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特許7189206中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットのスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットのスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/248 20160101AFI20221206BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/0282 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/1226 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/242 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/2432 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20221206BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M8/248
H01M8/0276
H01M8/0282
H01M8/1226
H01M8/242
H01M8/2432
H01M8/2465
H01M8/2483
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020513584
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 GB2018052582
(87)【国際公開番号】W WO2019053419
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】1714665.5
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・セルビー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ヒル
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】リー・リーズ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0227243(US,A1)
【文献】特開2015-149271(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156314(WO,A1)
【文献】特表2017-508254(JP,A)
【文献】中国特許第101411021(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/12
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層させて配置された中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットのスタックであって、
それぞれの燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を有する金属担持基板、スペーサ、およびインターコネクタを備え、
前記金属担持基板、前記スペーサ、および前記インターコネクタが、前記スタックの圧縮ボルト用の複数のボルト孔、前記電池ユニットの中へ燃料を入れるための少なくとも1つの燃料入口ポート、前記電池ユニットから燃料を出すための少なくとも1つの燃料出口ポート、および少なくとも1つの空気出口を有し、
前記スタックの前記圧縮ボルト用の前記複数のボルト孔をそれぞれ位置合わせすることによって前記スタック内にボルト空隙が形成され、前記それぞれの空気出口を位置合わせすることによってさらなる空隙が形成されるスタックにおいて、
前記圧縮ボルト用の前記ボルト空隙が、前記ボルト空隙内の空気中における、湿気、漏出又は拡散した水素、漏出したイオンの蓄積を防ぐために、前記スタックの周りの環境、あるいは前記空気出口のいずれかにそれぞれ通気されており、
前記通気が、前記金属担持基板、前記スペーサ、および前記インターコネクタの何れかの前記ボルト孔に設けられたスロットによってもたらされ、
及び/又は、
ガスケットが前記スタックの隣り合う電池ユニット間に配置される場合、前記ガスケットが、両側の、前記電池ユニットの燃料入口筒または燃料出口筒と位置合わせされた少なくとも1つの燃料ポート、及び、両側の、前記スタックの前記圧縮ボルト用の前記ボルト孔と位置合わせされた少なくとも1つの更なるボルト孔を有し、前記通気が、前記ガスケットの前記ボルト孔に設けられたスロットによってもたらされることを特徴とするスタック。
【請求項2】
前記スタックの隣り合う燃料電池ユニット間にガスケットをさらに備え、前記ガスケットが、
a)両側に配置された、前記電池ユニットの燃料出口筒または燃料入口筒のどちらかと位置合わせされた少なくとも1つの燃料ポート、及び
b)両側に配置された、前記電池ユニットの前記圧縮ボルト用のボルト孔と位置合わせされた少なくとも1つのボルト孔
を有する、請求項1に記載のスタック。
