IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 リビオムの特許一覧

特許7189218プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途
<>
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図1
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図2
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図3
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図4
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図5
  • 特許-プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20221206BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20221206BHJP
   C12N 15/74 20060101ALI20221206BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20221206BHJP
   C12R 1/225 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/20 A
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/74 110Z
C12P21/02 C
C12R1:225
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020535620
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2018013520
(87)【国際公開番号】W WO2019132231
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0184819
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13421BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13422BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13423BP
(73)【特許権者】
【識別番号】521415859
【氏名又は名称】株式会社 リビオム
【氏名又は名称原語表記】LIVEOME Inc.
【住所又は居所原語表記】7F,114,Central town-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ジユン
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ジエ
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ソンキ
(72)【発明者】
【氏名】ノ, ヒョンジン
【審査官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-515445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/63
C07K 19/00
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/20
C12N 1/21
C12N 5/10
C12N 15/62
C12N 15/74
C12P 21/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のヌクレオチド配列を有するプロモーターを含む組み換えポリヌクレオチド。
【請求項2】
クローニングベクターまたは発現ベクターである、請求項1に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記プロモーターに作動可能に連結された第1ポリヌクレオチドをさらに含み、前記第1ポリヌクレオチドは、タンパク質をコーディングするものである、請求項1に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項4】
シグナルポリペプチドをコーディングする第2ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項5】
シグナルポリペプチドをコーディングする前記第2ポリヌクレオチドは、前記プロモーターと第1ポリヌクレオチドとの間に作動可能に連結される、請求項4に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項6】
シグナルポリペプチドをコーディングする前記第2ポリヌクレオチドは、前記プロモーターに作動可能に連結されており、第1ポリヌクレオチドは、前記第2ポリヌクレオチドにインフレームに融合される、請求項4に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項7】
シグナルポリペプチドをコーディングする前記第2ポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド配列を有する、請求項4ないし6のうちいずれか1項に記載の組み換えポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項9】
