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特許7189332整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラム
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  • 特許-整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021514702
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2019016383
(87)【国際公開番号】W WO2020213074
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 崇治
(72)【発明者】
【氏名】浦瀬 大河
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 浩
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-57099(JP,A)
【文献】特開2002-287815(JP,A)
【文献】特開2017-220109(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119127(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する整備サポート拡張現実出力システムであって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする整備サポート拡張現実出力システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記車両を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の整備サポート拡張現実出力システム。
【請求項3】
前記特定手段は、前記車両の識別子の入力を受け付け、当該車両の識別子に基づいて、当該車両を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の整備サポート拡張現実出力システム。
【請求項4】
前記サポート情報を出力後、前記整備作業の風景を撮影した第2整備作業画像を取得する第2取得手段と、
取得した前記第2整備作業を解析する第2解析手段と、
前記第2解析手段による解析結果に基づいて、前記習熟度を評価する評価手段と、
をさらに備え、
前記第1判定手段は、次回以降の判定時、前記第1整備作業画像の解析結果と、前記評価とに基づいて、前記習熟度を判定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の整備サポート拡張現実出力システム。
【請求項5】
前記サポート情報を出力後、前記整備作業の風景を撮影した第2整備作業画像を取得する第2取得手段と、
取得した前記第2整備作業を解析する第2解析手段と、
前記第2整備作業画像の解析結果に基づいて、前記サポート情報に則した作業内容であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段による判定結果に基づいて、報告書を自動作成する自動作成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の整備サポート拡張現実出力システム。
【請求項6】
車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータであって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させる出力手段と、
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項7】
車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する端末であって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を出力する第1出力手段と、
特定された整備対象となる車両と、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて判定された前記整備作業者の習熟度とから決定された当該整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を取得する取得手段と、
自身の表示部に、取得した前記サポート情報を拡張現実として出力する第2出力手段と、
を備えることを特徴とする端末。
【請求項8】
車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータが実行する整備サポート拡張現実出力方法であって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させる出力手段と、
を備えることを特徴とする整備サポート拡張現実出力方法。
【請求項9】
車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータに、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得するステップ、
取得した前記第1整備作業画像を解析するステップ、
整備対象となる車両を特定するステップ、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定するステップ、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定するステップ、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させるステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流のIoT(Internet of Things)化が進んできている。このようなIoT化の例として、客とオートリース会社毎とで点検整備する項目が異なるリース車両の点検整備において、自動的に点検整備項目、整備工場及び点検整備日程を決定し、追加点検に対しても対応可能なものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-66116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流のIoT化において、輸送中の事故を軽減する技術が考えられる。例えば、車両を整備する整備作業者に適したサポート情報を、この整備作業者に出力するといったものである。しかしながら、特許文献1の構成では、このようなサポート情報を拡張現実として出力することが困難であった。
