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特許7189356メモリーモジュールおよびイージーエントリーモジュール付きシート取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】メモリーモジュールおよびイージーエントリーモジュール付きシート取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B60N2/07
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021538853
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2019129937
(87)【国際公開番号】W WO2020140870
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201910000531.3
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521290980
【氏名又は名称】▲がい▼博座椅机械部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEIPER SEATING MECHANISMS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.451 Dieqiao Road,Kangqiao Industrial Zone,Pudong,Shanghai,P.R.China 201315
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】陳 通
(72)【発明者】
【氏名】黄 彬
(72)【発明者】
【氏名】劉 珂
(72)【発明者】
【氏名】王 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】劉 東
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-238882(JP,A)
【文献】特開2017-210134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0012004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリーモジュールであって、
当該メモリーモジュールは、上部モジュール(1)および前記上部モジュール(1)に係合する下部モジュール(2)を含み、
前記上部モジュール(1)は固定ブロック(11)と、加圧舌(12)とリセットバネ(13)とを含み、前記加圧舌(12)は、前記リセットバネ(13)を介して前記固定ブロック(11)に回転可能に取り付けられ、前記リセットバネ(13)は、前記加圧舌(12)の回転に第1の駆動力を提供し、前記固定ブロック(11)は、下方に延びる上部停止点(1a)を有し、前記加圧舌(12)の前端面は、上部停止面(1b)を形成し、
前記下部モジュール(2)はガイドレール(21)と、スライディングブロック(22)と、回転ブロック(23)とねじりバネ(24)とを含み、前記回転ブロック(23)は、前記ねじりバネ(24)を介して前記スライディングブロック(22)に回転可能に取り付けられ、前記ねじりバネ(24)は、前記回転ブロック(23)の回転に第2の駆動力を提供し、前記スライディングブロック(22)は、前記ガイドレール(21)にスライド可能に取り付けられ、前記ガイドレール(21)は、ロック穴(211a)を有し、回転ブロック(23)は、ロックブロック(231)を有し、前記スライディングブロック(22)の前端は、上方に延びる第1の下部停止点(2a)を有し、前記回転ブロック(23)の後端は、上部停止点(1a)に係合する上方に延びる第2の下部停止点(2b)を有し、
前記上部停止面(1b)が、前記第1の下部停止点(2a)から離れ、前記回転ブロック(23)が第2の駆動力の作用下でその前端側が持ち上がる方向に回転する場合、前記ロックブロック(231)は、前記ロック穴(211a)に挿入され
前記加圧舌(12)が第1の駆動力の作用下で前記回転ブロック(23)を押し下げて第2の駆動力を克服しながら前記回転ブロック(23)をその後端側が持ち上がる方向に回転する場合、前記ロックブロック(231)は、前記ロック穴(211a)から離れ、前記上部停止面(1b)は、前記第1の下部停止点(2a)と接触および係合することを特徴とする、メモリーモジュール。
