IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ズルツァー ミクスパック アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図1
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図2
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図3
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図4
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図5
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図6
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図7A
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図7B
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図7C
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図7D
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図7E
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図8
  • 特許-折り畳み式カートリッジ用のピストン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】折り畳み式カートリッジ用のピストン
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/005 20060101AFI20221206BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20221206BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B05C17/005
B65D81/32 U
B05C5/00 A
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020536011
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2018086391
(87)【国際公開番号】W WO2019129664
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】15/855,357
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510199605
【氏名又は名称】メドミクス スウィッツァランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ヘイデン
(72)【発明者】
【氏名】トラバース、エバン
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04907727(US,A)
【文献】特開2012-101217(JP,A)
【文献】国際公開第2016/041984(WO,A1)
【文献】特開平08-266991(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0011784(US,A1)
【文献】特開2013-212466(JP,A)
【文献】特開2001-328652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/005
B65D 81/32
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を分配するための折り畳み式カートリッジ(14)用のピストン(16a、16b、116)であって、
第1の直径(D)、第1の端部(46)、及び第2の端部(48)を有し、前記第1の端部(46)が材料の分配方向(DD)に配置されるように構成されている剛性部分(42、142)と、
前記第1の直径(D)より小さい第2の直径(D)、前記材料の分配方向(DD)に配置される第1の端部(68)、及び反対方向に配置される第2の端部(70)を有する可撓性部分(44、144)であって、前記可撓性部分(44、144)は、前記可撓性部分(44、144)の前記第2の端部(70)が前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)と向き合って配置されるように、前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)上に配置され、また前記可撓性部分(44、144)は、前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)に力が加わると径方向に拡張し且つ長手方向に縮むように構成され、それにより前記可撓性部分(44、144)と支持カートリッジ(12a、12b)の内面との間で前記折り畳み式カートリッジ(14)を圧縮する、可撓性部分(44、144)と
を有する、ピストン(16a、16b、116)。
【請求項2】
前記カートリッジ(14)が圧縮されたときに前記カートリッジ(14)を寄せ集めるように構成されたスカート(54、154)をさらに有する、請求項1に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項3】
前記スカート(54、154)は、前記可撓性部分(44、144)及び前記剛性部分(42、142)の一方に配置される、請求項2に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項4】
前記スカート(54、154)は、外面(60)上にタブ(62)を含む、請求項2又は3に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項5】
少なくとも1つの穴(61)が前記スカート(54、154)に配置される、請求項2から4までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項6】
前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)は、平面である、湾曲している、先がとがっている、又は角度が付けられている、請求項1から5までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項7】
