(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】難燃剤混合物
(51)【国際特許分類】
C09K 21/12 20060101AFI20221206BHJP
C09K 21/02 20060101ALI20221206BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20221206BHJP
C08K 3/24 20060101ALI20221206BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20221206BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20221206BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20221206BHJP
C08L 67/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C09K21/12
C09K21/02
C08K5/5313
C08K3/24
C08L101/00
C08L63/00 C
C08L75/04
C08L67/06
(21)【出願番号】P 2021540524
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2019051019
(87)【国際公開番号】W WO2020147943
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(73)【特許権者】
【識別番号】519387597
【氏名又は名称】ウィリアム ブライス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM BLYTHE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Synthomer Building, Temple Fields, Harlow, Essex CM20 2BH (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー・エルケ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーロルト・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クロスリー・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バンフォード・アンドリュー
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503938(JP,A)
【文献】特開2003-226818(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105131578(CN,A)
【文献】特開平10-297920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K21/00-21/14
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとして、少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩、及び
成分Bとして、少なくとも一種
のアルカリ金属ヒドロキシルスズ酸塩(M’
2Sn(OH)
6)、アルカリ土類金属スズ酸塩(M’’SnO
3)及び/またはアルカリ土類金属ヒドロキシスズ酸塩(M’’Sn(OH)
6)、
を含む混合物。
【請求項2】
M’がNaまたはKの一つであり、そしてM’’がMg、CaまたはBaの一つである、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩が、次式(I)に相当する、請求項1または2に記載の混合物。
【化1】
式中、
R
1、R
2は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれH、線状もしくは分岐状C
1~C
18-アルキル、C
6-C
18-アリール、C
7-C
18-アリールアルキル、またはC
7-C
18-アルキルアリールであるか、またはR
1及びR
2は一緒になって一つ以上の環を形成し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基であり;
mは1~4である。
【請求項4】
R
1、R
2が、同一かまたは異なり、そしてそれぞれメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル(イソメンチル)、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2,2-ジメチルプロピル(ネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルエチル、フェニル、フェニルエチル、メチルフェニル及び/またはメチルフェニルエチルである、請求項
3に記載の混合物。
【請求項5】
Mがカルシウム、アルミニウム、亜鉛、チタンまたは鉄イオンである、請求項
3または4に記載の混合物。
【請求項6】
成分Bが、20~200m
2/gBETの表面積を有する、請求項1~5のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項7】
40~99.9重量%の成分A及び0.1~60重量%の成分Bを含む、請求項1~6のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項8】
70~99.9重量%の成分A及び0.1~30重量%の成分Bを含む、請求項1~7のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項9】
80~99重量%の成分A及び1~20重量%の成分Bを含む、請求項1~8のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項10】
更に別の成分Cとして、0~79.9重量%の窒素含有相乗剤及び/またはリン/窒素難燃剤及び/またはリン含有相乗剤、または式(II)を有する亜リン酸の塩を含む難燃剤、
[HP(=O)O
2]
2-M’’’
m+ (II)
[式中、
M’’’は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKである]
更に別の成分Dとして、0~3重量%のホスホナイトまたはホスホナイトとホスファイトとの混合物、
更に別の成分Eとして、0~3重量%の、(典型的にはC
14~C
40の鎖長を有する)長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
(上記成分の合計は常に100重量%である)、及び
更に別の成分Fとして、0~20重量%のテロマー性ホスフィン酸塩、
を含
み、前記成分Aが、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩である、請求項1~9のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項11】
40~98.9重量%の成分A、
1~39.9重量%の成分B、
0.1~59重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、請求項
10に記載の混合物。
【請求項12】
50~94.5重量%の成分A、
5~39.5重量%の成分B、
0.5~45重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、請求項
10に記載の混合物。
【請求項13】
60~94重量%の成分A、
5~30重量%の成分B、
1~35重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、請求項
10に記載の混合物。
【請求項14】
60~89.7重量%の成分A、
5~20重量%の成分B、
5~20重量%の成分C、
0.1~2重量%の成分D、
0.1~2重量%の成分E、及び
0.1~20重量%の成分F、
を含む、請求項
10に記載の混合物。
【請求項15】
成分Cが、亜リン酸とアルミニウム化合物との反応生成物を含む、請求項
10~14のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項16】
成分Cが、亜リン酸アルミニウム[Al(H
2PO
3)
3]、第二亜リン酸アルミニウム[Al
2(HPO
3)
3]、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H
2PO
3)
2*2aq]、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al
2(HPO
3)
3*4aq]、ホスホン酸アルミニウム、Al
7(HPO
3)
9(OH)
6(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5*12H
2O、Al
2(HPO
3)
3*xAl
2O
3*nH
2O(xは1~2.27であり、そしてnは1~50である)、及び/またはAl
4H
6P
16O
18を含むか、または式(III)、(IV)及び/または(V)の亜リン酸アルミニウムを含み、ここで
式(III)は、Al
2(HPO
3)
3x(H
2O)
qを含み、及び
qは0~4であり;
式(IV)はAl
2.00M
z(HPO
3)
y(OH)
vx(H
2O)
wを含み、及び
Mはアルカリ金属イオンであり、
zは0.01~1.5であり;
yは2.63~3.5であり;
vは0~2であり、そして
wは0~4であり;
式(V)はAl
2.00(HPO
3)
u(H
2PO
3)
tx(H
2O)
sを含み、及び
uは2~2.99であり、そして
tは2~0.01であり、そして
sは0~4であり;
あるいは、前記亜リン酸アルミニウムは、式(III)の亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩及び窒素不含の外来イオンとの混合物、式(IV)の亜リン酸アルミニウムとアルミニウム塩との混合物、式(IV)~(V)の亜リン酸アルミニウムと、亜リン酸アルミニウム[Al(H
2PO
3)
3]との、第二亜リン酸アルミニウム[Al
2(HPO
3)
3]との、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H
2PO
3)
2*2aq]との、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al
2(HPO
3)
3*4aq]との、ホスホン酸アルミニウムとの、Al
7(HPO
3)
9(OH)
6(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5*12H
2Oとの、Al
2(HPO
3)
3*xAl
2O
3*nH
2O(x=1~2.27、n=1~50)との及び/またはAl
4H
6P
16O
18との混合物を含む、請求項
10~15のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項17】
成分Cが、メラミンの縮合生成物、及び/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、及び/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはこれらの混合物を含むか;あるいはメレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、及び/またはこれらの混合ポリ塩を含むか;あるいは式(NH
4)
yH
3-yPO
4及び/または(NH
4PO
3)
z(yは1~3であり、そしてzは1~10000である)の窒素含有ホスフェートを含む、請求項
10~16のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項18】
前記ホスホナイト(成分D)が、以下の一般構造のものである、請求項
10~17のいずれか一つに記載の混合物。
R-[P(OR
1)
2]
m (VI)
式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機残基であり、そして
R
1は、以下の構造(VII)の化合物であり、
【化2】
または、二つの残基R
1が、以下の構造(VIII)の橋掛基を形成し、
【化3】
式中、
Aは、直接結合、O、S、C
1~C
18アルキレン(線状または分岐状)、C
1~C
18アルキリデン(線状または分岐状)であり、
R
2は、独立して、各出現において、C
1~C
12-アルキル(線状または分岐状)、C
1~C
12-アルコキシ及び/またはC
5~C
12-シクロアルキルであり、そして
nは0~5であり、そして
mは1~4である。
【請求項19】
成分Eが、炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/または亜鉛塩、及び/または炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及び/またはペンタエリトリトールとの反応生成物を含む、請求項
10~18のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項20】