【請求項2】
前記固定ブロック(11)は、上部プレート部(111)と底部プレート部(112)とを含み、前記底部プレート部(112)は、前記上部プレート部(111)の下部表面から下向きに弧状に延在した後、前記上部プレート部(112)と平行に延在して、それぞれ固定弧状セクション(1121)と直線セクション(1122)とを形成し、前記加圧舌(12)の後端は、上向きに弧状に延在して加圧舌の弧状セクション(1211)を形成し、前記リセットバネ(13)は、第1のリード(reed)(131)と第2のリード(132)とを含み、前記第2のリード(132)は、前記第1のリード(131)の後端から上向きに弧状に延在した後、前向きに傾斜して上向きに延在し続けてリードの弧状セクション(1321)と傾斜セクション(1322)とを形成し、前記リードの弧状セクション(1321)は、前記加圧舌の弧状セクション(1211)に収容されて係合し、前記加圧舌の弧状セクション(1321)は、前記固定弧状セクション(1121)に収容されて係合し、前記傾斜セクション(1322)は、前記上部プレート部(111)と係合し、前記第1のリード(131)は、前記直線セクション(1122)に向かって前記加圧舌(12)に第1の駆動力を提供することを特徴とする、請求項1記載のメモリーモジュール。
【請求項3】
前記固定ブロック(11)は、連結リブ(113)をさらに含み、前記連結リブ(113)は、それぞれ前記上部プレート部(111)と前記底部プレート部(112)とに垂直延在しかつ前記上部プレート部(111)と前記底部プレート部(112)との間に設置され、前記加圧舌(12)は、舌スロット(121a)によって間隔された側部セクションを含み、前記リセットバネ(13)は、リードスロット(13a)によって間隔された側部セクションを含み、前記連結リブ(113)は、前記舌スロット(121a)と前記リードスロット(13a)とに挿入されて係合することを特徴とする、請求項2に記載のメモリーモジュール。
【請求項4】
前記傾斜セクション(1322)は、突起(1322a)を有し、前記上部プレート部(111)は、凹部(111a)を有し、前記突起(1322a)は、前記凹部(111a)に延びて係合することを特徴とする、請求項2に記載のメモリーモジュール。
【請求項5】
前記加圧舌(12)は、第1の舌プレート部(121)と、傾斜部(122)と第2の舌プレート部(123)とを含み、前記傾斜部(122)は、平行する前記第1の舌プレート部(121)と前記第2の舌プレート部(123)との間に設置されかつ前記第1の舌プレート部(121)と前記第2の舌プレート部(123)とを連結することを特徴とする、請求項2に記載のメモリーモジュール。
【請求項6】
前記上部モジュール(1)は、前記加圧舌(12)に取り付けられたプルタブ(14)をさらに含み、前記プルタブ(14)は、湾曲部セクション(141)を有し、前記傾斜部(122)は、貫通孔(122a)を有し、前記湾曲部セクション(141)は、前記貫通孔(122a)に挿入されて係合することを特徴とする、請求項5に記載のメモリーモジュール。
【請求項7】
前記ガイドレール(21)は、底壁(211)と、底壁(211)に垂直に延在する二つの側壁(212)とを含み、前記スライディングブロック(22)は、互いに平行する二つの縦壁(221)と縦梁(221)に垂直に延在しかつ縦梁(221)を連結する二つの横梁(222)とを含む、長方形のフレーム構造であり、前記縦梁(221)の底部表面と外側表面との両方は、突起半球形構造を有し、前記突起半球形構造は、前記ガイドレール(21)の前記底壁(211)と前記側壁(212)とにスライド可能に係合することを特徴とする、請求項1に記載のメモリーモジュール。
【請求項8】
前記下部モジュール(2)は、前記スライディングブロック(22)に固定連結された回転軸(25)をさらに含み、前記回転軸(25)にスリーブ設置されたねじりバネ(24)は、第1のねじりアーム(241)と、第2のねじりアーム(242)と、連結アーム(243)とを含み、前記連結アーム(243)は、前記第1のねじりアーム(241)と前記第2のねじりアーム(242)との間に設置されかつ前記第1のねじりアーム(241)と前記第2のねじりアーム(242)とを連結し、前記連結アーム(243)は、前記回転ブロック(23)の上部表面に押し付けられ、前記連結アーム(243)から離れた前記第1のねじりアーム(241)と前記第2のねじりアーム(242)との自由端は、前記スライディングブロック(22)の上部表面に押し付けられて回転ブロック(23)に第2の駆動力を提供することを特徴とする、請求項1に記載のメモリーモジュール。
