(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、通知方法、及び無人航空機
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20221206BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221206BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20221206BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65G61/00 540
B64C39/02
B64D47/00
B64D9/00
(21)【出願番号】P 2021170071
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
(72)【発明者】
【氏名】井沼 孝慈
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/136711(WO,A1)
【文献】特開2021-61005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0313439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B64C 39/02
B64D 47/00
B64D 9/00
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記無人航空機が前記エリアにおいて着陸している状態で前記無人航空機から前記物品が離脱された後、前記判定手段により視界が良好であると判定された場合に、前記無人航空機を離陸させる制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記受取人が前記離脱された物品を受け取り前記無人航空機から離れたことを検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記判定手段により視界が良好であると判定され、且つ前記検出手段により前記受取人が前記離脱された物品を受け取り前記無人航空機から離れたことが検出された場合に、前記無人航空機を離陸させることを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記取得手段は、前記無人航空機が着陸している状態で前記センサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得し、
前記判定手段は、前記無人航空機が着陸している状態で前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記通知手段は、前記無人航空機が前記エリアに着陸した後に、前記受取人に前記エリアへ向かわせないための通知とともに前記無人航空機が前記エリアに着陸していることを通知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記通知手段は、前記判定手段により視界が良好であると判定された場合に、前記受取人に前記エリアへ向かわせるための通知を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記受取人に前記エリアへ向かわせるための通知が行われた後においても前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定し、
前記通知手段は、前記エリアへ向かわせるための通知が行われた後、前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記受取人に前記エリアへ向かわせることを取り消す通知を行うことを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記取得手段は、前記物品の受け渡しエリアにおいて受光された光に基づく視程値を取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された視程値に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
1または複数のコンピュータにより実行される通知方法であって、
物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得するステップと、
前記取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定するステップと、
前記視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行うステップと、
を含むことを特徴とする通知方法。
【請求項10】
物品を配送する無人航空機であって、
センサと、