前記テロマー性ホスフィン酸塩(成分F)が、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシルノニルホスフィン酸、プロピルノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル-オクチルホスフィン酸、ヘキシル-オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、エチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、エチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、エチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルエチルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルホスフィン酸及び/またはブチル4-メチルフェニルホスフィン酸の金属塩であり、及び前記金属が、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKの群からの最小一つである、請求項
10~19のいずれか一つに記載の混合物。
【請求項21】
バインダーとしての、エポキシ樹脂、ポリウレタンもしくは不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤もしくは促進剤としての;ポリマー安定剤としての、植物保護組成物としての、金属イオン封鎖剤としての、鉱油添加剤としての、腐食防止剤としての、洗剤及び洗浄剤組成物用途における、及び電子機器用途における、請求項1~20のいずれか一つに記載の混合物の使用。
【請求項22】
難燃剤としての
、難燃性ポリマー成形材料の製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、及び/またはポリエステルをもしくはセルロース単紡布および混紡布を含浸難燃加工するための、及び相乗剤としての、請求項1~20のいずれか一つに記載の混合物の使用。
【請求項23】
透明塗料及び発泡性防炎塗料のための難燃剤としての、木材及び他のセルロース系製品のための難燃剤としての、ポリマーのための反応性もしくは非反応性難燃剤としての、請求項1~20のいずれか一つに記載の混合物の使用。
【請求項24】
請求項1~20のいずれか一つに記載の混合物0.5~45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物55~99.5重量%、添加剤0~55重量%、及びフィラーまたは強化材0~55重量%を含み、但し、上記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
【請求項25】
請求項1~20のいずれか一つに記載の混合物1~30重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物10~95重量%、添加剤2~30重量%、及びフィラーまたは強化材2~30重量%を含み、但し、上記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
【請求項26】
請求項
24または
25に記載の難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品であって、ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、スチレン類、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、及び/またはポリアミドもしくはポリエステルを含むポリマーブレンド、または他のブレンドを含み;そして熱硬化性ポリマーが、エポキシド、アクリレート、ビニルエステル、不飽和ポリエステル及び/またはフェノール類をベースとする、前記難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
【請求項27】
ポリマーが、耐衝撃性ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、並びにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)ブレンドもしくはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ブレンドのタイプのブレンドまたはポリマーブレンド、及び/または熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む、請求項24~26のいずれか一つに記載の難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
【請求項28】
ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び/またはPPE/HIPSブレンドを含む、請求項27に記載の難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
【請求項29】
プラチスック成形材料をベースとして10~30重量%の量で
前記混合物を含む、請求項
24~
28のいずれか一つに記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。
【請求項30】
コネクタ、配電盤における電源接液部材(RCCB)、基板、埋め込み用材料、電力コネクタ、遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、巻き枠及びファン、保護接点、コネクタにおけるまたはこれらのための使用のための、回路基板、コネクタ用ケーシング、ケーブル、フレキシブル回路基板、携帯電話用の充電器、エンジンカバー、布帛被覆材中/上での使用のための、電気/電子分野のための部品の形の成形体
、大面積コンポーネントの形態の成形
体、及び精巧な形状を持つ複雑な設計の部品の形態の成形体中/上での使用のための、請求項
24~
29のいずれか一つに記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。
【請求項31】
電気/電子分野のための部品の形の成形体が、プリント回路基板、ハウジング、フィルム、ケーブル、スイッチ、分配基板、継電器、抵抗器、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、コントローラ、メモリ及びセンサの部品のための成形体である、請求項30に記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。
【請求項32】
大面積コンポーネントの形態の成形体が、キャビネット用ハウジング部品である、請求項30に記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非腐食性難燃剤混合物及びそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特に熱可塑性ポリマーのためには、ホイスフィン酸の塩(ホスフィネート)が、有効な難燃添加剤として判明している(DE-A-2252258(特許文献1)及びDE-A-2447727(特許文献2))。ホスフィン酸カルシウム及びホスフィン酸アルミニウムが、ポリエステル中におけるそれらの活性に関して特に効果的であることが開示されており、そしてこれらは、例えばアルカリ金属塩と比べて、ポリマー成形材料のエンジニアリング特性に対する不利な効果が少ない(EP-A-0699708(特許文献3))。更に、ホスフィネートそれ自体と比べて、全範囲のポリマーにわたって難燃剤としてより効果的に作用するホスフィネートと或る種の窒素含有化合物との相乗性の組み合わせが見出されている(PCT/EP97/01664(特許文献4)並びにDE-A-19734437(特許文献5)及びDE-A-19737727(特許文献6))。
【0003】
DE-A-19614424(特許文献7)は、ポリエステル及びポリアミド中で、窒素相乗剤と組み合わせたホスフィネートを記載している。DE-A-19933901(特許文献8)は、ポリエステル及びポリアミドのための難燃剤としてのメラミンポリホスフェートと組み合わせたホスフィネートを記載している。しかし、これらの非常に効果的な難燃剤が使用された場合、特に300℃を超える加工温度において、部分的なポリマー劣化、加えてポリマー変色の事例が生じる虞があり、及び高温多湿の条件での貯蔵では白華の事例が生じる虞がある。
【0004】
熱可塑性プラスチックは、主に溶融物で加工される。いずれのプラスチックも、熱及びせん断暴露下では、それの化学構造の変化を受けること無く、構造及び物理状体の付随して生じる変化に耐えることは殆ど無い。その結果として、架橋、酸化、分子量の変化や、それ故、物理的及び技術的特性の変化も起こり得る。加工中のポリマーへの負荷を減少するためには、問題のプラスチックによって様々な添加剤が加えられる。
【0005】
難燃剤の使用を介して、溶融物での加工中の追加的な不安定化が起こり得る。国際的な基準に従ってプラスチックの十分な難燃性を保証するためには、多くの場合に、難燃剤を高率で加えなければならない。高温下に難燃性効果を発揮するために必要な難燃剤の化学反応性は、プラスチックの加工安定性に悪影響を及ぼす結果となり得る。例えば、ポリマー劣化、架橋反応、ガス放出または変色が増強され得る。
【0006】
難燃剤、特にホスフィネートの配合は、加工機械、例えば押出機及び射出成形機の摩耗が多くなる虞がある。特に影響を受ける部材は、コンパンド及び/または射出成形の間の熱可塑化ユニット及びダイの金属部材であり得る。ポリマーの加工温度が高いほど、摩耗が起こり得る速度が速くなる。
【0007】
一般的に言えば、硬質のフィラー(例えばガラス繊維)が、(例えば難燃剤からの)腐食性脱離生成物と一緒に、工具の金属表面を摩耗させる。金属表面の材料の品質に及び使用するプラスチックに依存して、この摩耗は、搬送ユニットにおける、搬送スクリューの及び射出型の加熱ジャケットの比較的頻繁な交換を要求する。ガラス繊維強化熱可塑性ポリマーは研磨性であるために、腐食に対して搬送スクリューから保護する可能性は制限される。というのも、高耐食性の鋼は、ガラス繊維強化ポリマーの加工に必要な硬度を持たないからである。
【0008】
DIN EN ISO 8044による腐食は、金属とその環境との間の物理化学的な相互作用であり、金属の性質の、それ故、金属の機能のかなりの損失の、環境の、または金属がその一部をなす技術システムの変化がもたらし得る結果を伴うものである。
【0009】
WO-A-2009/109318(特許文献9)は、難燃性で非腐食性で、かつ易流動性のポリアミド及びポリエステル成形材料を製造するための方法を記載している。難燃剤によって引き起こされる腐食及び/または摩耗を低減するためには様々な添加剤を使用できるが、これらを防止はしない。
【0010】
US-A-2010/0001430(特許文献10)は、スズ酸亜鉛を含む難燃性化された半芳香族ポリアミドを記載しており、これは、腐食性のかなりの低減を発揮する。しかし、この場合でも、或る一定レベルの摩耗が測定可能である。
【0011】
DE-A-102010048025(特許文献11)は、良好な機械的性質を伴って高い難燃性を発揮し、及び同時に、ポリマー劣化及び分解反応による変色または白華を示さない、熱可塑性ポリマー用の難燃剤/安定剤の組み合わせを記載している。この難燃剤/安定剤の組み合わせは、低度の腐食しかしめさないことが記載されている。
【0012】
DE-A-02015004662(特許文献12)では、ホスフィネート、相乗剤及び無機亜鉛化合物を含む、難燃性でかつ非腐食性のポリアミドコンパウンドを製造するための方法が記載されている。この発明の欠点は、特に、高温度で加工されるポリアミドで発生する。安定化及び腐食防止効果は限られ、及び/または成形コンパウンドの茶色帯びの黒色への変色が起こる。
【0013】
生態毒性規制の範囲内で安定かつ非腐食性で難燃性化されたコンパンドが市場で求められている。より一層多くの用途において、難燃性化されており及び非腐食性でありかつ全ての着色剤で着色可能である必要がある、高温ポリマーの使用が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】DE-A-2252258
【文献】DE-A-2447727
【文献】EP-A-0699708
【文献】PCT/EP97/01664
【文献】DE-A-19734437
【文献】DE-A-19737727
【文献】DE-A-19614424
【文献】DE-A-19933901
【文献】WO-A-2009/109318
【文献】US-A-2010/0001430
【文献】DE-A-102010048025
【文献】DE-A-02015004662
【文献】PCT/WO97/39053
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それ故、本発明の課題の一つは、ハロゲンフリーであり、高い安定性、良好な機械的性質を示し、測定可能な腐食は示さず、かつ加工された時に変色を招く反応を示さない、難燃性化されたポリマーを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、ジアルキルホスフィン酸の塩(成分A)と、選択されたスズ酸金属塩(成分B)との混合物の使用によって達成される。この混合物は、更に別の成分も含むことができる。