【0005】
本発明は、整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力することが可能な整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する整備サポート拡張現実出力システムであって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする整備サポート拡張現実出力システムを提供する。
【0008】
本発明によれば、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する整備サポート拡張現実出力システムは、前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得し、取得した前記第1整備作業画像を解析し、整備対象となる車両を特定し、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定し、特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定し、前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を前記車両に重なるように拡張現実として出力する。
【0009】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【0010】
また、本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータであって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させる出力手段と、
を備えることを特徴とするコンピュータを提供する。
【0011】
また、本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する端末であって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を出力する第1出力手段と、
特定された整備対象となる車両と、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて判定された前記整備作業者の習熟度とから決定された当該整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を取得する取得手段と、
自身の表示部に、取得した前記サポート情報を拡張現実として出力する第2出力手段と、
を備えることを特徴とする端末を提供する。
また、本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータが実行する整備サポート拡張現実出力方法であって、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得する第1取得手段と、
取得した前記第1整備作業画像を解析する第1解析手段と、
整備対象となる車両を特定する特定手段と、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定する第1判定手段と、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定する決定手段と、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させる出力手段と、
を備えることを特徴とする整備サポート拡張現実出力方法を提供する。
また、本発明は、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力させるコンピュータに、
前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得するステップ、
取得した前記第1整備作業画像を解析するステップ、
整備対象となる車両を特定するステップ、
前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定するステップ、
特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定するステップ、
前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を拡張現実として出力させるステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力することが可能な整備サポート拡張現実出力システム、コンピュータ、端末、整備サポート拡張現実出力方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、整備サポート拡張現実出力システム1の概要を示す図である。
図2図2は、整備サポート拡張現実出力システム1の全体構成図である。
図3図3は、コンピュータ10が実行する整備サポート拡張現実出力処理のフローチャートを示す図である。
図4図4は、コンピュータ10が実行する習熟度評価処理のフローチャートを示す図である。
図5図5は、コンピュータ10が実行する報告書自動作成処理のフローチャートを示す図である。
図6図6は、コンピュータ10が整備作業者端末にサポート情報を拡張現実として出力させた一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0015】
[整備サポート拡張現実出力システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である整備サポート拡張現実出力システム1の概要を説明するための図である。整備サポート拡張現実出力システム1は、コンピュータ10から構成され、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力するコンピュータシステムである。
【0016】
