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特許7189323原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタの変更の認識
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタの変更の認識
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20221206BHJP
   F01N 3/021 20060101ALI20221206BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F01N3/18 C
F01N3/021
F02D45/00 345
F02D45/00 360A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021506954
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 DE2019100676
(87)【国際公開番号】W WO2020030216
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】102018213469.3
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】カーリンスキー・ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】オーバーロイトマイアー・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー・マリウス
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0084137(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第3034808(FR,A1)
【文献】特開平06-323127(JP,A)
【文献】特表平09-506947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/021~ 3/38
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する診断システムであって、
-粒子フィルタ(OPF)は、少なくとも1つの第1のフィルタユニット(OPF1)と、少なくとも1つの第2のフィルタユニット(OPF2)とを含んでおり、当該第1及び第2のフィルタユニットは、排ガス系において互いに並列に配置されており、
-診断システムは、評価ユニット(AE)と、少なくとも1つの第1の温度センサ(T2)と、少なくとも1つの第2の温度センサ(T2’)とを含んでおり、第1の温度センサ(T2)は排ガス流下流において第1のフィルタユニット(OPF1)の後方に配置されており、第2の温度センサ(T2’)は排ガス流下流において第2のフィルタユニット(OPF2)の後方に配置されており、
-評価ユニット(AE)は、
-第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度を第1の温度センサ(T2)から受け取るとともに、第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度を第2の温度センサ(T2’)から受け取るように、
-温度を互いに比較し、又は当該温度からそれぞれ導出される温度勾配を互いに比較するように、
-比較に依存して粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする診断システム。
【請求項2】
評価ユニット(AE)が、
-受け取られる温度間の温度差を特定するように、及び
-温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、評価ユニット(AE)が、
全ての温度センサのうち最高の排ガス温度を測定する温度センサが、受け取られる温度の比較によって確かめられるように、及び
-排ガス系において、排ガス流上流で、確かめられた温度センサの前方に位置するフィルタユニットの変更を確認するように
設置されていることを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
評価ユニット(AE)が、
-所定の温度勾配間の勾配差を特定するように、及び
-勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項5】
勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、評価ユニット(AE)が、
全ての温度センサのうち排ガス温度の最大の温度勾配を特定する温度センサを特定された温度勾配の比較によって確かめるように、及び
-排ガス系において、排ガス流上流で、確かめられた温度センサの前方に位置するフィルタユニットの変更を確認するように
設置されていることを特徴とする請求項4に記載の診断システム。
【請求項6】
評価ユニット(AE)が、
-排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)の前方の排ガス圧力について特徴的な第1の圧力を、排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)の前方に位置しつつ診断システムに含まれる第1の圧力センサ(P)から受け取るか、又はモデルを用いて特定するように、
