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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】工具交換装置、および、工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20221206BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
B23Q11/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021067839
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162819
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康司
(72)【発明者】
【氏名】高原 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 利明
(72)【発明者】
【氏名】宮本 晴久
(72)【発明者】
【氏名】徳永 明
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103330(JP,A)
【文献】特開2007-030062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155
B23Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を取り付け可能な加工ヘッドと工具を保持可能な工具保持部材との間の開口部を閉鎖可能なシャッターと、
前記シャッターを駆動する第1サーボモータと、
前記加工ヘッドと前記工具保持部材との間で工具を交換する交換アームと、
前記交換アームを、回転駆動する第2サーボモータと、
前記第1サーボモータから、前記シャッターの位置を示す第1信号を受信し、前記第2サーボモータから、前記交換アームの回転角を示す第2信号を受信し、かつ、前記第1サーボモータおよび前記第2サーボモータを制御する制御装置と
を具備し、
前記シャッターは、前記開口部を閉鎖する第1位置と、前記開口部を開放する第2位置との間で移動可能であり、
前記交換アームは、第1軸まわりに回転して、前記加工ヘッドに工具を取り付ける工具取付位置から、前記第1位置にある前記シャッターと干渉しない待機位置に移動可能であり、
前記制御装置は、
前記工具取付位置から前記待機位置への前記交換アームの回転移動が完了する前に、前記第1サーボモータに制御信号を送信して、前記第1サーボモータに前記シャッターの閉動作を開始させ、
前記第1信号および前記第2信号に基づいて、閉動作中の前記シャッターが所定の第3位置に達したときに、前記交換アームの回転角が所定の退避角度に達しているか否かを判定し、
前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達していないと判定した場合に、前記交換アームに干渉しない位置で前記シャッターを停止させるシャッター停止処理を実行する
工具交換装置。
【請求項2】
前記交換アームが所定の前記退避角度に達した状態が、前記交換アームの全体が前記開口部よりも前記工具保持部材側に退避した状態となるように、所定の前記退避角度が設定されている
請求項1に記載の工具交換装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記シャッターの開動作時に、前記第1信号に基づいて、前記シャッターが、前記第1位置と前記第2位置との間の所定の第4位置を通過するタイミングを特定し、
前記タイミングで、前記第2サーボモータに制御信号を送信して、前記待機位置から工具受取位置への前記交換アームの移動を開始させる
請求項1または2に記載の工具交換装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記シャッター停止処理の実行中に、前記第2信号に基づいて、前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達しているか否かを判定し、
前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達している場合、前記シャッターが停止する前に前記シャッター停止処理を中止して、前記シャッターを前記第1位置に移動させる動作を再開させる
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具交換装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記シャッター停止処理が完了して前記シャッターが停止した後に、前記第2信号に基づいて、前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達しているか否かを判定し、
前記シャッター停止処理の完了後において、所定の期間が経過するまでに前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達している場合、前記シャッターを前記第1位置に移動させる動作を再開させ、前記シャッター停止処理の完了後において、前記所定の期間が経過するまでに前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達しなかった場合、アラームを発出する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の工具交換装置。
【請求項6】
ワークを支持するワーク支持装置と、
工具を取り付け可能な加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記ワーク支持装置に対して相対移動させる第1駆動装置と、
工具を保持可能な工具保持部材と、
工具を保管するマガジンと、
前記加工ヘッドが配置される第1室と、前記工具保持部材が配置される第2室との間に配置され、開口部を有する仕切壁と、
工具交換装置と
を具備し、
前記工具交換装置は、
前記開口部を閉鎖可能なシャッターと、
前記シャッターを駆動する第1サーボモータと、
前記加工ヘッドと前記工具保持部材との間で工具を交換する交換アームと、
前記交換アームを、回転駆動する第2サーボモータと、
前記第1サーボモータから、前記シャッターの位置を示す第1信号を受信し、前記第2サーボモータから、前記交換アームの回転角を示す第2信号を受信し、かつ、前記第1サーボモータおよび前記第2サーボモータを制御する制御装置と
を備え、
前記シャッターは、前記開口部を閉鎖する第1位置と、前記開口部を開放する第2位置との間で移動可能であり、
前記交換アームは、第1軸まわりに回転して、前記加工ヘッドに工具を取り付ける工具取付位置から、前記第1位置にある前記シャッターと干渉しない待機位置に移動可能であり、
前記制御装置は、
前記工具取付位置から前記待機位置への前記交換アームの回転移動が完了する前に、前記第1サーボモータに制御信号を送信して、前記第1サーボモータに前記シャッターの閉動作を開始させ、
前記第1信号および前記第2信号に基づいて、閉動作中の前記シャッターが所定の第3位置に達したときに、前記交換アームの回転角が所定の退避角度に達しているか否かを判定し、
前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達していないと判定した場合に、前記交換アームに干渉しない位置で前記シャッターを停止させるシャッター停止処理を実行する
工作機械。
【請求項7】
前記退避角度は、前記工具取付位置から前記待機位置に向かう前記交換アームが前記待機位置に到達して回転移動を完了する前の角度位置に設定されている
請求項2に記載の工具交換装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具交換装置、工作機械、および、工具交換装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工具交換装置を用いて、工具の交換を行う技術が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、自動工具交換装置が開示されている。特許文献1に記載の自動工具交換装置は、工具交換アームを旋回せしめる第1のアクチュエータと、待機位置における工具交換アームと工作機械の工具主軸との間に配置された開閉自在のカバーとを備える。特許文献1に記載の自動工具交換装置では、第1のアクチュエータが工具交換アームを待機位置から工具把持位置に旋回するのに同期してカバーが開かれ、第1のアクチュエータが工具交換アームを工具把持位置から待機位置に旋回するのに同期してカバーが閉じられる。
【0004】
特許文献1に記載の自動工具交換装置では、工具交換アームとカバーとの同期が純機械的に行われる。このため、工具交換アームとカバーとを独立して制御することができず、汎用性が低い。そこで、工具交換アームとカバーとを独立して制御可能とし、制御アルゴリズムを工夫することで、工具交換アームとカバーとを同期させることが考えられる。
【0005】
