(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電池モジュール及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/548 20210101AFI20221206BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20221206BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221206BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221206BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221206BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20221206BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20221206BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M50/548 101
H01M50/509
H01M50/557
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/209
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/507
H01M50/512
H01M50/517
H01M50/291
H01M50/204 401H
(21)【出願番号】P 2020550966
(86)(22)【出願日】2018-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2018036696
(87)【国際公開番号】W WO2020070773
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】谷内 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】大田 正弘
【審査官】村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115196(JP,A)
【文献】特開2004-022395(JP,A)
【文献】特開2004-327081(JP,A)
【文献】特開2004-047167(JP,A)
【文献】特開2005-268138(JP,A)
【文献】特表2017-521822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電極層、負電極層及び固体電解質層が積層された全固体電池からなる電池セルを複数備える電池モジュールであって、
前記電池セルは、前記電池セルの相反する側面からそれぞれ突出する一対の電極端子を有し、
複数の前記電池セルが、前記正電極層、前記負電極層及び前記固体電解質層の積層面に対して平行であり、且つ、異なる前記電池セルの前記電極端子同士が並列するように配列され、
配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、バスバーによって電気的に接続されると共に、前記電池セルの配列方向に隣り合う前記バスバーにおける対向する端面間に亘って、絶縁性を有する連結構造部材が一体に連結される、電池モジュール。
【請求項2】
複数の前記電池セルが配列されることにより構成されるモジュール群が、前記積層面と直交する方向に複数積層される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
積層方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士の間に、前記バスバーが配置され、前記バスバーによって、積層方向に隣り合う前記電池セル同士が並列接続されると共に、前記モジュール群において配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、積層方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的に接続する共通の前記バスバーによって直列接続される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
積層方向に隣り合う前記電池セルの間に、絶縁性を有するセパレータが介在され、
前記セパレータは、積層方向に隣り合う前記電池セルの間に配置されるセパレータ本体と、前記セパレータ本体の両端部に、前記セパレータ本体と直交するように配置されるバスバー当接部と、を有し、
