(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】種々の解剖学的特性を有する器官に適合するように構成された外科用大動脈修復ハイブリッド装置および同装置を用いる方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/95 20130101AFI20221206BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20221206BHJP
【FI】
A61F2/95
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2021095226
(22)【出願日】2021-06-07
(62)【分割の表示】P 2020102283の分割
【原出願日】2016-01-11
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517238972
【氏名又は名称】アサイラス メディカル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シャリアリ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】レオポルド,エリック
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0191174(US,A1)
【文献】特表2008-541868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0149081(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103040542(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留置装置と、
初期構成における前記留置装置に係合するステント装置と、を備え、
前記留置装置は、患者の大動脈内で並進移動可能で、オペレータ側の端部と遠位端とを有するロッドと、
1つ以上の半径方向拘束部材を解放するように構成された第1リリースワイヤと、を備え、
前記ステント装置は、前記患者の大動脈弓に係合可能に収容され、かつ前記ステント装置が差し込まれた場合に左鎖骨下動脈を越えて延びる遠位部と、
前記遠位部と流体係合したステント部と、
前記ステント部と流体係合した近位部と、を備え、前記ステント部は、被覆されていない網状ステント部材を備え、
前記ステント部は、前記大動脈弓に差し込まれる場合に、少なくとも部分的に透過性を有し、かつ腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈が接着する大動脈弓の一部にまたがるように構成されることにより、血流が、前記被覆されていない網状ステント部材を経由して、前記腕頭動脈、前記左総頸動脈及び前記左鎖骨下動脈に流れるようになっており、
前記ステント装置は、前記近位部と係合した環(collar)を備え、前記環は、前記大動脈と選択的に係合するように構成されており、前記環はグラフト材料で形成されており、
前記半径方向拘束部材は、前記ステント装置の直径を抑制するよう構成されており、
前記ステント装置の留置構成における直径および長さは、前記ロッドの軸方向の並進移動、および前記第1リリースワイヤを並進移動させることで前記半径方向拘束部材を1つ以上解放することによって、変更可能であることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項2】
前記留置装置は、ロッドの軸方向への並進移動を可能にする、ハンドルアセンブリを備えることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記留置装置は、前記第1リリースワイヤが延びる第1出口を規定し、
前記第1リリースワイヤは、1つ以上の前記半径方向拘束部材を解放するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1出口により選択的に受け入れ可能な第1キャップをさらに備え、
前記第1リリースワイヤは、前記第1キャップに係合していることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記留置装置は、第2リリースワイヤが延びる第2出口を規定し、
前記第2リリースワイヤは、追加的に1つ以上の前記半径方向拘束部材を解放するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
1つ以上の前記半径方向拘束部材は、前記ステント装置の第1部分を解放するように構成され、かつ追加の1つ以上の前記半径方向拘束部材が、前記ステント装置の第2部分を解放するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記留置装置は、ガイドワイヤが通過して延在する第3出口を規定することを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ロッドは、初期の非線形配置における前記遠位端上の先端を規定し、かつ前記先端を経由する前記ガイドワイヤの前進によって、前記先端が線形配置を規定することを特徴とする請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ロッドの前記遠位端上に、前記ステント装置が前記遠位端を越えて移動することを引き止めるための制止部材をさらに規定することを特徴とする請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記ロッドは、1つ以上の互いに離間し、前記ロッドから延在する突起を規定することを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ステント部は、網状ステント部材および/または露出した格子状パターンであることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記ステント装置は、患者の解剖学的特徴と係合するための生分解性足場を備えることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ステント装置の前記近位部と係合する近位グラフト部、
前記ステント装置の前記遠位部と係合する遠位グラフト部、または
前記近位グラフト部および前記遠位グラフト部の両方をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記近位部、前記遠位部、または前記近位部と前記遠位部との両方が、金属製のフレームによって内的または外的に支持されていることを特徴とする、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
1つ以上の前記半径方向拘束部材が少なくとも1つの滑り継手(slip joint)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
ステント装置であって、
差し込まれる場合に、患者の大動脈弓内に係合可能に収容され、かつ左鎖骨下動脈を越えて延びる遠位部と、
前記遠位部と流体係合するステント部と、
前記ステント部と流体係合する近位部と、を備え、前記ステント部は、被覆されていない網状ステント部材を備え、
前記ステント部は、前記大動脈弓に差し込まれる場合に、少なくとも部分的に透過性を有し、かつ、腕頭動脈、左総頸動脈、前記左鎖骨下動脈が接着する前記大動脈弓の一部にまたがるように構成されることにより、血流が、前記被覆されていない網状ステント部材を経由して、前記腕頭動脈、前記左総頸動脈及び前記左鎖骨下動脈に流れるようになっており、
前記ステント装置は、前記患者の大動脈内に留置構成で留置されるために留置装置と係合するように構成されており、前記留置構成における前記ステント装置の直径および長さは、前記患者の大動脈の解剖学的構造に適合するように変更可能であり、
前記ステント装置は、前記近位部と係合した環(collar)を備え、前記環は、前記大動脈と選択的に係合するように構成されており、前記環はグラフト材料で形成されており、
前記留置構成における前記ステント装置の直径および長さは、前記ステント装置と係合した前記留置装置の軸方向の並進移動、および/または前記ステント装置の周囲に配置された1つ以上の半径方向拘束部材を解放することにより変更可能であることを特徴とするステント装置。
【請求項17】
前記ステント装置は、前記患者の解剖学的特徴に係合する生分解性足場を備えることを特徴とする、請求項16に記載のステント装置。
【請求項18】
前記近位部を前記患者の解剖学的特徴に係合するために近位部の周りに配置された環をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載のステント装置。
【請求項19】
前記ステント装置は、前記患者の大動脈内に配置された人工
構成要素にさらに係合していることを特徴とする請求項16に記載のステント装置。
【請求項20】
前記人工
構成要素および前記ステント装置は、係合された前記人工