【請求項9】
イージーエントリーモジュール付きシート取付構造であって、
当該シート取付構造は、請求項1-8のいずれか1項に記載のメモリーモジュールを含むことを特徴とする、シート取付構造。
【請求項10】
当該シート取付構造は、下部スライドレール(3)と、上部スライドレール(4)と、イージーエントリーモジュール(5)とをさらに含み、前記上部モジュール(1)は、前記上部スライドレール(4)の内部に連結され、前記下部モジュール(2)は、前記下部スライドレール(3)の内部に連結され、前記上部スライドレール(4)が前記下部スライドレール(3)に対して前後に移動するように、前記上部スライドレール(4)が前記下部スライドレール(3)に連結され、前記イージーエントリーモジュール(5)は、それぞれ前記上部モジュール(1)と前記上部スライドレール(4)とに連結することを特徴とする、請求項9に記載のシート取付構造。
【請求項11】
前記下部モジュール(2)のガイドレール(21)の両端は、それぞれ第1のブラインドリベット(71)と第2のブラインドリベット(72)とを介して前記下部スライドレール(3)に連結されることを特徴とする、請求項10に記載のシート取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシートに関し、より具体的には、メモリーモジュールおよびイージーエントリーモジュール付きシート取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
二人子政策(Two-child policy)の実施に伴い、5人乗りの車は、人口の多い家族のニーズを満たすことができなくなったため、近年、7人乗りのSUVやMPVの市場シェアが年々拡大し、ますます多くの家庭の注目を集め、徐々に自動車市場の主流となっている。各列の乗客の乗降スペースに関して、特に3列目の乗客が2列目のシート一から乗車した後、簡単かつ快適に3列目に入る方法に関する問題を、イージーエントリー(easy-entry、EZE)モジュールが解決しようとしている。
【0003】
イージーエントリーモジュール付きシート取付構造は、通常、下部スライドレールと上部スライドレールとを含む、ここで、下部スライドレールは、車両の床またはフレームに対して固定され、上部スライドレールは、シート(例えば、2列目のシート)に対して固定され、上部スライドレールが下部スライドレールに対して前後に移動可能にするように、上部スライドレールは下部スライドレールに連結され、上部スライドレールのシートが前に移される場合、後席の乗客はより広い乗降スペースを確保できる。もちろん、当該イージーエントリーモジュール付きシート取付構造は、後部乗客が乗った後、上部スライドレール、即ち、シート位置を測定するように、当該下部スライドレールと上部スライドレールとの間の相対的移動を制限するスライディングレールロック機構をさらに含む。
【0004】
当該イージーエントリーモジュール付きシート取付構造は、メモリーモジュールをさらに組み込んで、シートを選択点(例えば、2列目の乗客の快適な乗車位置)から前進させ、次に、選択点を超えない位置までシートを後退させることができることが知られている。このようなメモリーモジュールは、通常スライディングレール(即ち、下部スライドレールおよび上部スライドレール)の外部に設置され、これは、大量のスペースを取り、配置が不便であるだけでなく、コストも高く、シートフレームに対応する固定構造を設計する必要さえある。外部に設置されたメモリーモジュールと比較して、スライディングレールの内部に設置されたメモリーモジュールは、著しい利点を有する。例えば、CN102126449およびCN102198808Bに開示されたメモリーモジュールは、スライディングレール以外のスペースを占有する必要がない。しかし、これらの既知のメモリーモジュール自体は、ラチェット(Ratchet wheel)等を含む複雑な部品等の、多くの部品と複雑な機構を有し、スライディングレールで占有するスペースが大きく、スライディングレールのロック機構と干渉しやすく、様々なタイプのスライディングレールへの適用が難しい。