前記バスバー当接部は、積層された前記電池セルの前記電極端子が突設される側面に配置され、
前記バスバーは、前記バスバー当接部に近接又は当接するように配置される、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
正電極層、負電極層及び固体電解質層が積層された全固体電池からなる電池セルを複数備える電池モジュールであって、
前記電池セルは、前記電池セルの相反する側面からそれぞれ突出する一対の電極端子を有し、
複数の前記電池セルが、前記正電極層、前記負電極層及び前記固体電解質層の積層面に対して平行であり、且つ、異なる前記電池セルの前記電極端子同士が並列するように配列され、
配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、バスバーによって電気的に接続されると共に、前記電池セルの配列方向に隣り合う前記バスバー同士が、絶縁性を有する連結構造部材によって一体に連結され、
複数の前記電池セルが配列されることにより構成されるモジュール群が、前記積層面と直交する方向に複数積層され、
積層方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士の間に、前記バスバーが配置され、前記バスバーによって、積層方向に隣り合う前記電池セル同士が並列接続されると共に、前記モジュール群において配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、積層方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的に接続する共通の前記バスバーによって直列接続され、
積層方向に隣り合う前記電池セルの間に、絶縁性を有するセパレータが介在され、
前記セパレータは、積層方向に隣り合う前記電池セルの間に配置されるセパレータ本体と、前記セパレータ本体の両端部に、前記セパレータ本体と直交するように配置されるバスバー当接部と、を有し、
前記バスバー当接部は、積層された前記電池セルの前記電極端子が突設される側面に配置され、
前記バスバーは、前記バスバー当接部に近接又は当接するように配置される、電池モジュール。
【請求項6】
前記電極端子は、前記積層面に対して平行な平板状に形成される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記バスバーは、前記電極端子に対して平行な平板状に形成される、請求項
6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電池モジュールが、前記電池セルの配列方向に対して平行に、複数配置される、電池パック。
【請求項9】
前記電池モジュールの下面側に、前記電池セルを冷却する冷却媒体流路を有する、請求項8に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイブリット車や電池自動車等の車両に搭載されるリチウムイオン二次電池等の電池セルは、略直方体形状のセルケース内に電極板と電解液とを収容して構成される。電極板と電気的に接続される一対の電極端子は、電池セルの上面に配置される。
図12に示すように、一般に、電池セル101は、一対の電極端子102が上方に向くように配置される。電池セル101は、内部に発生した異常ガスを外部に逃がすための防爆弁(図示せず)を端子面に有しており、この防爆弁が電解液によって塞がれないようにするためである。電池モジュール100は、この電池セル101を一方向に複数積層することにより構成される。隣り合う電池セル101、101の隣り合う電極端子102、102同士(正極と負極)は、金属プレート等からなるバスバー103によって電気的に接続される。
【0003】
ところで、電池セルは充放電により膨張する。このため、
図12に示すように複数の電池セルが積層される場合、電池セルの膨張により、隣り合う電池セル同士の間隔が開くおそれがある。電池セル同士の間隔が開くと、バスバーやバスバーと電極端子との接続部に応力がかかり、破断等のおそれがある。このため、従来の電池モジュールは、積層される複数の電池セルの全体を拘束し、電池セルの膨張によって生じる電池セルの間隔の開きを抑え込むようにしている。
【0004】
また、電池セルは充放電により発熱する。このため、一般に、従来の電池モジュールは、電池セルの底面(電極端子の突設面の反対面)に冷却媒体流路を配置させることにより、冷却媒体によって各電池セルを冷却するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、電池セルの電極端子は、セル構造や組立て性を考慮して、電池セルの上面に配置されるため、電池モジュールの高さが高くなる。その結果、この電池モジュールを搭載する車両の低ハイト化が妨げられる要因となっている。
【0007】
