(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】偽造防止文書
(51)【国際特許分類】
B42D 25/346 20140101AFI20221206BHJP
B42D 25/324 20140101ALI20221206BHJP
B42D 25/435 20140101ALI20221206BHJP
B42D 25/309 20140101ALI20221206BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B42D25/346
B42D25/324
B42D25/435
B42D25/309
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2021507009
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2019068493
(87)【国際公開番号】W WO2020030372
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-02-24
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519313275
【氏名又は名称】アイエイアイ インダストリアル システムズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、ニールス ミシェル アントーン
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137169(JP,A)
【文献】特開2007-130855(JP,A)
【文献】特開2013-220583(JP,A)
【文献】特表2002-535169(JP,A)
【文献】特表2001-503687(JP,A)
【文献】国際公開第2008/035859(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/346
B42D 25/324
B42D 25/435
B42D 25/309
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、
裏面と、
明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターンを含む第一のセキュリティ特徴物と、
前記表面及び前記裏面の各々に位置する第二のセキュリティ特徴物であって、前記表面及び前記裏面の各々の前記第二のセキュリティ特徴物は、第二の画像情報を表示するパターンを含む、第二のセキュリティ特徴物と
を備える偽造防止文書であって、
前記表面及び前記裏面の各々の前記第二のセキュリティ特徴物及び前記第一の画像情報は、相互に対応し、
前記裏面の前記第二の画像情報は、前記表面の前記第二の画像情報の鏡像画像情報である、偽造防止文書。
【請求項2】
前記表面の前記第二のセキュリティ特徴物は、彫刻パターン、インクジェット印刷パターン、及びレーザ印刷パターンのうち少なくとも1つを含み、
前記裏面の前記第二のセキュリティ特徴物は、彫刻パターン、インクジェット印刷パターン、及びレーザ印刷パターンのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の偽造防止文書。
【請求項3】
前記第一の画像情報及び前記裏面の前記第二の画像情報は一致する、請求項1又は2に記載の偽造防止文書。
【請求項4】
前記表面の前記第二の画像情報は、前記裏面の前記第二の画像情報及び前記第一の画像情報と一致する、請求項1~3の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項5】
前記表面の前記第二の画像情報は、前記文書上において、前記裏面の前記第二の画像情報より大きいサイズ又は小さいサイズを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項6】
前記表面の前記第二の画像情報のパターンは、第一の印刷技術によって製作され、
前記裏面の前記第二の画像情報のパターンは、第二の印刷技術によって製作される、請求項1~5の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項7】
前記第一及び第二の印刷技術は、相互に異なり、
前記第一の印刷技術は、レーザ彫刻、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含み、
前記第二の印刷技術は、レーザ彫刻、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含む、請求項6に記載の偽造防止文書。
【請求項8】
前記穿孔パターンを形成する少なくとも幾つかの穿孔は、前記文書の厚さの一部のみにわたって延び、前記少なくとも幾つかの穿孔の各々の位置における前記文書の残りの部分の厚さは、前記第一の画像情報に従って調整される、請求項1~7の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項9】
前記穿孔パターンを形成する少なくとも幾つかの穿孔は、前記文書の主平面に対して、90°とは異なる角度で延び、
前記少なくとも幾つかの穿孔の前記角度は、前記第一の画像情報の濃淡値調整を行うべく調整される、請求項1~8の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項10】
材料が、前記第一のセキュリティ特徴物の前記穿孔パターンの少なくとも幾つかの穿孔内に配置され、
前記材料は、UV光下で光るインク及び蒸着された金属のうち少なくとも1つである、請求項1~9の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項11】
前記偽造防止文書は、異なって着色された材料層を含み、前記穿孔パターンの各穿孔について、前記穿孔の深さに応じた色が見える、請求項1~10の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項12】
前記穿孔パターンを形成する少なくとも幾つかの穿孔に関する穿孔の密度及び穿孔の直径のうち少なくとも1つは、前記第一の画像情報を生成するために調整される、請求項1~11の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項13】