しかし、工具交換アームとカバーとを独立して制御可能とする場合、工具交換アームの動作不良等に起因して、工具交換アームとカバーとが衝突するおそれがある。特に、従来、この種のカバーの駆動は、油圧アクチュエータあるいはエアーアクチュエータを用いて実行されているため、カバーの位置を正確かつリアルタイムに把握することが困難であり、衝突を確実に回避することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実願昭63-132357号(実開平2-53331号)のマイクロフィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、交換アームの動作不良が発生する場合でも交換アームとシャッターとの間の干渉を回避可能な工具交換装置、工作機械、および、工具交換装置の動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態における工具交換装置は、工具を取り付け可能な加工ヘッドと工具を保持可能な工具保持部材との間の開口部を閉鎖可能なシャッターと、前記シャッターを駆動する第1サーボモータと、前記加工ヘッドと前記工具保持部材との間で工具を交換する交換アームと、前記交換アームを、回転駆動する第2サーボモータと、前記第1サーボモータから、前記シャッターの位置を示す第1信号を受信し、前記第2サーボモータから、前記交換アームの回転角を示す第2信号を受信し、かつ、前記第1サーボモータおよび前記第2サーボモータを制御する制御装置と、を具備する。前記シャッターは、前記開口部を閉鎖する第1位置と、前記開口部を開放する第2位置との間で移動可能である。前記交換アームは、第1軸まわりに回転して、前記加工ヘッドに工具を取り付ける工具取付位置から、前記第1位置にある前記シャッターと干渉しない待機位置に移動可能である。前記制御装置は、前記工具取付位置から前記待機位置への前記交換アームの回転移動が完了する前に、前記第1サーボモータに制御信号を送信して、前記第1サーボモータに前記シャッターの閉動作を開始させ、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、閉動作中の前記シャッターが所定の第3位置に達したときに、前記交換アームの回転角が所定の退避角度に達しているか否かを判定し、前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達していないと判定した場合に、前記交換アームに干渉しない位置で前記シャッターを停止させるシャッター停止処理を実行する。
【0009】
いくつかの実施形態における工作機械は、ワークを支持するワーク支持装置と、工具を取り付け可能な加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記ワーク支持装置に対して相対移動させる第1駆動装置と、工具を保持可能な工具保持部材と、工具を保管するマガジンと、前記加工ヘッドが配置される第1室と、前記工具保持部材が配置される第2室との間に配置され、開口部を有する仕切壁と、工具交換装置と、を具備する。工具交換装置は、前記開口部を閉鎖可能なシャッターと、前記シャッターを駆動する第1サーボモータと、前記加工ヘッドと前記工具保持部材との間で工具を交換する交換アームと、前記交換アームを、回転駆動する第2サーボモータと、前記第1サーボモータから、前記シャッターの位置を示す第1信号を受信し、前記第2サーボモータから、前記交換アームの回転角を示す第2信号を受信し、かつ、前記第1サーボモータおよび前記第2サーボモータを制御する制御装置と、を備える。前記シャッターは、前記開口部を閉鎖する第1位置と、前記開口部を開放する第2位置との間で移動可能である。前記交換アームは、第1軸まわりに回転して、前記加工ヘッドに工具を取り付ける工具取付位置から、前記第1位置にある前記シャッターと干渉しない待機位置に移動可能である。前記制御装置は、前記工具取付位置から前記待機位置への前記交換アームの回転移動が完了する前に、前記第1サーボモータに制御信号を送信して、前記第1サーボモータに前記シャッターの閉動作を開始させ、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、閉動作中の前記シャッターが所定の第3位置に達したときに、前記交換アームの回転角が所定の退避角度に達しているか否かを判定し、前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達していないと判定した場合に、前記交換アームに干渉しない位置で前記シャッターを停止させるシャッター停止処理を実行する。
【0010】
いくつかの実施形態における工具交換装置の動作方法において、工具交換装置は、工具を取り付け可能な加工ヘッドと工具を保持可能な工具保持部材との間の開口部を閉鎖可能なシャッターと、前記加工ヘッドと前記工具保持部材との間で工具を交換する交換アームと、制御装置と、を具備する。前記シャッターは、前記開口部を閉鎖する第1位置と、前記開口部を開放する第2位置との間で移動可能である。前記交換アームは、第1軸まわりに回転して、前記加工ヘッドに工具を取り付ける工具取付位置から、前記第1位置にある前記シャッターと干渉しない待機位置に移動可能である。前記動作方法は、前記制御装置が、前記シャッターの位置を示す第1信号を受信する第1受信工程と、前記制御装置が、前記交換アームの回転角を示す第2信号を受信する第2受信工程と、前記交換アームを、前記工具取付位置から前記待機位置に移動させる交換アーム移動工程と、前記シャッターを、前記第2位置から前記第1位置に移動させるシャッター移動工程と、を具備する。前記シャッター移動工程は、前記交換アーム移動工程の完了前に開始される。前記シャッター移動工程は、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記シャッターが所定の第3位置に達したときに、前記交換アームの回転角が所定の退避角度に達しているか否かを判定する判定工程を有する。前記判定工程において、前記交換アームの回転角が所定の前記退避角度に達していないと判定されたときに、前記制御装置は、前記交換アームに干渉しない位置で前記シャッターを停止させるシャッター停止処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、交換アームの動作不良が発生する場合でも交換アームとシャッターとの間の干渉を回避可能な工具交換装置、工作機械、および、工具交換装置の動作方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施形態における工具交換装置を模式的に示す概略斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態における工具交換装置を模式的に示す概略斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態における工具交換装置を模式的に示す概略斜視図である。
図4図4は、シャッターの閉動作中におけるシャッターの位置と交換アームの角度位置との関係を模式的に示す図である。
図5図5は、シャッターが、交換アームに干渉しない位置で停止されることを説明する図である。
図6図6は、交換アームの回転角が退避角度と一致する状態を模式的に示す図である。
図7図7は、シャッターの閉動作中におけるシャッターの位置と交換アームの角度位置との関係を模式的に示す図である。
図8図8は、シャッターの閉動作中におけるシャッターの位置と交換アームの角度位置との関係を模式的に示す図である。
図9図9は、シャッターの開動作中におけるシャッターの位置と交換アームの角度位置との関係を模式的に示す図である。
図10図10は、シャッターの開動作を実行中の様子を模式的に示す図である。
図11A図11Aは、工具の交換動作を実行中の様子を模式的に示す図である。
図11B図11Bは、工具の交換動作を実行中の様子を模式的に示す図である。
図12図12は、シャッターの閉動作を実行中の様子を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態における工具交換装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態における工具交換装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態における工具交換装置の動作方法の変形例を示すフローチャートである。
図16図16は、第2の実施形態における工作機械を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、いくつかの実施形態における工具交換装置1、工作機械100、および、工具交換装置の動作方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1乃至図12を参照して、第1の実施形態における工具交換装置1について説明する。図1乃至図3は、第1の実施形態における工具交換装置1を模式的に示す概略斜視図である。図4は、シャッター40の閉動作中におけるシャッター40の位置と交換アーム60の角度位置との関係を模式的に示す図である。図5は、シャッター40が、交換アーム60に干渉しない位置PEで停止されることを説明する図である。図6は、交換アーム60の回転角が退避角度αと一致する状態を模式的に示す図である。図7および図8は、シャッター40の閉動作中におけるシャッター40の位置と交換アーム60の角度位置との関係を模式的に示す図である。図9は、シャッター40の開動作中におけるシャッター40の位置と交換アーム60の角度位置との関係を模式的に示す図である。図10は、シャッター40の開動作を実行中の様子を模式的に示す図である。図11Aおよび図11Bは、工具Cの交換動作を実行中の様子を模式的に示す図である。図12は、シャッター40の閉動作を実行中の様子を模式的に示す図である。