また、複数の電池セルの膨張を抑えるための拘束力は、電池セル内の電極層の積層方向に対向するように付与される。このため、従来の電池モジュールは、複数の電池セルを一括して拘束可能とするために、電極層の積層方向と同じ方向に複数の電池セルを積層させなくてはならず、電池セルの配置に制約を有する問題がある。
【0008】
更に、電池セルの冷却面積は、電池セルの外部で最も発熱量の大きい電極端子から最も遠い底面に制限されるため、従来の電池モジュールは、電池セルの冷却効率が悪い問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、電池モジュールの高さを低く抑えることができ、電池セルの配置の自由度を向上させることができると共に、電池セルの冷却面積を広く確保することができる電池モジュール及びこの電池モジュールにより構成される電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係る電池モジュールは、正電極層(例えば、後述の正電極層201)、負電極層(例えば、後述の負電極層202)及び固体電解質層(例えば、後述の固体電解質層203)が積層された全固体電池からなる電池セル(例えば、後述の電池セル2)を複数備える電池モジュール(例えば、後述の電池モジュール1A、1B、1C)であって、前記電池セルは、前記電池セルの相反する側面(例えば、後述の側面22)からそれぞれ突出する一対の電極端子(例えば、後述の正極端子23a、負極端子23b)を有し、複数の前記電池セルが、前記正電極層、前記負電極層及び前記固体電解質層の積層面に対して平行であり、且つ、異なる前記電池セルの前記電極端子同士が並列するように配列され、配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、バスバー(例えば、後述のバスバー3)によって電気的に接続される。
【0011】
上記(1)に記載の電池モジュールによれば、電池モジュールの高さを低く抑えることができ、電池セルの配置の自由度を向上させることができると共に、電池セルの冷却面積を広く確保することができる。
【0012】
(2) (1)に記載の電池モジュールにおいて、複数の前記電池セルが配列されることにより構成されるモジュール群(例えば、後述のモジュール群10)が、前記積層面と直交する方向に複数積層されるようにしてもよい。
【0013】
上記(2)に記載の電池モジュールによれば、高さを抑えながら、電池セルをより高密度に配列させることができる。
【0014】
(3) (2)に記載の電池モジュールにおいて、積層方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士の間に、前記バスバーが配置され、前記バスバーによって、積層方向に隣り合う前記電池セル同士が並列接続されると共に、前記モジュール群において配列方向に隣り合う前記電池セルの前記電極端子同士が、積層方向に隣り合う前記電池セル同士を電気的に接続する共通の前記バスバーによって直列接続されるようにしてもよい。
【0015】
上記(3)に記載の電池モジュールによれば、少ない数のバスバーによって、複数の電池セル同士を並列及び直列に接続することができる。
【0016】
(4) (3)に記載の電池モジュールにおいて、前記電池セルの配列方向に隣り合う前記バスバー同士が、絶縁性を有する連結構造部材(例えば、後述の連結構造部材6)によって一体に連結されてもよい。
【0017】
上記(4)に記載の電池モジュールによれば、配列方向の複数の電池セルが、バスバー3と連結構造部材とによって一体に連結された構造となり、各電池セルの配列状態が保持される。
【0018】
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の電池モジュールにおいて、前記電極端子は、前記積層面に対して平行な平板状に形成されるものであってもよい。
【0019】
上記(5)に記載の電池モジュールによれば、電極端子が電極層の積層面に対して平行な平板状であるため、電極端子によって電池モジュールの高さが高くなることがないと共に、隣り合う電極端子同士を容易に電気的接続可能である。
【0020】
(6) (5)に記載の電池モジュールにおいて、前記バスバーは、前記電極端子に対して平行な平板状に形成されるものであってもよい。
【0021】
上記(6)に記載の電池モジュールによれば、バスバーも電極端子と同様の平板状で電極端子に対して平行であるため、バスバーによって電池モジュールの高さが高くなることがないと共に、平板同士を面接触させることによって電極端子とバスバーとを容易且つ確実に電気的接続可能である。
【0022】
(7) 本発明に係る電池パック(例えば、後述の電池パックP1、P2)は、(1)~(6)のいずれかに記載の電池モジュールが、前記電池セルの配列方向に対して平行に、複数配置される。
【0023】
