(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】圧延装置
(51)【国際特許分類】
B21B 31/18 20060101AFI20221206BHJP
B21B 29/00 20060101ALI20221206BHJP
B21B 13/14 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B21B31/18 A
B21B29/00 A
B21B13/14 G
B21B13/14 D
(21)【出願番号】P 2021529780
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019083214
(87)【国際公開番号】W WO2020141033
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】102019200005.3
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】レーベシース・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ベッキング・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ランガー・ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ヘーマン・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィック・グイード
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500079(JP,A)
【文献】国際公開第2012/012815(WO,A1)
【文献】実開昭57-194701(JP,U)
【文献】米国特許第04803865(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00-35/14
B21B 13/00-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延装置(100)であって、この圧延装置が、
台架(102)と、
前記台架(102)にチョックを用いて装着されており且つ互いに相対的に軸線方向に移動可能である、少なくとも2つのロール(104-105)と、および、
前記ロール(104-105)の内の少なくとも1つのロールのチョックに所属して設けられており、且つ、このチョックに対して作用可能である、少なくとも1つの軸線方向移動装置(108)とを備えており、
前記軸線方向移動装置(108)が、
固定ブロック(110)と、
少なくとも1つの移動可能な曲げブロック(112、113)と、および、
前記曲げブロック(112、113)に所属して設けられた、少なくとも1つの移動シリンダー(114)とを有しており、
この移動シリンダー(114)によって、前記曲げブロックが、前記固定ブロック(110)に対して相対的に移動可能である、
様式の上記圧延装置において、
前記固定ブロック(110)が、
複数の部材から成るように形成されており、且つ、
中央の移動コンソール(116)、および、この移動コンソールから分離された別個の2つの保持条片(117、118)を有しており、
これら保持条片が、前記移動コンソール(116)に対して隣接して、それぞれに、この移動コンソールの上側および下側に配置されており、且つ、前記台架(102)の圧延ロールスタンドに組み付けられており、
中央の前記移動コンソール(116)が、個別部材として形成されている、
ことを特徴とする圧延装置(100)。
【請求項2】
中央の前記移動コンソール(116)は、鍛造部材の様式で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧延装置(100)。
【請求項3】
中央の前記移動コンソール(116)は、鍛造されたロッド材料から製造されていることを特徴とする請求項2に記載の圧延装置(100)。
【請求項4】
前記保持条片(117、118)は、それぞれに、単一部材として
、薄板から製造されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【請求項5】
前記保持条片(117、118)は、前記台架(102)のスタンドの横ビーム(103)に組み付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【請求項6】
前記軸線方向移動装置(108)は、上側の曲げブロック(112)と下側の曲げブロック(113)とを有しており、
これら両方の曲げブロック(112、113)が、それぞれに、前記移動コンソール(116)と、前記上側の保持条片もしくは前記下側の保持条片(117、118)との間に配置されていること、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【請求項7】