【0015】
第1の実施形態における工具交換装置1は、シャッター40と、第1サーボモータ50と、交換アーム60と、第2サーボモータ70と、制御装置8と、を具備する。
【0016】
図2に例示されるように、シャッター40は、工具Cを取り付け可能な加工ヘッド2と工具Cを保持可能な工具保持部材30との間の開口部OPを開放可能である。また、図3に例示されるように、シャッター40は、工具Cを取り付け可能な加工ヘッド2と工具Cを保持可能な工具保持部材30との間の開口部OPを閉鎖可能である。また、シャッター40は、開口部OPを閉鎖する第1位置P1(図3を参照。)と、開口部OPを開放する第2位置P2(図2を参照。)との間で移動可能である。
【0017】
図2に記載の例では、加工ヘッド2が配置される第1室SP1と、工具保持部材30および/またはマガジン3が配置される第2室SP2との間に、仕切壁49が配置され、当該仕切壁49に開口部OPが設けられている。
【0018】
シャッター40が開口部OPを閉鎖する第1位置P1にある状態では、第1室SP1が第2室SP2から隔離される。シャッター40が開口部OPを閉鎖している状態で、加工ヘッド2に取り付けられた工具Cによってワークが加工されることにより、第1室SP1から第2室SP2に切粉等が飛散することが防止される。また、シャッター40が開口部OPを開放している状態で、交換アーム60は、加工ヘッド2と工具保持部材30との間で工具Cを交換することが可能である。
【0019】
第1サーボモータ50は、シャッター40を駆動する。より具体的には、第1サーボモータ50は、仕切壁49に対して、シャッター40を直線的に相対移動させる。第1サーボモータ50は、シャッター40を、開口部OPを閉鎖する第1位置P1から開口部OPを開放する第2位置P2に移動させることができ、また、当該第2位置P2から第1位置P1に移動させることができる。
【0020】
図2に記載の例では、第1サーボモータ50と、シャッター40とは、第1サーボモータ50のロータおよび出力軸の回転を、シャッター40の直線運動に変換する機械的機構59を介して接続される。機械的機構59は、ボールねじを含んでいてもよく、複数の歯車を含んでいてもよい。
【0021】
交換アーム60は、加工ヘッド2と工具保持部材30との間で工具Cを交換する。より具体的には、交換アーム60は、工具保持部材30から受け取る第2工具C2を加工ヘッド2に受け渡し可能であり、加工ヘッド2から受け取る第1工具C1を工具保持部材30に受け渡し可能である。図2には、交換アーム60が、第2工具C2を加工ヘッド2に受け渡し、第1工具C1を工具保持部材30に受け渡した直後の状態が示されている。
【0022】
交換アーム60は、第1軸AX1まわりに回転して、加工ヘッド2に工具Cを取り付ける工具取付位置E3(図2を参照。)から、第1位置P1にあるシャッター40と干渉しない待機位置E1(図3を参照。)に移動可能である。交換アーム60は、例えば、第1軸AX1まわりに回転可能なように交換アーム支持装置65によって支持される。
【0023】
第2サーボモータ70は、交換アーム60を回転駆動する。より具体的には、第2サーボモータ70は、交換アーム支持装置65に対して、交換アーム60を、第1軸AX1まわりに相対回転させる。
【0024】
制御装置8は、第1サーボモータ50から、シャッター40の位置を示す第1信号を受信し、第2サーボモータ70から、交換アーム60の回転角(より具体的には、第1軸AX1まわりの回転角)を示す第2信号を受信する。
【0025】
制御装置8は、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて、シャッター40の位置をリアルタイムで特定することができる。より具体的には、制御装置8は、シャッター40が、基準となる位置から、どれだけ移動しているかを特定することができる。なお、基準となる位置は、第1位置P1であってもよいし、第2位置P2であってもよいし、その他の位置であってもよい。
【0026】
制御装置8は、第2サーボモータ70から受信する第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角をリアルタイムで特定することができる。より具体的には、制御装置8は、交換アーム60が、基準となる位置から、第1軸AX1まわりに、何度回転しているかを特定することができる。なお、基準となる位置は、工具取付位置E3であってもよいし、待機位置E1であってもよいし、その他の位置であってもよい。
【0027】
制御装置8は、第1サーボモータ50および第2サーボモータ70を制御する。
【0028】
制御装置8は、第1サーボモータ50に制御信号を送信することにより、第1サーボモータ50の駆動を制御する。制御信号は、第1サーボモータ50のロータを第1回転方向に回転させる信号を含んでいてもよく、第1サーボモータ50のロータを第2回転方向(第1回転方向とは反対の方向)に回転させる信号を含んでいてもよく、ロータの回転を加速させる信号を含んでいてもよく、ロータを定速で回転させる信号を含んでいてもよく、ロータを減速させる信号を含んでいてもよい。また、制御装置8は、第1サーボモータ50に駆動停止信号を送信することにより、第1サーボモータ50の駆動を停止させる。
【0029】
制御装置8は、第2サーボモータ70に制御信号を送信することにより、第2サーボモータ70の駆動を制御する。制御信号は、第2サーボモータ70のロータを第1回転方向に回転させる信号を含んでいてもよく、第2サーボモータ70のロータを第2回転方向(第1回転方向とは反対の方向)に回転させる信号を含んでいてもよく、ロータの回転を加速させる信号を含んでいてもよく、ロータを定速で回転させる信号を含んでいてもよく、ロータを減速させる信号を含んでいてもよい。また、制御装置8は、第2サーボモータ70に駆動停止信号を送信することにより、第2サーボモータ70の駆動を停止させる。
【0030】
図4に記載の例では、制御装置8は、交換アーム60が回転移動を完了する前に(換言すれば、交換アーム60が待機位置E1に到達する前に)、第1サーボモータ50に制御信号を送信して、シャッター40の閉動作を開始させる。より具体的には、制御装置8は、交換アーム60が工具取付位置E3(換言すれば、工具取付位置E3に対応する角度)から待機位置E1(換言すれば、待機位置E1に対応する角度)への回転移動を完了する前に、第1サーボモータ50に閉動作開始指令を送信して、第1サーボモータ50にシャッター40の閉動作を開始させる。交換アーム60が待機位置E1に到達する前に、シャッター40の閉動作が開始されることにより、工具Cの交換後に、シャッター40によって開口部OPが早く閉鎖される。このため、第1室SP1から第2室SP2に切粉等が飛散することが防止された状態で、次の加工を早く開始することができる。
【0031】
図4に記載の例では、制御装置8は、閉動作中のシャッター40が所定の第3位置P3に達したときに、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。
【0032】
制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していると判定した場合に、シャッター40の閉動作処理を継続する。交換アーム60が所定の退避角度αに達している場合、シャッター40を閉位置まで移動させても、シャッター40と交換アーム60とが接触することはない。
【0033】
他方、制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していないと判定した場合に、シャッター停止処理を実行する。シャッター停止処理は、交換アーム60に干渉しない位置PE(図5を参照。)でシャッター40を停止させる処理である。シャッター停止処理の実行により、シャッター40と交換アーム60との間の接触が防止される。なお、交換アーム60に干渉しない位置PEは、閉動作中のシャッター40が、交換アーム60と干渉する干渉位置PFに達する手前の位置である。
【0034】
第1の実施形態では、シャッター40の駆動が第1サーボモータ50により実行され、交換アーム60の駆動が第2サーボモータ70により実行される。この場合、制御装置8は、第1サーボモータ50からシャッター40の位置を示す第1信号を受信し、第2サーボモータ70から交換アーム60の回転角を示す第2信号を受信することにより、シャッター40の位置、および、交換アーム60の回転角をリアルタイムで特定することができる。また、制御装置8は、第1信号に基づいて、閉動作中のシャッター40が所定の第3位置P3に達したか否かを正確に判定することができ、第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを正確に判定することができる。さらに、これらの正確な判定に基づいて、シャッター停止処理が実行されるため、シャッター40と交換アーム60との接触がより確実に回避される。
【0035】