なお、整備サポート拡張現実出力システム1は、車両を整備する整備作業者が所持する整備作業者端末(例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末や、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイといったウェアラブル端末)、所定の位置に配置された又は移動式の撮影装置等のその他の端末や装置類が含まれていてもよい。また、整備サポート拡張現実出力システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0017】
また、整備サポート拡張現実出力システム1は、コンピュータ10と、その他の端末や装置類とから構成されてもよい。この場合、整備サポート拡張現実出力システム1は、後述する各処理を、コンピュータ10とその他の端末や装置類との何れか又は複数の組み合わせにより実行することになる。
【0018】
コンピュータ10は、整備作業者端末、撮影装置等のその他の端末や装置類と、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0019】
コンピュータ10は、整備作業者による整備作業の風景を動画や静止画等で撮影した第1整備作業画像を取得する。コンピュータ10は、例えば、整備作業者端末や撮影装置が撮影した第1整備作業画像を取得する。
【0020】
例えば、整備作業者端末や撮影装置は、整備作業者の整備作業の風景を動画や静止画等の第1整備作業画像として撮影し、撮影した第1整備作業画像を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この第1整備作業画像を受信することにより、端末等から第1整備作業画像を取得することになる。
【0021】
コンピュータ10は、取得した第1整備作業画像を解析する。コンピュータ10は、例えば、この第1整備作業画像の特徴点(例えば、形状、輪郭、色相)や特徴量(例えば、画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値)を抽出することにより、解析を実行する。この結果、コンピュータ10は、第1整備作業画像に写っている車両の解析と、整備作業者の動作(例えば、作業内容、作業速度、作業工程、工具類の扱い方)の解析とを実行することになる。
【0022】
コンピュータ10は、整備対象となる車両を特定する。コンピュータ10は、例えば、この第1整備作業画像の解析結果に基づいて、整備対象となる車両を特定する。コンピュータ10は、例えば、予め車両の特徴点や特徴量と、この車両の識別子(例えば、車両製造番号、車番、型式、整理番号、管理番号、名称)とを対応付けて記録した車両データベースを参照することにより、この車両を特定する。コンピュータ10は、抽出した特徴点や特徴量と、車両データベースに記録された特徴点や特徴量とを比較し、この抽出した特徴点や特徴量と一致する車両データベースにおける特徴点や特徴量に対応付けられた車両の識別子を特定する。その結果、コンピュータ10は、第1整備作業画像に写っている整備対象となる車両を特定することになる。
【0023】
また、コンピュータ10は、例えば、整備作業者端末やその他の端末や装置類等から整備対象となる車両の識別子の入力を受け付け、この受け付けた識別子に基づいて、整備対象となる車両を特定する。整備作業者端末やその他の端末や装置類は、整備対象となる車両の識別子の入力を受け付け、受け付けた識別子を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この識別子を受信することにより、整備対象となる車両の識別子を取得する。その結果、コンピュータ10は、整備対象となる車両を特定することになる。
【0024】
コンピュータ10は、この第1整備作業画像の解析結果に基づいて、整備作業者の習熟度を判定する。コンピュータ10は、例えば、予め整備作業者の動作と、この動作をする整備作業者の整備作業の習熟度とを対応付けて記録した習熟度データベースを参照することにより、この整備作業者の習熟度を判定する。コンピュータ10は、抽出した特徴点や特徴量に基づいて、整備作業者の動作を特定する。コンピュータ10は、この特定した動作と、習熟度データベースに記録された動作とを比較し、この特定した動作と一致する習熟度データベースにおける動作に対応付けられた習熟度を特定する。コンピュータ10は、この特定した習熟度を、整備作業者の習熟度として判定する。その結果、コンピュータ10は、第1整備作業画像に写っている整備作業者の習熟度を判定することになる。
【0025】
コンピュータ10は、特定した車両と、判定した習熟度とから、この整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報(例えば、工具類の使用方法の指示、体の位置の指示、作業内容の指示等といった整備作業者が整備作業を実行するために必要な動作に関する情報)を決定する。コンピュータ10は、例えば、予め車両の識別子及び整備作業者の習熟度と、サポート情報とを対応付けて記録したサポート情報データベースを参照することにより、このサポート情報を決定する。コンピュータ10は、特定した車両の識別子及び判定した習熟度と、このサポート情報データベースを比較し、この車両の識別子及び習熟度と一致するサポート情報データベースにおける識別子及び習熟度に対応付けられたサポート情報を特定する。コンピュータ10は、この特定したサポート情報を、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。
【0026】
コンピュータ10は、整備作業者端末の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力させる。コンピュータ10は、決定したサポート情報を、整備作業者端末に出力させる。コンピュータ10は、このサポート情報を、整備作業者端末に送信する。整備作業者端末は、このサポート情報を受信する。整備作業者端末は、この受信したサポート情報を自身の表示部に表示する。このとき、整備作業者端末は、自身が撮影する車両に重なる(例えば、この車両の一部又は全部に重なる、この車両の整備対象となる部位の一部又は全部に重なる)ように、このサポート情報を拡張現実として表示する。その結果、コンピュータ10は、このサポート情報を、整備作業者端末に出力させることになる。また、整備作業者端末は、このサポート情報を、自身の表示部に出力することになる。したがって、整備サポート拡張現実出力システム1は、整備作業者端末の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力することになる。
【0027】