【請求項3】
前記ガスケットがマイカまたはタルク系である、請求項2に記載のスタック。
【請求項4】
前記電池ユニットのそれぞれの端部に圧縮ボルト用の少なくとも2つのボルト孔がある、請求項1から3のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項5】
前記ガスケットが、前記圧縮ボルト用のすべてのボルト孔に通気する、請求項2に従属する請求項3に記載のスタック。
【請求項6】
前記ガスケットがそれぞれ2つのボルト孔を有する、請求項4に記載のスタック。
【請求項7】
前記ガスケットのボルト孔が、その側部に、前記ガスケットの外縁に出るスロットを備えることによって、前記ガスケットが前記通気を可能にする、請求項5に従属する請求項1から6のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項8】
それぞれの電池ユニットに対して2つ以上の燃料出口ポートを有し、前記それぞれの電池ユニットに関連するガスケットも2つ以上の燃料出口ポートを有する、請求項2に従属する請求項1から7のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項9】
前記電池ユニットの少なくともいくつかが、それらのボルト孔のための通気口を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項10】
前記ボルト空隙の少なくともいくつかが、前記スタックを取り囲む環境に通気されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項11】
前記ボルト空隙の少なくともいくつかが、前記スタックの空気出口に通気されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のスタック。
【請求項12】
燃料通路用の少なくとも1つの燃料ポートおよびボルト用の2つのボルト孔を備えるガスケットであって、燃料通路用の前記燃料ポートが全周壁を有するが、前記2つのボルト孔がその周壁に、その周囲を破るスロットを有し、前記スロットが前記周壁から前記ガスケットの外壁に延在し、したがって、前記2つのボルト孔が通気されている、ガスケット。
【請求項13】
燃料通路用の前記少なくとも1つの燃料ポートが、その両側に前記2つのボルト孔を有する燃料通路用の中央燃料ポートである、請求項12に記載のガスケット。
【請求項14】
燃料通路用の前記少なくとも1つの燃料ポートが、前記ガスケットの両端の一対の燃料ポートである、請求項12に記載のガスケット。
【請求項15】
前記ガスケットの2つの端部が、前記ガスケットの前記端部よりも薄いアームによって間隔を空けて配置された、請求項14に記載のガスケット。
【請求項16】
前記2つのボルト孔が、燃料通路用の前記一対の燃料ポートの内側に配置された、請求項15に記載のガスケット。
【請求項17】
前記2つのボルト孔が、前記ガスケットのそれぞれの端部に配置された、請求項14から16のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項18】
燃料通路用の前記少なくとも1つの燃料ポートが概ね方形または矩形である、請求項12から17のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項19】
前記ボルト孔の前記スロットが、互いに平行に延在する、請求項12から18のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項20】
前記ボルト孔の前記スロットの両方が、前記2つのボルト孔の間を延在する直線に沿って延在する、請求項12から19のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項21】
前記ボルト孔が概ね円形である、請求項12から19のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項22】
前記ボルト孔の前記スロットの両方が、前記2つの概ね円形のボルト孔の中心の間を延在する直線に沿って延在する、請求項21に記載のガスケット。
【請求項23】
前記ガスケットが、前記2つのボルト孔の間を延在する線に垂直に延在する線を挟んで実質的に対称である、請求項12から22のいずれか一項に記載のガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余寿命および耐久性が改良された、中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットのスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
先進的な燃料電池スタック組立体5が、国際公開第2015/136295号から知られている。それは、本書に添付された図1に示すように、積層させて配置(スタック1)された多数の活性な固体酸化物燃料電池ユニット(SOFC:solid oxide fuel cell unit)10を有し、スタック1は、隣り合う電池ユニット10のそれぞれの対の間に取り付けられたガスケット38を有する。国際公開第2015/136295号に示され論じられたように、組立体内にダミーの電池ユニット8が存在することもある。