培地において、請求項8に記載の宿主細胞を培養することと、
前記細胞または前記培地からタンパク質を回収することとを含む、タンパク質を生産する方法。
【請求項10】
ラクトバチルス・パラカセイ LMT1-21(KCTC 13422BP)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月29日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0184819号の優先権を主張し、該開示は、参照により全体として本明細書に導入される。
【0002】
本発明は、プロモーターポリヌクレオチド、シグナルポリペプチド、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
バクテリア、酵母及びかびのような微生物は、組み換え発現のための宿主としてますます重要になっている。
ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)またはストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)のようなバクテリアは、伝達ビークルとして有用である。さらに、一般的に安全であると見られるGRAS(generally recognized as safe)微生物は、ヒトまたは動物にも投与される。
【0004】
乳酸菌において、外来産物発現を高レベルで達成するためには、乳酸菌から単離され、外来産物、特に、タンパク質を高レベルに発現して分泌することができる新たなプロモーター及びシグナルポリペプチドへの要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一様相は、単離されたプロモーターを提供する。
他の様相は、前記プロモーターを含む組み換えポリヌクレオチドを提供する。
他の様相は、前記組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。
他の様相は、前記宿主細胞を使用して産物を生産する方法を提供する。
他の様相は、単離されたシグナルポリペプチド、及びそれをコーディングするポリヌクレオチドを提供する。
他の様相は、単離されたシグナルポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えポリヌクレオチドを提供する。
他の様相は、単離されたシグナルポリペプチドをコーディングする組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。
他の様相は、単離されたシグナルポリペプチドをコーディングする組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を使用し、タンパク質を生産する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一様相は、配列番号1(以下、「PR4プロモーター」とも言う)のヌクレオチド配列と85%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離されたプロモーターを提供する。
【0007】
他の様相は、前記プロモーターを含む組み換えポリヌクレオチドを提供する。本明細書において、「プロモーター(promoter)」とは、RNAポリメラーゼが結合し、転写を開始する核酸分子、特に、DNA分子上の領域をいう。プロモーターは、一般的に、プロモーターによって調節される転写される配列の上流、すなわち、5’に位置する。前記プロモーターは、構成的プロモーター(constitutive promoter)でもある。前記プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド配列と、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上または100%の配列同一性を有するものでもある。前記プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド配列を有するものでもある。
【0008】
前記組み換えポリヌクレオチドは、ベクターでもある。本明細書において、「ベクター(vector)」とは、そこに連結された他の核酸を増殖させる(propagate)ことができる核酸分子をいう。前記ベクターは、導入される宿主細胞のゲノムに挿入されるベクターだけではなく、自己複製核酸構造(self-replicating nucleic acid structure)としてのベクターを含む。発現ベクター(expression vector)は、作動自在に連結された核酸の発現を指示することができるベクターを示す。前記ベクターには、プラスミドまたはウイルス由来のベクターでもある。
【0009】
前記ベクターは、クローニングベクターまたは発現ベクターでもある。前記発現ベクターは、前記プロモーターに作動自在に連結されたタンパク質をコーディングするヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0010】
前記発現ベクターは、前記プロモーター、及び産物をコーディングするヌクレオチド配列を含む第1ポリヌクレオチドを含むものでもあり、前記第1ポリヌクレオチドは前記プロモーターと作動自在に連結されている。前記産物は、第1ポリヌクレオチドの発現によって生成されうるものであるならば、いずれも含まれる。前記産物は、ポリペプチドまたは核酸でもある。前記ポリペプチドは、IL-10のようなサイトカイン、またはアミラーゼのような酵素でもある。前記核酸は、DNAまたはRNAでもある。
