IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワコムの特許一覧

<>
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図1
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図2
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図3
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図4
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図5
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図6
  • 特許-位置検出センサおよび位置検出装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】位置検出センサおよび位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/046 20060101AFI20221206BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G06F3/046 A
G06F3/041 420
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021139517
(22)【出願日】2021-08-30
(62)【分割の表示】P 2017159536の分割
【原出願日】2017-08-22
(65)【公開番号】P2021182455
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】小堀 武
(72)【発明者】
【氏名】岸 尚子
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194543(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/182473(WO,A1)
【文献】特開2015-049890(JP,A)
【文献】特開2016-021235(JP,A)
【文献】国際公開第2015/022938(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0216838(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0205957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0205850(US,A1)
【文献】特開2007-065826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/046
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁に曲線部を含む表示画面を備えた表示部に対応して設けられ、
指示体による前記表示画面上の指示位置を検出するために、複数ターンの複数のループコイルが配置されて形成された検出エリアを有し、
前記表示画面は、2つの短い端辺と2つの長い端辺を有する略長方形状であり、
前記曲線部は、前記略長方形状の前記表示画面の四隅に位置し、
複数ターンの複数の前記ループコイルのうち最も端辺側に位置するループコイルは、前記表示画面の前記曲線部に沿って曲線となった部分を有する1以上のターンを備えて、前記検出エリアを形成する
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出センサであって、
前記検出エリアは、前記表示部の前記表示画面に対応して設けられ、前記表示画面と同一形状あるいは相似形状である
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の位置検出センサであって、
前記表示画面の前記曲線部を含む前記表示部の所定領域を除いた領域を直線領域として、当該直線領域にはいずれの辺も直線となった複数ターンの前記ループコイルを配置して前記検出エリアを形成する
ことを特徴する位置検出センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の位置検出センサであって、
前記検出エリアは透明電極が用いられて形成され、前記表示部の前記表示画面の上側に配置されて用いられる
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の位置検出センサであって、
前記表示部の前記表示画面の下側に配置されて用いられる
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の位置検出センサであって、
前記表示部の前記表示画面は曲面を有し、前記検出エリアは前記表示画面に対応して曲面を有する
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項7】
外縁に曲線部を含む表示画面を備えた表示部と、
前記表示部に対応して設けられ、指示体による前記表示画面上の指示位置を検出するために、複数ターンの複数のループコイルが配置されて形成された検出エリアを有し、
前記表示画面は、2つの短い端辺と2つの長い端辺を有する略長方形状であり、前記曲線部は、前記略長方形状の前記表示画面の四隅に位置し、複数ターンの複数の前記ループコイルのうち最も端辺側に位置するループコイルは、前記表示画面の前記曲線部に沿って曲線となった部分を有する1以上のターンを備えて、前記検出エリアを形成する位置検出センサと、
前記検出エリアを形成する複数の前記ループコイルからの信号に基づいて、前記表示画面上の前記指示体による指示位置を検出する指示位置検出回路と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の位置検出装置であって、
前記位置検出センサの前記検出エリアは、前記表示部の前記表示画面に対応して設けられ、前記表示画面と同一形状あるいは相似形状である
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の位置検出装置であって、
前記位置検出装置の前記表示画面の前記曲線部を含む前記表示部の所定領域を除いた領域を直線領域として、当該直線領域にはいずれの辺も直線となった複数ターンの前記ループコイルを配置して前記検出エリアを形成する
ことを特徴する位置検出装置。
【請求項10】
請求項7に記載の位置検出装置であって、
前記位置検出センサの前記検出エリアは透明電極が用いられて形成され、前記表示部の前記表示画面の上側に配置されて用いられる