-排ガス流下流で粒子フィルタ(OPF)の後方の排ガス圧力について特徴的な第2の圧力を、排ガス流下流で粒子フィルタ(OPF)の後方に位置しつつ診断システムに含まれる第2の圧力センサから受け取るか、又はモデルを用いて特定するように、
-受け取られた第1の圧力と第2の圧力の間の偏差又は特定された第1の圧力と第2の力の間の偏差を確認するように、及び
-受け取られるか、又は特定される第1の圧力と第2の力の間の偏差についての閾値に到達するとき、又はこれを下回るときに、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項7】
原動機付き車両の排ガス系における粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する評価ユニット(AE)であって、評価ユニットが、
-排ガス系において互いに並列に配置され、排ガス系においてそれぞれ排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)のそれぞれ1つのフィルタユニット(OPF1,OPF2)の後方に配置される、少なくとも2つの温度センサ(T2,T2’)によって、排ガス温度について特徴的なそれぞれ1つの温度を受け取るように、
-受け取られる温度の間の偏差又は温度から特定される温度勾配の間の偏差を確認するように、及び
-偏差が確認される場合に、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする評価ユニット。
【請求項8】
原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する診断方法であって、粒子フィルタ(OPF)は少なくとも1つの第1のフィルタユニット(OPF1)と、少なくとも1つの第2のフィルタユニット(OPF2)とを含んでおり、これらフィルタユニットは、排ガス系において互いに並列に設けられており、診断方法は、以下のステップ:
-排ガス流下流で第1のフィルタユニット(OPF1)の後方の第1の排ガス温度を特徴付ける第1の温度を受け取るステップ(100)と、
-排ガス流下流で第2のフィルタユニット(OPF2)の後方の第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度を受け取るステップ(110)と、
-温度を互いに比較し、又は当該温度からそれぞれ導出される温度勾配を互いに比較するステップ(120)と、
-比較に依存して粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するステップ(130)と
を含むことを特徴とする診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタの変更を認識する診断システム、評価ユニット及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタの識別を排ガス圧力又は排ガス温度の評価によって行う方法が知られている。ここで、粒子フィルタの前方における排ガス圧力又は排ガス温度が測定又はモデル化される。加えて、粒子フィルタの後方における排ガス圧力又は排ガス温度が測定又はモデル化される。このとき、圧力差あるいは温度差の評価によって、粒子フィルタの変更が確認される。
【0003】
センサを用いて測定された値をもって機能する公知の方法における欠点は、このとき、粒子フィルタの前方にセンサが配置される必要があり、これは、例えば構造空間の不足により、場合によっては不可能であることである。
【0004】
モデル化された値をもって機能する公知の方法における欠点は、粒子フィルタの全ての関連する変更を確認することが可能であるようにモデルが実状を十分正確に反映していないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述の欠点を少なくとも部分的に除去する、粒子フィルタの変更を認識する診断システム、評価ユニット及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該課題は、従属請求項の特徴によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。独立請求項に従属する請求項の追加的な特徴は、独立請求項の特徴なしに、又は独立請求項の特徴の一部との組合せにおいてのみでも、固有の、及び独立請求項の全ての特徴の組合せから独立した発明を形成することができ、当該発明は、独立請求項、分割出願又は後出願の対象に対して行われ得ることを指摘しておく。このことは、独立請求項の特徴のうち1つから独立した発明を形成し得る、明細書に記載された技術的な示唆についても同様に当てはまる。
【0007】
本発明の第1の態様は、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタ、例えばオットー(火花点火、ガソリン)粒子フィルタ又はディーゼル粒子フィルタに関するものである。
【0008】
粒子フィルタの変更は、特に、粒子フィルタ若しくは粒子フィルタに含まれるフィルタ基層の完全取外し又は部分取外しであり得る。
【0009】
ここで、粒子フィルタは、少なくとも1つの第1のフィルタユニットと、少なくとも1つの第2のフィルタユニットとを含んでおり、当該第1及び第2のフィルタユニットは、排ガス系において互いに平行(並列)に配置されている。
【0010】
したがって、特に、粒子フィルタは、少なくとも2つの独立した粒子フィルタを含む実際の、又は仮想の粒子フィルタシステムである。