【0011】
本明細書において、用語「作動自在に連結された(operably linked)」とは、転写または翻訳がなされ、機能的な転写産物または翻訳産物を生産させる連結をいう。
【0012】
前記ベクターは、リボソーム結合部位(RBS:ribosomal binding site)、クローニング部位(cloning site)、選抜標識遺伝子(selection marker gene)、転写ターミネーター及び翻訳開始因子からなる群から選択された1以上をさらに含んでもよい。前記クローニング部位は、前記プロモーターと作動自在に連結されたものでもある。前記クローニング部位は、多重クローニング部位でもある。
【0013】
前記組み換えポリヌクレオチドは、配列番号2のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルポリペプチドをコーディングする第2ポリヌクレオチド(以下、「SP4シグナルポリペプチド」とも言う)が、前記プロモーターと第1ポリヌクレオチドとの間に作動自在に連結されているものでもある。その場合、前記第1ポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコーディングするものでもある。
【0014】
本明細書において、「シグナルポリペプチド(signal polypeptide)」とは、分泌タンパク質前駆体のN-末端側に存在するが、自然に存在する成熟したタンパク質にはない配列をいう。前記シグナルポリペプチドは、タンパク質前駆体から切られてもよい。一般的に、シグナルポリペプチドは、細胞外に分泌されるとき、プロテアーゼによって切断される。前記プロテアーゼは、一般的に、シグナルペブチダーゼ(signal peptidase)とも言う。前記シグナルポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上または100%の同一性を有するものでもある。前記シグナルポリペプチドは、それをコーディングするヌクレオチド配列とインフレームで融合された遺伝子の発現産物を細胞外に分泌させる活性を有する。
【0015】
本明細書において、タンパク質またはポリペプチド分子の「分泌(secretion)」とは、タンパク質またはポリペプチド分子のバクテリア細胞の外部(outside)への輸送、タンパク質またはポリペプチド分子が培地中に完全に遊離された形態で存在すること、タンパク質またはポリペプチド分子の一部分だけが、バクテリア細胞外に存在すること、及びタンパク質またはポリペプチド分子がバクテリア細胞の表面層上に存在することを含む。
【0016】
前記シグナルポリペプチドは、ラクトバチルス・パラカセイ(L.paracasei)由来のものでもあり、分泌促進能を有するものでもある。第2ポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド配列を有するものでもある。
他の様相は、前記組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。前記宿主細胞は、バクテリア細胞でもある。前記バクテリア細胞は、グラム陽性バクテリアでもある。前記バクテリア細胞は、乳酸菌またはエスケリキア属に属するものでもある。前記乳酸菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ビフィドバクテリア(bifidobacteria)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ワイセラ(Weissella)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属またはエンテロコッカス(Enterococcus)属の中に属するものでもある。
【0017】
前記組み換えポリヌクレオチドは、前記宿主細胞に、通常の核酸導入方法によって導入したものでもある。該核酸導入方法は、電気穿孔、形質転換、形質導入または形質感染を含む。
【0018】
他の様相は、前記宿主細胞を培地中で培養して産物を生成する段階と、前記産物またはその代謝産物を培養物から単離する段階と、を含む産物またはその代謝産物を生産する方法を提供する。前記産物は、第1ポリヌクレオチドの発現によっても生成されるものであるならば、いずれも含まれる。前記産物は、ポリペプチドまたは核酸でもある。前記ポリペプチドは、IL-10のようなサイトカイン、またはアミラーゼのような酵素でもある。前記核酸は、DNAまたはRNAでもある。前記代謝産物は、前記産物が細胞内でその活性を発揮して作られる物質でもある。例えば、前記産物が酵素である場合、前記代謝産物は、その酵素活性を発揮して生成される直接産物、またはその酵素が属している代謝経路から作られる物質でもある。
【0019】