構成要素と前記ステント装置の長さを調節可能にするため、伸縮自在に係合し、かつ係合の間隔を調節可能であることを特徴とする請求項19に記載のステント装置。
【請求項21】
前記ステント部は、網状ステント部材および/または露出した、格子状のパターンであることを特徴とする請求項16に記載のステント装置。
【請求項22】
前記近位部に係合する近位グラフト部、
前記遠位部に係合する遠位グラフト部、または
前記近位グラフト部と前記遠位グラフト部の両方を備えることを特徴とする請求項16に記載のステント装置。
【請求項23】
前記近位グラフト部、前記遠位グラフト部、または前記近位グラフト部および前記遠位グラフト部が支持フレームによって
内面または
外面に支持されていることを特徴とする請求項22に記載のステント装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔相互参照〕
本出願は、2015年1月11日に出願された、発明の名称“DEVICE FOR ENDOVASCULAR AORTIC REPAIR CONCONFIGURATION FOR ADAPTABILITY OF ORGANANS OF VARIOUS ANATOMICAL CHARACTERISTICS AND METHOD OF USING THE SAME”の米国特許仮出願62/102、094の利益を主張し、2015年6月29日に出願された、発明の名称“HYBRID DEVICE FOR SURGICAL AORTIC REPAIR CONFIGURED FOR ADAPTABILITY OF ORGANS OF VARIOUS ANATOMICAL CHARACTERISTICS AND METHOD OF USING THE SAME”の米国特許仮出願62/185、750号の利益を主張し、2015年10月5日に出願された、発明の名称”“HYBRID DEVICE FOR SURGICAL AORTIC REPAIR CONFIGURED FOR ADAPTABILITY OF ORGANS OF VARIOUS ANATOMICAL CHARACTERISTICS AND METHOD OF USING
THE SAME”の米国特許仮出願62/237、531号の利益を主張し、2015年11月23日に出願された、発明の名称“HYBRID DEVICE FOR SURGICAL AORTIC REPAIR CONFIGURED FOR ADAPTABILITY OF ORGANS OF VARIOUS ANATOMICAL CHARACTERISTICS AND METHOD OF USING THE SAME”の米国特許仮出願62/259、045号の利益を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
〔技術分野〕
本開示は、上行動脈瘤および弓部動脈瘤、および大動脈解離のオープンハイブリッド修復(open hybrid repair)のための装置および同装置を用いる方法に関する。
〔背景技術〕
上行動脈瘤、特に大動脈解離の開放切除は、高い死亡率を有する。A型での解離では、開放修復による死亡率は25%にまで達することがあり、多くの患者は、超低体温循環停止(DHCA)を適用することに関連する出血合併症または脳合併症により死亡している。これらの患者における組織の脆弱性は、遠位の上行大動脈および近位の大動脈弓(arch)にグラフトを再構成して縫い付ける際に、重大な課題となり、結果としてDHCAの持続時間を増加させ、そのために合併症および死亡率を増加させる。A型解離は、典型的には、上行大動脈で始まり、大動脈の壁を遠位方向に剥離して進行し、その結果、多くの場合、動脈瘤に変性することとなる壁の慢性的な脆弱性を引き起こす。内膜フラップ(intimal flap)は、真腔(TL)と偽腔(FL)と呼ばれる流れの2以上の経路を形成する。これらの状態は、上行大動脈の外科的切除および置換によって効果的に治療される。しかしながら、大動脈の剥離された壁は、典型的には、治療されない。なぜなら上行部分に対して遠位方向の大動脈の追加的な切除には高いリスクが伴うからである。さらに、患者の大動脈弓は、サイズ、寸法等が様々である場合がある。こうして、大動脈弓内に収容されるステント部の使用は、種々の大動脈弓間のばらつきによって制約される。
【0002】
大動脈壁内の内膜亀裂または出血により、急性大動脈解離および壁内血腫(IMH)が引き起こされる。これにより、内膜フラップの剥離および伝播が近位方向および遠位方向に生じる。内膜フラップの近位方向への伝搬により、内膜フラップは、大動脈不全、冠状動脈の閉塞、大動脈破裂、および死を引き起こす可能性がある。これは、上行大動脈の外科的置換によって防止される。内膜フラップの遠位への伸長は、脳卒中または臓器灌流不全(visceral malperfusion)につながる大動脈側方の分岐の重大な閉塞を引き起こす可能性がある。典型的には、加圧かつ潅流された偽腔(FL)は、真腔(TL)の拡張および圧迫を引き起こす。解離過程の急性期の間、亀裂により大動脈壁の炎症を引き起こす。仮に、内膜フラップが再び取り付けられ、支持される場合、炎症は、解離した層を融合させる助けとなり、かつ、解離が治癒することにつながるかもしれない。これは、肯定的な大動脈の再モデリングおよび除去/偽腔(FL)の減圧を促進する。
【0003】
上行大動脈を置換する技術が完成されたにもかかわらず、現在、大動脈弓内および外の大動脈壁に、解離した内膜フラップを再付着させる効果的な手段は存在しない。偽腔(FL)に起因する長期の合併症の問題に対処するために、種々の装置が設計されているが、いずれも有効であることは示されていない。加えて、一部の外科医は、インデックス手術(index operation)中に大動脈弓の追加的な切除を提唱したが、多くの外科医は、手術の複雑さおよび死亡率の増加のために、その追加的切除を行うことに躊躇している。さらには、大動脈弓の切除は、大動脈の残りの部分の偽腔(FL)を除去しない。大動脈瘤の治療に利用可能な血管内溶液は、解離部の治療には不適である。なぜなら、それら血管内溶液のグラフト被覆(graft coverage)が直径を固定しているため、装置が自由に拡張して内膜フラップを再付着させることができないからである。さらに、グラフト被覆は、脳、脊髄、および内臓を灌流する重要な大動脈側分岐を閉塞することにもつながる。
【0004】
上記の課題は、本出願に開示された発明によって克服され得る。ここでグラフトの補強された近位部によって、より安全かつ止血性の縫合線を実現し、強化されたグラフト部の遠位ステント(distal stent)によって、将来のランディングゾーン(landing zone)が追加のエンドグラフト(endografts)の差し込みを可能にし、かつ介在部は編まれるようになっており、被覆されていないステント部によって、大動脈の分岐への血流を損なうことなく、大動脈亀裂および剥離した内膜の、大動脈の残りの部分に対する接合および安定化を、可能にすることにより、偽腔(FL)を除去し、亀裂が癒え、剥離が治癒する機会を提供する。
〔発明の概要〕
1つ以上の実施形態によれば、初期構成における留置装置に係合したステント装置を含むアセンブリが提供される。留置装置は、患者の大動脈内で並進移動可能で、オペレータ側の端部と遠位端とを有するロッドと、前記ステント装置の直径を抑制する1つ以上の半径方向拘束部材を解放するように構成された第1リリースワイヤとを備える。前記ステント装置は、前記患者の大動脈弓に係合可能に収容され、かつ前記ステント装置が差し込まれた際に左鎖骨下動脈を越えて延びる遠位部を有する。さらに、前記ステント装置は、前記遠位部と流体係合したステント部を有し、前記ステント部は、少なくとも部分的に浸透性を有し、腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈が接着する大動脈弓の一部にまたがるように構成されている。さらに、前記ステント装置は、前記ステント部と流体係合した近位部を含む。留置構成における前記ステント装置の直径および長さは、前記ロッドの軸方向の並進移動、および第1リリースワイヤの並進移動により、1つ以上の前記半径方向拘束部材を解放することで、変更可能である
1つ以上の実施形態によれば、ステント装置を患者の大動脈に留置する方法を提供される。ここで、ステント装置は、初期構成における留置装置のロッドの周りにおいて係合する。前記方法は、前記ロッドの遠位端を大動脈内部に向かって軸方向に並進移動させることで、少なくとも左鎖骨下動脈を越えた場所で、前記ステント装置の遠位部を位置決めする工程を含み、ここにおいて、前記ステント装置は、前記遠位部と流体係合しているステント部と、前記ステント部と流体係合している近位部とをさらに含む。本発明の方法は、前記ステント部の直径を抑制する1つ以上の半径方向拘束部材を解放する工程と、大動脈内で前記ロッドを軸方向に並進移動させることによって、留置構成内部へ向かって前記ステント装置の長さおよび直径を変更する工程とをさらに含む。加えて、前記ステント部は、腕頭動脈、左総頸動脈および左鎖骨下動脈が接着する大動脈弓の一部にまたがり、かつ係合するように配置される。最終的に、本発明の方法は、患者の大動脈から前記ロッドを除去する工程を含む。
〔図面の簡単な説明〕