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項11】
請求項7に記載の位置検出装置であって、
前記位置検出センサは、前記表示部の前記表示画面の下側に配置されて用いられる
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項12】
請求項7に記載の位置検出センサであって、
前記表示部の前記表示画面は曲面を有し、
前記位置検出センサの前記検出エリアは前記表示画面に対応して曲面を有する
ことを特徴とする位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電子ペンや使用者の指などの指示体による指示入力を可能にする位置検出センサ、当該位置検出センサを用いた位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)など、筐体前面の大部分が表示画面となる種々の電子機器が広く利用されている。これらの電子機器には、表示画面に対応する検出エリアを有する位置検出センサと、この位置検出センサからの出力に基づいて指示位置を検出する位置検出回路とからなる位置検出装置が搭載されている。これにより、使用者は、電子ペンや使用者の指などの指示体により表示画面上を指示することで簡単に指示入力を行うことができる。
【0003】
従来からスマートフォンやタブレットPCなどの電子機器では、表示画面をできるだけ大きくすると共に、その細部まで適切に情報を表示することができるように、表示画面の四隅(四方のかど)は直角になっている。また、後に記す特許文献1に開示されている技術などにより、位置検出センサについても、表示画面に対応して検出エリアを拡大し、その周囲の無効エリアを極力少なくする技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/056272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、位置検出センサの検出エリアの拡大と検出エリアの周囲の無効エリアの縮小技術の進歩に伴い、スマートフォンやタブレットPCには、その全体のサイズを変更することなく、より表示画面の大きな表示デバイスを搭載できるようになった。また、近年スマートフォン等のデザインとして、四隅が曲線状になっているものも増えているが、表示画面に表示可能な情報を少なくすることなく、表示画面の四隅も曲線にして、表示画面をスマートフォン等の本体の大きさに近づけることも行われてきている。
【0006】
しかし、従来の位置検出センサは、四隅が直角の表示画面に対応するものである。このため、従来の位置検出センサを四隅が曲線となった表示画面に適用すると、四隅の直角部分が表示画面から大きくはみ出し、スマートフォン等の本体に収納できない場合も生じてきた。また、表示画面の四隅に限らず、外縁の一部に曲線を含む表示画面の表示部が用いられることも考えられる。
【0007】
以上のことに鑑み、この発明は、位置検出センサ、位置検出装置に関し、外縁に曲線部を有する表示画面が用いられる場合であっても、当該表示画面上の指示位置を適切に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の位置検出センサは、
外縁に曲線部を含む表示画面を備えた表示部に対応して設けられ、
指示体による前記表示画面上の指示位置を検出するために、複数ターンの複数のループコイルが配置されて形成された検出エリアを有し、
前記表示画面は、2つの短い端辺と2つの長い端辺を有する略長方形状であり、
前記曲線部は、前記略長方形状の前記表示画面の四隅に位置し、
複数ターンの複数の前記ループコイルのうち最も端辺側に位置するループコイルは、前記表示画面の前記曲線部に沿って曲線となった部分を有する1以上のターンを備えて、前記検出エリアを形成する
ことを特徴する。
【0009】
請求項1に記載の発明の位置検出センサによれば、当該位置検出センサは、外縁に曲線部を含む表示画面を備えた表示部に対応して設けられるものであり、複数ターンの複数のループコイルが配置されて形成された検出エリアを有する。表示画面は略長方形状のものであり、曲線部は当該表示画面の四隅に位置するようにされている。当該表示画面の最も端辺側に位置するループコイルは、表示画面の前記曲線部に沿って曲線となった部分を有する1以上のターンを備えて、検出エリアを形成する。これにより、外縁に曲線部を有する表示部の表示画面に対応した検出エリアを備えた位置検出センサが実現できるようにされる。したがって、外縁に曲線部を有する表示画面が用いられる場合であっても、当該表示画面上の指示位置を適切に検出することができるようにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の位置検出センサ、位置検出装置の一実施の形態が適用される高機能携帯電話端末の外観と電子ペンの外観とを説明するための図である。
図2図1の高機能携帯電話端末の概略構成を説明するための分解斜視図である。
図3】第1の実施の形態の位置検出センサの構成例について説明するための図である。
図4】第1の実施の形態の位置検出装置と電子ペンの回路構成例を示す図である。
図5】第2の実施の形態の位置検出センサの構成例について説明するための図である。
図6】第2の実施の形態の位置検出装置と電子ペンの回路構成例等を示す図である。
図7】側面部分にまで表示画面を拡張した高機能携帯電話端末の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら、この発明の位置検出センサ、位置検出装置の実施の形態について説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
[電子機器の外観構成]
図1は、この発明による位置検出センサ、位置検出装置の一実施の形態が適用される電子機器の一例である高機能携帯電話端末(スマートフォン)の外観と、当該高機能携帯電話端末への指示入力に用いられる電子ペンの外観とを示す図である。高機能携帯電話端末1は、表示部(表示デバイス)2の比較的に大きな表示画面2Dが露呈する構成を有する。この実施の形態において、表示部2は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。LCD2の表示画面2Dの外縁の四角は直角ではなく丸みを帯びており曲線部となっており、デザイン的に柔らかな印象を与えるものとなっている。このように、この第1の実施の形態において、LCD2の表示画面2Dは、その外縁に曲線部を含むものである。
【0013】
そして、図1には図示しないが、高機能携帯電話端末1には、位置検出装置100が搭載されている。この位置検出装置100は、表示画面2D上のどの位置が指示された場合にもその指示位置が適切に検出できるように、表示画面2Dの全面に対応する検出エリア3Eを有する位置検出センサ3を備えたものである。また、電子ペン5は、使用者の手によって把持されて使用されるものであり、高機能携帯電話端末1に対して情報を入力する際に用いられるペン型の位置指示器(座標指示器)として機能する。表示画面2D上には例えば保護ガラスなどが設けられており、当該保護ガラスを介して表示画面2D上を操作面として電子ペン5により指示入力を行うことができる。