【0003】
組立体5はすべて、接続ナット3およびエンドプレート4間のボルト2によって一緒になるように保持または圧縮されている。
【0004】
それぞれの活性な電池ユニット10は、図2に示すように、金属(通常、鋼)担持基板12、スペーサ22、およびインターコネクタ30などの多数の層を有する。鋼基板12は、それを貫通して延在する複数の孔36をその中に含み、孔を覆って、電気化学的に活性な層14、すなわち、アノード、電極、およびそれらの間の電解質がある。これらの層に対する好ましい材料は上記PCT出願に論じられている。次いで、スペーサ22は、インターコネクタ30からこの鋼基板12を離間し、典型的には、電気化学的に活性な層14は、この燃料電池ユニット10の外側に配置される。次いで、これらの層は、鋼基板12の一方の側にインターコネクタ30、基板12の他方の側に取り付けられた電気化学的に活性な層14を有する個々の電池ユニット10を形成するように一緒に溶接される。周囲形状は異なるが、同様な電池ユニットに対する溶接線90に対しては、図12を参照のこと。溶接線90は、図2の電池ユニットに対応した経路をたどる。したがって、この構成は、溶接線90が、電池ユニットを取り囲む空気から電池ユニット内の燃料を封止する状態で、外側の電気化学的に活性な層(カソードが最も外側)を提供する(電池ユニットは、燃料が金属基板の下にある孔36を通って電池ユニット内のアノードと接触するように、内部燃料流を有している)。
【0005】
スタック1を形成するために、これらの電池ユニット10の多くが一緒に積層される。例えば、図3を参照のこと。
【0006】
インターコネクタ30は、型押しまたはスタンピングされた様々な膨らみまたは瘤または隆起42、およびそれに対応する凹みまたは溝40を含む表面レリーフ(surface relief)を有し、これは、離間した(多くの隙間はあるが)概ね平面状の2つの表面をまとめて画定し、そのうちの1つの面(図2の上側、図3の下側)は、(電気化学的に活性な層14が下を向いて)その上に電池ユニットを配置するためのものである。インターコネクタ30の他の面は、その代わりに、スペーサ22を介してそれ自体の電池ユニット10の鋼担持基板12に接触している。さらに、全部が平面状の面ではないので、特定の場所に接触するだけであり、それによって、それ自体の電池ユニット10の鋼担持基板12に形成された前述の孔36の多くを塞ぐことはなく、他の電池ユニット10の電気化学的に活性な層14の外面の同様に限定された量だけ接触する。
【0007】
膨らみ、瘤、隆起、凹み、および溝など40、42の形状はまた、例えば、第1の電池ユニット10の瘤40を第2の電池ユニット10の凹み42の下に位置合わせすることができるように、隣り合う電池ユニット間で異なって、または反対に配置され、それによって、スタック1が組み立てられ、ナット3およびボルト2によって一緒に締められたとき、第2の電池ユニット10の電気化学的に活性な層14に対する第1の電池ユニット10の第1のインターコネクタ30からのいかなる力も、第2の電池ユニット10のインターコネクタ30によって生じる、それに対応する反対方向の力によって中立化され、その他も同様である。
【0008】
膨らみまたは瘤、隆起または谷部など40、およびそれに対応する凹みまたは溝42はまた、積層されたとき、図3のように、インターコネクタ30の両側に、空気用(通常、外側)および燃料用(通常、内側)の通路を画定するような形状および配置であり、その結果、動作時に燃料電池スタックは働くことができる。
【0009】
国際公開第2015/136295号、および、好ましくは本発明では、燃料電池ユニットは中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットである。
【0010】
このように積層した効果をよりよく示すために、金属担持された燃料電池スタック1の例が図3に概略的に示されている。金属担持された燃料電池スタック1は多くの積層された燃料電池ユニット10を備え、燃料電池ユニット10のそれぞれは、図2に示すように、平坦な鋼プレート、すなわち、金属担持基板12を備え、基板12は、基板12を貫通する、穿孔された、またはレーザカットされた孔36を有して、鋼基板12に堆積された電気化学的に活性な層14の最も近い層(通常、アノード層)に基板12の他の側から入ることができる。燃料電池ユニット10のそれぞれはまた、鋼基板12の反対側の周りに、概ね、輪を形成するスペーサ22と、次の電池ユニットと接続するための、窪み、谷部、隆起、および瘤など40、42を有するインターコネクタ30とを有し、これらのすべては、電気化学的に活性な層14、ならびにすべての燃料入口筒33および燃料出口筒32の周りを全体的に一緒に溶接されて(図2および図12参照)、完全な電池ユニット10を形成する。電気化学的に活性な層14の下にある孔36は、電気化学的に活性な層14がある場所よりもさらに広くは延在しないので、溶接線90は、孔36を取り囲んで燃料チャネル31を有する内部空間を画定し、その結果、燃料は、電池ユニット10内部、すなわち、溶接線90によって境界が定められ電池ユニット内の内部空間を、窪みまたは谷部の間の燃料チャネル31を通って漏れることなく流れることができ(孔36は、上にある電気化学的に活性な層14が孔36を塞ぐことによって漏れない)、したがって、燃料は孔36を通って電気化学的に活性な層14に入る。