上記の要約および以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、以下に特定の例示的な実施形態および特徴を簡単に示す。しかし、概要および詳細な説明は、明示的に示された実施形態および特徴のみに限定されない。
【0005】
〔
図1〕本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置およびステント装置を含むアセンブリの側面図である。
【0006】
〔
図2〕本発明の1つ以上の実施形態における、環(collar)と係合する近位部を有するステント装置の斜視図である。
【0007】
〔
図3〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置の近位部、ステント部、遠位部の斜視図である。
【0008】
〔
図4A〕本発明の1つ以上の実施形態における、先端に線形配置を有する留置装置の上面図である。
【0009】
〔
図4B〕本発明の1つ以上の実施形態における、先端に非線形配置を有する留置装置の側面図である。
【0010】
〔
図4C〕本発明の1つ以上の実施形態における、装着されたステント装置と留置装置とを含むアセンブリの側面図である。
【0011】
〔
図5A〕
図5Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【0012】
〔
図5B〕
図5Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【0013】
〔
図5C〕
図5Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【0014】
〔
図5D〕
図5Dは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【0015】
〔
図6A〕
図6Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤのキャップと共に使用される安全ピンの斜視図である。
【0016】
〔
図6B〕
図6Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤのキャップと共に使用される安全ピンの斜視図である。
【0017】
〔
図7A〕
図7Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、ステント部を拘束する、半径方向拘束部材を規定する少なくとも1つのリリースワイヤの側面図である。
【0018】
〔
図7B〕
図7Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、ステント部を拘束する、半径方向拘束部材を規定する少なくとも1つのリリースワイヤの側面図である。
【0019】
〔
図8A〕
図8Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0020】
〔
図8B〕
図8Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0021】
〔
図8C〕
図8Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0022】
〔
図8D〕
図8Dは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0023】
〔
図8E〕
図8Eは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0024】
〔
図8F〕
図8Fは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0025】
〔
図8G〕
図8Gは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0026】
〔
図8H〕
図8Hは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【0027】
〔
図9〕本発明の1つ以上の実施形態における、サイドアームと、環に係合するステント装置との側面図である。
【0028】
〔
図10A〕
図10Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、さらに遠位部のグラフトと係合するステント装置の内部で反転した近位グラフト部の図である。
【0029】
〔
図10B〕
図10Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、種々の直径と長さを有し、かつ近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合した、ステント装置の図である。
【0030】
〔
図10C〕
図10Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、種々の直径と長さを有し、かつ近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合した、ステント装置の図である。
【0031】
〔
図11A〕
図11Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【0032】
〔
図11B〕
図11Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【0033】
〔
図11C〕
図11Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【0034】
〔
図12A〕本発明の1つ以上の実施形態における、環を有する近位グラフト部に係合したステント装置の図である。
【0035】
〔
図12B〕本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【0036】
〔
図12C〕本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と、外部または内部支持フレームを有する遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【0037】
〔
図12D〕本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と、ステント装置フレームによって外部から支持された遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【0038】
〔
図13〕本発明の1つ以上の実施形態における、ハンドルアセンブリおよび基部を有する留置装置の図である。
【0039】
〔
図14〕本発明の1つ以上の実施形態における、ハンドルアセンブリ、基部、リリースワイヤ、シースを有する留置装置の図である。
【0040】
〔
図15〕本発明の1つ以上の実施形態における、ロッド、ガイドワイヤ、およびシース(sheaths)を有する留置装置の図である。
【0041】
〔
図16A〕本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置の基部の周りを折り重ねるためのシースの図である。
【0042】
〔
図16B〕本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置の基部の周りを折り重ねるためのシースの図である。
【0043】
〔
図17A〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の千鳥状のシースの図である。
【0044】
〔
図17B〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の千鳥状のシースの図である。
【0045】
〔
図18A〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の平行するシースの図である。
【0046】
〔
図18B〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の平行するシースの図である。
【0047】
〔
図19〕本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束するシースを有する留置装置の図である。
〔発明を実施するための形態〕
これらの説明は、より広い発明の主題の1つ以上の特定の実施形態の理解を提供するため、十分な詳細と共に提示する。これらの説明は、本発明の主題を明示的に記載された実施形態および特徴に限定することなく、これらの特定の実施形態の特定の特徴を説明し、例示する。これらの説明を考慮することで、本発明の主題の範囲から逸脱することなく、追加的かつ類似の実施形態および特徴が生じることになるだろう。“ステップ”という用語は、プロセスまたは方法の特徴に関連して明示的に使用または暗示されてもよいが、順位または順序が明示的に記述されていない限り、このような表現または暗示されたステップの中のいかなる特定の順位または順序が含意されるものではない。本開示の概念は、様々な改良および代替の形態をとることが可能であるものの、それらの特定の例示的実施形態は、図面を例として示されており、本書で詳細に説明することなる。しかしながら、本開示の概念を開示された特定の形態に限定する意図はないことを理解すべきであり、逆に、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の精神および範囲内に入る、全ての改良、均等物および代替物は、含み得ることを意図している。
