(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】浮遊性粒子を処理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20221206BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20221206BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20221206BHJP
C12M 1/12 20060101ALN20221206BHJP
C12M 3/06 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
C12M1/26
B01D63/02
C12M1/00 A
C12M1/12
C12M3/06
(21)【出願番号】P 2021500884
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 US2019041070
(87)【国際公開番号】W WO2020014273
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521009201
【氏名又は名称】アカデューム ライフ サイエンセズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AKADEUM LIFE SCIENCES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マクノートン,ブランドン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ぺトラフ,ナディア
(72)【発明者】
【氏名】ヤンガー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマンソン,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン,ビル
(72)【発明者】
【氏名】ケルヒナー,ヴァネッサ
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06544424(US,B1)
【文献】国際公開第2012/090863(WO,A1)
【文献】特表2014-521333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
B01D 61/00-71/82
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊性粒子のセットを処理するためのシステムであって、
当該システムが、
・反応容器であって、
・洗浄緩衝液を受け入れるように構成された第1の入口と、
・処理物質のセットを受け入れるように構成された第2の入口と、
・浮遊性粒子のセットを受け入れるように構成された第3の入口と、
・第1の出口とを有する、反応容器と、
・攪拌ロッドと、前記反応容器内に配置されたインペラとを有する攪拌サブシステムと、
・タンジェンシャルフローフィルタであって、
・中空繊維のセットであって、各々が、浮遊性粒子のセットの直径よりも大きい内径を有
し、かつ、垂直方向に対して非ゼロの傾斜角度で傾斜されている中空繊維のセットと、
・浮遊性粒子のセットを受け入れるように構成された第4の入口と、
・第2の出口とを有する、タンジェンシャルフローフィルタと、
・前記第1の出口の下流側に配置されたポンプであって、ダイヤフラムポンプを含む、ポンプと、
・流体経路のセットであって、
・前記第1の入口を、前記洗浄緩衝液を含む洗浄緩衝液容器に、
・前記第2の入口を、前記処理物質のセットを含む処理物質容器に、
・前記第3の入口を、前記第2の出口に、
・前記第1の出口を、前記第4の入口に、それぞれ流体的に接続するように構成された流体経路のセットと
を備え
、
前記浮遊性粒子のセットの各々が、中空ミクロスフェアを含み、前記浮遊性粒子のセットの各々が、前記洗浄緩衝液の密度よりも低い密度を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
浮遊性粒子のセットの各々が10~30ミクロンの粒子径を有し、前記中空繊維のセットの各々の内径が前記粒子径よりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
浮遊性粒子のセットの各々が、ガラスを含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
浮遊性粒子のセットの各々が、アミノシラン層でコーティングされたシリカガラスを含むことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第4の入口の中心軸が、前記中空繊維のセットの中心軸と平行に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ダイアフラムポンプが、4つのピストンを含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
第2のポンプをさらに含み、前記第2のポンプが、前記第1の入口の上流側に配置された蠕動ポンプを含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記処理物質のセットが、処理物質の第1のサブセットと、処理物質の第2のサブセットと、処理物質の第3のサブセットとを含み、
・前記処理物質の第1のサブセットが、浮遊性粒子のセット上に配置された第1の層を形成し、
・前記処理物質の第2のサブセットが、前記第1の層上に配置された第2の層を形成し、
・前記処理物質の第3のサブセットが、前記第2の層上に配置された第3の層を形成することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
・前記第1の層が、ヒドロキシル基を含み、
・前記第2の層が、グリコールの繰り返し単位の連鎖を含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
・前記第1の層が、3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノ基を含み、
・前記第2の層が、アミノ反応性基、ポリエチレングリコール鎖およびチオール反応性基を含み、
・前記第3の層が、チオール基を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
浮遊性粒子のセットを処理するための方法であって、
a)第1の入口、第2の入口、第3の入口および第1の出口を含む反応容器において、
・前記第2の入口で処理物質のセットを受け入れ、
・前記第3の入口で浮遊性粒子のセットを受け入れるステップと、
b)前記反応容器内に配置されたインペラおよび攪拌ロッドを有する攪拌サブシステムを用いて、前記反応容器の内容物を攪拌するステップと、
c)前記反応容器の第1の入口で洗浄緩衝液を受け入れるステップと、
d)ポンプを用いて前記反応容器の内容物をタンジェンシャルフローフィルタに送り込むステップであって、前記ポンプがダイアフラムポンプを含む、ステップと、
e)第4の入口、第2の出口および中空繊維のセットを含み、前記中空繊維のセットの各々が、浮遊性粒子のセットの直径よりも大きい内径を有
し、かつ、前記中空繊維のセットの各々が、垂直方向に対して非ゼロの傾斜角度で傾斜されているタンジェンシャルフローフィルタにおいて、
・前記第1の出口からの前記反応容器の内容物を前記第4の入口で受け入れ、
・前記反応容器の内容物の残りの部分から浮遊性粒子のセットを分離するステップと、
f)処理物質の第2のセットについて、(a)~(e)を繰り返すステップと、
g)処理物質の第3のセットについて、(a)~(e)を繰り返すステップとを備え
、
前記浮遊性粒子のセットの各々が、中空ミクロスフェアを含み、前記浮遊性粒子のセットの各々が、前記洗浄緩衝液の密度よりも低い密度を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
浮遊性粒子のセットの各々が30ミクロン未満の粒子径を有し、前記中空繊維のセットの各々の内径が前記粒子径よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
浮遊性粒子のセットの各々が、ガラスを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
浮遊性粒子のセットの各々が、アミノシラン層でコーティングされたシリカガラスを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
前記第4の入口の中心軸が、前記中空繊維のセットの中心軸と平行に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、
前記ダイアフラムポンプが、4つのピストンを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、
前記反応容器の第1の入口で洗浄緩衝液を受け入れることは、第2のポンプを用いて洗浄緩衝液容器から前記第1の入口に洗浄緩衝液を送り込むことを含み、前記第2のポンプが、前記第1の入口の上流側に配置された蠕動ポンプを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法において、
・処理物質の第1のセットが、浮遊性粒子のセット上に配置された第1の層を形成し、
・処理物質の第2のセットが、前記第1の層上に配置された第2の層を形成し、
・処理物質の第3のセットが、前記第2の層上に配置された第3の層を形成することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
・前記第1の層が、ヒドロキシル基を含み、
・前記第2の層が、グリコールの繰り返し単位の連鎖を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
・前記第1の層が、3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノ基を含み、
・前記第2の層が、アミノ反応性基、ポリエチレングリコール鎖およびチオール反応性基を含み、
・前記第3の層が、チオール基を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ポンプが、前記第4の入口の上流側に配置されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物学的および化学的サンプル処理の分野における分離方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、生物学的および化学的サンプル処理の分野で使用される浮遊性粒子(buoyant particles)を製造する改良されたシステムおよび方法に関するものである。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月9日に出願された米国仮出願第62/695,517号の利益を主張するものであり、この出願は、引用によりその全体が本明細書中に援用されるものとする。本出願は、2014年12月15日に出願された米国仮出願第62/092,019号および2015年7月7日に出願された米国仮出願第62/189,518号の利益を主張する2015年12月15日に出願された米国出願第14/969,446号の一部継続出願である2018年6月11日に出願された米国出願第16/004,874号に関連しており、それら出願の各々は、引用によりその全体が本明細書中に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