【0014】
そして、高機能携帯電話端末1において、表示画面2D上で、電子ペン5により位置指示操作がされたとする。この場合、表示画面2Dに対応する検出エリア3Eを有する位置検出センサ3からの検出出力に基づいて、位置検出装置100が備える処理制御部が、表示画面2D上での指示位置を特定する。当該処理制御部で特定された指示位置を示す情報は、高機能携帯電話端末1に搭載されている情報処理部に供給され、これに応じた処理を行うことができる。情報処理部は、例えば、ブラウザ機能、電子メール機能、電話通信機能などの種々の機能を実現することができるものである。このように、高機能携帯電話端末1は、位置検出センサ3を備えた位置検出装置100と電子ペン5とからなるデバイスをメインの入力デバイスとする電子機器(情報処理装置)である。
【0015】
なお、信号を送出するタイプの電子ペンを用いて位置指示入力が可能な位置検出装置には、電磁誘導方式(EMR(Electro Magnetic Resonance technology)方式)のもの、アクティブ静電結合方式(AES(Active Electrostatic)方式)のもの、パッシブ静電結合方式のものなどが存在する。
【0016】
そして、この発明はいずれの方式の位置検出センサ、位置検出装置に対しても適用可能である。以下においては、まず、第1の実施の形態として、電磁誘導方式の位置検出センサ、位置検出装置に、この発明を適用した場合について説明する。その後、第2の実施の形態として、静電結合方式の位置検出センサ、位置検出装置に、この発明を適用した場合について説明する。
【0017】
[高機能携帯電話端末1の概略構成]
図2は、高機能携帯電話端末1の概略構成を説明するための分解斜視図である。図2に示すように、高機能携帯電話端末1は、筐体1B内の最下層にマザーボード4が収納され、その上にこの発明による位置検出センサ3が積層される。この位置検出センサ3の上には、表示画面2Dを上側(フロントパネル1A側)にして表示部であるLCD2が設けられる。そして、LCD2の表示画面2Dの上側にフロントパネル1Aが設けられ、これらの各収納物4、3、2が筐体1B内に保持される。
【0018】
マザーボード4には、図示しないが、通信回路、LCD2用の制御回路、後述する位置検出回路102等の種々の回路が搭載されている。位置検出センサ3は、この発明が適用されて構成されたものであり、マザーボード4に搭載された位置検出回路102と共に、位置検出装置100を構成する。LCD2は、マザーボード4のLCD用の制御回路に接続され、高機能携帯電話端末1の表示部として機能する。フロントパネル1AにはLCD2の表示画面2Dが露呈する開口部が設けられており、この開口部には上述もしたように保護ガラスなどが設けられている。
【0019】
そして、この第1の実施の形態においては、図2に示すように、LCD2全体と位置検出センサ3全体とは、形状、大きさとも同一である。また、LCD2の表示画面2Dは長方形のものであるが、上述もしたように、その角部は丸みを帯びて曲線部となっている。そして、位置検出センサ3の検出エリア3Eは、LCD2の表示画面2Dと形状、大きさともほぼ同じである。すなわち、位置検出センサ3の検出エリア3Eもまた長方形のものであり、その角部が丸みを帯びた曲線部となっている。
【0020】
そして、図2に示すように、LCD2の表示画面2Dの全面に対応して位置検出センサ3の検出エリア3Eが設けられる。つまり、表示画面2D上の位置は、必ず位置検出センサ3の検出エリア3E上の位置が対応しているので、表示画面2D上のどの位置が指示されたとしても、その指示位置を適切に検出できるようになっている。なお、位置検出センサ3の検出エリア3Eは、LCD2の表示画面2Dと、同一、あるいは、相似の関係となる。
【0021】
表示画面2Dと検出エリア3Eとが同一とは、両者の間で形状及び大きさ(面積)が同じであることを意味する。また、表示画面2Dと検出エリア3Eとが相似とは、両者の間で形状が同じで大きさ(面積)が異なることを意味する。つまり、検出エリア3Eと表示画面2Dが相似というときは、検出エリア3Eを均等に拡大または縮小すると、表示画面2Dに完全に重ね合わせられる場合をいう。そして、相似の関係にある場合、検出エリア3Eは、表示画面2Dと同一か、あるいは、表示画面2Dよりもやや大きい(面積が大きい)ことが好ましい。表示画面2Dの端部部分で適切に指示位置の検出を可能にするためである。
【0022】
また、図2に示したように、フロントパネル1A及び筐体1Bからなる高機能携帯電話端末1の本体の四角も丸みを帯びて曲線部となっている。また、LCD2と位置検出センサ3の外縁の四角も丸みを帯びて曲線部となっている。これにより、LCD2及び位置検出センサ3の大きさを、高機能携帯電話端末1の本体の大きさに近づけることができる。
【0023】
[位置検出センサ3の検出エリア3Eの構成]
上述したように、LCD2の表示画面2Dは、その外縁の一部に曲線部を含むものである。また、位置検出センサ3の四隅はLCD2の表示画面2Dと同様に曲線部を含む形状となっている。更に、位置検出センサ3の検出エリア3Eは、LCD2の表示画面2Dと同一あるいは相似の関係となる。したがって、検出エリア3Eは、その外縁に表示画面2Dに対応して曲線部を有する。
【0024】
図3は、位置検出センサ3の構成例について説明するための図である。位置検出センサ3は、図3において、長手方向(X軸方向)の長さがLXで、長手方向に交差する方向(Y軸方向)の長さがLYの長方形状の絶縁フィルム3K上に電極となるループコイルが配設されて形成される。すなわち、絶縁フィルム3Kは、位置検出センサ3の基板となるものである。
【0025】
図3(A)に示すように、絶縁フィルム3Kの一方の面が表側となり、この表側にはその長手方向(X軸方向)に、この例では40本のループコイルX1、X2、…、X40からなるループコイル群31Xが形成される。また、図3(B)に示すように、絶縁フィルム3Kの他方の面が裏側となり、この裏側には長手方向と交差する方向(Y軸方向)に、この例では30本のループコイルY1、Y2、…、Y30からなるループコイル群31Yが形成される。そして、ループコイル群31Xが形成された表側がLCD2側(上側)になるようにされる。
【0026】
図3(A)、(B)において、絶縁フィルム3K上に点線で示した部分の内側が検出エリア3Eである。そして、絶縁フィルム3Kの表側においては、図3(A)に示すように、X軸方向の左端部には、Y軸方向に長さLYの長辺と、位置検出センサ3の左端からX軸方向に長さLXAの短辺とで囲まれた縦長の曲線領域が設けられる。この場合のX軸方向の長さLXAの短辺の右端は、検出エリア3Eにおいて、外縁が曲線になる変化点である。すなわち、検出エリア3EのX軸方向に沿う方向の上下それぞれの外縁を、例えば中心付近から検出エリア3Eの左端に向かう方向に延伸して行くと、X軸方向の長さLXAの右端を過ぎると外縁は徐々に曲線になる。