前記文書は、プラスチック積層体から製造され、前記プラスチック積層体のコア層は、前記プラスチック積層体の少なくとも他の層と異なる色を有する、請求項1~12の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項14】
前記裏面の前記第二の画像情報のサイズと前記第一の画像情報のサイズとは同一である、請求項1~13の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項15】
前記第一のセキュリティ特徴物の前記穿孔パターンは、見る角度によって異なる画像を提示するように構成されている、請求項1~14の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項16】
前記穿孔パターンの少なくとも1つの穿孔の横断面は、非円形である、請求項1~15の何れか一項に記載の偽造防止文書。
【請求項17】
前記第一の印刷技術は、レーザ彫刻を含み、前記第二の印刷技術は、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含む、請求項7に記載の偽造防止文書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止文書に関する。
【背景技術】
【0002】
このような偽造防止文書は、例えば、透かし等を有する紙幣又は身分証明カードとして知られている。
さらに、既知の偽造防止文書は、パスポート又は紙幣等の文書の片面に適用されるセキュリティホログラムを含む。
【0003】
先行技術は、偽造に対する良好なセキュリティを提供するが、偽造者の技術的能力に鑑みて、新しいセキュリティ機能を開発することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、偽造及び模造に対する安全性を高めるセキュリティ機能を有し、パスポート又はチケット等の文書の複製を複雑にする偽造防止文書を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を解決するために以下の説明が使用され得る。
本発明のある態様によれば、本発明の偽造防止文書は、表面と裏面とを含む。
一般に、本発明の偽造防止文書は、バッジ、IDカード、パスポートのデータページカード或いはサッカーの試合のチケット又は運転免許証若しくは住民カード等、偽造防止機能を備えているべき他のあらゆる種類の文書であり得る。
【0006】
好ましくは、偽造防止文書は、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターンを含む第一のセキュリティ特徴物を含む。このような穿孔パターンは、好ましくは、レーザ光によって適用される。この方法には、穿孔位置で材料、例えば紙、プラスチック又は布等が完全に除去されて、例えば指先で文書を擦っても隆起部若しくは溝又はばりが感じられないという利点がある。例えば、穿孔パターンが円錐形の針等を用いた偽造によって適用された場合、椀状のエッジ又はばりが必ずでき、これは、指先で容易に感じ取られる。したがって、これは、偽造の可能性を識別するための良好な手段を提供する。
【0007】
さらに、偽造防止文書は、パターンであって、光がパターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示するパターンを含む第二のセキュリティ特徴物を含むことが好ましい。このようなセキュリティ特徴物は、例えば、レーザを用いて物体を彫刻する行為であるレーザ彫刻又はインクジェット印刷若しくはレーザ印刷によって製作できる。
【0008】
有利には、偽造防止文書上に表示される第一の画像情報及び第二の画像情報は、相互に対応する。したがって、裏面及び表面に対応する情報を適用でき、これにより例えば偽造防止文書の真偽を検証しやすくなる。これに関して、例えば、入国管理職員又はある人物にとって、このような偽造防止文書の有効性を確認することがより容易になり、同時に偽造者にとって複製がより困難である。
【0009】
さらに、表面は、第二のセキュリティ特徴物を含み、好ましくは、裏面も第二のセキュリティ特徴物を含むことが有利である。したがって、偽造防止文書は、好ましくは、表面及び裏面において見える第一のセキュリティ特徴物(穿孔パターン)並びに第二のセキュリティ特徴物を有する表面及び同じく第二の特徴物を有する裏面を含む。
【0010】
さらに、裏面の第二の画像情報は、表面の第二の画像情報のミラー画像情報及び鏡像画像情報であることが好ましい。
したがって、本発明の偽造防止文書を光にかざし、それにより例えば昼光又は光源の光が穿孔パターンを通して輝き得る場合、表面から見る人には、2つの画像及び画像情報、すなわち第一及び第二の画像情報が見える。表面では、第一及び第二の画像は、相互に対応し、例えばある人物のパスポート写真を表す。
【0011】
さらに、本発明の偽造防止文書を光にかざし、それにより例えば昼光又は光源の光が穿孔パターンを通して輝き得る場合、裏面を見る人にも同じく2つの画像及び画像情報、すなわち第一及び第二の画像情報が見える。裏面では、第一及び第二の画像情報は、同一であり、且つ例えば同じくある人物のパスポート写真を表す。
【0012】
しかしながら、表面及び裏面の第二の画像情報及び画像は、異なる。したがって、裏面の画像情報は、表面の画像情報と比較して鏡像反転される。
以上を要約すれば、偽造防止文書の裏面を見ると、第一のセキュリティ特徴物の第一の画像情報が見え、表面を見た場合も同じである。
【0013】
しかしながら、第一のセキュリティ特徴物は、その穿孔を有する偽造防止文書を部分的に且つ/又は完全に貫通することから、裏面で見える第一の画像情報は、表面で見える第一の画像情報の鏡像画像情報である。
【0014】
したがって、ある人が見ることのできる裏面上の画像情報は、すべてある人が見ることのできる表面上の鏡像画像情報である。
再び、換言すれば、裏面で見える画像情報は、すべて表面で見える画像情報の水平鏡像画像情報である。
【0015】
この特異な配置により、本発明の偽造防止文書の表面を見る人物又は入国管理職員には、例えば、偽造防止文書上又はその中の肖像としての通常のパスポート写真と、穿孔された写真としての同じパスポート写真とが同時に見える。
【0016】
また、本発明の偽造防止文書の裏面を見る人物又は入国管理職員には、例えば、偽造防止文書上又はその中の肖像としての通常のパスポート写真と、穿孔された写真としての同じパスポート写真とが同時に見える。