また、第1の実施形態では、シャッター40の位置の誤検出が生じにくい。これに対し、受光センサあるいはリミットスイッチからの信号のみを用いてシャッター40の位置を特定する場合には、シャッター40に付着した切屑等によって、シャッター40の位置が誤検出される可能性がある。
【0036】
また、第1の実施形態では、シャッター40の位置が、第1サーボモータ50からの信号によって特定されるため、シャッター40の位置を特定するためのセンサ(上述の光学センサ、あるいは、リミットスイッチ)の設置位置を調整する作業が不要となる。
【0037】
さらに、第1の実施形態では、シャッター40の位置が、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて特定されるため、シャッター40が到達したことを検出すべき位置(第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3等)の数に対応して複数のセンサを用意する必要がない。
【0038】
第1の実施形態では、制御装置8は、閉動作中のシャッター40が所定の第3位置P3に達したときに、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。図6に例示されるように、当該退避角度αは、交換アーム60とシャッター40との接触が確実に防止されるような角度に設定されていることが好ましい。より具体的には、交換アーム60の回転角が退避角度αに達した状態が、交換アーム60の全体が開口部OPよりも工具保持部材30側に退避した状態となるように、退避角度αが設定されていることが好ましい。交換アーム60の全体が開口部OPから退避していれば、交換アーム60とシャッター40との接触は生じ得ない。
【0039】
続いて、図1乃至図12を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0040】
(加工ヘッド2)
加工ヘッド2は、工具交換装置1に含まれていてもよい。代替的に、加工ヘッド2は、工具交換装置1には含まれず、後述の工作機械100の構成要素として、工作機械100に含まれていてもよい。図2に記載の例では、加工ヘッド2には、工具Cを取り付け可能である。加工ヘッド2は、工具Cが回転軸AXまわりを回転可能なように、工具Cを支持してもよい。換言すれば、加工ヘッド2は、工具Cを回転軸AXまわりに回転させることにより、ワークを加工する加工ヘッドであってもよい。
【0041】
(工具保持部材30)
工具保持部材30は、工具交換装置1に含まれていてもよい。代替的に、工具保持部材30は、工具交換装置1には含まれず、後述の工作機械100の構成要素として、工作機械100に含まれていてもよい。工具保持部材30は、工具Cを保持可能である。工具保持部材30は、例えば、工具Cを保管するマガジン3に設けられる。代替的に、工具保持部材30は、マガジン3とは別の工具保持装置に設けられてもよい。この場合、マガジン3から加工ヘッド2への工具Cの移送、あるいは、加工ヘッド2からマガジン3への工具Cの移送は、工具保持装置を中継して実行される。
【0042】
(マガジン3)
マガジン3は、工具交換装置1に含まれていてもよい。代替的に、マガジン3は、工具交換装置1には含まれず、後述の工作機械100の構成要素として、工作機械100に含まれていてもよい。図1に記載の例では、マガジン3は、複数の工具Cを保管可能である。マガジン3は、複数の工具Cをそれぞれ保持する複数の工具ホルダー33を備える。また、マガジン3は、複数の工具ホルダー33を循環経路に沿って移動させることが可能である。
【0043】
(シャッター40)
シャッター40は、第1位置P1(閉位置)と第2位置P2(開位置)との間で移動可能である。第1位置P1から第2位置P2に向かう方向、換言すれば、シャッター40が開く方向を第1方向DR1と定義し、第2位置P2から第1位置P1に向かう方向、換言すれば、シャッター40を閉じる方向を第2方向DR2と定義する。図1に記載の例では、第1方向DR1および第2方向DR2は、水平方向に平行である。代替的に、第1方向DR1および第2方向DR2は、鉛直方向に平行であってもよい。
【0044】
(第1エンコーダ51、および、第2エンコーダ71)
図1に記載の例では、第1サーボモータ50は、第1エンコーダ51を備える。第1エンコーダ51は、第1サーボモータ50のロータの回転角(あるいは、ロータの回転数および回転角)を取得し、当該回転角に対応する信号を、シャッター40の位置を示す第1信号として、制御装置8に送信する。
【0045】
図1に記載の例では、第2サーボモータ70は、第2エンコーダ71を備える。第2エンコーダ71は、第2サーボモータ70のロータの回転角(あるいは、ロータの回転数および回転角)を取得し、当該回転角に対応する信号を、交換アーム60の回転角を示す第2信号として、制御装置8に送信する。
【0046】
(交換アーム支持装置65)
図1に記載の例では、交換アーム支持装置65は、交換アーム60を、第1軸AX1まわりに回転可能、かつ、第1軸AX1に平行な方向に移動可能に支持する。図1に記載の例では、第1軸AX1は、シャッター40の移動方向(換言すれば、第1方向DR1あるいは第2方向DR2)と平行である。代替的に、第1軸AX1は、シャッター40の移動方向に対して傾斜していても構わない。
【0047】
(交換アーム60)
図1に記載の例では、交換アーム60は、第1アーム61と第2アーム62とを含む。第1アーム61の先端部には、工具Cを把持する第1把持部61aが設けられ、第2アーム62の先端部には、工具Cを把持する第2把持部62aが設けられる。図1に記載の例では、第1軸AX1から第1アーム61が延在する方向と、第1軸AX1から第2アーム62が延在する方向との間のなす角度は、180度である。換言すれば、第1アーム61と第2アーム62とは一直線上に配置されている。なお、第1軸AX1から第1アーム61が延在する方向と、第1軸AX1から第2アーム62が延在する方向との間のなす角度は、180度以外の角度であっても構わない。第1アーム61と第2アーム62とは一体成形された1つの部品によって構成されていてもよいし、第1アーム61と第2アーム62とが別部品によって構成されていてもよい。
【0048】
図2に記載の例では、交換アーム60は、加工ヘッド2に取り付けられた第2工具C2と、工具保持部材30によって保持された第1工具C1とを同時に保持可能である。
【0049】
(シャッター40の開動作)
シャッター40の開動作の一例について説明する。図9に例示されるように、シャッター40の開動作が実行されるとき、シャッター40は、第1位置P1(閉位置)から、第4位置P4を経由して、第2位置P2(開位置)に移動する。図9に記載の例では、シャッター40が第4位置P4を通過するタイミングT1で、交換アーム60は、待機位置E1から工具受取位置E2への移動を開始する。シャッター40が第2位置P2(開位置)に到達する前に、交換アーム60の移動が開始されることにより、工具Cの交換に要する総時間を短縮することができる。
【0050】
図10(b)乃至図10(d)に例示されるように、シャッター40の開動作が実行されるとき、交換アーム60は、待機位置E1から工具受取位置E2に移動する。また、交換アーム60が、待機位置E1から工具受取位置E2に移動するとき、交換アーム60は、第2領域AR2を通過する(図10(b)において、破線で囲まれた領域を参照。)。
【0051】
図10(b)に例示されるように、第4位置P4は、上述の第2領域AR2と干渉しない位置(換言すれば、第2領域AR2よりも第1方向DR1側の位置)に設定されることが好ましい。第4位置P4が、第2領域AR2と干渉しない位置に設定されることにより、シャッター40の開動作中において、シャッター40と交換アーム60との接触が確実に回避される。例えば、シャッター40が第4位置P4を通過した後に、動作不良によりシャッター40が停止する場合を想定する。この場合でも、停止したシャッター40と移動中の交換アーム60とが接触することはない。なお、図5に記載の例では、第4位置P4は、上述の第3位置P3よりも第2方向DR2側に設定されている。
【0052】
続いて、制御装置8によるシャッター40の開動作制御について説明する。制御装置8は、第1サーボモータ50に制御信号(より具体的には、開動作指令)を送信して、第1サーボモータ50にシャッター40の開動作(換言すれば、シャッター40を第1位置P1から第2位置P2に移動させる動作)を実行させる。
【0053】
制御装置8は、シャッター40の開動作を開始させた後、第1サーボモータ50(より具体的には、第1エンコーダ51)から、シャッター40の位置を示す第1信号を繰り返し受信する。また、制御装置8は、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて、シャッター40が、第1位置P1と第2位置P2との間の所定の第4位置P4を通過するタイミングT1(図9を参照。)を特定する。
【0054】
タイミングT1の特定は、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて、シャッター40(より具体的には、シャッター40の第2方向DR2側の端縁40e(図5を参照。))が、第4位置P4を通過したか否かを繰り返し判定することにより行われる。
【0055】
制御装置8は、タイミングT1で、第2サーボモータ70に制御信号(より具体的には、第1の移動開始指令)を送信して、第2サーボモータ70に、待機位置E1から工具受取位置E2への交換アーム60の移動を開始させる。