【0011】
この配置では、その代わり、空気は、電池ユニット10を事実上取り囲み、空気が、スタック1の電気化学的に活性な層14のカソード(カソードは、活性な各電池ユニット10の電気化学的に活性な層14の外側の層である)と接触することができるように、電池ユニット10の周り、および空気チャネル23を通って隣接する電池ユニット10間を流れて空気出口17を通って出る。
【0012】
したがって、溶接線90は、燃料と空気とが電池ユニット10内で混合することができないことを保証する構造の一部分である。
【0013】
図11および図12の電池ユニット10の形状は新規のものであるが、これらの原理はすべて、上記のPCT出願などの従来技術から知られている。
【0014】
図1および図2を参照すると、図12の溶接線90と同様の溶接線90に加えて、燃料は、燃料電池ユニットの周りおよび中を流れる空気からガスケット38によって隔てられている。ガスケット38は、その中に、燃料ポート32、33に対する孔32o、33i(入口33iまたは出口32o)、およびボルト孔34i、34oを有する。この従来の技術の例は、入口ガスケット38iおよび出口ガスケット38oの2つの形態のガスケットを有する。したがって、入口ガスケットボルト孔34iおよび出口ガスケットボルト孔34oがある。これらのボルト孔34によって、スタック組立時およびボルト2による圧縮時、スタック1内にガスケット38を保持することができる。
【0015】
入口および出口ガスケット38i、38oのボルト孔34i、34oは、スタック1が組み立てられるとき(図1参照、図11にも留意のこと)、電池ユニット10のボルト2のためのボルト空隙34と位置合わせされ、入口および出口ガスケット38i、38oの燃料ポート33i、32oは、電池ユニット10の燃料入口筒33および/または燃料出口筒32と位置合わせされる。次いで、電池ユニット10の燃料入口筒33および/または燃料出口筒32、ならびに位置合わせされたガスケットの燃料ポート33i、32oは、スペーサ22の燃料入口ポート33bおよびスペーサ22の燃料出口ポート32bにおける電池ユニット10出入口とともに、スタック1を通って/スタック1に沿って延在する実質的に連続した内部燃料マニホールドを完成させる。ボルト2に対しては、インターコネクタ、スペーサ、基板、入口ガスケット、および出口ガスケットのボルト孔34のそれぞれの位置合わせが、一般的には真っ直ぐであるボルト2がスタック1の中を押し進むことができるように、真っ直ぐな空隙になるようにすべきである。燃料マニホールドに対しては、燃料が角の周りを移動するように、経路を曲がりくねらすことができる。それにもかかわらず、図示のように、便利さのために、これも通常、真っ直ぐである。
【0016】
燃料入口筒33および燃料出口筒32は、スペーサ22の燃料入口および出口ポート33b、32bを経て電池ユニット10に出入りし、各電池ユニット10への、または各電池ユニット10からの燃料流に対する入口または出口経路を提供して確実にすべての電池ユニット10を活性化する。
【0017】
ボルト2は、それぞれの燃料電池ユニット10と接触すると、電池ユニット10が接地されてスタック1が使えなくなるので、一旦、組み立てられると接触しない。
【0018】
ボルト2は、安全のため、それ自体接地されている。
【0019】
この積層/ボルト構成の例に対する図1を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】国際公開第2015/136295号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、従来の技術の製品には、ボルト空隙と外部の空気マニホールドとの間の1つまたは複数のガスケットを通る吹き抜けを引き起こす、燃焼、または、ボルトと電池ユニットの金属との間のより爆発的な電気的短絡をもたらす燃料と空気との混合を伴うガスケットの機能不全の多くの例があることに本発明者は気付いた。したがって、本発明は、このような機能不全を防ぐことによって、燃料電池およびそのガスケットの余寿命を延ばすようにスタックの設計を改良することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、積層させて配置された多数の燃料電池ユニットを備える中温の金属担持された固体酸化物燃料電池ユニットのスタックであって、ここで、それぞれの燃料電池ユニットは、電気化学的に活性な層を有する金属担持基板、スペーサ、およびインターコネクタを備え、金属担持基板、スペーサ、およびインターコネクタは、スタックの圧縮ボルト用のボルト孔、電池ユニットの中へ燃料を入れるための少なくとも1つの燃料入口、電池ユニットから燃料を出すための少なくとも1つの燃料出口、および空気通気用の少なくとも1つの空気出口を有し、スタックの圧縮ボルト用のそれぞれのボルト孔を位置合わせすることによってスタック内にボルト空隙が形成され、空気通気用のそれぞれの空気出口を位置合わせすることによってさらなる空隙が形成され、圧縮ボルト用のボルト空隙が、ボルト空隙内の空気中における、湿気、漏出又は拡散した水素、漏出したイオンの蓄積を防ぐために、スタックの周りの環境、あるいは空気出口のいずれかにそれぞれ通気されており、通気が、金属担持基板、スペーサ、およびインターコネクタの何れかのボルト孔に設けられたスロットによってもたらされ、
及び/又は、