さらに、これらの既知のメモリーモジュールの多くの部品は、スライディングレールをペアにする前に組み立てる必要があり、その結果、組み立てコストが高くなる。さらに、これらの既知のメモリーモジュールは、スライディングレールにより多くのスロットを必要とするため、スライディングレールの全体的な構成が弱まり、その適用が大幅に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の技術に存在する内蔵モジュールの構造が複雑でありかつ占有するスペースがより大きい等の問題を解決するために、メモリーモジュールおよびイージーエントリーモジュール付きシート取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載のメモリーモジュールは、上部モジュールおよび上部モジュールに係合する下部モジュールを含み、上部モジュールは固定ブロックと、加圧舌とリセットバネとを含み、ここで、加圧舌は、リセットバネを介して固定ブロックに回転可能に取り付けられ、リセットバネは、加圧舌の回転に第1の駆動力を提供し、ここで、固定ブロックは、下方に延びる上部停止点を有し、加圧舌の前端面は、上部停止面を形成し、下部モジュールはガイドレールと、スライディングブロックと、回転ブロックとねじりバネとを含み、ここで、回転ブロックは、ねじりバネを介してスライディングブロックに回転可能に取り付けられ、ねじりバネは、回転ブロックの回転に第2の駆動力を提供し、スライディングブロックは、ガイドレールにスライド可能に取り付けられ、ここで、ガイドレールは、ロック穴を有し、回転ブロックは、ロックブロックを有し、スライディングブロックの前端は、上方に延びる第1の下部停止点を有し、回転ブロックの後端は、上部停止点に係合する上方に延びる第2の下部停止点を有する上部モジュールに係合する。回転ブロックが第2の駆動力の作用下で前方に傾く場合、ロックブロックは、ロック穴に挿入され、上部停止面は、第1の下部停止点から離れ、加圧舌が第1の駆動力の作用下で回転ブロックを押し下げて第2の駆動力を克服しながら回転ブロックを後方に傾ける場合、ロックブロックは、ロック穴から離れ、上部停止面は、第1の下部停止点と接触および係合する。
【0007】
固定ブロックは、上部プレート部と底部プレート部とを含み、底部プレート部は、上部プレート部の下部表面から下向きに弧状に延在した後、上部プレート部に平行に延在して、それぞれ固定弧状セクションと直線セクションとを形成し、加圧舌の後端は、上向きに弧状に延在して加圧舌の弧状セクションを形成し、リセットバネは、第1のリード(reed)と第2のリードとを含み、第2のリードは、第1のリードの後端から上向きに弧状に延在した後、前向きに傾斜して上向きに延在し続けてリードの弧状セクションと傾斜セクションとを形成し、リードの弧状セクションは、加圧舌の弧状セクションに収容されて係合し、加圧舌の弧状セクションは、固定弧状セクションに収容されて係合し、傾斜セクションは、上部プレート部と係合し、第1のリードは、直線セクションに向かって加圧舌に第1の駆動力を提供する。
【0008】
固定ブロックは、連結リブをさらに含み、当該連結リブは、それぞれ上部プレート部と底部プレート部に垂直に延在しかつ上部プレート部と底部プレート部との間に設置され、加圧舌は、舌スロットによって間隔された側部セクションを含み、リセットバネは、リードスロットによって間隔された側部セクションを含み、当該連結リブは、舌スロットとリードスロットとに挿入されて係合する。
【0009】
傾斜セクションは、突起を有し、上部プレート部は、凹部を有し、突起は、凹部に延びて係合する。
【0010】
加圧舌は、第1の舌プレート部と、傾斜部と第2の舌プレート部とを含み、ここで、傾斜部は、平行する第1の舌プレート部と第2の舌プレート部との間に設置されかつ第1の舌プレート部と第2の舌プレート部とを連結する。
【0011】
上部モジュールは、加圧舌に取り付けられたプルタブをさらに含み、当該プルタブは、湾曲部セクションを有し、傾斜部は、貫通孔を有し、当該湾曲部セクションは、貫通孔に挿入されて係合する。
【0012】
ガイドレールは、底壁と、底壁に垂直に延在する二つの側壁とを含み、スライディングブロックは、互いに平行する二つの縦壁と縦梁に垂直に延在しかつ縦梁に連結する二つの横梁とを含む、長方形のフレーム構造であり、縦梁の底部表面と外側表面との両方は、突起半球形構造を有し、当該突起半球形構造は、ガイドレールの底壁と側壁とにスライド可能に係合する。