【0056】
図9に記載の例では、制御装置8は、シャッター40が第1位置P1から第2位置P2に向けて移動を開始した後、交換アーム60が待機位置E1から工具受取位置E2に向けて移動を開始するように、第1サーボモータ50および第2サーボモータ70を制御する。なお、制御装置8は、シャッター40が第2位置P2に到達する前に、交換アーム60が工具受取位置E2に到達するように、第1サーボモータ50および第2サーボモータ70を制御してもよく、シャッター40が第2位置P2に到達するタイミング以降に、交換アーム60が工具受取位置E2に到達するように、第1サーボモータ50および第2サーボモータ70を制御してもよい。
【0057】
(変換機構または駆動装置)
図11Aには、加工ヘッド2と工具保持部材30との間で第1工具C1と第2工具C2とが交換される様子が示されている。交換アーム60に工具Cの交換を実行させるために、工具交換装置1は、第2サーボモータ70のロータおよび出力軸の回転を、第1軸AX1に沿う方向における交換アーム60の直線運動に変換する変換機構75を備えていてもよい。変換機構75は、第2サーボモータ70の出力軸と交換アーム60との間に介在されるカムを含んでいてもよく、第2サーボモータ70の出力軸と交換アーム60との間に介在される歯車を含んでいてもよい。工具交換装置1が変換機構75を備える場合、第2サーボモータ70は、交換アーム60を第1軸AX1まわりに回転させることができ、かつ、交換アーム60を第1軸AX1に沿って移動させることができる。
【0058】
図11Aに記載の例では、第2サーボモータ70は、変換機構75を介して、交換アーム60を、軸方向第1位置F1と軸方向第2位置F2との間で、第1軸AX1に平行な方向に移動させることが可能である。軸方向第1位置F1は、交換アーム60が加工ヘッド2および工具保持部材30に接近する位置であり、軸方向第2位置F2は、軸方向第1位置F1と比較して、加工ヘッド2および工具保持部材30から遠い位置である。
【0059】
代替的に、図11Bに示されるように、工具交換装置1は、第2サーボモータ70に加え、交換アーム60を第1軸AX1に沿う方向に移動させる駆動装置76を備えていてもよい。第2サーボモータ70は、交換アーム60を第1軸AX1まわりに回転駆動させる。他方、駆動装置76は、交換アーム60を第1軸AX1に平行な方向に移動させる。駆動装置76は、サーボモータであってもよいし、流体圧式のアクチュエータ(例えば、エアーアクチュエータ、あるいは、油圧アクチュエータ)であってもよい。図11Bに記載の例では、駆動装置76は、交換アーム60を、軸方向第1位置F1と軸方向第2位置F2との間で、第1軸AX1に平行な方向に移動させる。軸方向第1位置F1は、交換アーム60が加工ヘッド2および工具保持部材30に接近する位置であり、軸方向第2位置F2は、軸方向第1位置F1と比較して、加工ヘッド2および工具保持部材30から遠い位置である。
【0060】
(シャッター40の閉動作)
シャッター40の閉動作の一例について説明する。図4に例示されるように、シャッター40の閉動作が実行されるとき、シャッター40は、第2位置P2(開位置)から、第3位置P3を経由して、第1位置P1(閉位置)に移動する。
【0061】
図4に記載の例では、シャッター40の閉動作が開始されるタイミングT2は、交換アーム60が待機位置E1に到達するタイミングT5よりも早い。タイミングT2を早くすることにより、工具Cの交換後に、シャッター40によって開口部OPが早く閉鎖される。このため、第1室SP1から第2室SP2に切粉等が飛散することが防止された状態で、次の加工を早く開始することができる。
【0062】
続いて、制御装置8によるシャッター40の閉動作制御について説明する。制御装置8は、第1サーボモータ50に制御信号(より具体的には、閉動作開始指令)を送信して、第1サーボモータ50にシャッター40の閉動作(換言すれば、シャッター40を第2位置P2から第1位置P1に移動させる動作)を開始させる。
【0063】
制御装置8が、シャッター40の閉動作を開始させるタイミングT2は、工具取付位置E3に交換アーム60が到達するタイミングであってよく、また、その他のタイミングであってもよい。図4に記載の例では、タイミングT2は、制御装置8が、工具取付位置E3から待機位置E1への交換アーム60の移動を開始させるタイミングT3よりも前である。タイミングT2がタイミングT3よりも早いことにより、工具Cの交換後に、シャッター40によって開口部OPが更に早く閉鎖される。このため、第1室SP1から第2室SP2に切粉等が飛散することが防止された状態で、次の加工を更に早く開始することができる。ただし、第1の実施形態において、タイミングT2がタイミングT3よりも早いことは必須ではない。換言すれば、タイミングT2は、タイミングT3より後であってもよいし、タイミングT3と同時であってもよい。
【0064】
制御装置8は、シャッター40の閉動作を開始させた後、第1サーボモータ50(より具体的には、第1エンコーダ51)から、シャッター40の位置を示す第1信号を繰り返し受信する。また、制御装置8は、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて、第1判定処理を繰り返し実行する。第1判定処理は、制御装置8が、第1サーボモータ50から第1信号を受信し、第1信号に基づいて、シャッター40が、第3位置P3(換言すれば、判定位置)に達しているか否かを判定する処理である。第1判定処理の実行により、制御装置8は、シャッター40が第3位置P3に達するタイミングT4を特定することができる。
【0065】
制御装置8は、第1サーボモータ50から受信する第1信号に基づいて、閉動作中のシャッター40が、第3位置P3(換言すれば、判定位置)に達していると判定すると、第2サーボモータ70から受信する第2信号に基づいて、第2判定処理を実行する。第2判定処理は、制御装置8が、第2サーボモータ70から第2信号を受信し、第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する処理である。第2判定処理は、タイミングT4で実行される。
【0066】
制御装置8は、第2サーボモータ70から受信する第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が退避角度αに達していると判定すると、シャッター40の閉動作処理を継続する(図4を参照。)。より具体的には、制御装置8は、シャッター40の位置を示す第1信号を繰り返し受信する。制御装置8は、第1信号に基づいて、シャッター40の速度を制御する。また、制御装置8は、第1信号に基づいて、シャッター40が第1位置P1に達していると判断すると、第1サーボモータ50に駆動停止信号を送信する。こうして、シャッター40が第1位置P1で停止し、シャッター40の閉動作が終了する。
【0067】
他方、制御装置8は、第2サーボモータ70から受信する第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が退避角度αに達していないと判定すると、シャッター停止処理を実行する(図7を参照。)。当該シャッター停止処理は、交換アーム60に干渉しない位置PEでシャッター40を停止させる処理である。図5に例示されるように、交換アーム60に干渉しない位置PEは、交換アーム60が、第1領域AR1と干渉しない位置である。なお、第1領域AR1は、交換アーム60が工具取付位置E3から待機位置E1に移動するときに、交換アーム60が通過する領域と定義される。制御装置8が、シャッター40を、第1領域AR1と干渉しない位置PE(換言すれば、第1領域AR1よりも第1方向DR1側の位置)で停止させることにより、シャッター40と交換アーム60との接触を確実に回避することができる。
【0068】
付加的に、図8に例示されるように、シャッター停止処理の実行中に、交換アーム60の回転角が退避角度αに達した場合(矢印Aを参照。)、制御装置8は、シャッター停止処理を中止して、シャッター40の閉動作を再開してもよい。
【0069】
より具体的には、シャッター停止処理の実行中に、制御装置8は、上述の第2判定工程を繰り返し実行する。換言すれば、制御装置8は、シャッター40の停止処理の実行中に、第2サーボモータ70から第2信号を受信し、第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを繰り返し判定する。
【0070】
制御装置8は、交換アーム60の回転角が退避角度αに達していると判定すると、シャッター停止処理を中止して、シャッター40を第1位置P1に移動させる動作を再開させる。シャッター40を第1位置P1に移動させる動作の再開は、制御装置8が、第1サーボモータ50に制御信号(より具体的には、閉動作指令)を送信することにより実行される。制御信号を受信する第1サーボモータ50は、シャッター40を第1位置P1(閉位置)に移動させる。
【0071】
シャッター停止処理が完了すると(換言すれば、交換アーム60に干渉しない位置PEでシャッター40が停止すると)、制御装置8は、アラームを発出してもよい。アラームの発出は、警告音の発生を含んでいてもよいし、警告ランプの点灯を含んでいてもよいし、警告メッセージの表示を含んでいてもよい。
【0072】