【0027】
この位置検出センサ3の左端側の曲線領域(LY×LXAの領域)に配置するループコイルは、少なくとも検出エリア3Eの外縁の曲線部の近傍に位置する部分を当該曲線部に応じた形状とする。図3(A)の場合には、ループコイルX1の上下の短辺の左側部分から左側の長辺に続く部分(検出エリア3Eの左側の2つの角部)を、当該曲線部に対応して曲線形状とする。なお、図3(A)のX軸方向の右端側も同様である。
【0028】
そして、絶縁フィルム3Kの表側においては、図3(A)に示しように、左右両端側に設けられる縦長の曲線領域以外の領域、すなわち、左右の曲線領域に挟まれたY軸方向に長さLYの辺と、X軸方向に長さLXCの辺とで囲まれた横長の領域は直線領域とする。この直線領域内に位置するループコイルは、従来通り、短辺及び長辺とも直線とする。なお、絶縁フィルム3Kの表側に配置される各ループコイルX1、X2、…のそれぞれは、隣り合うループコイルとの間でその一部が重なり合うようにされる。これにより、検出エリア3E上において指示位置の検出が不能となる不感帯を生じさせることがないようにしている。
【0029】
また、絶縁フィルム3Kの裏側においては、図3(B)に示すように、Y軸方向の上端部には、位置検出センサ3の上端からY軸方向に長さLYAの短辺と、X軸方向に長さLXの長辺とで囲まれた横長の曲線領域が設けられる。この場合のY軸方向の長さLYAの短辺の下端は、検出エリア3Eにおいて、外縁が曲線になる変化点である。すなわち、検出エリア3EのY軸方向に沿う方向の左右それぞれ外縁を、例えば中心付近から検出エリア3Eの上端に向かう方向に延伸して行くと、Y軸方向の長さLYAの下端を過ぎると外縁は徐々に曲線になる。
【0030】
この位置検出センサ3の上端側の曲線領域(LYA×LXの領域)に配置するループコイルは、少なくとも検出エリア3Eの外縁の曲線部の近傍に位置する部分を当該曲線部に応じた形状とする。図3(B)の場合には、ループコイルY1の左右の短辺の上側部分から上側の長辺に続く部分(検出エリア3Eの上側の2つの角部)を、当該曲線部に対応して曲線形状とする。なお、図3(B)に示すように、Y軸方向の下端側も同様である。
【0031】
そして、絶縁フィルム3Kの裏側においては、図3(B)に示しように、上下両端側に設けられる横長の曲線領域以外の領域、すなわち、上下の曲線領域に挟まれたY軸方向に長さLYCの辺と、X軸方向に長さLXの辺とで囲まれた横長の領域は直線領域とする。この直線領域内に位置するループコイルは、従来通り、短辺及び長辺とも直線とする。なお、絶縁フィルム3Kの裏側に配置される各ループコイルY1、Y2、…のそれぞれは、隣り合うループコイルとの間でその一部が重なり合うようにされる。これにより、検出エリア3E上において指示位置の検出が不能となる不感帯を生じさせることがないようにしている。
【0032】
このようにして、基板となる絶縁フィルム3Kの表側にはループコイル群31Xが形成され、裏側にはループコイル群31Yが形成されて、位置検出センサ3が形成される。これにより、位置検出センサ3において、LCD2の表示画面2Dに対応して、4つの角部が曲線部となって、表示画面2Dに対応した検出エリア3Eが形成される。
【0033】
[電磁誘導方式の位置検出装置100及び電子ペン5の回路構成例]
図4は、この第1の実施の形態の高機能携帯電話端末1が備える位置検出装置100と電子ペン5の回路構成例を示す図である。上述したように、この実施の形態の位置検出装置100及び電子ペン5は電磁誘導方式のものである。電子ペン5は、図4の左上に示すように、信号送受信用に用いられるコイルLと、可変容量コンデンサである筆圧検出部Cvと、電子ペン5に搭載されている回路基板上に設けられた共振コンデンサCf等が並列に接続されることにより共振回路の構成とされたものである。
【0034】
位置検出装置100には、X軸方向ループコイル群31Xと、Y軸方向ループコイル群31Yとが積層されて位置検出コイルからなるセンサ3が形成されている。図4では簡略化しているために検出エリア3Eの曲線部は示していないが、位置検出センサ3は、図3を用いて説明したように、LCD2の表示画面2Dの外縁形状に合わせて、検出エリア3Eの外縁が曲線部を有するように形成されたものである。また、位置検出装置100には、X軸方向ループコイル群31X及びY軸方向ループコイル群31Yが接続される選択回路106が設けられている。選択回路106は、2つのループコイル群31X,31Yのうちの一のループコイルを順次選択する。
【0035】
また、位置検出装置100には、発振器104と、電流ドライバ105と、切り替え接続回路107と、受信アンプ108と、位置検出用回路109と、筆圧検出用回路110と、処理制御部111とが設けられている。処理制御部111は、マイクロプロセッサにより構成されている。処理制御部111は、選択回路106におけるループコイルの選択、切り替え接続回路107の切り替えを制御すると共に、位置検出用回路109及び筆圧検出用回路110での処理タイミングを制御する。
【0036】
発振器104は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器104は、発生した交流信号を、電流ドライバ105と筆圧検出用回路110に供給する。電流ドライバ105は、発振器104から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路107へ送出する。切り替え接続回路107は、処理制御部237からの制御により、選択回路106によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ105が、受信側端子Rには受信アンプ108が、それぞれ接続されている。
【0037】
選択回路106により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路106及び切り替え接続回路107を介して受信アンプ108に送られる。受信アンプ108は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出用回路109及び筆圧検出用回路110へ送出する。
【0038】
X軸方向ループコイル群31X及びY軸方向ループコイル群31Yの各ループコイルには、電子ペン5から送信される電波によって誘導電圧が発生する。位置検出用回路109は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をデジタル信号に変換し、処理制御部111に出力する。処理制御部111は、位置検出用回路109からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン5のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0039】