【0013】
当該下部モジュールは、スライディングブロックに固定連結された回転軸をさらに含み、回転軸にスリーブ設置されたねじりバネは、第1のねじりアームと、第2のねじりアームと、連結アームとを含み、ここで、連結アームは、第1のねじりアームと第2のねじりアームとの間に設置されかつ第1のねじりアームと第2のねじりアームとを連結し、連結アームは、回転ブロックの上部表面に押し付け、連結アームから離れた第1のねじりアームと第2のねじりアームとの自由端は、スライディングブロックの上部表面に押し付けて回転ブロックに第2の駆動力を提供する。
【0014】
本発明に記載のイージーエントリーモジュール付きシート取付構造は、前述したメモリーモジュールを含む。
【0015】
当該シート取付構造は、下部スライドレールと、上部スライドレールとイージーエントリーモジュールとをさらに含み、ここで、上部モジュールは、上部スライドレールの内部に連結され、下部モジュールは、下部スライドレールの内部に連結され、上部スライドレールが下部スライドレールに対して前後に移動するように、上部スライドレールが下部スライドレールに連結され、イージーエントリーモジュールは、それぞれ上部モジュールと上部スライドレールとに連結される。
【0016】
下部モジュールのガイドレールの両端は、それぞれ第1のブラインドリベットと第2のブラインドリベットとを介して下部スライドレールに連結される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のメモリーモジュールおよびシート取付構造によれば、回転可能な加圧舌と回転ブロックとの係合によって、スライディングブロックのガイドレールへのロックと解除とを実現し、構造が簡単であり、ラチェット等の複雑な部品がなく、部品点数が少なく、モジュールのコストを削減し、スライディングレールの内部の占有スペースが小さく、スライディングレールのロック機構との干渉を回避し、モジュールの使用の汎用性を増加させる。特に、ガイドレールにロック穴を設計することにより、スライディングレールにスロットを多く開けないようにし、従って、スライディングレールに対する剛性を低下させることを防ぎ、実際に、スライディングレールにガイドレールを設計することにより、スライディングレールの合成を増加させることができ、ガイドレールとスライディングレールとの締結部の設置により、スライディングブロックの前後ストロークの位置制限をさらに実現することができる。さらに、本発明のシート取付構造は、イージーエントリーモジュールを介してメモリーモジュールを駆動し、イージーエントリーモジュールとメモリーモジュールとの協調運動を実現する。さらに、本発明のシート取付構造によれば、メモリーモジュールの上下部モジュールは、上下部スライドレールにペアにした後、上下部スライドレールに個別に組み付けることができるので、スライディングレールをペアにする前に大量の組み立て作業を必要とせず、組み立ての複雑性を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の好ましい実施例のメモリーモジュールの分解図である。
図2図1の上部モジュールの断面図である。
図3図1の下部モジュールの部分的断面図である。
図4図1のメモリーモジュールの動作メカニズムを示す。
図5図1のメモリーモジュールを含む本発明の好ましい実施例によるイージーエントリーモジュール付きシート取付構造の模式図である。
図6図5の下部モジュールおよび下部スライドレールの取り付けの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に結び付けて、本発明の好ましい実施例を提供しかつ詳細に説明する。
【0020】
図1に示されるように、本発明の好ましい実施例によるメモリーモジュールは、互いに係合する上部モジュール1と下部モジュール2とを含む。連結状態下で、上部モジュール1と下部モジュール2とが連動され、クラッチ状態下で、上部モジュール1は、静止した下部モジュール2に対して独立的に移動する。
【0021】
上部モジュール1は、固定ブロック11と、加圧舌12と、リセットバネ13とプルタブ14とを含み、ここで、加圧舌12は、リセットバネ13を介して固定ブロック11に取り付けられ、プルタブ14は、加圧舌12に取り付けられる。
【0022】