前記上側の曲げブロック(112)と前記下側の曲げブロック(113)とに、それぞれに、1つの移動シリンダー(114)が所属して設けられていることを特徴とする請求項6に記載の圧延装置(100)。
【請求項8】
曲げブロック(112、113)の外側で、この曲げブロックに対して所属して設けられた前記移動シリンダー(114)が、前記固定ブロック(110)と結合された端面プレート(120)に、フランジを介して接合されており、
前記移動シリンダー(114)のピストンロッド(115)が
、このピストンロッドの端面側でもって、強固に前記曲げブロック(112、113)と結合されていることを特徴とする請求項1または請求項1から7のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【請求項9】
前記移動シリンダー(114)は
、液圧油の様式の作動媒体の供給のために、不動の管敷設を備えていることを特徴とする請求項8に記載の圧延装置(100)。
【請求項10】
曲げブロック(112、113)、および、この曲げブロックに所属して設けられた前記移動シリンダー(114)は、モジュール式に構成されており、且つ、それぞれに、固有の構造ユニットとして形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延装置に関し、この圧延装置が、
台架と、
前記台架にチョックを用いて装着されており且つ互いに相対的に軸線方向に移動可能である、少なくとも2つのロールと、および、
前記ロールの内の少なくとも1つのロールのチョックに所属して設けられており、且つ、このチョックに対して作用可能である、少なくとも1つの軸線方向移動装置とを有している。
前記軸線方向移動装置は、
固定ブロックと、
移動可能な曲げブロックと、および、
移動シリンダーとを備えており、
この移動シリンダーによって、前記曲げブロックが、前記固定ブロックに対して相対的に移動され得る。
【背景技術】
【0002】
従来技術により、圧延装置において、ロール(ワークロール及び/またはバックアップロール)が使用され得、これらロールは軸線方向に相対して移動され、従って、このことによって、異なる圧延ロール間隙プロフィルが調節される。このことは、例えば、特許文献1、特許文献2、または、同様に特許文献3から公知である。
例えばワークロールの上記された移動の目的で、その際に1つの軸線方向移動装置が使用され、この軸線方向移動装置が、例えば、圧延装置のワークロール、もしくは、この圧延装置のワークロールチョックに対して作用可能である。
【0003】
図4および5内において、圧延装置の従来の軸線方向移動装置8が示されている。この装置は、中央の案内ウェブ11を有する1つの部材から成る固定ブロック10(
図4参照)を備えており、この案内ウェブ11が水平方向に延びている。この案内ウェブ11の上側および下側で、固定ブロック10に、保持条片17、18が形成されている。
中央の案内ウェブ11と両方の保持条片17、18とから成る、1つの部材から成る固定ブロック10は、T字形の鍛造部材として製造されている。
【0004】
従来の軸線方向移動装置8は、上側の曲げブロック12と下側の曲げブロック13とを有している。これら曲げブロック12、13は、それぞれに、固定ブロック10の中央の案内ウェブ11の両側に配置されており、且つ、案内ウェブ11と外側の保持条片17、18との間で、移動可能に案内されている。
曲げブロック12、13の内側に、それぞれに、移動シリンダー14が収容されており、これら移動シリンダーのピストンロッド15が、固定ブロック10に附設された端面プレート20と強固に結合されている。この移動シリンダー14の操作によって、固定ブロック10に対して、もしくは、この固定ブロックの中央の案内ウェブ11に対して相対的な、両方の曲げブロック12、13の移動は達成される。このことは、
図5の透視図内において図示されている。
【0005】
図4~5に従う従来の軸線方向移動装置8において、固定ブロック10は、前記されたように1つの部材から成るように、通常は鍛造部材として、高い未加工部材コスト、および、場合によっては生じる修理の際の制限された使用可能性の欠点を有して構成されている。
それに加えて、この1つの部材から成る固定ブロック10の製造および組み付けが手間暇がかかることは生じる(tritt)。
この鍛造部材の設計は、即ち、その案内ウェブに沿って両方の曲げブロック12、13が移動可能に案内されている、高負荷がかけられる該案内ウェブ11に対応している。
【0006】
従来のこの軸線方向移動装置8の更なる欠点は、移動シリンダーが、移動可能な曲げブロック12、13の内側で統合されていることにある。このことは、必要な作動媒体(例えば、液圧油)の供給の目的で、この移動シリンダーのための管接続部を必要とする。