一方、筆圧検出用回路110は、受信アンプ108の出力信号を発振器104からの交流信号で同期検波して、それらの間の位相差(周波数偏移)に応じたレベルの信号を得、その位相差(周波数偏移)に応じた信号をデジタル信号に変換して処理制御部111に出力する。処理制御部111は、筆圧検出用回路110からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との位相差(周波数偏移)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペン5に印加されている筆圧を検出する。
【0040】
なお、処理制御部111は、ROM111Mに、検出エリア3Eの外縁近傍の指示位置を正確に検出するためのいわゆるルックアップテーブルを備えている。このルックアップテーブルは、検出エリア3Eの外縁近傍の電子ペン5による指示位置と、その時の指示位置近傍のループコイル群31Xとループコイル群31Yの複数のループコイルに発生する電圧値とを対応付けて記憶保持している。
【0041】
これにより、電子ペン5による指示位置が、検出エリア3Eの外縁近傍であることが検出されたとする。この場合、その時の指示位置近傍の複数のループコイルに発生している誘導電圧に基づいて、ROM111Mのルックアップテーブルを参照し、適切な指示位置を特定する。これにより、指示位置は検出エリア3Eの内側なのか外側なのかを適切に判別でき、指示位置が検出エリア3Eの内側である場合には、その正確な指示位置を特定できる。特に、検出された指示位置が検出エリア3Eの曲線部の近傍にある場合に、その指示位置を正確に特定できる点で大きな効果がある。
【0042】
このように、位置検出センサ3を備えた電磁誘導方式の位置検出装置100と電子ペン5とが、この実施の形態の高機能携帯電話端末1の入力デバイスとなり、電磁誘導方式の電子ペン5を用いることによって、詳細な指示入力を行うことができる。そして、LCD2の表示画面2Dは、四角(4つの角部)が曲線部になっているが、これに対応して位置検出センサ3の検出エリア3Eもまた対応する四隅が曲線部になっている。これにより、曲線部の近傍も含め、表示画面2D上のどの位置を電子ペン5により指示しても、位置検出装置100は、その指示位置を適切に検出することができる。
【0043】
なお、位置検出センサ3の電極を構成するループコイルX1、X2、…、X40及びループコイルY1、Y2、…、Y30のそれぞれは、1ターンの場合もあれば、2ターン以上の複数ターンの場合もある。そして、複数ターンの場合であっても、曲線部に近い部分については、当該曲線部に応じた形状となるようにすればよい。また、複数ターンのループコイルの場合、曲線部に応じた形状となるようにした部分のうち、1本は検出エリア3Eの外側に位置させ、その他は検出エリア3Eの内側に位置させることにより、検出エリア3Eの外縁近傍の検出感度を適切なものとするように調整することも可能である。
【0044】
<第2の実施の形態>
[電子機器の概略構成]
次に、第2の実施の形態として、この発明を静電結合方式の位置検出センサ、位置検出装置に適用した場合について説明する。静電結合方式の位置検出センサ、位置検出装置についても、図1に示した外観を有する高機能携帯電話端末1などの電子機器に適用できる。その場合の概略構成は、図2を用いて説明した第1の実施の形態の高機能携帯電話端末1の場合とほぼ同様に構成される。しかし、第1の実施の形態の電磁誘導方式の位置検出センサ3と、以下に説明する第2の実施の形態の位置検出センサ6とでは、その設けられる位置が異なる。
【0045】
第1の実施の形態の電磁誘導方式の位置検出センサ3は、LCD2の下側に設けられたのに対して、この第2の実施の形態の静電結合方式の位置検出センサ6は、LCD2の上側(フロントパネル1A側)に設けられる。このため、静電結合方式の位置検出センサ6の場合には、LCD2の表示画面2Dに表示される画像が観視可能なように、いわゆる透明センサの構成とされる。以下、図2をも参照しながら、第2の実施の形態の位置検出センサ、位置検出装置の実施の形態について説明する。
【0046】
第2の実施の形態の静電結合方式の位置検出センサ6を用いる高機能携帯電話端末の場合には、図2に示した例を参考にすると、各構成部材は以下の順番に積層される。すなわち、筐体1Bの最下層から順に、マザーボード4→LCD2→静電結合方式の位置検出センサ6が積層され、これらがフロントパネル1Aによって筐体1B内に封入される構成となる。
【0047】
この場合、筐体1B、フロントパネル1A、マザーボード4、LCD2の各部は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に構成される。そして、この第2の実施の形態の静電結合方式の位置検出センサ6は、第1の実施の形態の位置検出センサ3と構成は異なるものの、サイズは第1の実施の形態の位置検出センサ3と同様のものとなる。すなわち、この第2の実施の形態においても、LCD2全体と第2の実施の形態の位置検出センサ6全体とは、形状、大きさとも同一である。
【0048】
また、LCD2の表示画面2Dは長方形のものであるが、その角部は丸みを帯びて曲線部となっている。そして、第2の実施の形態の位置検出センサ6の検出エリア6Eは、LCD2の表示画面2Dと形状、大きさともほぼ同じである。すなわち、位置検出センサ6の検出エリア6Eもまた長方形のものであり、その角部が丸みを帯びた曲線部となっている。
【0049】
そして、上述したように、LCD2の表示画面2Dの全面を上側から覆うようにして位置検出センサ6の検出エリア6Eが設けられる。これにより、表示画面2D上の位置は、必ず位置検出センサ6の検出エリア6Eが対応しているので、表示画面2D上のどの位置が指示されたとしても、その指示位置を正確に検出できるようになっている。
【0050】
なお、この第2の実施の形態においても、位置検出センサ6の検出エリア6Eは、LCD2の表示画面2Dと同じ形状であるが、大きさは表示画面2Dよりもある程度大きくてもよい。また、表示画面2Dの端部部分でも適切に指示位置の検出が可能な範囲であれば、表示画面2Dよりも検出エリア3Eの方が小さくてもよい。すなわち、LCD2の表示画面2Dと位置検出センサ6の検出エリア6Eとは、上述した第1の実施の形態のLCD2の表示画面2Dと位置検出センサ3の検出エリア3Eとの関係と同様に、同一、あるいは、相似の関係となる。
【0051】
[位置検出センサ6の検出エリア6Eの形成]