【0048】
図面において表現または暗示される任意の寸法、およびこれらの説明は、例示的な目的のために提供される。したがって、図面の範囲内のすべての実施形態およびこれらの説明は、そのような例示的な寸法に従って実施されるわけではない。図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、図面の範囲内のすべての実施形態およびこれらの説明が、図面の相対的な寸法に関する図面の見かけの縮尺に従って実施されるわけではない。しかし、図面ごとに、図面の見かけ上の相対的な縮尺に従って、少なくとも1つの実施形態が実施される。
【0049】
前、後、内側、横、上、下、遠位、近位などの解剖学的参照を表す用語は、患者の自然解剖学的構造の参照と同様に、本明細書に記載された整形外科用インプラントおよび外科用器具の参照が本明細書全体にわたって使用されてもよい。このような用語は、解剖学的構造の研究および整形外科の分野の両方においてよく意味が理解されている。記載された説明および特許請求の範囲におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しない限り、それらの十分に理解された意味と一致することを意図している。
【0050】
図1、
図2、
図3、
図4Aおよび
図4Bを参照すると、アセンブリ10は、留置装置12およびステント装置26を含んでもよく、種々のサイズおよび寸法の大動脈弓に関わる問題に対処するために有利に提供されてもよい。アセンブリ10のステント装置26は、
図1に示すように、初期構成80における留置装置12と係合していてもよい。ステント装置26は、
図8Aおよび
図8Hに示すように、大動脈弓および患者の下行大動脈と係合可能に収容され、移植された際に左鎖骨下動脈を越えて延びる遠位部30を備えていてもよい。さらに、ステント装置26は、遠位部30と流体的に係合するステント部32を有していてもよく、ステント部32は、少なくとも部分的に透過性であり、かつ、腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈が接着する大動脈弓の一部にまたがるように構成されている。このようにして、少なくとも部分的に浸透性のステント部32を経由して腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈の各々に血流が流れる。
図3に示すように、ステント装置26の近位部34は、ステント部32と流体係合していてもよい。
【0051】
図3に示すステント26の別の特有の特徴は、ステント26のテーパ状の終端である。
図3は、近位部34の端部がテーパ状であることを示しているが、ある実施形態では、テーパ状である遠位部30、またはテーパ状の近位部34と遠位部30とを含む。ステント26をテーパ状のボトルネック様にで設計することにより、ステント26は、近位グラフト部90または遠位グラフト部92のような、1つの共通サイズの近位または遠位の人工構成要素に取り付け可能となるであろう。このテーパ形状によって、ステント26が大動脈側枝を横断するときに、分岐への血流が抑制されないようにするために重要である、ステント26の交差するワイヤ間のステント自由領域を拡張させることとなる。このテーパ形状は、グラフト構成要素90、92に取り付ける前に、ステント26の終端を機械的に狭くすることによって形成されてもよい。テーパ形状の端部は、ボトルネック様に製造することができ、または格子状でレーザーカットすることにより形成することができる。
【0052】
このステント装置26は、その構造的一体性を保持しながら、ステント装置26の直径を変化させながら、伸縮、かつ伸長されるように設計されてもよい。ある実施形態では、ステント装置26は、大動脈100とステント装置26との寸法差に関係なく、患者の大動脈100の長さおよび直径に対して、ステント装置の長さおよび直径を調節することができてもよい。このようにして、装置26は、種々の解剖学的特徴、寸法、および構成に適合可能である。さらに、直径および長さが変化する能力によって、ステント装置26の全体が留置装置12上で伸縮、かつ伸長し、さらにその直径と長さを患者の本来の大動脈の解剖学的構造の直径と長さに一致できる状態で、大動脈100内で留置可能となる。ステント26の種々の部分は、ステント26の直径を、ステント26が配置される場所内の大動脈100の直径に適合するように調節可能である。この方法により、ステント26の全体が大動脈100の直径変化に一致することが可能となる。例として、静止時の直径が40mmのステント26が、アセンブリ10を使用して移植された場合、ステント要素26は、弓の直径が35mmであり、かつ下行大動脈の直径が20mmであるにも関わらず、その直径が大動脈弓および下行大動脈の直径と一致可能である。従来のステント、ステントグラフトおよびアセンブリは、このような機能が可能ではない。この例で言及された数字は、言うまでもなく単なる例証であり、大動脈100における直径変化の種々の範囲は、アセンブリ10によって収容可能である。ある実施形態では、留置構成82内におけるステント装置26の直径および長さは、留置装置12のロッド14の軸方向の並進移動により、および/または留置装置12の第1リリースワイヤ22の並進移動により、半径方向拘束部材24を1つ以上開放することによって、変更可能である(留置工程の説明として
図8A~8Eを参照)。
【0053】
ステント装置26は、ステント装置26に対して遠位または近位の疾患を治療するために、他の血管内装置、グラフト部90、92をモジュラー要素で重なり合わせ、および/またはある方法により係合する、モジュラー方法で利用してもよい。
図2および
図9に示すように、アセンブリ10は、ステント装置26の近位部34と係合する別の近位グラフト部90を含んでいてもよい。
図2は、近位部34と係合する環36を含む近位部90を示し、環36は、大動脈100内にステント装置26を固定するために大動脈100と選択的に係合するように構成されている。さらに環36は、近位部34と係合するための円柱状の構成要素72を画定することができる。円柱状の構成要素は、長さが少なくとも5mmであってもよく、さらに環の高さで終端してもよく、または環の高さを超えて延びてもよい。環と円柱状の構成要素との組み合わせが、
図12Aから
図12Dに記載された全てのステントおよびグラフトの組み合わせと共に使用されてもよい。環36は、直径で20mmを超えて測定することができ、さらに治療される大動脈100の実質的に全ての直径に合わせて使用することができる。この環36は、横断大動脈100に吻合することができ、さらにアセンブリ10、大動脈100と、例えば、通常、下行大動脈と交換されるれる任意のポリエステルグラフトとの間の接続を支持かつ強化するワッシャーと同様に使用することができる。
【0054】
他の血管内装置またはステントの例は、関連する米国特許出願における2012年12月6日付けに出願された出願番号13/706、896号、“血管内大動脈修復用装置およびその使用方法”に見られ、現在は米国特許第8、940、040号となっており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
図10A~
図10Cを参照すると、アセンブリ10は、近位部34の一端上と大動脈100、または別のステントの他方端上と係合可能な近位グラフト部90を含んでもよい。環36は、図示されているように、ドーナツ状であってもよく、または任意の適切な形状または構成であってよく、さらに直径は、少なくとも20mmであってもよい。ある実施形態では、近位グラフト部90のどちらか一端上での係合は、スティッチ(stiches)または縫合糸74を使用して達成することができる。少なくとも1つの実施形態では、近位グラフト部90は、約10mm~約50mmの間の直径であってよい。
図9で示されるように、近位グラフト部90は、近位部90へのアクセスを提供するためのサイドアーム78を画定してもよく、および/または大動脈上枝へのバイパスを実施するため、または患者を心肺バイパスに接続するためにステント装置26を画定してもよい。ある実施形態では、サイドアーム78は、直径が約8mm以上であってもよい。サイドアーム78は、手術中に縫い付けシャットとなっていてもよく、または望ましくない場合は全て除外してもよい。ある実施形態では、近位グラフト部90は、
図10Aに示すよう、より簡易な持ち運びができるために、ステント装置26の一部内で反転されてもよい。スティッチ(stiches)74は、留置中または留置後に部90をステント装置から引き出す補助とするために近位グラフト部90に取り付けられてもよい。
図10Bと
図10Cとを比較すると、ステント装置26が細長いとき、ステント装置26の直径は減少する。同様に、ステント装置26の長さを短くすると、直径は大きくなる。
【0056】
アセンブリ10は、ステント装置26の遠位部30と係合する別の遠位グラフト92を含んでいてもよい。