前記可撓性部分(44、144)は、径方向外側面(74)を含み、前記径方向外側面(74)は、前記材料の分配方向(DD)に減少している前記直径(D)を有している、請求項1から6までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項8】
前記可撓性部分(44、144)は、およそ15から60までの間のデュロメータ硬さを有する材料から形成される、請求項1から7までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項9】
前記可撓性部分(44、144)は、エラストマー材料又は可撓性材料から、特に熱可塑性エラストマー(TPE)又はシリコンから形成される、請求項1から8までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項10】
前記可撓性材料の直径は、前記力が約250Nであるときに、およそ1mmから3mm径方向に拡張するように構成されている、請求項8又は9に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項11】
前記可撓性部分(44、144)の直径は、250Nの力が前記可撓性部分(44、144)に加えられたときに、2から15%増加する、請求項1から10までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項12】
前記可撓性部分(44、144)は内部空洞(72)を含み、前記剛性部分(42、142)の少なくとも一部分が前記内部空洞(72)内に延びている、請求項1から11までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項13】
前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)は、その周辺縁部のところに突出部(52)を含む、請求項1から12までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項14】
前記可撓性部分(44、144)の空洞(72)は、前記剛性部分(42、142)の前記突出部(52)を受け入れる凹部(71)を形成している、請求項12及び13に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項15】
前記可撓性部分(44、144)は内部空洞(72)を含み、前記剛性部分(42、142)の少なくとも一部分が前記内部空洞(72)内に延び、前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)から前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)までの距離に対する前記可撓性部分(44、144)の高さの比が、およそ0.5から0.55の間である、請求項1から11までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)。
【請求項16】
ヘッド部分(20)と、分配する媒体を保持するように構成された収容チャンバ(14a、14b)を画定するカートリッジ壁(18a、18b)とを有するカートリッジ(14)であって、前記ヘッド部分(20)は、表面(22、24)と、前記表面(22、24)にある出口(20a、20b)とを含み、前記出口(20a、20b)は、前記出口(20a、20b)を通して前記材料が分配され得るように構成され、前記カートリッジ壁(18a、18b)は、折り畳み式であるように構成されている、カートリッジ(14)、及び
前記カートリッジ(14)を折り畳み、前記媒体を分配するように構成された、特に請求項1から15までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)であって、前記ピストン(16a、16b、116)は、第1の直径(D)と、第1の端部(46)と、第2の端部(48)とを有する剛性部分(42、142)を含み、前記第1の端部(46)は、材料の分配方向(DD)に配置されるように構成され、また前記ピストン(16a、16b、116)は、前記第1の直径(D)より小さい第2の直径(D)と、前記材料の分配方向(DD)に配置される第1の端部(68)と、反対方向に配置される第2の端部(70)とを有する可撓性部分(44、144)を含み、前記可撓性部分(44、144)は、前記可撓性部分(44、144)の前記第2の端部(70)が前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)に向き合って配置されるように、前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)上に配置され、また前記可撓性部分(44、144)は、前記ピストン(16a、16b、116)に前記材料の分配方向(DD)の力が加わると径方向に拡張するように構成され、それにより前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)が前記ヘッド部分(20)の前記表面(22、24)に接触する、ピストン(16a、16b、116)
を有する分配システム(10)。
【請求項17】
ヘッド部分(20)と、分配する媒体を保持するように構成された収容チャンバ(14a、14b)を画定するカートリッジ壁(18a、18b)とを有するカートリッジ(14)であって、前記ヘッド部分(20)は、表面(22、24)と、前記表面(22、24)にある出口(20a、20b)とを含み、前記出口(20a、20b)は、前記出口(20a、20b)を通して前記材料が分配され得るように構成され、前記カートリッジ壁(18a、18b)は、折り畳み式であるように構成されている、カートリッジ(14)、及び
前記カートリッジ(14)を折り畳み、前記媒体を分配するように構成された、特に請求項1から15までの少なくとも一項に記載のピストン(16a、16b、116)であって、前記ピストン(16a、16b、116)は、第1の直径(D)と、第1の端部(46)と、第2の端部(48)とを有する剛性部分(42、142)を含み、前記第1の端部(46)は、材料の分配方向(DD)に配置されるように構成され、また前記ピストン(16a、16b、116)は、前記第1の直径(D)より小さい第2の直径(D)と、前記材料の分配方向(DD)に配置される第1の端部(68)と、反対方向に配置される第2の端部(70)とを有する可撓性部分(44、144)を含み、前記可撓性部分(44、144)は、前記可撓性部分(44、144)の前記第2の端部(70)が前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)に向き合って配置されるように、前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)上に配置され、また前記可撓性部分(44、144)は、前記ピストン(16a、16b、116)に前記材料の分配方向(DD)の力が加わると、およそ1mmから3mm径方向に拡張するように構成され、それにより前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)が前記ヘッド部分(20)の表面(22、24)に接触する、ピストン(16a、16b、116)