具体的には、固定ブロック11は、上部プレート部111と、底部プレート部112と連結リブ113とを含む、クランププレート構造であり、底部プレート部112は、上部プレート部111の下部表面から下向きに弧状に延在した後、上部プレート部111と平行に延在して、それぞれ固定弧状セクション1121と直線セクション1122(図2を参照する)とを形成し、連結リブ113は、それぞれ上部プレート部111と底部プレート部112とに垂直延在しかつ上部プレート部111と底部プレート部112との間に設置され、さらに、当該直線セクション1122の下部表面には、下方に延びる上部停止点1aが設置される(その役割は、メモリーモジュールの動作メカニズムを説明する際に説明される)。
【0023】
加圧舌12は、第1の舌プレート部121と、傾斜部122と第2の舌プレート部123とを含む、シート状の構造であり、ここで、傾斜部122は、平行する第1の舌プレート部121と第2の舌プレート部123との間に設置されかつ第1の舌プレート部121と第2の舌プレート部123とを連結する(図2を参照する)。第2の舌プレート部123から離れた第1の舌プレート部121の一端は、舌スロット121aによって間隔された第1の側部セクション121bと第2の側部セクション121cとを含み、当該第1の側部セクション121bおよび第2の側部セクション121cの自由端は、それぞれ上向きに弧状に延在して、加圧舌の弧状セクション1211を形成し、さらに、当該第2の舌プレート部123の前端面は、上部停止面1bとして形成される(図2を参照し、その役割は、メモリーモジュールの動作メカニズムを説明しる際に説明される)。組み立てられた状態下で、当該舌スロット121aは、連結リブ113と係合し、当該加圧舌の弧状セクション1211は、固定弧状セクション1121と係合して(図2を参照する)、加圧舌12の横方向の移動が制限されかつ弧の中心を回転の中心とした回転運動のみが許容される。
【0024】
リセットバネ13は、第1のリード131と第2のリード132とを含む、クリップ構造であり、ここで、第2のリード132は、第1のリード131の一端から上向きに弧状に延在した後、傾斜して上向きに延在し続けてリードの弧状セクション1321と傾斜セクション1322とを形成する(図2を参照する)。加圧舌12と同様に、自由端から離れたリセットバネ13の一端は、リードスロット13aによって間隔された側部セクションを含む。組み立てられた状態下で、当該リードスロット13aは、連結リブ113と係合し、当該リードの弧状セクション1321は、加圧舌の弧状セクション1211と係合する(図2を参照する)。さらに、図2に示されるように、傾斜セクション1322は、自由端付近に突起1322aを有し、これに対応して、上部プレート部111は、自由端付近に凹部111aを有し、当該突起1322aと凹部111aとの係合を介して、リセットバネ13の一端の相対固定を実現し、リセットバネ13の第1のリード131と第2のリード132とは、プリテンション力を有するため、当該第1のリード131は、常に下方の第1の舌プレート部121に下向きのプリ圧力を与える。
【0025】
図1に戻ると、加圧舌12の傾斜部122の中間部は、貫通孔122aを有し、プルタブ14は、湾曲部セクション141を介して当該貫通孔122aに連結固定される。
【0026】
上部モジュール1の組み立て工程は、簡単で速く、次の段階を含む。リセットバネ13のリードの弧状セクション1321を、加圧舌12の加圧舌の弧状セクション1211に側面から挿入し、次に、リセットバネ13の突起1322aが固定ブロック11の凹部111aに挿入されるまで、固定ブロック11の連結リブ113を、加圧舌12の舌スロット121aとリセットバネ13とのリードスロット13aに挿入し、次に、プルタブ14の湾曲部セクション141を加圧舌12の貫通孔122aに上方から挟み込む。
【0027】
下部モジュール2は、ガイドレール21と、スライディングブロック22と、回転ブロック23と、ねじりバネ24と回転軸25とを含み、ここで、回転ブロック23は、ねじりバネ24と回転軸25とを介してスライディングブロック22に取り付けられ、スライディングブロック22は、ガイドレール21に取り付けられる。
【0028】
具体的には、ガイドレール21は、底壁211と、底壁211に垂直に延在する二つの側壁212とを含む、U型構造であり、当該底壁211は、いくつかのロック穴211aを有する。
【0029】
