えば、製剤は、最長180日間、保管することができる。製剤は、使用の前に、任意の適切な温度で保管することができる。例えば、製剤は、使用の前に、約4℃を上回る温度(例えば、約4℃から約40℃)で保管することができる。
【0110】
コンジュゲートされていないPerCP断片またはバリアントと1つまたは複数の標識された結合剤とを含む製剤は、任意の適切な分析プロセスにおいて使用することができる。例えば、製剤は、フローサイトメトリー方法において使用することができる。このようなケースでは、1つまたは複数の細胞を含む試料を、コンジュゲートされていないPerCP断片またはバリアントと1つまたは複数の標識された結合剤とを含む製剤と接触させる。分析試料は、フローサイトメトリーを使用して分析する。例えば、細胞懸濁液を、コンジュゲートされていないPerCP断片またはバリアントと1つまたは複数の標識された結合剤とを含む製剤と接触させ、その後、細胞を染色する。溶解溶液を分析試料に添加してもよく、分析試料がインキュベートされ得る。分析試料はフローサイトメーターでランされ得、細胞の1つまたは複数のパラメータに関する情報またはデータを提供するヒストグラムが生成される。
【0111】
[実施例8]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0112】
血液を、様々な濃度のポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5、およびCD19/FITC試薬で染色した。リンパ球をまず、前方/側方散乱ドットプロット上でゲートした。B細胞を、FITC/側方散乱ドットプロット上でCD19陽性リンパ球としてゲートした。
図9は、B細胞のPerCP-Cy5.5ヒストグラムを示す。
【0113】
図9A~9Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖を含むポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、150μg/mL(
図9Aおよび9E)、75μg/mL(
図9Bおよび9F)、37.5μg/mL(
図9Cおよび9G)、ならびに18.6μg/mL(
図9Dおよび9H)の濃度で試験した。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCPとともに(
図9A~D)、および9μg/mLの遊離PerCPとともに(
図9E~9H)試験した。ポリクローナルF(ab’)2ウサギ抗ヒトラムダ軽鎖/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照(暗い方の灰色)と比較した。90μg/mLの遊離PerCPを添加した試薬(
図9E~9H)の安定性は、37℃で、遊離PerCPを添加していない試薬(
図9A~9D)よりも高い。
【0114】
[実施例9]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0115】
血液を、様々な濃度のマウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5(アイソタイプIgG1カッパ)試薬で染色した。リンパ球を、前方/側方散乱ドットプロット上でゲートした。
図10は、4℃の参照(暗い方の灰色)または37℃で3日間保管した試薬(明るい方の灰色)のいずれかの、マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5(アイソタイプIgG1カッパ)で染色した血液で得られた、リンパ球のPerCP-Cy5.5ヒストグラムを含む。試薬は、遊離PerCPを添加していないか(
図10A~10D)、または130μg/mLの遊離PerCPを含有していた(
図10E~10H)。
【0116】
図10A~10Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD22を含むマウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5(アイソタイプIgG1カッパ)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図10Aおよび10E)、50μg/mL(
図10Bおよび10F)、25μg/mL(
図10Cおよび10G)、ならびに12.5μg/mL(
図10Dおよび10H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCP無しで(
図10A~10D)、および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図10E~10H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD22/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照(暗い方の灰色)と比較した。130μg/mLの遊離PerCPを添加した試薬(
図10E~10H)の安定性は、37℃で、遊離PerCPを添加していない試薬(
図10A~10D)よりも高い。
【0117】
[実施例10]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0118】
HPB-ALL(CD1a陽性)細胞およびDaudi(CD1a陰性)細胞の混合物を、様々な濃度のマウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5で染色した。細胞を、前方散乱/側方散乱ドットプロット上でゲートし、側方散乱(H)/側方散乱(A)プロット上でシングレットとしてさらにゲートした。染色手順の前に、試薬を3日間、37℃で保管し(明るい方の灰色)、参照試薬は4℃で保管した(暗い方の灰色)。試薬は、遊離PerCPを添加していないか(
図11A~11D)、または130μg/mLの遊離PerCPを含有していた(
図11E~11H)。
【0119】
図11A~11Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD1aを含むマウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5(アイソタイプはIgG2aカッパである)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図11Aおよび11E)、50μg/mL(
図11Bおよび11F)、25μg/mL(
図11Cおよび11G)、ならびに12.5μg/mL(
図11Dおよび11H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCP無しで(
図11A~11D)および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図11E~11H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD1a/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照(暗い方の灰色)と比較した。130μg/mLの遊離PerCPを添加した試薬(
図11E~11H)の安定性は、37℃で、遊離PerCPを添加していない試薬(
図11A~11D)よりも高い。
【0120】
[実施例11]
この実施例は、本開示の実施形態に従った、様々な濃度の標識された結合剤およびコンジュゲートされていないPerCPを有する製剤の安定性を示す。
【0121】
血液を、様々な濃度のマウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5試薬で染色した。リンパ球を、前方/側方散乱ドットプロット上でゲートした。
図12は、4℃の参照(暗い方の灰色)または37℃で3日間保管した試薬(明るい方の灰色)のいずれかの、マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5で染色したリンパ球のPerCP-Cy5.5ヒストグラムを含む。試薬は、遊離PerCPを添加していないか(
図12A~12D)、または130μg/mLの遊離PerCPを含有していた(
図12E~12H)。
【0122】
図12A~12Hは、コンジュゲートされていないPerCPの非存在下および存在下での、蛍光色素PerCP-Cy5.5とコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトCD7を含むマウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5(アイソタイプはIgG2bカッパである)を含む製剤の安定性試験についてのフローサイトメトリーのデータを示すヒストグラムである。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、100μg/mL(
図12Aおよび12E)、50μg/mL(
図12Bおよび12F)、25μg/mL(
図12Cおよび12G)、ならびに12.5μg/mL(
図12Dおよび12H)の濃度で試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、遊離PerCP無しで(
図12A~12D)および130μg/mLの遊離PerCPとともに(
図12E~12H)試験した。マウスモノクローナル抗ヒトCD7/PerCP-Cy5.5コンジュゲートを、3日間、37℃でインキュベートし(明るい方の灰色)、4℃で保管された参照(暗い方の灰色)と比較した。130μg/mLの遊離PerCPを添加した試薬(
図11E~11H)の安定性は、37℃で、遊離PerCPを添加していない試薬(
図11A~11D)よりも高い。