図12Aは、遠位グラフト部92を含まないアセンブリ10を示す。遠位グラフト部92は、左鎖骨下動脈を越えて患者の下行大動脈に係合可能に受け取ることができる。近位グラフト部90と同様に、遠位グラフト部92は、モジュラー方法で、他の血管内ステント、グラフトおよび/またはデバイスをモジュラー移植するためのドッキングステーションとして機能することができる。遠位グラフト部92は、少なくとも1cmの長さであり、ポリエステル、テフロン(登録商標)または他の不透過性の生物学的に受容可能な人工器官材料であってよく、その外面または内面を、金属の支持フレームおよび記憶形状ワイヤ、ステンレス鋼または他の合金およびポリマーからなるステントにより、a)支持されていない、b)支持されている、および/またはc)ステント装置26の遠位部30の内面に固定されていてもよい。
図12Bは、支持されていない遠位グラフト部92を示すものである。
図12Cは、支持フレーム88によって外部から支持された遠位グラフト部92を示す。
図12Dにより、支持フレーム88によって外部から支持された遠位グラフト部92が、ある実施形態では、ステント装置26の遠位部30の延長となり得ることが明らかとなる。
【0057】
グラフト部90、92とステント装置26との間の接続は、スティッチ74、クリップまたは機械的締結具で固定されてもよい。ある実施形態では、ステント装置26は、ステント装置26をグラフト部90、92に係合、または代替的に、患者の解剖学的特徴に係合させるため、近位部34および/または遠位部30のいずれかにアイレット76を含んでもよい。例えば、
図9を参照すると、ステント装置26の遠位部30は、大動脈100または遠位グラフト部92と係合するアイレット76を含んでいてもよい。アイレット76は、ワイヤが網状ステント部材70を形成するように、ステント装置26の隣接部で形成されてもよい。以下により詳細に説明するように、さらに、アイレット76は、グラフト90、92および/またはステント装置26の端部を制御するための固定金具を提供してもよい。
【0058】
ステント装置26および/またはグラフト部90、92、またはそれらの一部は、透過性または不透過性であってもよく、かつポリエステル、テフロン(登録商標)または多孔質テフロン(登録商標)のような人工的材料を含んでいてもよく、またはその他の適切な生物学的に適合する複数の流体不浸透性材料を含んでいてもよい。ステント装置26および/またはグラフト部90、92、またはそれらの一部は、z-ステント、m-ステント、円形またはサドル形のステント、格子状パターンでレーザーカットされたステント、または網状(braided)ステント部材70のような高分子支持体、またはステントワイヤ支持体で外的または内的に補強されていてもよい。さらにステント装置26は、不浸透性グラフト部90、92のような不浸透性材料で覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。網状ステント部材70は、2本以上のワイヤまたはワイヤフレームによって形成されてもよく、または単一の連続した網状ワイヤフレームによって形成されてもよい。あるいは、生分解性足場は、剥離した大動脈100が治癒するまで、大動脈100内でステント装置26および/またはグラフト部90、92の機能を可能にしてもよい。ある実施形態では、近位グラフト部90および/または遠位グラフト部92を除外してもよい(例として
図3を参照)。
【0059】
上述したように、アセンブリ10は、患者の大動脈100内にステント装置26を留置するたの留置装置12を含んでいてもよい。ある実施形態では、留置装置12は、ステント装置26の直径を抑制するように構成可能な、1つ以上の半径方向拘束部材を開放するために構成された第1リリースワイヤを有していてもよい(例として、
図5A、7Aおよび7Bを参照)。留置装置12は、第1リリースワイヤ22が延びる第1出口42を規定することができる。第1リリースワイヤ22は、1つ以上の半径方向拘束部材24を解放するように構成されてもよい(
図5B参照)。第1出口42によって選択的に受け入れ可能な第1キャップ44を提供してもよい。第1キャップ44の並進移動が第1リリースワイヤ22も並進移動させるために、第1リリースワイヤ22は、第1キャップ44と係合していてもよい。
【0060】
追加の実施形態では、留置装置は、ステント装置26の直径を抑制するように構成可能な、追加の1つ以上の半径方向拘束部材52を開放するように構成された第2リリースワイヤも備えていてもよい。留置装置12は、第2リリースワイヤ50が延びる第2出口を規定することができる。第2リリースワイヤは、追加的に1つ以上の半径方向拘束部材52を開放するために構成されてもよい。第2出口46によって選択的に受け入れ可能な第2キャップ56が提供されてもよい。第2リリースワイヤ50は、第2キャップ56の並進移動が第2リリースワイヤ50も並進移動させるため、第2キャップ56と係合してもよい。ある実施形態では、
図5Cで示されるように、第2リリースワイヤ50を部分的に並進移動させることで、追加的に1つ以上の半径方向拘束部材52の一部を開放できる。
図5Dに示されるように、第1リリースワイヤ22および第2リリースワイヤ50が完全に並進移動した場合、ステント装置26の全体は、留置構成82の状態まで拡張する。
【0061】
別の実施形態では、
図6Aおよび
図6Bで示されるように、第2キャップ56は、第1キャップ44を第1の開放せずに、あるいは代わりに、安全ピン54を切断せずに、開放できないようにするため、安全ピン54は、第1出口42によって選択的に受け入れ可能な第1キャップ44と、第2出口46よって選択的に受け入れ可能な第2キャップ56との間に張り渡ししてもよい。
【0062】
再度、
図5A~
図5Dまでを参照すると、1つ以上の半径方向拘束部材24は、ステント装置26の第1部分94を解放するように構成することができ、さらに追加的に1つ以上の半径方向拘束部材52を、ステント装置26の第2部分96を解放するように構成してもよい。
【0063】
上述したように、アセンブリ10のステント装置26は、初期構成80(例として、
図4Cを参照)内の留置装置12のロッド14の周りに位置決めされてもよい。ロッド14は、患者の大動脈100内で並進移動可能であってもよい。ロッド14は、留置装置12のハンドルアセンブリ40と係合するための操作端16と、患者内に配置するために遠位端20とを備えていてもよい。ハンドルアセンブリ40によって、ロッド14を軸方向に並進移動させることができる。
【0064】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、ロッド14は、互いに間隔を置いて配置される場所から延びる1つ以上の突起66、66’、66’’、66’’’を規定することができる。これらの突起66、66’、66”、66’’’は、留置速度を制御するためにステント装置26の並進移動を遅くするように作用する。さらに、ロッド14は、1つ以上のリリースワイヤ22、50が並進移動により通過することを可能とする、1つ以上の開口68を備えていてもよい。図示されるように、留置装置12は、ガイドワイヤ62が中を通過して延在する第3出口60を規定できる。ガイドワイヤ62は、第3出口60を通り、かつロッド14の遠位端20によって規定される先端63までのロッド14の長さに沿って延びることができる。ロッド14は、初期の非線形配置84(
図4B参照)を有する遠位端20上の先端63を規定できる。ガイドワイヤ62が先端63を前方に通過することで、先端63により直線配置86を規定することができる。追加的に、ロッドは、ステント装置26がそれ以上移動をするのを防ぐため、遠位端20上に制止部材64を規定してもよい。
図4Cは、遠くへ延びるガイドワイヤ62を有する留置装置12を示す。
【0065】
図11A~
図11Cで示されるように、留置装置12は、ステント装置26の拡張を半径方向に抑制し、かつ貯蔵または使用される際にグラフト部90を保護するために、ステント装置26の近位グラフト部90と係合する近位保護部材98を含んでいてもよい。付加的に、近位保護部材98は、アセンブリ10のグラフト部90の輪郭を減らし、その結果、アセンブリ10を大動脈100内に簡単に導入できるようになる。近位保護部材98は、部材98を軸方向に並進移動させること、および部材98の横断スリット99を通って、ロッドを摺動させることにより除去してもよい。
【0066】
図13~
図19では、アセンブリ10の留置装置12の代替の実施形態を示す。
図13に示されるように、留置装置12は、基部15とハンドルアセンブリ40とを含むことができる。ハンドルアセンブリ40は、本明細書に記載された特徴のいずれかを含むことができる。
図14は、1つ以上の半径方向拘束部材24、および基部15と係合し、かつそこから延在する追加の1つ以上の半径方向拘束部材52を示す。図示されるように、半径方向拘束部材24、52は、
図15、16Aおよび16Bで図示されるように、ステント装置26の内部で拘束するアイレット76を有するシース53であってもよい。
【0067】