以上の処理の結果、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力する整備サポート拡張現実出力システム1は、前記整備作業者による整備作業の風景を撮影した第1整備作業画像を取得し、取得した前記第1整備作業画像を解析し、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、整備対象となる車両を特定し、前記第1整備作業画像の解析結果に基づいて、前記整備作業者の習熟度を判定し、特定した前記車両と、判定した前記習熟度とから、前記整備作業者が当該車両を整備するためのサポート情報を決定し、前記整備作業者が利用する端末の表示部に、決定した前記サポート情報を前記車両に重なるように拡張現実として出力することになる。
【0028】
なお、コンピュータ10は、サポート情報を出力後、整備作業者の整備作業の風景を動画や静止画等で撮影した第2整備作業画像を取得する構成も可能である。この場合、コンピュータ10は、例えば、整備作業者端末や撮影装置が撮影した第2整備作業画像を取得する。
【0029】
例えば、整備作業者端末や撮影装置は、サポート情報を出力後の整備作業者の整備作業の風景を動画や静止画等の第2整備作業画像として撮影し、撮影した第2整備作業画像を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この第2整備作業画像を受信することにより、端末等から第2整備作業画像を取得することになる。
【0030】
コンピュータ10は、取得した第2整備作業画像を解析する。コンピュータ10は、例えば、この第2整備作業画像の特徴点や特徴量を抽出することにより、解析を実行する。この結果、コンピュータ10は、第2整備作業画像に写っている整備作業者の動作の解析を実行することになる。
【0031】
コンピュータ10は、この解析結果に基づいて、整備作業者の習熟度を評価する。この習熟度の評価は、例えば、この整備作業者がサポート情報に則した動作や作業を達成した回数に基づいたものである。コンピュータ10は、この回数が規定回数を超えた際、この整備作業者の習熟度の評価を上昇させる。評価の情報は、例えば、過去のこの整備作業者の習熟度の評価が1である場合、今回この回数を達成したことにより、この整備作業者の習熟度の評価を2にするといったものである。
【0032】
コンピュータ10は、次回以降の第1整備作業画像の解析結果に基づいた整備作業者の習熟度の判定に際して、解析結果に、この整備作業者の習熟度の評価を加味して整備作業者の習熟度を判定する。コンピュータ10は、例えば、今回の整備作業者の習熟度を、この整備作業者の習熟度の評価に応じて判定する。コンピュータ10は、整備作業者の習熟度の評価の数値に応じた所定の係数を用いて、この整備作業者の習熟度を判定する。
【0033】
また、コンピュータ10は、取得した第2整備作業画像の解析結果に基づいて、この整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作であるか否かを判定する構成も可能である。この場合、コンピュータ10は、例えば、第2整備作業画像の解析結果に基づいた整備作業者の動作が、決定したサポート情報に則した動作であるか否かを判定する。コンピュータ10は、この判定結果に基づいて、報告書を自動作成する。
【0034】
コンピュータ10は、解析結果に基づいた整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作であると判定した場合、所定のフォーマットに基づいて、作業内容が適切であった旨を記載した報告書を自動作成する。このとき、コンピュータ10は、この報告書に、この整備作業者の動作が適切なものであったことを記載することも可能である。
【0035】
コンピュータ10は、解析結果に基づいた整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作ではないと判定した場合、所定のフォーマットに基づいて、作業内容が適切でなかった旨を記載した報告書を自動作成する。このとき、コンピュータ10は、この報告書に、さらに、本来行うべき動作、実際に行った動作、改善箇所等を記載することも可能である。
【0036】
次に、整備サポート拡張現実出力システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0037】
コンピュータ10は、上述した第1整備作業画像を取得する(ステップS01)。整備作業者端末や撮影装置は、上述した第1整備作業画像を撮影し、この第1整備作業画像をコンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この第1整備作業画像を受信することにより、端末等から第1整備作業画像を取得することになる。
【0038】
コンピュータ10は、取得した第1整備作業画像を解析する(ステップS02)。コンピュータ10は、この第1整備作業画像の特徴点や特徴量を抽出することにより、第1整備作業画像を解析する。コンピュータ10は、第1整備作業画像における車両及び整備作業者の動作を解析することになる。
【0039】
コンピュータ10は、整備対象となる車両を特定する(ステップS03)。コンピュータ10は、第1整備作業画像の解析結果に基づいて、整備対象となる車両を特定する。コンピュータ10は、今回抽出した特徴点や特徴量と、上述した車両データベースとを比較することにより、車両を特定する。コンピュータ10は、今回抽出した特徴点や特徴量に該当する車両の識別子を、車両データベースに基づいて特定する。コンピュータ10は、この車両の識別子を特定することにより、第1整備作業画像に写っている整備対象となる車両を特定することになる。また、コンピュータ10は、整備作業者端末やその他の端末や装置類等から整備対象となる車両の識別子の入力を受け付け、この受け付けた識別子に基づいて、整備対象となる車両を特定する。整備作業者端末やその他の端末や装置類は、整備対象となる車両の識別子の入力を受け付け、受け付けた識別子を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この識別子を受信することにより、整備対象となる車両の識別子を取得する。コンピュータ10は、整備対象となる車両の識別子を取得することにより、整備対象となる車両を特定することになる。
【0040】