物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を配送する無人航空機が受け渡し場所に到着したことを受取人に通知するシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両や無人航空機等の移動体により物品を配送先に届ける際に、移動体が物品の受け渡し場所に到着すると物品を受取りにくるよう、受取人に通知するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、移動体と共に移動するモバイル端末が移動体の位置情報を時系列的に取得し、当該位置情報が荷物の配送先の位置情報に一致したこと応答して配送先の作業者に移動体の到着通知を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体が無人航空機である場合、物品の受け渡しエリアは限られるため、受取人の居場所と受け渡しエリアとが離れていることが多い。しかし、受け渡しエリアに霧や雲が局所的に発生することなどより当該エリアにおける視界が良好でない場合に、受取人が無人航空機の到着通知を受けて当該エリアに向かっても、無人航空機を容易に発見することができないことがある。このことは、起伏が多い山岳地(山間部)において特に顕著となる。また、受け渡しエリアにおける視界が良好でない場合に、受取人が当該エリアに向かうことは望ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、物品の受け渡しエリアにおける視界状況に応じて受取人に適切な通知を行うことが可能な情報処理システム、通知方法、及び無人航空機を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行う通知手段と、を備えることを特徴とする。これにより、受取人に対して視界不良に応じた適切な通知を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記無人航空機が前記エリアにおいて着陸している状態で前記無人航空機から前記物品が離脱された後、前記判定手段により視界が良好であると判定された場合に、前記無人航空機を離陸させる制御手段を更に備えることを特徴とする。これにより、受取人の安全を高めることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理システムにおいて、前記受取人が前記離脱された物品を受け取り前記無人航空機から離れたことを検出する検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記判定手段により視界が良好であると判定され、且つ前記検出手段により前記受取人が前記離脱された物品を受け取り前記無人航空機から離れたことが検出された場合に、前記無人航空機を離陸させることを特徴とする。これにより、受取人の安全を、より一層高めることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記取得手段は、前記無人航空機が着陸している状態で前記センサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得し、前記判定手段は、前記無人航空機が着陸している状態で前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定することを特徴とする。これにより、より受取人視点での視界状況を判定することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記通知手段は、前記無人航空機が前記エリアに着陸した後に、前記受取人に前記エリアへ向かわせないための通知とともに前記無人航空機が前記エリアに着陸していることを通知することを特徴とする。これにより、受取人に対して無人航空機の状況を把握させることができ、受取人が不要に無人航空機を探しに出てしまうことを防止することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記通知手段は、前記判定手段により視界が良好であると判定された場合に、前記受取人に前記エリアへ向かわせるため通知を行うことを特徴とする。これにより、受取人に対して視界良好に応じた適切な通知を行うことができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理システムにおいて、前記判定手段は、前記受取人に前記エリアへ向かわせるための通知が行われた後においても前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定し、前記通知手段は、前記エリアへ向かわせるための通知が行われた後、前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記受取人に前記エリアへ向かわせることを取り消す通知を行うことを特徴とする。これにより、受取人に対して視界状況の変化に応じた適切な通知を行うことができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記取得手段は、前記物品の受け渡しエリアにおいて受光された光に基づく視程値を取得し、前記判定手段は、前記取得手段により取得された視程値に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定することを特徴とする。