シース53はテフロン(登録商標)、多孔質テフロン(登録商標)、または他の生物学的に許容可能な材料で構成されていてもよい。1つ以上のシース53は、輸送装置12の基部15の底部に取り付けられた三日月状であってもよい。あるいは、シース53は円形で、かつ輸送システムの基部15包含してもよい。1つ以上のシースの上表面上を長手方向のスリット55で分割してもよい。スリット55の各縁部は、リリースワイヤ22、50が通る経路のためのアイレット76を備えていてもよい。ステント装置26が1つ以上のシース53内に装着された後、アイレット76を介してリリースワイヤ22、50を通過させることにより、ステント装置26を内部に収容するために1つ以上のシース52を閉鎖することが可能となる。複数のシース53は、ステント装置26を連続して留置することを可能にするため、その各々は独立して動作してもよい。
【0068】
図15は、ロッド14を介して基部15の長さ方向に沿って、ハンドルアセンブリ40から先端63に延在するガイドワイヤ62をさらに含んでいる。ロッド14は、本書で記載されたいかなる特徴を含んでいてもよい。例として、ガイドワイヤ62の軸方向の並進移動は、ハンドルアセンブリ40の軸方向の並進移動から影響を受ける場合があり、これにより、大動脈100内で先端63が並進移動する。先端部63は、係合のための、または少なくとも1つのリリースワイヤ22の通過を可能にするためのアイレット76または他の係合機構を含むことができる。先端部63は、オリーブ形状であってもよいし、本明細書に記載された他の特徴のいずれかを有していてもよい。
【0069】
図17Aおよび
図17Bは、本発明の1つ以上の実施形態による留置装置の複数のシース内に位置するガイドワイヤ62を図示したものである。
図18Aおよび
図18Bは、大動脈100内の留置のために、内部に配置された複数のシース53とステント装置26とを有する留置装置12の図である。少なくとも1つのリリースワイヤ22、50は、ステント装置26を半径方向に抑制、かつその部分的な拡張を可能にするため、複数のシース53のアイレット76と先端63とに係合する。
図19は、本明細書で説明した留置装置12の別の実施形態の全体図である。代わりとして、スリップノットまたは縫合を通過させる方法で近似したシース53の2つの側面を保持するために縫合糸材料を使用することもできる。
【0070】
アセンブリのステント装置26を留置するために、患者の胸部が開かれ、心肺バイパスが開始される。身体は、脳および器官の保護のために冷却され、十分に冷された後、心肺バイパスが停止される。上行大動脈および/または大動脈弓を分割して切除する。無名動脈に近位部が用意される。アセンブリ10の留置装置12を使用してステント装置26を留置することは、アセンブリ10の組み立て、および/または準備が完了後に可能となる。
【0071】
患者の大動脈100にステント装置26を留置する方法は、留置装置12のロッド14の遠位端20を大動脈100内に向かって軸方向に並進移動させることによって、少なくとも左鎖骨下動脈を越えて、ステント装置26の遠位部30を位置決めする工程を含む。ロッド14の軸方向の並進移動は、留置装置12のハンドル組立体40を操作することによって可能となる。ステント装置26を大動脈内に留置する方法は、
図8A~
図8Hに大動脈100のモデルを使用して示されている。
図8Aは、初期構成80における大動脈100内に留置されたステント装置26を示す。
【0072】
上記の様に、ステント装置26は、ロッド14の周囲に初期構成80の留置装置12に係合することも可能である。さらに、ステント装置26は、ステント装置26は、遠位部30と流体係合するステント部32と、ステント部32と流体係合する近位部34とを含むことが可能である。
【0073】
ある実施形態では、一旦ステント装置26が留置および/または適切な位置決めが完了すると、本発明の方法は、ステント装置26のステント部32の直径を抑制する、1つ以上の半径方向拘束部材24を解放する工程を含むことができ、この解放は、留置装置12の第1リリースワイヤ22を並進させることによって実行されてもよい。リリースワイヤ22の並進移動は、第1リリースワイヤ22と係合し、かつ、
図8に示すように、留置装置12の第1出口42に選択的に係合した第1キャップ44を並進移動させることによって実行してもよい。
【0074】
他の実施形態では、留置方法は、ステント部32の直径を抑制する、追加的に1つ以上の半径方向拘束部材52を開放する工程を含んでもよい。この開放は、留置装置12の第2リリースワイヤ50を並進移動させることによって実行されてもよい。第2リリースワイヤ50の並進移動は、第2リリースワイヤ50と係合し、かつ留置装置12の第2出口46と部分的に係合する第2キャップを並進移動させることによって実行可能であってもよい。
【0075】
少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の半径方向拘束部材24は、ステント部32の第1部分94を半径方向に抑制し、さらに追加の1つ以上の半径方向拘束部材52が、ステント部32の第2部分96を半径方向に抑制する。リリースワイヤ22、50は、任意の順番で並進移動可能で、各コード22、50は、任意数のパターンまたは構成で配置された任意数の部分94、96または拘束部材24、52に影響を与えることができる。拘束部材24、52の各解放によって、ステント部分32またはステント装置26の任意数の部分94、96の直径を変更することができ、これにより、留置の途中および/または留置完了後にステント装置26を大動脈100に最適に最適に適合させることができる。この結果、ステント26を近位から遠位の方向、遠位から近位の方向まで留置でき、または近位または遠位に伝搬するステント26の中心において留置を開始することが可能となる。
【0076】
図8A~
図8Hに示されるある実施形態では、アセンブリ10は、大動脈100内に配置でき、かつ無名幹の根元に近位の環36と共に位置決めできる。環36は、ステッチ74または機械的方法により所望の位置に固定されてもよい。第1キャップ44は、開けることが可能で、そしてリリースワイヤ22は、ステント構成要素26の近位部34を拡張する第1の半径方向拘束部材24をほどきながら牽引することができる。第2リリースワイヤ50は、現時点では解放できており(
図8Dを参照)、内側のロッド14とハンドル構成要素40とが、オペレータに向けて引き戻し可能な状態で、オペレータの全制御の下、第2半径方向拘束部材52が一つ毎に解かれる。アセンブリ10の近位部を大動脈100に固定された状態を維持することによって、第2拘束部材52を1つずつ解くことで、半径方向拘束部材52が解かれるのと同時に内ロッド14の並進移動によりステント構成要素26を伸長または短縮させることができる。それにより、オペレータがステント部材26の機能的直径を制御でき、かつ大動脈100の直径と一致することができ、広範囲の直径を有する大動脈を治療できるようになる。
【0077】
図6Aに示されているように、安全ピン54は、第1キャップ44と第2キャップ56とに係合してもよい。第2キャップ56の並進移動は、安全ピン54が切断されたとき、または第1キャップ44が第1出口42(
図6B参照)から解放されたときに可能となる。
【0078】
留置中または配置後の任意の時点で、この方法は、大動脈100内でロッド14を軸方向に並進移動させることにより、留置構成82内に、ステント装置26の長さおよび直径を変更する工程を含んでいてもよい。例えば、
図8Cに示すように、ロッド14は、大動脈100から離れ、オペレータに向かって並進移動してもよく、その結果大動脈100内のステント装置26の留置構成82を拡張できる。ステント装置26の適切な位置決め工程は、いつでも再確認できる。操作、変更、軸方向の並進移動を介して、ステント部32は、腕頭動脈、左総頸動脈、および左鎖骨下動脈が接着する大動脈弓の一部を跨ぎ、かつ係合するように配置されてもよい。一例として、本発明の方法は、留置構成82の内部へ入れるステント装置26の長さおよび直径をさらに位置決めおよび/または変更するために近位部34、ステント部32、遠位部30、近位グラフト部90、遠位グラフト部92、アイレット76、またはステント装置26の任意の他の構成要素を操作する工程を含んでもよい。ある実施形態では、ステント装置26の位置決めおよび/または変更の工程は、ロッド14の遠位端20の周りに規定された制止部材64によって制限される。
【0079】
したがって、一例として、大動脈100内の所望の位置にステント構成要素26を輸送することによって、アセンブリ10の近位部34は、配置場所で固定および安定化する。これは、グラフト環36を横断大動脈100に縫合、または第1リリースワイヤ22を解放するかのどちらかによって実施されてもよく、それによって、ステント構成要素26の近位部34を拡張により、ステント26が大動脈壁に対して密着可能となる。アセンブリ10が配置場所で安定である場合、ロッド14がアコーディオンのように近位方向または遠位方向に並進移動されている間に、第2リリースワイヤ50は、ステント26の遠位部30を拘束する滑り継手52を解放しながら牽引されることができ、これにより、ステント構成要素26の長さおよび直径を、大動脈100に適合する所望の直径および長さに変更し、それにより、内膜フラップを大動脈壁に押し上げ、かつ再付着することが可能となる。
【0080】
ある実施形態では、ステント装置26が大動脈(