代替的に、シャッター停止処理の完了後に直ちにアラームを発出するのに代えて、シャッター停止処理の完了後も、所定の期間、上述の第2判定処理が繰り返し実行されるようにしてもよい。より具体的にはシャッター停止処理が完了してシャッター40が停止した後に、制御装置8は、第2サーボモータ70から第2信号を受信し、第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。
【0073】
制御装置8は、交換アーム60の回転角が退避角度αに達していると判定すると、シャッター40を第1位置P1に移動させる動作を再開させる。シャッター40を第1位置P1に移動させる動作の再開は、制御装置8が、第1サーボモータ50に制御信号(より具体的には、閉動作指令)を送信することにより実行される。制御信号を受信する第1サーボモータ50は、シャッター40を第1位置P1(閉位置)に移動させる。
【0074】
他方、制御装置8は、交換アーム60の回転角が退避角度αに達していないと判定すると、所定の期間が経過するまで、上述の第2判定工程を繰り返し実行する。
【0075】
所定の期間が経過するまでに、交換アーム60の回転角が退避角度αに達しなかった場合、制御装置8は、アラームを発出する。アラームの発出は、警告音の発生を含んでいてもよいし、警告ランプの点灯を含んでいてもよいし、警告メッセージの表示を含んでいてもよい。なお、上述の所定の期間のカウントが開始される起点に特に制限はない。所定の期間は、シャッター40が停止してからカウントされてもよいし、シャッター40が第3位置P3に達したタイミングT4からカウントされてもよい。
【0076】
上述の例では、シャッター停止処理の実行中、あるいは、シャッター停止処理が完了してシャッター40が停止した後に、交換アーム60の回転角が退避角度αに達すると、制御装置8は、シャッター40を第1位置P1に移動させる動作を再開させる。この場合、交換アーム60の動作不良が軽微な場合に、工具交換装置1の動作を継続させることができる。例えば、交換アーム60が切屑を噛む等、交換アーム60の動作の遅れが、一時的なものである場合も想定される。このような場合、上述の例では、工具交換装置1の動作を停止させずに、継続させることができる。
【0077】
(工具交換装置の動作方法)
続いて、図1乃至図14を参照して、実施形態における工具交換装置の動作方法の一例について説明する。図13および図14は、実施形態における工具交換装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。実施形態における工具交換装置の動作方法において、当該工具交換装置は、第1の実施形態における工具交換装置1であってもよいし、その他の工具交換装置であってもよい。工具交換装置は、(1)工具を取り付け可能な加工ヘッドと工具を保持可能な工具保持部材との間の開口部OPを閉鎖可能なシャッター40と、(2)加工ヘッドと工具保持部材との間で工具を交換する交換アーム60と、(3)制御装置8とを具備する。
【0078】
工具交換装置の動作方法において、制御装置8は、第1サーボモータ50(または、シャッター40の位置を検出可能な任意の検出器)から、シャッター40の位置を示す第1信号を受信する(第1受信工程)。第1受信工程は、工具交換装置の動作方法の実行中に(より具体的には、シャッター40の移動中に)、繰り返し実行される。第1受信工程が繰り返し実行されることにより、制御装置8は、シャッター40の位置をリアルタイムで特定可能であることが好ましい。
【0079】
工具交換装置の動作方法において、制御装置8は、第2サーボモータ70(または、交換アーム60の回転角を検出可能な任意の検出器)から、交換アーム60の回転角を示す第2信号を受信する(第2受信工程)。第2受信工程は、工具交換装置の動作方法の実行中に(より具体的には、交換アーム60の回転移動中に)、繰り返し実行される。第2受信工程が繰り返し実行されることにより、制御装置8は、交換アーム60の回転角をリアルタイムで特定可能であることが好ましい。
【0080】
第1ステップST1において、シャッター40の開動作が開始される。図10(a)には、第1ステップST1を実行中の様子が示されている。第1ステップST1において、制御装置8は、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に制御信号(より具体的には、開動作開始指令)を送信して、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置にシャッター40の開動作を開始させる。
【0081】
第1ステップST1の実行により、第1のシャッター移動工程が開始される。第1のシャッター移動工程は、第1位置P1(閉位置)から第2位置P2(開位置)に、シャッター40を移動させる工程である。第1のシャッター移動工程では、制御装置8は、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に、制御信号(より具体的には、開動作指令)を送信し、制御信号を受信する第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置は、シャッター40を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。
【0082】
第1のシャッター移動工程の実行中、第2ステップST2において、シャッター40が、第1位置P1と第2位置P2との間の所定の第4位置P4を通過するタイミングT1が特定される。第2ステップST2は、タイミング特定工程である。図10(b)には、タイミング特定工程を実行中の様子が示されている。タイミング特定工程では、制御装置8は、シャッター40の位置を示す第1信号に基づいて、シャッター40が、第4位置P4を通過するタイミングを特定する。
【0083】
第3ステップST3において、待機位置E1から工具受取位置E2に向けて、交換アーム60の移動が開始される。図10(c)には、第3ステップST3を実行中の様子が示されている。第3ステップST3において、制御装置8は、シャッター40が第4位置P4を通過したタイミングで、第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置に制御信号(より具体的には、第1の移動開始指令)を送信する。制御信号を受信する第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置は、待機位置E1から工具受取位置E2への交換アーム60の移動を開始させる。
【0084】
第3ステップST3の実行により、シャッター40の開動作の完了前に(換言すれば、シャッター40が第2位置P2に到達する前に)、第1の交換アーム移動工程が開始される。第1の交換アーム移動工程は、待機位置E1から工具受取位置E2に、交換アーム60を移動させる工程である。第1の交換アーム移動工程では、制御装置8は、第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置に、制御信号(より具体的には、第1の移動指令)を送信し、制御信号を受信する第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置は、交換アーム60を、待機位置E1から工具受取位置E2に移動させる。第1の交換アーム移動工程は、交換アーム60を、第1軸AX1まわりに、第1回転方向に回転させることを含む。
【0085】
第1の交換アーム移動工程は、シャッター40が第2位置P2に到達(図10(e)を参照。)する前に、交換アーム60を工具受取位置E2に到達(図10(d)を参照。)させることを含んでいてもよい。代替的に、第1の交換アーム移動工程は、シャッター40が第2位置P2に到達した後に、交換アーム60を工具受取位置E2に到達させることを含んでいてもよく、シャッター40が第2位置P2に到達するのと同時に、交換アーム60を工具受取位置E2に到達させることを含んでいてもよい。
【0086】
第4ステップST4において、交換アーム60(より具体的には、第1アーム61)が加工ヘッド2に取り付けられた第1工具C1を把持する。第4ステップST4は、第1工具把持工程である。図10(d)には、第1工具把持工程を実行中の様子が示されている。
【0087】
第1工具把持工程は、上述の第1の交換アーム移動工程の完了と同時(換言すれば、交換アーム60が工具受取位置E2に到達するのと同時)に実行されてもよいし、第1の交換アーム移動工程の完了後に実行されてもよい。
【0088】
第5ステップST5において、交換アーム60(より具体的には、第2アーム62)が工具保持部材30に保持された第2工具C2を把持する。第5ステップST5は、第2工具把持工程である。第2工具把持工程は、例えば、第4ステップST4(第1工具把持工程)と同時に実行される。
【0089】
第6ステップST6において、第1工具C1が加工ヘッド2から取り外され、第2工具C2が工具保持部材30から取り外される。第6ステップST6は、工具取り外し工程である。工具取り外し工程は、交換アーム60を、第1軸AX1に平行な方向に移動させることを含む。図11A(a)には、工具取り外し工程が実行される前の状態が示され、図11A(b)には、工具取り外し工程が実行された後の状態が示されている。
【0090】