上記(7)に記載の電池パックによれば、電池モジュールの高さを低く抑えることができ、電池セルの配置の自由度を向上させることができると共に、電池セルの冷却面積を広く確保することができる電池モジュールにより構成される電池パックを得ることができる。
【0024】
(8) (7)に記載の電池パックにおいて、前記電池モジュールの下面側に、前記電池セルを冷却する冷却手段(例えば、後述のウォータージャケット4)を有するものであってもよい。
【0025】
上記(8)に記載の電池パックによれば、各電池モジュールの電池セルを、効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電池モジュールの高さを低く抑えることができ、電池セルの配置の自由度を向上させることができると共に、電池セルの冷却面積を広く確保することができる電池モジュール及びこの電池モジュールにより構成される電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】複数の電池セルを直列接続した本発明に係る電池モジュールの基本構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る電池モジュールに用いられる電池セルの一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】電池セルに収容される電極板の構造を示す断面図である。
【
図4】複数の電池セルを並列接続した本発明に係る電池モジュールの基本構成を示す斜視図である。
【
図5】複数の電池セルを直列接続した本発明に係る電池モジュールにより構成される電池パックの一実施形態を示す平面図である。
【
図7】電池セルをz方向に2層に積層した電池モジュールの基本構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す電池モジュールをx方向に沿って見た側面図である。
【
図10】電池セルをz方向に2層に積層した電池モジュールにより構成される電池パックの一実施形態を示す平面図である。
【
図12】従来の電池モジュールの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電池モジュールの基本構成を示す斜視図である。
図1に示す電池モジュール1Aは、4つの電池セル2を図中のy方向に配列することによって構成される。但し、
図1は、電池モジュール1Aの基本的な構成を説明しているにすぎないものであり、電池セル2の数は複数であればよく、4つに制限されるものではない。なお、以下に示す各図中の方向において、x、y、zの各方向は互いに直交する方向を示す。x方向は、電池セル2の幅方向(後述する一対の正極端子23a及び負極端子23bが突出する方向)を示す。y方向は、電池セル2の配列方向を示す。z方向は、電池セル2の厚み方向を示す。本実施形態において、z方向が指す方向は、重力方向に沿う方向を示す。
【0029】
本実施形態に示す電池セル2は、電解液を含まない全固体電池からなり、アルミニウムやアルミニウム合金等のセルケース21内に電極板20(
図3参照)を収容する。
図2に示すように、セルケース21は、z方向に扁平な直方体状の箱体である。本実施形態に示すセルケース21は、y方向よりもx方向に長尺状に形成されている。電池セル2の相反する側面、具体的には、電池セル2の幅方向(x方向)の両端に配置される2つの側面22、22のうちの一方の側面22には、正極端子23aが突出して設けられ、他方の側面22には、負極端子23bが突出して設けられる。正極端子23a及び負極端子23bは、いずれもアルミニウム、ステンレス、銅等の金属材によって形成されたz方向に薄い平板状の電極端子である。
【0030】
図3に示すように、電極板20は、複数の正電極層201と、複数の負電極層202と、複数の固体電解質層203と、複数の正極集電体204aと、複数の負極集電体204bと、を有し、これらがz方向に沿って積層一体化されている。正電極層201は正極活物質を有し、正極集電体204aの両面に塗工される。負電極層202は負極活物質を有し、負極集電体204bの両面に塗工される。固体電解質層203は、イオン導電性を有する固体状の電解質を有し、正電極層201と負電極層202との間に介在される。正極集電体204a及び負極集電体204bは、アルミニウム、銅、SUS等の金属箔からなる。これら各層により構成される電極板20は、積層方向に所定の荷重(初期荷重)が付与されることにより、z方向に圧縮されている。圧縮された電極板20は、図示しない絶縁袋に収容された状態で、絶縁袋と一緒にセルケース21内に収容される。
【0031】