を有する分配システム(10)。
【請求項18】
前記ピストン(16a、16b、116)は、前記剛性部分(42、142)及び前記可撓性部分(44、144)の少なくとも一方にスカート(54、154)を含み、前記カートリッジ(14)は、前記カートリッジ(14)が圧縮されたときに前記スカート(54、154)内に集まるように構成されている、請求項16又は17に記載の分配システム(10)。
【請求項19】
前記スカート(54、154)は、外面(60)上にタブ(62)を含む、請求項18に記載の分配システム(10)。
【請求項20】
前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)は平面である、湾曲している、先がとがっている、又は角度が付けられる、請求項16から19までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項21】
前記可撓性部分(44、144)の前記第2の直径(D)は、前記材料の分配方向(DD)に減少している、請求項16から20までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項22】
前記可撓性部分(44、144)は内部空洞(72)を含み、前記剛性部分(42、142)の少なくとも一部分が前記内部空洞(72)内に延びている、請求項16から21までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項23】
前記可撓性部分(44、144)は内部空洞(72)を含み、前記剛性部分(42、142)の少なくとも一部分が前記内部空洞(72)内に延び、前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)から前記可撓性部分(44、144)の前記第1の端部(68)までの距離に対する前記可撓性部分(44、144)の高さの比が、およそ0.5から0.55の間である、請求項16から22までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項24】
前記可撓性部分(44、144)は、およそ15から60までの間のデュロメータ硬さを有する材料から形成され、それにより前記可撓性の材料は、前記力が約250Nであるとき、前記ヘッド部分(20)の前記表面(22、24)との接触で1mmから3mm径方向に拡張するように構成されている、請求項16から23までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項25】
前記剛性部分(42、142)の前記第1の端部(46)は、その周辺縁部のところに突出部(52)を含む、請求項16から24までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)。
【請求項26】
カートリッジ(14)に材料を充填する方法であって、
剛性部分(42、142)及び可撓性部分(44、144)を有するピストン(16a、16b、116)で前記カートリッジ(14)を折り畳むステップであって、前記可撓性部分(44、144)は、前記ピストン(16a、16b、116)の分配端部のところに配置されている、ステップと、
前記ピストン(16a、16b、116)の前記可撓性部分(44、144)が前記カートリッジ(14)のヘッド部分(20)の表面(22、24)に接触するように前記ピストン(16a、16b、116)に力を加えるステップであって、それにより前記可撓性部分(44、144)の直径を径方向に拡大させるステップと、
前記可撓性部分(44、144)の径方向外側面(74)とカートリッジ支持体(12a、12b)の内面との間で前記カートリッジ(14)を圧縮させるステップと、
前記ヘッド部分(20)にある開口を通して前記材料を加えるステップであって、それにより前記ピストン(16a、16b、116)を前記ヘッド部分(20)から離れる方向に移動させるステップと
を含む方法。
【請求項27】
前記カートリッジ(14)を折り畳むステップは、前記ピストン(16a、16b、116)に配置されたスカート(54、154)内に前記カートリッジ(14)を寄せ集めることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ピストン(16a、16b、116)に前記力を加えるステップは、おおよそ250Nの力を加えることを含み、それにより前記可撓性部分(44、144)の前記直径を約1mmから3mm拡大させて、前記カートリッジ(14)から空気を放出する、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
カートリッジから材料を分配する方法であって、
請求項16から24までの少なくとも一項に記載の分配システム(10)を提供するステップと、
前記ピストン(16a、16b、116)に第2の力を加えて、前記ヘッド部分(20)にある開口を通して前記材料を分配するステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記ピストン(16a、16b、116)に前記第2の力を加えるステップにより、前記カートリッジ(14)を、前記ピストン(16a、16b、116)に配置されたスカート(54、154)内に寄せ集めるようにする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ピストン(16a、16b、116)に前記第2の力を加えるステップにより、前記可撓性部分(44、144)を前記ヘッド部分(20)の前記表面(22、24)に接触させ、前記可撓性部分(44、144)の前記直径を径方向に拡大させ、前記可撓性部分(44、144)の径方向の周辺面を前記カートリッジ(14)の一部分に接触させて、前記ヘッド部分(20)にある前記開口を通して前記材料を分配する、請求項29又は30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式カートリッジ用のピストンに関する。詳細には、本発明は、カートリッジ内の廃棄物及び空気の容積を削減する、折り畳み式カートリッジ用のピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
建築及び歯科分野では、カートリッジは、液体を、例えば封止成分を、すなわち歯科分野における化学的合釘(ダウエル)又は化学的アンカー、接着剤、ペースト又は印象材のための成分を分配するのに使用されることが多い。