【0017】
しかし、裏面の2つの写真及び画像情報は、表面の写真及び画像情報と比較して鏡像反転される。
本発明を再び要約すれば、第一のセキュリティ特徴物の穿孔パターンは、偽造防止文書に一度のみ適用され、表面及び裏面上で見ることができる。この穿孔パターンは、表面及び裏面上の第二のセキュリティ特徴物のパターンにそれぞれ対応し且つマッチする。
【0018】
したがって、穿孔パターンを有し、表面及び裏面から見える第一のセキュリティ特徴物が表面及び裏面の第二のセキュリティ特徴物のパターンにそれぞれ対応し且つマッチする場合、文書(例えば、パスポート)は、真正であると考えることができる。したがって、例えば、パスポートの模造は、極めて困難である。
【0019】
第二のセキュリティ特徴物は、彫刻パターンであって、光が彫刻パターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターンを含むことがさらに好ましい。
追加的又は代替的に、第二のセキュリティ特徴物は、インクジェット印刷パターンであって、光が印刷パターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示するインクジェット印刷パターンを含むことが好ましい。
【0020】
追加的又は代替的に、第二のセキュリティ特徴物は、レーザ印刷パターンであって、光が印刷パターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示するレーザ印刷パターンを含むことも可能である。
【0021】
さらに、裏面において、第二のセキュリティ特徴物によって表される第二の画像情報は、第一のセキュリティ特徴物によって表される第一の画像情報と同一であることが有利である。したがって、情報的内容に違いがない。
【0022】
好ましくは、裏面において、対応するセキュリティ特徴物の第一及び第二の画像情報は、一致する。これにより、例えば、パスポートは、そのパスポートの写真並びに第一及び第二の画像情報が裏面で同一の画像情報を示す場合にのみ真正であるため、模造に対する安全性が向上する。
【0023】
さらなる利点として、この一致する配置は、偽造防止文書を光にかざして、第二の画像情報と整列及び整合する穿孔パターンを含む第一の画像情報をチェックすることによって容易に管理できる。
【0024】
したがって、異なる方法において、すなわち穿孔及び彫刻又はレーザ印刷若しくはインクジェット印刷によって製作され、相互に重ねられ、一致する2つの写真は、同一の写真を偽造防止文書の同じ空間及び位置に、ただし2つの異なる方法で示す。
【0025】
したがって、使用者及び人物には、一方では、彫刻又はレーザ印刷若しくはインクジェット印刷によって製作された反射された肖像と、他方では、穿孔によって製作された、光がそれを通過する肖像とが同時に見える。
【0026】
表面において、第二のセキュリティ特徴物によって表される第二の画像情報は、裏面上の第二の画像情報に対応することも可能である。したがって、偽造防止文書上に作られる画像のすべては、同じもの及び同じ情報的内容を示す。
【0027】
さらに、表面において、対応するセキュリティ特徴物の第一及び第二の画像情報は、一致することが可能である。これは、表面上の第二のセキュリティ特徴物の第二の画像情報と、第一のセキュリティ特徴物の第一の画像情報とが、整列及び整合するか、又は相互に重なり且つ一致することを意味する。
【0028】
さらに、表面の第二の画像情報は、裏面の第二の画像情報及び偽造防止文書の第一の画像情報と一致することが好ましい。
したがって、偽造防止文書の表面及び裏面で見える第一のセキュリティ特徴物は、表面及び裏面に適用される第二のセキュリティ特徴物の第二の画像情報と整合し且つ一致する。
【0029】
換言すれば、表面のパターンを有する第二の画像情報は、裏面のパターンを有する第二の画像情報と一致し、裏面の画像情報は、表面の鏡像画像情報であることが好ましい。穿孔パターンを有する第一の画像情報は、この画像情報及びパターンが表面及び裏面の第二の画像情報と一致し且つ整合するように製作されることも好ましい。
【0030】
したがって、3つの画像情報が一致し、すなわち、これらは、表面及び裏面の第二のセキュリティ特徴物の2つの画像情報並びに偽造防止文書内のパターン付きの画像情報であり、第二のセキュリティ特徴物の画像情報は、表面又は裏面でのみ見え、パターン付きの画像情報は、表面及び裏面で見える。
【0031】
さらなる利点として、表面の第二の画像情報は、文書上において、裏面の第二の画像情報より大きい又は小さいサイズを含む。したがって、画像情報は、表面において、裏面と比較して拡大でき、それにより、偽造防止文書は、例えば、偽造防止文書上に示されている人物と容易に比較できる。
【0032】
好ましくは、裏面の第二の画像情報のサイズ及び第一の画像情報のサイズは、同一である。これにより、偽造防止文書の2つの画像情報を比較しやすい。
さらに、表面は、第一の印刷技術のパターンを有する第二のセキュリティ特徴物を含み、好ましくは、裏面は、第二の印刷技術のパターンを有する第二のセキュリティ特徴物を含むことが有利である。
【0033】
これに関して、第一及び第二の印刷技術は、相互に異なることが好ましい。好ましくは、第一の印刷技術は、レーザ彫刻、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含み、及び有利には、第二の印刷技術は、レーザ彫刻、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含む。
【0034】
したがって、第一の印刷技術は、レーザ彫刻を含み、及び第二の印刷技術は、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含むことが可能である。
さらに、第二のセキュリティ特徴物のパターンは、光がパターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示することが好ましい。
【0035】
偽造防止文書は、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターンを有する第一のセキュリティ特徴物を含むことも好ましい。
好ましくは、偽造防止文書は、表面上に第一の印刷技術によって製作される第二の画像情報及び裏面上に第二の印刷技術によって製作される第二の画像情報も含む。