曲げブロックの内側の移動シリンダーの統合は、同様に、これら曲げブロックが、この移動シリンダーのストロークに相応して、長く構成されており、且つ、これに伴って、不利に、大きな構造空間を必要とすることも誘起する。移動シリンダーのメンテナンスもしくは修理は、曲げブロックの取り外しを必要とし、その際、軸線方向移動システムが、ほぼ完全に、取り外し装置を用いて、取り外しされる必要がある。同様に、このことは、不利に、過度に高いコストを誘起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第1 648 626 B1号明細書
【文献】欧州特許第1 436 104 B1号明細書
【文献】オーストリア国特許出願公開第509 455 A4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
相応して、本発明の根底をなす課題は、1つの圧延装置を提供することであり、この圧延装置において、ロールの位置調節のための軸線方向移動装置が、より少ない手間でもって、且つ、より廉価に製造可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴によって提供される圧延装置によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項内において規定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による圧延装置は、圧延作業における圧延ロール間隙を、可変に調節可能とするために利用される。
そのような圧延装置は、
台架と、
前記台架にチョックを用いて装着されており且つ互いに相対的に軸線方向に移動され得る、少なくとも2つのロールと、および、
前記ロールの内の少なくとも1つのロールのチョックに所属して設けられており、且つ、このチョックに対して作用可能である、少なくとも1つの軸線方向移動装置とを備えている。
前記軸線方向移動装置は、
固定ブロックと、
少なくとも1つの移動可能な曲げブロックと、および、
前記曲げブロックに所属して設けられた、少なくとも1つの移動シリンダーとを有しており、
この移動シリンダーによって、前記曲げブロックが、前記固定ブロックに対して相対的に移動可能である。
前記固定ブロックは、
複数の部材から成るように形成されており、且つ、
中央の移動コンソール、および、この移動コンソールから分離された別個の2つの保持条片を有しており、
これら保持条片が、前記移動コンソールに対して隣接して、それぞれに、この移動コンソールの上側および下側に配置されており、且つ、前記台架の圧延ロールスタンドに組み付けられている。
中央の前記移動コンソールは、個別部材として形成されている。
【0011】
本発明は、固定ブロックの複数の部材から成るような構成に基づいて、移動可能な曲げブロックの案内および収容のために利用されるこの固定ブロックの中央部材だけを、相応して構成することが可能であることの重要な認識を基礎としている。その際、固定ブロックが、-中央部材として-曲げブロックの保持および案内のために必要な特性を有する中央の移動コンソールを有する場合、合目的である。例えば、この移動コンソールが、個別部材として、特に鍛造部材の様式で形成されていること、または、鍛造されたロッド材料から製造されていることは可能である。
上記のことに対して、移動コンソールから分離されて、保持条片として形成されていることが可能である、固定ブロックの縁部領域は、単一部材として、特に低廉の薄板から製造されていることは可能である。何故ならば、これら保持条片が、-この保持条片の名称に相応して-ただ曲げブロックの保持機能を引き受けるだけであるからである。
これに伴って、複数の部材から成る固定ブロックは、3つの機能的な領域を備えており、これら領域が、細部において、移動コンソール、および、両方の外側の(上側の+下側の)保持条片から形成されている。
【0012】
固定ブロックの、前記で説明された複数部材性により、一方では、この固定ブロックの未加工部材コストは低減される。何故ならば、半製品の様式の標準規格寸法もしくは標準規格材料が使用され得るからである。他方また、同様に、軸線方向移動装置のための組み付けコストも低減される。何故ならば、この組み付けが、より小さな構造部材のおかげで容易化されているからである。更に、圧延装置のために、より小さなスタンド窓遊隙は達成される。何故ならば、固定ブロック許容差の積算が行われなくて良いからである。
【0013】
本発明の有利な更なる構成において、
曲げブロックの外側で、この曲げブロックに対して所属して設けられた前記移動シリンダーは、前記固定ブロックと結合された端面プレートに、フランジを介して接合されていることは可能であり、
その際、前記移動シリンダーのピストンロッドが、前記曲げブロックとの相互作用の状態にある。
【0014】