ガスケットがスタックの隣り合う電池ユニット間に配置される場合、ガスケットが、両側の、電池ユニットの燃料入口筒または燃料出口筒と位置合わせされた少なくとも1つの燃料ポート、及び、両側の、スタックの前記圧縮ボルト用のボルト孔と位置合わせされた少なくとも1つの更なるボルト孔を有し、通気が、前記ガスケットの前記ボルト孔に設けられたスロットによってもたらされることを特徴とするスタックが提供される。
【0023】
ガスケットは隣り合う燃料電池ユニット間に配置されることが好ましい。ガスケットは電池ユニットに一体化されていてもよいが、スタックは、スタックの隣り合う電池ユニット間に別個のガスケットをさらに有することが好ましく、この別個のガスケットは、両側の、電池ユニットの燃料入口筒または燃料出口筒と位置合わせされた少なくとも1つの燃料ポート、および両側の、スタックの圧縮ボルト用のボルト孔と位置合わせされた少なくとも1つのさらなるボルト孔を有する。中温の金属担持された燃料電池スタック用のガスケットは、マイカまたはタルク系とすることができる。
【0024】
それぞれの電池に圧縮ボルト用の3つ以上のボルト孔、理想的には、電池ユニットのそれぞれの端部に少なくとも2つあることが好ましい。スタック内に形成されたボルト空隙がすべて通気されていることが好ましい。
【0025】
ガスケットはそれぞれ2つのさらなるボルト孔、したがって、隣り合う電池ユニットのボルト孔の間を橋渡しするボルト孔を有することが好ましい。
【0026】
ガスケット、好ましくは別個のガスケットが、その側部にスロット、好ましくは、ガスケットの外縁までのスロットが切られたボルト孔を有することによって通気を可能にすることが好ましい。しかしながら、電池ユニット自体が、スロットを備えるそれら自体のボルト孔によって同様に通気を可能にしてもよいが、別個のガスケットは、それらの大きな圧縮性により、電池ユニットのそのようなスロットを少なくとも部分的に塞ごうとすることがあり、したがって、別個のガスケットにスロットを有することが好ましい。
【0027】
1つの電池ユニットに対して2つ以上の燃料出口ポートがあり、したがって、その電池ユニットに関連するガスケットは、燃料電池ユニットの端部または側部のすべての燃料出口ポートにわたって位置合わせされた2つ以上、通常適切な数の燃料出口ポートを有することができる。それは、その端部または側部のいずれかまたはすべてのボルト孔にわたって同様に位置合わせすることができる。
【0028】
別個のガスケットは典型的には、個々の電池ユニットの2つのそれぞれの端部領域に、すなわち、概ね矩形の電池ユニットの場合には、スタックの狭い側、またはその近くに配置される。
【0029】
スタックは、4本のボルトがスタックの端から端まで延在し、2本のボルトがそれぞれの狭い側、すなわち、電池ユニットの2つの端部または端部領域に配置されるように構成されることが好ましい。したがって、ガスケットはそれぞれ2つのボルト孔を有することが好ましい。あるいは、2つ以上のガスケットが、それぞれの電池ユニットのそれぞれの端部において電池ユニットのそれぞれの間に取り付けることができるが、それは組み立てを複雑にする。
【0030】
ボルト空隙を完全に通気するためにそれぞれの別個のガスケットのそれぞれのボルト孔を通気するためのスロットがあり得る、あるいは、通気する範囲を減らすために、いくつかの通気されたガスケットといくつかの通気されないガスケットがあり得る。
【0031】
これに加えて、またはこれに代えて、電池ユニット自体、またはそれらのいくつかは前述のように通気されてもよい。
【0032】
本発明者は、水素、湿気、またはイオンがボルト空隙内にいくらか漏れて、故障を起こし得るのに十分蓄積することを認識したので、ボルト空隙に対してこのように通気することを開発した。したがって、故障の様式は、ボルト空隙内の拡散した水素と、その中の空気の酸素との反応による空隙内の燃焼、中温の燃料電池組立体に対して一般に500から700℃のスタックの温度による潜在的に爆発的な、ガスケットから漏れるイオンからのイオン化、およびそれによって生じる環境による電気的短絡のうちの1つまたは複数、あるいはそれらの組合せであると概ね確認された。本発明者は、水素が、ガスケット内の非常に小さい気孔を通ってガスケットを通って拡散したと結論付けた。これに代えて、またはこれに加えて、おそらく、燃焼、または燃料電池組立体の全体的な温度により、かつ/または、ガスケットに働く圧縮力により、ガスケット材料内のイオン化可能な成分がガスケットから遊離され、次いで、これらのイオンが時間とともに、通常、100時間より短い運転時間でボルト空隙内に蓄積し、それが絶縁破壊電圧を下げ、したがってボルトまたはタイバーと電池ユニットとの間で電気的短絡を生じさせると結論付けられた。したがって、本発明者は、これを解決しようとして、ゆっくりと拡散する水素およびイオンを周囲環境または空気出口のより多い空気流に放出するように通気を行い、したがって、水素およびイオンが過剰に蓄積する危険を除き、それによって水素の燃焼もイオンによる電気的短絡も起こらず、それによって故障の危険性を除くという考えを思い付いた。したがって、簡単に言うと、当初は、いかなる種類の空気/燃料の通気も考えていなかったボルト空隙を、ここでは、流れチャネルとして使用して、すべての漏れたイオンガスをこのようなボルト空隙から出るように通気し、したがって、上記の故障の様式が起こることを防ぐ。
【0033】