電池セル2の外部に突出する正極端子23a及び負極端子23bは、電極板20の正極集電体204a又は負極集電体204bに電気的に接続される。本実施形態に示す正極端子23a及び負極端子23bは、電極板20における正電極層201、負電極層202及び固体電解質層203の積層面に対して平行な平板状に形成される。即ち、正極端子23a及び負極端子23bは、z方向に薄い板状とされる。このため、電池セル2の全体がz方向に扁平状であることと相俟って、電池セル2の厚み(z方向の高さ)を極力抑制することができる。しかも、隣り合う電池セル2の正極端子23a、負極端子23bを電気的に接続する際も、正極端子23a及び負極端子23bの平板状の面を電気的接続面として利用することができるため、電気的接続が容易である。
【0032】
なお、正電極層201、負電極層202及び固体電解質層203の積層面とは、正電極層201と固体電解質層203と正極集電体204aとの間の各界面、及び負電極層202と固体電解質層203と負極集電体204bとの間の各界面のことである。この積層面は、
図1においては、xy方向に延びており、
図3においては、左右方向及び紙面に対する垂直方向に延びている。
【0033】
4つの電池セル2は、
図1に示すように、正極端子23a及び負極端子23bの配置方向をx方向に揃えて、y方向に並列するように配列される。具体的には、4つの電池セル2は、電極板20における正電極層201、負電極層202及び固体電解質層203の積層面に対して平行となるように配置されて並べられる。4つの電池セル2は、異なる電池セル2の正極端子23a及び負極端子23bがy方向に並列するように配列される。これにより、4つの電池セル2の正極端子23a又は負極端子23bは、y方向に沿って一直線上に配列される。
【0034】
図1に示す電池モジュール1Aは、電池セル2の正極端子23a及び負極端子23bの向きを、隣り合う電池セル2で異ならせている。即ち、4つの電池セル2の正極端子23a及び負極端子23bは、y方向に沿って交互に配置されている。そして、配列方向(y方向)に隣り合う2つずつの電池セル2、2の正極端子23aと負極端子23bとが、1つずつのバスバー3によってそれぞれ電気的に接続されることにより、4つの電池セル2が直列接続されている。
【0035】
バスバー3は、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属材によって薄い平板状に形成される。
図1に示す電池モジュール1Aでは、3つのバスバー3が、正極端子23a及び負極端子23bに対して平行となるように配置され、隣り合う2つずつの電池セル2、2の正極端子23aと負極端子23bとに亘って積層して配置されている。バスバー3は、例えば、溶接、はんだ接続、導電性接着剤による接着、ビス等による締結によって、正極端子23a及び負極端子23bに固定され、正極端子23aと負極端子23bとを電気的に接続する。電池モジュール1Aにおけるy方向の両端の電池セル2、2の一方の正極端子23a及び他方の負極端子23bには、例えば他の電池モジュール1A又は図示しない外部電気回路との接続用の図示しないハーネス及び/又はバスバーが電気的に接続される。
【0036】
このように構成される電池モジュール1Aによれば、z方向に扁平な電池セル2を複数並列するように配列しているため、電池モジュール1Aの高さを低く抑えることができる。電池セル2は全固体電池からなるため、電解液を含む電池セルのように電池セルの向きを考慮する必要がなく、電池セル2の配置の自由度を向上させることができる。しかも、電池セル2の扁平な表面(
図1、
図2に示すz方向に垂直な面)が一平面上に並ぶため、この表面を利用して電池セル2を冷却することができる。従って、この電池モジュール1Aによれば、各電池セル2の冷却面積を広く確保することができる。電池セル2は扁平状であることにより、冷却面とされる電池セル2の表面と正極端子23a、負極端子23bとの距離が近接するため、冷却効率も高められる。
【0037】
また、本実施形態に示すバスバー3は、正極端子23a及び負極端子23bと同様の平板状であり、これら正極端子23a及び負極端子23bに対して平行となるように構成されているため、バスバー3によって電池モジュール1Aの高さが高くなるおそれはない。しかも、バスバー3と正極端子23a及び負極端子23bとは、平板同士を面接触させることによって容易且つ確実に電気的接続可能である。
【0038】
電池モジュールは、複数の電池セル2を直列接続するものに限定されない。例えば、
図4に示す電池モジュール1Bのように、複数の電池セル2を並列接続してもよい。即ち、
図4に示す電池モジュール1Bにおいて、4つの電池セル2は、正極端子23aの向き及び負極端子23bの向きを、全て同一方向に配置させている。従って、4つの電池セル2は、x方向に沿う一方端に4つの正極端子23aがy方向に沿って配列され、他方端に4つの負極端子23bがy方向に沿って配列される。そして、配列方向(y方向)の4つの電池セル2の全ての正極端子23aが1つのバスバー3によって電気的に接続されると共に、全ての負極端子23bが1つのバスバー3によって電気的に接続される。このように複数の電池セル2が並列接続される電池モジュール1Bも、上記電池モジュール1Aと同一の効果を有する。