研究および診断アプリケーションでは、サンプルの1または複数の種類の粒子を分離できることが重要であることが多い。このため、効率的かつ高スループットの方法で標的成分を分離することは、健康医療アプリケーション、生物学的研究、食品産業における研究、バイオプロセシング、発酵および医学研究に大きな影響を与える可能性がある。分離および抽出する成分には、細胞、タンパク質、核酸、脂質、化合物、および生物学的流体中に一般的に見られる他の粒子が含まれる。浮遊性粒子は、これらのアプリケーションに有用であることが示されている。しかしながら、これらのアプリケーションに適した浮遊性粒子の製造および調製は、非常に困難なプロセスになることがあり、実行するには多くのユーザの介入を必要とする。
【0004】
したがって、生物学的および化学的サンプル処理分野では、浮遊性粒子を処理する改良された方法およびシステムを作り出す必要性がある。本発明は、そのような改良された方法およびシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、浮遊性粒子を処理するシステム100の一態様を示している。
【
図2】
図2は、浮遊性粒子を処理する方法200の一態様を示している。
【
図3】
図3は、処理された浮遊性粒子の一態様を示している。
【
図4】
図4は、処理された浮遊性粒子の一態様の具体例を示している。
【
図5】
図5A~
図5Dは、方法200の様々な段階における浮遊性粒子の一態様を示している。
【
図6】
図6A~
図6Cは、方法200の様々な段階における浮遊性粒子の一態様を示している。
【
図7】
図7は、タンジェンシャルフローフィルタの一態様の断面図を示している。
【
図8】
図8は、ダイレクトフローフィルタの一態様の断面図を示している。
【
図9】
図9は、浮遊性粒子を処理するシステム100の一態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態および実施例の以下の説明は、本発明をそれらの好ましい実施形態および実施例に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を製造および使用することを可能にすることを意図したものである。
【0007】
1.概要
図lに示すように、浮遊性粒子を処理するシステムl00は、反応容器110、攪拌機構120、1または複数のポンプ130のセットおよびフィルタ140を含む。本システム100は、追加的または代替的には、経路150のセットおよび/または他の任意の適切な1または複数の構成要素を含むことができる。
【0008】
図2に示すように、浮遊性粒子を処理する方法200は、反応容器の内容物を攪拌するステップS230と、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップS240と、反応容器の内容物を濾過するステップS250とを含む。追加的または代替的には、本方法200は、浮遊性粒子のセットを前処理するステップS210、反応容器に投入物のセットを加えるステップS220、1または複数のプロセス(例えば、S230~S250)を繰り返すステップ、および/または他の任意の適切な1または複数のプロセスのうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0009】
2.利点
本システムおよび/または本方法は、従来の浮遊性粒子処理システムおよび方法に比べていくつかの利点を与えることができる。
【0010】
第一に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子を製造および/または修正し、それにより、それらを、懸濁液または溶液から細胞、細菌、ウイルス、エクソソームおよび小胞、分子、DNA、RNA、または他の任意の適切な1または複数の粒子のうちの何れかまたはすべてを分離および/または単離するために構成することができる、という利点を与えることができる。具体例のセットでは、例えば、分子分離の親和性支持体として機能する浮遊性粒子のセットが生成される。
【0011】
第二に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子を製造および/または修正して、それらを動物、植物および微生物の培養のうちの何れかまたはすべてのために構成することができる、という利点を与えることができる。具体例のセットでは、例えば、浮遊性粒子のセットは、細胞培養および増殖プロセスのうちの何れかまたはすべての間、浮遊性粒子の表面が浮力プラットフォームとして機能するように処理される。
【0012】
第三に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子を製造および/または修正して、それらを、直接接触および/または溶液中への刺激の溶出によって、化学的および/または物理的刺激を細胞に提供するように構成することができる、という利点を与えることができる。
【0013】
第四に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子を製造および/または修正して、それらを、化学反応の触媒作用で使用するための化学触媒として機能および/または表示するように構成することができる、という利点を与えることができる。
【0014】
第五に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、自動化および/または半自動化された浮遊性粒子処理システム(例えば、製造システム)内で浮遊性粒子の破壊を最小化および/または防止する、という利点を与えることができる。具体例のセットでは、例えば、浮遊性粒子を処理するためのシステムは、浮遊性粒子のセットをシステム全体に循環させるためのダイヤフラムポンプ(例えば、クォータナリ4ピストンダイヤフラムポンプ)を含み、これは、ポンプを通過する間に(例えば、蠕動ポンプと比較して)破砕される浮遊性粒子の数を最小限にすることができる。
【0015】
第六に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、(例えば、デブリから、洗浄液から、緩衝液から、比較的小さな浮遊性粒子のサブセットから、比較的大きな浮遊性粒子のサブセットなどから)浮遊性粒子の効率的かつ拡大縮小可能なフィルタリングを可能にするという利点を与えることができる。具体例のセットでは、例えば、浮遊性粒子を処理するためのシステムは、タンジェンシャルフローフィルタリング用に構成された中空繊維モジュールを含み、このモジュールは、浮遊性粒子の浮遊および残りの溶液の流れによるシステムの詰まりを最小限に抑えて、浮遊性粒子を溶液の残りの部分から分離するように機能する。
【0016】
第七に、いくつかの態様において、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子処理のための半自動化された、完全に自動化された、拡大縮小可能な、大規模なシステムおよび方法のうちの何れかまたはすべてを可能にする、という利点を与えることができる。具体例のセットでは、例えば、本システムおよび/または本方法は、一連のプロセス中に(例えば、ポンプのセット、タンジェンシャルフローフィルタ、およびフローパラメータの所定のセットを介して)浮遊性粒子のセットを絶えず一貫して循環させる、という利点を与えることができ、循環は、所定の一連のプロセス(例えば、洗浄、化学物質添加、粒子エッチング、フィルタリングなど)を実行している間に、詰まりを防止する。
【0017】
第八に、いくつかの態様では、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子処理のうちの何れかまたはすべてにおいて、ユーザ入力および/またはユーザ性能を最小化する、という利点を与えることができる。ある具体例のセットでは、従来の混合プロセスで使用される遠心分離ステップのセットが、自動化された浮遊性粒子の循環および攪拌に置き換えられる。別の具体例のセットでは、本システムは、部分的にまたは完全に閉鎖されていてもよく、これにより、必要とされるユーザの介入を排除するか、または少なくとも最小限に抑えることができる。別の態様では、本システムは、遠心分離機とインターフェースすることができ、かつ/または本方法は、1または複数の遠心分離プロセスを含むことができる。具体例では、例えば、1または複数の物質(例えば、リンカー)が、システム100に入る前に遠心分離機で処理される。
【0018】
追加的または代替的には、本システムおよび/または本方法は、浮遊性粒子処理のための従来のシステムおよび方法と比較して任意の適切な利点を与えることができる。
【0019】
3.システム100
システム100は、処理された浮遊性粒子のセットを生成するように機能する。追加的または代替的には、システム100は、浮遊性粒子処理中に浮遊性粒子のセットの破壊を最小化および/または排除するように機能し、(例えば、従来の浮遊性粒子処理システムと比較して)浮遊性粒子処理中にユーザの介入を最小化および/または排除するように機能し、浮遊性粒子処理のスケールアップを可能にするように機能し(例えば、浮遊性粒子の詰まりを防止するように機能し)、均一な(例えば、表面修飾、サイズ等において均一な)浮遊性粒子のセットの製造を可能にするように機能し、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように、機能することができる。
【0020】
システム100は、投入物として浮遊性粒子のセットを受け入れる。追加的または代替的には、システム100は、処理物質のセットなどの他の投入物を受け入れることができ、それには、化学物質(例えば、官能基、リンカーなど)、タンパク質、緩衝剤、試薬、洗浄剤、および/または浮遊性粒子のセットを維持、修正または他の方法で相互作用させるための他の任意の適切な物質が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0021】
浮遊性粒子のセット(等価的に本明細書では基材と呼ぶ)の各々は、好ましくはマイクロバブル(例えば、ミクロンスケールの直径、1000ミクロン未満の直径、100ミクロン未満の直径、10~100ミクロンの直径、50ミクロンの直径を有するマイクロバブル等)であるが、追加的には、ナノバブル(例えば、ナノメートルスケールの直径を有し、1ミクロン未満の直径を有するナノバブル等)、および/または浮遊性粒子の他の任意の好適なセットを含む。システム100への投入物として受け入れられる浮遊性粒子のセットは、さらに好ましくは、原料(例えば、未処理、表面修飾なし、洗浄のみなど)であるか、または部分的に処理される(例えば、シランでガラスコーティングされ、プラスチックでガラスコーティングされ、第1の表面修飾を有し、表面修飾のサブセットを有し、研磨され、エッチングされる等である)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で任意の適切な程度に処理することができる。実施例では、浮遊性粒子は、(例えば、後続のプロトコルで分析物を標的化する際に使用するために)10nm~100nmの直径を有する。他の実施例では、浮遊性粒子が、(例えば、後続のプロトコルにおいて細胞を標的化する際に使用するために)1μm~30μmの直径を有するが、粒子は、他の任意の適切な寸法(例えば、浮遊性粒子が、後述するように、タンジェンシャルフローフィルタの保持液に含まれることを可能にするように構成された直径)を有することができる。
【0022】