【0017】
本発明の対象は、それ故、
成分Aとして、少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩、及び
成分Bとして、少なくとも一種のアルカリ金属スズ酸塩(M’2SnO3)、アルカリ金属ヒドロキシルスズ酸塩(M’2Sn(OH)6)、アルカリ土類金属スズ酸塩(M’’SnO3)及び/またはアルカリ土類金属ヒドロキシスズ酸塩(M’’Sn(OH)6)、
を含む混合物である。
【0018】
この混合物において、好ましくは、M’は、NaまたはKの一つであり、M’’はMg、CaまたはBaの一つである。
【0019】
好ましくは、前記少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩は、式(I)に相当する。
【0020】
【化1】
式中、
R
1、R
2は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれH、線状もしくは分岐状C
1~C
18-アルキル、C
6-C
18-アリール、C
7-C
18-アリールアルキル、またはC
7-C
18-アルキルアリールであるか、またはR
1及びR
2は一緒になって一つ以上の環を形成し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基であり;
mは1~4である。
【0021】
好ましくは、R1、R2は、同一かまたは異なりそしてそれぞれ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル(イソメンチル)、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2,2-ジメチルプロピル(ネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルエチル、フェニル、フェニルエチル、メチルフェニル及び/またはメチルフェニルエチルである。
【0022】
好ましくは、式(I)において、Mはカルシウム、アルミニウム、亜鉛、チタンまたは鉄イオンである。
【0023】
好ましくは、成分Bは、20~200m2/gBETの表面積を有する。
【0024】
好ましくは、該混合物は、40~99.9重量%の成分A及び0.1~60重量%の成分Bを含む。
【0025】
より好ましくは、該混合物は、70~99.9重量%の成分A及び0.1~30重量%の成分Bを含む。特に、該混合物は、90~99.5重量%の成分A及び0.5~10重量%の成分Bを含む。
【0026】
好ましくは、請求項1~8の一つ以上に記載の混合物は、更に別の成分Cとして、0~79.9重量%の窒素含有相乗剤及び/もしくはリン/窒素系相乗剤及び/もしくはリン含有相乗剤または式(II)を有する亜リン酸の塩を含む難燃剤を含み、
[HP(=O)O2]2-M’’’ m+ (II)
[式中、
M’’’は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKである]
更に別の成分Dとして、0~3重量%のホスホナイトかまたはホスホナイトとホスファイトとの混合物を含み;
更に別の成分Eとして、0~3重量%の、典型的にはC14~C40の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩を含み、
上記成分の合計は常に100重量%であり;そして
更に別の成分Fとして、0~20重量%のテロマー性ホスフィン酸塩を含む。
【0027】
好ましくは、該混合物は、
40~98.9重量%の成分A、
1~39.9重量%の成分B、
0.1~59重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む。
【0028】
より好ましくは、該混合物は、
50~94.5重量%の成分A、
5~39.5重量%の成分B、
0.5~45重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む。
【0029】
より好ましくは、該混合物は、
60~94重量%の成分A、
5~30重量%の成分B、
1~35重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む。
【0030】
最も好ましくは、該混合物は、
60~89.7重量%の成分A、
5~20重量%の成分B、
5~20重量%の成分C、
0.1~2重量%の成分D、及び
0.1~2重量%の成分E、及び
0.1~20重量%の成分F、
を含む。
【0031】
好ましくは、本発明による混合物では、成分Cは、亜リン酸とアルミニウム化合物との反応生成物を含む。
【0032】
好ましくは、成分Cは、亜リン酸アルミニウム[Al(H2PO3)3]、第二亜リン酸アルミニウム[Al2(HPO3)3]、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H2PO3)2*2aq]、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]、ホスホン酸アルミニウム、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2O、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(xは1~2.27であり、そしてnは1~50である)、及び/またはAl4H6P16O18を含むか、または式(III)、(IV)及び/または(V)の亜リン酸アルミニウムを含み、ここで式(III)は、Al2(HPO3)3x(H2O)qを含み、及び
qは0~4であり;
式(IV)はAl2.00Mz(HPO3)y(OH)vx(H2O)wを含み、
及び
Mはアルカリ金属イオンであり、
zは0.01~1.5であり;
yは2.63~3.5であり;
vは0~2であり、そして
wは0~4であり;
式(V)はAl2.00(HPO3)u(H2PO3)tx(H2O)sを含み、
及び
uは2~2.99であり、そして
tは2~0.01であり、そして
sは0~4であり;
あるいは、前記亜リン酸アルミニウムは、式(III)の亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩及び窒素不含の外来イオンとの混合物、式(IV)の亜リン酸アルミニウムとアルミニウム塩との混合物、式(IV)~(V)の亜リン酸アルミニウムと、亜リン酸アルミニウム[Al(H2PO3)3]との、第二亜リン酸アルミニウム[Al2(HPO3)3]との、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H2PO3)2*2aq]との、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]との、ホスホン酸アルミニウムとの、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2Oとの、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(x=1~2.27、n=1~50)との及び/またはAl4H6P16O18との混合物を含む。
【0033】
好ましくは、成分Cは、メラミンの縮合生成物、及び/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、及び/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはこれらの混合物を含むか;あるいはメレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、及び/またはこれらの混合ポリ塩を含むか;あるいは式(NH4)yH3-yPO4及び/または(NH4PO3)z(yは1~3であり、そしてzは1~10000である)の窒素含有ホスフェートを含む。
【0034】
好ましくは、ホスホナイト(成分D)は次の一般構造で表される:
R-[P(OR1)2]m (VI)
式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機残基であり、そして
R1は、以下の構造(VII)の化合物であり、
【0035】
【化2】
または、二つの残基R
1が、以下の構造(VIII)の橋掛基を形成し、
【0036】
【化3】
式中、
Aは、直接結合、O、S、C
1~C
18-アルキレン(線状または分岐状)、C
1~C
18-アルキリデン(線状または分岐状)であり、
R
2は、独立して、各出現において、C
1~C
12-アルキル(線状または分岐状)、C
1~C
12-アルコキシ及び/またはC
5~C
12-シクロアルキルであり、そして
nは0~5であり、そして
mは1~4である。
【0037】
好ましくは、成分Eは、炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/もしくは亜鉛塩、及び/または炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及び/もしくはペンタエリトリトールとの反応生成物を含む。
【0038】
テロマー性ホスフィン酸塩(成分F)は、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシル-ノニルホスフィン酸、プロピル-ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル-オクチルホスフィン酸、ヘキシル-オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、エチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、エチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、エチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルエチルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルホスフィン酸及び/またはブチル4-メチルフェニルホスフィン酸の金属塩であり、金属は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKの群からの最低一つである。
【0039】
また本発明は、バインダーとしての、エポキシ樹脂、ポリウレタンまたは不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤または促進剤としての;ポリマー安定剤としての、植物保護組成物としての、金属イオン封鎖剤としての、鉱油添加剤としての、腐食防止剤としての、洗剤及び洗浄剤組成物用途における、及び電子機器用途における、請求項1~20の一つ以上に記載の混合物の使用も含む。
【0040】
また本発明は、難燃剤としての、特に透明塗料及び発泡性防炎塗料のための難燃剤としての、木材及び他のセルロース系製品のための難燃剤としての、ポリマー用の反応性もしくは非反応性難燃剤としての、難燃性ポリマー成形材料の製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、及び/またはポリエステルをもしくはセルロース単紡布および混紡布を含浸難燃加工するための、及び相乗剤としての、請求項1~20の少なくとも一つに記載の混合物の使用も含む。
【0041】
また本発明は、請求項1~20の少なくとも一つに記載の混合物0.5~45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはこれらの混合物55~99.5重量%、添加剤0~55重量%、及びフィラーもしくは強化材0~55重量%を含む、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料もしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品も含み、ここで前記成分の合計は100重量%である。
【0042】
好ましくは、前記難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料もしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品は、請求項1~20の少なくとも一つに記載の混合物1~30重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはこれらの混合物10~95重量%、添加剤2~30重量%、及びフィラーもしくは強化材2~30重量%を含み、ここで前記成分の合計は100重量%である。
【0043】
好ましくは、請求項23または24に記載の難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料もしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品において、ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、スチレン類、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、及び/またはポリアミドもしくはポリエステルを含むポリマーブレンドまたは他のブレンドを含み;そして熱硬化性ポリマーは、エポキシド、アクリレート、ビニルエステル、不飽和ポリエステル及び/またはフェノール類をベースとする。
【0044】