【0036】
有利には、第二の画像情報は、第一の画像情報に対応し、及び裏面の第二の画像情報は、表面の第二の画像情報のミラー画像情報である。
上記を要約すると、偽造防止文書は、
表面は、パターンであって、光がパターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示するパターンを有する第二のセキュリティ特徴物を含み、
好ましくは、裏面は、パターンであって、光がパターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示するパターンを有する第二のセキュリティ特徴物を含み、
好ましくは、偽造防止文書は、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターンを有する第一のセキュリティ特徴物を含み、
好ましくは、表面及び裏面の第二の画像情報は、第一の画像情報に対応し、及び
好ましくは、裏面の第二の画像情報は、表面の第二の画像情報のミラー画像情報であることを特徴とすることが好ましい。
【0037】
しかしながら、第一のセキュリティ特徴物は、その穿孔を有する偽造防止文書を部分的に且つ/又は完全に貫通することから、裏面で見える第一の画像情報は、表面で見える第一の画像情報の鏡像画像情報である。
【0038】
したがって、ある人物が見ることのできる裏面の画像情報(第一及び第二の画像情報)は、すべて同じくある人物が見ることのできる表面の鏡像画像情報(第一及び第二の画像情報)である。
【0039】
本発明の他の態様によれば、好ましくは、穿孔パターン及び第一の画像情報は、それぞれ彫刻及び彫刻パターン又はレーザ印刷及びレーザ印刷パターン等若しくはインクジェット印刷及びインクジェット印刷パターン等、異なる技術によって文書上に配置された画像の表現及び第二の画像情報である。
【0040】
画像(第二の画像情報)と穿孔(第一の画像情報)とを視覚的に比較でき、したがって複雑な補助手段が不要であることから、これらの2つの一方のみの不完全な偽造は、直ちにわかることになる。不正行為に対する高い安全性がこのようにして得られる。
【0041】
この方法には、好ましくは、このような文書を作成するために、穿孔パターン(第一の画像情報)を製作するための本手段と、異なる技術による関連する画像を製作するための手段又はテンプレートを記録し、それをデジタル形態に変換して、穿孔パターンを製作するのに必要な手段を制御できるようにする手段とがなければならないことが必要となる。
【0042】
本発明の重要な応用は、文書がパスポートであり、テンプレートがパスポート写真であることにある。
有利には、偽造から保護される文書は、穿孔パターンの形態の第一のセキュリティ特徴物を含み、穿孔パターンは、偽造防止文書の外面上に延び、明るさの階調を含む画像を表す。
【0043】
画像及び第一の画像情報は、文書が背後から照明されたときに見えることも好ましい。
有利には、穿孔パターン及び第一の画像情報は、レーザ光によって適用される。
好ましくは、穿孔パターンは、異なる技術によって文書に配置される第二の画像情報及び画像の表現であり、好ましくは、異なる技術によって配置される第二の画像情報は、文書ごとに異なる。
【0044】
文書は、パスポートであり、第二の画像情報は、パスポート写真であることがさらに好ましく、好ましくは、第一のセキュリティ特徴物は、パスポート写真が配置されるページ以外のパスポートのページに適用される。代替的に、文書は、パスポートであり、第二の画像情報は、パスポート写真であり、好ましくは、第一のセキュリティ特徴物は、パスポート写真が配置されるパスポートの表面又は裏面に適用されることが可能である。
【0045】
さらなる利点として、第一の画像情報の明るさの階調は、穿孔のサイズによって表される。
さらに、明るさの階調は、穿孔の密度によって表されることが有利である。
【0046】
明るい階調は、大きい穿孔又は穿孔の高い密度によって表され、暗い階調は、小さい穿孔又は穿孔の低い密度によって表されることも好ましい。
本発明は、好ましくは、文書に穿孔パターンの形態のセキュリティ特徴物を適用する方法にも関することが指摘される。
【0047】
より詳細には、文書に穿孔パターンの形態の第一のセキュリティ特徴物を適用する方法は、穿孔パターンが、文書に穿孔パターンを連続的に適用するように適応されたレーザ装置によって適用され、穿孔のサイズ又は穿孔の密度が画像の電子表現によって制御されることを含むことが好ましい。
【0048】
文書は、パスポートであり、穿孔パターン及び第一の画像情報は、パスポートに適用され、これは、パスポートに配置されるパスポート写真の表現であることも好ましい。
有利には、パスポート写真及び画像情報は、光電子機器によってデジタル形態に変換され、穿孔パターン及び第一の画像情報は、パスポート写真のデジタル再生に基づいて適用される。
【0049】
これに関して、パスポート写真は、光電子機器によってデジタル形態に変換され、穿孔パターン及び第一の画像情報は、彫刻パターンであって、光が彫刻パターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターンを含む第二のセキュリティ特徴物を含むパスポート写真のデジタル再生に基づいて適用されることも可能である。彫刻パターンの代替案として、インクジェット印刷パターンを第二のセキュリティ特徴物として使用するか、又はレーザ印刷パターンを第二のセキュリティ特徴物として使用することも可能である。
【0050】
さらに、本発明は、好ましくは、上述のような方法を実行する機器にも関する。
本発明の別の態様によれば、偽造防止文書は、明るい背景に対して見られたときにグレイトーンを表示する穿孔パターンの形態の第一のセキュリティ特徴物を含む。
【0051】
好ましくは、偽造防止文書は、光を限定的に透過させる材料から製造され、好ましくは、穿孔は、穿孔の位置における文書の厚さの一部のみにわたって延び、好ましくは、穿孔の位置における文書の残りの部分の厚さは、表示される画像及び画像情報に従って調整される。
【0052】
この対策により、さらに困難さが増し、すなわち、穿孔のグレイトーンを表示する決定要素及びそれと共に画像情報は、文書の残りの部分の厚さによって決まる。これは、不連続の穿孔の深さを非常に精密に特定しなければならないことを意味する。結果的な厚さは、最終的に、2つのより大きい値、すなわち文書全体の厚さと穿孔の深さとの間の差である。