コンピュータ10は、この解析結果に基づいて、整備作業者の習熟度を判定する(ステップS04)。コンピュータ10は、今回抽出した特徴点や特徴量に基づいたこの整備作業者の動作と、上述した習熟度データベースとを比較することにより、この整備作業者の習熟度を判定する。コンピュータ10は、今回抽出した特徴点や特徴量に基づいたこの整備作業者の動作に該当する整備作業者の習熟度を、習熟度データベースに基づいて特定する。コンピュータ10は、この特定した整備作業者の習熟度を、この整備作業者の習熟度として判定する。コンピュータ10は、この整備作業者の習熟度を判定することにより、第1整備作業画像に写っている整備作業者の習熟度を判定することになる。
【0041】
コンピュータ10は、特定した車両と、判定した習熟度とから、この整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報を決定する(ステップS05)。コンピュータ10は、この車両及び習熟度と、上述したサポート情報データベースとを比較することにより、サポート情報を決定する。コンピュータ10は、特定した車両の識別子及び判定した整備作業者の習熟度に該当するサポート情報を、サポート情報データベースに基づいて特定する。コンピュータ10は、この特定したサポート情報を、この整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。コンピュータ10は、このサポート情報を決定することにより、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報を決定する。
【0042】
コンピュータ10は、整備作業者端末の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力させる(ステップS06)。コンピュータ10は、このサポート情報を、整備作業者端末に送信する。整備作業者は、このサポート情報を受信し、自身の表示部に拡張現実として表示する。このとき、整備作業者端末は、自身が撮影する車両に重なるように、このサポート情報を拡張現実として表示する。その結果、コンピュータ10は、このサポート情報を、整備作業者端末に出力させることになり、整備作業者端末は、このサポート情報を、自身の表示部に出力することになる。したがって、整備サポート拡張現実出力システム1は、整備作業者端末の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力することになる。
【0043】
以上が、整備サポート拡張現実出力システム1が実行する処理の概要である。
【0044】
[整備サポート拡張現実出力システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である整備サポート拡張現実出力システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である整備サポート拡張現実出力システム1のシステム構成を示す図である。図2において、整備サポート拡張現実出力システム1は、コンピュータ10から構成され、車両を整備する整備作業者の習熟度に応じたサポート情報を、拡張現実として出力するコンピュータシステムである。
【0045】
コンピュータ10は、整備作業者端末、撮影装置等のその他の端末や装置類と、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0046】
なお、整備サポート拡張現実出力システム1は、図示していない整備作業者端末、撮影装置等のその他の端末や装置類が含まれていてもよい。また、整備サポート拡張現実出力システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0047】
また、整備サポート拡張現実出力システム1は、コンピュータ10と、その他の端末や装置類とから構成されてもよい。この場合、整備サポート拡張現実出力システム1は、後述する各処理を、コンピュータ10とその他の端末や装置類との何れか又は複数の組み合わせにより実行することになる。
【0048】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記録部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0049】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、第1整備作業画像取得モジュール20、出力モジュール21、第2整備作業画像取得モジュール22を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、解析モジュール40、車両特定モジュール41、習熟度判定モジュール42、サポート情報決定モジュール43、習熟度評価モジュール44、整備内容判定モジュール45、報告書自動作成モジュール46を実現する。
【0050】
[整備サポート拡張現実出力処理]
図3に基づいて、整備サポート拡張現実出力システム1が実行する整備サポート拡張現実出力処理について説明する。図3は、コンピュータ10が実行する整備サポート拡張現実出力処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0051】
第1整備作業画像取得モジュール20は、整備作業者による整備作業の風景を動画や静止画等で撮影した第1整備作業画像を取得する(ステップS10)。ステップS10において、第1整備作業取得モジュール20は、整備作業者端末や撮影装置が撮影した第1整備作業画像を取得する。
【0052】
整備作業者端末や撮影装置は、整備作業者や管理者やその他の撮影を指示する入力操作や音声による入力操作を受け付け、第1整備作業画像を撮影する。整備作業者端末や撮影装置は、撮影した第1整備作業画像を、コンピュータ10に送信する。第1整備作業画像取得モジュール20は、この第1整備作業画像を受信することにより、端末等から第1整備作業画像を取得することになる。
【0053】
解析モジュール40は、取得した第1整備作業画像を解析する(ステップS11)。ステップS11において、解析モジュール40は、この第1整備作業画像を画像解析し、この第1整備作業画像における特徴点や特徴量を抽出する。特徴点は、例えば、上述したような形状、輪郭、色相である。また、特徴量は、例えば上述したような画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値である。解析モジュール40は、特徴点や特徴量を抽出することにより、第1整備作業画像に写っている車両及び整備作業者の動作を解析する。整備作業者の動作は、例えば、上述したような整備作業者が実行している作業内容、整備作業者の作業速度、作業工程、工具類の扱い方である。