少なくとも、本発明は、コネクタ、配電盤中の電源接液部材(RCCB)、基板、埋め込み用材料、電力コネクタ、遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、巻き枠及びファン、保護接点、コネクタにおけるまたはこれらのための使用のための、回路基板、コネクタ用ケーシング、ケーブル、フレキシブル回路基板、携帯電話用の充電器、エンジンカバー、布帛被覆材中/上での使用のための、電気/電子機器分野用の部品の形の成形体、特に、印刷回路基板、ハウジング、フィルム、ケーブル、スイッチ、分配基板、継電器、抵抗器、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、コントローラ、メモリ及びセンサの部品用の成形体、大面積コンポーネントの形態の成形体、特にキャビネット用ハウジング部品、及び精巧な形状を持つ複雑な設計の部品の形態の成形体中/上での使用のための、請求項23~25の一つ以上に記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品も包含する。
【0045】
ホスフィネートとも呼ばれる有機ホスフィン酸塩は式(I)に相当し、従来技術において既知である。本発明では、短鎖ジアルキルホスフィネート、特にジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩が好ましい。
【0046】
本発明による混合物は、様々なプラスチック及びポリマーにおいて使用することができる。
【0047】
前記プラスチックは、好ましくは、次のタイプ、すなわち耐衝撃性ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、並びにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)プラスチックタイプのブレンドまたはポリマーブレンドのタイプの熱可塑性ポリマーである。
【0048】
前記プラスチックは、より好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、熱可塑性ポリエステルエラストマー及びPPE/HIPSブレンドである。
【0049】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリケトンまたはポリウレタンなどの熱可塑性ポリマー、及び/または熱硬化性ポリマーの群に由来する。
【0050】
前記ポリマーは、好ましくは、モノ-及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、シクロオレフィンの、例えばシクロペンテンもしくはノルボルネンの付加ポリマー;並びに(場合により架橋されていてよい)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(BLDPE)、及びこれらの混合物である。
【0051】
前記ポリマーは、好ましくは、モノ-及びジオレフィン同士のまたはモノ-及びジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン-プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及びこれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン-ブテン-1コポリマー、プロピレン-イソブチレンコポリマー、エチレン-ブテン-1コポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-メチルペンテンコポリマー、エチレン-ヘプテンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマー、プロピレン-ブタジエンコポリマー、イソブチレン-イソプレンコポリマー、エチレン-アルキルアクリレートコポリマー、エチレン-アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー及びこれらと一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン-アクリル酸コポリマー及びこれらの塩(アイオノマー)、並びにエチレンとプロピレン及びジエン(例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンもしくはエチリデンノルボルネン)とのターポリマー;並びにこのようなコポリマー同士の混合物、例えばポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-ビニルアセテートコポリマー、LDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン-ビニルアセテートコポリマー、LLDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー、及び交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、及びこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物である。
【0052】
上記ポリマーは、好ましくは炭化水素樹脂(例えばC5~C9)、例えばそれらの水素化改質物(例えば粘着性付与樹脂)、及びポリアルキレンとデンプンとの混合物である。
【0053】
前記ポリマーは、好ましくはポリスチレン(Polystyrene 143E(BASF))、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)である。
【0054】
前記ポリマーは、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルメタクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレート及びメタクリレート、スチレン-無水マレイン酸、スチレン-アクリロニトリル-メチルアクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー(例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)とのより耐衝撃性の強い混合物;及びスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、またはスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである。
【0055】
前記ポリマーは、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン、ポリブタジエン-スチレンまたはポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー上にグラフトしたスチレン、ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン及びアクリロニトリル(またはメタアクリロニトリル);ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸もしくはマレイミド;ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン及びマレイミド;ポリブタジエン上にグラフトしたスチレン及びアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート;エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー上にグラフトしたスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレートもしくはポリアルキルメタクリレート上にグラフトしたスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート-ブタジエンコポリマー上にグラフトしたスチレン及びアクリロニトリル;及び例えばABS、MBS、ASAもしくはAESポリマーとして知られるような、これらの混合物である。
【0056】
前記スチレンポリマーは、好ましくは、比較的粗孔性の発泡体、例えばEPS(膨張ポリスチレン)、例えばStyropor(BASF)及び/または比較的微細な孔を有する発泡体、例えばXPS(押出硬質ポリスチレン発泡体)、例えばStyrodur(登録商標)(BASF)である。好ましいものは、ポリスチレン発泡体、例えばAustrotherm(登録商標)XPS、Styrofoam(登録商標)(Dow Chemical)、Floormate(登録商標)、Jackodur(登録商標)、Lustron(登録商標)、Roofmate(登録商標)、Styropor(登録商標)、Styrodur(登録商標)、Styrofoam(登録商標)、Sagex(登録商標)及びTelgopor(登録商標)である。
【0057】
前記ポリマーは、好ましくは、ハロゲン化ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素ゴム、イソブチレン-イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化もしくはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンとのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ-及びコポリマー、特にハロゲン化ビニル化合物のポリマー、例えばポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド;及びこれらのコポリマー、例えばビニルクロライド-ビニリデンクロライド、ビニルクロライド-ビニルアセテーロまたはビニリデンクロライド-ビニルアセテートである。
【0058】
前記ポリマーは、好ましくは、アルファ,ベータ-不飽和酸及びこれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート、ブチルアクリレートで耐衝撃性改質されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル、及び前記のモノマー同士のまたは他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル-アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル-アルコキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル-ビニルハライドコポリマー、またはアクリロニトリル-アルキルメタクリレート-ブタジエンターポリマーである。
【0059】
前記ポリマーは、好ましくは、不飽和アルコール及びアミンまたはそれらのアシル誘導体もしくはアセタールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ステアレート、ベンゾエートまたはマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン;及びこれらとオレフィンとのコポリマーである。
【0060】
前記ポリマーは、好ましくは、環状エーテルのホモ-及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはこれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0061】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン、及びコモノマー、例えばエチレンオキシドを含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートもしくはMBSで変性されたポリアセタールである。
【0062】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びこれらとスチレンポリマーもしくはポリアミドとの混合物である。
【0063】
前記ポリマーは、好ましくは、末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンと、脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、及びこれらの前駆体である。
【0064】
