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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】広告発注支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q30/02 446
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021065087
(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公開番号】P2022160728
(43)【公開日】2022-10-20
【審査請求日】2022-05-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507043531
【氏名又は名称】株式会社フューチャースコープ
(74)【代理人】
【識別番号】100153246
【弁理士】
【氏名又は名称】伊吹 欽也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 琢志
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特許第6827138(JP,B1)
【文献】特許第5452763(JP,B1)
【文献】特開2012-079005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を含むユーザ端末が視聴した動画コンテンツ内に挿入される動画広告を配信するための広告発注支援装置であって、
店舗の動画広告の配信期間、配信エリア、広告予算、及び広告配信費用を含む動画広告の過去の配信履歴を記憶した記憶手段と、
携帯端末のユーザのうち該携帯端末の位置と一定の取得時間間隔で取得された該携帯端末の位置の取得日時刻とが対応付けられた行動データに基づいて前記店舗の来店者と推定されたユーザの生活エリア位置の密度分布を地図上に重畳したヒートマップを、発注者端末に表示させる表示制御手段と、
単位面積あたりの前記生活エリア位置の密度が最も大きい第1配信エリア図形を、前記ヒートマップ上に配置する第1配信エリア配置手段と、
前記配信履歴を参照し、過去に広告配信費用が広告予算を消化していない配信履歴が存在する場合には、発注者端末から入力された配信期間及び広告予算が該配信履歴における配信期間及び広告予算と同一条件の下、該過去の第1配信エリア図形を大きくした第2配信エリア図形を、前記ヒートマップ上に配置する第2配信エリア配置手段と、
発注者端末から入力された動画広告の配信期間、広告予算、及び配信エリアを含む発注情報を取得する発注情報取得手段と、
を有することを特徴とする広告発注支援装置。
【請求項2】
前記第2配信エリア配置手段は、
前記配信履歴を参照し、過去の第1配信エリア図形に対応する広告予算消化率が、所定閾値未満である場合、該過去の第1配信エリア図形の大きさを、前記所定閾値に対応する拡大率で拡大した第2配信エリア図形を、前記ヒートマップ上に配置すること、
を特徴とする請求項1に記載の広告発注支援装置。
【請求項3】
前記第2配信エリア配置手段は、
前記配信履歴を参照し、過去の第1配信エリア図形内のユーザ端末のユーザ数と広告予算消化率とから、該過去の広告予算をすべて消化するに追加で必要な追加ユーザ数を算出し、該過去の第1配信エリア図形に加え、該追加ユーザ数分のユーザ端末のユーザ数をエリア内に含む第2配信エリアを、前記ヒートマップ上に配置すること、
を特徴とする請求項1に記載の広告発注支援装置。
【請求項4】
前記生活エリア位置は、携帯端末の位置と一定の取得時間間隔で取得された該携帯端末の位置の取得日時刻とが対応付けられた行動データに基づいて、携帯端末の位置が、前記店舗の営業時間の少なくとも一部が重複した時間帯において一定時間以上連続時刻で取得された携帯端末の位置であること、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項に記載の広告発注支援装置。
【請求項5】
前記発注情報取得手段は、前記店舗の位置が所定地域に属する場合、発注者端末から入力された動画広告の配信期間が、該所定地域と予め対応付けられた最長配信期間を超えている場合、該入力を禁止すること、
を特徴とする請求項1ないし4何れか一項に記載の広告発注支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告発注支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが動画サイトの動画コンテンツを視聴する際、動画コンテンツの冒頭又は途中又は終わりに動画広告が数秒間挿入再生されるという形で配信される動画広告が知られている。広告主は動画広告の申し込みを行うに際し、入稿する動画広告データ、ジャンル、配信エリア、広告配信開始日、配信期間、広告予算などを設定する。
【0003】
このとき広告主が広告予算を例えば1万円と設定して広告配信を実施したものの、動画サイトの動画コンテンツの視聴回数が少ない場合は動画広告の「視聴回数」も少なくなるので、結果的に半分の5000円分しか広告を配信できない場合がある。この場合、広告予算としては1万円であったにもかかわらず、5000円分しか広告を配信できなかったことで、広告主としては広告予算の消化が達成できなかったことになる。ここで、実際の広告配信費用が半分で済んだという考え方もある一方、広告主の現場からは、せっかく予算設定したのだからやはり予算分消化したかった、予算分フルにもっと多くのユーザへ広く広告を届けたかった、という声が圧倒的に多いという実情がある。その一方、広告配信事業者にとっても予算未消化は売上機会の損失であるため、広告主が獲得した広告予算を予算分だけ全て消化したいという意向がある。
【0004】