浮遊性粒子(例えば、ビーズ、球体、ミセル、マイクロバブル)のセットは、プラスチックビーズ(例えば、ポリプロピレンビーズ、ポリエチレンビーズなど)、ガラスビーズ、脂質ビーズ(例えば、安定化リポソームベースのビーズ)、中空ビーズ、中実ビーズ、液体充填ビーズ、ガス充填ビーズ、および他の任意の適切なタイプの粒子のうちの1または複数を含むことができる。
【0023】
浮遊性粒子のセットは、好ましくは、周囲の流体(例えば、緩衝剤、溶媒、0.1g/cm3~0.99g/cm3の範囲の流体など)の密度(すなわち、第2の密度)よりも低い第1の密度を有することを特徴とする。このため、浮遊性粒子は、好ましくは、後続の分離プロトコル、例えば、2018年6月11日に出願された米国出願第16/004,874号(この出願は引用によりその全体が本明細書に援用される)に記載の分離プロトコルにおける流体および/または周囲の流体に配置されたときに浮くように構成されている。しかしながら、浮遊性粒子は、代替的には、システムへの他の投入物の密度に対して他の任意の適切な密度で構成することができる。
【0024】
一実施例では、浮遊性粒子のセットが、マイクロバブル(例えば、ガス充填微粒子、中空ミクロスフェア、コロイドバブル)を含み、それらは、球状、スカート状、楕円球状、または他の任意の適切な三次元形状であってもよい。マイクロバブルの形状は、周囲の溶液の流体力学に応答して動的に変化し得る(例えば、重力、粘度および表面張力によって決まる、ある形状から別の形状に変化する)が、代替的には、固定された形状であってもよい。具体例では、マイクロバブルが、粒子コア(例えば、ガス充填、流体充填、粒子充填された粒子コアなど)を取り囲む粒子シェルを含むことができるホウケイ酸ガラスによって構成される。しかしながら、粒子シェルは、代替的には、脂質、タンパク質、界面活性剤、ポリマーおよび/またはそれらの任意の適切な組合せを含む他の任意の適切な材料で構成されるものであってもよい。この実施例では、ガラスマイクロバブルは、粒子径(例えば、5~30ミクロンの範囲)および粒子シェルの厚さ(例えば、2ミクロン未満の厚さ)を規定する固定された球形状を有するように作製することができる。しかしながら、浮遊性粒子は、他の任意の適切な組成、形状、密度および/または寸法を有することができる。
【0025】
システム100は、処理された浮遊性粒子のセットを出力として生成し、ここで、処理された浮遊性粒子は、(例えば、後述する方法200によって)1または複数の表面修飾を受けた投入浮遊性粒子を指す。表面修飾は、好ましくは、浮遊性粒子表面に適用される1または複数の層(例えば、化学物質)の適用を含み、それら層には、分子、化学物質、モイエット、タンパク質、有機材料、無機材料、保護シェルまたは他の任意の適切な物質のうちの何れかまたはすべてが含まれる。いくつかの態様では、例えば、層が、バブルに対する分子の溶液ベースの連続的な付加によって形成される。追加的または代替的には、表面修飾は、インサイチュ重合、化学蒸着、溶媒の存在下でのポリマーコーティング、溶媒の非存在下でのポリマーコーティング、エッチング、または他の方法による投入浮遊性粒子のセットの表面修飾のうちの何れかまたはすべてによって適用することができる。
【0026】
表面修飾(例えば、層)の各々は、好ましくは、結合を容易にするように機能し、それには、浮遊性粒子表面との結合(例えば、後述する第1の層のため)、前に適用された(例えば、下の)表面修飾との結合(例えば、第2の層が第1の層と結合するため、第3の層が第2の層と結合するため等)、後に適用される(例えば、上の)表面修飾(例えば、第1の層が第2の層と結合するため、第2の層が第3の層と結合するため等)、後続の適用(例えば、細胞分離)における標的物質(例えば、溶液、化合物、材料、細胞など)との結合、または他の任意の適切な結合のうちの何れかまたはすべてが含まれる。代替的または代替的には、表面修飾の何れかまたはすべては、結合を防止するように機能し(例えば、第1の層と第3の層との間の結合を防止するように構成された長い化学鎖を有する第2の層、第3の層と浮遊性粒子表面との間の結合を防止するように構成された長い化学鎖を有する第2の層など)、浮遊性粒子の寿命を高めるように機能し(例えば、破壊を防止するためのシェル)、浮遊性粒子の浸出を防止するように機能し(例えば、浮遊性粒子の内部内容物上の浸出を防止するためのシェル)、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0027】
いくつかの態様では、処理された浮遊性粒子は、標的構成要素(例えば、赤血球、白血球、T細胞、循環腫瘍細胞、幹細胞、循環核酸など)に結合するための部分で機能化された浮遊性粒子を含み、電荷ベースの部分、核酸標的化部分、タンパク質ベースの部分(例えば、細胞接着分子、成長因子、合成タンパク質)および他の任意の適切な部分のうちの任意の1または複数を含むことができる。具体例では、ガラスマイクロバブルの粒子シェルをアミノシラン層でコーティングして、生体分子(例えば、抗体、アプタマー、レクチン、オリゴ、分子バーコードなど)による後の表面機能化を可能にすることができる。ガラスマイクロバブルがアミノ官能基化された後、ガラスマイクロバブルは、好ましくはストレプトアビジンに架橋される。しかしながら、他の任意の適当な部分を使用して、標的構成要素を選択的に捕捉するための基材の表面機能化(例えば、PEG化、クリックケミストリー、層ごとのアセンブリ、インクジェット印刷など)のために、他の任意の適当な化学的手順を実行することができる。浮遊性粒子は、追加的および/または代替的には、(例えば、基材粒子の表面に結合した組換え分子を介した)標的構成要素へのシグナル送達剤として機能することができる。具体例では、細胞療法(例えば、癌治療)において使用されるキメラ抗原受容体を発現するT細胞(例えば、CAR-T細胞)を製造するための第一のステップである、T細胞を刺激する(例えば、細胞増殖およびサイトカイン産生を誘導する)ことができるタンパク質であるCd28を示すマイクロバブルを使用して、CD3+T細胞を捕捉することができる。しかしながら、基材は、標的結合型複合体の分離および抽出を含む多機能アプリケーションのための他の任意の適切な部分で構成することができる。
【0028】
処理された浮遊性粒子のセットの各々は、好ましくは、(例えば、上述したような1または複数の部分を含む)第1の層を含み、等価的に本明細書ではベース層と呼ばれ、これは浮遊性粒子表面と結合するように機能する。追加的または代替的には、第1の層は、後続の層と浮遊性粒子表面との間の結合を防止することによって(例えば、浮遊性粒子表面を均一にコーティングすることによって)非特異的結合を防止するように機能することができる。第1の層は、投入された浮遊性粒子表面(例えば、未加工の表面、シラン表面など)とインターフェースする(例えば、塗布、層状、機能化等される)。追加的または代替的には、第1の層は、後続の層(例えば、後述の第2の層、後述の第3の層、第4の層、第5の層など)、分離プロセスにおける捕捉のための標的物質、および/または他の任意の適切な1または複数の材料とインターフェースする。
【0029】
第1の層は、好ましくは、浮遊性粒子表面に共有結合されるとともに、均一な粒子コーティング(例えば、各粒子コーティングにおける不均一性を防止すること、投入された浮遊性粒子のセットのすべてを均一にコーティングすること等)のために構成される。第1の層は、さらに好ましくは、不均一なポリマーコーティング(例えば、カーペット層コーティング)とは対照的に、均一な単層コーティングとして塗布される。
【0030】
ガラス(例えば、シラン表面を有するガラス)浮遊性粒子の場合、第1の層は、好ましくは、1または複数のアミノ基を含む。特定の例では、第1の層のアミノシラン基は、ガラス浮遊性粒子の表面上のヒドロキシル基と相互作用する。追加的または代替的には、第1の層は、任意の適当な基または他の成分を含むことができる。
【0031】
第1の層は、好ましくは、互いに連結された複数のサブコンポーネント(例えば、化合物、タンパク質、分子など)から構成され、それぞれが異なる機能および/または標的を有することができる(例えば、第1サブコンポーネントは、浮遊性粒子の表面と結合するように構成され、第2サブコンポーネントは、第2の層のサブコンポーネントと結合するように構成される)。代替的には、第1の層は、単一のサブコンポーネントを含むことができ、複数のサブコンポーネントが、同じ機能および/または標的を有することができ、かつ/または第1の層は、他の任意の適切な構造を有することができる。
【0032】
いくつかの態様では、第1の層は、第2のサブコンポーネント(本明細書では「B要素」と称する)に接続(例えば、連結、結合など)された第1のサブコンポーネント(本明細書では「A要素」と称する)を含み、A要素は、浮遊性粒子の表面と(例えば、共有結合的に、沸騰トルエンなどで起こる反応で)結合するように構成され、B要素は、後続の層(例えば、第2の層、第3の層など)、標的要素(例えば、標的分子、標的細胞など)または他の任意の適切な構成要素のうちの何れかまたはすべてと結合するように構成されている。
【0033】
第1の具体例(例えば、
図4)では、A要素は、浮遊性粒子表面(例えば、シラン被覆ガラス)と共有結合するように構成された3-アミノプロピルトリメトキシシランのトリメトキシシラン部分を含み、B要素は、(例えば、後述するように)第2の層と結合するように構成された3-アミノプロピルトリメトキシシランの3-アミノプロピルトリメトキシシラン部分を含む。
【0034】
処理された浮遊性粒子のセットの各々は、任意選択的には、(例えば、第1の層と組み合わせて、あるいは第1の層が存在することなく)本明細書ではリンカー層と同等に称する第2の層を含むことができ、この第2の層は、好ましくは第1の層(例えば、第1の層のB要素)と結合するように構成されている。リンカー層は、追加的または代替的には、後続の層(例えば、第3の層のF要素)、標的要素、または他の任意の適当な材料と結合するように構成することができる。第2の層は、好ましくは(例えば、後述するように)、第1の層(および/または浮遊性粒子表面)と、第3の層などの後続の層(および/または標的要素)との間の距離を増加させるように機能する。これは、追加的または代替的には、後続の層と第1の層(および/または浮遊性粒子表面)との間の結合を防止し、標的要素と前の層(および/または浮遊性粒子表面)との間の結合を防止し、標的要素の捕捉を容易にし(例えば、第2の層が捕捉分子を有する場合)、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。さらに、追加的または代替的には、第2の層(例えば、後述する第2の層のD要素)は、切断可能に(例えば、捕捉後の分析物放出および/または細胞放出を可能にするように)構成することができる。このため、1または複数のサブコンポーネント(例えば、第2のサブコンポーネント、第1のサブコンポーネント、第3のサブコンポーネントなど)は、化学的還元を受け易いジスルフィド結合、グリコシダーゼ消化を受け易い多糖鎖、ペプチダーゼ消化を受け易いポリペプチド鎖、エンドヌクレアーゼ(例えば、制限型エンドヌクレアーゼ)を受け易いDNA鎖、および/または他の任意の適切な物質および/または特徴のうちの何れかまたはすべてを含むことができる。追加的または代替的には、他の任意の好適な層は、切断可能に構成することができる。
【0035】
第2の層は、好ましくは、第1の層(例えば、第1の層のB要素、第1の層のA要素など)とインターフェイスする(例えば、塗布される、層状に配置される、機能化される、結合されるなど)。追加的または代替的には、第2の層は、後続の層(例えば、第3の層、第4の層など)、標的要素、浮遊性粒子表面または他の任意の適切な物質のうちの何れかまたはすべてとインターフェースすることができる。
【0036】