【0053】
穿孔及び第一の画像情報は、偽造防止文書に表面及び/又は裏面から適用されることが有利である。この構成により、例えば第一及び第二の画像情報を表面又は裏面に同じレーザ機器で容易に書き込むことが可能である。
【0054】
有利には、穿孔は、文書及び偽造防止文書の主平面に対して、90°と異なる角度で延びる。これは、穿孔が超小型ドリルでも配置できず、レーザを利用しなければならないという結果を含み、これは、一方で多大な投資を必要とし、他方で高い技術的知識を必要とする。
【0055】
好ましくは、穿孔の角度は、濃淡値調整を有する画像情報を取得するように調整される。
さらなる利点として、古典的な直線穿孔の場合のように、第一の画像情報を生成するために第一のセキュリティ特徴物の穿孔の密度又はサイズ及び直径を調整する可能性がある。
【0056】
有利には、穿孔及び第一の画像情報は、好ましくは、画像を表す。
好ましくは、パターン及び第二の画像情報は、画像、肖像、写真又はパスポート写真を表す。これらの項目(画像、肖像、写真、パスポート写真)は、すべて同じ特徴物、すなわち「第二の画像情報」を指す。
【0057】
本明細書において、穿孔によって配置される第一の画像情報は、ある程度の画像処理を施され得る点に留意されたい。ここで、必要な定量化のために失われる画像の特徴物を補償することが可能である。このような画像処理の一例は、「輪郭強調」である。
【0058】
本発明は、画像を表さず、英数字による表現又はコードを表す穿孔パターンにも適用可能である。
これらの可能性の組合せが適用され得ることは、明らかであろう。このような斜めの穿孔は、当然のことながら、通常の直線穿孔と組み合わせることができる。この組合せにより、追加的なパターンを導入する選択肢が得られる。グレイトーンを表示するために調整される主要画像は、例えば、本願において直線穿孔によって配置され、例えば、ロゴ又は文字の形態の追加の特徴物は、斜めに配置される。斜めの穿孔の角度又は他の特性の選択は、約90°の角度でのパターンの通常の観察中に通常の画像が現れ、他の角度での観察中にロゴ又は文字の組合せの形態の第二の画像が見えるように行うことができる。
【0059】
他の例は、2つの画像をキャリア上の同じ位置に、ただし各眼に独自の画像が見えるように異なる角度で配置し、したがって立体画像が観察されるようにすることである。
好ましくは、これは、様々な方法で変化され得ることが明らかであろう。本願において、保護される文書に2つの位置からレーザ源によって照射する方法を利用することが魅力的である。
【0060】
当然のことながら、本願では、2つのレーザ源を使用することも可能であるが、当然のことながら、最初に第一の位置の文書に1つのレーザ源によって第一の角度で照射し、その後、文書を異なる位置に置いて、同じレーザ源によって異なる角度で照射することがより容易である。
【0061】
レーザ源が文書の付近に置かれる場合、90°以外の角度に穿孔を配置することも可能であり、これは、円錐又はピラミッド形状によって実現され、その内部でレーザ光ビームを移動させることによって穿孔が配置される。したがって、その結果、画像の中心までの距離が増大するにつれて角度が増大するパターンが得られる。
【0062】
穿孔の横断面は、非円形であることが好ましい。レーザ源の使用により、レーザスポットの位置が正確に制御される場合、このような穿孔を行うことができる。何れの場合にも、必要なパターンの微細さを考えれば、これを機械的手段で得ることは、現実的に不可能である。
【0063】
さらに、コードを画像の表現内に隠すことが有利である。本願では、すでにグラフィックアートで適用されている教示を使用でき、それによれば、通常の眼には見えず、表示されるコードに特定の処理を行った後に得られる変化を画像内に配置することが可能となる。
【0064】
逆に、直接見えるコード化も選択され得る。コードは、例えば、関係する製品が作られた機械を識別するために使用できる。したがって、機械の不正な使用があった場合、関係する機械を識別できる。
【0065】
文書内に中間層を配置することも可能であり、この層は、インクで提供される。レーザの使用により、その文書の製造材料を完全に除去し、すなわち燃焼、蒸発等させることが可能となる。文書内の関係する層の汚染は、本願ではほとんど発生しない。このような文書が機械的手段で処理されると、ある程度のスミアリングが発生する。このスミアリングは、インクがUV光感受性インクによって形成されると特によく見える。
【0066】
有利には、このインクは、UV光において見えるインクである。
材料は、穿孔内に配置されることが好ましい。
キャリアにおいて、画像を表すパターンで配置される穿孔は、UV光下で光るインクを充填されることも好ましい。このようなパターンは、UV光源で照明されると見えるようになる。
【0067】
好ましくは、このようなパターンの穿孔の内面は、例えば、反射金属層の蒸着によって層を提供され、その結果、見たときに見える画像が得られる。すべての穿孔の内面に層を選択的に適用することは、穿孔が配置される前に除去可能なフォイルを配置し、前記層が適用された後にそれを除去することによって可能となる。
【0068】
好ましくは、偽造防止文書は、異なって着色された材料層を含み、色は、穿孔の深さに応じて見ることができる。
有利には、開始点は、異なる色の材料層で構築されたキャリアである。深さを変化させることにより、所望の層で終わり、それにより所望の色が見えるように穿孔を作ることができる。このようにしてカラー画像を実現できる。
【0069】
さらなる利点として、偽造防止文書は、プラスチック材料から製造され、及びコア層は、他の層と異なる色を有する。
好ましくは、穿孔パターンは、密度又はサイズにおいて調整された穿孔をさらに提供される。
【0070】
穿孔パターンは、穿孔パターンの残りの部分と異なる穿孔パターンを局所的に提供されることも可能である。
さらなる利点として、穿孔パターンは、見ている位置から観察者に対して立体画像を提示するように適応される。
【0071】
穿孔パターンは、見る角度によって異なる画像を人物及び使用者に対して提示するように適応されることが好ましい。
有利には、文書の主平面に対する穿孔の角度は、穿孔パターンの中心までの距離が増大するにつれて増大する。
【0072】
好ましくは、穿孔パターンのその横断面は、非円形である。
有利には、コードは、画像の表現内に隠される。
好ましくは、インクの中間層は、キャリア内に配置される。有利には、インクは、UV光において見えるインクである。