前記方法において、前記培養する段階は、選択される宿主細胞により、当該分野に公知された一般的な方法によっても遂行される。前記培養に使用される培地は、糖源として、例えば、グルコース、サッカロース、ラクトース、フラクトース、マルトース、澱粉、のような炭水化物;大豆油、ひまわり油、ひまし油、ヤシ油のようなオイル及び脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸のような脂肪酸;グリセロール、酢酸のような有機酸を、個別的にまたは混合物として含んでもよい。前記培地は、窒素源として、例えば、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、大豆粕及び尿素、または無機化合物、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムまたは硝酸アンモニウムを、個別的にまたは混合物として含んでもよい。前記培地は、リン源であり、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、または相応するナトリウム含有塩を含んでもよい。前記培地は、例えば、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含んでもよい。また、前記培養において、アミノ酸及びビタミンのような必須成長物質、または適切な前駆体が培養物にも添加される。前記物質は、培養過程において、培養物に適切な方式、例えば、回分式または連続式によっても添加される。
【0020】
前記培養は、好気条件、微好気条件、嫌気条件、あるいはそれらの組み合わせにおいて遂行するものでもある。
【0021】
前記方法は、前記産物を培養物から単離する段階をさらに含んでもよい。前記単離は、選択される産物の種類により、適切な方法が選択され,行うことができる。前記産物がタンパク質である場合、前記単離は、培養液を遠心単離して細胞を除去し、上澄み液からタンパク質を単離するか、あるいは細胞を回収して破砕し、タンパク質を単離することを含んでもよい。前記単離は、塩析、沈澱、クロマトグラフィ、遠心分離及び濾過のうち1以上の過程を経ることができる。前記クロマトグラフィは、陰イオン交換、陽イオン交換、サイズ排除及び親和性クロマトグラフィのうち1以上でもある。
【0022】
他の様相は、配列番号2のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたシグナルポリペプチドを提供する。前記シグナルポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上または100%の配列同一性を有するものでもある。
【0023】
他の様相は、前記シグナルポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを提供する。前記シグナルポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチドを有するものでもある。
【0024】
他の様相は、前記シグナルポリペプチドをコーディングする第2ポリヌクレオチド、及び タンパク質をコーディングする第1ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供するが、前記第2ポリヌクレオチドは前記プロモーターと作動自在に連結されており、前記第1ポリヌクレオチドは 前記第2ポリヌクレオチドとインフレームで融合されている。
【0025】
他の様相は、前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。前記宿主細胞は、バクテリア細胞でもある。前記バクテリア細胞は、グラム陽性バクテリアでもある。前記バクテリア細胞は、乳酸菌またはエスケリキア属に属するものでもある。前記乳酸菌は、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ビフィドバクテリア属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属、ワイセラ属、ペディオコッカス属またはエンテロコッカス属に属するものでもある。
【0026】
前記組み換えポリヌクレオチドは、前記宿主細胞に通常の核酸導入方法によって導入することができる。核酸導入方法は、電気穿孔、形質転換、形質導入または形質感染を含む。
【0027】
他の様相は、前記宿主細胞に培地中で培養してタンパク質を生成する段階と、前記タンパク質を培養物から単離する段階と、を含むタンパク質を生産する方法を提供する。
【0028】
前記方法において、前記培養する段階は、選択される宿主細胞ににより、当該分野に公知された一般的な方法によっても遂行される。前記培養に使用される培地は、糖源として、例えば、グルコース、サッカロース、ラクトース、フラクトース、マルトース、澱粉のような炭水化物;大豆油、ひまわり油、ひまし油、ヤシ油のようなオイル及び脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸のような脂肪酸;グリセロール、酢酸のような有機酸を、個別的にまたは混合物として含んでもよい。前記培地は、窒素源として、例えば、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、大豆粕及び尿素、または無機化合物、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムまたは硝酸アンモニウムを、個別的にまたは混合物として含んでもよい。前記培地は、リン源であり、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、または相応するナトリウム含有塩を含んでもよい。前記培地は、例えば、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含んでもよい。また、前記培養において、アミノ酸及びビタミンのような必須成長物質、または適切な前駆体が培養物にも添加される。前記物質は、培養過程において、培養物に適切な方式、例えば、回分式または連続式によっても添加される。
【0029】
前記培養は、好気条件、微好気条件、嫌気条件、あるいはそれらの組み合わせにおいて遂行するものでもある。
【0030】