ガスケットが、スタック内で、スタックの全体的に整った一様な形状を保つように、ガスケットは、電池ユニットの隣接した部分の外側の形状に一部分が概ね合う形状を有することが好ましい。電池ユニットの外側の形状部分は典型的には、電池のより薄く、またはより短い側である。
【0034】
本発明はまた、少なくとも1つの燃料ポートおよび2つのボルト孔を備えるガスケットを提供し、ボルト孔は通常、概ね円形であり、燃料ポートは任意の選ばれた形状であるが、通常は概ね矩形である。燃料ポートは一般に全周壁を有するが、2つのボルト孔はその周壁に、その周囲を破るスロットを有することができ、スロットは周壁からガスケットの外壁に延在することが好ましく、したがって、2つの概ね円形のボルト孔はスロットによって通気される。
【0035】
少なくとも1つの燃料ポートは、その両側に2つの概ね円形のボルト孔を有する中央燃料ポートであることが好ましい。中央ポートは概ね矩形である。
【0036】
少なくとも1つの燃料ポートは、その代わりに、ガスケットの両端の一対の燃料ポートとすることができる。
【0037】
ガスケットの2つの端部は、ガスケットの端部よりも薄いガスケットのアームによって間隔を空けて配置されることが好ましい。2つのボルト孔は、ガスケットのそれぞれの端部に配置されることが好ましい。2つのボルト孔は、アームの端部にある一対の燃料ポートの内側に配置されることが好ましい。
【0038】
ボルト孔のスロットは互いに平行に延在することが好ましい。
【0039】
ボルト孔のスロットの両方は、2つの概ね円形のボルト孔の中心の間を延在する線に沿って延在することが好ましい。
【0040】
ガスケットは、2つの概ね円形のボルト孔の中心間を延在する線に垂直に延在する線を挟んで実質的に対称であることが好ましい。
【0041】
次に、添付の図を参照して、本発明のこれらのまたは他の特徴を、単なる例としてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】上記のPCT出願による従来技術のスタック構成の分解図である。
図2】スタック内の電池ユニットの構成の分解図である。
図3】スタック内の燃料電池ユニットのインターコネクタの対向形態、および燃料電池ユニット間のガスケットを示す、スタックの構成の概略図である。
図4】燃料電池スタックの形態の燃料電池ユニット、燃料出口筒、ボルト空隙、およびボルトの部分概略断面図である。
図5】囲まれたタイバー容積からのH2(水素)の拡散のグラフである。
図6】上記のPCT出願の燃料電池スタック組立体からの別個の入口ガスケットの図である。
図7】電池ユニットの燃料入口端に対する、本発明の入口ガスケットの図である。
図8】電池ユニットの燃料入口端に対する、本発明の入口ガスケットの図である。
図9】本発明の出口ガスケットの図であるが、これは、電池ユニットの燃料出口端に配置するためのものである。
図10】本発明の出口ガスケットの図であるが、これは、電池ユニットの燃料出口端に配置するためのものである。
図11】電池ユニットのインターコネクタ上に配置されたガスケットの図であり、このとき、電気化学的に活性な層が図示の電池ユニットのインターコネクタ上に載っている状態で、さらなる電池ユニットがその上に載っている。
図12図11の電池ユニットの図であるが、ガスケットは取り外され、溶接線が示されている。
図13】基板、スペーサ、およびインターコネクタが、通気されたボルト孔を有する電池ユニットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
まず、図1図2、および図3を参照すると、これらは上で説明されており、したがって、この項目ではさらに論じることはしない。この一般的な構成は、本発明の利用から恩恵を受けることができる燃料電池組立体5の構成である。
【0044】
次に、図4を参照すると、ダミーの電池ユニット8のない、本発明を使用することもできる燃料電池スタック組立体5のための概略構成を見ることができる。これは、接地された上部エンドプレート4をかぶせられたスタック1の多数の電池ユニット10を示しており、上部エンドプレート4とスタック1との間には、通常マイカから作られる電気絶縁ガスケット6がある。次いで、ボルト2(図1のように、通常4本)およびナット3(これも通常4つ、ボルト2に対応)が、燃料電池ユニット10間のガスケット38、および上部の燃料電池ユニット10と電気絶縁ガスケット6との間のガスケット38とともに全体を一緒に圧縮する。この構成では、空気は、各燃料電池ユニット10の上方の空気チャネル23を通って流れ(図3および図4)、その空気出口17(図1および図2、ならびに図11および図12により明瞭に示されているように、スタック1を貫通する大きいほうの空気筒)を通って出ることができる。その代わり、燃料は、燃料入口筒33から、スペーサ22の燃料入口ポート33bを通って、スペーサと上部の窪み/谷部によって画定された燃料チャネル31、したがって、各燃料電池ユニット10の内部に流れ、スペーサ22の燃料出口ポート32bに流れ、次いで、スタックの燃料出口筒32を通って出る。
【0045】
図4で分かるように、ボルト2は、ボルト空隙34の側面に接触しないで、すなわち、電池ユニット10に接触しないでボルト空隙34を通って延在する。これは、ボルト2が燃料電池スタック1を接地することを防ぐ。隙間35が図4に示されている。それは、従来技術の通気されていないボルト空隙では、水素およびイオンが漏れがちになる領域である。