好ましい態様では、第2の層と浮遊性粒子表面との間の結合は、最小限または全く存在しない(例えば、第1の層による浮遊性粒子表面の均一なコーティングによって可能になる、あるいは第2の層のB要素の選択によって可能になる等)。代替的には、(例えば、第1の層の疎らな分布を有する領域などで偶然に)結合が発生する可能性がある。
【0037】
第2の層は、好ましくは、互いに連結された(例えば、結合された)複数のサブコンポーネント(例えば、化合物、タンパク質、分子など)から構成され、それぞれが異なる機能および/または標的を有することができる(例えば、あるサブコンポーネントは、第1の層のサブコンポーネントと結合するように構成され、別のサブコンポーネントは、後続の層のサブコンポーネントと結合するように構成される)。代替的には、第2の層は、単一のサブコンポーネントを含むことができ、複数のサブコンポーネントは、同じ機能および/または標的を有することができ、かつ/または第2の層は、他の任意の適切な構造を有することができる。
【0038】
いくつかの態様では、第2の層は、第2のサブコンポーネント(本明細書では「D要素」と称する)と接続(例えば、連結、結合など)された第1のサブコンポーネント(本明細書では「C要素」と称する)を含み、第2のサブコンポーネントが、第3のサブコンポーネント(本明細書では「E要素」と称する)と接続されている。C要素は、好ましくは、第1の層のB要素およびD要素と結合(例えば、共有結合)するように構成され、E要素は、D要素および後続の層(例えば、第3の層、第4の層など)と結合するように構成されている。追加的または代替的には、第2の層は、標的要素(例えば、標的分子、標的細胞など)および/または他の任意の適切なコンポーネントと結合するように構成することができる。
【0039】
追加的または代替的な態様では、第2の層は、2つのサブコンポーネント(例えば、E要素に接続されたC要素)、単一のサブコンポーネント、追加的なサブコンポーネント、および/または任意の適切な方法で配置された任意の適切な数のサブコンポーネントを含むことができる。
【0040】
第2の層の第1の具体例において、C要素は、第1の層のアミノ基(例えば、B要素)に(例えば、所定の条件下で)結合するように構成されたアミノ反応性基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]エステル)を含み、D要素(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール鎖など)は、所定の長さ(例えば、12の繰り返し単位、24の繰り返し単位、12未満の繰り返し単位、12を超える繰り返し単位、30未満の繰り返し単位など)の介在領域を含み、D要素がC要素およびE要素に結合するように構成され、かつ、E要素は、後続の層(例えば、後述する第3の層のF要素)および/または標的物質と結合するように構成されたチオール反応性基(例えば、マレイミド)を含む。
【0041】
処理された浮遊性粒子のセットの各々は、任意選択的に、(例えば、第1の層および第2の層と組み合わせて、あるいは第1の層および第2の層の一方または両方が存在することなく)本明細書では外側官能基と同等に称する第3の層を含むことができ、この第3の層は、好ましくは第2の層(例えば、第2の層のE要素)と結合するように構成される。リンカー層は、追加的または代替的には、後続の層(例えば、第4の層)、第1の層、浮遊性粒子表面、標的要素または他の任意の適当な材料と結合するように構成することができる。第3の層は、好ましくは、標的物質と結合する(よって、例えば標的物質を捕捉する)ように機能する。追加的または代替的には、第3の層は、標的物質と前の層との間の結合を防止し、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0042】
第3の層は、好ましくは、第2の層(例えば、第2の層のE要素、第2の層のD要素、第2の層のC要素など)とインターフェイスする(例えば、塗布される、層状に配置される、機能化される、結合される)。追加的または代替的には、第3の層は、後続の層(例えば、第4の層、第5の層など)、第2の層の後に配置された中間層、標的要素、浮遊性粒子表面または他の任意の適切な材料のうちの何れかまたはすべてとインターフェースすることができる。
【0043】
好ましい態様では、第3の層と浮遊性粒子表面との間には、結合が最小限であるか、または全く存在せず(例えば、第1の層による浮遊性粒子表面の均一なコーティングによって可能になり、あるいは第3の層のF要素の選択によって可能になり)、第3の層と第1の層との間にも、結合が最小限であるか、または全く存在しない。代替的には、(例えば、第1の層の疎らな分布を有する領域などで偶然に)結合が生じる可能性がある。
【0044】
第3の層は、好ましくは、互いに連結された(例えば、結合された)複数のサブコンポーネント(例えば、化合物、タンパク質、分子など)から構成され、それぞれが異なる機能および/または標的を有することができる(例えば、あるサブコンポーネントは、第2の層のサブコンポーネントと結合するように構成され、別のサブコンポーネントは、標的物質と結合するように構成される)。代替的には、第3の層は、単一のサブコンポーネントを含むことができ、複数のサブコンポーネントは、同じ機能および/または標的を有することができ、かつ/または第3の層は、他の任意の適切な構造を有することができる。
【0045】
いくつかの態様では、第3の層は、第2のサブコンポーネント(本明細書では「G要素」と称する)に接続(例えば、連結、結合など)された第1のサブコンポーネント(本明細書では「F要素」と称する)を含む。F要素は、好ましくは、第2の層のE要素と結合(例えば、共有結合)するように構成され、G要素は、標的要素(例えば、標的分子、標的細胞など)と結合するように構成される。追加的または代替的に、第3の層は、後続の層(例えば、第4の層、第5の層など)、第1の層、浮遊性粒子の表面および/または他の任意の適当なコンポーネントと結合するように構成することができる。
【0046】
追加的または代替的な態様では、第3の層は、単一のサブコンポーネント、2以上のサブコンポーネント、および/または任意の適切な方法で配置された任意の適切な数のサブコンポーネントを含むことができる。
【0047】
第3の層の第1の具体例では、F要素は、第2の層のチオール反応性基(例えば、E要素)と結合するように構成されたチオール基を含み、G要素は、標的物質(例えば、ビオチン化種)と結合するように構成された捕捉要素(例えば、捕捉分子、捕捉基、ストレプトアビジン、1または複数の抗体、レクチン、オリゴヌクレオチド配列など)を含む。
【0048】
処理された浮遊性粒子は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で配置された(例えば、層状に配置された)任意の数の表面修飾を含むことができる。いくつかの態様では、上述のものに加えてまたは代替的に、処理された浮遊性粒子は、例えば、浮遊性粒子の表面粗さを増加させる(例えば、それにより浮遊性粒子の結合能力を向上させる)ように機能することができる1または複数のタンパク質(例えば、重合グリシドール)と、例えば、浮遊性粒子(例えば、ガラス浮遊性粒子)の1または複数の成分の周囲の溶液への浸出を防止するように機能することができるシェル(例えば、ポリマーシェル)と、(例えば、シリカの電荷切り替え基づいて)例えばDNA捕捉を可能にするように機能する浮遊性粒子表面の電荷(例えば、印加電荷、誘導電荷、切り替え電荷など)の変化とのうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0049】
第1の態様(例えば、
図3、
図5A~
図5Dなど)では、処理された浮遊性粒子は、浮遊性粒子表面に結合された第1の層と、第1の層(例えば、第1の層のB要素)に結合された第2の層と、第2の層(例えば、第2の層のE要素)に結合された第3の層とを含む。具体例では、処理された浮遊性粒子は、アミノ基に結合した3-アミノプロピルトリメトキシシランの第1の層と;第1の層のアミノ基と結合するように構成されたアミノ反応性基、アミノ反応性基に結合したポリエチレングリコール鎖、ポリエチレングリコール鎖に結合したチオール反応性基からなる第2の層と;第2の層のチオール反応性基と結合するように構成されたチオール基および捕捉分子からなる第3の層とを含む。
【0050】
第2の態様(例えば、
図6A~
図6C)では、処理された浮遊性粒子は、浮遊性粒子表面に結合された第1の層と、第1の層に結合された第3の層とを含む。
【0051】
第3の態様では、処理された浮遊性粒子は、電荷密度が変化した表面を有する浮遊性粒子を含む。
【0052】
3.1 システム:反応容器110
システム100は、本明細書ではプロセスチャンバと同等に称する反応容器110を含み、この反応容器は、1または複数の処理ステップ中(例えば、1または複数の層でコーティングされている間、エッチングされている間など)に、浮遊性粒子のセットおよび任意の適切な溶液(例えば、緩衝剤、溶媒など)を含むように機能する。追加的または代替的には、反応容器110は、浮遊性粒子が予め設定された閾値以上の粒子間間隔を有することができるように予め設定された閾値以上のサイズを有することによって、浮遊性粒子のセットの各々の均一なコーティングを可能にし、浮遊性粒子の処理(例えば、粒子のセットの加熱、溶液の沸騰、粒子のセットの冷却など)のための適切な環境(例えば、温度、湿度など)を維持し、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0053】
反応容器110は、浮遊性粒子のセット(例えば、投入された浮遊性粒子のセット、部分的に処理された浮遊性粒子、処理された浮遊性粒子)、および/または浮遊性粒子の処理に使用されるような他の適当な溶液および材料(例えば、第1の層の材料、第2の層の材料、第3の層の材料、緩衝剤、試薬など)を受け入れることができる。反応容器110は、ユーザ(例えば、投入される浮遊性粒子を反応容器に分注するユーザ)、リザーバ(例えば、システムの自動循環サブシステムのような自動化された機構を介して)、システムの別の構成要素(例えば、後述するような一連の流体経路を通るフィルタから)、および/または他の適切な個人またはシステムの構成要素のうちの何れかまたはすべてから浮遊性粒子のセットを受け入れることができる。いくつかの態様では、投入される浮遊性粒子のセットは、第1の供給源(例えば、ユーザ、チャンバなど)から反応容器のキャビティ内に受け入れられ、その後、システムの別の構成要素から(例えば、閉鎖システム内の一連の経路を介して)一連の処理ステップの各々の後に受け入れられる。
【0054】
反応容器は、任意の数の溶液を受け入れることができ(例えば、緩衝液は、PBS、BSAおよび/またはEDTAのうちの少なくとも1つを含み)、それらは、任意の適切な試薬、成長因子、化合物、溶媒を含むことができ、かつ/または浮遊性粒子の生存性をサポートする(例えば、粒子の凝集を最小化し、長期保存を改善する)ための任意の適切なpH、温度または他の特性、処理物質および/または標的成分を含むことができる。
【0055】
反応容器110は、好ましくはガラス製であるが、追加的または代替的には、ポリマー(例えば、プラスチック)、金属、木材または他の任意の適切な材料で作ることができる。反応容器は、好ましくは、浮遊性粒子のセットが同じ環境で処理されるように、単一のキャビティを規定するが、追加的には、(例えば、以下に説明する方法をスケールアップするために)複数のキャビティを規定することができる。さらに、反応容器110の何れかの表面(外側および/または内側)は、任意選択的には(例えば、表面特性、接着特性、光学特性に影響を与えるために、あるいは浮遊性粒子のセットの反応容器の内面への付着を防止するために)表面コーティングで処理することができる。