前記方法は、前記タンパク質を培養物から単離する段階をさらに含んでもよい。前記単離は、培養液を遠心分離して細胞を除去し、上澄み液からタンパク質を単離するか、あるいは細胞を回収して破砕し、タンパク質を単離することを含んでもよい。前記単離は、塩析、沈澱、クロマトグラフィ、遠心分離及び濾過のうち1以上の過程を経ることができる。前記クロマトグラフィは、陰イオン交換、陽イオン交換、サイズ排除及び親和性クロマトグラフィのうち1以上でもある。
【発明の効果】
【0031】
一様相による単離されたプロモーター、及びそれを含む組み換えポリヌクレオチドは、外来遺伝子の効率的発現に使用することができる。
【0032】
他の様相による前記組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、外来遺伝子を効率的に発現させることができる。
【0033】
他の様相による前記宿主細胞を使用して産物を生産する方法は、産物を効率的に生産に使用することができる。
【0034】
他の様相による単離されたシグナルポリペプチド、それをコーディングするポリヌクレオチド、及びそのポリヌクレオチドを含む組み換えポリヌクレオチドは、外来タンパク質を細胞外に分泌させるのにも使用される。
他の様相による単離されたシグナルポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、外来遺伝子の産物を細胞外に効率的に分泌させることができる。
【0035】
他の様相による前記宿主細胞を使用し、タンパク質を生産する方法によれば、タンパク質を効率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】大腸菌と乳酸菌とのシャトルベクターpMT48の構造を示した図である。
図2】pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターの構造を示した図である。
図3】pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターを3個種の乳酸菌に形質転換させ、細胞外に発現された程度を確認した結果を示す図である。
図4】pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターをLMT1-21菌株に形質転換させ、細胞外に発現された程度を確認した結果を示す図である。
図5】プロモーター強度比較のために、pMT54-P11-IL10-SP4ベクター及びpMT54-PR4-IL10-SP4ベクターで、IL-10のmRNAレベルを測定したグラフである。
図6】シグナルペプチド強度比較のために、pMT54-PR4-IL10-SP4及びpMT54-PR4-IL10-USP45に形質転換されたLMT1-21から分泌されるIL-10を測量したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0037】
以下、本発明について、実施例を介して、さらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例によって限定されるものではない。
実施例1:プロモーター及びシグナルポリペプチドのクローニング、及びその効果の確認
1.プロモーター及びシグナルポリペプチドのクローニング
プロモーターと、シグナルポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、PCRによって増幅した。具体的に、Lactobacillus paracasei LMT1-21(受託番号KCTC 13422BP)のゲノムをテンプレートにし、プライマーを使用したPCRにおいて、593kbサイズの増幅産物を得た。使用したプライマーは、PS4_F/R(配列番号4及び5)である。
【0038】
前記増幅産物をEcoRVとSalIとに切断したpMT54ベクターと、Infusion cloning(Clontech)を介して連結した。その後、前記ベクターを、大腸菌Top10菌株(Invitrogen社)に、Sambrookら方法(Sambrook et al. Molecular cloning: A laboratory Manual, 2nd edition, 1989)で形質転換させた。その後、形質転換された大腸菌を、10μg/mlクロラムフェニコールが添加されたLBプレートに塗抹し、コロニーを得た。得られたコロニーからpMT54ベクターを回収し、配列を分析した。その結果、PR4(配列番号1)-SP4をコーディングするヌクレオチド配列(配列番号3)を含むことを確認した。以下、該ベクターをMT54-PR4-SP4ベクターとする。
【0039】
前記pMT54ベクターは、pMT48ベクターのHindIII酵素及びXhoI酵素の部位に、多重クローニング部位(配列番号6)が導入されたベクターである。前記多重クローニング部位は、複数の制限酵素認知部位であるだけではなく、目的タンパク質の発現を確認するためのヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA:human influenza hemagglutinin)がタグされている。pMT48ベクターは、pUC19(New England Biolabs)のEcoRI部位に、プラスミドpLMT1-74の複製原点配列であるRep遺伝子(配列番号7)が導入されたものである。pMT48ベクターは、次のように作製された。
【0040】