図5は、位置検出センサ6の構成例について説明するための図である。位置検出センサ6は、絶縁層6U上に線状電極を並べ、また、絶縁層6D上に線状電極を並べ、これらを間に中間絶縁層を介在させると共に、線状電極を並べた面を対向させて張り合わせることにより形成される。したがって、位置検出センサ6は、下側から絶縁層6D→Y軸方向電極群61Y→中間絶縁層→X軸方向電極群61X→絶縁層6Uの順番で積層されて構成される。なお、絶縁層6D、中間絶縁層、絶縁層6Uは、いずれも透明のものであり、線状電極はいずれも細線なので、透明センサの構成とされた位置検出センサ6が構成される。以下、位置検出センサ6の構成についてより具体的に説明する。
【0052】
図5(A)に示すように、絶縁層6Uの面上には、この例ではY軸方向に延伸された40本の線状電極XA1、XA2、…、XA40が、長手方向(X軸方向)に等間隔で並べられてX軸方向電極群61Xを形成している。また、図5(B)に示すように、絶縁層6Dの面上には、この例ではX軸方向に延伸された30本の線状電極YA1、YA2、…、YA30が、長手方向と交差する方向(Y軸方向)に等間隔で並べられて、Y軸方向電極群61Yを形成している。
【0053】
図5(A)、(B)において、絶縁層6U、6D上に点線で示した部分の内側が検出エリア6Eである。そして、絶縁層6Uにおいては、図5(A)に示すように、X軸方向の左端側には、Y軸方向に長さLYの長辺と、位置検出センサ6の左端からX軸方向に長さLXAの短辺とで囲まれた縦長の長方形の曲線領域が設けられる。同様に、X軸方向の右端側には、Y軸方向に長さLYの長辺と、位置検出センサ6の右端からX軸方向に長さLXBの短辺とで囲まれた縦長の長方形の曲線領域が設けられる。
【0054】
そして、この第2の実施の形態の位置検出センサ6においても、左端側の曲線領域(LY×LXAの領域)と右端側の曲線領域(LY×LXBの領域)に配置する1以上の線状電極は、検出エリア6Eの外縁の曲線部に応じた形状とする。具体的には、左端側の曲線領域(LY×LXAの領域)内に位置する線状電極XA1、XA2の両端を検出エリア6Eの左端側の曲線部(角部)に合わせて曲線にする。同様に、右端側の曲線領域(LY×LXBの領域)内に位置する線状電極XA39、XA40の両端を検出エリア6Eの右端側の曲線部(角部)に合わせて曲線にする。
【0055】
そして、絶縁層6Uにおいては、図5(A)に示しように、左右両端に設けられる縦長の長方形の曲線領域以外の領域、すなわち、左右の曲線領域に挟まれたY軸方向に長さLYの辺と、X軸方向に長さLXCの辺とで囲まれた横長の長方形の領域は直線領域とする。この直線領域内に位置する線状電極X3~X38は、図5(A)において例えば線状電極X3、X38が示すように、従来通りの直線の線状導体とする。
【0056】
一方、絶縁層6Dにおいては、図5(B)に示すように、Y軸方向の上端側には、位置検出センサ6の上端からY軸方向に長さLYAの短辺と、X軸方向に長さLXの長辺とで囲まれた横長の長方形の曲線領域が設けられる。同様に、Y軸方向の下端側には、位置検出センサ6の下端からY軸方向に長さLYBの短辺と、X軸方向に長さLXの長辺とで囲まれた横長の長方形の曲線領域が設けられる。
【0057】
そして、この第2の実施の形態の位置検出センサ6においても、上端側の曲線領域(LYA×LXの領域)と下端側の曲線領域(LYB×LXの領域)に配置する線状電極は、検出エリア6Eの外縁の曲線部に応じた形状とする。具体的には、上端側の曲線領域(LYA×LXの領域)内に位置する線状電極YA1、YA2の両端を検出エリア6Eの上端側の曲線部(角部)に合わせて曲線にする。同様に、下端側の曲線領域(LYB×LXの領域)内に位置する線状電極YA29、YA30の両端を検出エリア6Eの下端側の曲線部(角部)に合わせて曲線にする。
【0058】
そして、絶縁層6Dにおいては、図5(B)に示しように、上下両端側に設けられる横長の曲線領域以外の領域、すなわち、上下の曲線領域に挟まれたY軸方向に長さLYCの辺と、X軸方向に長さLXの辺とで囲まれた横長の長方形の領域は直線領域とする。この直線領域内に位置する線状電極YA3~YA28は、図5(B)において例えば線状電極Y3、Y28が示すように、従来通り、直線の線状導体とする。
【0059】
このようにして、絶縁層6U上にはX軸方向電極群61Xが形成され、絶縁層6D上にはY軸方向電極群61Yが形成される。そして、上述もしたように、これらが、中間絶縁層を介在させると共に、線状電極を並べた面を対向させて張り合わせることにより、静電容量方式の位置検出センサ6が形成される。これにより、位置検出センサ6において、LCD2の表示画面2Dに対応して、四角(4つの角部)が曲線部となって、表示画面2Dに対応した検出エリア6Eが形成される。
【0060】
[静電容量方式の位置検出装置200及び電子ペン7の回路構成例]
図6は、この第2の実施の形態の位置検出センサ6が用いられて構成される位置検出装置200と、当該位置検出装置200への指示入力に用いられる電子ペン7の回路構成例を示す図である。この第2の実施の形態の位置検出センサ6に対しては、使用者の指fgや使用者の指fgを指示体として用いる場合と同等の機能を実現するパッシブペンなどと呼ばれる指示体を用いた指示入力も行うことができる。
【0061】
図6に示すように、この第2の実施の形態の位置検出装置200は、上述した構成の位置検出センサ6と位置検出回路201とから構成される。位置検出回路201は、210番台及び220番台の参照符号を付して示した各部から構成される回路部である。そして、図6において、X選択回路211は、位置検出センサ6の61Xを構成する電極(以下、X電極と記載する。)に接続されて、X電極XA1~XA40の中から1つのX電極を選択する。Y選択回路212は、位置検出センサ6のY軸方向電極群61Yを構成する電極(以下、Y電極と記載する。)に接続されて、Y電極YA1~YA30の中から1つのY電極を選択する。
【0062】
発振器213は、周波数がf1の信号を発振させる。切替回路214は、Y選択回路212により選択されたY電極を、発振器213の出力と、後述するゲインコントロール回路217の入力とのいずれに接続するかを切替える。
【0063】
電子ペン7は、周波数がf2の発振器からの出力電圧が先端部の電極およびそれを取り囲む外周電極との間に供給されており、位置指示信号を位置検出センサ6に対して送出する機能を有する。電子ペン7は、アクティブ静電結合方式(AES(Active Electrostatic)方式)のものである。
【0064】
切替回路216は、X選択回路211により選択されたX電極または切替回路214を経由してY選択回路212により選択されたY電極、のどちらかを選択してゲインコントロール回路217に接続する。即ち、当該位置検出装置200をタッチ検出として動作させるときは、コントロール回路215は、切替回路216をX選択回路211側に選択する。
【0065】
また、当該位置検出装置200をペン検出として動作させ、かつ、電子ペン7による指示位置のX軸座標を求めるときは、コントロール回路215は、切替回路216をX選択回路211側に選択する。また、当該位置検出装置200をペン検出として動作させ、かつ、電子ペン7による指示位置のY軸座標を求めるときは、コントロール回路215は、切替回路216をY選択回路212側に選択する。切替回路216からの出力は、ゲインコントロール回路217に接続され、このゲインコントロール回路217において、コントロール回路215からの制御信号cによって適切なレベルの出力信号となるように設定される。