スライディングブロック22は、互いに平行する二つの縦壁221と縦梁221に垂直に延在しかつ縦梁に連結する二つの横梁222とを含む、長方形のフレーム構造であり、ここで、フロント横梁222の上部表面には、上方に延びる第1の下部停止点2aが設置され(その役割は、メモリーモジュールの動作メカニズムを説明する際に説明される)、縦梁221の底部表面と外側表面とは、それぞれ突起半球形構造を有する。組み立てられた状態下で、当該突起半球形構造は、スライディングブロック22がガイドレール21内で自由にスライドすることを保証する。
【0030】
回転ブロック23は、後端には上方に延びる第2の下部停止点2bが設置される(その役割は、メモリーモジュールの動作メカニズムを説明する際に説明される)、プレート状構造であり、さらに、図3に示されるように、当該回転ブロック23は、ガイドレール21のロック穴211aと係合するように、第2の下部停止点2b付近の下部表面に下方に延びるロックブロック231が設置される。
【0031】
図1に戻ると、ねじりバネ24は、第1のねじりアーム241と、第2のねじりアーム242と、連結アーム243とを含み、ここで、連結アーム243は、第1のねじりアーム241と第2のねじりアーム242との間に設置されかつ第1のねじりアーム241と第2のねじりアーム242とを連結する。組み立てられた状態下で、回転軸25は、スライディングブロック22に固定連結され、回転軸25にスリーブ設置された回転ブロック23とねじりバネ24とは、スライディングブロック22内に収容されかつ回転軸25を中心に回転することができ、ねじりバネ24の連結アーム243は、回転ブロック23の上部表面に押し付け、連結アーム243から離れた第1のねじりアーム241と第2のねじりアーム242との自由端は、縦梁221の上部表面に押し付けることにより、ねじりバネ24を介して常に回転ブロック23の後端に、ロックブロック231が押し下げる作用力、即ち、回転ブロック23が前方に傾ける作用力を与える。本実施例において、回転軸25と縦梁221とは、しまりばめされることにより、回転軸25とスライディングブロック22とが相対回転しないことを保証し、回転軸25と回転ブロック23とは、すきまばめされることにより、回転ブロック23が回転軸25を中心に回転できることを保証する。
【0032】
図1に結び付けると、下部モジュール2の組み立て工程も、簡単で速く、次の段階を含む。回転ブロック23をスライディングブロック22のフレーム構造の内部に入れ、ねじりバネ24の連結アーム243を回転ブロック23に押し付け、回転軸をねじりバネ24のねじりアーム241および242と、回転ブロック23とスライディングブロック22とを通すように組み立て、次に前端または後端からガイドレール21にスライドする。
【0033】
以下、図4に結び付けて当該メモリーモジュールの動作メカニズムを詳細に説明する。
【0034】
初期状態下で、リセットバネ13の第1のリード131は、加圧舌12の第1の舌プレート部121に下向きのプリ圧力を与えて、加圧舌12が円弧の中心を回転中心として時計回りに回転させ、回転ブロック23の前端がその後方に傾けるように押し下げ、この時、加圧舌12の前端面によって形成された上部停止面1bは、スライディングブロック22の上方に延びる第1の下部停止点2aにと当接し、上部モジュール1が力を受けて前方に移動する場合、下部モジュール2は対応的に前に移動する。さらに、この時の固定ブロック11の下方に延びる上部停止点1aは、回転ブロック23の後端の上方に延びる第2の下部停止点2bと係合し、上部モジュール1が力を受けて後方に移動する場合、下部モジュール2も対応的に後ろに移動する。この状況下で、上部モジュール1と下部モジュール2とは、連動する。
【0035】
外力Fは、プルタブ14に作用して、リセットバネ13のプリ圧力を克服することにより、加圧舌12の前端が回転ブロック23から離れて上方に傾け、回転ブロック23の前端が加圧舌12によって押し下げられないため、ねじりバネ24(図1を参照する)の作用下で前方に傾き、回転ブロック23の後端のロックブロック231は、ガイドレール21のロック穴211aに挿入されて係合することにより、下部モジュール2は、選択された位置に固定され、この位置は、メモリー位置である。
【0036】
上方に傾いた加圧舌12は、第1の下部停止点2aの制限を受けないため、上部モジュール1の前向きの移動は、下部モジュール2から完全に独立する。
【0037】