【0046】
次に、図6を参照すると、従来技術の入口ガスケット38iの例が示されている。図から分かるように、ガスケット38iは、燃料ポート33iの両側に配置された2つのボルト孔34iを有する。図1を参照すると、このガスケット38iは、図の真ん中の電池ユニットのほぼ底部に見ることができる。それは2本のボルト2が、入口ガスケットの燃料ポート33iを有する入口ガスケットのボルト孔34iを通りぬけ、様々な電池ユニットおよび他のガスケットの燃料入口ポート33i、33a、33b、33cとともに、スタックに沿って燃料入口筒33または燃料マニホールドを生成するように構成される。図1の燃料電池組立体では、これらのガスケット38、または燃料電池ユニット10には通気口がないので、上記の水素およびイオンが蓄積されることがある。
【0047】
次に、図7および図8を参照すると、異なる外形にもかかわらず、同様の入口ガスケット38iが示され、この入口ガスケット38iはそれでも2つのボルト孔34i、および真ん中に燃料ポート33iを有しているが、この場合は、入口ガスケットの2つのボルト孔34iは、各ボルト孔34iに対して1つのスロットである2つのスロット39によって周囲環境まで溝が切られている。したがって、これらの入口ガスケット38iが、それぞれの燃料電池ユニット10と積層されたとき、入口ガスケット38iのボルト孔34iおよび燃料電池ユニット10によって形成されたボルト空隙34は、ここでは、通気されて、いかなる水素の蓄積もボルト空隙34から周囲環境に拡散させることができる。このスタック1に対して、周囲環境とは、スタックを取り囲んでいる空気である。
【0048】
この入口ガスケット38iは、約45mmの長さと約21mmの幅を有する。厚さは0.5mmから0.9mmの間である。他の厚さは、より高い、またはより低いインターコネクタ30の瘤または隆起40に適応させるのに必要な場合に使用することができる。同様に、幅および長さは、電池ユニットの大きさまたは形状、ならびにボルト孔34および燃料入口ポート33の場所に応じて調節することができる。
【0049】
ボルト孔34は、M8のボルト、すなわち約8mmの直径のボルト2を受け入れるために、約8.5mmの直径を有することが好ましい。したがって、隙間35は、ボルトのそれぞれの側で約0.25mmである。したがって、隙間35を小さく保つことができる。より大きい、またはより小さい隙間を設けてもよい。さらに、より大きい、またはより小さい孔を、より大きい、またはより小さいボルト2に対して用いてもよい。
【0050】
燃料入口ポート33は、図示のように、概ね矩形であることが好ましく、約14mm×11mm、または約160mm2の断面積であることが好ましい。これは、燃料を燃料電池ユニットに送るための十分な面積を提供する。その代わりに、より小さい、またはより大きい燃料入口ポート33を設けてもよく、これは、より少ない、またはより多い燃料送達量を必要とするスタックに対して好ましい。
【0051】
スロットは、1~2mmの幅、通常は1.4~1.8mmで、スロット39は約1.6mmの幅が好ましいことがある。ボルト2の周りのこの所与の空間に対して、これは、水素およびイオンの拡散に対して適切であることが見出された。スロット39は、より速い、またはより遅い拡散速度に対して、または、より多い、またはより少ない水素およびイオンを拡散する必要がある場合には、より広く、またはより狭くすることができる。
【0052】
燃料電池ユニット10の燃料入口端に対する入口ガスケット38iの一般的に有用な大きさは、これらの寸法の2倍以下で、これらの寸法の半分以上であるが、これらは、電池ユニットの大きさに合う大きさであり、したがって、燃料電池が与えられると任意の適切な大きさのものとすることができる。
【0053】
次に、図9および図10を参照すると、スタック1の燃料出口端に対する出口ガスケット38oが代わりに示されている。この出口ガスケット38oもまた2つのボルト孔34oを有するが、この場合は、2つの燃料ポート32oの内側に配置されている。さらに、出口ガスケット38oは、2つの端部を接続するアーム43(平面図では、アーム43は端部よりも薄い)を有するより細長い形態を有し、アーム43は、使用時、ガスケットが当たって取り付けられた、一方が図11に示されている2つの燃料電池ユニット10の空気出口17の後ろで橋渡しをする。
【0054】
図11はまた、燃料電池ユニット10の他の端部の上にある出口ガスケット38oを示している。本発明の入口ガスケット38iと同様に、この出口ガスケット38oは、出口ガスケットのボルト孔34oを通気するためのスロット39を有するが、この場合は、空気出口17に通気するためのものである。
【0055】