【0054】
車両特定モジュール41は、整備対象となる車両を特定する(ステップS12)。ステップS12において、車両特定モジュール41は、第1整備作業画像の画像解析結果又は整備作業者端末やその他の端末や装置類等から取得した整備対象となる車両の識別子の何れか又は双方に基づいて、整備対象となる車両を特定する。
【0055】
車両特定モジュール41は、予め車両の特徴点や特徴量と、この車両の識別子とを対応付けて記録した車両データベースとを参照することにより、この車両を特定する。車両の識別子は、例えば、上述したような車両の車両製造番号、車番、型式、整理番号、管理番号、名称である。この車両データベースは、記録モジュール30に記録されたものである。
【0056】
車両特定モジュール41は、第1整備作業画像から抽出した特徴点や特徴量と、車両データベースに記録された特徴点や特徴量とを比較し、この抽出した特徴点や特徴量と一致する車両データベースに記録された特徴点や特徴量を特定する。車両特定モジュール41は、車両データベースにおいて、この特定した特徴点や特徴量に対応付けられた車両の識別子を特定する。車両特定モジュール41は、この車両の識別子を特定することにより、整備対象となる車両を特定する。
【0057】
また、車両特定モジュール41は、整備作業者端末やその他の端末や装置類等が入力を受け付けた整備対象となる車両の識別子を取得する。このとき、整備作業者端末やその他の端末や装置類等は、この整備対象となる車両の識別子の入力を受け付ける。整備作業者端末やその他の端末や装置類等は、この受け付けた識別子を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この識別子を受信することにより、整備対象となる車両の識別子を取得する。車両特定モジュール41は、この取得した識別子を、整備対象となる車両の識別子であると特定する。車両特定モジュール41は、この車両の識別子を取得することにより、整備対象となる車両を特定する。
【0058】
習熟度判定モジュール42は、第1整備作業画像の解析結果に基づいて、整備作業者の習熟度を判定する(ステップS13)。ステップS13において、第1整備作業画像から抽出した特徴点や特徴量に基づいて、この第1整備作業画像に写っている整備作業者の動作を特定する。習熟度判定モジュール42は、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の動作を特定する。習熟度判定モジュール42は、例えば、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の身体の動き、整備作業者が使用している工具類の動き、車両と整備作業者との位置関係を動作として特定する。
【0059】
習熟度判定モジュール42は、予め、整備作業者の動作と、この動作をする整備作業者の整備作業の習熟度とを対応付けて記録した習熟度データベースを参照することにより、この整備作業者の習熟度を特定する。この習熟度データベースは、記録モジュール30に記録されたものである。この習熟度は、整備作業者の整備作業に対する熟練の程度を数値化したものである。この習熟度は、例えば、所定数の段階に分けられたものであり、整備作業の熟練の度合いが高い程、高い数値となり、低い程、低い数値となる。具体的には、1から10までの段階に分けられており、熟練の度合いが高いほど10に近づいていくものである。
【0060】
習熟度判定モジュール42は、特定した動作と、習熟度データベースに記録された動作とを比較し、この特定した動作と一致する習熟度データベースに記録された動作を特定する。習熟度判定モジュール42は、習熟度データベースにおいて、この特定した動作に対応付けられた習熟度を特定する。習熟度判定モジュール42は、この特定した習熟度を、この整備作業者の習熟度として判定する。
【0061】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両と、判定した習熟度とに基づいて、この整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報を決定する(ステップS14)。ステップS14において、サポート情報は、例えば、上述したような、工具類の使用方法の指示、身体の位置の指示、作業内容の指示といった整備作業者が整備作業を実行するために必要な動作に関する情報である。
【0062】
サポート情報決定モジュール43は、予め、車両の識別子及び整備作業者の習熟度と、サポート情報とを対応付けて記録したサポート情報データベースを参照することにより、サポート情報を決定する。このサポート情報データベースは、記録モジュール30に記録されたものである。サポート情報決定モジュール43は、特定した車両の識別子及び判定した習熟度と、サポート情報データベースに記録された車両の識別子及び習熟度とを比較し、この特定した車両の識別子及び判定した習熟度と一致するサポート情報データベースに記録された車両の識別子及び習熟度を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定した車両の識別子及び習熟度に対応付けられたサポート情報を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定したサポート情報を、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。
【0063】
サポート情報決定モジュール43が決定するサポート情報の一例について説明する。
【0064】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両の識別子が0001であり、判定した習熟度が3である場合、サポート情報データベースにおける車両の識別子「0001」及び習熟度「3」に対応付けられたサポート情報を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定したサポート情報を、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。
【0065】
出力モジュール21は、整備作業者の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力させる(ステップS15)。ステップS15において、出力モジュール21は、決定したサポート情報を、整備作業者端末に出力させる。出力モジュール21は、整備作業者端末に、このサポート情報を送信する。整備作業者端末は、このサポート情報を受信する。