【0011】
これに代えて、粒子フィルタは、特に互いに独立した2つのフィルタユニットを含む粒子フィルタである。
【0012】
フィルタユニットは、特に二経路の排ガス系において平行(並列)に配置されることが可能である。
【0013】
診断システムは、評価ユニットと、少なくとも1つの温度センサと、少なくとも1つの第2の温度センサとを含んでいる。第1の温度センサは排ガス流下流で第1のフィルタユニットの後方に配置されており、第2の温度センサは排ガス流下流で第2のフィルタユニットの後方に配置されている。
【0014】
例えば制御装置に含まれる評価ユニットは、第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を第1の温度センサから受け取り、第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を第2の温度センサから受け取るように設置されている。
【0015】
温度量は、例えば絶対的な温度表示であり得る。
【0016】
そのほか、評価ユニットは、温度量又はこれらからそれぞれ導出される比較量を互いに比較し、当該比較に依存して粒子フィルタの変更を確認するように設置されている。
【0017】
このとき、比較は、比較された値が本質的に同一であるかどうかの確認である。加えて、例えば、比較される値が本質的に同一でないことが確認される場合には、比較される値の間の差異を特定することが可能である。
【0018】
このとき、本発明は、両フィルタユニットが変更されていない場合には、排ガス温度及び排ガス温度の変化が排ガス流下流でフィルタユニットの方向において本質的に同一であるという認識に基づくものである。フィルタユニットは熱を受けるため、フィルタユニットは、場合によっては、排ガス温度についてのヒートシンクとして、あるいは排ガス温度の変化についてのフィルタとして作用する。したがて、フィルタユニットが変更され、例えば取り外された場合には、排ガス温度間にも、また排ガス温度の変化間にも差が生じる。
【0019】
有利な一実施形態では、評価ユニットが、受け取られる温度量間の温度差を特定するように、及び温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタの変更、すなわちフィルタユニットの部分取外しを確認するように設置されている。
【0020】
有利な別の一実施形態では、評価ユニットは、温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、自身の温度量がそれぞれ他の温度センサの温度量に比して最高の排ガス温度について特徴的である温度センサが、受け取られる温度量の比較によって確かめられるように設置されている。
【0021】
さらに、評価ユニットは、排ガス系において、排ガス流上流で確かめられた温度センサの前方に位置するフィルタユニットの変更、すなわちフィルタユニットの取外しを確認するように設置されている。
【0022】
ここで、本発明は、フィルタユニットがヒートシンクとして作用し、したがって排ガスを冷却し得るという認識に基づいている。
【0023】
有利な別の一実施形態では、第1の比較量は第1の温度量の温度勾配であり、第2の比較量は第2の温度量の温度勾配である。
【0024】
このとき、評価ユニットは、特定される温度勾配間の勾配差を特定するように、及び勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタの変更を確認するように設置されている。
【0025】
有利な別の一実施形態では、評価ユニットは、勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、自身の温度勾配がそれぞれ他の温度センサの温度勾配に比して排ガス温度の最大の変化について特徴的である温度センサが、特定される温度勾配の比較によって確かめられるように設置されている。
【0026】
さらに、評価ユニットは、排ガス系において、排ガス流上流で確かめられた温度センサの前方に位置するフィルタユニットの変更、すなわちフィルタユニットの取外しを確認するように設置されている
【0027】
ここで、本発明は、フィルタユニットが排ガス温度の変化についてのローバスフィルタとして作用することができ、したがって排ガス温度の変化を緩衝することができるという認識に基づいている。
【0028】
有利な別の一実施形態では、評価ユニットは、排ガス流上流で粒子フィルタの前方の排ガス圧力について特徴的な第1の圧力量を、排ガス流上流で粒子フィルタの前方に位置しつつ診断システムに含まれる第1の圧力センサから受け取るか、又はモデルを用いて特定するように、及び排ガス流下流で粒子フィルタの後方の排ガス圧力について特徴的な第2の圧力量を、排ガス流下流で粒子フィルタの後方に位置しつつ診断システムに含まれる第2の圧力センサから受け取るか、又はモデルを用いて特定するように設置されている。
【0029】
さらに、評価ユニットは、受け取られる圧力量とモデルを用いて特定される圧力量の偏差を確認するように、及び受け取られるか、又は特定される圧力量の偏差についての閾値に到達するとき、又はこれを下回るときに、粒子フィルタの変更、すなわち粒子フィルタの完全な取外しを確認するように設置されている。
【0030】