【0003】
従来のディスペンサは、分配されるべき材料が1つの成分及び2つの成分から形成される単一構成要素システム、或いは少なくとも2つの異なる成分が同一カートリッジの別個のチャンバに、又は別個のカートリッジに保管される複数構成要素システムであり得る。二構成要素システム又は複数構成要素システムでは、成分は、動的な又は静的な混合装置によって混合される。複数構成要素システムの例には、2つの成分を混合した後に初めて硬化する接着剤又は化学的合釘が含まれる。二構成要素システムはまた、塗料用に工業分野で使用される場合もあり、これは、腐食保護のためなどに機能的保護層を生成するのに使用されることが多い。
【0004】
多くの従来のシステムは、単一使用のために設計された事前に充填されたカートリッジを含むことができる。そのようなシステムでは、かなりの量の廃棄物が容量と質量の両方に関して生じることになる。これらのカートリッジに対する代替物は、カートリッジの製造者によって充填材料の製造者に輸送することができ、この製造者が、その後で空のカートリッジを充填する、充填されていないカートリッジである。充填されていないカートリッジの重量は比較的小さいとはいえども、空のカートリッジは、比較的大きな容積を有し、故に輸送時に大きな空間を必要とするため、カートリッジの製造者から媒体製造者への空のカートリッジの輸送に関するコストは相対的に高くなる。カートリッジの製造者のところと、媒体の製造者のところの両方での空のカートリッジのための保管コストもさらに、空間要件のために相対的に高くなる。このようなコストは、カートリッジの全体の製造コストのうちの少なくない部分を占めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カートリッジの折り畳みを改善するためのシステム及び方法を提供することが有利であることが発見された。詳細には、カートリッジの折り畳みにおける改善は、保管及び輸送目的のために必要な空間を削減し、カートリッジを充填する成分の廃棄物も削減することができることが突き止められた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
既知の技術の最新状態を鑑みて、本開示の一態様は、材料を分配する折り畳み式カートリッジ用のピストンを提供することであり、ピストンは、剛性部分と、可撓性部分とを備える。剛性部分は、第1の直径と、第1の端部と、第2の端部とを有する。第1の端部は、材料の分配方向に配置されるように構成されている。可撓性部分は、第1の直径より短い第2の直径と、材料の分配方向に配置される第1の端部と、反対方向に配置される第2の端部とを有する。可撓性部分は、可撓性部分の第2の端部が剛性部分の第1の端部に向き合うように配置されるように、剛性部分の第1の端部上に配置される。可撓性部分は、可撓性部分と支持カートリッジの内面との間で折り畳み式カートリッジを圧縮するように、可撓性部分の第1の端部に力が加えられると、径方向に拡張し、且つ長手方向に圧縮するように構成されている。
【0007】
本開示の別の態様は、カートリッジと、ピストンとを備える分配システム(dispensing system)を提供することである。カートリッジは、ヘッド部分と、分配されるべき媒体を保持するように構成された収容チャンバを画定するカートリッジ壁とを有する。ヘッド部分は、表面と、表面にある出口とを含む。出口は、材料をそこを通して分配することを可能にするように構成されている。カートリッジ壁は、折り畳み式であるように構成されている。ピストンは、カートリッジを折り畳み、媒体を分配するように構成されている。ピストンは、第1の直径と、第1の端部と、第2の端部とを有し、第1の端部は、材料の分配方向に配置されるように構成されている剛性部分と、第1の直径より短い第2の直径と、材料の分配方向に配置される第1の端部と、反対方向に配置される第2の端部とを有する可撓性部分とを含む。可撓性部分は、可撓性部分の第2の端部が剛性部分の第1の端部に向き合うように配置されるように、剛性部分の第1の端部上に配置され、可撓性部分は、可撓性部分の第1の端部がヘッド部分の表面に接触するように、材料の分配方向でピストンに力が加えられると、約1mmから3mm径方向に拡張するように構成されている。
【0008】
本開示の別の態様は、カートリッジに材料を充填する方法を提供することであり、方法は、剛性部分と、可撓性部分とを有するピストンでカートリッジを折り畳むことであって、可撓性部分は、ピストンの分配端部に配置されている、折り畳むことと、ピストンの可撓性部分がカートリッジのヘッド部分の表面に接触し、可撓性部分の直径を径方向に拡大させるように、ピストンに力を加えることと、可撓性部分の径方向の面とカートリッジ支持体の内面との間でカートリッジを圧縮することと、ヘッド部分にある開口を通して材料を加え、ピストンをヘッド部分から離れる方向に移動させることとを含む。
【0009】
この元々の開示の一部を形成する添付の図面を次に参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】支持カートリッジと組み合わせた、本発明の第1の実施例によるピストンの分解組立斜視図である。
図2図1の支持カートリッジの分解組立側部立面図である。
図3図1の二構成要素カートリッジが拡張した状態の側面図である。
図4図1の二構成要素カートリッジが圧縮された状態の側面図である。
図5図1のピストンの部分側部立面図である。
図6】可撓性部分が取り除かれた、図5のピストンの上部斜視図である。
図7A図1のカートリッジに関する充填プロセスを示す図である。
図7B図1のカートリッジに関する充填プロセスを示す図である。
図7C図1のカートリッジに関する充填プロセスを示す図である。
図7D図1のカートリッジに関する充填プロセスを示す図である。
図7E図1のカートリッジに関する充填プロセスを示す図である。
図8】圧縮された状態の、図1のピストンと、カートリッジの部分断面図である。
図9】ピストン第2の実施例の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
選択された実施例を、図面を参照して以下で説明する。実施例の以下の説明は、単なる例示のためであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義されるように、本発明を限定する目的ではないことは、本開示から当業者に明らかであろう。
【0012】
図1及び図2を最初に参照すると、本発明の一実施例による分配システム10が例示されている。分配システム10は、支持カートリッジシステム12と、二構成要素折り畳み式カートリッジ14と、ピストンシステム16とを含む。理解され得るように、分配システム10は、成分で充填されたとき、当分野で知られているように、1つ又は複数の成分を分配するために分配装置に挿入することができる。