本発明の上記の後者で述べた更なる構成において、重要な利点は、その際に使用される移動シリンダーが標準規格シリンダーであることが可能であり、これら標準規格シリンダーが、廉価に、追加購入部材として調達され得ることにある。このことによって、これら移動シリンダーは、予備部材として保持され得、このことは、本発明のための改善されたメンテナンス利便性および修理利便性を誘起する。
移動シリンダーのこの外部の配置、即ち曲げブロックの外側での配置、の更なる利点は、これに伴って、曲げブロックの軸線方向の長さが、これら曲げブロックの移動方向の方向に、より小さく選択され得、何故ならばこの長さがほとんど移動ストロークに依存しないからである、ということにある。
このことによって、有利には、これら曲げブロックのためのよりコンパクトな構造様式が達成される。
【0015】
前記で説明された、固定ブロックの端面プレートにおける移動シリンダーの外部の配置は、本発明の趣旨において、このことによって、一方では曲げブロックの、および、他方では移動シリンダーのモジュール式の構成が達成され、従って、これら要素が、固有の構造ユニットを形成する、というように理解されるべきである。
この方法において、曲げブロックを修正すること無しに、移動ストロークを、移動シリンダーの交換によって変化させることは可能である。このことによって、前記で説明された構造ユニットの組み付けおよび取り外しは容易化される。
【0016】
本発明の有利な更なる構成において、1つの移動シリンダー、有利にはこれら移動シリンダーは、(それぞれに)作動媒体、例えば液圧油の供給のために、不動の管敷設を備えていることは意図され得る。
【0017】
このことによって、作動媒体のための供給ユニットに対する移動シリンダーの永続的な接続は達成され、その際、場合によっては、移動シリンダーから切り離されるべき不利な管接続部は省略される。
【0018】
本発明の更なる利点は、以下の観点:即ち、
- 固定ブロックの説明された複数部材性のおかげでの、より良好な外からの取り扱い可能性、および、よりコンパクトな構造様式;
- 機能的な3つの領域(即ち、(i)移動コンソール、および、(ii)および(iii)上側+下側の保持条片)への、固定ブロックの分割によって条件付けられて、負荷に相応して、合目的に適当な材料および製造方法が選択され得る;
- 個々の構造部材の重量低減のおかげでの、改善されたメンテナンスおよび組み付け、によって理由付けられる。
【0019】
以下で、本発明の実施例を、概略的に簡略的された図に基づいて、詳細において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に従う圧延装置の、側方の2つの横ビームの透視図である。
【
図2】
図1の圧延装置の際に使用される、軸線方向移動装置の部材としての、固定ブロックの透視図である。
【
図3】
図1の圧延装置の際に使用される、軸線方向移動装置の透視図である。
【
図4】従来の圧延装置、および、この従来の圧延装置の部材の、異なる矢視図である。
【
図5】従来の圧延装置、および、この従来の圧延装置の部材の、異なる矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で、
図1から3までとの関連のもとで、本発明に従う圧延装置100の有利な実施形態が示され且つ説明され、この圧延装置において、軸線方向移動装置108(
図3参照)を用いて、この圧延装置100の圧延作業における圧延ロール間隙(図示されていない)が、可変に調節され得る。
図内における同じ特徴は、それぞれに、同じ参照符号を備えている。ここで、別途に、この図が、単に簡略的に、且つ、特に尺度無しに図示されているということは指摘される。
【0022】
図1は、例示的に圧延装置100を示しており、この圧延装置が、いわゆる4重式設備として形成されており、この4重式設備において、台架102に、2つのワークロール104、105、および、これらワークロールに対して隣接して2つのバックアップロール(示されていない)が設けられている。
選択的に、この目的のために、同様に、例えば6重式設備の様式の、圧延ロールの他の数も可能であり、この6重式設備において、ワークロールとバックアップロールとの間に、更に付加的な中間ロールが設けられている。いずれの場合でも、これらワークロール104、105の間で、圧延ロール間隙が、圧延されるべき材料もしくは金属ストリップのために形成される。
この圧延ロール間隙のプロフィルは、ワークロール104、105の圧下調節によって調節される。これに伴って、この圧延ロール間隙のプロフィルは、軸線方向移動装置108を用いて、適当に調節され得る。
【0023】
図1内における図示に基づいて、圧延装置100の台架102内において、両方のワークロール104、105が保持されており、その際、同様に、この台架102のスタンドの横ビーム9が示されている。ワークロール104、105の内の少なくとも1つのワークロールは、このワークロールの軸線方向延在の方向に、軸線方向移動装置108によって移動され得る。
以下で、この軸線方向移動装置108の更なる詳細を、詳しく説明する。
【0024】