まず、キムチから単離されたLMT1-74菌株(Leuconostoc mesenteroides KCTC 13164BP)から、Plasmid midi kit(Qiagen, Inc., Valencia, CA)を利用し、暫定的プラスミドpLMT1-74を単離した。プラスミドpLMT1-74をテンプレートにし、配列番号8及び9のオリゴヌクレオチドをプライマーにしたPCRにより、プラスミドpLMT1-74の複製原点配列であるRep遺伝子(配列番号7)を増幅した。増幅された産物をEcoRIで切断し、同一酵素で切断したpUC19と連結し、pMT48ベクターを得た。また、配列番号7のポリヌクレオチドは、化学的にも合成される。ベクターpUC19は、配列番号10のヌクレオチド配列を有する。
【0041】
図1は、大腸菌と乳酸菌とのシャトルベクターpMT48の構成を示した図面である。前記ベクターにおいて、Repは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するものであり、広範囲乳酸菌宿主ベクターであるpLMT1-74の複製原点であるRep origin配列の一部分配列であり、乳酸菌に複製能を付与する。E.coli oriは、大腸菌のDNA複製原点であり、pUC19 ori、すなわち、配列番号11のヌクレオチド配列を有する。CMは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコーディングする遺伝子であり、クロラムフェニコール抵抗性遺伝子である。
【0042】
2.目的タンパク質IL-10クローニング
(1)実験群ベクター作製:pMT54-PR4-IL10-SP4ベクター
IL-10遺伝子(配列番号12)は、外部に依頼して合成した(Macrogen Inc.、韓国)。合成された前記遺伝子断片と、前記pMT54-PR4-SP4ベクターとに、制限酵素SalI及びXhoIを処理し、前記ベクターのクローニング部位を切断した。切断された産物を、Gel purification kit(Bioneer社)を使用して精製した後、アルカリホスファターゼを使用し、脱リン酸化させた。そのように準備した前記ベクターDNA 1μl、前記遺伝子(IL-10)3μl、T4DNAリガーゼ(Takara社)0.5μl及び緩衝溶液1μlの混合物に、蒸溜水5.5μlを添加し、総10μl反応混合物を作った。前記反応混合物を、16℃で12時間インキュベーションし、前記遺伝子を、前記ベクターのクローニング部位に連結した。得られた連結産物を、前述のところと同一方法で、大腸菌Top10菌株に形質転換させ、その配列を確認した。その結果、前記遺伝子が導入されたことを確認し、それらを、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターと命名した。図2は、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターの構造を示した図面である。図2において、promoter、signal peptide及びtarget geneは、PR4、SP4及びIL-10をそれぞれ示す。前記ベクターは、大腸菌と乳酸菌とのシャトルベクターであり、大腸菌複製原点(origin)、乳酸菌複製原点(rep gene)及びクロラムフェニコール耐性遺伝子を含む。多重クローニング部位に、プロモーター、シグナルペプチド、標的遺伝子、HAタグ及びHisタグが連結されている。
【0043】
(2)対照群1ベクターの作製:pMT54-PR4-IL10-USP45ベクター
シグナルポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチドSP4を、USP45ポリヌクレオチドに置き換えたことを除き、実験群ベクターと同様の方式でベクターを作製した。それは、同一プロモーターにおいて、他のシグナルポリペプチドがIL-10タンパク質の細胞外分泌に及ぼず影響を確認するためのものである。
【0044】
具体的には、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターをテンプレートにし、配列番号13及び14のオリゴヌクレオチドをプライマーにしたPCRを介して、前記ベクターにおいて、SP4が除外された部分を増幅した。USP45をコーディングするポリヌクレオチド(配列番号15)は、合成した(Macrogen Inc.、韓国)。前記増幅産物と、USP45をコーディングするポリヌクレオチドとをInfusion cloning方法で連結し、大腸菌に導入し、pMT54-PR4-IL10-USP45ベクターをクローニングした。USP45は、ラクトコッカスラクチス(Lactococcus lactis)由来のシグナルポリペプチドであり、相同性プロテナーゼ(PrtP:homologous proteinase)、及びバシラス・ステアロサーモファイラス(Bacillus stearothermophilus)由来のアルファ-アミラーゼのようなタンパク質産物を分泌させる役割を行うと知られている(van Asseldonk M1, et al. Mol Gen Genet. 1993 Sep; 240 (3): 428-34)。
【0045】
(3)対照群2ベクターの作製:pMT54-P11-IL10-SP4ベクター
プロモーターPR4をP11プロモーターに置き換えたことを除き、実験群ベクターと同様の方式でベクターを作製した。それは、シグナルポリペプチドにおいて、他のプロモーターがIL-10タンパク質の発現に及ぼす影響を確認するためのものである。P11は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)において、強力な転写開始活性を有する合成プロモーターである(Lars Axelsson, Microbiology (2006), 152, 1011-019)。