【0056】
反応容器110は、1または複数の入口112のセットを含むことができ、かつ/または規定することができ、それら入口は浮遊性粒子のセット(例えば、浮遊性粒子の投入セット、1または複数の表面修飾を有する浮遊性粒子)、緩衝液(例えば、洗浄緩衝液)、試薬、処理物質(例えば、第1の層材料、第2の層材料、第3の層材料など)、攪拌サブシステム(後述)および/または他の任意の適当な材料のうちの何れかまたはすべてを受け入れるように機能する。入口112のセットは、好ましくは、複数の入口(例えば、それぞれが異なる材料を受け入れるように構成された入口)を含み、さらに好ましくは、反応容器110の頂面(例えば、上面)に配置された入口のセットを含むが、追加的または代替的には、反応容器110の任意の適当な表面に配置された単一の入口および/または入口のセットを含むことができる。一態様(例えば、
図9)では、反応容器110は、(例えば、洗浄緩衝液チャンバから)洗浄緩衝液を受け入れるように構成された第1の入口と、処理物質(例えば、第1の層材料、第2の層材料、第3の層材料、エッチング材料など)の1または複数のセットを受け入れるように構成された第2の入口と、1または複数の表面修飾プロセスおよび/または洗浄後の浮遊性粒子を(例えば、後述するフィルタから)受け入れるように構成された第3の入口とを含む。
【0057】
反応容器110は、追加的に、(例えば、表面改質プロセス後、洗浄後などに)反応容器110の内容物の一部またはすべてを除去するように機能する1または複数の出口114のセットを含み、かつ/または規定することができる。反応容器110は、好ましくは、反応容器110の下面(例えば、底面)に配置された単一の出口114を含むが、追加的または代替的には、反応容器の任意の適当な表面に配置された単一の出口および/または複数の出口を含むことができる。一態様では(例えば、
図9)、反応容器110は、表面改質プロセスの後に、(例えば、次に、フィルタの供給入口に搬送される)反応容器110の内容物を除去するように構成された出口を含み、それにより、反応容器110を後続のプロセスのために(例えば、上述した入口のセットの何れかまたはすべてからの)新しい材料で準備することができる。
【0058】
反応容器は、任意選択的には、1または複数の物質(例えば、緩衝液、溶液、洗浄緩衝液、表面改質材料、層材料、浮遊性粒子など)を含むリザーバおよび/またはチャンバのセット、(例えば、浮遊性粒子の処理に必要な温度を達成および/または維持するための)加熱および/または冷却サブシステム、センサシステム(例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサなど)、および/または浮遊性粒子のセットの処理を可能にするように構成された他の任意の適切な1または複数の構成要素のうちの何れかまたはすべてを含み、かつ/またはインターフェースするように構成することができる。
【0059】
第1の態様(例えば、
図9)では、反応容器は、(例えば、洗浄緩衝液リザーバから)洗浄緩衝液を受け入れるように構成された(例えば、流体的に接続された)第1の入口と、処理物質のセットを受け入れるように構成された第2の入口と、(例えば、濾過後に)浮遊性粒子のセットを受け入れるように構成された第3の入口と、反応容器の内容物を受け入れる(かつ、例えば、ポンプを使用してフィルタを通過させる)ように構成された出口とを含む。追加的または代替的には、システムは、攪拌機構を受け入れるように構成された第4の入口、複数の出口、任意の数の追加の入口および/または他の任意の適切な構成要素のうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0060】
3.2 システム:攪拌機構120
システム100は、浮遊性粒子のセットを絶えず一貫して循環させるように機能する攪拌機構120を含み、この攪拌機構は、1または複数のシステムコンポーネントの詰まりを防止および/また最小限に抑えて、浮遊性粒子が反応容器の上部に浮いて凝集すること(例えば、それにより処理物質の全体的な不均一なコーティングが施されること)を防止するように機能することができる。追加的または代替的には、攪拌機構120は、(例えば、表面層のセットで浮遊性粒子の均一かつ完全なコーティングを確実にするために)浮遊性粒子のセットと処理物質のセットとを混合し、(例えば、従来の浮遊性粒子処理で実行されるように、あるいは小規模な浮遊性粒子処理で実行されるように)遠心分離がない状態で方法を実行し、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0061】
攪拌機構120は、好ましくは、反応容器のキャビティ内に(例えば、処理液によって完全に沈められるように、内部キャビティを規定する底面に近接して)配置されたインペラと、インペラを回転させるように構成されたモータ(例えば、電動モータ)とを含む。攪拌機構120は、追加的または代替的には、電動モータに電力を供給するように構成された電源(例えば、バッテリ、壁コンセントなど)、ロッド(例えば、攪拌ロッド、モータをインペラに接続するロッドなど)、任意の適切な攪拌デバイス(例えば、ファン型のロッド、磁気攪拌バーなど)および/または他の任意の攪拌デバイスのうちの何れかまたはすべてを含むか、かつ/またはインターフェースするように構成することができる。
【0062】
攪拌機構120は、好ましくは、ユーザの介入なしに、または最小限のユーザの介入で操作される(例えば、ユーザによって「オン」および「オフ」に切り替えられる)が、追加的または代替的には、手動で操作される。攪拌機構120は、好ましくは、各浮遊性粒子が処理物質で被覆されるように、浮遊性粒子間のほぼ均一な間隔を維持するのに十分に速い速度で反応容器の内容物を攪拌するが、浮遊性粒子の破壊を防止し、かつ/または最小限に抑えるのに十分に遅い速度で攪拌する。追加的または代替的には、インペラは任意の適切な1または複数の速度で回転することができる。
【0063】
攪拌機構120の第1の態様では、攪拌機構120は、反応容器の内部キャビティを規定する底面に近接して配置されたインペラを含み、このインペラは、反応容器の上方に配置されて電源(例えば、バッテリ、壁コンセントなど)に結合された電動モータによって回転される。この具体的な態様では、インペラの角速度が、2400~3000°/s(および/または400~500rpm)である。追加的または代替的には、インペラの角速度は、2400°/s未満、3000°/sを超える、400rpm未満、500rpmを超える、および/または他の任意の適切な値または値の範囲を有することができる。
【0064】
3.3 システム:ポンプ130のセット
システム100は、1または複数のポンプ130のセットを含み、これらは、浮遊性粒子のセット、1または複数の溶液(例えば、緩衝剤、試薬など)、処理物質および/または他の任意の1または複数の物質のうちの何れかまたはすべてをシステム100全体(例えば、システム内あるいはシステム外のコンポーネント内あるいはコンポーネント間など)に搬送するために個別にかつ/または集合的に機能することができる。ポンプ130のセットのうちの1または複数は、さらに好ましくは、浮遊性粒子のセットの破壊を防止および/または最小限に抑えるように機能するが、ポンプ130のセットは、追加的または代替的には、他の任意の適切な機能を実行することができる。
【0065】
ポンプ130のセットは、反応容器110の出口の下流側であってフィルタ(後述)の上流側に配置された第1のポンプ132を含む。第1のポンプ132は、好ましくは、流体経路(例えば、チューブ)を介して反応容器110の出口(例えば、下にある出口)に接続されているが、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で反応容器110に結合することができる。第1のポンプ132は、浮遊性粒子のセットを反応容器110からフィルタに搬送し、搬送中の浮遊性粒子のセットの破損を防止し、かつ/または最小化するように機能する。第1のポンプ132は、好ましくは、ダイヤフラムポンプ(例えば、4ピストンダイヤフラムポンプ、2ピストンダイヤフラムポンプなど)を含み、このダイヤフラムポンプは、ポンプと粒子との間の接触を(例えば、別のタイプのポンプと比較して、蠕動ポンプなどと比較して)最小限に抑え、かつ付随する接触力(例えば、浮遊性粒子を破壊するのに十分な大きさの接触力)を最小限に抑えることができる。追加的には、ダイヤフラムポンプは、(例えば、蠕動ポンプの小径の通路内に制限されている場合に)隣接する粒子間の接触を最小化し、付随する接触力を最小化することができる。
【0066】
第1のポンプ132は、好ましくは、浮遊性粒子の破壊を最小化するように構成された流量に従って運転される。第1のポンプ132(および/または第2のポンプ134)の流量は、さらに好ましくは、システムの全長(例えば、粒子が反応容器からフィルタに進んでから反応容器に戻る距離)、方法の1または複数のプロセスのタイミング(例えば、浮遊性粒子が空の反応容器に入れられることのないように、反応容器に新しい投入セットを追加するのに必要な時間など)のうちの何れかまたはすべてに基づいて決定される。一態様では、第1のポンプ132は、400mL/分~600mL/分の流量で運転される。追加的または代替的には、第1のポンプ132は、200mL/分~1000mL/分の流量で、400mL/分未満の流量で、600mL/分より大きい流量で、および/または任意の適切な値を有する任意の適切な操作パラメータに従って操作することができる。
【0067】
ポンプ130のセットは、好ましくは第2のポンプ134を含み、この第2のポンプ134は、1または複数の流体(例えば、緩衝剤、溶媒、洗浄剤など)を反応容器110内に送り込むように機能する。第2のポンプ134は、好ましくは、浮遊性粒子のセットとは相互作用しないが、追加的または代替的には、浮遊性粒子を反応容器内に送り込み、反応容器110から任意の適当な物質を除去し、システムのコンポーネント間で1または複数の溶液を搬送し、または他の方法でシステム100の任意の適当な物質と相互作用することができる。第2ポンプ134は、好ましくは、反応容器110の上流側に配置され、反応容器110の上側の入口に接続された流体経路(例えば、可撓性チューブ)を介して反応容器に接続されている。追加的または代替的には、第2のポンプ134は、洗浄緩衝液チャンバ(例えば、洗浄中に新たな洗浄緩衝液をシステム内に送り込むように構成されたチャンバ)の下流側に配置することができ、処理物質のセット、および/または反応容器110に加えられる他の任意の溶液および物質を保持する容器の下流側に配置することができる。第2のポンプ134は、第1のポンプとは異なるポンプタイプ(例えば、蠕動ポンプ)、同じポンプタイプ(例えば、ダイヤフラムポンプ)、あるいは他の任意の適切なポンプタイプであってもよい。
【0068】
ポンプ130のセットは、追加的または代替的に、任意の適切な配置の単一のポンプ、追加的なポンプ、異なるポンプタイプ、または他の任意の適切なポンプを含むことができる。
【0069】
ポンプセット130の一態様(例えば、
図9)では、ポンプのセットは、反応容器100の出口とフィルタ140の入口との間に配置された第1のポンプ132と、洗浄液チャンバと反応容器110との間に配置された第2のポンプ134とを含む。具体例では、第1のポンプ132は、浮遊性粒子のセットを反応容器110からフィルタ140に緩やかに搬送するように構成されたダイヤフラムポンプ(例えば、クォータナリダイヤフラムポンプ)であり、第2のポンプ134は、洗浄中(例えば、粒子処理ステップの間)に洗浄緩衝液をシステム内にまたはシステム全体に(例えば、反応容器内に)送り込むように構成された蠕動ポンプである。
【0070】