図8A参照)内に挿入された場合、第1リリースワイヤ22は、並進移動することで、ステント装置26の第1部分94を拡張し(
図8B参照)、さらにロッド14が並進移動することで、大動脈内で第1部分94が完全に留置させ(
図8C参照)、第2リリースワイヤ50が並進移動した場合には、ステント装置26の第2部分96の拡張が開始する(
図8D参照)。第2リリースワイヤ50を完全に並進させる前に、ロッド14が再び並進移動する場合、大動脈内のステント装置26の拡張と位置決めをする(
図8E参照)。続いて、第2リリースワイヤ50が完全に並進移動する場合、ステント装置26の第2部分96を完全に拡張させる(
図8F参照)。ガイドワイヤ62をその後、並進移動させる場合、ステント装置26および大動脈100内からロッド14を除去するために、先端63を直線配置86になるように構成する。(
図8G参照)。
図8Hは、大動脈100のモデル内で完全に留置されたステント装置26を示す。
【0081】
ステント装置26が留置および/または配置された場合、この方法は、患者の大動脈100からロッド14を取り除く工程を含んでもよい。除去は、ロッド14を軸方向に直接並進移動させること、またはハンドルアセンブリ40を使用することで実施してもよい。大動脈100から留置装置12を確実に安全に除去するため、ガイドワイヤ62を並進移動させ、先端63を直線配置86に位置決めしてもよい。本発明の方法は、さらに、ロッド14の遠位端20によって規定された先端63を介して、留置装置12の第3出口60を通って延びるガイドワイヤ62を前進させる工程を含んでもよく、それにより先端63を非線形配置84から線形配置86に変化させることができる。ある実施形態では、大動脈100から留置装置12を除去するために、完全にステント装置26を解放するよう先端73を遠位方向に押してもよい。
【0082】
近位部34に係合する環36を含むアセンブリ10の実施形態において、本発明の方法は、大動脈100または別のステントに、環36を接着する工程を含んでもよい。ステント装置26の遠位部30を含むアセンブリ10の実施形態において、本発明の方法は、遠位部30を大動脈100、遠位グラフト部92、または別のステントに接着させる工程を含んでもよい。近位部34、または遠位部30の接着工程は、ステント装置26の半径方向の拡張よりも前で可能で、またステント装置26の最後の留置より前で可能で、またはステント装置26の最後の留置の後に実施できる。
【0083】
本明細書で開示されたように、ステント装置26は、グラフト部90、92とは独立して留置されてもよく、例えば、解離フラップを再接着するためにオペレータが上記で説明したように大動脈を開口し、さらに大動脈弓および下行大動脈内にステント装置26を留置することになるであろう。ステント装置26が目的の場所に輸送されたとき、ポリエステルの近位グラフト部92は、ステントの接着接合部上または近傍で、遠位端が大動脈弓に吻合された特有の独立した存在として使用されてもよい。近位グラフト部92の近位端は、洞上行大動脈移行部、または弁付き管に吻合されてもよい。これによって下行大動脈を効果的に置換する。さらに別の実施形態では、ステント装置26は、留置の間、ステント装置26が覆われてない箇所の留置装置12上に移植されてもよい。これは、ステント26を露出させてステント26が拡張できるようにするため、保護シース53を除去する工程を伴ってもよい。代わりに、従来の被覆された輸送装置を使用してもよい。ステント装置26の近位部30、ステント部32および/または遠位部34は、ステントの正確かつ連続した開放を制御する1つ以上の解放機構24、52、64、63によって捕捉されてもよい。
【0084】
ステント装置26の解放の制御および留置デバイス12上のステント装置26の外形の縮小のため、ステント装置26は、ロッド14の上に取り付けおよび伸縮でき、さらにリリースワイヤ22を使用して安定化および拘束できる。リリースワイヤ22は、複数の拘束点を効果的に形成するTevdek製(あるいは別の)縫合材料で構成されてもよい。別の実施形態では、1つ以上の長手方向のリリースワイヤ22、50が使用されてもよく、その場合、ロッド14上にステント装置26を保持するためのスリップノットが作成される。スリップノットは、規則的な間隔で次の保持位置に移り変わることができる。スリップノットの位置決めの開始と方向に応じて、ステント装置26は、複数の方向の組み合わせで留置されてもよく、例えば、複数の方向の組み合わせは、近位から遠位へ、遠位から近位へ、またはハイブリッドグラフトの中央から遠位の方向であってよい。独立したスリップノットを有する2つ以上のリリースワイヤ22、50のシステムが使用される場合、ステント装置26の種々の部分は、覆いをとり、かつ互いに独立して種々の方向に拡張することが可能となる。
【0085】
リリースワイヤ22、50の終端は、安全のため、出口42、46にねじ止め、または選択的に係合するようにキャップ44、56に取り付けてもよい。オペレータがステント装置26の位置決めを十分に行えた場合、1つ以上のキャップ44、56を緩めること、解放および並進移動させることが可能となる。取り付けられた1つ以上のリリースワイヤ22、50を牽引することで、ステント装置26の網状部を解放し、かつ拡張することができる。
【0086】
ステント装置26と、上記で記載したスリップノットを含む留置装置12との組み合わせにより、オペレータがステント装置26の長さおよび直径を完全に制御するという特別に独特の性質が可能となる。従来のグラフトおよびステントグラフトは、それらのグラフト材料のため長さおよび直径が固定されている。対照的に、本明細書で記載されたステント装置は、グラフトの直径を減少または増大させることで伸ばしたり、または短くしたりすることができる。このようにして、半径方向拘束部材24、52を連続して段階的に解くことにより、ステント装置の一端が、大動脈100の最大径に第1に到達しながら拡張し、所定位置に固定できる。この段階において、オペレータは、制御された方法で、リリースワイヤを牽引し、かつ拘束部材24、52を解くことで、ステント装置の直径および長さを治療されるべきある大動脈の寸法に合わせて能動的に調節しながら、留置装置12を軸方向に並進移動させることで、ステント装置26および/または留置装置12の種々の部分を近位側または遠位側に操作および配置することができる。本発明の技術の明らかな利点は、ステント装置26を大動脈の解剖学的構造へ生体適合することであり、さらに患者における大動脈の寸法の大部分を収容するために、1つまたは2つのステント装置の大きさであれば十分であるということである。
【0087】
図4Aおよび
図4Bに示すように、非線形配置84および線形配置86の両方の実施を可能とする先端部63によって、ステント装置26を大動脈100内部へ非外傷で導入することができる。ステント装置26が一旦留置されると、巻状の先端部63は、留置システムを大動脈100から引き出す際に、直線化して線形配置86にすることができ、これにより、ステント装置26、または大動脈100と絡むことを回避できる。先端部63は、連続して、かつ留置装置の中央を経由して通過するガイドワイヤ62を備えた中空であってもよい。またガイドワイヤ62の経路は、ステント装置26を簡単に運搬できるよう、初期の非線形配置84から線形配置86に、先端部63を再構成してもよい。ガイドワイヤ62は、ガイドワイヤ62が第3出口60を介して、留置装置12が出入りできる、ハンドルアセンブリ40の丁度遠位側で終端してもよい。さらに先端部63は、ガイドワイヤ62を使用して、大動脈100の内部に造影剤を注入するために使用されてもよい。これにより、オペレータが、個別の血管造影カテーテルを使用せずに、ステント装置26を留置しながら、血管造影を行うことができる。
【0088】
ある実施形態では、ステント装置26は、ステント装置26の長さが85mmであるとき、初期構成80における直径は40mmであってよい。この実施形態では、ステント装置26は200mmまで伸縮可能で、その結果直径は、20mmまで縮むことができる。このような特性は、種々の直径を有する様々な大動脈100を治療に有効である。本明細書で記載されたアセンブリ10を使用することで、オペレータは、ステント装置26の長さと直径を、大抵の患者の大動脈100の解剖学構造に適合するように、完全な制御を行うことが可能となる。これによって、患者の治療のために極めて大きな自由度をもたらし、患者の母集団の解剖学構造に適合するためは、1つまたは2つのみのステント装置26の大きさであれば十分である。さらに、一端上でステント装置26を留置することで、ステント装置26の一端の固定が可能となる。ステント装置26の一端が固定された場合、ステント26の形状記憶ワイヤおよびステント26内の慣性によってステント26の残部は、引き戻され、かつ縮まることになり、その結果ステント26の直径が大きくなる。ステント26の拡張によって、ステントの外面が大動脈壁に接触すると、ステント26の拡張が停止しそれゆえ、さらなる拡張が抑制される。この自動サイズ調整および拡張の機能は、解離した内膜フラップを持ち上げて、仮付けする(tack)ために重要な役割であり、それにより解離した内膜フラップを大動脈100の壁に戻して融合させる。同様にステント26の拡張は、ステント装置26を完全に解放する前に、留置装置12のロッド14を引き戻すことにより、機械的に補助されてもよい。このシステムはまた、オペレータが、ステント26および大動脈100の中心軸に沿ってロッド14を反対方向に並進移動させることにより、ステント26の直径を長くすること、および縮小することを可能となる。