【0013】
理解されるように、本発明に記載されるような二構成要素の分配システム10は、2つの別々の成分を保持し、保管し、分配するように構成されている。2つの成分は、分配時に、又は任意の好適な時間に混合することができる。そのような二構成要素分配システムは、そうでなければかなりの期間保管される材料又は成分を保管し、後に使用することを可能にする。本発明に記載されるピストン及び分配システム10は、単一構成要素分配システム、二構成要素分配システム、又は所望であるならば複数構成要素(3つ以上)のシステムで使用することができることに留意されたい。
【0014】
図3に注目すると、二構成要素折り畳み式カートリッジ14が例示されている。カートリッジは、第1の略円筒形の収容チャンバ(又はカートリッジ)14aと、第2の略円筒形の収容チャンバ(又はカートリッジ)14bとを含む。収容チャンバ14a及び14bは、カートリッジ壁18a及び18bと、共通のヘッド部分20によって各々画定される。共通のヘッド部分20は好ましくは、収容チャンバ14a及び14bの各々の端部面又は表面22及び24を形成する。2つのカートリッジ壁18a及び18bの端部26a及び26bは、ヘッド部分20から離れて配置され、それぞれの収容チャンバ18a及び18bの中心軸Ca及びCbに向かうように合わせて各々誘導され、それぞれのクランプリング28a及び28bによって、又は任意の他の好適なやり方で合わせて縛られ得ることで、端部を密閉式に閉鎖することができる。
【0015】
図3に示されるように、第1の収容チャンバ14aは、第2の収容チャンバ14bの直径Dより大きい直径Dを有するが、しかしながら、収容チャンバ14a及び14bは、同じ直径を有する、又はほぼ同じ直径を有する場合もある、或いは所望される任意の直径を有する場合もある。すなわち、直径は、2つの別々の成分又は材料が、好適な又は所望される比率で一緒に混合されることを可能にする、互いに対する任意の相対的なサイズを有することができる。
【0016】
ヘッド部分20に向き合う収容チャンバ14a及び14bの端部30a及び30bは、密閉式且つ非解除可能にヘッド部分20に接続されている。一実施例では、ヘッド部分20は、収容チャンバ14a及び14bの端部に射出成形される。ヘッド部分20は、安定形状のプラスチックから形成することができ、カートリッジ壁18a及び18bは、多層フィルムとして形成することができ、これらは、その主に中心の領域内で円筒形状になるように各々丸められ、溶接される、又はそれ以外の方法で接続されて、その長手方向の縁部のところにシーム31を形成し、これにより、ヘッド部分20と共に円筒形の収容チャンバ18a及び18bを形成する。
【0017】
ヘッド部分20は好ましくは、2つの出口20a及び20bを含んでおり、これらの出口は、収容チャンバを充填成分又充填は材料で充填するために、並びに充填成分又は充填材料を収容チャンバから外に分配するために収容チャンバ18a及び18bに接続されている。ねじキャップ32を使用して出口を閉鎖することができる。
【0018】
理解され得るように、図3は、空の状態の収容チャンバ14a及び14bを例示する。換言すると、収容チャンバ14a及び14bは、図3に示されるように、特定の成分で、すなわち分配されるべき材料でまだ充填されていない。しかしながらこの実施例に示されるように、カートリッジ壁18a及び18bは、使用されるフィルム材の堅さのために、実質的に円筒形状を有する。この円筒形状は、収容チャンバの最大容積を備えた、収容チャンバ14a及び14bの拡張した状態を表すことに留意されたい。
【0019】
図4に示されるように、カートリッジ壁18a及び18bは、成分で充填する前に、収容チャンバ14a及び14bの長手方向に一緒に押し込む、又は圧縮することができる。本発明に記載されるような折り畳まれた状態が達成されたとき、このような状態は、保管及び輸送のために必要な空間を削減し、且つ収容チャンバ14a及び14bを充填する成分の廃棄物を削減することが認められている。
【0020】
図1及び図2に戻って注目すると、支持カートリッジシステム12は、第1の中空シリンダ34aと、第2の中空シリンダ34bとをそれぞれ含む、第1の支持カートリッジ12aと、第2の支持カートリッジ12bとを含む。第1の中空シリンダ34a及び第2の中空シリンダ34bは、二構成要素折り畳み式カートリッジ14の第1の収容チャンバ14a及び第2の収容チャンバ14bをそれぞれ受け入れるようにサイズが決められ、そのように構成されている。第1の中空シリンダ34a及び第2の中空シリンダ34bは、第1の開口36a及び36bと、第2の開口38a及び38bとを各々有する。第1の開口36a及び36bは、それぞれの収容チャンバ14a及び14bを受け入れるように構成されており、第2の反対側の開口38a及び38bは、それぞれのピストン16a及び16bを受け入れるように構成されている。本発明に記載されるように、第1の収容チャンバ14a及び第2の収容チャンバ14bは、ヘッド部分20がそれぞれの支持カートリッジ12a及び12bの端部に接触するまで、それぞれの収容開口36a及び36bに押し込むことができる。
【0021】
ピストンシステム16は、第1のピストン16aと、第2のピストン16bとを含んでおり、これらは一般に同一の構成を有し、主な違いは、サイズ又は相対的な直径である。よって、第1のピストン16aのみが、図5及び図6の図に詳細に記載されている。図5及び図6は、本発明の第1の実施例を示す。ピストン16aは好ましくは、略円筒形であり、支持カートリッジ12aの内側周辺面40の内部にきっちりと嵌合するようにサイズが決められ、そのように構成されている。この実施例では、ピストン16aは、支持カートリッジ12aと共にシールを形成する必要はないことに留意されたい。しかしながら、ピストン16aは好ましくは、支持カートリッジ12aと緊密な嵌合を形成することで、収容チャンバ14aが支持カートリッジ12aとピストン16aとの間に挟まれるのを阻止する。
【0022】
ピストン16aは、第1の部分42と、第2の部分44とを有する。好ましくは第1の部分42は、第1の直径Dと、第1の端部46と、第2の端部48とを有する剛性部分である。剛性部分の第1の端部46は、材料の分配方向DD(すなわち成分が分配される方向)に配置され、第2の端部48は、反対側(充填方向FD)に配置される。剛性部分42の第2の端部48は、支持カートリッジ12aの中を通るようにピストンを移動させるのに必要とされる圧力又は力を受け取ることができる。剛性部分42は好ましくは、剛性であり、且つ加圧下で曲がらない任意の好適なプラスチック又は金属から形成される。しかしながら剛性部分42は、任意の好適な材料から形成することができる。
【0023】