前記ポリマーは、好ましくは、ジアミン及びジカルボン酸から及び/またはアミノカルボン酸または対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えば、ナイロン2/12、ナイロン4(ポリ-4-アミノ酪酸、Nylon(登録商標)4、DuPont社製)、ナイロン4/6(ポリ(テトラメチレンアジパミド))、Nylon(登録商標)4/6、DuPont社製)、ナイロン6(ポリカプロラクタム、ポリ-6-アミノヘキサン酸、Nylon(登録商標)6、DuPont社製、Akulon(登録商標)K122、DSM社製;Zytel(登録商標)7301、DuPont社製;Durethan(登録商標)B29、Bayer社製)、ナイロン6/6((ポリ(N,N’-ヘキサメチレンアジパミド)、Nylon(登録商標)6/6、DuPont社製、Zytel(登録商標)101、DuPont社製;Durethan(登録商標)A30、Durethan(登録商標)AKV、Durethan(登録商標)AM、Bayer社製;Ultramid(登録商標)A3、BASF社製)、ナイロン6/9(ポリ(ヘキサメチレンノナンアミド)、Nylon(登録商標)6/9、DuPont社製)、ナイロン6/10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、Nylon(登録商標)6/10、DuPont社製)、ナイロン6/12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、Nylon(登録商標)6/12、DuPont社製)、ナイロン6/66(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド-co-カプロラクタム)、Nylon(登録商標)6/66、DuPont社製)、ナイロン7(ポリ-7-アミノヘプタン酸、Nylon(登録商標)7、DuPont社製)、ナイロン7,7(ポリヘプタメチレンピメルアミド、Nylon(登録商標)7,7、DuPont社製)、ナイロン8(ポリ-8-アミノオクタン酸、Nylon(登録商標)8、DuPont社製)、ナイロン8,8(ポリオクタメチレンスベルアミド、Nylon(登録商標)8,8、DuPont社製)、ナイロン9(ポリ-9-アミノノナン酸、Nylon(登録商標)9、DuPont社製)、ナイロン9,9(ポリノナメチレンアゼルアミド、Nylon(登録商標)9,9、DuPont社製)、ナイロン10(ポリ-10-アミノデカン酸、Nylon(登録商標)10、DuPont社製)、ナイロン10,9(ポリ(デカメチレンアゼルアミド)、Nylon(登録商標)10,9、DuPont社製)、ナイロン10,10(ポリデカメチレンセバカミド、Nylon(登録商標)10,10、DuPont社製)、ナイロン11(ポリ-11-アミノウンデカン酸、Nylon(登録商標)11、DuPont社製)、ナイロン12(ポリラウリルラクタム、Nylon(登録商標)12、DuPont社製、Grillamid(登録商標)L20、Ems Chemie社製)、m-キシレン、ジアミン及びアジピン酸から生じる芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン及びイソ-及び/もしくはテレフタル酸から製造されるポリアミド(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)並びに任意選択的に及び改質剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えばポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドもしくはポリ-m-フェニレンイソフタルアミド;上記のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合もしくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;または上記のポリアミドと、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーである。加えて、エチレン-プロピレン-ジエンゴム-(EPDM-)またはABS-改質ポリアミドまたはコポリアミド;及び加工中に縮合されるポリアミド(“RIMポリアミドシステム”)。
【0065】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾールである。
【0066】
前記ポリマーは、ジカルボン酸及びジアルコールから及び/またはヒドロキシカルボン酸または対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社製;Ultradur(登録商標)、BASF社製)、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、及びヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;並びにポリカーボネートもしくはMBSで改質されたポリエステルである。
【0067】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートである。
【0068】
前記ポリマーは、好ましくは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン;一方ではアルデヒドから、他方ではフェノール類、尿素またはメラミンから誘導される架橋されたポリマー、例えばフェノール-ホルムアルデヒド、尿素-ホルムアルデヒド及びメラミン-ホルムアルデヒド樹脂;乾性及び非乾性アルキド樹脂である。
【0069】
前記ポリマーは、好ましくは、飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステル、及び架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂、並びにそれらのハロゲン化された難燃性改質物である。
【0070】
前記ポリマーは、好ましくは、置換されたアクリル酸エステル、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導される架橋可能なアクリル樹脂を含む。
【0071】
好ましくは、前記ポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂である。
【0072】
前記ポリマーは、好ましくは、脂肪族、環状脂肪族、ヘテロ環状または芳香族ジグリシジル化合物から誘導される架橋されたエポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いてまたは用いずに、慣用の硬化剤、例えば酸無水物またはアミンにより架橋されたビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルの生成物である。
【0073】
前記ポリマーは、好ましくは、先に記載したポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、ポリアミド/EPDMもしくはABS(ポリアミド/エチレン-プロピレン-ジエンゴムまたはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PVC/EVA(ポリビニルクロライド/エチレン-ビニルアセテート)、PVC/ABS(ポリビニルクロライド/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PVC/MBS(ポリビニルクロライド/メタクリレート-ブタジエン-スチレン)、PC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PBTP/ABS(ポリブチレンテレフタレート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、PC/ASA(ポリカーボネート/アクリル酸エステル-スチレン-アクリロニトリル)、PC/PBT(ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート)、PVC/CPE(ポリビニルクロライド/塩素化ポリエチレン)、PVC/アクリレート(ポリビニルクロライド/アクリレート、POM/熱可塑性PUR(ポリオキシメチレン/熱可塑性ポリウレタン)、PC/熱可塑性PUR(ポリカーボネート/熱可塑性ポリウレタン)、POM/アクリレート(ポリオキシメチレン/アクリレート)、POM/MBS(ポリオキシメチレン/メタクリレート-ブタジエン-スチレン)、PPO/HIPS(ポリフェニレンオキシド/耐衝撃性ポリスチレン)、PPO/PA6,6(ポリフェニレンオキシド/ナイロン6,6)及びコポリマー、PA/HDPE(ポリアミド/高密度ポリエチレン)、PA/PP(ポリアミド/ポリエチレン)、PA/PPO(ポリアミド/ポリフェニレンオキシド)、PBT/PC/ABS(ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)及び/またはPBT/PET/PC(ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネート)である。
【0074】
好ましくは、プラスチック成形材料をベースとして2~50重量%の総量で難燃剤-安定化剤の組み合わせをプラスチック成形材料中に使用する。
【0075】
特に好ましくは、プラスチック成形材料をベースとして10~30重量%の総量で難燃剤-安定化剤の組み合わせをプラスチック成形材料中に使用する。
【0076】
最後に、本発明は、それぞれ本発明による難燃剤-安定化剤の組み合わせを含む、ポリマー造形品、フィルム、糸及び繊維にも関する。
【0077】
前記のポリマー造形品、フィルム、糸及び繊維は、耐衝撃性ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、並びにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリアミド、ポリエステル及び/またはABSのタイプのブレンドまたはポリマーブレンドである。
【0078】
より好ましくは、該ポリマーは、フィラー及び/または強化材が付与さていてよい、一種以上のポリアミドを含む。
【0079】
前記ポリアミドは、好ましくは、成形体、フィルム、フィラメント及び/または繊維の形である。
【0080】
本発明の使用は、好ましくは、
30~93重量%のポリアミド、
2~40重量%の、成分A)~E)からの複数種の混合物、
5~50重量%のフィラー及び/または強化材、
0~40重量%の他の添加剤、
の組成物を含む。
【0081】
驚くべきことに、ジアルキルホスフィン酸の塩とアルカリ土類金属スズ酸塩との本発明による組み合わせは、変色を起こさずに、該成形材料の加工中での改善された安定性を兼ね備えて高い難燃性を発揮することが見出された。変色反応を伴わないこれ程の腐食防止効果は、これまで、従来技術には記載されていなかった。
【0082】
好ましくは、成分Dは、ホスホナイトを含むか、またはホスホナイトとホスファイトとの混合物を含む。
【0083】
好ましい亜リン酸の塩(成分C))は、水中に難溶性または不溶性の塩である。
特に好ましい亜リン酸の塩はアルミニウム塩、カルシウム塩及び亜鉛塩である。
【0084】
より好ましい成分C)は、亜リン酸とアルミニウム化合物との反応生成物である。
【0085】
好ましいものは、CAS番号15099-32-8、119103-85-4、220689-59-8、56287-23-1、156024-71-4、71449-76-8及び15099-32-8の亜リン酸アルミニウムである。
【0086】
好ましいものは、Al2(HPO3)3*0.1-30Al2O3*0-50H2O、より好ましくはAl2(HPO3)3*0.2-20Al2O3*0-50H2O、非常に好ましくはAl2(HPO3)3*1-3Al2O3*0-50H2Oのタイプの亜リン酸アルミニウムである。
【0087】
好ましいものは、5~95重量%のAl2(HPO3)3*nH2O及び95~5重量%のAl(OH)3の組成、より好ましくは10~90重量%のAl2(HPO3)3*nH2O及び90~10重量%のAl(OH)3の組成、非常に好ましくは35~65重量%のAl2(HPO3)3*nH2O及び65~35重量%のAl(OH)3の組成の亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物であり、各々の場合においてnは0~4である。
【0088】
前記亜リン酸アルミニウムは、好ましくは0.2~100μmの粒度を有する。
【0089】
前記好ましい亜リン酸アルミニウムは、アルミニウム源とリン源及び必要に応じてテンプレートとを、溶剤中、20~200℃で、最大四日間の期間で反応させることによって、通例通りに製造される。このためには、アルミニウム源及びリン源を混合し、水熱条件下にまたは環流下に加熱し、そして固形物を濾過して単離し、洗浄し、そして乾燥する。
【0090】
好ましいアルミニウム源は、アルミニウムイソプロポキシド、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム(例えば疑ベーマイト)である。
【0091】
好ましいリン源は、亜リン酸、(酸性)亜リン酸アンモニウム、アルカリ金属亜リン酸塩、またはアルカリ土類金属亜リン酸塩である。
【0092】
好ましいアルカリ金属亜リン酸塩は、亜リン酸二ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム水和物、亜リン酸三ナトリウム、亜リン酸水素カリウムである。
【0093】
好ましい亜リン酸二ナトリウム水和物は、Brueggemann社製のBrueggolen(登録商標)H10である。
【0094】
好ましいテンプレートは、1,6-ヘキサンジアミン、グアニジンカーボネートまたはアンモニアである。
【0095】
好ましいアルカリ土類金属亜リン酸塩は、亜リン酸カルシウムである。
【0096】
アルミニウム:リン:溶剤の好ましい比率は、1:1:3.7~1:2.2:100モルである。アルミニウム:テンプレートの比率は1:0~1:17モルである。
【0097】
反応溶液の好ましいpHは3~9である。
【0098】
好ましい溶剤は水である。
【0099】
成分Bは、好ましくはスズ酸カルシウム、ヒドロキシスズ酸カルシウム、スズ酸マグネシウム、ヒドロキシスズ酸マグネシウムまたはこれらのブレンドである。
【0100】
同様に適当な成分Cは、式(IX)~(XIV)の化合物またはこれらの混合物:
【0101】
【化4】
[式中、
R
5~R
7は、水素、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
16-シクロアルキルまたは-アルキルシクロアルキル(これらは、場合により、ヒドロキシルによってまたはC
1~C
4-ヒドロキシアルキル官能基によって置換されていてよい)、C
2~C
8-アルケニル、C
1~C
8-アルコキシ、-アシル、-アシルオキシ、C
6~C
12-アリールまたは-アリールアルキル、-OR
8及び-N(R
8)R
9、並びにN-脂肪環式類またはN-芳香族類であり、
R
8は、水素、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
16-シクロアルキルまたは-アルキルシクロアルキル(これらは場合により、ヒドロキシルによってまたはC
1~C
4-ヒドロキシアルキル官能基によって置換されていてよい)、C
2~C
8-アルケニル、C
1~C
8-アルコキシ、-アシル、-アシルオキシまたはC
6~C
12-アリールまたは-アリールアルキルであり、
R
9~R
13は、R
8と同じ基、並びに-O-R
8であり、
m及びnは、互いに独立して、1、2、3または4であり、
Xは、トリアジン化合物と付加物を形成できる酸である]
またはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマー性エステルである。
【0102】
特に適した成分Cは、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド及び/またはグアニジンである。
【0103】
式(I)及び(II)中の好ましいMは、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛である。
【0104】
プロトン化された窒素塩基とは、好ましくは、アンモニア、メラミン、トリエタノールアミンのプロトン化された塩基、特にNH4
+を意味する。
【0105】
適当なホスフィネートは、ここに明示的に参照されるPCT/WO97/39053(特許文献13)に記載されている。
【0106】
特に好ましいホスフィネートは、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸カルシウム、及びホスフィン酸亜鉛である。
【0107】
本願では、特に好ましくは、亜リン酸塩と同じホスフィン酸の塩が使用される、別の言い方では、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムが、亜リン酸アルミニウムと、またはジアルキルホスフィン酸亜鉛と亜リン酸亜鉛が使用される。
【0108】
成分A及びB、並びに場合により成分C、D、E及びFを含む本発明による組み合わせは、添加剤、例えば酸化防止剤、UV吸収剤及び光安定剤、金属失活剤、過酸化物破壊化合物、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、成核剤、フィラー及び強化材、更に別の難燃剤、及び他の添加剤と混合してもよい。
【0109】
適当な酸化防止剤は、例えば、アルキル化モノフェノール類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール;ヒドロキノン類及びアルキル化ヒドロキノン類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;トコフェロール類、例えばα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール及びこれらの混合物(ビタミンE);ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジフルフィド;アルキリデンビスフェノール、例えば2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);O-、N-及びS-ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル;ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート;ヒドロキシベンジル芳香族類、例えば1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール;トリアジン化合物、例えば2,4-ビスオクチルメルカプト-6(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン;ベンジルホスホネート類、例えばジメチル2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;アシルアミノフェノール類、4-ヒドロキシラウラミド、4-ヒドロキシステアルアニリド、オクチルN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンである。
【0110】
適当なUV吸収剤及び光安定剤は、例えば、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-ヒドロキシベンゾフェノン類、例えば4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクトキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4-トリヒドロキシ、2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体;任意選択に置換された安息香酸のエステル、例えば4-tert-ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;アクリレート類、例えばエチルもしくはイソオクチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチルα-カルボメトキシシンナメート、メチルもしくはブチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチルα-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメート、N-(β-カルボメトキシ-βシアノビニル)-2-メチルインドリンである。
【0111】
追加的なニッケル化合物、例えば、2,2’-チオ-ビス[4(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、例えば1:1または1:2錯体(これらは、任意選択的に、n-ブチルアミン、トリエタノールアミンもしくはN-シクロヘキシルジエタノールアミンなどの追加的な配位子を持つ)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキル4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルホスホネート類のニッケル塩、例えばメチルもしくはエチルエステルのニッケル塩、ケトキシム類のニッケル錯体、例えば2-ヒドロキシ-4-メチルフェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体、1-フェニル-4-ラウロイル-5-ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体(これらは、任意選択的に、追加的な配位子を持つ);立体障害性アミン、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル)セバケート;オキサルアミド類、例えば4,4’-ジオクチルオキシオキサニリド;2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン類、例えば2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0112】
適当な金属失活剤は、例えば、N,N’-ジフェニルオキサルアミド、N-サリチラール-N’-サリチロイルヒドラジン、N,N’-ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサリニド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’-ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)オキサロイルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。
【0113】
適当な過酸化物破壊化合物は、例えば、β-チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(β-ドデシルメルカプト)プロピオネートである。
【0114】
適当なポリアミド安定剤は、例えば、ヨウ化物及び/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、及び二価のマンガンの塩である。
【0115】
適当な塩基性共安定剤は、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコレートまたはスズピロカテコレートである。
【0116】
適当な成核剤は、例えば、4-tert-ブチル安息香酸、アジピン酸及びジフェニル酢酸である。
【0117】
フィラー及び強化剤には、例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック、グラファイト及び他のものが挙げられる。
【0118】
更に別の難燃剤は次のものである:酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛及び/またはスズ酸亜鉛;メラム、メレム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート及び/またはメレムポリホスフェート及び/またはそれらの混合ポリ塩及び/またはリン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム及び/またはポリリン酸アンモニウム;アリールホスフェート、ホスホネート、次亜リン酸の塩及び/または赤リン;次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カルシウム、亜リン酸ナトリウム、モノフェニルホスフィン酸及びそれの塩、ジアルキルホスフィン酸とそれの塩及びモノアルキルホスフィン酸及びそれの塩の混合物、2-カルボキシエチルアルキルホスフィン酸及びそれの塩、2-カルボキシエチル-メチルホスフィン酸及びそれの塩、2-カルボキシエチルアリールホスフィン酸及びそれの塩、2-カルボキシエチルフェニルホスフィン酸及びそれの塩、オキサ-10-ホスファフェナントレン(DOPO)及びそれの塩及びパラ-ベンゾキノンへの付加物、またはイタコン酸及びそれの塩。
【0119】
他の添加剤には、例えば、可塑剤、膨張性グラファイト、滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤などが挙げられる。
【0120】
これらの追加的な添加剤は、難燃剤の添加の前に、一緒にまたは後に、ポリマーに加えることができる。これらの添加剤、並びに難燃剤は、固形物として、溶液としてまたは溶融物として、あるいは固形もしくは液状混合物の形で、あるいはマスターバッチ/濃厚物として、計量添加することができる。
【0121】
ホスホナイトでは、以下の残基が好ましい。
【0122】
Rは、C4~C18-アルキル(線状または分岐状)、C4~C18-アルキレン(線状または分岐状)、C5~C12-シクロアルキル、C5~C12-シクロアルキレン、C6~C24-アリールもしくは-ヘテロアリール、C6~C24-アリーレンもしくは-ヘテロアリーレンであり、これらは、更に別の置換基を有していてもよい。
【0123】
R1は、構造(VII)または(VIII)の化合物であり、ここで
R2は、独立して、C1~C8-アルキル(線状もしくは分岐状)、分岐状C1~C8-アルコキシ、-シクロヘキシルであり;
Aは、直接結合、O、C1~C8-アルキレン(線状または分岐状)、C1~C8-アルキリデン(線状または分岐状)であり、そして
nは0~3であり、
mは1~3である。
【0124】
ホスホナイトでは、特に好ましいものは、以下の残基である:
Rは、シクロヘキシル、フェニル、フェニレン、ビフェニリル及びビフェニレンであり、
R1は、構造(VII)または(VIII)の化合物であり、ここで
R2は、独立して、C1~C8-アルキル(線状もしくは分岐状)、C1~C8-アルコキシ、シクロヘキシルであり、
Aは、直接結合、O、C1~C6-アルキリデン(線状または分岐状)であり、そして
nは1~3であり、
mは1~2である。
【0125】
追加的に特許請求されるものは、式(XV)のホスファイトと組み合わせた、上記請求項による化合物の混合物である。
【0126】
P(OR1)3 (XV)
式中、R1は上に定義された通りである。
【0127】
特に好ましいものは、上記の情報に基づいて、芳香族類またはヘテロ芳香族類、例えばベンゼン、ビフェニルまたはジフェニルエーテルと、三ハロゲン化リン、好ましくは三塩化リンとを、フリーデルクラフト触媒、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの存在下にフリーデルクラフト反応に付し、次いで構造(VII)及び(VIII)の母体フェノール類と反応させることによって製造される化合物である。また、過剰の三ハロゲン化リン及び上記のフェノール類から出発した反応順列の後に生じる、ホスファイトとの混合物も明示的に包含される。