これに関する技術として、例えば特許文献1には、店舗の来店者の居住位置の集計結果に基づいてヒートマップを作成し、発注者は、ヒートマップ21上で枠21aを移動させ、また拡大縮小しながら、店舗アイコン21bの位置を参考にしながら、チラシの頒布エリアを適宜変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6827138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載される発明においては、ヒートマップ上でチラシの頒布エリアが決まると、頒布エリアの頒布戸数に基づいて見積額を算出され、頒布エリア内の頒布戸数分に対して実際に新聞折り込みチラシとして頒布されるが(段落0024等)、そもそも動画広告とチラシ広告は広告媒体の特性が異なるため、動画広告のような広告予算の未消化というものは発生しない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、動画広告配信において、広告予算の消化が見込める配信エリアの最適化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る広告発注支援装置は、携帯端末を含むユーザ端末が視聴した動画コンテンツ内に挿入される動画広告を配信するための広告発注支援装置であって、店舗の動画広告の配信期間、配信エリア、広告予算、及び広告配信費用を含む動画広告の過去の配信履歴を記憶した記憶手段と、携帯端末のユーザのうち該携帯端末の位置と一定の取得時間間隔で取得された該携帯端末の位置の取得日時刻とが対応付けられた行動データに基づいて前記店舗の来店者と推定されたユーザの生活エリア位置の密度分布を地図上に重畳したヒートマップを、発注者端末に表示させる表示制御手段と、単位面積あたりの前記生活エリア位置の密度が最も大きい第1配信エリア図形を、前記ヒートマップ上に配置する第1配信エリア配置手段と、前記配信履歴を参照し、過去に広告配信費用が広告予算を消化していない配信履歴が存在する場合には、発注者端末から入力された配信期間及び広告予算が該配信履歴における配信期間及び広告予算と同一条件の下、該過去の第1配信エリア図形を大きくした第2配信エリア図形を、前記ヒートマップ上に配置する第2配信エリア配置手段と、発注者端末から入力された動画広告の配信期間、広告予算、及び配信エリアを含む発注情報を取得する発注情報取得手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態によれば、動画広告配信において、広告予算の消化が見込める配信エリアの最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る広告配信システムのネットワーク構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る広告発注支援サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る広告発注支援サーバのソフトウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態に係る発注者管理表109aの一例を示す。
図5】本実施形態に係る配信履歴DB109b一例を示す。
図6】本実施形態に係る動画広告配信の発注画面の一例を示す。
図7】本実施形態に係る動画広告配信の発注画面の一例を示す。
図8】本実施形態に係る動画広告配信のレポート画面の一例を示す。
図9】本実施形態に係る動画広告配信の発注画面の一例を示す。
図10】本実施形態に係る動画広告配信処理シーケンス図を示す。
図11】本実施形態に係るヒートマップ及び配信エリア円の作成処理のフローチャートを示す。
図12】本実施形態に係る第1配信エリア円の作成を説明する図である。
図13】本実施形態に係る第2配信エリア円の作成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る広告配信システムのネットワーク構成例を示す図である。図1の広告配信システム100は、広告発注支援サーバ10、行動データ蓄積DB(Data Base)20、広告配信サーバ30、コンテンツサーバ40、発注者端末50、及びユーザ端末60を含み、ネットワーク70を介して接続されている。
【0012】
広告発注支援サーバ(以下単に支援サーバという)10は、発注者(広告主)が動画広告を配信発注できるよう支援するためのサーバ装置である。発注者は画面上から広告配信設定(例えば配信期間、広告予算、配信エリア等の設定)を容易に行うことができる。
【0013】
行動データ蓄積DB20は、ユーザ端末60のうち、携帯ユーザの有する携帯端末60aの固有識別子としての端末IDと、携帯端末60aの位置情報と、その位置情報の取得日時刻(タイムスタンプ)とが対応付けられた行動データが蓄積されている。行動データ蓄積DB20は、携帯ユーザの行動データを収集可能な携帯端末60aの通信キャリア又は通信キャリアから行動データの提供を受けた事業者により構築又は提供される。
【0014】
ここで、携帯ユーザの行動データは、一定の取得時間間隔(例えば10分間隔)で周期的に取得されているため、その携帯端末60aの位置情報とから、携帯端末60aを所有する所有者の移動経路を推定することができる。例えば、同じ位置を示す位置情報が連続時刻で取得されている場合には、その位置情報が示す位置に携帯端末60a(携帯端末60aを所持している所有者)が滞在していることが推定できる。このことから携帯端末60aが滞在している位置が、例えばAM10時~PM11時といった店舗営業時間帯において一定時間の間、店舗位置に滞在していれば、その携帯ユーザはその店舗に対して来店行動があった、その携帯ユーザはその店舗に来店実績のある来店者(顧客)であることが推定できる。
【0015】
また、携帯端末60aが一定時間滞在している時間帯が、一般の日中生活行動の時間帯や深夜の時間帯であれば、その位置情報が示す位置が、携帯端末60aを所持している所有者の生活エリア位置であると推定することができる。生活エリア(生活圏)は、特定の地域に居住する人たちの恒常的な生活行動の場所、その範囲をいい、例えば、買物、レクリエーション、通勤、医療、政治、農産物出荷など生活上の行動する領域、範囲をいう。
【0016】
なお、携帯ユーザの生活エリア位置のうち居住エリア位置を推定するための時間帯として、例えばAM12時~AM5時といったように、一般的な就寝時間帯としうる。また携帯ユーザの生活エリア位置のうち行動エリア位置を推定するための日中生活行動の時間帯として、例えばAM9時~PM5時(終日)、AM9時~PM12時(午前中)、PM12時~PM5時(午後)又はAM11時~PM2時(いわゆるコアタイム)といったように、その地域性に応じて最もよく日中生活行動が現れる可能性の高い時間帯としうるが、店舗営業時間帯(例えばAM10時~PM11時)と一部が重なる時間帯とする。