3.4 システム:フィルタ140
システムは、1または複数の浮遊性粒子処理プロセスの後に、浮遊性粒子のセットを廃棄物(例えば、洗浄緩衝液、処理物質、デブリなど)から分離するように機能するフィルタ140を含む。追加的または代替的には、フィルタ140は、浮遊性粒子のセットを他の任意の溶液および物質から分離し(例えば、第1の処理プロセスの前に保存緩衝液から分離し)、システムの1または複数のコンポーネントの詰まりを防止および/または最小化し(例えば、最も高い浮力を有する物質が通過するのに対して、他の物質がフィルタで収集される)、(例えば、フィルタの出口から)浮遊性粒子を直接収集し、浮遊性粒子の高速洗浄(例えば、10分未満、5分未満、5秒~2分、5秒未満など)を可能にし、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0071】
さらに追加的または代替的には、フィルタ140は、(例えば、遠心分離を含む、あるいは手動処理および/または準備等を含む)従来の処理プロトコルと比較して、大量の浮遊性粒子処理を可能にするように機能することができる。いくつかの従来の処理方法では、例えば、浮遊性粒子のセットを周囲の溶液および物質から分離するために、一連の遠心分離プロセスが必要とされる。従来の処理方法は、例えば、(例えば、遠心分離管の容量に基づく)限定された容量のバッチ分離、ユーザの介入(例えば、遠心分離機を操作すること、浮遊性粒子を遠心分離管内および/または遠心分離管外にピペットで移すこと、および/または遠心分離機に遠心分離管を配置および/または除去することなど)、システム(例えば、閉鎖システム、反応容器など)からの浮遊性粒子の除去、および/または他の任意の要件のうちの何れかまたはすべてを必要とする場合がある。フィルタ140は、好ましくは、それらの要件のうちの1または複数の要件を除去し、かつ/または最小化するように機能するが、追加的または代替的には、別の要件を除去し、かつ/または最小化し、それらの要件のうちの1または複数の要件を有する(例えば、遠心分離機などと組み合わせて使用される)か、または他の任意の適切な機能を実行することができる。
【0072】
フィルタ140は、好ましくは、浮遊性粒子のセットを周囲の溶液から分離するが、周囲の溶液には、1または複数の処理物質(例えば、第1の層要素、第2の層要素、第3の層要素など)、反応容器110内の緩衝剤、溶媒、他の溶液などの1または複数の流体、デブリ(例えば、壊れた浮遊性粒子)、および/または他の任意の適切な物質のうちの何れかまたはすべてが含まれる。浮遊性粒子は、好ましくは、各粒子処理プロセスの後(例えば、後続の処理プロセスの前)に周囲の溶液から分離されるが、追加的または代替的には、(例えば、保存緩衝液を濾過するために)処理プロセスの前に周囲の溶液から分離されるようにしてもよく、(例えば、浮遊性粒子のセットが均一な大きさになるように大きさに基づいて)浮遊性粒子の第2のセットから分離されるようにしてもよく、かつ/または他の任意の適切な材料から分離されるようにしてもよい。
【0073】
フィルタ140は、好ましくは、タンジェンシャルフローフィルタ(例えば、中空繊維膜フィルタ)を含み、ここで、(保持液を形成する)浮遊性粒子のセットが、フィルタ要素(例えば、カラム、繊維、開口を有するプレート、メッシュなど)のセットの膜(例えば、半透膜、壁、バリア、内壁、内径、外壁、外径など)内に(例えば、浮力に基づいて、サイズに基づいて、浮力とサイズなどに基づいて)保持され、(例えば、供給チャネル/保持液のフローに対する接線方向に、各フィルタ要素の中心軸に対して非平行な方向に、各フィルタ要素の中心軸に対して垂直方向に、クロスフローなどに起因して)残りの溶液(例えば、透過液)の一部またはすべてがフィルタ要素のセットを通過する(通り抜ける)。1または複数のフィルタ膜内の(保持液を形成する)浮遊性粒子の流れ方向は、(例えば、
図7に示すように)膜を通る(透過液を形成する)残りの溶液の流れ方向に対して平行ではない(例えば、垂直であり、ほぼ垂直であり、あるいは70度~100度の角度をなす)。フィルタ140の好ましい態様では、例えば、フィルタ140は、供給/保持液の流れ方向(例えば、フィルタ要素の中心軸)と透過液の流れ方向との間に非ゼロ角度(例えば、90度、45度、45度~90度、45度未満、90度より大きい角度など)を有する。
【0074】
追加的または代替的には、フィルタ140は、ダイレクトフローフィルタ(例えば、メッシュフィルタ、フレットフィルタ、
図8に示すようなフィルタなど)を含むことができ、フィルタの入口は、フィルタ要素内の流れ方向(例えば、中心軸の方向)に対して垂直に配置されている。
【0075】
フィルタ140は、任意選択的には、重力補助式フィルタ(例えば、ダイレクトフローフィルタ、フィルタを通る残りの溶液の流れ方向が重力と整列しているか、または少なくとも部分的に整列しているフィルタなど)であってもよいが、追加的または代替的には、ポンプ(例えば、第1のポンプ132)、吸引機構(例えば、磁性粒子を引き寄せるためにフィルタ要素の下流側に配置された磁石など)によって補助されるか、補助なしであるか、かつ/または他の方法で補助されるものであってもよい。
【0076】
第1の態様(例えば、
図7)では、フィルタ140は、重力に対して垂直な配列に(例えば、重力方向に沿って)または部分的に垂直な配列(例えば、ほぼ垂直、あるいは非水平など)に配置されたタンジェンシャルフローフィルタであり、フィルタ140の供給入口は、フィルタ140の保持液出口と平行であり、浮遊性粒子のセットは、各中空繊維の中心軸と整列した方向に沿って、供給入口から中空繊維フィルタ要素のセット内の保持液出口へと移動する。フィルタ140の透過液出口は、供給入口および保持液出口の両方に対して垂直に配置されており、透過液(例えば、残りの溶液)は、各フィルタ要素の半透膜を通って(例えば、クロスフローを介して)出て、フィルタ要素の中心軸(例えば、保持液の流れ方向、および供給の流れ方向、保持液と供給の流れ方向など)に対して垂直な流れ方向でフィルタから出て行く。
【0077】
第2の態様(例えば、
図8)では、フィルタ140は、垂直(例えば、重力方向に沿って)または部分的に垂直(例えば、ほぼ垂直、あるいは非水平など)に配置されたダイレクトフローフィルタであり、これに垂直(例えば、水平、ほぼ水平など)に配置された入口を有する。フィルタの出口は、(例えば、浮遊性粒子の浮力を利用するために、あるいはポンプ等の助けを借りて)入口に対して垂直に配置することができ、(例えば、
図8すように)入口に対して平行に配置することができ、かつ/または入口に対して任意の適切な角度で(例えば、0~90度、90度より大きい角度等)配置することができる。追加的または代替的には、フィルタ140は、フィルタサブコンポーネント間を任意の適切な角度として、任意の適切な向きに配置することができる。ダイレクトフローフィルタの態様では、保持液および透過液の流れ方向が、好ましくは平行である(例えば、
図8では、保持液の流れ方向は、透過液の流れ方向と平行である)。代替的には、保持液および透過液の流れの方向は、互いに対して任意の適当な角度(例えば、45度、90度、160度~200度、180度未満、180度より大きい角度など)で配置することができる。具体例のセットでは、フィルタ140は、浮遊性粒子のセットが(例えば、フィルタの上面(頂部)に配置されている)フィルタの出口に向けられるように、非ゼロの傾斜角度で配置されている。
【0078】
フィルタ140は、好ましくは、反応容器110の下流側に配置され、さらに好ましくは、第1のポンプ132の下流側であって、反応容器110の入口の上流側に配置されており、その結果、フィルタ140は、(例えば、粒子処理プロセスの後に)反応容器110の内容物を受け入れ、その内容物が、任意選択的には、ポンプ132を介して(例えば、一連の流体経路を介して)フィルタの入口に導かれる。追加的または代替的には、フィルタ140は、システム100の他のコンポーネントに対して任意の適切な方法で配置することができる。
【0079】
フィルタの各フィルタ要素(例えば、チャネル、中空繊維、チューブ、シリンダ、ダイレクトフローフィルタの開口、ダイレクトフローフィルタの細孔、ダイレクトフローフィルタのフリットなど)は、好ましくは、(例えば、横方向の流れフィルタにおいて)各浮遊性粒子の直径よりも大きい特徴的な直径(例えば、内径、外径、中空繊維の内径など)を有する断面を備え、特徴的な直径は、浮遊性粒子がフィルタ要素に入る(例えば、中空繊維の長さに沿って移動し、開口を通過し、フィルタ要素の内腔等に入る)ことができる粒子のサイズ範囲の上限を規定する。各フィルタ要素の特徴的な直径は、さらに好ましくは、浮遊性粒子から分離される周囲の物質(例えば、処理物質、デブリなど)よりも大きく、その結果、周囲の物質もフィルタ要素に入ることができる。追加的または代替的には、フィルタ要素の何れかまたはすべては、浮遊性粒子の少なくとも一部のセットよりも小さい特徴的な直径(例えば、ダイレクトフローフィルタ等において、浮遊性粒子をサイズ別にフィルタリングするため)、可変直径(例えば、フィルタ要素間の直径の範囲)、および/または他の任意の適当な寸法を有することができる。フィルタ要素は、好ましくは同一である(例えば、同一の直径を有する、同一の寸法を有する)が、追加的または代替的には、変化する(例えば、浮遊性粒子から分離される周囲の物質がサイズ別に選別されるように、上流から下流に向けてフィルタ要素の直径が増加する)ようにしてもよい。
【0080】
いくつかの態様では(例えば、各浮遊性粒子がマイクロバブルである場合)、各フィルタ要素(例えば、中空繊維フィルタの各中空繊維)の特徴的な直径は、10ミクロンよりも大きく、10,000ミクロン未満である(例えば、100~1000ミクロン、30ミクロンよりも大きい、100ミクロン未満、100ミクロンよりも大きい等である)。追加的または代替的には、フィルタ要素は、様々な直径(例えば、それぞれが10ミクロンより大きい、それぞれが100ミクロン~1000ミクロン、それぞれが10ミクロン~30ミクロンなど)、または他の任意の適切な1または複数の直径を有することができる。
【0081】
各フィルタ要素は、さらに好ましくは、(例えば、タンジェンシャルフローフィルタの場合には)膜細孔のセットを有する半透膜を含み、かつ/または規定し、それは、フィルタ要素の膜内に残る浮遊性粒子から1または複数の周囲の物質を(例えば、クロスフローを介して)分離(濾過)するように機能する。膜細孔のセットのそれぞれの直径は、好ましくは、浮遊性粒子の直径よりも小さく、残りの溶液(透過液)中の成分の何れかまたはすべての直径よりも大きい。膜細孔は、フィルタ要素の中心軸に対して非平行(例えば、垂直、ほぼ垂直、80度~100度の角度など)に配置された中心軸を規定する(例えば、特徴的な直径、中空繊維の内径などを規定する)。このため、膜細孔は、周囲の物質(例えば、周囲の物質のすべて、周囲の物質の一部など)が半透膜を介して(例えば、クロスフローを介して)フィルタ要素から出ることを可能にしながら、浮遊性粒子が半透膜を介して出るのを防ぐように機能する。
【0082】
いくつかの態様では、膜細孔の部分的なセットの少なくともそれぞれの直径は、10ミクロン未満(例えば、0.2ミクロン、0.5ミクロン、0.1ミクロン~1ミクロン、1ミクロンより大きいなど)であるが、追加的または代替的に、30ミクロン未満、10ミクロンより大きい、10ミクロン~100ミクロン、または他の任意の適切な直径を有することができる。
【0083】