図6に示されるように、剛性部分42は、第1の剛性部分42aと、第2の剛性部分42bとを含む。第1の剛性部分42aは、第2の部分44の外側に配置され、第2の剛性部分42bは、第2の部分44の内部に配置される。第1の剛性部分42aは、第2の端部48に隣接する径方向外側面50を含み、第2の剛性部分42bは、第1の端部46に隣接する突出部52を含む。径方向外側面50は、そこから分配方向に延在するスカート54又は密閉リップを含む。スカート54は好ましくは、第1の剛性部分42aの全円周の周りに延在するが、任意の好適な方法又は所望される方法で延在することができる。スカート54は好ましくは、径方向外側面50の端部56から径方向外向きに延在し、支持カートリッジ12aの内径とほとんど同じサイズの直径を有する。したがってスカート54は、支持カートリッジ12aの内面の内部を摺動するようにサイズが決められ、そのように構成されている。これに関連して、スカート54は、それが、分配方向DDに対して傾斜せず、内面に当たって密閉もしないことで、ピストン16aが支持カートリッジ12aの内部を移動することができるような方法で支持カートリッジ12aの内部に嵌合するように構成されていることに留意されたい。一実施例では、1つの穴61又は複数の穴が、スカート54又は剛性体42の中に配置されて、空気が、分配中に分配方向DDと反対の方向に進むことを可能にすることができる。穴61はまた、空気が、それぞれの収容チャンバ14a及び14bの充填中に分配方向DDに進むことを可能にするために使用されてもよく、すなわち空気は、充填方向FDと反対の方向に進むことが許されることを理解すべきである。そのような構造は、スカート54と支持カートリッジ12aの内側周辺面40との間の緊密な嵌合を可能にしながら、ピストン16aと収容チャンバ14aとの間に空気が閉じ込められるのを阻止する。さらに、スカート54は好ましくは、その内面58と第2の部分42との間にカートリッジ壁18aの一部又はその全体を(折り畳まれた状態で)適合させることを可能にするために材料の分配方向に延在する(図8を参照)。
【0024】
一実施例では、第1の剛性部分42aの径方向外側面50及びスカート54の外面60はまた、その周りを径方向に囲んで離間された複数の一体式のリブ又はタブ62も含む。タブ62は、剛性部分42の径方向外側面50及びスカート54の外面60から全体的に突出し、分配方向DDの長手方向に延在する。一実施例では、径方向外側面50及びスカート54の外面60は、その周りに均一に離間された4つのタブ62を含むが、しかしながら任意の好適な数のタブ62が存在する場合があり、タブ62は、任意の好適な様式で離間され得ることに留意されたい。図6に示されるように、タブ62は、矩形形状であり得、剛性部分42の第2の端部48からスカート54の端部64まで延在することができる。タブ62は、カートリッジ壁18aが、圧縮されたとき、ピストン16aのスカート54の端部64を超えて進むのを阻止する。カートリッジ壁18aがスカート54の端部64を超えて進んだ場合、カートリッジ壁18aの一部は、ピストン16aと支持カートリッジ12aとの間に挟まれ、破損する可能性がある。カートリッジ壁18aがこのようにして傷つけられた場合、成分又は材料の新たな流路が形成され、ピストン16aの背後で望ましくないバルーン作用を生み出す可能性がある。
【0025】
突出部52は好ましくは、円筒形であり、スカート54の端部64の直径より小さい直径を有する。突出部52は、第1の端部46と、第2の剛性部分42bの上部の径方向の面68とによって形成された縁部から延出する弓形の縁部66を含むことができる。この突出部52は、縁部66において支持を拡大し、カートリッジ壁18aを案内して、カートリッジ壁18aがピストンの幾何学形状に適合することを可能にし、二構成要素折り畳み式カートリッジ14から分配されるべき材料の量を推し進める。
【0026】
図5に例示されるように、第2の部分44は好ましくは、第1の剛性部分42aの直径Dより小さい第2の直径Dと、材料の分配方向DDに配置された第1の端部68と、反対方向(充填方向FD)に配置された第2の端部70とを有する可撓性部分である。可撓性部分44は、剛性部分42の第1の端部46に配置されることで、可撓性部分44の第2の端部70は、剛性部分42の第1の端部46に向き合うように配置される。
【0027】
可撓性部分44は好ましくは、可撓性部分44と支持カートリッジ12aの表面22との間で折り畳み式カートリッジを圧縮するために、可撓性部分44の第1の端部68に力が加えられると、径方向に拡張し、且つ長手方向に圧縮することが可能である材料から形成される。よって、可撓性部分44は、十分な径方向の拡張を達成するのに適したいずれかの材料で形成することができる。好適な材料は、これに限定するものではないが、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコン、任意の他のエラストマー材料又は任意の好適な可撓性材料を含めることができる。一実施例では、可撓性部分44は、デュロメータ硬さAスケールでおよそ15から60の間のデュロメータ硬さを有する材料から形成される。好ましくは可撓性材料は、25ショアA前後のデュロメータ硬さを有する材料から形成される。
【0028】
可撓性部分44は、内部空洞72を含み、剛性部分42の少なくとも一部分は、内部空洞72の中に延在する。換言すると、可撓性部分44は、剛性部分42を受け入れるようにサイズが決められ、そのように構成された内部空洞72を画定する凹部を有する。上記に記載されるように、この実施例は、縁部において支持を拡大し、カートリッジ壁18aを案内して、カートリッジ壁18aがピストンの幾何学形状に適合することを可能にし、二構成要素折り畳み式カートリッジ14から分配されるべき材料の量を推し進める。
【0029】
カートリッジ壁18aの長さに対する可撓性部分44の全体の高さは、カートリッジ壁18aがその圧縮された高さに達する前に、可撓性部分44が、ヘッド部分20の端部面22とおよそ1から2mm最初に接触するように決められるべきである。そのような圧縮距離は、一般に、カートリッジ壁18aを圧縮するために十分な径方向の拡張をもたらすことになる。しかしながら、縁部に近い可撓性部分44の偏差は、上記で考察したような突出部52のために低減され、そうでなければこの領域におけるカートリッジ壁18aの張力によって、所望される直径より大きくなる可能性がある。そのような拡大された直径は、カートリッジ壁18aの内部に材料及び空気を閉じ込める可能性があり、これは望ましいことではない。
【0030】
図5の断面図から最もよく見ることができるように、可撓性部分44の空洞72は、剛性部分42の突出部52を受け入れる凹部71を形成する。好ましくは、突出部52は、形がぴったり合うようなやり方で凹部71の中に受け入れられる。突出部52を凹部71で受けることによって、可撓性部分44を剛性部分42に安定して載置することが可能になる。さらに、分配方向DDでの可撓性部分44の圧縮時に、凹部71に受けられた突出部52は、可撓性部分44が径方向に過剰に拡張するのを阻止する。同時に、可撓性部分44は、分配方向DDに誘導され、カートリッジ14に特定の力を及ぼすことで、より多くの材料がそこから分配される。