これにより、より正確に視界状況を判定することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される通知方法であって、物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得するステップと、前記取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定するステップと、前記視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、物品を配送する無人航空機であって、センサと、物品を配送する無人航空機に搭載されたセンサにより前記物品の受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたセンシング情報に基づいて、前記エリアにおける視界が良好であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により視界が良好でないと判定された場合に、前記物品の受け取りに向かう予定の受取人に前記エリアへ向かわせないための通知を行う通知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、物品の受け渡しエリアにおける視界状況に応じて受取人に適切な通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】配送システムSの概要構成例を示す図である。
【
図2】(A)は、霧が発生していない場合における山岳地の山頂付近の様子を示す概念図であり、(B)は、霧が発生している場合における山岳地の山頂付近の様子を示す概念図である。
【
図4】透過型視程センサの一例を示す模式図である。
【
図5】反射型視程センサの一例を示す模式図である。
【
図6】制御部16における機能ブロック例を示す図である。
【
図8】UAV1の制御部16により実行される配送及び通知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、物品を配送する配送システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0019】
[
1.配送システムSの構成]
先ず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る配送システムSの構成について説明する。
図1は、配送システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、配送システムSは、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)1、及び管理サーバ2を含んで構成される。UAV1は、無人航空機の一例であり、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれ、無人で空中を自律的に飛行することが可能になっている。管理サーバ2は、物品の配送を管理及び制御するためのサーバである。また、管理サーバ2は、UAV1を制御することもできる。管理サーバ2は、UAV1との間で通信ネットワークNWを介して通信可能になっている。なお、通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。
【0020】
貨物(荷物)として、UAV1に積載される物品は、補給物資、補充物資、避難物資、注文された商品等が挙げられるが、UAV1が運搬できる物品であればどのような物品であってもよい。このような物品は、配送拠点から物品の受け渡しエリア(以下、単に、「受け渡しエリア」という)に向けて配送される。配送拠点は、例えば物品がUAV1に積み込まれる場所である。受け渡しエリアは、UAV1から受取人へ物品の受け渡しが行われるエリアであり、受取人の居場所(例えば山小屋や倉庫等)から離れたところにある。UAV1が受け渡しエリアへの到着予定時刻は当該エリアの位置情報とともに物品の受け取りに向かう予定の受取人に事前通知され、その後、UAV1が受け渡しエリアに到着した時にその旨が受取人へ通知されるとよい。
【0021】
ただし、後述するように、受け渡しエリアにおいて霧や雲が発生することにより視界が良好でない場合に、物品の受け取りに向かう予定の受取人に当該エリアへ向かわせないための通知が行われる。ここで、受け渡しエリアとは、例えば、UAV1が離着陸可能な地面及び当該地面の上方にある実空間を含む領域である。物品の受け渡しは、受け渡しエリアにおいて、UAV1が着陸している状態で行われてもよいし、UAV1がホバリングしている状態で行われてもよい。なお、受け渡しエリアにおける地面には、UAV1が離着陸可能な離着陸ポートが設けられているとよい。
【0022】
図2(A)は、霧が発生していない場合における山岳地の山頂付近の様子を示す概念図であり、
図2(B)は、霧が発生している場合における山岳地の山頂付近の様子を示す概念図である。
図2(A)に示すように、山岳地の山頂付近において、山小屋Mからxm(例えば、数十m~数百m)離れた所に離着陸ポートPを含む受け渡しエリアARがある。
図2(A)の例では、受け渡しエリアARには霧が発生していないので、受け渡しエリアARにおける視界は良好である。一方、
図2(B)の例では、受け渡しエリアARには霧が発生しているので、受け渡しエリアARにおける視界は良好でない。
図2(B)の場合、受取人Uが受け渡しエリアARに向かうことは望ましくないため、受取人Uに対して、受け渡しエリアARへ向かわせないための通知が行われる。
【0023】
[
1-1.UAV1の構成及び機能]
次に、
図3を参照して、UAV1の構成及び機能について説明する。
図3は、UAV1の概要構成例を示す図である。