【0073】
穿孔は、キャリア上に取り付けられた保護要素、例えば光学的可変要素内に配置されることが好ましい。
さらに、画像は、個人化されることが有利である。
【0074】
本発明は、キャリア上に取り付けられた保護要素、例えばホログラム又はキネグラム等の光学可変要素内に穿孔を配置する選択肢をさらに提供する。このようなセキュリティ特徴物は、偽造者にはアクセスできず、それは、これらが1つの製造者と1つの購買者との間でのみ取引されるからである。このようなセキュリティ特徴物に個人化された穿孔パターンをさらに提供することにより、偽造者は、このような要素を1つの文書から他の文書に転写することもできなくなる。
【0075】
穿孔パターンによって表される画像が、文書上に配置された他の画像に対応する場合、画像を一致させることができる。これにより、両方の画像を精密に一致させる選択肢が提供される。これには、利点があり、すなわち偽造者及び不正行為者にとっての問題が増大すること、検証がはるかに迅速且つ容易になること、穿孔画像のための余分な表面積が不要であることである。
【0076】
本発明は、好ましくは、偽造防止文書に穿孔パターンを配置する方法にも関し、好ましくは、穿孔は、レーザによって配置されることが指摘される。
これに関して、偽造防止文書は、レーザ源によって少なくとも2つの異なる位置で処理されることが好ましい。
【0077】
文書は、1つのレーザ源から1つの位置で処理されることも好ましい。
有利には、ある層がまず文書上に配置され、続いて穿孔が配置され、その後、文書に蒸着処理が行われ、最後にフォイルが除去される。
【0078】
理解のために、「穿孔」、「穿孔パターン」、「穿孔された」及び「穿孔画像」等の用語は、すべて同一のもの、すなわち明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターンを含む第一のセキュリティ特徴物を意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】本発明の偽造防止文書の表面の第二のセキュリティ特徴物を示す。
【
図2】本発明の偽造防止文書の裏面の第二のセキュリティ特徴物を示す。
【
図3】光が通過できるように保持された本発明の偽造防止文書の表面の第一及び第二のセキュリティ特徴物を示す。
【
図4】光が通過できるように保持された本発明の偽造防止文書の裏面の第一及び第二のセキュリティ特徴物を示す。
【
図5】本発明による偽造防止文書を製造する機器の概略斜視図を示す。
【
図6】
図5に示されるような穿孔パターンの詳細図を示す。
【
図7】本発明によるパスポートの概略斜視図を示す。
【
図8】本発明によるパターンが提供された紙幣の図を示す。
【
図9】本発明の他の実施形態による穿孔パターンが提供された郵便切手を示す。
【
図10】本発明による偽造防止文書の実施形態の断面図を示す。
【
図11】本発明による偽造防止文書の実施形態の断面図を示す。
【
図12】本発明による偽造防止文書の実施形態の断面図を示す。
【
図13】本発明による偽造防止文書の実施形態の断面図を示す。
【
図14】本発明による偽造防止文書の実施形態の断面図を示す。
【
図15】本発明の実施形態の概略詳細斜視図を示す。
【
図16】本発明の実施形態の概略詳細斜視図を示す。
【
図17】その中で使用される方法を説明する役割も果たす、本発明の実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下では、本発明の幾つかの実施形態が図面に基づいて説明される。図面は、それぞれ後述の具体的な実施形態を示すことに留意されたく、説明において明示される別の代替的な変更は、少なくとも部分的に図示されていない。しかしながら、特に
図5~18に示される特徴物は、
図1~4において説明する偽造防止文書と組み合わされ得る点を明確に指摘する。
【0081】
さらに、図中で使用されている同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
図1において、本発明の偽造防止文書1の表面Fの第二のセキュリティ特徴物3が示されており、
図2は、本発明の偽造防止文書1の裏面Bの第二のセキュリティ特徴物3を示す。
【0082】
さらに、
図3は、光が通過できるように保持された本発明の偽造防止文書1の表面Fの第一及び第二のセキュリティ特徴物2、3を示し、
図4は、同じく光が通過できるように保持された本発明の偽造防止文書1の裏面Bの第一及び第二のセキュリティ特徴物2、3を示す。
【0083】
以下において容易且つ簡潔にするために、
図1~4をまとめて説明する。
図1~4は、表面F(
図1及び3)と裏面(
図2及び4)とを有する偽造防止文書1を示す。
【0084】
偽造防止文書1は、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターン4を含む第一のセキュリティ特徴物2と、彫刻パターン5であって、光が彫刻パターン5に当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターン5を含む第二のセキュリティ特徴物3とを有する。
【0085】
第一及び第二のセキュリティ特徴物2、3は、それぞれ人物の画像及びパスポート写真を表すことに留意されたい。
彫刻パターンの代わりに、第二のセキュリティ特徴物としてインクジェット印刷パターンを使用すること又は第二のセキュリティ特徴物としてレーザ印刷パターンを使用することも可能である点にも留意されたい。
【0086】
さらに、
図1~4から容易にわかるように、偽造防止文書1上に表示される第一及び第二の画像情報4、5は、相互に対応する。
さらに、表面F及び裏面Bは、第二のセキュリティ特徴物3を含み、裏面Bの第二の画像情報5は、表面Fの第二の画像情報5の鏡像画像情報である。
【0087】
換言すれば、裏面Bで見ることのできる第一及び第二の画像情報4、5は、すべて表面F上で見ることのできる第一及び第二の画像情報4、5の水平に鏡像反転された画像情報である(
図3及び4を参照されたい)。
【0088】
さらに、表面Fでは、第二のセキュリティ特徴物3によって表される第二の画像情報5は、裏面Bの第二の画像情報5に対応する。
さらに、裏面Bでは、第二のセキュリティ特徴物3によって表される第二の画像情報5は、第一のセキュリティ特徴物2によって表される第一の画像情報4と同一である(
図4を参照されたい)。
【0089】