【0031】
可撓性部分44がヘッド部分20の端部面22に当たるように圧縮されるとき、可撓性材料又は可撓性部分44は、長手方向に圧縮され、且つ径方向に拡張される。換言すると、可撓性部分44をヘッド部分20の端部面22に当たるように平らにすることができ、このことは、可撓性部分44の直径の径方向の拡張をもたらす。好ましくは可撓性部分44の可撓性材料は、おおよそ250Nの力が第1の端部68に加えられたとき、およそ1から3mmだけ直径を径方向RDに拡張する。好ましくは可撓性部分(44、144)の直径は、250Nの力が可撓性部分(44、144)に加えられたとき、とりわけ力が、分配方向DDに対して少なくともおおよそ平行な方向で可撓性部分に加えられている状態で、2から15%拡張する。一実施例では、可撓性部分44は、径方向RDにおよそ2mm直径が拡大する。この径方向の拡張は、可撓性部分44の径方向外側面74と支持スリーブ12aの内面40との間で、及び/又は可撓性部分44の径方向外側面74とスカート54の内面58との間で、圧縮されたカートリッジのカートリッジ壁18aを圧縮する。このような構造は、残された廃棄物又は空気のカートリッジ内での閉じ込めを削減する。
【0032】
可撓性部分44の第1の端部68は、任意の好適な構成を有することができる。例えば、第1の端部68は、全体的に、又は実質的に平らな、又は平面であってよく、それはまた、弓形、又は湾曲した構成を有する場合もあり、又はそれは、先のとがった、又は角度が付けられた構成を有する場合もある。可撓性部分44の径方向外側面74は、ピストン16aの長手方向軸Lと概ね平行であり得る、又は長手方向軸Lと特定の角度を形成する場合もある。すなわち、径方向外側面74における可撓性部分44の直径Dは、分配方向に縮小し得る。すなわち可撓性部分44の直径Dは、分配方向DDに縮小し得る。好ましくは、可撓性部分44の高さH(スカートが剛性部材の径方向外側面73とぶつかる地点からの)は、およそ12から15mmであり、好ましくはおよそ14.2mmである。さらに、第1の剛性部分42aの径方向外側面73(すなわち、可撓性部分44の径方向内側面)から可撓性部分44の径方向外側面74までの可撓性部分の厚さTは、およそ1.9mmからおよそ5.2mmであり、好ましくはおよそ3.8mmである。第2の剛性部分42bの突出部52から可撓性部分44の第1の端部58までの可撓性部分44の厚さTは、およそ6.3mmから3.2mmである。剛性部分42の第1の端部46から可撓性部分44の第1の端部68までの可撓性部分44の厚さTは、およそ6.5mmから8.3mmである。よって、可撓性部分44の高さHと、剛性部分42の第1の端部46から可撓性部分44の第1の端部68までの距離の比は、およそ0.5から0.55の間である。
【0033】
スカート54の端部64から可撓性部分の第1の端部68までの可撓性部分44の高さHは、およそ7から9mmである。しかしながら、寸法は単なる一例であり、剛性部分42に対する可撓性部分44の寸法及び任意の他の寸法は、任意の好適な寸法であり得ることに留意されたい。
【0034】
図7Aから図7Eに注目すると、二構成要素折り畳み式カートリッジ14を充填することができる方式が図示されている。一実施例では、二構成要素折り畳み式カートリッジ14は、空の状態で販売者又はユーザに出荷される。図7aに示されるように空の二構成要素折り畳み式カートリッジ14は、支持カートリッジシステム12に接続されており、その後図7Bに示されるように、充填装置Dに挿入される。充填装置Dは、ヘッド部分20に装着して、二構成要素折り畳み式カートリッジ14を所望される適切な位置に保持するように構成された取り付け機構Mを含む。ひとたびその位置になると、ピストンシステム16が支持カートリッジシステム12に挿入される。図7Bに示されるように、ピストンシステム16は、複数のプランジャPからの力によって作動される。各々のプランジャPによって及ぼされる力Fは、任意の好適な量(例えば250N)であり得、例えば圧縮空気、機械的な力、又は任意の他の好適な装置を利用して、所望される任意の様式で供給され得る。ピストンシステム16は、ヘッド部分20の端部面に向かって分配方向に移動する。ピストンシステム16がこの方向に移動するとき、ピストンシステム16内の各ピストン16aは、それぞれのカートリッジ壁18a及び18bの開放端部80に進入する。カートリッジ壁18a及び18bの各々の縁部82は、可撓性部分44のスカート54と径方向外側面74(複数可)との間の領域に集められる。高さH及びHは、収容チャンバ14a及び14bから分配される成分、又は放出される空気量に影響を与える可能性があるため、そのような高さは、ここでは重要であり得る。ピストンシステム16は移動し続け、カートリッジ壁18aを集め続けるとき、空気がカートリッジから放出される。
【0035】
ピストンシステム16は、分配方向DDに移動し続け、ヘッド部分20の端部面22及び24に接触する。ピストンシステム16は、これらの表面22及び24に接触するとき、力Fは分配方向DDに維持され、これによりピストン16a及び16bの各々の可撓性部分44を、ヘッド部分20の表面22及び24に当たるように長手方向Lに圧縮させる。この圧縮によって、各ピストンの可撓性部分44を径方向に拡張させる。本発明に記載されるように、径方向の拡張は、おおよそ250Nの力が第1の端部68に加えられた場合、およそ1から3mm(又はより好ましくはおよそ2mm)であり得るが、しかしながら径方向の拡張は、任意の好適な量であり得ることに留意されたい。図8に示されるように、径方向の拡張は、カートリッジ壁18aが寄せ集められる領域内で起こるため、よってカートリッジ壁18aを可撓性部分44の径方向外側面74と支持スリーブ16aの内面40との間、及び/又は可撓性部分44の径方向外側面74とスカート54の内面58との間で圧縮する。この圧縮は、折り畳み式カートリッジから余分な成分を放出させる。
【0036】
図7Cに示されるように、充填ノズルNがその後、ヘッド部分20に取り付けられ、所望される成分をカートリッジ壁18a及び18bに噴射させる、又は分配させることができる。充填ノズルNの力Fは、カートリッジ壁18a及び18bを拡張させ、図7Dに示されるようにピストンシステム16を充填方向FD(分配方向の反対)に押す。理解されるように、プランジャPの力Fは取り除くことができるため、充填ノズルNは、プランジャPの静的な力及びカートリッジ壁18a及び18bの拡張のみに打ち勝つだけでよい。ひとたびプランジャPがリミットスイッチLSに接触すると、充填ノズルNを停止することができる。分配システム10をその後取り除き、閉鎖することができる。
【0037】