工具取り外し工程において、制御装置8は、交換アーム駆動装置(例えば、第2サーボモータ70または駆動装置76等)に制御信号を送信する。制御信号を受信する交換アーム駆動装置(第2サーボモータ70または駆動装置76等)は、交換アーム60を、軸方向第1位置F1から軸方向第2位置F2に移動させる。その結果、加工ヘッド2に配置された第1工具C1が加工ヘッド2から取り外され、工具保持部材30に配置された第2工具C2が工具保持部材30から取り外される。加工ヘッド2からの第1工具C1の取り外しと、工具保持部材30からの第2工具C2の取り外しとは同時に実行されることが好ましい。ただし、第1アーム61と第2アーム62との間のなす角の角度が180度以外の角度である場合には、加工ヘッド2からの第1工具C1の取り外しが、工具保持部材30からの第2工具C2の取り外しと異なるタイミングで実行されても構わない。
【0091】
第7ステップST7において、第2工具C2が、加工ヘッド2に対向する位置に移送され、第1工具C1が、工具保持部材30に対向する位置に移送される。第7ステップST7は、工具移送工程である。工具移送工程において、第1工具C1の移送と、第2工具C2の移送とは同時に実行されることが好ましい。図11A(b)には、工具移送工程が実行される前の状態が示され、図11A(c)には、工具取り外し工程が実行された後の状態が示されている。
【0092】
工具移送工程において、制御装置8は、第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置に、制御信号を送信する。制御信号を受信する第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置は、交換アーム60を、第1軸AX1まわりに回転させ(より具体的には、第1軸AX1まわりに180度回転させ)、第2工具C2を加工ヘッド2と対向する位置に移動させる。交換アーム60は、第2工具C2を加工ヘッド2と対向する位置に移動させるのと同時に、第1工具C1を工具保持部材30と対向する位置に移動させてもよい。工具移送工程において、交換アーム60の第1軸AX1まわりの回転方向は、第1回転方向であってもよいし、第1回転方向と反対の第2回転方向であってもよい。
【0093】
第8ステップST8において、第2工具C2が、加工ヘッド2に取り付けられ、第1工具C1が、工具保持部材30に取り付けられる。第8ステップST8は、工具取付工程である。工具取付工程において、加工ヘッド2への第2工具C2の取り付けと、工具保持部材30への第1工具C1の取り付けとは同時に実行されることが好ましい。図11A(d)には、工具取付工程が実行された後の様子が示されている。
【0094】
工具取付工程において、制御装置8は、交換アーム駆動装置(例えば、第2サーボモータ70または駆動装置76等)に制御信号を送信する。制御信号を受信する交換アーム駆動装置(例えば、第2サーボモータ70または駆動装置76等)は、交換アーム60を、軸方向第2位置F2から軸方向第1位置F1(より具体的には、工具取付位置E3)に移動させる。その結果、加工ヘッド2に第2工具C2が取り付けられる。また、工具保持部材30に第1工具C1が取り付けられる。
【0095】
工具取付工程は、加工ヘッド2が第2工具C2をクランプすることを含んでいてもよい。加工ヘッド2が第2工具C2をクランプすることにより、第2工具C2が加工ヘッド2に固定される。また、工具取付工程は、工具保持部材30が第1工具C1をクランプすることを含んでいてもよい。
【0096】
第9ステップST9において、シャッター40の閉動作が開始される。第9ステップST9は、閉動作開始工程である。図12(a)には、閉動作開始工程を実行中の様子が示されている。閉動作開始工程において、制御装置8は、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に制御信号(より具体的には、閉動作開始指令)を送信して、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置にシャッター40の閉動作を開始させる。
【0097】
第9ステップST9の実行により、第2のシャッター移動工程が開始される。第2のシャッター移動工程は、第2位置P2(開位置)から第1位置P1(閉位置)に、シャッター40を移動させる工程である。第2のシャッター移動工程では、制御装置8は、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に、制御信号(より具体的には、閉動作指令)を送信し、制御信号を受信する第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置は、シャッター40を第2位置P2から第1位置P1に移動させる。
【0098】
第2のシャッター移動工程は、工具取付位置E3から待機位置E1に交換アーム60を移動させる工程(換言すれば、第2の交換アーム移動工程)の完了前に、開始される。図4に記載の例では、第2のシャッター移動工程が開始されるタイミングT2は、工具取付位置E3から待機位置E1への交換アーム60の移動が開始されるタイミングT3よりも前である。代替的に、第2のシャッター移動工程が開始されるタイミングT2は、タイミングT3より後であってもよいし、タイミングT3と同時であってもよい。
【0099】
第2のシャッター移動工程が開始されるタイミングT2は、工具取付位置E3に交換アーム60が到達するタイミングであってよく、また、その他のタイミングであってもよい。
【0100】
第10ステップST10において、工具取付位置E3から待機位置E1に向けて、交換アーム60の移動が開始される。図12(b)には、第10ステップST10を実行中の様子が示されている。第10ステップST10において、制御装置8は、第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置に制御信号(より具体的には、第2の移動開始指令)を送信する。制御信号を受信する第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置は、工具取付位置E3から待機位置E1への交換アーム60の移動を開始させる。
【0101】
第10ステップST10の実行により、第2の交換アーム移動工程が開始される。第2の交換アーム移動工程は、工具取付位置E3から待機位置E1に、交換アーム60を移動させる工程である。第2の交換アーム移動工程では、制御装置8は、第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置に、制御信号(より具体的には、第2の移動指令)を送信し、制御信号を受信する第2サーボモータ70等の交換アーム駆動装置は、交換アーム60を、工具取付位置E3から待機位置E1に移動させる。第2の交換アーム移動工程は、交換アーム60を、第1軸AX1まわりに、第2回転方向(換言すれば、第1回転方向とは反対の方向)に回転させることを含む。
【0102】
図4に例示されるように、第2の交換アーム移動工程が開始されるタイミングT3は、第2のシャッター移動工程が完了する前(換言すれば、シャッター40が第1位置P1に到達するタイミングT6の前)である。第2の交換アーム移動工程が開始されるタイミングT3は、加工ヘッド2が、工具C(より具体的には、第2工具C2)をクランプしたことが制御装置8によって確認されたタイミングであってもよい。クランプが確認された後に交換アーム60の移動が開始されることにより、交換アーム60から加工ヘッド2への工具Cの受け渡しが確実に行われる。
【0103】
閉動作開始工程(第9ステップST9)の実行後、シャッター40の位置を示す第1信号および交換アーム60の回転角を示す第2信号に基づいて、シャッター40が所定の第3位置P3に達したときに、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かが判定される。より具体的には、制御装置8は、第11ステップおよび第12ステップST12を実行し、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。
【0104】
第11ステップST11において、制御装置8は、シャッター40が、所定の第3位置P3に達しているか否かを判定する。第11ステップST11は、第1判定工程である。図12(c)および図12(d)には、第1判定工程を実行中の様子が示されている。第1判定工程において、制御装置8は、第1サーボモータ50または任意の検出器からシャッター40の位置を示す第1信号を受信し、受信した第1信号に基づいて、シャッター40が、第3位置P3(換言すれば、判定位置)に達しているか否かを判定する。
【0105】
制御装置8は、閉動作中のシャッター40が、第3位置P3に達していると判定すると、第12ステップST12を実行する。他方、制御装置8は、閉動作中のシャッター40が、第3位置P3に達していないと判定すると、再度、第11ステップST11を実行する。
【0106】
第12ステップST12において、制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。第12ステップST12は、第2判定工程である。第2判定工程において、制御装置8は、第2サーボモータ70または任意の検出器から交換アーム60の回転角を示す第2信号を受信し、受信した第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。