また、裏面Bでは、対応するセキュリティ特徴物2、3の第一及び第二の画像情報4、5は、
図2及び4を比較するとわかるように一致する。
同じく
図1~4からわかるように、表面Fの第二の画像情報5は、文書1上で裏面Bの第二の画像情報5より大きいサイズを有し、裏面Bの第二の画像情報5のサイズ及び第一の画像情報4のサイズは、同一である(
図4を参照されたい)。
【0090】
上記を要約する。
図1~4においてわかるように、偽造防止文書の表面Fは、彫刻パターン5であって、光が彫刻パターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターン5を有する第二のセキュリティ特徴物3を含む。
【0091】
裏面Bは、彫刻パターン5であって、光が彫刻パターン5に当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターン5を有する第二のセキュリティ特徴物3を含む。
さらに、偽造防止文書1は、すでに述べたように、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報4を表示する穿孔パターンを有する第一のセキュリティ特徴物2を含み、表面及び裏面F、Bの第二の画像情報5は、第一の画像情報4に対応する。
【0092】
さらに、裏面Bの第二の画像情報5は、表面Fの第二の画像情報5のミラー画像情報である。
図1~4のすべてを参照する。これらの図面は、穿孔パターンの形態の第一のセキュリティ特徴物2は、明るい背景に対して見られたときにグレイトーンを表示することを示す。
【0093】
偽造防止文書1は、光を限定的に透過させる材料から製造され、穿孔パターンの一部を形成する穿孔の幾つかは、穿孔の位置における文書1の厚さの一部のみにわたって延びる。
【0094】
したがって、穿孔の位置における文書1の残りの部分の厚さは、表示される画像に従って調整される。
異なるグレイトーンを実現するために、第一のセキュリティ特徴物2の穿孔の密度及び/又は直径を調整することによって第一の画像情報が生成される。これらの異なるグレイトーンの実現を説明する実施形態を以下に説明する。
【0095】
前述のように、第一のセキュリティ特徴物2は、明るい背景に対して見られたときに第一の画像情報を表示する穿孔パターン4を含み、第二のセキュリティ特徴物3は、彫刻パターン5であって、光が彫刻パターン5に当たって反射するときに第二の画像情報を表示する彫刻パターン5を含む。
【0096】
しかしながら、偽造防止文書1の表面Fは、第一の印刷技術のパターンを有する第二のセキュリティ特徴物3を含み、裏面Bは、第二の印刷技術のパターンを有する第二のセキュリティ特徴物3を含むことも可能である。
【0097】
このような実施形態において、第一及び第二の印刷技術は、相互に異なる。これは、第一及び第二の印刷技術がレーザ彫刻、インクジェット印刷又はレーザ印刷を含み、この特別な実施形態では、第一の印刷技術がレーザ彫刻を含み、第二の印刷技術がインクジェット印刷又はレーザ印刷を含むことを意味する。換言すれば、第二のセキュリティ特徴物のパターンは、光がパターンに当たって反射するときに第二の画像情報を表示する。
【0098】
さらに、表面F上及び裏面B上の第二のセキュリティ特徴物3のために2種類の印刷技術を用いるこの特別な実施形態において、第一の印刷技術によって製作される第二の画像情報5は、表面F上に適用され、第二の印刷技術によって製作される第二の画像情報5は、裏面B上に適用される。
【0099】
さらに、第二の画像情報5は、第一の画像情報4に対応し、裏面Bの第二の画像情報5は、表面Fの第二の画像情報5のミラー画像情報である。
ここで、
図5~9を参照する。
【0100】
図5~9に示される技術を説明する前に、この技術では、明るさの階調を生じさせることは、グラフィックアートの場合のように、固定されたグリッドに従って適用される穿孔によって可能であり、穿孔のサイズは、強度の尺度であり、等しい寸法の穿孔の穴を使用することによって明るさの階調を再現することも可能であり、これらの寸法の密度は、強度の尺度であることが指摘される。原則的に、両方の選択肢を組み合わせることもできる。
【0101】
ここで、グラフィックアートにおいて、第一の選択肢は、白黒写真が新聞で複製される方法と等しいことと、第二の技術の例は、女王陛下の肖像が、密度の異なるドットで表されるオランダの郵便切手シリーズに見ることができることとが指摘される。
【0102】
図5には、パスポート写真11に向けられたビデオカメラ10が示されている。ビデオカメラ10は、パスポート写真11を記録し、それを電子形態に変換し、このようにして得られた信号をコンピュータ12に供給し、信号は、その中に保存される。
【0103】
図5に示される機器は、レーザビーム発生手段13をさらに含み、これは、コンピュータ12によって制御される。この制御は、レーザ機器13によって伝送されるレーザビーム14の強度及び焦合だけでなく、レーザビーム14が伝送される方向にも関係する。この方向を2つの平面内で変化させて、穿孔パターン16及び第一のセキュリティ情報を文書15に適用することが可能である。
【0104】
ここで、このようなレーザ機器は、先行技術で知られていることが指摘され、すなわち、レーザ光ビームを変化させるために、本願では、
図5において他に図示されていないミラーシステムが利用される。レーザ機器13を静止させて、文書15を載せたキャリアを移動するようにセットすることも可能である。キャリアを一方向に移動させて、レーザビームをもう一方の方向に移動させることも可能であり、様々な可能性の中から何れを選択するかは、使用される技術に依存する。しかしながら、重要であるのは、穿孔パターン16及び第一のセキュリティ情報が異なる直径の穿孔を含むことであり、直径は、画像内で表現される明るさに応じたものである。レーザビームで局所的により多くの又はより少ない穴を発生させることにより、異なる密度の穿孔も製作できる。
【0105】
これは、穿孔パターン16の詳細を示す
図6によって明瞭に示されている。ここで、本実施形態では、穿孔パターンは、例えば、長方形のグリッド等の規則的グリッド内に整列される穿孔17によって形成されることがわかる。
【0106】