【0017】
このように携帯ユーザの行動データから、携帯ユーザが店舗の来店者かどうかや、その携帯ユーザの生活エリア位置を推定することができる。なお店舗の来店者であるかどうかや生活エリア位置の推定は、一日分の行動データのみからでは推定確度が低いため、例えば数日分・数か月分のボリューム行動データを多面的な切り口から解析することで、推定確度を高めることができる。
【0018】
広告配信サーバ30は、発注者による広告配信設定(例えば配信期間、広告予算、配信エリア等の設定)に従って、入稿された動画広告を配信する。本実施形態に係る動画広告配信は、ユーザがユーザ端末60(携帯端末60a及びPC端末bを含む)を用いて動画コンテンツを視聴する際、動画コンテンツの冒頭又は途中又は終わりに動画広告が挿入再生されるという形で配信されるもので、よくいう広告種類として例えばインストリーム広告やバンパー広告などがある。
【0019】
コンテンツサーバ40は、ユーザに対して動画コンテンツを提供する。ユーザが所有する様々なユーザ端末60を用いてコンテンツサーバ40の動画サイトにアクセスし、様々な動画コンテンツの中から所望の動画コンテンツを再生・視聴することができる。
【0020】
発注者端末50は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなど、発注者(店舗担当者等)が支援サーバ10に対してID及びパスワードを使ってログイン・アクセスし、画面上から動画広告配信の設定や発注を行うための情報端末装置である。発注者端末50は、支援サーバ10にアクセスするため、予め所定のアプリケーションプログラム(汎用ウェブブラウザや専用アプリ)がインストールされる。
【0021】
ユーザ端末60は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末60a、PC(パソコン)端末60b、もしくはスマートテレビ(非図示)など、一般ユーザが動画コンテンツ並びに動画コンテンツ内に挿入される動画広告を視聴するための様々な端末装置である。一般ユーザは所有するユーザ端末60を用いてコンテンツサーバ40の動画サイトにアクセスし、様々な動画コンテンツの中から所望の動画コンテンツ(動画広告を含む)を再生・視聴することができる。
【0022】
ネットワーク70は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク70は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを含む。
【0023】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る広告発注支援サーバのハードウェア構成例を示す図である。支援サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、通信装置15、表示装置16及び入力装置17を有する。
【0024】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク70を介して他装置との通信を行う。表示装置16は、液晶ディスプレイ等のディスプレイである。入力装置17は、固有の操作キーやボタン等を有するキーボードなどで実現される。
【0025】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係る広告発注支援サーバのソフトウェア構成例を示す図である。支援サーバ10は、主な機能部として、ヒートマップ作成部101、第1配信エリア配置部102、第2配信エリア配置部103、表示制御部104、発注情報取得部105、及び記憶部109を有する。
【0026】
ヒートマップ作成部101は、携帯端末60aのユーザのうち店舗の来店者と推定されたユーザの生活エリア位置の密度分布を地図上に重畳したヒートマップを作成する機能を有している。
【0027】
第1配信エリア配置部102は、単位面積あたりの前記生活エリア位置の密度が最も大きい第1配信エリア図形を、ヒートマップ上に配置する機能を有している。
【0028】
第2配信エリア配置部103は、配信履歴DB109bを参照し、過去に広告配信費用が広告予算を消化していない配信履歴が存在する場合には、発注者端末50から入力された配信期間及び広告予算が該配信履歴における配信期間及び広告予算と同一条件の下、該過去の第1配信エリア図形を大きくした第2配信エリア図形を、ヒートマップ上に配置する機能を有している。
【0029】
表示制御部104は、ヒートマップを含む発注画面を、発注者端末50に表示させる機能を有している。
【0030】
発注情報取得部105は、発注者端末50から入力された動画広告の配信期間、広告予算、及び配信エリアを含む発注情報を取得する機能を有している。
【0031】
記憶部109は、発注者管理表109a及び配信履歴DB109bを、HDD14等に記憶する機能を有している。
【0032】
なお、各機能部は、支援サーバ10を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、支援サーバ10における記憶部109の各種データは、ネットワーク70上の外部記憶装置に配置することも可能である。
【0033】
(各種データ)
本実施形態に係る支援サーバ10の有する各種データについて説明する。
図4は、本実施形態に係る発注者管理表109aの一例を示す。発注者管理表109aには、発注者を特定する発注者IDに対して、自店舗の店舗情報(店舗名、位置情報)と、近隣に所在する競合店舗の店舗情報(店舗名、位置情報)が関連付けて登録される。自店舗及び競合店舗の店舗情報は、発注者(店舗担当者等)により予め設定され、後述するヒートマップの表示対象となる店舗来店者を特定するために用いられる。
【0034】