このとき、本発明は、温度量又は当該温度量からそれぞれ導出される比較量の上述の比較によって、個別のフィルタユニットの変更を確認することができるものの、全てのフィルタユニットの同様な変更、例えば粒子フィルタの完全取外しを確認することができないという認識に基づいている。ただし、全てのフィルタユニットの同様の変更は、粒子フィルタの前後での排ガス差圧の評価を介して確認することが可能である。このとき、圧力センサは、場合によっては、粒子フィルタにわたる差異温度の特定のための温度センサが必要であるときに、排ガス流上流で粒子フィルタの前方に配置されることができる。したがって、温度センサの配置を不可能とする厳しい、粒子フィルタの直前の構造空間状況においても、粒子フィルタに対してより大きな間隔をもって、場合によってはそれにもかかわらず圧力センサを配置することが可能である。
【0031】
本発明の第2の態様は、原動機付き車両の排ガス系における粒子フィルタを変更を認識する評価ユニットを記述するものである。
【0032】
評価ユニットは、排ガス系において互いに並列に配置され、排ガス系においてそれぞれ排ガス流上流で粒子フィルタのそれぞれ1つのフィルタユニットの後方に配置される、少なくとも2つの温度センサによって、排ガス温度について特徴的なそれぞれ1つの温度量を受け取るように設置されている。
【0033】
そのほか、評価ユニットは、受け取られる温度量の偏差又は温度量から特定される比較量における偏差を確認するように、及び偏差が確認される場合に、粒子フィルタの変更を確認するように設置されている。
【0034】
本発明の第3の態様は、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタの変更を認識する診断方法を記述するものであり、粒子フィルタは、少なくとも1つの第1のフィルタユニットと、少なくとも1つの第2のフィルタユニットとを含んでおり、これらフィルタユニットは、排ガス系において互いに平行(並列)に設けられている。
【0035】
当該方法の1つのステップは、排ガス流下流で第1のフィルタユニットの後方の第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を受け取るステップである。
【0036】
当該方法の別の1つのステップは、排ガス流下流で第2のフィルタユニットの後方の第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を受け取るステップである。
【0037】
当該方法の別の1つのステップは、温度量又は当該温度量からそれぞれ導出される比較量を互いに比較するステップである。
【0038】
当該方法の別の1つのステップは、比較に依存して粒子フィルタの変更を確認するステップである。
【0039】
本発明の第1の態様の本発明による診断システムについての上述の形態は、相応する態様で、本発明の第2の態様の本発明による評価ユニット及び本発明の第3の態様の本発明による診断方法についても当てはまる。 ここでは、及び各請求項では明確に記述されていない本発明による評価ユニット及び本発明による診断方法の有利は実施例は、上述の、又は各請求項に記載された本発明による診断システムの有利な実施例に対応する。
【0040】
以下に、本発明を、添付の図面を参照しつつ実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】粒子フィルタの変更を認識する従来のシステムを示す図である。
図2】粒子フィルタの変更を認識する本発明によるシステムを示す図である。
図3】本発明による方法の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、粒子フィルタの変更を認識する従来のシステムが示されている。
【0043】
ここで、粒子フィルタOPFは、排ガス系において、排ガス流下流で内燃エンジンVMの後方に配置されている。
【0044】
従来のシステムは、評価ユニットAEと、第1の温度センサT1と、第2の温度センサT2とを含んでおり、第1の温度センサT1は排ガス流上流において粒子フィルタOPFの前方に配置されており、第2の温度センサT2は排ガス流下流において粒子フィルタOPFの後方に配置されている。
【0045】
評価ユニットAEは、第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を第1の温度センサT1から受け取り、第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を第2の温度センサT2から受け取り、これら温度量又はこれらから導出される比較量を互いに比較し、当該比較に依存して粒子フィルタOPFの変更を確認するように設置されている。
【0046】
ここで、特に、温度量が本質的に同一であれば、粒子フィルタOPFの変更が確認される。
【0047】
図2には、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタOPFの変更を認識する本発明による診断システムが示されている。
【0048】
ここで、粒子フィルタOPFは、排ガス系において、排ガス流下流で内燃エンジンVMの後方に配置されている。
【0049】
粒子フィルタOPFは、少なくとも1つの第1のフィルタユニットOPF1と、少なくとも1つの第2のフィルタユニットOPF2とを含んでおり、当該第1及び第2のフィルタユニットは、排ガス系において互いに平行(並列)に配置されている。
【0050】
そのほか、診断システムは、評価ユニットAEと、少なくとも1つの第1の温度センサT2と、少なくとも1つの第2の温度センサT2’とを含んでおり、第1の温度センサT2は排ガス流下流において粒子フィルタOPF1の後方に配置されており、第2の温度センサT2’は排ガス流下流において粒子フィルタOPF2の後方に配置されている。
【0051】