フィルタ要素によって又はフィルタ要素内で収集される物質の流れの方向において測定されるフィルタの長さ(例えば、各中空繊維モジュールの長さ)は、任意の適切な値(例えば、12インチより大きい、12インチ未満、4インチ~18インチ、10インチ~30インチ、30インチより大きい、60インチ未満など)を有することができる。フィルタ内のフィルタ要素(例えば、中空繊維、細孔など)の数は、好ましくは、浮遊性粒子の大規模な処理を可能にする(例えば、予め設定された流量を可能にする、予め設定された反応容器の容積を可能にする、予め設定された総処理時間を可能にする)ように構成されているが、追加的または代替的に構成することができる。
【0084】
フィルタ要素(例えば、中空繊維)のセットについては、隣接するフィルタ要素の間に非ゼロの間隔を設けることができ、隣接するフィルタ要素の部分的な長さに沿って接触させることができ、隣接するフィルタ要素の全長に沿って接触させることができ、または別の方法で配置することができる。
【0085】
フィルタは、さらに、フィルタ内の圧力を調整するポートなどの1または複数のポートを含むことができ、それらポートは、溶液がフィルタを通って流れるのを維持し、浮遊性粒子(例えば、保持液)のセットがフィルタから出る(かつ、例えば反応容器に再び入る)のを補助および/または可能にし、周囲の物質(例えば、透過液)がフィルタ要素を通過する(例えば、中空繊維モジュールの長さを横断する)のを補助および/または可能にし、フィルタの詰まりを取り除き、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる:
【0086】
フィルタ要素は、好ましくは、周囲の物質がフィルタ要素から出る膜細孔を規定する1または複数のプラスチック材料を半透膜中に含む。追加的または代替的には、フィルタ要素は、ポリマー、ガラス、木材、金属、天然繊維、合成繊維、布、セラミックおよび/または他の任意の適切な1または複数の材料のうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0087】
一態様では、フィルタ140が中空繊維タンジェンシャルフィルタを含み、この中空繊維フィルタは、中空繊維の束(例えば、密接に詰められ、隣接する中空繊維間に無視できるほどの隙間しかないものなど)を含む。中空繊維フィルタは、(例えば、粒子処理プロセスの後、洗浄ステップの後などに)周囲の溶液とともに浮遊性粒子のセットを(例えば、第1のポンプ132を通過させた後に)反応容器110から受け入れ、浮遊性粒子のセット(例えば、保持液)を周囲の溶液(例えば、洗浄緩衝液およびデブリ)から分離し、保持液を形成する浮遊性粒子のセットは、(例えば、中空繊維の中心軸と平行な方向に)中空繊維を通って流れて、出口から出る(かつ、例えば反応容器110に、あるいは別の容器に戻る)一方で、透過液を形成する周囲の溶液は、保持液の流れ方向に対して垂直なクロスフロー方向に(例えば、半透膜の)繊維膜細孔のセットを通って中空繊維から出る。その後、透過液は、任意選択的には、廃棄物チャンバで収集することができる。
【0088】
3.5 システム:経路150のセット
システム100は、浮遊性粒子のセット(例えば、および周囲の溶液)をシステム100全体に搬送するように構成された経路150のセットを含み、この経路のセットは、任意の数のチューブ(例えば、可撓性チューブ)、チャネル、導管、カラム、および/または他の適切な経路を含むことができる。経路150のセットは、さらに好ましくは、(例えば、閉鎖システムを作成するために)システムの複数のコンポーネントを互いに接続し、(例えば、詰まりを防止するために)システムの投入物を一貫して絶えず循環させ、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能する。
【0089】
経路150のセットは、(例えば、システムの何れかまたはすべての内部の圧力を調節するための)ポートのセット、入口のセット、出口のセット、(例えば、経路の内腔内の摩擦を減少させるための、あるいは浮遊性粒子のセットと経路の内腔との間の引力を防止するための)表面コーティングおよび/または表面修飾、および/または他の任意の適切な特徴のうちの何れかまたはすべてを含むか、かつ/または規定することができる。
【0090】
一態様では、経路150のセットは、システム100の隣接するコンポーネントを互いに接続する可撓性チューブのセットを含み、それらを介して、浮遊性粒子のセット、緩衝液、処理物質、デブリ、試薬および/または他の溶液および材料のうちの何れかまたはすべてが循環する。
【0091】
3.6 システム:追加コンポーネント
システム100は、追加的または代替的には、圧力センサ(例えば、閉鎖システム100の内部圧力を測定するための圧力センサ、流体経路内の圧力を測定するための圧力センサなど)、温度センサ(例えば、浮遊性粒子処理のための予め設定された温度または温度範囲を維持するための温度センサなど)、流量センサ、および/または他の任意の適切な1または複数のセンサなどのセンサのセット、制御サブシステム(例えば、処理サブシステム、プロセッサ、コントローラなど)、電源(例えば、攪拌機構に電力を供給するための電源、1または複数のポンプに電力を供給するための電源など)、および/または他の適当な1または複数のコンポーネントのうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0092】
3.7 システム:実施態様
システム100の一態様(例えば、
図9)において、システム100は、反応容器110であって、反応容器110が、浮遊性粒子(例えば、マイクロバブル)のセット、処理物質のセット(例えば、第1の層材料、第2の層材料、第3の層材料など)および任意の追加的な溶液(例えば、緩衝剤)または物質を受け入れるように機能し、浮遊性粒子のセットが反応容器内で少なくとも部分的に処理される、反応容器110と;反応容器110のキャビティ内に配置されたインペラを含む攪拌機構120と;インペラに接続された攪拌ロッドと;反応容器110の上方に配置されて攪拌ロッドを回転させるように構成された電動モータと;第1ポンプ132(例えば、クォータナリダイヤフラムポンプ)であって、第1のポンプ132は、浮遊性粒子のセット(および例えば反応容器110の他の内容物)をタンジェンシャルフローフィルタ140(例えば、中空繊維フィルタ)に搬送する(例えば、緩やかに搬送する、浮遊性粒子のセットの破壊を最小限に抑えて搬送する)ように構成され、フィルタ140は、フィルタ要素(例えば、浮遊性粒子の各々の直径よりも大きい内径と、浮遊性粒子のセットの各々の直径よりも小さいが周囲の溶液の成分の直径よりも大きい直径を有する膜細孔のセットとを備えた中空繊維)の膜細孔のセットを介して浮遊性粒子のセットを除く溶液および物質を収集して(かつ廃棄物チャンバで収集して)、フィルタの保持液出口から浮遊性粒子のセットを出す、第1のポンプと;システム100の投入物(浮遊性粒子のセット、溶液、処理物質など)を反応容器110からフィルタ140へ、そして(例えば、すべての処理プロセスが完了した後に)反応容器110または最終回収容器へ戻すように循環させる流体経路150のセットとを含む。システム100は、追加的に、1または複数の投入物(例えば、洗浄緩衝液)を反応容器110に加えるように構成された第1のポンプ130(例えば、蠕動ポンプ)と;圧力センサ(例えば、1または複数の流体経路内の圧力を監視するための圧力センサ、フィルタ内の圧力を監視するための圧力センサ、反応容器110内の圧力を監視するための圧力センサなど)のセット;および/または他の任意の適切なコンポーネントのうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0093】
4.方法200
浮遊性粒子を処理する方法200は、浮遊性粒子のセットに1または複数の表面修飾を適用するように機能する。追加的または代替的には、この方法200は、浮遊性粒子のセットを洗浄し、(例えば、破壊された粒子片、デブリ、異なるサイズを有する粒子などから)浮遊性粒子のセットを濾過し、粒子のセットの破壊を防止し、ユーザの介入を最小限にしてかつ/または介入無しで閉鎖システムを作動させ、かつ/または他の任意の適切な機能を実行するように機能することができる。
【0094】
本方法200は、好ましくは、上述したシステム100を用いて実行されるが、追加的または代替的には、任意の適切なシステムを用いて実行することができる。
【0095】
4.1 方法:浮遊性粒子のセットの前処理(S210)
本方法200は、任意選択的には、(例えば、第1の層の適用前に)浮遊性粒子のセットを前処理するステップS210を含むことができ、このステップは、本方法200の後続のプロセス(例えば、第1の層の適用)の何れかまたはすべてのために浮遊性粒子のセットを準備する(S210)ように機能する。S210は、表面層(例えば、保護表面層、浸出を防止するための保護シェル、付着促進表面層など)の適用、浮遊性粒子の表面改質(例えば、エッチング、表面粗さの増加など)、または他の任意の好適なプロセスのうちの何れかまたはすべてを含むことができる。
【0096】
S210は、好ましくは、本方法200において最初に実行されるが、追加的または代替的には、本方法200全体で複数回実行されるようにしてもよく、方法200において後(例えば、洗浄後、濾過後、サイズのためのフィルタリング後など)に実行されるようにしてもよく、全く実行されなくてもよく、あるいは他の任意の適切な1または複数の時間で実行されるようにしてもよい。
【0097】
S210は、システム100内(例えば、反応容器110内)、システム100外(例えば、マイクロバブル製造施設、実験台など)、または他の任意の適切な場所で実施することができる。
【0098】
一態様では、本方法200がS210を含み、このS210が、第1の層を適用する前(例えば、S220よりも前、S230よりも前、S240よりも前など)に実行される。特定の例では、S210は、浮遊性粒子のセットを溶媒でインキュベートすることにより、浮遊性粒子のセットの表面(例えば、未加工のガラス表面)にアミノシラン基を添加することを含み、この場合、浮遊性粒子のセットが、システム(例えば、システム100)に導入される前に乾燥される。
【0099】
4.2 方法:投入物のセットを反応容器に投入(S220)
本方法200は、任意選択的には、本方法200の1または複数の将来のプロセスを開始するように機能する、反応容器S220への投入物のセットを加えるステップを含むことができる。
【0100】
投入物のセットは、好ましくは、浮遊性粒子のセットと、浮遊性粒子のセットを処理、維持および/または洗浄するために必要な他の任意の投入物とを含み、それには、緩衝液(例えば、保存緩衝液、洗浄緩衝液など)、処理物質(例えば、第1の層材料、第2の層材料、第3の層材料、第3の層材料など)、他の流体および/または溶液(例えば、浮遊性粒子のセットと処理物質との間の反応を可能にするために必要なもの、水、溶媒、試薬など)、および/または他の任意の適当な溶液および物質のうちの何れかまたはすべてが含まれる。
【0101】
投入物のセットは、ユーザ(例えば、ユーザによって、ユーザが投入物のセットを反応容器にピペットで移すことによって、ユーザが投入物のセットを反応容器に注ぐこと等によって)、システム100のコンポーネント(例えば、ポンプと流体経路を介した容器、流体経路、フィルタなど)および/または他の任意の適切な供給源のうちの何れかまたはすべてを介しておよび/またはそれらから、反応容器内に加えることができる。投入物のセットは、手動で、自動的に、またはその両方の任意の組合せで、反応容器に加えることができる。投入物のセットは、反応容器に別々に(例えば、複数回、所定時間に1回、第2の層材料は浮遊性粒子のセットがフィルタから反応容器に再流入した後に追加される、第3の層材料は浮遊性粒子のセットがフィルタから再流入した後に第2の時間に追加されるなど)、同時に、またはその両方の任意の組合せで加えることができる。
【0102】