図5は、本実施形態に係る配信履歴DB109b一例を示す。配信履歴DB109bは、過去に配信された動画広告の配信履歴情報を管理するデータベースである。配信履歴DB109bは、例えば店舗毎の「発注者ID」、「配信期間」、「広告予算」、「広告配信費用」、「広告予算消化率」、「ヒートマップ」、「中心位置/半径」、「視聴回数」、「クリックされた回数」、「視聴単価」、「配信動画」などのデータ項目を有する。
【0035】
「発注者ID」は、店舗毎に固有に付番号される識別子である。「発注者ID」は、発注者(店舗担当者等)が支援サーバ10に対してログイン・アクセスするためのユーザIDとしても用いられうる。
【0036】
「配信期間」は、発注者(店舗担当者等)が設定(指定)するもので、動画広告の配信期間を示す。
【0037】
「広告予算」は、発注者(店舗担当者等)が設定(指定)するもので、動画広告を配信するために使う広告予算を示す。発注者が動画広告配信前時点で考えている広告費用の上限金額ともいえる。
【0038】
「広告配信費用」は、動画広告が配信された後、実際に課金された広告費用を示す。動画広告配信の費用は、ユーザによる動画コンテンツの再生・視聴があって初めて発生し得るため、動画広告配信前に設定される「広告予算」とは必ずしも一致しないが、「広告配信費用」の上限は「広告予算」迄である。なお、広告の配信方法には、動画広告が視聴された場合に課金されるタイプ(例えばバンパー広告)、動画広告の全てが完全視聴された場合にのみ課金され、途中でスキップされた場合には課金されないタイプ(例えばインストリーム広告)のものもあるが、何れにしてもユーザにより動画コンテンツの再生・視聴されて初めて動画広告の課金機会が発生する。
【0039】
「広告予算消化率」は、動画広告配信前に設定される「広告予算」が実際に動画広告を配信した結果、どのくらいの割合で広告予算が消化されたか(広告予算のうちどのくらいの割合分の動画広告が配信されたか)を示す。「広告予算消化率」は、「広告配信費用」/「広告予算」により算出される。
【0040】
「ヒートマップ」は、ヒートマップのデータファイルを示す。
【0041】
「中心位置/半径」は、ヒートマップ上において動画広告の配信エリアを指定する領域円の中心位置及び半径を示す。「半径」が大きいほど動画広告の配信エリアが広くなる。詳細は後述する。
【0042】
「視聴回数」は、動画広告が視聴された回数(即ち広告動画が配信された回数)を示す。本実施形態に係る動画広告配信は、ユーザ端末60のユーザが視聴する動画コンテンツの冒頭や途中に動画広告が挿入再生されるという形で配信されるため、ユーザが動画コンテンツを視聴した回数に依存する。よって動画コンテンツの視聴回数が少ない場合は動画広告の「視聴回数」も少なくなり、動画コンテンツの視聴回数が多い場合は動画広告の「視聴回数」も多くなる。
【0043】
「クリックされた回数」は、動画広告又は動画広告に埋め込まれた遷移先URL(ランディングページ)がクリックされた回数を示す。
【0044】
「視聴単価」は、1回の視聴に課金される広告費用を示す。「広告配信費用」=「視聴単価」×「視聴回数」となる。
【0045】
「配信動画」は、動画広告のデータファイルを示す。発注者(店舗担当者等)により入稿される。
【0046】
<発注画面>
(初回の動画広告発注画面)
図6、7は、本実施形態に係る動画広告配信の発注画面の一例を示す。発注者(店舗担当者等)が発注者端末50のウェブブラウザ又は専用アプリ等を起動し、支援サーバ10にログイン・アクセスすることで、発注画面を表示する。
【0047】
はじめに図7に示されるヒートマップ119について説明する。ヒートマップ119は、携帯ユーザの行動データに基づいて抽出された自店舗や競合店舗における来店者の生活エリア分布を、実際の地図上に重ね合わせて表示したものである。
【0048】
ヒートマップ119の作成にあたり、まず支援サーバ10は、上述したように蓄積された携帯ユーザの行動データを解析することで、自店舗及び競合店舗の来店者(顧客)、並びに当該来店者の生活エリア位置を推定・特定し、地図中に既定されている格子状のエリア毎に、エリア内に生活エリア位置が所在する来店者数を集計する。そしてエリア毎の来店者数の集計結果に基づいて、店舗来店者の生活エリアの密度分布図を作成し、作成した密度分布図を地図上に重ね合わせることで、ヒートマップ119を作成する。またヒートマップ119上、店舗来店者が多い生活エリアほど色等の濃淡が濃く表示されるので、発注者がどのエリアに店舗の来店者(顧客)の生活エリアがあるのかを一見して把握することが可能となっている。
【0049】
再び図6及び7を参照する。図6及び7は、発注者が初めて(初回)動画広告の発注を行う際の発注画面である。まず発注者は、例えばインストリーム広告又はバンパー広告の何れか一の配信方法111を選択する。
【0050】
次に発注者は、動画広告を配信する配信期間112を設定する。なお遊技場店舗(パチンコ店舗等)が、遊技機の新台入替の告知広告を配信する場合には、集客効果が特に高い新台入替日の前日から3日間程度に設定するのが望ましく、土日・祝日又は特定日(イベント日等)に集客したい場合には、その前日から3日間程度に設定するのが望ましい。また店舗の所在地域によっては、新台入替の告知広告は、新台入替日の当日のみ、3日新台入替日から3日以内迄という組合等の取り決めによる広告期間ルールがある。このため、支援サーバ10は、このような地域に所在する店舗が新台入替の告知広告を配信する場合、配信期間を新台入替日当日の1日のみや最長3日迄というように入力を禁止・制限する制御を実行するとともに、その旨のアラートを出力する。
【0051】
次に発注者は、ヒートマップ表示設定113を行う。ヒートマップ表示設定は、表示されるヒートマップ119の作成元となる携帯ユーザの行動データの抽出条件を発注者が設定するために使用される。ヒートマップ表示設定として具体的に発注者は、ヒートマップの対象店舗114を選択することができる。例えば自店舗Aが選択されたとき(デフォルト選択済み)、ヒートマップ上に自店舗Aの来店者の密度分布図119cが表示されるとともに、地図上に自店舗Aの店舗位置を示す店舗アイコン119bが重ねて表示される。また競合店舗B及び/又はCが選択されたとき(デフォルト選択済み)、ヒートマップ上に競合店舗B及び/又はCの来店者の密度分布図119dが、自店舗Aの来店者の密度分布図119cとは識別可能な異なる色を用いて表示されるとともに、地図上に競合店舗B及び/又はCの店舗位置を示す店舗アイコン(非図示)が重ねて表示される。なお、地図上に競合店舗の密度分布図119dを表示する理由は、遊技場店舗(パチンコ店舗等)における来店者層は近隣店舗を複数掛け持ちする傾向が非常に高く、互いの来店者層が共通するためである。