軸線方向移動装置108は、-
図2の透視図から見て取れるように-固定ブロック110を備えており、この固定ブロックが、複数の部材から成るように、即ち、中央の移動コンソール116、および、この移動コンソールから分離された上側の保持条片117と下側の保持条片118との様式の別個の2つの保持条片の様式で形成されている。
これら保持条片117、118は、圧延装置100(
図1参照)の台架102の圧延ロールスタンドに組み付けられている。
【0025】
軸線方向移動装置108は、移動可能な曲げブロック、即ち、上側の曲げブロック112と下側の曲げブロック113とを備えており、その際、これら曲げブロック112、113が、移動コンソール116に沿って、移動可能に案内されている。
細部において、上側の曲げブロック112は、移動コンソール116と上側の保持条片117との間に配置されており、その際、下側の曲げブロック113が、移動コンソール116と下側の保持条片118との間に配置されている。このことは、
図3の透視図内において示されている。
移動コンソール116に沿っての、曲げブロック112、113の移動のために、それぞれに、移動シリンダー114が設けられており、これら移動シリンダーは、それぞれに、曲げブロック112、113の外側に配置されており、且つ、固定ブロック110と結合された端面プレート120に、フランジを介して接合されている。
移動シリンダー114のピストンロッドは、端面プレート120を貫通しており、且つ、曲げブロック112、113に固定されている。
移動シリンダー114の作動(Aktuierung)により、曲げブロック112、113が、規定通りに、移動コンソール116に沿って、もしくは、この移動コンソールに対して相対的に移動されることは達成される。
【0026】
ここで、別途に、それに従って1つの移動シリンダー114の1つのピストンロッド115が、(所属して設けられた)1つの曲げブロック112、113との相互作用の状態にあることの特徴が、ピストンロッド115が、-つい今しがた説明されているように-このピストンロッドの端面側でもって、強固に曲げブロック112、113と結合されているというように理解されるべきであることは指摘される。
その結果として、曲げブロック112、113は、ピストンロッド115の並進的な移動の際に、このピストンロッドに対して同期して、即ち両方の方向に、移動コンソール116に沿って移動される。
【0027】
軸線方向移動装置108の曲げブロック112、113が、(示されていない)ワークロールチョックに所属して設けられていることは可能であり、且つ、移動シリンダー114の作動の際に、これらチョックに対して作用する。
これに伴って、曲げブロック112、113の移動がワークロール104、105の相応する軸線方向の移動を誘起し、このことによって、圧延ロール間隙の所望されたプロフィルが達成される。
【0028】
曲げブロック112、113内において、それぞれに1つの曲げシリンダー122が収容されており(
図3参照)、この曲げシリンダーによって、所属して設けられたワークロールの合目的な曲げが達成される。
図3の図示内において、そのような1つの曲げシリンダー122の頭部だけが認識され得る。
【0029】
作動媒体、特に液圧油による移動シリンダー114の供給は、(示されていない)管敷設によって達成され得、この管敷設が、有利には強固もしくは永続的に、移動シリンダー114と接続されている。
【0030】
一方では曲げブロック112、113、および、他方では移動シリンダー114は、モジュール式に構成されており、且つ、このことによって、固有の構造ユニットとして形成されている。
このことは、容易且つ低廉な軸線方向移動装置108の組み付けを可能にし、および、必要の際に、本発明に従う圧延装置100の必要な修理またはメンテナンスの場合において、同様にこの構造ユニットの可能な交換をも可能にする。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 圧延装置(100)であって、この圧延装置が、
台架(102)と、
前記台架(102)にチョックを用いて装着されており且つ互いに相対的に軸線方向に移動可能である、少なくとも2つのロール(104-105)と、および、
前記ロール(104-105)の内の少なくとも1つのロールのチョックに所属して設けられており、且つ、このチョックに対して作用可能である、少なくとも1つの軸線方向移動装置(108)とを備えており、
前記軸線方向移動装置(108)が、
固定ブロック(110)と、
少なくとも1つの移動可能な曲げブロック(112、113)と、および、
前記曲げブロック(112、113)に所属して設けられた、少なくとも1つの移動シリンダー(114)とを有しており、
この移動シリンダー(114)によって、前記曲げブロックが、前記固定ブロック(110)に対して相対的に移動可能である、
様式の上記圧延装置において、
前記固定ブロック(110)が、複数の部材から成るように形成されていることを特徴とする圧延装置(100)。