【0066】
バンドパスフィルター回路218は、周波数f1または周波数f2を中心とした所定の帯域幅を有し、当該位置検出装置200をタッチ検出として動作させるときには中心周波数をf1とし、ペン検出として動作させるときは中心周波数がf2となるように切替えられる。バンドパスフィルター回路218の出力信号は検波回路219によって検波された後、A/D(analog/digital)変換回路220に供給され、A/D変換回路220からのデジタルデータfはマイクロプロセッサ221によって読み取られ処理される。
【0067】
コントロール回路215は制御信号hをX選択回路211に供給することにより、X選択回路211が順次に1つのX電極を選択する。また、コントロール回路215は制御信号jをY選択回路212に供給することにより、Y選択回路212が順次に1つのY電極を選択する。マイクロプロセッサ(MCU:Micro Controller Unit)221は、内部にROM(Read Only Memory)221MおよびRAM(Random Access Memory)を備えるとともにROMに格納されたプログラムによって動作する。
【0068】
図6に示した位置検出装置200がタッチ検出として動作する際には、Y選択回路212において選択されたY電極には、発振器15からの周波数f1の信号が供給される。そして、X選択回路211より選択されたX電極は、切替回路216を介してゲインコントロール回路217に接続される。X選択回路211により選択された1つのX電極とY選択回路212により選択された1つのY電極とが形成する交点における静電結合によって誘導される信号が、ゲインコントロール回路217でゲイン調整される。
【0069】
また、図6に示した位置検出装置200がペン検出として動作する際には、まず、X選択回路211において順次に選択したX電極を、切替回路216を通じてゲインコントロール回路217に接続する。次に、Y選択回路212において順次に選択したY電極を、切替回路214及び切替回路216を通じてゲインコントロール回路217に接続する。
【0070】
電子ペン7が選択されたX電極またはY電極の近傍に接近すると、電子ペン7が接近した電極には電子ペン7からの信号に応じた信号が誘導されるため、誘導された信号がゲインコントロール回路217に供給される。これにより、誘導された信号が存在するX電極とY電極との交点近傍に、電子ペン7が位置していると検出できる。
【0071】
なお、マイクロプロセッサ221は、ROM221Mに、検出エリア6Eの外縁近傍の指示位置を正確に検出するためのいわゆるルックアップテーブルを備えている。このルックアップテーブルは、タッチ検出の場合とペン検出の場合の位置特定情報を記憶保持している。
【0072】
具体的に、タッチ検出の場合の位置特定情報は、検出エリア6Eの外縁近傍の指fgなどによる指示位置と、その指示位置におけるX軸方向電極群の複数のY軸電極に誘起される信号の信号強度とを対応付けて記憶保持している。また、ペン検出の場合の位置特定情報は、検出エリア6Eの外縁近傍の電子ペン7による指示位置と、その指示位置における指示位置近傍のX軸方向電極群61XとY軸方向電極群61Yの複数の電極に誘起される信号の信号強度とを対応付けて記憶保持している。
【0073】
そして、タッチ検出時の指などによる指示位置指示位置が、検出エリア6Eの外縁近傍であることが検出されたとする。この場合、その時の指示位置近傍の複数のX電極に発生している信号の信号強度に基づいて、ROMのルックアップテーブルを参照し、適切な指示位置を特定することができる。同様に、ペン検出時における電子ペン7による指示位置が、検出エリア6Eの外縁近傍であることが検出されたとする。この場合、その時の指示位置近傍の複数のX電極と複数のY電極とに発生している信号の信号強度に基づいて、ROMのルックアップテーブルを参照し、適切な指示位置を特定することができる。
【0074】
これにより、指示位置は検出エリア6Eの内側なのか外側なのかを適切に判別でき、指示位置が検出エリア6Eの内側である場合には、その正確な指示位置を特定できる。特に、検出された指示位置が検出エリア6Eの曲線部の近傍にある場合に、その指示位置を正確に特定できる点で大きな効果がある。
【0075】
このように、位置検出センサ6を備えた静電容量方式の位置検出装置200と電子ペン7あるいは使用者の指fg等の指示体とが、この第2の実施の形態の高機能携帯電話端末1の入力デバイスとなり、静電結合方式の電子ペン7や使用者の指などの指示体を用いることによって、適切に指示入力を行うことができる。そして、LCD2の表示画面2Dは、その4つの角部が曲線部になっているが、これに対応して位置検出センサ3の検出エリア6Eもまた4つの角部が曲線部になっている。これにより、曲線部の近傍も含め、表示画面2D上のどの位置を電子ペン7や指fg5などの指示体により指示しても、位置検出装置200は、その指示位置を適切に検出することができる。
【0076】
[湾曲した表示画面を備えた電子機器への拡張]
上述した実施の形態においてLCD2の表示画面2Dは、図2に示したように平板のものであった。しかし、近年においては、表示画面の左右の長側辺部分を湾曲させることにより、高機能携帯電話端末などの電子機器の側面部分にまで表示画面を拡張するようにしたものも存在する。
【0077】
図7は、側面部分にまで表示画面を拡張した高機能携帯電話端末の例を説明するための図である。なお、図7に示す高機能携帯電話端末1Xは、電磁誘導方式の位置検出装置を有するものである場合として説明する。図7(A)の正面図に示すように、この例の高機能携帯電話端末1Xの表示部の表示画面2XDは、その左右の長側辺部分が湾曲して曲面となることにより、左右の側面まで拡張された構成を有する。
【0078】
図7(B)は、図7(A)の点線Aの部分の断面図である。図7(B)の断面図を見ると分かるように、LCD(表示部)2Xは、長側辺部分が図の下側に向かって湾曲した構成を有している。これにより、LCD2Xの表示画面2XDは、左右の側面部分にまで表示が可能なものになっている。また、図7(A)に示したように、表示画面2XDは、上述した実施の形態の高機能携帯電話端末1の表示画面2Dの場合と同様に、その四隅が丸みを帯びた曲線部となっている。
【0079】
このように構成されたこの例の高機能携帯電話端末1Xの表示画面2XDに対応するため、位置検出センサ3Xの検出エリア3XEは、上述した第1の実施の形態の位置検出センサ3の場合と同様に、表示画面2XDの四隅に対応して、四隅が丸みを帯びた曲線部となるようにする。更に、この例の位置検出センサの場合には、図7(B)に示すように、位置検出センサ3Xについても、その長側辺部分が図の下側に向かって湾曲した構成を有する。すなわち、位置検出センサ3Xを構成するループコイルのそれぞれを、LCD2Xの湾曲に合わせて湾曲させる。このように、位置検出センサ3Xの検出エリア3XEは、四隅を曲線部とすると共に、両長辺部分が図の下側に向かって湾曲した構成を有するものである。