【0052】
またヒートマップ表示設定として、来店者条件115を設定できる。例えば最新来店日に「1か月~」が選択されたとき、ヒートマップ上に近々の一か月以内に来店していない来店者(店舗へ暫く足が遠ざかっていた来店者)のみを表示した密度分布図119cが表示される。近々に来店実績のある来店者は例えば店内掲示や来店者同士の会話を通じて新台告知を既に認識している可能が高い。このため、この機能により店舗へ暫く足が遠ざかっていた来店者に絞って広告配信できるので、非ターゲット者に対する広告の無駄打ちを低減し、広告効果を高めることができる。一方、動画広告がファン感謝祭といった常連来店者に向けたコンテンツである場合、最新来店日に「~1週間以内」及び「1週間~1か月」が選択することで、逆に近々に来店実績のある来店者に絞って広告配信できるので、非ターゲット者に対する広告の無駄打ちを低減し、広告効果を高めることができる。
【0053】
次に発注者は、広告予算116を設定する。広告予算は任意の金額に変更可能であるが、予め現実的な目安金額に基づいて設定可能な広告予算範囲が決められている。例えば配信日数が1~3日間の場合、設定可能な広告予算¥10,000~¥30,000といった具合である。広告予算が極めて少額に設定された場合にはその範囲での配信数は広告効果が期待できないし、極めて高額に設定された場合には確実に予算分の配信を消化しきれないためである。
【0054】
発注者は操作アイコン117の「+」「-」を押下することで、広告予算を¥10,000単位で広告予算の増減操作を行うことができる。本実施形態において広告予算は最低金額¥10,000から設定でき、¥10,000単位で増額できる。
【0055】
次に発注者は、ヒートマップ119上で動画広告の配信エリア118を確認する。ヒートマップ119においては、地図119a上に、自店舗Aの店舗位置を示す店舗アイコン119bと、自店舗Aの来店者の密度分布図119cとが重畳して表示されている。自店舗Aの来店者の密度分布図119cでは、自店舗来店者の生活エリアの密度が高いエリアほど濃く密度が低いエリアほど淡い濃淡表示がなされている。また、地図119a上に、店舗Aに対する競合店舗の店舗位置を示す店舗アイコン(非図示)と、競合店舗の来店者の密度分布図119dとが同様に表示されている。競合店舗の来店者の密度分布図119dでは、競合店舗来店者の生活エリアの密度が高いエリアほど濃く密度が低いエリアほど淡い濃淡表示がなされている。
【0056】
またヒートマップ119上には推奨配信エリア円119eが表示されている。配信エリア円は地図上から動画広告の配信エリア領域を設定(指定)するためものであるが、推奨配信エリア円119eは、来店者の生活エリアの密度や、過去の配信履歴がある場合には過去の広告予算消化率に応じて最適化された配信エリア円である。
【0057】
具体的に、動画広告の配信エリアが単位面積あたりの来店者生活エリアの密度が最も大きくなるように、推奨配信エリア円を探索し設定される。つまり自店舗及び競合店舗の来店者であって当該来店者の生活エリア位置の数が、単位面積あたり最大となる配信エリア円を設定する。この結果、ヒートマップ119上の推奨配信エリア円119eは、店舗来店者が多いことを示す濃い色の生活エリアがなるべく多く含まれながら、その一方薄い色のエリアや非生活エリアがなるべく少なくなるような配信エリア円となる。
【0058】
なお、基本的に発注者は推奨配信エリア円119eの配信エリアをそのまま設定してよいが、発注者(経験値の高い発注者等)が場合によって推奨配信エリア円119eの位置(中心位置)を移動したり大きさ(広さ)をカスタマイズ調整変更するようにしてもよい。
【0059】
次に発注者は、入稿する動画広告120のアップロードを行う。アップロードする動画広告ファイルは、発注者端末50内の動画ファイルや「動画制作ツール」で制作した動画ファイルの中から選択することができる。
【0060】
次に発注者は、動画広告の遷移先URL121を入力する。遷移先URLは、動画広告がクリック操作された場合に遷移する遷移先ウェブサイトのランディングページURLである。
【0061】
最後に発注者は、以上の発注設定内容を確認の上、「発注」122を押下することで、入稿した動画広告を配信エリア内のユーザ端末60に対して配信することができる。
【0062】
なお、本実施形態において、ヒートマップ119上における競合店舗の来店者の密度分布図119dは、単に競合店舗に来店したことのある来店者(店舗Aに来店したことのない来店者を含んでいる)の生活エリアの密度分布図のみならず、自店舗Aに来店したことのある来店者であって且つ競合店舗にも来店したことのある来店者の生活エリアの密度分布図であってもよい。
【0063】
(動画広告レポート画面)
図8は、本実施形態に係る動画広告配信のレポート画面の一例を示す。上述したように配信履歴DB109bには、過去に配信された動画広告の配信履歴情報が保存されている。発注者(店舗担当者等)は、レポート画面を介して過去に配信された動画広告の配信履歴を参照することができる。なお図8に示されるレポートサマリーによれば、「配信期間」3日、「広告予算」¥30000に対して「広告配信費用」¥22500となっており、「広告予算消化率」は75%に留まっていることが分かる。
【0064】
(次回の動画広告発注画面)
図9は、本実施形態に係る動画広告配信の発注画面の一例を示す。図6、7は発注者が初めて(初回に)動画広告の発注を行う際の発注画面であったのに対し、図9は発注者が次回(2回目~)に動画広告の発注を行う際のヒートマップ119を含む発注画面(図7に対応)である。図9を参照しつつ以下説明する。なお図6、7との重複する説明は省略する。
【0065】
発注者は初回と同じように広告予算116を設定するに際し、図7とは異なり、広告予算の初期値として前回の広告予算金額が表示されている。これにより発注者が前回広告予算を一見して把握できるとともに、今回の広告予算に変更がない場合には広告予算設定操作を省くことができる。