2. 圧延装置(100)であって、この圧延装置が、
台架(102)と、
前記台架(102)にチョックを用いて装着されており且つ互いに相対的に軸線方向に移動可能である、少なくとも2つのロール(104-105)と、および、
前記ロール(104-105)の内の少なくとも1つのロールのチョックに所属して設けられており、且つ、このチョックに対して作用可能である、少なくとも1つの軸線方向移動装置(108)とを備えており、
前記軸線方向移動装置(108)が、
固定ブロック(110)と、
少なくとも1つの移動可能な曲げブロック(112、113)と、および、
前記曲げブロック(112、113)に所属して設けられた、少なくとも1つの移動シリンダー(114)とを有しており、
この移動シリンダー(114)によって、前記曲げブロックが、前記固定ブロック(110)に対して相対的に移動可能である、
様式の上記圧延装置において、
曲げブロック(112、113)の外側で、この曲げブロックに対して所属して設けられた前記移動シリンダー(114)が、前記固定ブロック(110)と結合された端面プレート(120)に、フランジを介して接合されており、
前記移動シリンダー(114)のピストンロッド(115)が、前記曲げブロック(112、113)との相互作用の状態にある、
ことを特徴とする圧延装置(100)。
3. 前記固定ブロック(110)は、複数の部材から成るように形成されていることを特徴とする上記2に記載の圧延装置(100)。
4. 前記固定ブロック(110)は、中央の移動コンソール(116)、および、この移動コンソールから分離された別個の2つの保持条片(117、118)を有しており、
これら保持条片が、前記移動コンソール(116)に対して隣接して、それぞれに、この移動コンソールの上側および下側に配置されている、
ことを特徴とする上記1または3に記載の圧延装置(100)。
5. 中央の前記移動コンソール(116)は、個別部材として、特に鍛造部材の様式で形成されていること、
有利には、中央の前記移動コンソール(116)が、特に鍛造されたロッド材料から製造されていること、
ことを特徴とする上記4に記載の圧延装置(100)。
6. 前記保持条片(117、118)は、それぞれに、単一部材として、特に薄板から製造されていることを特徴とする上記4または5に記載の圧延装置(100)。
7. 前記保持条片(117、118)は、前記台架(102)のスタンドの横ビーム(103)に組み付けられていることを特徴とする上記4から6のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
8. 前記軸線方向移動装置(108)は、上側の曲げブロック(112)と下側の曲げブロック(113)とを有しており、
これら両方の曲げブロック(112、113)が、それぞれに、前記移動コンソール(116)と、前記上側の保持条片もしくは前記下側の保持条片(117、118)との間に配置されていること、
ことを特徴とする上記4から7のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
9. 前記上側の曲げブロック(112)と前記下側の曲げブロック(113)とに、それぞれに、1つの移動シリンダー(114)が所属して設けられていることを特徴とする上記8に記載の圧延装置(100)。
10. 曲げブロック(112、113)の外側で、この曲げブロックに対して所属して設けられた前記移動シリンダー(114)が、前記固定ブロック(110)と結合された端面プレート(120)に、フランジを介して接合されており、
前記移動シリンダー(114)のピストンロッド(115)が、前記曲げブロック(112、113)との相互作用の状態にある、
ことを特徴とする上記1または上記3から9のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
11. 前記移動シリンダー(114)は、特に液圧油の様式の作動媒体の供給のために、不動の管敷設を備えていることを特徴とする上記2または10に記載の圧延装置(100)。
12. 曲げブロック(112、113)、および、この曲げブロックに所属して設けられた前記移動シリンダー(114)は、モジュール式に構成されており、且つ、それぞれに、固有の構造ユニットとして形成されていることを特徴とする上記1から11のいずれか一つに記載の圧延装置(100)。
【符号の説明】
【0031】
100 圧延装置
102 台架
103 横ビーム(台架102のスタンドの)
104 ロール
105 ロール
108 軸線方向移動装置
110 固定ブロック
112 上側の曲げブロック
113 下側の曲げブロック
114 移動シリンダー
115 ピストンロッド(移動シリンダー114の)
116 中央の移動コンソール
117 上側の保持条片
118 下側の保持条片
120 端面プレート(固定ブロック110の)
122 曲げシリンダー