図3に示すように、UAV1、駆動部11、測位部12、通信部13、センサ部14、記憶部15、及び制御部16等を備える。さらに、UAV1は、UAV1の各部へ電力を供給するバッテリ(図示せず)、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、及び積載される物品を格納するための格納部等を備える。格納部は、格納部の側面に開閉扉が設けられてもよいし、格納部の下面に開閉扉が設けられてもよい。なお、格納部には、ワイヤ、及びワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリール(ウインチ)が備えられてもよい。これにより、UAV1がホバリングしている状態で格納部を地面方向に降下させることができる。
【0024】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部16から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。測位部12は、電波受信機及び高度センサ等を備える。測位部12は、例えば、GNSSの衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UAV1の水平方向の現在位置は、センサ部14のカメラにより撮像された画像に基づいて補正されてもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部16へ出力される。さらに、測位部12は、気圧センサ等の高度センサによりUAV1の垂直方向の現在位置(高度)を検出してもよい。この場合、位置情報には、UAV1の高度を示す高度情報が含まれる。通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。
【0025】
センサ部14は、UAV1の飛行制御のために必要な各種センサを備える。各種センサには、例えば、光学センサ、視程センサ、3軸角速度センサ、3軸加速度センサ、及び地磁気センサ等が含まれる。センサ部14によりセンシングされたセンシング情報(換言すると、当該センシングにより得られたセンシング情報)は、制御部16へ出力される。光学センサは、例えばカメラにより構成され、カメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的にセンシングにする。センシングには、当該実空間を通過した光(例えば、可視光線)の受光が含まれる。光学センサのセンシングにより、カメラの画角に収まる範囲内の実空間を画素値(RGB値)で表す画像情報が得られる。かかる画像情報は、制御部16へ出力されるセンシング情報に含まれる。
【0026】
視程センサは、実空間において受光された光(特に、近赤外線)に基づく視程値(センシング情報の一例)を測定(センシングの一例)するためのセンサである。ここで、視程値は、視界(見通し)の程度を定量的に表す値であり、視程距離で表わされる場合もある。視程値が閾値以上と大きい場合、視界が良いことを意味する。かかる視程値は、制御部16へ出力されるセンシング情報に含まれる。視程センサの例として、光の透過率を利用した透過型視程センサと、光の反射率を利用した反射型視程センサとが挙げられる。
図4は、透過型視程センサの一例を示す模式図であり、
図5は、反射型視程センサの一例を示す模式図である。
【0027】
図4(A),(B)に示すように、透過型視程センサ141は、光(特に、近赤外線)を出射する投光器141aと、投光器141aから出射され実空間を通過した光を受光する受光器141b、及び演算器141cを備え、投光器141aと受光器141bとは互いに対向するように設けられる。演算器141cは、投光器141aから出射された光の量と、受光器141bにより受光された光の量とに基づいて光の透過率を求め、当該光の透過率から視程値を測定する。かかる視程値は、透過率が高いほど大きい値となる。実空間に水滴等の浮遊物が無い状態では、
図4(A)に示すように、投光器141aから出射された光はほぼ減衰せずに受光器141bにより受光される。一方、水滴等の浮遊物がある状態では、
図4(B)に示すように、投光器141aから出射された光は浮遊物Fにより散乱するため減衰して受光器141bにより受光される。そのため、演算器141cにおいて、実空間に霧や雲が発生している場合の視程値は、霧や雲が発生していない場合の視程値よりも低く測定される。
【0028】
一方、
図5(A),(B)に示すように、反射型視程センサ142は、光(特に、近赤外線)を出射する投光器142aと、投光器142aから出射され実空間を通過した光を受光する受光器142b、及び演算器142cを備え、投光器142aと受光器142bとは互いに対向しないように設けられる。演算器142cは、投光器142aから出射された光の量と、受光器142bにより受光された光の量とに基づいて光の反射率を求め、当該光の反射率から視程値を測定する。かかる視程値は、反射率が低いほど大きい値となる。実空間に水滴等の浮遊物が無い状態では、
図5(A)に示すように、投光器142aから出射された光は受光器142bによりほぼ受光されない。一方、水滴等の浮遊物がある状態では、
図5(B)に示すように、投光器142aから出射された光は浮遊物Fにより反射するため、当該反射した光が受光器142bにより受光される。そのため、演算器142cにおいて、実空間に霧や雲が発生している場合の視程値は、霧や雲が発生していない場合の視程値よりも低く測定される。
【0029】
記憶部15は、不揮発性メモリ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部15は、UAV1を識別する機体IDを記憶する。この機体IDは、UAV1を識別するための識別情報である。制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備える。