【0066】
次に発注者は、ヒートマップ119上で動画広告の配信エリア118を確認する。ヒートマップ119においても、地図119a上に、自店舗Aの店舗位置を示す店舗アイコン119bと、自店舗Aの来店者の密度分布図119cとが表示されている。また、地図119a上に、店舗Aに対する競合店舗の店舗位置を示す店舗アイコン(非図示)と、競合店舗の来店者の密度分布図119dとが表示されている。
【0067】
またヒートマップ119上には、推奨配信エリア円119e及び推奨配信エリア円119e+1が表示されている。推奨配信エリア円119eは、初回の発注画面上に表示された推奨配信エリア円であり(図7)、比較説明する上で便宜的に示したものである。今回の推奨配信エリア円119e+1は、過去前回の広告予算消化率に応じて最適化された配信エリア円である。
【0068】
また、円の半径(即ち配信エリア)が前回10kmから12kmと大きくなっていることが分かる。前回の動画広告では、「配信期間」3日、「広告予算」¥30,000という条件の下、配信エリアを推奨配信エリア円119eとして動画広告を配信した結果、「広告予算消化率」が75%と十分に広告予算を消化することができなかった(図8)。よって今回の推奨配信エリア円119e+1は、「配信期間」3日、「広告予算」¥30000という同条件の下、過去前回の広告予算消化率に応じて最適化された配信エリア円である。
【0069】
前回の配信エリア円119e(説明の便宜上図示した)の半径10kmに対し、配信期間(例えば初期表示3日)及び広告予算(例えば初期表示30000円)を同一条件として、今回の推奨配信エリア円119e+1は半径12kmと配信エリアが大きくなっている。これにより、前回の配信エリア(半径10km)では予算未消化であったところ、今回の配信エリア(半径12km)においては配信エリアが広くなった分、今回は当初予算の消化が期待できる。
【0070】
<情報処理>
(動画広告配信の流れ)
図10は、本実施形態に係る動画広告配信処理シーケンス図を示す。広告配信システム100における動画広告配信の流れを以下に沿って説明する。
【0071】
S1:発注者が発注者端末50から支援サーバ10に対してID及びパスワードを使ってログイン・アクセスすると、発注者端末50から支援サーバ10に対して発注画面表示要求が送信される。
【0072】
S2:支援サーバ10は、発注者端末50からの発注画面表示要求を受信すると、ヒートマップ119(推奨配信エリア円を含む)を作成し、作成したヒートマップ119を含む発注画面データ(図6、7及び9)を生成する。
【0073】
S3:支援サーバ10は、発注者端末50からの発注画面表示要求に応答し、ヒートマップ119を含む発注画面データを送信する。
【0074】
S4:発注者が発注者端末50上の発注画面から動画広告配信の発注を行うと、発注者端末50から支援サーバ10に対して発注情報が送信される。発注情報は、例えば、発注者ID、配信方法、配信期間、広告予算、中心位置/半径(配信エリア)、動画広告データ、動画広告の遷移先URLを含む。
【0075】
S5:支援サーバ10は、発注者端末から発注情報を受信すると、配信履歴DB109bに発注情報のうち例えば「発注者ID」、「配信期間」、「広告予算」、「中心位置/半径」、「視聴単価」(料金体系による)、「配信動画」などを格納の上、広告配信サーバ30に発注情報を転送する。なお、配信エリアを示す「中心位置/半径」はそのままの情報ではなく、広告配信サーバ30側が配信エリアを特定可能な配信エリア情報(緯度経度座標で特定される領域、地名、市町村番地など)に変換する。
【0076】
S6:一方、ユーザがユーザ端末60(携帯端末60aを含む)を用いてコンテンツサーバ40の動画サイトにアクセスし、所望の動画コンテンツ(遊技機実践紹介動画やエンタメ動画系の動画コンテンツ等)を再生・視聴するため、ユーザ端末60の位置情報を含む動画コンテンツ再生要求を送信する。
【0077】
S7:コンテンツサーバ40は、ユーザ端末60から動画コンテンツ再生要求を受信すると、広告配信サーバ30に対して、ユーザ端末60の位置情報を含む動画広告取得要求を送信する。なおユーザ端末60が携帯端末60aである場合、携帯端末60aの位置情報は、携帯端末60a自身のGPSの位置を付与してもよいし、通信キャリアの基地局等がデータ通信の途中に携帯端末60aのGPSの位置を付与してもよいし、もしくは携帯端末60aに割り当てられたグローバル・IPアドレス(少なくとも端末のアクセス元の地域位置を識別可能なIPアドレス)である。またユーザ端末60がPC端末60bやスマートTVである場合は、PC端末60bやスマートTVの位置情報は、PC端末60bやスマートTVに割り当てられたグローバル・IPアドレス(少なくとも端末のアクセス元の地域位置を識別可能なIPアドレス)である。
【0078】
S8:広告配信サーバ30は、コンテンツサーバ40から動画広告取得要求を受信すると、発注中状態にある動画広告の中からコンテンツサーバ40に対して送信する動画広告を抽出する。具体的に、広告配信サーバ30は、発注中状態にある動画広告の中からまず現在時刻が「配信期間」内にある動画広告であり、「広告予算」が残っている予算未消化の動画広告を抽出する。更に広告配信サーバ30は、支援サーバ10からの発注情報のうち動画広告の配信エリア情報とユーザ端末60の位置情報とを比較し、ユーザ端末60の位置が配信エリア内に位置する動画広告を抽出する。
【0079】
本実施形態に係る動画広告は、遊技場店舗(パチンコ店舗等)を宣伝するための動画広告である。このためユーザ嗜好との親和性の観点から、動画広告は例えば遊技機実践紹介動画系やエンタメ動画系ジャンルの動画コンテンツに対して挿入されることがより望ましい。遊技場に全く関心のないユーザ層や遊技場にそもそも入場できない18才以下のユーザ層の好むジャンルの動画コンテンツに対して動画広告を挿入しても集客は期待できないためである。
【0080】
S9:広告配信サーバ30は、S8で抽出した動画広告データをその配信方法及び動画広告の遷移先URLとともに、コンテンツサーバ40に対して送信する。
【0081】
なお、ユーザ端末60の位置が配信エリア内に位置しない場合、広告配信サーバ30は、配信先ユーザ端末の位置に依存しないタイプの動画広告データ(例えば一般動画広告)を、コンテンツサーバ40に対して適宜送信することができる。