分配するために、二構成要素折り畳み式カートリッジ14は単純に分配装置に挿入され、分配される。所望される場合、分配は、本発明に記載されるピストンシステム16を用いて行うことができ、このピストンシステム16は、スカート54aと径方向外側面74との間の領域にカートリッジ壁18a及び18bを寄せ集め(gather)、上記に記載した充填と同様のやり方で成分を分配する。すなわち、ピストンシステム16が支持カートリッジシステム12の中を通って移動する際、折り畳み式カートリッジ壁18a及び18bが集められ、成分は、ヘッド部分20を通して分配される。ピストンシステム16はその後、分配方向DDに移動し続け、ヘッド部分20の端部面22及び24に接触する。ピストンシステム16がこれらの表面に接触するとき、力F(例えば250N)は、分配方向DDに維持され、これにより、各ピストン16a及び16bの可撓性部分44を、ヘッド部分20の表面22及び24に当たるように長手方向Lに圧縮させる。この圧縮によって、各ピストン16a及び16bの可撓性部分44を径方向に拡張させる。本発明に記載されるように、径方向の拡張は、おおよそ250Nの力が第1の端部68に加えられた場合、およそ1から3mm(又はより好ましくはおよそ2mm)であり得るが、しかしながら径方向の拡張は、任意の好適な量であり得ることに留意されたい。径方向の拡張は、カートリッジ壁18a及び18bが寄せ集められる領域内で起こるため、よってカートリッジ壁18a及び18bを可撓性部分44の径方向外側面74と支持スリーブ12a及び12bの内面40との間、及び/又は可撓性部分44の径方向外側面74とスカート54の内面58との間で圧縮する。この圧縮は、折り畳み式カートリッジから余分な空気を放出させる。
【0038】
本発明に記載されるピストン構造は、充填処置中に過剰な空気を除去することと、分配処置中に余分な成分を放出することの両方によって、分配され得る成分の量を改善する。そのようなシステムは、成分の廃棄物を削減し、これによりコストを削減し、環境への影響も削減する。
【0039】
図9は、ピストン116の第2の実施例の部分断面図である。この実施例では、スカート154は、可撓性部分144に取り付けられている。すなわち、可撓性部分144aは、第1の部分144aと、第2の部分144bとを含む。第1の部分144aは、管状であり、剛性部分142に、その径方向外側面152で接続されている。第2の部分144bは一般に、本発明に記載される可撓性部分144と同じやり方で機能する圧縮可能/可撓性部分146を備える。スカート154は、この実施例では、第1の部分144aと第2の部分144bとの間で横断部分148に取り付けられており、分配方向DDに延在している。ここで、第2の部分144bは好ましくは、およそ9.5mmから12.9mmの高さを有する。ピストン116は、第1の実施例のピストン16a及び16bに関して本発明で記載したものと同じやり方で機能する。
【0040】
図9に示されるような剛性部分142は、図5及び図6に示される剛性部分42のように突出部52は持たないが、剛性部分142は、剛性部分42のものと同様の突出部52を備えてもよく、そのような突出部52は、可撓性部分144の空洞71に受け入れられることを想定することもできる。
【0041】
本発明に記載される1つのピストンのいかなる記述も多数のピストンに適用することができることに留意されたい。
【0042】
本分配システムが挿入されて分配に影響を与える分配装置及び充填装置は、当分野でよく知られた従来式の構成要素である。分配装置及び充填装置は、当分野でよく知られているため、これらの構造は、本発明では詳細に論じることがない、又は詳細に図示されない。むしろ、これらの構成要素は、任意のタイプの構造であり得る、及び/又は本発明を実施するのに使用され得る任意のプログラミングを含む場合もあることは、本開示から当業者に明らかであろう。
【0043】
用語の一般的な解釈
本発明の範囲の理解において、用語「備える(comprising)」及びその派生語は、本明細書で使用される際、記述される機能、要素、構成要素、グループ、整数及び/又はステップの存在を特定するが、他の記述されない機能、要素、構成要素、グループ、整数及び/又はステップの存在を排除しないオープンエンド用語であることが意図されている。前述のことはまた、用語「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの派生語などの同様の意味を持つ単語にも適用される。また、用語「一部(part)」又は「一部分(portion)」は、単数形で使用される際、単一の部分又は複数の部分の二重の意味を有する場合がある。また上記の実施例(複数可)を記述するために本明細書で使用される際、以下の方向を示す用語は、折り畳み式カートリッジ用のピストンを備えたシステムのそのような方向を指している。したがって、このような用語は、本発明を記述するのに利用される際、折り畳み式カートリッジ用のピストンを備えたシステムに対して解釈されるべきである。
【0044】
用語「構成される(configured)」は、構成要素、セクション又はデバイスの一部を記述するために本発明で使用される際、所望される機能を実施するために構築された、及び/又はプログラムされたハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。
【0045】
「実質的に(substantially)」、「おおよそ(approximately)」及び「およそ(about)」などの程度の用語は、本発明で使用される際、調整された用語の妥当な偏差の量を意味するため、最終結果は、有意に変更されることはない。
【0046】
選択された実施例のみが本発明を説明するために選出されているが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を本発明に行うことができることは、本開示から当業者に明らかであろう。例えば、種々の構成要素のサイズ、形状、配置又は配向は必要に応じて、及び/又は所望により変更することができる。互いに直接接続されて、又は互いに直接接触して示される構成要素は、それらの間に配置された中間構造を有する場合もある。1つの要素の機能は、2つの要素によって行われる場合もあり、またその逆の場合も同様である。一実施例の構造及び機能は、別の実施例に適応することができる。すべての利点が、特定の実施例に同時に提示される必要はない。従来技術から特有であるすべての機能も同様に、単独で、又は他の機能と組み合わせて、そのような機能によって具現化される構造的及び/又は機能的概念を含め、出願人による別の発明の別個の記述とみなされるべきである。よって、本発明による実施例の前述の記載は、単に例示の目的で提供されており、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義されるような本発明を限定する目的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9