評価ユニットAEは、第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を第1の温度センサT2から受け取り、第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を第2の温度センサT2’から受け取るように設置されている。
【0052】
さらに、評価ユニットは、これら温度量又はこれらからそれぞれ導出される比較量を互いに比較し、当該比較に依存して粒子フィルタOPFの変更を確認するように設置されている。
【0053】
図3には、原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタOPFの変更を認識する本発明による診断方法の一実施例が示されており、粒子フィルタOPFは、少なくとも1つの第1のフィルタユニットOPF1と、少なくとも1つの第2のフィルタユニットOPF2とを含んでおり、これらフィルタユニットは、排ガス系において互いに平行(並列)に設けられている。
【0054】
当該方法の1つのステップは、排ガス流下流で第1のフィルタユニットOPF1の後方の第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を受け取るステップ100である。
【0055】
当該方法の別の1つのステップは、排ガス流下流で第2のフィルタユニットOPF2の後方の第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を受け取るステップ110である。
【0056】
当該方法の別の1つのステップは、温度量又は当該温度量からそれぞれ導出される比較量を互いに比較するステップ120である。
【0057】
特に、温度量の比較として、受け取られた温度量間の温度差を特定することが可能である。
【0058】
これに代えて、特に、第1の比較量は第1の温度量の温度勾配であり、第2の比較量は第2の温度量の温度勾配であってよい。そして、比較量の比較として、例えば、所定の温度勾配間の勾配差を特定することが可能である。
【0059】
当該方法の別の1つのステップは、比較に依存して粒子フィルタOPFの変更を確認するステップ130である。
【0060】
特に、受け取られる温度量間の温度差が比較として特定される場合には、温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタOPFの変更を確認することができる。
【0061】
これに代えて、温度勾配間の勾配差が比較として特定される場合には、勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタOPFの変更を確認することができる。
【0062】
粒子フィルタOPFの変更として、特に第1のフィルタユニットOPF1の部分取外し135又は第2のフィルタユニットOPF2の部分取外しを確認することが可能である。
【0063】
特に、受け取られる温度量間の温度差が比較として特定される場合には、自身の温度量が他の温度センサT2’の温度量に比して最高の排ガス温度について特徴的である温度センサT2が、受け取られる温度量の比較によって確かめられ得る。つづいて、排ガス系において、排ガス流上流で確かめられた温度センサT2の前方に位置するフィルタユニットOPF1の変更を確認することができる。
【0064】
特に、これに代えて、勾配差が比較として特定される場合には、自身の温度勾配がそれぞれ他の温度センサT2’の温度勾配に比して排ガス温度の最大の変化について特徴的である温度センサT2が、特定される温度勾配の比較によって確かめられ得る。つづいて、排ガス系において、排ガス流上流で確かめられた温度センサT2の前方に位置するフィルタユニットOPF1の変更を確認することができる。
【0065】
これまでに粒子フィルタOPFの変更が確認されない場合には、当該方法の別の1つのステップは、排ガス流上流で粒子フィルタOPFの前方の排ガス圧力について特徴的な圧力量を、排ガス流上流で粒子フィルタOPFの前方に位置しつつ診断システムに含まれる圧力センサPから受け取るステップ140である。
【0066】
そして、当該方法の別の1つのステップは、排ガス流下流で粒子フィルタOPFの後方の排ガス圧力について特徴的な第2の圧力量をモデルを用いて特定するステップ150である。
【0067】
当該方法の別の1つのステップは、受け取られる圧力量とモデルを用いて特定される圧力量の偏差を確認するステップ160である。
【0068】
当該方法の別の1つのステップは、受け取られるか、又は特定される圧力量の偏差についての閾値に到達するとき、又はこれを下回るときに、粒子フィルタOPFの変更を確認するステップ170である。
【0069】
粒子フィルタOPFの変更として、特に粒子フィルタOPFの完全取外し175、すなわち第1のフィルタユニットOPF1及び第2のフィルタユニットOPF2の取外しを確認することができる。
【0070】
そうでない場合には、粒子フィルタOPFが変更されなかったことを確認する(180)ことも可能である。
また、本発明は、以下の態様も含み得る:
1.原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する診断システムであって、
-粒子フィルタ(OPF)は、少なくとも1つの第1のフィルタユニット(OPF1)と、少なくとも1つの第2のフィルタユニット(OPF2)とを含んでおり、当該第1及び第2のフィルタユニットは、排ガス系において互いに並列に配置されており、