【0082】
S10:コンテンツサーバ40は、広告配信サーバ30から動画広告データを受信すると、S6で再生要求された動画コンテンツに対し、配信方法に従って動画広告データを遷移先URLとともに挿入した動画コンテンツデータをユーザ端末60に対して送信する。これにより、ユーザがユーザ端末60を用いて動画コンテンツを再生すると、動画コンテンツの冒頭又は途中又は終わりに動画広告が再生される。
【0083】
(ヒートマップ及び配信エリア円の作成処理)
図11は、本実施形態に係るヒートマップ及び配信エリア円の作成処理を示すフローチャートを示す図である。支援サーバ10のCPU11が本フローチャートを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。
【0084】
S21:支援サーバ10は、発注者端末50から発注画面表示要求を受信し、発注画面表示要求を受信した場合、S22へ進む。
【0085】
S22:支援サーバ10は、ヒートマップ作成(更新)の時期が否かを判定する。行動データ蓄積DB20に蓄積された携帯ユーザの行動データは逐次更新されるため、発注者端末50から発注画面表示要求の都度、ヒートマップ119も更新し最新のものを作成することも可能であるが、来店者の生活エリアは毎日単位で頻繁に変わるものではなく発注画面表示レスポンス等の観点からもヒートマップ更新は一定スパン毎、例えば1か月に1回とすることが適当である。この場合は1か月の間は同じヒートマップ119が用いられ続けてよい。
【0086】
S23:支援サーバ10は、ヒートマップ作成(更新)の時期が来た場合、ヒートマップ119を作成(更新)する。まず支援サーバ10は、行動データ蓄積DB20に蓄積された携帯ユーザの行動データを解析することで、自店舗及び競合店舗の来店者(顧客)、並びに当該来店者の生活エリア位置を推定・特定し、地図中に既定されている格子状のエリア毎に、エリア内に生活エリア位置が所在する来店者数を集計する。そしてエリア毎の来店者数の集計結果に基づいて、店舗来店者の生活エリアの密度分布図を作成し、作成した密度分布図を地図上に重ね合わせることで、ヒートマップ119を作成する。またヒートマップ119上、店舗来店者が多い生活エリアほど色等の濃淡が濃く表示させる。
【0087】
S24:支援サーバ10は、S23で作成したヒートマップ119に応じた第1配信エリア円の作成を行う。なお第1配信エリア円の作成とは、配信エリア円の中心位置と半径を決定することでもある。
【0088】
図12は、本実施形態に係る第1配信エリア円の作成を説明する図である。支援サーバ10は、動画広告の配信エリアを、エリア単位面積あたりの来店者生活エリアの密度が最も大きくなるように、推奨配信エリア円を探索し設定する。つまり自店舗及び競合店舗の来店者であって当該来店者の生活エリア位置の数が、単位面積あたり最大となる第1配信エリア円を設定する。
【0089】
この結果、ヒートマップ119上、配信エリア円は、店舗来店者が多いことを示す濃い色の生活エリアがなるべく多く含まれながら、その一方薄いエリア及び非生活エリアがなるべく少なくなるような配信エリア円となる。このように第1配信エリア円を動画広告の配信エリアとすることにより、動画広告のターゲット者が多く生活するエリアに対し多くの動画広告配信を実現するとともに、ターゲット者が多く生活しないエリアへの動画広告の無駄打ちを低減し、広告効果を高めることができる。
【0090】
なお、従来に広告配信エリアを設定する際に、自店舗位置を中心位置とした近隣半径の所定エリアを配信エリアとしていたが、本実施形態に係る推奨配信エリア円は、その中心位置が必ずしも自店舗位置(但し推奨配信エリア円内である)にならないこともある。動画広告の配信エリアが単位面積あたりの来店者の生活エリアの密度(生活エリア位置の数)が最も大きくなった配信エリア円の中心位置が必ずしも自店舗位置と一致しない場合もあるためである。例えば地域によっては自店舗位置のすぐ近隣に山間部や海川部などの来店者の生活エリアになり得ないエリアがあったり、自店舗位置の近隣一部に来店者の生活エリアが偏って多く集中している場合がある。この場合、例えば前者地域は配信エリア円外に、後者地域は配信エリア円内に入るように設定された結果、推奨配信エリア円の中心位置が自店舗位置とはズレが生じうる。
【0091】
S25:支援サーバ10は、S23で作成したヒートマップ119上に、S24で作成し第1配信エリア円を配置する(図7の推奨配信エリア円119eに相当)。
【0092】
S26:一方、支援サーバ10は、ヒートマップ作成(更新)の時期でない場合、配信履歴DB109bを参照し、前回のヒートマップ(「ヒートマップ」)及び前回の配信エリア円(「中心位置/半径」)を取得する。
【0093】
S27:支援サーバ10は、配信履歴DB109bを参照し、前回の配信履歴の「広告予算未消化率」が所定率未満か否かを判定する。前回の配信履歴の「広告予算未消化率」が所定率未満でない場合、S28へ進む。前回の配信履歴の「広告予算未消化率」が所定率未満である場合、S29へ進む。
【0094】
S28:支援サーバ10は、S26で取得した前回のヒートマップ119上に、S26で取得した前回の配信エリア円を配置する(図9の推奨配信エリア円119eに相当)。
【0095】
S29:支援サーバ10は、前回の配信履歴の「広告予算未消化率」が所定率未満である場合、S26で取得した前回の配信エリア円の半径を大きくした第2配信エリア円の作成を行う。
【0096】
ここで、前回の配信履歴の「広告予算未消化率」が所定率未満である場合、今回も同条件、同じ配信期間、広告予算、配信エリア(配信エリア円)に、動画広告を配信したとしても、広告予算に満たないことが想定される。上述したように本実施形態に係る動画広告配信は、ユーザが視聴する動画コンテンツの冒頭や途中又は終わりに動画広告が挿入再生されるという形で配信されるため、動画コンテンツの視聴回数が少ない場合は「視聴回数」も少なくなり、その結果広告予算が消化しきれない。
【0097】