【0089】
本明細書に記載された装置および方法は、広い用途を有することが理解されるであろう。前述の実施形態は、ある実用的な用途と同様に、その方法および装置の原理を示すために、選択および説明を行った。上記の説明は、当業者が、様々な実施形態における方法および装置を利用することを可能にし、かつ考えられる特定の用途に適した種々の修正を有す方法及び装置を使用することができる。特許法の規定にしたがって、本開示の原理および動作モードは、例示的な実施形態で説明および図示している。
【0090】
本発明の方法および装置の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されることが意図している。しかし、本開示は、その精神または範囲から逸脱することなければ、特定のに説明および図示した以外で実施されてもよいことが理解されなければならない。特許請求の範囲に定義された精神および範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲を実施する際に、本明細書に記載された実施形態に対する種々の代替の形態を採用することができることを、当業者には理解されるべきである。
【0091】
本開示の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を付与する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。本明細書で検討される技術においては、将来の開発が行われることが予想および意図されており、開示されたシステムおよび方法は、このような将来の実施例に組み込まれることもあり得る。さらには、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書では逆を示した明示的な表示がない限り、当業者には理解されるであろう最も広い合理的な構成及びそれらの一般的な意味で与えられることを意図している。具体的には、「a」、「the」、「said」等は、請求項が、逆に対する明示的な限定を記載しない限り、表示された要素のうちの1つ以上を列挙するために読み出されるべきである。特許請求の範囲は、本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内の方法および装置がそれらによって網羅されることが意図される。つまり、本開示は、修正および変更が可能であり、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置およびステント装置を含むアセンブリの側面図である。
【
図2】本発明の1つ以上の実施形態における、環(collar)と係合する近位部を有するステント装置の斜視図である。
【
図3】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置の近位部、ステント部、遠位部の斜視図である。
【
図4A】本発明の1つ以上の実施形態における、先端に線形配置を有する留置装置の上面図である。
【
図4B】本発明の1つ以上の実施形態における、先端に非線形配置を有する留置装置の側面図である。
【
図4C】本発明の1つ以上の実施形態における、装着されたステント装置と留置装置とを含むアセンブリの側面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【
図5D】
図5Dは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤを使用するステント装置を構成するように使用される留置装置の上面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤのキャップと共に使用される安全ピンの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、リリースワイヤのキャップと共に使用される安全ピンの斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、ステント部を拘束する、半径方向拘束部材を規定する少なくとも1つのリリースワイヤの側面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、ステント部を拘束する、半径方向拘束部材を規定する少なくとも1つのリリースワイヤの側面図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8C】
図8Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8D】
図8Dは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8E】
図8Eは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8F】
図8Fは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8G】
図8Gは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図8H】
図8Hは、本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置を用いて大動脈内に留置されたステント装置の図面である。
【
図9】本発明の1つ以上の実施形態における、サイドアームと、環に係合するステント装置との側面図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、さらに遠位部のグラフトと係合するステント装置の内部で反転した近位グラフト部の図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、種々の直径と長さを有し、かつ近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合した、ステント装置の図である。
【
図10C】
図10Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、種々の直径と長さを有し、かつ近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合した、ステント装置の図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【
図11C】
図11Cは、本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部との係合部から近位保護部材を除去する工程の側面図である。
【
図12A】本発明の1つ以上の実施形態における、環を有する近位グラフト部に係合したステント装置の図である。
【
図12B】本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【
図12C】本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と、外部または内部支持フレームを有する遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【
図12D】本発明の1つ以上の実施形態における、近位グラフト部と、ステント装置フレームによって外部から支持された遠位グラフト部とに係合したステント装置の図である。
【
図13】本発明の1つ以上の実施形態における、ハンドルアセンブリおよび基部を有する留置装置の図である。
【
図14】本発明の1つ以上の実施形態における、ハンドルアセンブリ、基部、リリースワイヤ、シースを有する留置装置の図である。
【
図15】本発明の1つ以上の実施形態における、ロッド、ガイドワイヤ、およびシース(sheaths)を有する留置装置の図である。
【
図16A】本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置の基部の周りを折り重ねるためのシースの図である。
【
図16B】本発明の1つ以上の実施形態における、留置装置の基部の周りを折り重ねるためのシースの図である。
【
図17A】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の千鳥状のシースの図である。
【
図17B】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の千鳥状のシースの図である。
【
図18A】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の平行するシースの図である。
【
図18B】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束する留置装置の平行するシースの図である。
【
図19】本発明の1つ以上の実施形態における、ステント装置を拘束するシースを有する留置装置の図である。