【0046】
具体的には、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターをテンプレートにし、配列番号16及び17のオリゴヌクレオチドをプライマーにしたPCRを介して、前記ベクターにおいて、PR4が除かれた部分を増幅した。P11プロモーター(配列番号18)は、合成した(Macrogen Inc.、韓国)。前記増幅産物とP11プロモーターとをInfusion cloning方法で連結し、大腸菌に導入し、pMT54-P11-IL10-SP4ベクターをクローニングした。
【0047】
3.形質転換及びIL-10タンパク質発現
(1)pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターのIL-10タンパク質発現の確認
pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターと、pMT54-P11-IL10-SP4ベクターとをそれぞれ3種乳酸菌に形質転換させた。3種乳酸菌は、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)KCTC 13422BP、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)KCTC 13421BP及びラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)KCTC 13423BPとして、いずれもキムチから単離したものである。それら菌株は、それぞれLMT1-21、LMT1-9及びLMT1-46とも言う。
【0048】
前記各菌株を、50mLのMRS培地(Difco Co.,米国)内において、OD600が0.5になるまで培養した後、4℃、7,000rpmで10分間遠心分離し、細胞ペレットを25mL冷EPS(ice-cold EPS)(EPS:1mM KHPO、1mM KHPO、pH7.4、1m MgCl及び0.5Mスクロースを含有)で2回洗浄した。
【0049】
洗浄後、1mL冷EPSに細胞を再懸濁し、電気穿孔法に使用されるコンピテント細胞を製造し、-80℃低温冷凍庫(deep freezer)に保管した。コンピテント細胞40μlと各ベクターDNA(1μg/μl)1μlとをキュベットに入れ、5分間氷に放置した。25μF、8kV/cm、400ohmsの条件で電気パルスを与えた後、直ちに1mL MRS液体培地に添加し、37℃で1時間培養した。その後、培養された細胞を、10μg/mlクロラムフェニコールが含まれたMRS培地に塗抹し、48時間37℃で培養した。
【0050】
図3は、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターを、3個種の乳酸菌に形質転換させ、細胞外に発現された程度を確認した結果を示す。図3において、対照群は、ベクターであり、pMT54-PR4-IL10-SP4の代わりに、pMT54-P11-IL10-USP45を使用したものである。
【0051】
図3に示されているように、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターは、3個乳酸菌において、IL-10タンパク質を細胞外に発現させたが、対照群は、発現されていない。これにより、PR4プロモーターが作動し、遺伝子を発現させ、SP4シグナルペプチドが発現されたタンパク質を細胞外部に分泌したということを示す。
【0052】
(2)mRNAレベルの発現:プロモーターの強度確認
pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターと、pMT54-P11-IL10-SP4ベクターとを、(1)と同様の方法により、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)KCTC 13422BP(LMT1-21)乳酸菌に形質転換した。
【0053】
そのように得られた前記ベクターが導入された菌株を、MRS液体培地で、37℃、16時間、静置培養した。培養物1mlを、7,000rpmで5分間遠心分離した後、上澄み液を捨てて細胞ペレットを取った。それを、RNA prep kit(Macherey-nagel、cat.no 740955.50)を利用し、製造社のプロトコル通り、mRNAを抽出した。mRNA 100ngをテンプレートとして使用し、cDNAを合成した。cDNA合成は、Bioneer社のRoketscript cycle RT premixを利用した。合成されたcDNAをテンプレートにし、配列番号20と配列番号21とのオリゴヌクレオチドをプライマーにし、リアルタイム(RT:real time)-PCRを行った。RT-PCRは、SYBR premix(takara、RR820B)を利用し、製造社のプロトコルによって実験を行った。
【0054】
図5は、形質転換された細胞由来cDNAをテンプレートにしたRT-PCRを示した図面である。図5に示されているように、pMT54-P11-IL10-SP4ベクター、すなわち、対照群ベクターが形質転換されたL.Paracasei KCTC 13422BP菌株に比べ、pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターが形質転換された菌株において、IL-10mRNAレベルが顕著に高かった。これにより、PR4プロモーターがP11プロモーターに比べ、強力に転写を駆動するということを示す。図5のY軸の「2△△CT」は、相対的転写レベルを分析した結果であり、対照群対比で上昇した転写レベルを示す。