よって、支援サーバ10は、配信履歴DB109bの配信履歴情報を参照し、「広告予算消化率」が100%未満の場合、「広告予算消化率」に応じて、前回と同じ配信期間及び広告予算という条件の下、前回の配信エリア(配信エリア円の「半径」)を大きくなるように調整する。配信エリア(配信エリア円の「半径」)が大きくなることで、配信エリア内のユーザ数が多くなるので、動画コンテンツの視聴回数がその多くなる分動画広告の「視聴回数」も多くなり、その結果広告予算を消化することが可能である。
【0098】
なお、広告予算を消化させる方向に働くパラメータとして、配信エリア(配信エリア円の「半径」)を大きくする他、配信期間を長くするか、広告予算を少なくするか、もしくはこれら同時に調整することが考えられる。
【0099】
しかしながら、遊技場店舗による動画広告は、新台入替の告知広告が極めて多くを占めること、新台入替の告知広告は広告効果の観点から3日間程度が望ましいことが経験則上分かっていること(例えば一週間後にはもはや新台広告効果は弱い)、地域によっては新台入替の告知広告は新台入替日の当日のみや新台入替日の3日以内迄という組合等の取り決めによる広告期間ルールがあることから、店舗担当者が広告予算消化のみを目的として(広告予算を消化させたいとはいえ)、配信期間を延長することはない又は延長しにくいという事情がある。また、せっかく予算設定したのだからやはり予算分消化しかかった、予算分フルにもっと多くのユーザへ広く広告を届けたかった、という声が圧倒的に多いという実情からも、せっかく獲得した広告予算を広告消化のみを目的として広告予算を縮小することはない又はその可能性が低い。つまり、広告予算を消化させるために現実的に調整しうるのは配信エリアであるということができる。また、本実施形態では、配信期間及び広告予算を前回と同条件つまり一定とすることで、配信エリア(配信エリア円の「半径」)を大きく調整する処理説明の理解を容易にすることができる。
【0100】
図13は、本実施形態に係る第2配信エリア円の作成を説明する図である。例えば、前回の配信履歴(図5)は、「配信期間」2021/1/18 00:00~2021/1/20 23:59、「広告予算」が¥30000、「広告配信費用」が¥22500、「広告予算消化率」75%、配信エリア円の「半径」が10kmである。
【0101】
(方法1)
支援サーバ10は、今回の「広告予算消化率」に応じて今回の配信エリア円の「半径」を拡大することができる。具体的に、支援サーバ10は、「広告予算消化率」が例えば80%未満である場合、今回の配信エリア円の「半径」を前回よりも拡大率120%分拡大し、12kmとする。また「広告予算消化率」が80%以上~90%未満である場合、今回の配信エリア円の「半径」を前回よりも拡大率110%分拡大し、11kmとする。また「広告予算消化率」が90%以上である場合、今回の配信エリアは前回と同じ100%とする。
【0102】
このように、広告予算消化率に応じて所定閾値を設け、前回の「広告予算消化率」が小さいほど、今回の配信エリア円の半径を大きくする。これにより今回の「広告予算消化率」が100%(ないし100%近く)となることが期待できる(図7)。
【0103】
(方法2)
支援サーバ10は、前回の配信エリア内のユーザ数に応じて今回の配信エリア円の「半径」を拡大することができる。具体的に、前回の配信エリア内のユーザをxとする。このとき今回の「広告予算消化率」が100%になるために追加で必要なユーザy(y>0)は、約0.33xである(x:75%=(x+y):100%)。
【0104】
そうすると、今回の配信エリア内のユーザが前回の約1.3倍となるように配信エリア、即ち配信エリア円の「半径」を拡大(例えば12km)することで、今回の「広告予算消化率」が100%(ないし100%近く)となることが期待できる(図9)。なお、配信エリア内のユーザは、支援サーバ10が例えば広告配信サーバ30から問い合わせて取得したものを用いることができる。広告配信サーバ30は、所定エリア内のユーザ端末60の位置情報に基づいて同エリア内のユーザ数をリアルタイム又は過去の実績ベースで把握が可能である。
【0105】
なお、過去の配信履歴は、前回の配信履歴のみならず、過去複数の「広告予算消化率」が100%未満の配信履歴が存在する場合は、何れか一の配信履歴に基づいて配信エリアを大きくしてもよいし、これら複数の配信履歴の平均履歴に基づいて配信エリアを大きくしてもよい。
【0106】
S30:支援サーバ10は、S26で取得したヒートマップ119上に、S29で作成し第2配信エリア円を配置する(図9の推奨配信エリア円119e+1に相当)。
【0107】
<総括>
以上本実施形態に係る広告配信システム100においては、動画広告を発注する発注画面上、発注者は、自店舗や競合店舗における来店者の生活エリア分布を、実際の地図上に重ね合わせて表示したヒートマップを見ながら配信エリア範囲を指定することができるので、動画広告のターゲット者が多く生活するエリアに対し多くの動画広告配信を実現するとともに、ターゲット者が多く生活しないエリアへの動画広告の無駄打ちを低減し、広告効果を高めることができる。また、過去の動画広告配信時に広告予算の未消化が発生した場合には、今回は広告予算が未消化とならないよう配信エリアが再調整された配信エリア範囲が指定可能に表示されるので、予算相当分の動画広告をユーザに対して広く配信することが可能である。
【0108】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0109】
本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【0110】
また、本実施形態に係る店舗は、遊技場店舗(パチンコ店等)のみならず、近隣者のリピーターが主な来店者で占める地域密着型スーパーや飲食店の動画広告の配信にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 広告発注支援サーバ
20 行動データ蓄積DB
30 広告配信サーバ
40 コンテンツサーバ
50 発注者端末
60 ユーザ端末
60a 携帯端末
60b PC端末
70 ネットワーク
100 広告配信システム
101 ヒートマップ作成部
102 第1配信エリア配置部
103 第2配信エリア配置部
104 表示制御部
105 発注情報取得部
109 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13