【0039】
次に、このような構成を有する電池モジュールによって構成される電池パックについて説明する。
図5は、複数の電池セル2が直列接続された電池モジュール1Aを複数用いて構成される電池パックP1を示している。
図6は、
図5中のVI-VI線に沿う断面図である。電池パックP1は、
図5に示すxy方向に配置されるフレーム材11、12によって、平面視矩形状に枠組みされる。フレーム材11、12によって枠組みされた内側は、x方向に延びる2本のフレーム材11、11に亘って配置される2本のクロスメンバ13、13によって補強されると共に、3つのスペースに区画されている。なお、電池パックP1の上面及び下面は、
図6に示すように、天板14及び底板15によって塞がれている。
【0040】
この電池パックP1は、仕切り材13によって区画される各スペースに、4つずつの電池モジュール1Aが、電池セル2の厚み方向を上下方向(z方向に沿う方向)に配向させて配置される。
図5において、各電池モジュール1Aは、6つずつの電池セル2を有する。
図5におけるx方向に隣り合う電池モジュール1A、1Aのy方向の端部に配置される電池セル2、2の正極端子23aと負極端子23bとは、図示しないハーネス及び/又はバスバーによって電気的に接続される。これにより、電池パックP1は、
図5において矢印で示すように、
図5中のy方向に沿う側の6組の電池モジュール1Aが直列接続され、下側の6組の電池モジュール1Aが直列接続される。
【0041】
図6に示すように、底板15上に、ウォータージャケット4が配置される。ウォータージャケット4は、冷却液又は気体(空気)が流通する冷却媒体流路(図示せず)を有し、仕切り材13によって区画される各スペースにそれぞれ配置される。各電池モジュール1Aは、ウォータージャケット4の上面に、直接的に又は伝熱性及び絶縁性を有するシート等(図示せず)を介して間接的に積層される。このウォータージャケット4は、本発明の冷却手段に対応する。なお、このウォータージャケット4は、底板15によって構成されてもよい。
【0042】
この電池パックP1は、上記電池モジュール1Aを複数配列することにより構成されるため、電池パックP1の高さを低く抑えることができる。電池モジュール1Aは、全固体電池からなる電池セル2により構成されるため、電解液を含む電池セルを用いる場合のように電池セルの向きを考慮する必要がなく、電池セル2の配置の自由度を向上させることができる。しかも、各電池モジュール1Aにおいて、電池セル2の扁平な表面(
図1、
図2に示すz方向に垂直な面)が一平面上に並び、この電池セル2の下面側をウォータージャケット4によって冷却できるため、各電池セル2の冷却面積を広く確保することができる。従って、この電池パックP1によれば、各電池セル2の冷却効率が向上する。なお、電池パックP1は、複数の電池セル2が並列接続された電池モジュール1Bを複数用いて構成されてもよい。
【0043】
図7~
図9は、電池モジュールの基本構成の他の実施形態を示している。この電池モジュール1Cでは、
図1に示す電池モジュール1Aが1つのモジュール群10とされ、このモジュール群10が、z方向に2層に積層された構成を有する。なお、
図7では、上層のモジュール群10に配置される複数の電池セル2のうち、3つの電池セル2のみが示されている。上層及び下層のモジュール群10、10の複数の電池セル2は、電池モジュール1Aと同様に、正極端子23aと負極端子23bとが、y方向に交互に並ぶように配置されている。上下に積層される2つの電池セル2、2の正極端子23a及び負極端子23bの向きは同一となるように揃えられている。
【0044】
図7、
図8に示すように、積層方向に隣り合う2つの電池セル2、2の間には、絶縁性を有するセパレータ5が介在されている。セパレータ5は、積層方向に隣り合う2つの電池セル2、2の間に配置されるセパレータ本体51と、このセパレータ本体51のx方向の両端部に、セパレータ本体51と直交するように配置されるバスバー当接部52と、を有する。バスバー当接部52は、
図9に示すように、セパレータ本体51から、積層された電池セル2、2における正極端子23a及び負極端子23bが突設される側面22、22にかけて設けられる。バスバー当接部52は、上下の正極端子23a、23a間又は負極端子23b、23b間に配置される。
【0045】