【0066】
整備作業者端末は、受信したサポート情報を自身の表示部に拡張現実として表示する。このとき、整備作業者端末は、自身の表示部に表示する車両に重なるように、このサポート情報を拡張現実として表示する。整備作業者端末は、車両の一部又は全部や、整備対象とする部位の一部又は全部に重なるように、この拡張現実を表示する。
【0067】
この結果、コンピュータ10は、このサポート情報を、整備作業者端末に出力させることになる。また、整備作業者端末は、このサポート情報を、自身の表示部に出力することになる。したがって、整備サポート拡張現実出力システム1は、整備作業者端末の表示部に、決定したサポート情報を車両に重なるように拡張現実として出力することになる。
【0068】
図6に基づいて、出力モジュール21が、整備作業者端末に出力させるサポート情報について説明する。図6は、出力モジュール21が整備作業者端末にサポート情報を拡張現実として出力させた一例を模式的に示す図である。図6において、整備作業者端末は、自身の表示部100に、車両110を表示している。整備作業者端末は、サポート情報120を拡張現実として、車両110に重なる位置に表示する。このとき、整備作業者端末は、車両110の特に、整備対象とする部位に重ねて、サポート情報120を拡張現実として表示する。出力モジュール21は、このように、整備作業者端末の表示部が表示する車両110に重なる位置に、サポート情報120を表示させる。
【0069】
以上が、整備サポート拡張現実出力処理である。
【0070】
[習熟度評価処理]
図4に基づいて、整備サポート拡張現実出力システム1が実行する習熟度評価処理について説明する。図4は、コンピュータ10が実行する習熟度評価処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、上述した処理と同様の処理については、その詳細な説明は省略する。
【0071】
第2整備作業画像取得モジュール22は、出力モジュール21がサポート情報を出力後、整備作業者の整備作業の風景を撮影した第2整備作業画像を取得する(ステップS20)。ステップS20において、第2整備作業画像取得モジュール22が取得する第2整備作業画像は、出力モジュール21が整備作業者端末にサポート情報を出力させた後の状態における整備作業者の整備作業の風景を撮影したものである。ステップS20の実質的な処理は、上述したステップS10の処理と同様である。
【0072】
解析モジュール40は、取得した第2整備作業画像を解析する(ステップS21)。ステップS21の処理は、上述したステップS11の処理と同様である。ただし、本処理では、解析モジュール40は、整備作業者のみを解析する。
【0073】
習熟度評価モジュール44は、解析結果に基づいて、この整備作業者の習熟度を評価する(ステップS22)。ステップS22において、整備作業者の習熟度の評価は、整備作業者がサポート情報に則した動作や作業を達成した回数に基づいて、この整備作業者の習熟度を数値化したものである。習熟度評価モジュール44は、第2整備作業画像から抽出した特徴点や特徴量に基づいて、この第2整備作業者に写っている整備作業者の動作を特定する。習熟度評価モジュール44は、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の動作を特定する。例えば、習熟度評価モジュール44は、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の身体の動き、整備作業者が使用している工具類の動き、車両と整備作業者との位置関係を動作として特定する。
【0074】
習熟度評価モジュール44は、今回決定したサポート情報に則した動作や作業を達成した回数をカウントする。習熟度評価モジュール44は、この回数が、規定の回数を超えている場合、予め、整備作業者の識別子と、過去のこの整備作業者の習熟度の評価とを対応付けて記録した評価データベースを更新する。この評価データベースは、記録モジュール30に記録されたものである。整備作業者の識別子は、例えば、整備作業者端末の識別子、整備作業者の氏名、管理番号、顔写真である。この習熟度の評価は、例えば、所定数の段階に分けられたものであり、整備作業者がサポート情報に則した動作や作業を達成した回数が規定回数を超えた場合を数値化したものである。この習熟度の評価は、規定回数を達成した回数が多い程、高い数値となり、少ない程、低い数値となる。具体的には、1から10までの段階に分けられており、規定回数を達成した回数が多いほど10に近づいていくものである。
【0075】
習熟度評価モジュール44は、特定した動作に基づいて、今回決定したサポート情報に則した動作や作業を達成した回数が、規定の回数を超えている場合、評価データベースにおけるこの整備作業者の識別子に対応付けられたこの整備作業者の習熟度の評価を特定する。習熟度評価モジュール44は、この特定した習熟度の評価を1段階上昇させる。
【0076】
一方、習熟度評価モジュール44は、特定した動作に基づいて、今回決定したサポート情報に則した動作や作業を達成した回数が、規定の回数を超えていない場合、この特定した習熟度の評価を上昇させずに、維持する。
【0077】
習熟度評価モジュール44は、この1段階上昇させた評価に基づいて、評価データベースを更新する(ステップS23)。ステップS23において、習熟度評価モジュール44は、この評価データベースにおいて、今回対象となる整備作業者の識別子に対応付けられた習熟度の評価を、1段階上昇させる。習熟度評価モジュール44は、この上昇させた習熟度の評価を、評価データベースに記録する。その結果、習熟度評価モジュール44は、評価データベースを更新する。
【0078】
上述したステップS14の処理に際して、サポート情報決定モジュール43は、この習熟度の評価を加味して、サポート情報を決定する。この場合について説明する。
【0079】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両と、判定した習熟度と、この整備作業者の習熟度の評価とに基づいて、この整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報を決定する。