図6から図10のガスケット38i、38oは、それらのボルト孔34i、34oを通気するためのスロット39を有するように示されているが、前述のように、その代わりに、またはそれに加えて、燃料電池ユニット10がそれらのボルト孔34a、34b、34cに対する通気口を有することは可能である。このような実施形態に対しては、図13を参照のこと。この実施形態では、金属担持基板12、スペーサ22、およびインターコネクタ30はすべて、前述の実施形態の出口ガスケット38oがスロット39を備えるのと同じ態様で、電池の燃料出口端におけるそれぞれのボルト空隙34にスロット39を備え、したがって、ボルト空隙34から大気に通気される。しかしながら、スロットをどこに設けるかに関しては置き換え可能であり、それぞれの構成部品に設ける必要も、1組の構成部品だけに設ける必要もないが、所与のスタックの構成部品を任意に選んで、どちらかの端部、または両方の端部(燃料入口端および/または燃料出口端)に設けることができることを理解されたい。例えば、一実施形態では、スペーサ22は、ボルト空隙34を通気するためのスロット39を備えるが、インターコネクタのボルト孔34aおよび基板のボルト孔34cは全周壁を備える、すなわちスロットがない。
【0056】
第1の実施形態に戻って、この実施形態の出口ガスケット38oは、約110mmの長さ、および約27mmの幅を有する。厚さは0.5mmから0.9mmの間である。他の厚さは、例えば、より高い、またはより低いインターコネクタ30の瘤または隆起40に適応させるのに必要な場合に使用することができる。同様に、幅および長さは、例えば、出口ガスケットのボルト孔34oおよび出口ガスケットの燃料ポート32oの場所に応じて調節することができる。
【0057】
出口ガスケットのボルト孔34oは、M8のボルト、すなわち約8mmの直径のボルト2を受け入れるために、約8.5mmの直径を有することが好ましい。したがって、ボルト孔とボルトとの間の隙間35は、この場合も(ボルトの両側で)約0.25mmである。より大きい、またはより小さい隙間35、あるいは、より大きい、またはより小さい出口ガスケットの孔34oを、例えば、より大きい、またはより小さいボルト2に対して用いてもよい。
【0058】
出口ガスケットの燃料ポート32oはそれぞれ、約10mm×8mm、または約80mm2の断面積であることが好ましい。これらは、2つあるので、入口ガスケットの単一の燃料ポート32iの大きさの半分にすることができる。これは、燃料を燃料電池ユニット10から送るための十分な面積を提供する。出口ガスケットのより小さい、またはより大きい燃料ポート32oは、例えば、より少ない、またはより多い燃料送達量に対して好ましいことがある。
【0059】
スロット39は約1.6mmの幅である。ボルト2の周りのこの所与の空間に対して、これは、水素およびイオンの拡散に対しては適切であることが見出された。スロット39は、より速い、またはより遅い拡散速度に対して、または、より多い、またはより少ない水素およびイオンを拡散する必要がある場合には、より広く、またはより狭くすることができる。
【0060】
燃料電池ユニット10の燃料出口端に対する出口ガスケット38oの一般的に有用な大きさは、これらの寸法の2倍以下で、これらの寸法の半分以上であるが、これらは、入口端のガスケットと同様、電池ユニットの大きさに合う大きさである。
【0061】
最後に、図5を参照すると、スロット39がガスケット38に設けられたときの、それぞれのボルト空隙34容積からの水素の拡散速度がおおよそ示されている。図から分かるように、ボルト空隙34容積に入って0.5秒以内で、実質的にすべての水素はすでにボルト空隙34容積から拡散されている。結果として、スロットまたは通気は、水素が蓄積する危険性を最小限にし、したがって、ボルト空隙34内の環境はもはや、燃焼、またはボルト2と燃料電池ユニット10との間での(すなわち、それらの間の隙間35を横切る)アーク発生(短絡)を受けないことは明らかである。
【0062】
理想的には、隙間35は、スタックの組立時に、スタック1の長さにわたって0.1mm以上の距離に保たれる。
【0063】
本書では、本発明を単なる例によって開示した。本書に添付の特許請求の範囲内で、本発明に対して詳細な修正を行うことができる。
【0064】
参照符号は、理解しやすいようにするためだけに本説明に組み込まれ、特許請求の範囲を限定するものではない。本発明は、上記の実施形態だけに限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態も容易に明らかとなろう。
【符号の説明】
【0065】
1 スタック
2 ボルト
3 ナット
4 エンドプレート
5 燃料電池スタック組立体
6 絶縁ガスケット
8 ダミーの電池ユニット
10 電池ユニット
12 金属担持基板
14 電気化学的に活性な層
15 チャネル
16 チャネル
17 空気出口
17a インターコネクタの空気出口
17b スペーサの空気出口
17c 基板の空気出口
22 スペーサ
23 空気チャネル
30 インターコネクタ
31 燃料チャネル
32 燃料出口筒
32a インターコネクタの燃料出口ポート
32b スペーサの燃料出口ポート
32c 基板の燃料出口ポート
32o 出口ガスケットの燃料ポート
33 燃料入口筒
33a インターコネクタの燃料入口ポート
33b スペーサの燃料入口ポート
33c 基板の燃料入口ポート
33i 入口ガスケットの燃料ポート
34 ボルト空隙
34a インターコネクタのボルト孔
34b スペーサのボルト孔
34c 基板のボルト孔
34i 入口ガスケットのボルト孔
34o 出口ガスケットのボルト孔
35 隙間
36 孔(基板)
38 ガスケット
38i 入口ガスケット
38o 出口ガスケット
39 スロット
40 膨らみまたは瘤、隆起または谷部
42 凹みまたは溝
43 アーム
90 溶接線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13