【0128】
この群の化合物からは、好ましいものは、以下の構造(XVI)及び(XVII)である。
【0129】
【化5】
式中、nは0または1であってよく、そしてこれらの混合物は、任意選択的に更に、化合物(XVIII)または(XIX)を含んでよい。
【0130】
【化6】
適当な成分E)は、典型的にはC
14~C
40の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩である。これらのエステルは、上記のカルボン酸と、通常使用される多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールとの反応生成物である。上記のカルボン酸の有用な塩には、特に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、またはアルミニウム及び亜鉛塩などが挙げられる。
【0131】
成分Eは、好ましくは、ステアリン酸のエステルまたは塩、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸カルシウムを含む。
【0132】
成分Eは、好ましくは、モンタンワックス酸とエチレングリコールとの反応生成物を含む。
【0133】
前記反応生成物は、好ましくは、エチレングリコールモノモンタンワックスエステル、エチレングリコールジモンタンワックスエステル、モンタンワックス酸、及びエチレングリコールの混合物である。
【0134】
成分Eは、好ましくは、モンタンワックス酸とカルシウム塩との反応生成物を含む。
【0135】
前記反応生成物は、より好ましくは、1,3-ブタンジオールモノモンタンワックスエステル、1,3-ブタンジオールジモンタンワックスエステル、モンタンワックス酸、1,3-ブタンジオール、モンタン酸カルシウム、及びカルシウム塩の混合物である。
【0136】
該難燃剤の組み合わせにおける成分A)及びB)の割合は、実質的に、意図する用途分野に依存し、広い範囲で変わり得る。用途分野に応じて、該難燃剤の組み合わせは、40~99.9重量%の成分A及び0.1~60重量%の成分Bを含む。成分Cは、0~79.9重量%で添加され、そして成分D及びEは、互いに独立して0~3重量%で添加される。成分Fは、0~20重量%の範囲で添加できる。
【0137】
該難燃剤/安定剤の組み合わせは、好ましくは、ポリマー性成形材料をベースにして0.5~45重量%の総量でポリアミド成形材料中に使用される。この場合、ポリマーの量は55~99.5重量%である。
【0138】
該難燃剤の組み合わせは、より好ましくは、ポリマー性成形材料をベースにして1~30重量%の総量でポリマー性成形材料中に使用される。この場合、ポリマーの量は10~95重量%である。
【0139】
該ポリマー成形体、フィルム、フィラメント及び繊維は、好ましくは、該難燃剤/安定化剤の組み合わせを、ポリマー含有量をベースにして0.5~45重量%の総量で含む。この場合、ポリマーの量は55~99.5重量%である。
【0140】
該ポリマー成形体、フィルム、フィラメント及び繊維は、より好ましくは、該難燃剤の組み合わせを、ポリマー含有量をベースにして1~30重量%の総量で含む。この場合、ポリマーの量は10~95重量%である。
【0141】
上記の添加剤は、幅広い様々な異なるプロセスステップで、ポリマー中に導入することができる。例えば、ポリアミドの場合には、重合/縮合の開始時に早くもまたは終了時に、あるいはその後のコンパウンド作業の時に添加剤をポリマーに混合することができる。加えて、添加剤を後の段階でのみ加える加工処理がある。これは、特に、顔料または添加剤マスターバッチの使用の場合に実施される。また、乾燥処理の結果として加温されていてもよいポリマーペレットに、特に粉末状添加剤をドラム適用することもできる。
【0142】
最後に、本発明は、難燃性化されたポリマー成形体の製造方法であって、本発明の難燃性ポリマー成形材料を、高められた温度で、射出成形(例えば、射出成形機(Aarburg Allrounderタイプ))及び圧縮、射出発泡成形、内ガス圧射出成形、ブロー成形、流延成形、カレンダ成形、積層化またはコーティングによって加工して、難燃性化されたポリマー成形体とする、方法にも関する。
【0143】
好ましくは、前記ポリアミドは、アミノ酸タイプ及び/またはジアミン-ジカルボン酸タイプのポリアミドである。
【0144】
好ましいポリアミドは、ポリアミド-6及び/またはポリアミド66、及びポリフタルアミドである。
【0145】
好ましくは、前記ポリアミドは、非変性、着色、充填、非充填、強化、非強化、または他の方法で改質されている。
【実施例】
【0146】
1.使用成分
市販ポリマー(ペレット):
ポリアミド6.6(PA6.6-GV):Ultramid(登録商標)A27(BASF社製、独)
ポリフタルアミド(PPA):Vestamid(登録商標)HT plus M1000及びM3000(Evonik社、独)
ポリブチレンテレフタレート(PBT):Ultradur B4500(BASF社製、独)
ガラス繊維、PPG HP3610EC 10 4.5mm(PPG Ind.Fiber Glass社製、蘭)
ホウ酸亜鉛 Firebrake(登録商標)500,Borax社製,米
スズ酸亜鉛 Flamtard(登録商標)H及びFlamtard(登録商標)S,William Blythe社製、英
成分A:
ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、以下DEPAL1と称する。
成分Fを含む成分A:
0.1%テロマーを含むジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、以下DEPAL2と称する。
2.5%テロマーを含むジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、以下DEPAL3と称する。
成分B:
スズ酸カルシウム、William Blythe社製、英
スズ酸マグネシウム
スズ酸バリウム
成分C:
亜リン酸のアルミニウム塩、以下PHOPALと称する。
メラミンポリホスフェート(MPPと称する)、Melapur(登録商標)200(BASF社製、独)
成分D:
Sandostab(登録商標)P-EPQ、Clariant GmbH製、独
Hostanox O10、Clariant GmbH製、独
成分E:
Licowax(登録商標)、Clariant Produkt(Deutschland)GmbH製、独(モンタンワックス酸のエステル)
【0147】
2.難燃性ポリマー性成形材料の製造、加工及び試験
難燃剤成分を、ホスホナイト、潤滑剤及び安定剤と、表に記載の比率で混合し、そして二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE 27/44D)の側部供給口を介して、260~310℃の温度でPA6.6中に、300~340℃でPPA中に、及び230~260℃でPBT中に配合した。ガラス繊維を、第二の側部供給口を介して加えた。均一化されたポリマーストランドを引き抜き、水浴中で冷却し、次いでペレット化した。コンパウンド中に起こり得るストランドの破壊に従って加工性を評価した。
【0148】
十分な乾燥の後に、成形材料を、射出成形機(Arburg320C Allrounder)で、230~340℃の溶融温度において加工して試験片とし、そしてUL94試験(Underwriter Laboratories)を用いて難燃性について試験、分類した。
【0149】
UL94によれば、以下の難燃性等級がある:
V-0:残炎が10秒以下、10回の接炎における残炎時間の合計が50秒以下、燃焼滴下物なし、試験片の完全燃焼なし、接炎終了後の試験片の残光が30秒以下
V-1:接炎終了後の残炎が30秒以下、10回の接炎における残炎時間の合計が250秒以下、接炎終了後の試験片の残光が60秒以下、その他の判断基準はV-0と同じ
V-2:燃焼滴下物による綿の発火、その他の判断基準はV-1と同じ
分類不能(ncl)は、難燃性等級V-2を満たさない。
【0150】
成形材料の流動性は、275℃/2.16kgでのメルトボリュームフローレート(MVR)を確認することによって決定した。MVR値の急激な上昇は、ポリマーの劣化を示す。MVRは、フィラーによっても影響を受ける。
【0151】
引っ張り強度(N/mm2)、破断時伸び、及び破壊強さは、DIN EN ISO527に従い測定し(%)、衝撃強さ[kJ/m2]及びノッチ付き衝撃強さ[kJ/m2]は、DIN EN ISO179に従って測定した。
【0152】
試験片の色は目視で評価した。比較対象は、上述したように難燃剤及びガラス繊維を用いて加工した自然のポリアミドの色であった。どのような色の変化も、僅かな、中程度のまたは強い褐変として記録した。
【図面の簡単な説明】
【0153】
腐食は、プレートレット法を用いて検証した。DKI(前Deutsches Kunststoffinstitut、現在はFraunhofer LBF、独国、ダルムシュタット)で開発されたプレートレット法は、金属材料、及び可塑化する成形材料の腐食強度及び摩耗強度のそれぞれの比較評価のためのモデル検証のために役立つ。この試験では、二つの試験片を、長さ12mm、幅10mm及び高さ0.1mmから、ポリマー溶融物の通過のための最大で1mmまで調節可能な高さの矩形のギャップが形成されるように、ペアでダイ中に配置する(
図1)。このギャップに通して、可塑化用アセンブリからポリマー溶融物を押出し(または射出し)、ここで、大きな局所的せん断応力及びせん断速度がこのギャップ中で生じる。
【0154】
摩耗の一つのパラメータは試験片の重量損失であり、これは、0.1mgの偏差でA&D分析用電子天秤を用いた試験片の変化量測定によって決定する。試験片の質量は、1.2379鋼では25kgのポリマー処理量及びCK45鋼では10kgのポリマー処理量で、腐食試験の前と後で決定した。
【0155】
事前に決めた処理量(一般的には25または10kg)の後に、サンプルプレートレットを取り外し、そして物理的/化学的に洗浄して、付着ポリマーを除去する。物理的洗浄は、柔らかい材料(綿)を用いて温かいポリマー塊状物をこすり落とすことによって為される。化学的洗浄は、試験片を、m-クレゾール中で20分間、60℃に加熱することによって行われる。この沸騰処理の後になおも付着するポリマー組成物は、柔らかい綿パッドを用いてこすり落とすことによって除去される。
【0156】
特定のシリーズの全ての試験は、他に記載がなければ、比較のために、同じ条件(温度プログラム、スクリュー形状、射出成形パラメータなど)下に行った。
【0157】
全ての量は、重量%として報告され、そして難燃剤の組み合わせ及び助剤を含むポリマー成形材料をベースとする。
【0158】
【0159】
表1は、難燃性化されたPA66成形材料の例を示す。C1及びC2は、従来技術を表す比較組成物である。本発明による組成物はB1~B4として示される。Caスズ酸塩またはMgスズ酸塩(成分B)の使用は、その結果、腐食の低減に大きな利益を与えた。測定可能な腐食な無かった。組成物B1~B4は、難燃性にも改善を示した。最も高いUL94分類V-0は、薄い試験片を用いた場合でも達成できた。本発明による混合物(B1~B4)の加工は、より順調であった。ストランド破壊の低減は加工をより経済的なものとし得る。本発明による混合物(B1~B4)の加工の間には変色が起こらなかったため、応用領域は、より広くなり、そして顔料着色または乾燥はより容易になる。
【0160】
【0161】
表2は、難燃性化された半芳香族ポリアミド成形材料の例を示す。C3及びC4は、従来技術を表す比較組成物である。本発明による組成物はB5~B9として示される。上記のスズ酸塩の全ては腐食の防止に関して非常に良好である。比較組成物に対するB5~B9からの利益は変色に見ることができる。Flametard Sを含む調合物は、非常に強い変色を示し、これは、色の選択性に欠けてしまうために、用途を制限してしまう一方で、本発明によるアルカリ土類金属は、驚くべきことに、射出成形された部材の変色を全く示さなかった。難燃性にも改善が見られ、最も高いUL94分類であるV-0を全ての厚さで満たすことができた。C4~B6を比較すると、衝撃強さ及びノッチ付き衝撃強さに関する改善が、本発明による混合物で観察できた。
【0162】
本発明による難燃剤混合物B5~B9を含む成形材料は、UL94に従う厳しい防火保護要件を満たし、良好な機械的特性を示し、加工中に腐食は全く示さなかったし、またコンパンドの変色も全く示さない。
【0163】
【0164】
表3は、難燃性化されたポリブチレンテレフタレート成形材料の例を示す。C5は、従来技術の難燃剤調合物を示す。加工中に、加工ツールの強い腐食を認めることができた。本発明のB10の成形材料は腐食を示さず、そしてUL94V0に従い厳しい防火要件及び機械的性能を満たす。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 成分Aとして、少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩、及び
成分Bとして、少なくとも一種のアルカリ金属スズ酸塩(M’
2
SnO
3
)、アルカリ金属ヒドロキシルスズ酸塩(M’
2
Sn(OH)
6
)、アルカリ土類金属スズ酸塩(M’’SnO
3
)及び/またはアルカリ土類金属ヒドロキシスズ酸塩(M’’Sn(OH)
6
)、
を含む混合物。