【0080】
これにより、左右の長側辺部分を湾曲させて側面部分も情報の表示が可能になっている表示画面2XDに対応した検出エリア3XEを有する位置検出センサ3Xを備えた高機能携帯電話端末1Xを構成できる。そして、高機能携帯電話端末1Xの表示画面2XDの側面部分に例えばアイコンを配置し、このアイコンを電子ペンにより選択するといったことが可能になる。
【0081】
もちろん、四隅が曲線になっていることにより、上述した実施の形態の高機能携帯電話端末1の場合と同様に、曲線領域が設けられ、この曲線領域に配置されるループコイルの部分は表示画面2XDに合わせて曲線を有するようにされている。これにより、表示画面2XDの四隅の部分においても、電子ペンによる指示位置を適切に検出することができるようになっている。
【0082】
なお、ここでは、位置検出センサ3Xは、電磁誘導方式のものとして説明したが、静電誘導方式のセンサを用いる場合にも同様にして対応することができる。静電誘導方式の位置検出センサは、図5を用いて説明したように構成できるが、その両長辺部分を表示画面2XDに合わせるように湾曲させ、湾曲した構成を有する検出エリアを形成するようにすればよい。
【0083】
また、電磁誘導方式の位置検出装置の場合にも、静電容量方式の位置検出装置の場合にも、例えば、四角形の表示画面の場合には、4辺のうちのいずれか1辺の側面部分を曲面にするようにした表示部に対応して位置検出センサを構成できる。したがって、曲面にする部分は、1辺以上の任意の側面部分とすることができ、4辺の全ての側面部分を曲面とした場合にも、対応した位置検出センサを構成できる。しかも、外縁に曲線部分が含まれていても、これに対応できる。
【0084】
[実施の形態の効果]
上述したように、LCD2の表示画面2Dは、四隅が曲線形状を有するものである。このため、電磁誘導方式の位置検出センサ3についても、表示画面2Dに対応して曲線領域を設ける。そして、位置検出センサ3を構成するループコイルのうち、曲線領域に配置するループコイルの少なくとも一部を表示画面2Dの曲線部分に対応させて曲線に構成している。したがって、位置検出センサ3の検出エリア3Eを表示画面2Dに対応して曲線部を有するものとすることができる。これにより、位置検出センサ3の四隅を曲線形状にすることができる。また、四隅が曲線形状の高機能携帯電話端末1の筐体に合わせて搭載された四隅が曲線形状の表示画面2Dに四隅が曲線形状の位置検出センサ3を配置することができる。また、曲線部の近傍においても、指示位置を適切に検出できる電磁誘導方式の位置検出装置用の位置検出センサ3を実現できる。
【0085】
また、静電容量方式の位置検出センサ6についても、表示画面2Dに対応して曲線領域を設ける。そして、位置検出センサ6を構成する線状電極のうち、曲線領域に配置する線状電極の少なくとも一部を表示画面2Dの曲線部分に対応させて曲線に構成している。したがって、位置検出センサ6の検出エリア6Eを表示画面2Dに対応して曲線部を有するものとすることができる。これにより、曲線部の近傍においても、指示位置を適切に検出できる静電容量方式の位置検出装置用の位置検出センサ6を実現できる。
【0086】
[変形例]
なお、上述した実施の形態の表示画面2Dは、四隅の全てが曲線部であったが、これに限るものではない。四隅のうちの少なくとも1つが曲線部である場合に、それに合わせて位置検出センサの検出エリアについても、対応部分を曲線部にすればよい。
【0087】
また、曲線部は表示画面の四隅に限るものではない。例えば円形や楕円形の表示画面を用いることも考えられる。このような場合には、用いられる表示画面の形状に合わせて位置検出センサの検出エリアの外縁が曲線部となるように、検出エリアを形成するループコイルや線状電極について対応する部分を曲線とするように構成すればよい。
【0088】
また、例えば、長方形状の表示画面の1の長側辺部分が、円弧となるような曲線部分とする場合もあると考えられる。この場合にも、表示画面の曲線部に合わせて位置検出センサの検出エリアの対応する外縁部分が曲線部となるように、検出エリアを形成するループコイルや線状電極についても、対応する部分を曲線とするようにすればよい。
【0089】
このように、近年はデザイン性の重視などの観点から、上述したように四隅を曲線形状にしたり、表示画面を円形や楕円形などの曲線により構成されたものとしたり、あるいは外縁に曲線を含む形状したりすることが行われるようになってきている。これに対応し、表示画面に応じて位置検出センサの検出エリアを構成するループコイルや線状電極の配置エリアについて、ループコイルや線状電極を曲線にすべき曲線領域を適切に設定する。この曲線領域に配置するループコイルや線状電極を、表示画面の形状に応じて曲線とすることにより、表示画面の形状に対応した検出エリアを有する位置検出センサを構成することができる。
【0090】
なお、曲線領域の設定の仕方としては、直線領域を最大限に確保するようにし、この直線領域以外の部分を曲線領域とするようにすればよい。例えば、円形の表示画面に対応する検出エリアを有する位置検出センサの場合には、当該円形の表示画面に内接する正方形を直線領域とし、当該内接する正方形の4辺の外側に位置する円弧の部分を包含するように、曲線領域を設定するようにすればよい。
【符号の説明】
【0091】
1、1X…高機能携帯電話端末、1A…フロントパネル、2、2X…表示部(LCD)、2D、2XD…表示画面、3、6…位置検出センサ、3K…絶縁フィルム、3E、3XE、6E…検出エリア、6U、6D…絶縁層、4…マザーボード、1B…筐体、5…電子ペン、X1~X40…X軸方向のループコイル、Y1~Y30…Y軸方向のループコイル、31X…X軸方向ループコイル群、31Y…Y軸方向ループコイル群、100…位置検出装置、102…位置検出回路、104…発振器、105…電流ドライバ、106…選択回路、107…切り替え接続回路、108…受信アンプ、109…位置検出用回路、110…筆圧検出用回路、111…処理制御部、111M…ROM、XA1~XA40…X軸方向の線状電極、YA1~YA30…Y軸方向の線状電極、61X…X軸方向電極群、61Y…Y軸方向電極群、200…位置検出装置、201…位置検出回路、211…X選択回路、212…Y選択回路、213…発振器、214…切替回路、215…コントロール回路、216…切替回路、217…ゲインコントロール回路、218…バンドパスフィルター回路、219…検波回路、220…A/D変換回路、221…マイクロプロセッサ、221M…ROM、7…電子ペン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7