【0055】
(3)タンパク質レベルの発現:シグナルペプチドの強度確認
前記pMT54-PR4-IL10-SP4ベクター及びpMT54-PR4-IL10-USP45ベクターを、(1)と同様の方法により、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)KCTC 13422BP(LMT1-21)乳酸菌に形質転換した。
【0056】
そのように得られた各ベクターが導入された菌株を、MRS液体培地で37℃、16時間静置培養した。培養物を、MRS液体培地に、3(v/v)%になるように接種した後、8時間、同一温度で静置培養した。培養物1mlを、7,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を取った。上澄み液1mlに、卜リクロロ酢酸100μlを添加し、4℃で1時間静置し、培陽成分を濃縮した。反応物を、4℃、13,000rpmで10分間遠心分離した後、ペレットを1ml冷アセトンで1回洗浄し、常温で10分間乾燥させた後、Tris-HClバッファ(pH8.8)100μlで溶出した。
【0057】
溶出液に、4xローディングバッファ(Thermo)及び10x還元剤(Thermo)を添加した後、SDS-PAGEゲルで電気泳動した。前記ゲルを、Trans blot semi-dry cell(bio-rad)を利用し、ニトロセルローズ膜に伝達し、ウェスタンブロッティングを行った。具体的には、前記膜を、1%脱脂乳(skim milk)含有TBSTバッファで1時間遮断させ、抗HA抗体(santa cruz)を常温で2時間反応させた後、TBSTで5分ずつ3回洗浄した後、ECLで検出した。pMT54-PR4-IL10-SP4ベクターで、IL-10遺伝子は、その3’末端側に、HA遺伝子と作動自在に連結されており、HAタグされた状態に発現される。
【0058】
図6は、シグナルペプチド強度比較のために、pMT54-PR4-IL10-SP4及びpMT54-PR4-IL10-USP45に形質転換されたLMT1-21から分泌されるIL-10の量を確認したものである。図6に示されているように、USP45シグナルペプチドに比べ、SP4シグナルペプチドが発現されたタンパク質をさらに多く分泌させた。
【0059】
実施例2:PR4プロモーター及びSP4配列を利用したアミラーゼ遺伝子の発現
実施例1の(2)及び(3)において、IL-10遺伝子の代わりに、アルファ-アミラーゼ遺伝子(配列番号19)及びプライマーF/R(配列番号22及び23)を使用したことを除き、同様の過程を経て、pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターを製造し、それを、乳酸菌L.Paracasei LMT1-21に形質転換させ、アルファ-アミラーゼが細胞外に発現される程度を確認した。アルファ-アミラーゼ遺伝子増幅は、 ラクトバチルス・アミロボルス(Lactobacillus amylovorus)(KCTC 3597)のゲノムDNAを使用した。
【0060】
形質転換LMT1-21菌株のアミラーゼ活性度は、ヨード試験を使用した。まず、pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターが導入されたLMT1-21菌株を、MRS液体培地で、37℃で12時間、静置培養した。その後、培養物を0.5%可溶性片栗粉と、10mg/lのクロラムフェニコールとが含有されたMRSプレートに小点サイズに塗布した。それを37℃で12時間静置培養し、アミラーゼが十分に片栗粉を分解するようにした。その後、前記MRSプレート上に、ルゴールヨード溶液(ヨード・ヨード化カリウム溶液)を等しく塗布し、分解されていない片栗粉と反応がなされるようにした。アミラーゼ活性が低いほど、残存片栗粉量が多く、ヨード・片栗粉反応が強く起こって紫色に変わる一方、アミラーゼ活性が高い場合、細胞周辺の残存片栗粉量が少なく、透明な環が生ずることになる。
【0061】
図4は、pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターをLMT1-21菌株に形質転換させ、細胞外に発現された程度を確認した結果を示す。図4において、対照群のベクターは、PR4の代わりにP11プロモーターを使用し、SP4の代りにUSP45を使用したことを除き、pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターと同様である。
【0062】
図4に示されているように、pMT54-PR4-amylase-SP4ベクターを使用した実験群は、LMT1-21菌株において、アルファ-アミラーゼを細胞外に発現させ、大きい透明環を形成した一方、対照群は、発現されておらず、環が小さかった。それにより、PR4が作動し、アミラーゼ遺伝子を発現させ、SP4によって細胞外に分泌させる能力が上昇するということを示す。
【0063】
本明細書で説明される実施形態は、説明の目的にのみ考慮されるものであり、限定の目的に考慮されるものではないということが理解されなければならない。各実施形態内の特徴または態様の説明は、典型的に、他の実施形態の他の同様の特徴または態様に利用可能であると見なされなければならない。
【0064】
図面を参照し、1または複数の実施形態について説明したが、以下の特許請求の範囲に定義される開示の趣旨および範囲から外れることなく、形態および詳細に、さまざまな変更が加えうるということは、当業者には理解されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
0007189218000001.app