処理物質のセットを反応容器に加えることは、1または複数の層(例えば、第1の層、第2の層、第3の層など)に対応する材料を反応容器に加えることを含むことができる。好ましくは、それら材料は、一度に一層ずつ加えられ(例えば、第1の時間に第1の層処理物質が加えられ、第1の層が形成された後の第2の時間に第2の層処理物質が加えられ)、これは、浮遊性粒子のセットへの順序付けられた連続的な積層を促進するように機能することができ、それにより、非特異的な結合を防止するように機能することができる。投入物は、好ましくは、1または複数の入口ポートを介して反応容器に加えられるが、追加的または代替的には、任意の適切な方法で加えることができる。
【0103】
S220は、任意選択的には、その後に待ち時間を設けることができ、それにより、処理物質が浮遊性粒子を完全にかつ均一に被覆することが可能になる。待ち時間は、好ましくは、反応容器の内容物が攪拌されている間に発生するが、追加的または代替的には、攪拌していないときに、加熱中に、冷却中に、かつ/または他の任意の環境下で生じる。いくつかの態様では、例えば、浮遊性粒子の処理(例えば、単層の追加)が(例えば、攪拌しながら)1時間行われる。
【0104】
S220は、本方法200の全体を通して、1回(例えば、第2の層のみ、第3の層のみなど)または複数回(例えば、第2の層に続いて第3の層、第1の層に続いて第2の層、第1の層に続いて第2の層、それに続いて第3の層など)実行することができる。
【0105】
一態様において、S220は、第1の時間に、処理物質(例えば、および任意の付随する溶液)の第1のセットとともに浮遊性粒子のセットを反応容器110に加えるステップと、第2の時間に、第1の層を有するフィルタリングされた浮遊性粒子のセットを(例えば、フィルタを介して)反応容器に加え、処理物質の第2のセットを(例えば、ユーザが手動で)反応容器に加えるステップと、第3の時間に、第1の層および第2の層を有する浮遊性粒子のフィルタリングされたセットおよび処理物質の第3のセットを反応容器に加えるステップとを含む。
【0106】
4.3 方法:反応容器の内容物の攪拌(S230)
本方法は、反応容器の内容物(例えば、投入物)を(例えば、攪拌機構120で)攪拌するステップS230を含み、この攪拌は、浮遊性粒子のセットを完全に懸濁させ、処理物質による浮遊性粒子の均一なコーティングを促進するように機能する。S230は、好ましくは、本方法200の後続のプロセス全体で(例えば、連続的に)実行されるが、追加的または代替的には、本方法200の全体を通して(例えば、前処理中に)、間欠的に(例えば、予め設定された時間に、ランダムな時間に、反応容器内の非ゼロの容積を検出したときなどに)、または任意の適切な1または複数の時間に実行することができる。
【0107】
S230は、好ましくは、攪拌パラメータのセット(例えば、回転速度、回転加速度など)に従って実行され、それら攪拌パラメータのセットは、浮遊性粒子のセットの各々の一定の運動、予め設定された閾値以上の浮遊性粒子間の間隔(例えば、0.1ミクロンより大きい、0.5ミクロンより大きい、5ミクロンより大きい、10ミクロンより大きいなど)、浮遊性粒子の分布(例えば、均一な分布、やや不均一な分布、反応容器内の容積の表面より下の浮遊性粒子の存在、反応容器内の容積の中間高さより下の浮遊性粒子の存在など)、浮遊性粒子のセットの各々の均一なコーティング(例えば、浮遊性粒子の75%~100%が適切にコーティングされている、浮遊性粒子の50%以上が適切にコーティングされているなど)うちの何れかまたはすべてを維持および/または可能にするように構成され、かつ/または他の方法で構成されている。1または複数の攪拌パラメータは、追加的または代替的には、反応容器内の処理物質の特定のセット、時間(例えば、浮遊性粒子がシステムを循環するのに必要な時間など)、ポンプパラメータ、反応容器の高さおよび/または他の任意の適切なパラメータのうちの何れかまたはすべてに基づいて決定することができる。
【0108】
一態様では、反応容器の内容物は、攪拌機構によって本方法全体にわたって絶えず攪拌され、攪拌機構が400~500rpmの速度で回転する。追加的または代替的には、攪拌機構は、400rpm未満の速度、500rpmを超える速度、および/または他の任意の適切な回転速度で回転することができる。
【0109】
4.4 方法:浮遊性粒子のセットの洗浄(S240)
本方法200は、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップS240を含むことができ、このステップは、追加的な処理(例えば、後続の層の追加、後続の処理、後続のテストなど)のために浮遊性粒子のセットを準備するように機能する。
【0110】
S240は、好ましくはS230の後(例えば、S230の待ち時間の後)に、さらに好ましくはS230の各反復の後に実行されるが、追加的または代替的には、S250の後、S230の前、かつ/または本方法200の間の他の任意の適切な1または複数の時間に実行することができる。
【0111】
S240は、好ましくは、ポンプ(例えば、第2のポンプ134)に基づいて実行され、このポンプは、洗浄緩衝液容器から反応容器のキャビティに洗浄緩衝液を移送するように機能するが、追加的または代替的には、ポンプがない場合に、(例えば、システム100の)別のコンポーネントを用いて、手動で、または別の方法で実行することができる。
【0112】
洗浄緩衝液は、好ましくはリン酸塩および塩化ナトリウムを含むが、追加的または代替的には、任意の適切な溶媒、試薬、溶液、洗浄剤または他の適切な成分を含むことができる。
【0113】
一態様では、S240は、層のセットの各々が浮遊性粒子に加えられた後(かつ、例えばフィルタに入る前)に、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップを含む。
【0114】
4.5 方法:反応容器の内容物の濾過(S250)
本方法は、反応容器S250の内容物を濾過するステップを含み、このステップは、反応容器の残りの内容物(例えば、洗浄緩衝液、処理物質など)から浮遊性粒子のセットを分離するように機能する。残りの内容物は、例えば、残りの処理物質(例えば、未付着の、余分な処理物質など)、例えば、残りの第1の層要素、残りの第2の層要素(例えば、リンカー)、残りの第3の層要素、他の任意の適切な層要素、洗浄緩衝液、他の緩衝液、溶媒、デブリ(例えば、壊れた浮遊性粒子からの破片)、および/または他の任意の物質のうちの何れかまたはすべてを含むことができる。S250は、好ましくは、本方法全体を通して複数回(例えば、一連の処理プロセスのそれぞれの後に)実行されるが、代替的には、1回実行することができる。S250は、フィルタ要素のセットの各々の上に配置された廃棄物チャンバ内などの出口(例えば、透過液出口)からの廃棄物を収集するステップをさらに含むことができる。
【0115】
一態様では、S250は、(例えば、S240の後、S240の前、S240が無い場合などに)反応容器の内容物をタンジェンシャルフローフィルタに通すステップを含む。特定の例では、反応容器の内容物は、第1のポンプ132を介してフィルタに送られる。
【0116】
4.6 方法:前のプロセスの何れかまたはすべての繰り返し
本方法は、上述したプロセスの何れかまたはすべてを繰り返すステップを含むことができる。一態様では、本方法200は、浮遊性粒子のセットに加えられる層および/または他の表面修飾のセットの各々について、S220~S250を繰り返すステップを含む。
【0117】
4.7 方法:実施態様
一態様において、本方法200は、浮遊性粒子のセットを前処理するステップ(例えば、浮遊性粒子のセットにアミノシラン層を加え、浮遊性粒子を乾燥させるステップ)と、前処理された浮遊性粒子のセットを第1の層に関連する処理物質とともに反応容器に加えるステップと、反応容器の内容物を予め設定された待機期間攪拌するステップと、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップと、浮遊性粒子のセットを反応容器の残りの内容物から濾過するステップと、第1の層を有する浮遊性粒子のセットを反応容器に戻すステップと、第2の層に関連する処理物質のセットを反応容器に加えるステップと、反応容器の内容物を第2の予め設定された待機期間(例えば、第1の待機期間と同じ期間、第1の待機期間と異なる期間など)攪拌するステップと、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップと、反応容器の残りの内容物から浮遊性粒子のセットを濾過するステップと、第1の層および第2の層を有する浮遊性粒子のセットを反応容器に戻すステップと、第3の層に関連する処理物質のセットを反応容器に加えるステップと、反応容器の内容物を予め設定された待機期間(例えば、第1の待機期間と同じ期間、第1の待機期間と異なる期間、第2の待機期間と同じ期間、第2の待機期間と異なる期間など)攪拌するステップと、浮遊性粒子のセットを洗浄するステップと、反応容器の残りの内容物から浮遊性粒子のセットを濾過するステップと、第1、第2および第3の層を有する浮遊性粒子のセットを(例えば、容器で)回収するステップとを含む。
【0118】
追加的または代替的には、本方法200は、任意の適切な順序で実行される他の任意の適切なプロセスを含むことができる。
【0119】
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの実施態様に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、ステップまたはコードの一部を示し、指定された1または複数の論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替的な実施形態では、ブロックに記載の機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行され得るか、あるいはそれらブロックは、関連する機能に応じて時に逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実装され得ることにも留意されたい。
【0120】
好ましい実施形態の方法100および/またはシステム200は、コンピュータ可読命令を記憶するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成された装置として、少なくとも部分的に具現化および/または実施することができる。命令は、好ましくはシステムおよびプロセッサおよび/または分析エンジンの1または複数の部分に統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されることが好ましい。コンピュータ可読媒体は、クラウド、および/またはRAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブまたは任意の適切なデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。コンピュータ実行可能なコンポーネントは、好ましくは、汎用またはアプリケーション固有のプロセッサであるが、任意の適切な専用ハードウェアデバイスまたはハードウェア/ファームウェアの組合せデバイスが、追加的または代替的に命令を実行することができる。
【0121】
簡潔化のために省略したが、好ましい実施形態は、様々なシステムおよび/または方法の要素のあらゆる組合せおよび順序を含む。
【0122】
当業者であれば、前述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から認識されるように、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加えることができる。