図6は、制御部16における機能ブロック例を示す図である。制御部16は、ROM(または、記憶部15)に記憶されたプログラム(プログラムコード群)に従って、
図6に示すように、飛行制御部16a(制御手段の一例)、センシング情報取得部16b(取得手段の一例)、視界判定部16c(判定手段の一例)、通知部16d(通知手段の一例)、物品離脱制御部16e、及び物品受取検出部16f(検出手段の一例)として機能する。
【0030】
飛行制御部16aは、受け渡しエリアに向けてUAV1を飛行させる飛行制御を行う。かかる飛行制御においては、測位部12により検出された現在位置を示す位置情報、センサ部14によりセンシングされたセンシング情報、及び配送先情報等が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1の現在位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。これにより、UAV1は自律的に受け渡しエリアに向けて飛行することができる。配送先情報は、配送スケジュール及び受取人情報とともに例えば配送拠点でUAV1に設定されてもよいし、管理サーバ2から配送スケジュール及び受取人情報とともに送信されて設定されてもよい。配送先情報には、例えば、受け渡しエリアの位置情報(緯度及び経度)が含まれる。受取人情報には、例えば、受取人のメールアドレスまたは電話番号等が含まれる。なお、UAV1の飛行中に、UAV1の位置情報、及びUAV1の機体IDは、通信部13により管理サーバ2へ逐次送信される。
【0031】
センシング情報取得部16bは、センサ部14により受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得する。かかるセンシング情報は時系列で連続的に取得されるとよい。なお、センシング情報取得部16bは、受け渡しエリアにおいてセンサ部14により空中からセンシングされたセンシング情報を取得してもよい。この場合、制御部16よりセンサ部14の向き(例えば、光学センサのレンズの向き)が地面(例えば、離着陸ポート)に向けられるように調整される。ただし、UAV1が着陸している状態でセンサ部14によりセンシングされたセンシング情報を取得することが望ましい。これにより、上空からよりも、より受取人視点での視界状況を判定することが可能となり、また、センサ部14の向きの調整が不要となる。
【0032】
視界判定部16cは、センシング情報取得部16bにより取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否か(つまり、視界状況)を判定する。かかる判定は、時系列で連続的に行われるとよい。なお、視界判定部16cは、飛行している状態(例えば、ホバリングしている状態)において受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定してもよい。ただし、視界判定部16cは、UAV1が着陸している状態で受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定することが望ましい。これにより、より受取人視点での視界状況を判定することができる。視界状況の判定方法の例として、視程値を用いた判定方法と、画像情報を用いた判定方法とが挙げられる。視程値を用いた判定方法の場合、視界判定部16cは、センシング情報取得部16bにより取得されたセンシング情報に含まれる視程値に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定する。これにより、より正確に視界状況を判定することができる。例えば、視程値が予め定められた第1閾値以上である場合、受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定される。換言すると、視程値が第1閾値以上である場合、受け渡しエリアに霧や雲が発生していないと推定される。
【0033】
一方、画像情報を用いた判定方法の場合、視界判定部16cは、センシング情報取得部16bにより取得されたセンシング情報に含まれる画像情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定する。これにより、視程センサがUAV1に搭載されていない場合であっても、UAV1が通常搭載しているカメラにより視界状況を判定することができる。例えば、画像情報を構成する複数の画素に占める白色画素の割合(つまり、画素数の割合)が算出され、当該算出された割合が予め定められた第2閾値より小さい場合、受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定される。換言すると、白色画素の割合が第2閾値より小さい場合、受け渡しエリアに霧や雲が発生していないと推定される。ここで、白色画素とは、例えば、その画素値におけるR値、G値、及びB値が、それぞれ「245~255」の範囲内にある画素であるとよい。なお、白色画素の割合に基づいて視程値が取得されてもよい。例えば、白色画素の割合が小さいほど大きい視程値が算出される。この場合、視界判定部16cは、算出された視程値に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定することになる。
【0034】