穴の寸法は、本願では、穿孔パターン16によって表される画像、この場合にはパスポート写真11の明るさの尺度である。ここで、穿孔の寸法は、連続的に、すなわち基本的にアナログ方式で調節できる点に留意されたいが、デジタルコンピュータで処理すれば、有限であるが、依然として多くのステージを得ることができる。それにもかかわらず、試験の結果、関係する画像の適切なレンダリングを形成し、それと容易に比較できる画像の表現を取得できることが証明されている。このようにすれば、複写が困難である良好な認証特徴物が得られることが明らかであろう。
【0107】
図7には、写真11が例えば接着剤、管リベット又は他の取付け方法によって固定されているパスポート18が示されている。同じページのその付近に、関係する画像を表す穿孔パターン16が適用されている。パスポートの関係するページを光に当てればよく比較できる。迅速に目で見て比較することができるのであれば、パスポートの別のページに穿孔パターンを適用することも他に可能である。これにより、偽造がより困難となり、これは、その目的のために少なくとも2つの異なるページを偽造しなければならないからである。拡大、縮小又は他に調整した画像を適用することも可能である。
【0108】
図8は、この場合にはフクロウの形態の穿孔パターン20が提供された紙幣19を示す。この穿孔パターンは、その紙幣上に配置された他の画像とは無関係であり、セキュリティ特徴物自体のみを形成しており、紙幣にこのようなセキュリティ特徴物を提供することが可能である。先行技術との違いは、画像20が、異なる明るさの階調、例えばグレイトーンを表わすという事実にあることが再び指摘される。本願では、自由グリッドが他に使用され、穿孔の寸法が同じであり、穿孔の密度を変化させることによってグレイトーンが表現される。同じことは、
図9に示される郵便切手21にも当てはまり、これには女王陛下の肖像の形態の穿孔パターン22が提供され、ここで、両方の形態が組み合わせられ、すなわち変化するグリッドとされ、その場合、穿孔の寸法も異なる。
【0109】
再び、
図5~9の説明は、
図1~4に示される第一のセキュリティ特徴物2にも当てはめることができる点が指摘される。
したがって、
図5~9の上述の特徴物の幾つか又は全部は、
図1~4に示される実施形態に組み込まれ得る。
【0110】
ここで、
図10~17を参照する。
図10は、偽造防止文書1の断面図を示す。文書1は、プラスチックから製造されているが、他の材料、例えば紙、布等でも同様に製造でき、積層材料からも製造でき、様々な材料の種類を組み合わせることができる。
【0111】
この文書1には、穿孔が提供される。
図10では、穿孔32が配置されている。本発明のこの実施形態において、穿孔32は、文書1の厚さ全体を通して延びるのではなく、文書1の一部33がそのまま残される。
【0112】
様々な穿孔の残りの部分33は、本願において、異なる厚さを有する。したがって、これらは、光をより多く又はより少なく透過させ、文書を光に対してかざすと、残りの部分33の厚さ及び穿孔32の深さに応じたグレイトーンを含む画像が得られる。
【0113】
図11に示される実施形態によれば、穿孔は、文書の主平面に対して斜めに、すなわち90°以外の角度で配置される。本願では、関係する角度を変化させることにより、グレイトーンの調整を得ることができる。これは、
図11における一点鎖線で説明されている。
【0114】
さらに、
図12に示されるように、穴34の幅、すなわち直径を変化させることも可能である。当然のことながら、ここで、両方の形態の変更を組み合わせることが可能である。さらに、2つの変更形態の一方又は両方を穿孔の密度の調整と組み合わせることも可能である。当然のことながら、調整方法のこれらの組合せに所定の特性を付与することが可能である。その例が
図13に示されている。
【0115】
文書が、
図12の一点鎖線で示されるように直線に見られた場合、ここで、穿孔の各々について同様のグレイトーンが表示される。
このグレイトーンは、穿孔の密度を変化させるか又はそのサイズを変化させることによって調整することができる。ここで、本発明によれば、画像を生成することが可能である。両方の穿孔34が斜めに配置されていることにより、これらの穿孔に例えばこれらを文字又はロゴの形態で配置することにより、追加の情報を提供することが可能である。これは、当然のことながら、画像を所定の角度で見たときにのみ見える。
【0116】
図14に示される実施形態において、円錐の形態又は円錐台の形態の穿孔が何れの場合にも得られる。目に見えるグレイトーンの調整は、ここで、円錐の「深さ」又はその頂角を変化させることによって得られる。したがって、これは、穴の深さの調整と、孔の直径の調整との組合せを形成する。先行40は、したがって、例えば連続しており、穿孔41は、止まり穴である。
【0117】
さらに、
図15に示されるように、円以外の形態、例えば長方形36の穿孔を配置することが可能である。長方形の穿孔は、機械的手段で取得しにくい可能性があるため、この目的のためにレーザが必要である。レーザビームは、最終的に、それがこのような輪郭の穿孔を生じさせるように制御され得るが、焦合が十分に微細に行われることが条件となる。他の形状、例えば三角形、正方形、楕円形等も可能であることが明らかであろう。
【0118】
図16は、この文書にインクで提供される層37が提供される構成を示す。この層は、穿孔がレーザで配置される場合に特に認識されず、この層もレーザによって除去される。穿孔を有するこのような文書を機械的手段、例えばドリルによって提供しようとすると、インクが滲み、それは、明確に目に見える。このような構成は、積層カードにも適用され得、その内層は、他の層の色と異なる色を有し、例えば白である。
【0119】
図17は、同じレーザ光源38を用いて、同じ文書1の異なる位置において、直線の穿孔35と、その後、斜めの穿孔34とを提供することがどのように可能であるかを示す。当然のことながら、ここで、レーザ源38を出たレーザ光ビーム39を十分に偏向できることが重要である。加えて、文書1の異なる位置における位置決めに求められる精度のために正確な停止等が必要である。文書を3カ所以上から穿孔できることが明らかであろう。
【0120】
最後に、
図18は、レーザ光源38が文書1に比較的近い位置に設置されて、角度の偏差により、異なる角度で延びる穿孔が得られる実施形態を示す。さらに、本発明の範囲内で図の実施形態から多くの変更形態が可能であることが明らかであろう。
【0121】
再び、
図10~18の説明は、
図1~4に示される第一のセキュリティ特徴物2に当てはめることができる点が指摘される。
したがって、
図10~18の上述の特徴物の幾つか又は全部は、
図1~4に示される実施形態に組み込まれ得る。