-診断システムは、評価ユニット(AE)と、少なくとも1つの第1の温度センサ(T2)と、少なくとも1つの第2の温度センサ(T2’)とを含んでおり、第1の温度センサ(T2)は排ガス流下流において第1のフィルタユニット(OPF1)の後方に配置されており、第2の温度センサ(T2’)は排ガス流下流において第2のフィルタユニット(OPF2)の後方に配置されており、
-評価ユニット(AE)は、
-第1の排ガス温度について特徴的な第1の温度量を第1の温度センサ(T2)から受け取るとともに、第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を第2の温度センサ(T2’)から受け取るように、
-温度量又は当該温度量からそれぞれ導出される比較量を互いに比較するように、
-比較に依存して粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする診断システム。
2.評価ユニット(AE)が、
-受け取られる温度量間の温度差を特定するように、及び
-温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする上記1.に記載の診断システム。
3.温度差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、評価ユニット(AE)が、
-自身の温度量がそれぞれ他の温度センサ(T2’)の温度量に比して最高の排ガス温度について特徴的である温度センサ(T2)が、受け取られる温度量の比較によって確かめられるように、及び
-排ガス系において、排ガス流上流で、確かめられた温度センサ(T2)の前方に位置するフィルタユニット(OPF1)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする上記2.に記載の診断システム。
4.-第1の比較量が第1の温度量の温度勾配であり、
-第2の比較量が第2の温度量の温度勾配であり、
-評価ユニット(AE)が、
-所定の温度勾配間の勾配差を特定するように、及び
-勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする上記1.に記載の診断システム。
5.勾配差についての閾値に到達するとき、又はこれを上回るときに、評価ユニット(AE)が、
-自身の温度勾配がそれぞれ他の温度センサ(T2’)の温度勾配に比して排ガス温度の最大の変化について特徴的である温度センサ(T2)を、受け取られる温度量の比較によって確かめるように、及び
-排ガス系において、排ガス流上流で、確かめられた温度センサ(T2)の前方に位置するフィルタユニット(OPF1)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする上記4.に記載の診断システム。
6.評価ユニット(AE)が、
-排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)の前方の排ガス圧力について特徴的な第1の圧力量を、排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)の前方に位置しつつ診断システムに含まれる第1の圧力センサ(P)から受け取るか、又はモデルを用いて特定するように、
-排ガス流下流で粒子フィルタ(OPF)の後方の排ガス圧力について特徴的な第2の圧力量を、排ガス流下流で粒子フィルタ(OPF)の後方に位置しつつ診断システムに含まれる第2の圧力センサから受け取るか、又はモデルを用いて特定するように、
-受け取られた圧力量と特定された圧力量の偏差を確認するように、及び
-受け取られるか、又は特定される圧力量の偏差についての閾値に到達するとき、又はこれを下回るときに、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の診断システム。
7.原動機付き車両の排ガス系における粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する評価ユニット(AE)であって、評価ユニットが、
-排ガス系において互いに並列に配置され、排ガス系においてそれぞれ排ガス流上流で粒子フィルタ(OPF)のそれぞれ1つのフィルタユニット(OPF1,OPF2)の後方に配置される、少なくとも2つの温度センサ(T2,T2’)によって、排ガス温度について特徴的なそれぞれ1つの温度量を受け取るように、
-受け取られる温度量の偏差又は温度量から特定される比較量における偏差を確認するように、及び
-偏差が確認される場合に、粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するように
設置されていることを特徴とする評価ユニット。
8.原動機付き車両の排ガス系のための粒子フィルタ(OPF)の変更を認識する診断方法であって、粒子フィルタ(OPF)は少なくとも1つの第1のフィルタユニット(OPF1)と、少なくとも1つの第2のフィルタユニット(OPF2)とを含んでおり、これらフィルタユニットは、排ガス系において互いに並列に設けられており、診断方法は、以下のステップ:
-排ガス流下流で第1のフィルタユニット(OPF1)の後方の第1の排ガス温度を特徴付ける第1の温度量を受け取るステップ(100)と、
-排ガス流下流で第2のフィルタユニット(OPF2)の後方の第2の排ガス温度について特徴的な第2の温度量を受け取るステップ(110)と、
-温度量又は当該温度量からそれぞれ導出される比較量を互いに比較するステップ(120)と、
-比較に依存して粒子フィルタ(OPF)の変更を確認するステップ(130)と
を含むことを特徴とする診断方法。
図1
図2
図3