通知部16dは、視界判定部16cにより視界が良好でない(視界不良)と判定された場合に、物品を受け取るために受け渡しエリアへ向かう予定の受取人に当該エリアへ向かわせないための通知(以下、「受取不可通知」という)を行う。これにより、受取人に対して視界不良に応じた適切な通知を行うことができる。例えば、「現在、濃霧のため受け渡しエリアに向かわないで(来ないで)ください」、または、「現在、濃霧のため物品受取不可となっております」というようなメッセージを記述するメールが受取人のメールアドレス宛に送信されるか、または当該メッセージを記述するメッセージがSMS(Short Message Service)により受取人の電話番号宛に送信されることで受取人に通知される(ただし、その他の通知方法で受取人に通知されてもよい)。ここで、通知部16dは、UAV1が受け渡しエリアに着陸した後に、受取人に受取不可通知とともにUAV1が当該エリアに着陸していることを通知するとよい。これにより、受取人に対してUAV1の状況を把握させることができ、受取人が不要にUAV1を探しに出てしまうことを防止することができる。
【0035】
一方、通知部16dは、視界判定部16cにより視界が良好であると判定された場合に、物品を受け取るために受け渡しエリアへ向かう予定の受取人に当該エリアへ向かわせるための通知(以下、「受取可能通知」という)を行う。これにより、受取人に対して視界良好に応じた適切な通知を行うことができる。例えば、「物品が到着したのでxxxxまで受け取りに来てください」というようなメッセージを記述するメールが受取人のメールアドレス宛に送信されるか、または当該メッセージを記述するメッセージがSMSにより受取人の電話番号宛に送信されることで受取人に通知される。ただし、このように、受取人に受取可能通知が行われた後においても、視界判定部16cは、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定するとよい。そして、受取可能通知が行われた後、視界判定部16cにより視界が良好でないと判定された場合に、通知部16dは、受取人に受け渡しエリアへ向かわせることを取り消す通知(以下、「受取可能取消通知」という)を行う。つまり、受取可能通知が行われた後においても、視界判定部16cにより継続して視界状況が監視され、視界不良とされた場合には、受取可能取消通知が行われる。これにより、受取人に対して視界状況の変化に応じた適切な通知を行うことができる。なお、受取可能取消通知の内容(例えば、メッセージ)は、受取不可通知の内容と同様であってもよい。
【0036】
物品離脱制御部16eは、UAV1がホバリングしている状態、またはUAV1が着陸している状態でUAV1の格納部から物品を離脱(リリース)させるための離脱制御を行う。かかる離脱制御では、UAV1がホバリングしている状態でワイヤを送り出して格納部を地面方向に降下させるか、或いは、UAV1が着陸している状態で格納部に設けられた開閉扉を開放させる。ここで、UAV1が着陸している状態で物品の離脱制御が行われる場合、当該離脱制御前に、飛行制御部16aは、受け渡しエリアにおいてUAV1を着陸(例えば、離着陸ポートに着陸)させる着陸制御を行う。そして、UAV1が受け渡しエリアにおいて着陸している状態でUAV1から物品が離脱された後(つまり、離脱が検知された後)、視界判定部16cにより視界が良好であると判定された場合に、飛行制御部16aは、UAV1を離陸させる離陸制御を行う。換言すると、物品が離脱された後、視界判定部16cにより視界が良好でないと判定された場合、飛行制御部16aは、UAV1を離陸させない(つまり、UAV1の離陸を禁止する)。これは、受取人がUAV1の近くまで来ている可能性があることを考慮したものであり、これにより、受取人の安全を高めることができる。
【0037】
物品受取検出部16fは、受取人が離脱された物品を受け取り、且つUAV1から離れたことを検出する。かかる検出は、例えば、UAV1が着陸している状態でセンシング情報取得部16bにより取得されたセンシング情報に含まれる画像情報を解析することで人物を検出することにより行われる。そして、UAV1が受け渡しエリアにおいて着陸している状態でUAV1から物品が離脱された後、視界判定部16cにより視界が良好であると判定され、且つ物品受取検出部16fにより受取人が離脱された物品を受け取りUAV1から離れたことが検出された場合に、UAV1を離陸させる離陸制御を行う。換言すると、視界判定部16cにより視界が良好であると判定された場合であっても、物品受取検出部16fにより受取人が離脱された物品を受け取りUAV1から離れたことが検出されるまで、飛行制御部16aは、UAV1を離陸させない。これにより、受取人の安全を、より一層高めることができる。
【0038】
[
1-2.管理サーバ2の構成及び機能]
次に、
図7を参照して、管理サーバ2の構成及び機能について説明する。
図7は、管理サーバ2の概要構成例を示す図である。
図7に示すように、管理サーバ2は、通信部21、記憶部22、及び制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。UAV1から送信された位置情報及び機体IDは、通信部21により受信される。管理サーバ2は、UAV1の位置情報によりUAV1の現在位置を認識することができる。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部22には、配送管理データベース221等が構築される。配送管理データベース221は、物品の配送に関する情報を管理するためのデータベースである。配送管理データベース221には、物品情報、機体情報、配送先情報、配送スケジュール、及び受取人情報等が対応付けられて格納(登録)される。ここで、物品情報には、配送対象となる物品に関する情報(例えば、物品ID等)が含まれる。機体情報には、物品を配送するUAV1に関する情報(例えば、機体ID等)が含まれる。