上下(z方向)に積層される2つの電池セル2、2と、同一の層において電池セル2の配列方向(y方向)に隣り合う2つの電池セル2、2とは、共通のバスバー3によって電気的に接続される。具体的には、積層方向に隣り合う2つの電池セル2、2の正極端子23a、23a同士又は負極端子23b、23b同士が、2つの正極端子23a、23aの間又は2つの負極端子23b、23bの間に配置された1つのバスバー3によって電気的に接続される。このため、積層方向に隣り合う2つの電池セル2、2同士は、バスバー3によって並列接続される。これと同時に、積層方向に隣り合う電池セル2、2同士を並列接続する上記バスバー3が、配列方向に隣り合う2つの電池セル2、2の正極端子23aと負極端子23bとに亘って配置されることにより、配列方向に隣り合う2つの電池セル2、2同士は、共通の上記バスバー3によって直列接続される。従って、1つのバスバー3は、積層方向及び配列方向に隣り合う合計4つの電池セル2の正極端子23a及び負極端子23bと電気的に接続されている。このため、少ない数のバスバー3によって、複数の電池セル2同士を並列及び直列に接続することができる。各バスバー3は、セパレータ5のバスバー当接部52に近接又は当接するように配置されるが、電池セル2には直に接触していない。
【0046】
電池セル2の配列方向に隣り合う2つのバスバー3、3同士は、連結構造部材6によって一体に連結される。連結構造部材6は、樹脂やセラミックス等の絶縁材料によって形成され、隣り合う2つのバスバー3、3同士を接着又はビス等による締結によって一体に連結する。これにより、積層方向の電池セル2、2及び配列方向の複数の電池セル2は、バスバー3と連結構造部材6とによって一体に連結された構造となり、各電池セル2の積層状態及び配列状態が保持されるようになっている。
【0047】
この電池モジュール1Cは、電池セル2が扁平形状であるため、電池セル2を複数積層させても、電池モジュール1Cの高さが極端に大きくなることはない。このため、この電池モジュール1Cによれば、高さを抑えながらも、電池セル2をより高密度に配列させることができる。
【0048】
図10は、このような電池モジュール1Cを複数用いて構成される電池パックP2を示している。
図11は、
図10中のXI-XI線に沿う断面図である。
図5、
図6に示す電池パックP1と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明は上記説明を援用し、ここで省略する。
この電池パックP2は、クロスメンバ13によって区画される3つのスペースに、それぞれ2組ずつの電池モジュール1Cが配置されている。各電池モジュール1Cは、1層当たり14個の電池セル2を有する合計28個の電池セル2によって構成されている。各電池モジュール1Cは、ウォータージャケット4の上面に、直接的に又は伝熱性及び絶縁性を有するシート等(図示せず)を介して間接的に積層される。
【0049】
図10におけるx方向に隣り合う電池モジュール1C、1Cのy方向の同一端部に配置される電池セル2、2の正極端子23aと負極端子23bとは、図示しないハーネス及び/又はバスバーによって電気的に接続される。これにより、電池パックP2は、
図10において矢印で示すように、6組の電池モジュール1Cが直列接続される。
【0050】
この電池パックP2によれば、電池パックP1と同様の効果を有することに加え、各電池モジュール1Cが、電池セル2を2層に積層して構成されているため、電池パックP1と同一の設置面積に対して、高さを極端に高くすることなく、倍の電池セル2を高密度に配置させることができる。
【0051】
本発明に係る電池モジュール及び電池パックは、本発明の技術思想の範囲内で種々変更を加えることができる。例えば、以上の実施形態では、電池セル2は、電極板20を金属製のセルケース21に収容しているが、セルケース21を用いる代わりに、電極板20を樹脂フィルムからなるラミネートパックに収容してもよい。
【0052】
また、
図1に示す電池モジュール1Aにおいても、電池セル2の配列方向(y方向)に隣り合うバスバー3、3同士を、
図7~
図9と同様に、連結構造部材6によって一体に連結してもよい。
【0053】
更に、正極端子23a、負極端子23b及びバスバー3は、単なる平板状に形成されるものに限らない。正極端子23a、負極端子23b及びバスバー3は、図示しないが、電気的接続面以外の面に、強度向上のための1又は複数のリブを有してもよい。特に、バスバー3に、隣り合う電池セル2、2の並列方向に沿うリブを設けることにより、バスバー3の強度向上により、バスバー3によって2つの電池セル2、2を一体に支持する力が更に強固になるため、電池モジュール1A、1B、1Cの形状保持性が更に向上する。
【符号の説明】
【0054】
1A、1B、1C 電池モジュール
2 電池セル
22 (電池セルの相反する)側面
23a 正極端子(電極端子)
23b 負極端子(電極端子)
201 正電極層
202 負電極層
203 固体電解質層
3 バスバー
4 ウォータージャケット(冷却手段)
5 セパレータ
51 セパレータ本体
52 バスバー当接部
6 連結構造部材
10 モジュール群
11、12 フレーム材
13 クロスメンバ
14 天板
15 底板
P1、P2 電池パック