【0080】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両及び判定した習熟度と、この整備作業者の習熟度の評価とに基づいて、サポート情報を決定する。サポート情報決定モジュール43は、この整備作業者の習熟度の評価と、判定したこの整備作業者の習熟度とに基づいて、サポート情報の決定に用いる整備作業者の習熟度を決定する。このとき、例えば、サポート情報決定モジュール43は、整備作業者の習熟度の評価と、判定した整備作業者の習熟度とのうち、より低い数値のもの又はより高い数値のものを、サポート情報の決定に用いる整備作業者の習熟度として決定する。また、サポート情報決定モジュール43は、判定した整備作業者の習熟度に、整備作業者の習熟度の評価に応じた所定の係数を加算、減算等の所定の処理を行うことにより、サポート情報の決定に用いる整備作業者の習熟度として決定する。
【0081】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両の識別子及び今回決定した整備作業者の習熟度と、サポート情報データベースに記録された車両の識別子及び習熟度とを比較し、この特定した車両の識別子及び判定した習熟度と一致するサポート情報データベースに記録された車両の識別子及び習熟度を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定した車両の識別子及び習熟度に対応付けられたサポート情報を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定したサポート情報を、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。
【0082】
サポート情報決定モジュール43が決定するサポート情報の一例について説明する。
【0083】
サポート情報決定モジュール43は、特定した車両の識別子が0002であり、判定した習熟度が3であり、この整備作業者の習熟度の評価が4である場合、サポート情報決定モジュール43は、この整備作業者の習熟度を、低い数値である、判定した習熟度の3に基づいて決定する。サポート情報決定モジュール43は、サポート情報データベースにおける車両の識別子「0002」及び習熟度「3」に対応付けられたサポート情報を特定する。サポート情報決定モジュール43は、この特定したサポート情報を、整備作業者がこの車両を整備するためのサポート情報として決定する。
【0084】
ここで、低い習熟度の数値を用いる理由は、この整備作業者に対して、より確実なサポートが期待できるからである。なお、サポート情報決定モジュール43が実行するサポート情報の決定方法は、上述した例に限らず、適宜変更可能である。
【0085】
以上が、習熟度評価処理である。
【0086】
[報告書自動作成処理]
図5に基づいて、整備サポート拡張現実出力システム1が実行する報告書自動作成処理について説明する。図5は、コンピュータ10が実行する報告書自動作成処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、上述した処理と同様の処理については、その詳細な説明は省略する。
【0087】
第2整備作業画像取得モジュール22は、出力モジュール21がサポート情報を出力後、整備作業者の整備作業の風景を撮影した第2整備作業画像を取得する(ステップS30)。ステップS30の処理は、上述したステップS20の処理と同様である。
【0088】
解析モジュール40は、取得した第2整備作業画像を解析する(ステップS31)。ステップS31の処理は、上述したステップS21の処理と同様である。
【0089】
整備内容判定モジュール45は、解析結果に基づいて、この整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作であるか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32において、整備内容判定モジュール45は、第2整備作業画像から抽出した特徴点や特徴量に基づいて、この第2整備作業者に写っている整備作業者の動作を特定する。整備内容判定モジュール45は、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の動作を特定する。例えば、整備内容判定モジュール45は、この特徴点や特徴量の変化に基づいて、整備作業者の身体の動き、整備作業者が使用している工具類の動き、車両と整備作業者との位置関係を動作として特定する。整備内容判定モジュール45は、この特定した整備作業者の動作と、決定したサポート情報と一致するか否かを判断する。
【0090】
ステップS32において、整備内容判定モジュール45は、この整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作であると判定した場合(ステップS32 YES)、報告書自動作成モジュール46は、作業内用が適切であった旨を記載した報告書を自動作成する(ステップS33)。ステップS33において、報告書自動作成モジュール46は、所定のフォーマットに基づいて、一般的な報告書に記載される事項及び整備作業者の作業内容が適切なものであった旨を、報告書として自動作成する。報告書自動作成モジュール46は、例えば、日付、宛先、表題、本文(例えば、整備作業の作業内容が適切であった旨の内容)を所定のフォーマットに記載することにより、報告書を自動作成する。
【0091】
一方、ステップS32において、整備内容判定モジュール45は、この整備作業者の動作が、サポート情報に則した動作ではないと判定した場合(ステップS32 NO)、報告書自動作成モジュール46は、作業内用が適切でなかった旨を記載した報告書を自動作成する(ステップS34)。ステップS34において、報告書自動作成モジュール46は、所定のフォーマットに基づいて、一般的な報告書に記載される事項及び整備作業者の作業内容が適切なものではなかった旨を、報告書として自動作成する。報告書自動作成モジュール46は、例えば、日付、宛先、表題、本文(例えば、整備作業の作業内容が適切でなかった旨の内容、本来行うべき整備作業の作業内容、実際に行った動作、整備作業における改善箇所)を所定のフォーマットに記載することにより、報告書を自動作成する。
【0092】
なお、出力モジュール21は、上述したステップS34及びS35の処理により作成した報告書を整備作業者端末、その他の端末や装置類に出力させることも可能である。
【0093】
以上が、報告書自動作成処理である。
【0094】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1 整備サポート拡張現実出力システム、10 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6