【0039】
制御部23は、CPU、ROM、及びRAM等を備える。制御部23は、UAV1の現在位置を監視し、適宜、UAV1へ制御指令を送信することでUAV1を制御する。かかる制御には、UAV1の飛行制御、物品の離脱制御、及びUAV1の離着陸制御のうち少なくとも何れか1つが含まれてもよい。また、制御部23は、UAV1からセンシング情報を取得し、当該センシング情報に基づいてUAV1の代わりに受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定してもよい。この場合の判定方法は、UAV1の視界判定部16cによる判定方法と同様である。さらに、制御部23は、視界が良好でないと判定した場合、物品を受け取るために受け渡しエリアへ向かう予定の受取人に受取不可通知を行ってもよい。この場合の通知方法は、UAV1の通知部16dによる判定方法と同様である。なお、UAV1がセンシング情報に基づいて受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定し、その判定結果を管理サーバ2へ送信してもよい。この場合、制御部23は、UAV1からの判定結果に基づいて上述した通知を行う。
【0040】
[
2.配送システムSの動作]
次に、
図8を参照して、配送システムSの動作について説明する。
図8は、UAV1の制御部16により実行される配送及び通知処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図8の例では、UAV1が受け渡しエリアに着陸している状態で制御部16が視界状況の判定及び受取人への通知を行う場合を想定している。
図8に示す配送及び通知処理は、例えば、物品を積載するUAV1が配送スケジュールにしたがって配送拠点から配送開始したときに開始される。なお、配送及び通知処理の前後にUAV1の受け渡しエリアへの到着予定時刻が当該エリアの位置情報とともに物品の受け取りに向かう予定の受取人に通知されるとよい。
【0041】
図8に示す処理が開始されると、UAV1の制御部16は、UAV1が受け渡しエリアに到着したか否かを判定する(ステップS1)。UAV1が受け渡しエリアに到着していないと判定された場合(ステップS1:NO)、処理はステップS1に戻る。一方、UAV1が受け渡しエリアに到着したと判定された場合(ステップS1:YES)、処理はステップS2に進む。ステップS2では、制御部16は、受け渡しエリアにおいてUAV1を着陸させる着陸制御を行う。これによりUAV1の着陸が完了すると、制御部16は、物品離脱制御部16eにより、UAV1の格納部から物品を離脱させるための離脱制御を行う(ステップS3)。これにより物品が離脱される。
【0042】
次いで、制御部16は、受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を、センシング情報取得部16bにより取得する(ステップS4)。次いで、制御部16は、ステップS4で取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを、視界判定部16cにより判定する(ステップS5)。霧や雲の発生が原因で受け渡しエリアにおける視界が良好でないと判定された場合(ステップS5:NO)、処理はステップS6へ進む。一方、受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定された場合(ステップS5:YES)、処理はステップS9へ進む。
【0043】
ステップS6では、制御部16は、受け渡しエリアへ向かう予定の受取人に対して、通知部16dにより受取不可通知を行う。受取不可通知により、受取人は受け渡しエリアに向けて移動を開始することなく待機することになる。次いで、制御部16は、受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を、センシング情報取得部16bにより取得する(ステップS7)。次いで、制御部16は、ステップS7で取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを、視界判定部16cにより判定する(ステップS8)。霧や雲が継続していることで受け渡しエリアにおける視界が良好でないと判定された場合(ステップS8:NO)、処理はステップS7へ戻る。一方、霧や雲が晴れることで受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定された場合(ステップS8:YES)、処理はステップS9へ進む。
【0044】
ステップS9では、制御部16は、受け渡しエリアへ向かう予定の受取人に対して、通知部16dにより受取可能通知を行う。受取可能通知により、受取人は受け渡しエリアに向けて移動を開始することになる。次いで、制御部16は、受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を、センシング情報取得部16bにより取得する(ステップS10)。次いで、制御部16は、ステップS10で取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを、視界判定部16cにより判定する(ステップS11)。霧や雲が再び発生したことが原因で受け渡しエリアにおける視界が良好でないと判定された場合(ステップS11:NO)、処理はステップS12へ進む。一方、受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定された場合(ステップS11:YES)、処理はステップS15へ進む。