回転ブロック23は、ねじりバネ24の作用下で前方に傾くが、その後端で上方に延びる第2の下部停止点2bは、固定ブロック11の下方に延びる上部停止点1aを依然として制限することができ、下部モジュール2は、当該メモリー位置に固定されるため、後方に移動する上部モジュール1は、第2の下部停止点2bによって停止され、最後に当該メモリー位置で終了する。その後、外力Fは、開放され、リセットバネ13のプリ圧力の作用下で、上部モジュール1と下部モジュール2とは、初期状態に戻る。
【0038】
図5に示されるように、本発明の好ましい実施例によるイージーエントリーモジュール付きシート取付構造は、上部モジュール1と、下部モジュール2と、下部スライドレール3と、上部スライドレール4とイージーエントリーモジュール5とを含み、ここで、上部モジュール1は、上部スライドレール4に連結され、下部モジュール2は、下部スライドレール3に連結され、下部スライドレール3は、自動車の床またはフレームに対して固定され、上部スライドレール4は、シートに対して固定され、上部スライドレール4が下部スライドレール3に対して前後に移動できるように、上部スライドレール4は、下部スライドレール3に連結され、イージーエントリーモジュール5は、それぞれ上部モジュール1と上部スライドレール4とに連結される。具体的には、第1の締結部6を介して、イージーエントリーモジュール5と上部モジュール1とをそれぞれ上部スライドレール4の両側に固定し、即ち、上部モジュール1は、上部スライドレール4の内部に取り付けられ、イージーエントリーモジュール5は、上部スライドレール4の外部に取り付けられる。例えば、イージーエントリーモジュール5と、上部スライドレール4と上部モジュール1との固定ブロック11を貫通する長いボルトによって取り付けて固定される。さらに、イージーエントリーモジュール5は、上部モジュール1のプルタブ14に連結されて、プルタブ14に外力Fを加える。図6は、下部モジュール2が第2の締結部7を介して下部スライドレール3の内部に取り付けられる模式図であり、当該第2の締結部7は、それぞれ下部モジュール2のガイドレール21の両端を下部スライドレール3に固定連結される、第1のブラインドリベット71と第2のブラインドリベット72とを含み、さらに、当該第1のブラインドリベット71と第2のブラインドリベット72は、下部モジュール2のスライディングブロック22の前後ストローク停止点として形成される。
【0039】
当該シート取付構造の組み立て工程も、簡単で速く、次の段階を含む。第1の締結部6を介して、イージーエントリーモジュール5と上部モジュール1とを上部スライドレール4に固定し、第2の締結部7を介して、下部モジュール2を下部スライドレール3に固定し、次に、上部スライドレール4と下部スライドレール3とをペアにする。
【0040】
以下、当該イージーエントリーモジュール付きシート取付構造の動作メカニズムを詳細に説明する。初期状態下で、上部スライドレール4は、下部スライドレール3で自由にスライドすることができ、この時、上部スライディングブロック1と下部スライディングブロック2とは、連動し、シートに前後方向の作用力を加えることにより、上部スライドレール4が前後にスライドできるようにし、第1のブラインドリベット71と第2のブラインドリベット72(図6を参照する)とで制限されたストローク範囲内で、シートは、快適な位置(メモリー位置)に調整され、スライディングレールロック機構(図示せず)で上部スライドレール4をロックすることができる。後部列の乗客の乗降が必要な場合、イージーエントリーモジュール5を起動し、スライディングレールのロック機構を解除し、同時にプルタブ14に外力F(図4を参照する)を加え、下部モジュール2は、メモリー位置に固定され、前方にシートを押すと、上部モジュール1のみが前方に移動して、第1のブラインドリベット71の制限位置に移動して、後部列の乗客の乗降を容易にする。後部列の乗客の乗降が終了した後、後方にシートを押すと、上部モジュール1は、固定された下部モジュール2によって制限され、最後にメモリー位置に停止し、その後、イージーエントリーモジュール5は、プルタブ14を開放し、初期状態に戻る。
【0041】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の上記実施例に様々な変更を加えることができる。即ち、本発明の特許請求の範囲および明細書の内容に従ってなされたすべての単純、同等の変更および修正は、本発明の特許の保護範囲に含まれる。本発明で詳述しない内容は、従来の技術内容である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6