【0107】
制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していると判定すると、第13ステップST13を実行する。他方、制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していないと判定すると、第14ステップST14を実行する。
【0108】
第13ステップST13において、制御装置8は、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に制御信号を送信し、制御信号を受信する第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置は、シャッター40を第1位置P1(閉位置)に到達させる。例えば、第13ステップST13において、制御装置8は、第1サーボモータ50または任意の検出器からシャッター40の位置を示す第1信号を受信し、受信した第1信号に基づいて、シャッター40が、第1位置P1(閉位置)に到達したか否かを判定する。制御装置8は、シャッター40が、第1位置P1に到達したと判定すると、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に、シャッター40の移動を停止させる。図12(f)には、第13ステップST13が実行された後の状態が示されている。
【0109】
第14ステップST14において、制御装置8は、シャッター停止処理を実行する。第14ステップST14は、シャッター停止処理工程である。シャッター停止処理工程において、制御装置8は、シャッター40が、交換アーム60に干渉しない位置(図12(d)に例示される第1領域AR1と干渉しない位置PE)で停止するように、第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置に、停止指令を送信する。停止指令を受信する第1サーボモータ50等のシャッター駆動装置は、シャッター40を減速させ、シャッター40を、交換アーム60に干渉しない位置で停止させる。シャッター40が、停止した後、制御装置8は、アラームを発出する。
【0110】
第2の交換アーム移動工程の実行により、交換アーム60が待機位置E1に到達し(図12(e)を参照。)、第2のシャッター移動工程の実行により、シャッター40が第1位置P1に到達する(図12(f)を参照。)と、上述の工具交換装置の動作方法が終了する。図12(e)および図12(f)に記載の例では、交換アーム60が待機位置E1に到達するタイミングT5は、シャッター40が第1位置P1に到達するタイミングT6よりも早い。代替的に、交換アーム60が待機位置E1に到達するタイミングT5は、タイミングT6より遅くてもよいし、タイミングT6と同時であってもよい。
【0111】
(工具交換装置の動作方法の変形例)
図8図15を参照して、工具交換装置の動作方法の変形例について説明する。図15は、第1の実施形態における工具交換装置の動作方法の変形例を示すフローチャートである。
【0112】
工具交換装置の動作方法の変形例は、第14ステップST14(シャッター停止処理)の実行中、あるいは、シャッター停止処理工程の実行後に、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達した場合、シャッター40が、第1位置P1(閉位置)に移動される点で、上述の工具交換装置の動作方法とは異なる。その他の点では、工具交換装置の動作方法の変形例は、上述の工具交換装置の動作方法と同様である。
【0113】
工具交換装置の動作方法の変形例では、第14ステップST14(シャッター停止処理工程)の実行中に、上述の第12ステップST12(第2判定工程)が繰り返し実行される。より具体的には、シャッター停止処理工程の実行中に、制御装置8は、第2サーボモータ70または任意の検出器から交換アーム60の回転角を示す第2信号を受信し、受信した第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していると判定すると、第13ステップST13を実行し、シャッター40を第1位置P1(閉位置)に到達させる。
【0114】
工具交換装置の動作方法の変形例において、シャッター停止処理工程の完了後、所定の期間、上述の第12ステップST12(第2判定工程)が繰り返し実行されてもよい。より具体的には、停止処理工程の完了後、所定の期間、制御装置8は、第2サーボモータ70または任意の検出器から交換アーム60の回転角を示す第2信号を受信し、受信した第2信号に基づいて、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達しているか否かを判定する。制御装置8は、交換アーム60の回転角が所定の退避角度αに達していると判定すると、第13ステップST13を実行し、シャッター40を第1位置P1(閉位置)に到達させる。他方、所定の期間が経過するまでに、交換アーム60の回転角が退避角度αに達しなかった場合、制御装置8は、アラームを発出する。
【0115】
(第2の実施形態)
図1乃至図16を参照して、第2の実施形態における工作機械100について説明する。図16は、第2の実施形態における工作機械100を模式的に示す概略斜視図である。
【0116】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0117】
第2の実施形態において、工作機械100は、(1)ワークWを支持するワーク支持装置110と、(2)工具Cを取り付け可能な加工ヘッド2と、(3)加工ヘッド2をワーク支持装置110に対して相対移動させる第1駆動装置120と、(4)工具Cを保持可能な工具保持部材30と、(5)工具Cを保管するマガジン3と、(6)加工ヘッド2が配置される第1室SP1と、工具保持部材30が配置される第2室SP2との間に配置され、開口部OPを有する仕切壁49と、(7)工具交換装置1と、を具備する。
【0118】
加工ヘッド2、工具保持部材30、マガジン3、仕切壁49、工具交換装置1(制御装置8による第1サーボモータ50および第2サーボモータ70等の制御動作を含む)については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成(制御装置8による第1サーボモータ50および第2サーボモータ70等の制御動作を含む)についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0119】
ワーク支持装置110は、加工対象物であるワークWを支持する。ワーク支持装置110は、ワークWが固定されるテーブルを含んでいてもよい。
【0120】
第1駆動装置120は、加工ヘッド2をワーク支持装置110に対して相対移動させる。第1駆動装置120は、加工ヘッド2を、3次元的に移動させる装置であってもよい。換言すれば、第1駆動装置120は、加工ヘッド2をX軸に沿う方向に移動させることができ、加工ヘッド2をY軸に沿う方向に移動させることができ、加工ヘッド2をZ軸に沿う方向に移動させることができてもよい。図16に記載の例では、Y軸は、鉛直方向に平行な方向であり、Z軸は、水平方向に平行な方向であり、X軸は、Y軸およびZ軸の両方に垂直な方向である。
【0121】
加工ヘッド2は、工具Cを回転軸AXまわりに回転させる第2駆動装置130を備えていてもよい。
【0122】
図16に記載の例では、工作機械100は、第1駆動装置120、および/または、第2駆動装置130を制御する工作機械制御装置140を備える。第1サーボモータ50および第2サーボモータ70を制御する制御装置8は、工作機械制御装置140に含まれていてもよい。換言すれば、工作機械制御装置140は、工具交換装置1の制御装置8を構成してもよい。代替的に、上述の制御装置8は、工作機械制御装置140とは独立して設けられてもよい。この場合、制御装置8と、工作機械制御装置140とは、互いに信号伝達可能に接続され、制御装置8および工作機械制御装置140が協働して、工作機械100の各構成要素を制御するように構成されることが好ましい。
【0123】
付加的に、工作機械制御装置140は、ワーク支持装置110の動作、工具保持部材30の動作、マガジン3の動作等を制御してもよい。
【0124】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0125】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 :工具交換装置
2 :加工ヘッド
3 :マガジン
8 :制御装置
30 :工具保持部材
33 :工具ホルダー
40 :シャッター
40e :端縁
49 :仕切壁
50 :第1サーボモータ
51 :第1エンコーダ
59 :機械的機構
60 :交換アーム
61 :第1アーム
61a :第1把持部
62 :第2アーム
62a :第2把持部
65 :交換アーム支持装置
70 :第2サーボモータ
71 :第2エンコーダ
75 :変換機構
76 :駆動装置
100 :工作機械
110 :ワーク支持装置
120 :第1駆動装置
130 :第2駆動装置
140 :工作機械制御装置
C :工具
C1 :第1工具
C2 :第2工具
OP :開口部
SP1 :第1室
SP2 :第2室
W :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16