【0045】
ステップS12では、制御部16は、受け渡しエリアへ向かうとしているか、または受け渡しエリアに向けて移動している受取人に対して、通知部16dにより受取可能取消通知を行う。次いで、制御部16は、受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を、センシング情報取得部16bにより取得する(ステップS13)。次いで、制御部16は、ステップS13で取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを、視界判定部16cにより判定する(ステップS14)。霧や雲が継続していることで受け渡しエリアにおける視界が良好でないと判定された場合(ステップS14:NO)、処理はステップS13に戻る。一方、霧や雲が晴れることで受け渡しエリアにおける視界が良好であると判定された場合(ステップS14:YES)、処理はステップS9に戻り、再び、受取可能通知が行われる。
【0046】
ステップS15では、制御部16は、ステップS10で取得されたセンシング情報に基づいて、受け渡しエリアに到着した受取人を検知したか否かを判定する。受け渡しエリアに到着した受取人を検知していないと判定された場合(ステップS15:NO)、処理はステップS10に戻る。一方、受け渡しエリアに到着した受取人を検知したと判定された場合(ステップS15:YES)、処理はステップS16に進む。
【0047】
ステップS16では、制御部16は、受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を、センシング情報取得部16bにより取得する。次いで、制御部16は、ステップS16で取得されたセンシング情報に基づいて、受取人が離脱された物品を受け取ってUAV1から所定距離以上離れたことが物品受取検出部16fにより検出されたか否かを判定する(ステップS17)。受取人が離脱された物品を受け取ってUAV1から所定距離以上離れたことが検出されていないと判定された場合(ステップS17:NO)、処理はステップS16に戻る。一方、受取人が離脱された物品を受け取りUAV1から所定距離以上離れたことが検出されたと判定された場合(ステップS17:YES)、制御部16は、UAV1を離陸させる離陸制御を行う(ステップS18)。これにより、UAV1は離陸して配送拠点に向けて帰還する。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態によれば、配送システムSは、物品を配送するUAV1に搭載されたセンサにより受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得し、当該センシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定し、視界が良好でないと判定された場合に、物品の受け取りに向かう予定の受取人に受取不可通知を行う一方、視界が良好であると判定された場合に、当該受取人に受取可能通知を行うように構成したので、受け渡しエリアにおける視界状況に応じて受取人に適切な通知を行うことができる。
【0049】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、
図8に示す処理において、UAV1が着陸した直後にUAV1の格納部から物品が離脱されるように構成したが、別の例として、UAV1が着陸し、受取人が検知された後にUAV1の格納部から物品が離脱されるように構成してもよい。また、
図8に示す処理において、受取人が物品を受け取りUAV1から所定距離以上離れたことが検出された場合に、再度、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かが判定され、視界が良好であると判定された場合に限り、UAV1を離陸させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 UAV
2 管理サーバ
11 駆動部
12 測位部
13 通信部
14 センサ部
15 記憶部
16 制御部
16a 飛行制御部
16b センシング情報取得部
16c 視界判定部
16d 通知部
16e 物品離脱制御部
16f 物品受取検出部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
S 配送システム
【要約】
【課題】物品の受け渡しエリアにおける視界状況に応じて受取人に適切な通知を行うことが可能な情報処理システム、通知方法、及び無人航空機を提供する。
【解決手段】配送システムSは、物品を配送するUAV1に搭載されたセンサにより受け渡しエリアにおいてセンシングされたセンシング情報を取得し、当該センシング情報に基づいて、受け渡しエリアにおける視界が良好であるか否かを判定し、視界が良好でないと判定された場合に、物品の受け取りに向かう予定の受取人に受取不可通知を行う一方、視界が良好であると判定された場合に、当該受取人に受取可能通知を行う。
【選択図】
図8