2. M’がNaまたはKの一つであり、そしてM’’がMg、CaまたはBaの一つである、前記1.に記載の混合物。
3. 前記少なくとも一種の有機ホスフィン酸塩が、次式(I)に相当する、前記1.または2.に記載の混合物。
【化7】
式中、
R
1
、R
2
は、同一かまたは異なり、そしてそれぞれH、線状もしくは分岐状C
1
~C
18
-アルキル、C
6
-C
18
-アリール、C
7
-C
18
-アリールアルキル、またはC
7
-C
18
-アルキルアリールであるか、またはR
1
及びR
2
は一緒になって一つ以上の環を形成し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基であり;
mは1~4である。
4. R
1
、R
2
が、同一かまたは異なり、そしてそれぞれメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル(イソメンチル)、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2,2-ジメチルプロピル(ネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルエチル、フェニル、フェニルエチル、メチルフェニル及び/またはメチルフェニルエチルである、前記1.~3.のいずれか一つに記載の混合物。
5. Mがカルシウム、アルミニウム、亜鉛、チタンまたは鉄イオンである、前記1.~4.のいずれか一つに記載の混合物。
6. 成分Bが、20~200m
2
/gBETの表面積を有する、前記1.~5.のいずれか一つに記載の混合物。
7. 40~99.9重量%の成分A及び0.1~60重量%の成分Bを含む、前記1.~6.のいずれか一つに記載の混合物。
8. 70~99.9重量%の成分A及び0.1~30重量%の成分Bを含む、前記1.~7.のいずれか一つに記載の混合物。
9. 80~99重量%の成分A及び1~20重量%の成分Bを含む、前記1.~8.のいずれか一つに記載の混合物。
10. 更に別の成分Cとして、0~79.9重量%の窒素含有相乗剤及び/またはリン/窒素難燃剤及び/またはリン含有相乗剤、または式(II)を有する亜リン酸の塩を含む難燃剤、
[HP(=O)O
2
]
2-
M’’’
m+
(II)
[式中、
M’’’は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKである]
更に別の成分Dとして、0~3重量%のホスホナイトまたはホスホナイトとホスファイトとの混合物、
更に別の成分Eとして、0~3重量%の、(典型的にはC
14
~C
40
の鎖長を有する)長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
(上記成分の合計は常に100重量%である)、及び
更に別の成分Fとして、0~20重量%のテロマー性ホスフィン酸塩、
を含む、前記1.~9.のいずれか一つに記載の混合物。
11. 40~98.9重量%の成分A、
1~39.9重量%の成分B、
0.1~59重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、前記1.~10.のいずれか一つに記載の混合物。
12. 50~94.5重量%の成分A、
5~39.5重量%の成分B、
0.5~45重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、前記1.~11.のいずれか一つに記載の混合物。
13. 60~94重量%の成分A、
5~30重量%の成分B、
1~35重量%の成分C、
0~2重量%の成分D、
0~2重量%の成分E、及び
0~20重量%の成分F、
を含む、前記1.~12.のいずれか一つに記載の混合物。
14. 60~89.7重量%の成分A、
5~20重量%の成分B、
5~20重量%の成分C、
0.1~2重量%の成分D、
0.1~2重量%の成分E、及び
0.1~20重量%の成分F、
を含む、前記1.~13.のいずれか一つに記載の混合物。
15. 成分Cが、亜リン酸とアルミニウム化合物との反応生成物を含む、前記1.~14.のいずれか一つに記載の混合物。
16. 成分Cが、亜リン酸アルミニウム[Al(H
2
PO
3
)
3
]、第二亜リン酸アルミニウム[Al
2
(HPO
3
)
3
]、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H
2
PO
3
)
2
*2aq]、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al
2
(HPO
3
)
3
*4aq]、ホスホン酸アルミニウム、Al
7
(HPO
3
)
9
(OH)
6
(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5
*12H
2
O、Al
2
(HPO
3
)
3
*xAl
2
O
3
*nH
2
O(xは1~2.27であり、そしてnは1~50である)、及び/またはAl
4
H
6
P
16
O
18
を含むか、または式(III)、(IV)及び/または(V)の亜リン酸アルミニウムを含み、ここで
式(III)は、Al
2
(HPO
3
)
3
x(H
2
O)
q
を含み、及び
qは0~4であり;
式(IV)はAl
2.00
M
z
(HPO
3
)
y
(OH)
v
x(H
2
O)
w
を含み、及び
Mはアルカリ金属イオンであり、
zは0.01~1.5であり;
yは2.63~3.5であり;
vは0~2であり、そして
wは0~4であり;
式(V)はAl
2.00
(HPO
3
)
u
(H
2
PO
3
)
t
x(H
2
O)
s
を含み、及び
uは2~2.99であり、そして
tは2~0.01であり、そして
sは0~4であり;
あるいは、前記亜リン酸アルミニウムは、式(III)の亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩及び窒素不含の外来イオンとの混合物、式(IV)の亜リン酸アルミニウムとアルミニウム塩との混合物、式(IV)~(V)の亜リン酸アルミニウムと、亜リン酸アルミニウム[Al(H
2
PO
3
)
3
]との、第二亜リン酸アルミニウム[Al
2
(HPO
3
)
3
]との、塩基性亜リン酸アルミニウム[Al(OH)(H
2
PO
3
)
2
*2aq]との、亜リン酸アルミニウム四水和物[Al
2
(HPO
3
)
3
*4aq]との、ホスホン酸アルミニウムとの、Al
7
(HPO
3
)
9
(OH)
6
(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5
*12H
2
Oとの、Al
2
(HPO
3
)
3
*xAl
2
O
3
*nH
2
O(x=1~2.27、n=1~50)との及び/またはAl
4
H
6
P
16
O
18
との混合物を含む、前記1.~15.のいずれか一つに記載の混合物。
17. 成分Cが、メラミンの縮合生成物、及び/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、及び/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはこれらの混合物を含むか;あるいはメレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、及び/またはこれらの混合ポリ塩を含むか;あるいは式(NH
4
)
y
H
3-y
PO
4
及び/または(NH
4
PO
3
)
z
(yは1~3であり、そしてzは1~10000である)の窒素含有ホスフェートを含む、前記1.~16.のいずれか一つに記載の混合物。
18. 前記ホスホナイト(成分D)が、以下の一般構造のものである、前記1.~17.のいずれか一つに記載の混合物。
R-[P(OR
1
)
2
]
m
(VI)
式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機残基であり、そして
R
1
は、以下の構造(VII)の化合物であり、
【化8】
または、二つの残基R
1
が、以下の構造(VIII)の橋掛基を形成し、
【化9】
式中、
Aは、直接結合、O、S、C
1
~C
18
アルキレン(線状または分岐状)、C
1
~C
18
アルキリデン(線状または分岐状)であり、
R
2
は、独立して、各出現において、C
1
~C
12
-アルキル(線状または分岐状)、C
1
~C
12
-アルコキシ及び/またはC
5
~C
12
-シクロアルキルであり、そして
nは0~5であり、そして
mは1~4である。
19. 成分Eが、炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/または亜鉛塩、及び/または炭素原子数14~40の長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及び/またはペンタエリトリトールとの反応生成物を含む、前記1.~18.のいずれか一つに記載の混合物。
20. 前記テロマー性ホスフィン酸塩(成分F)が、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシルノニルホスフィン酸、プロピルノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル-オクチルホスフィン酸、ヘキシル-オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、エチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルエチルホスフィン酸、エチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、エチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルエチルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチル4-メチルフェニルエチルホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル4-メチルフェニルホスフィン酸及び/またはブチル4-メチルフェニルホスフィン酸の金属塩であり、及び前記金属が、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及び/またはKの群からの最小一つである、前記1.~19.のいずれか一つに記載の混合物。
21. バインダーとしての、エポキシ樹脂、ポリウレタンもしくは不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤もしくは促進剤としての;ポリマー安定剤としての、植物保護組成物としての、金属イオン封鎖剤としての、鉱油添加剤としての、腐食防止剤としての、洗剤及び洗浄剤組成物用途における、及び電子機器用途における、前記1.~20.のいずれか一つに記載の混合物の使用。
22. 難燃剤としての、特に透明塗料及び発泡性防炎塗料のための難燃剤としての、木材及び他のセルロース系製品のための難燃剤としての、ポリマーのための反応性もしくは非反応性難燃剤としての、難燃性ポリマー成形材料の製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、及び/またはポリエステルをもしくはセルロース単紡布および混紡布を含浸難燃加工するための、及び相乗剤としての、前記1.~20.のいずれか一つに記載の混合物の使用。
23. 前記1.~20.のいずれか一つに記載の混合物0.5~45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物55~99.5重量%、添加剤0~55重量%、及びフィラーまたは強化材0~55重量%を含み、但し、上記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
24. 前記1.~20.のいずれか一つに記載の混合物1~30重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物10~95重量%、添加剤2~30重量%、及びフィラーまたは強化材2~30重量%を含み、但し、上記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
25. 前記23.または24.に記載の難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品であって、ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、スチレン類、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、及び/またはポリアミドもしくはポリエステルを含むポリマーブレンド、または他のブレンドを含み;そして熱硬化性ポリマーが、エポキシド、アクリレート、ビニルエステル、不飽和ポリエステル及び/またはフェノール類をベースとする、前記難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料またはポリマー成形体、フィルム、フィラメント、繊維もしくはポリマー造形品。
26. プラチスック成形材料をベースとして10~30重量%の量で、該難燃剤-安定化剤の組み合わせを含む、前記23.~25.のいずれか一つに記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。
27. コネクタ、配電盤における電源接液部材(RCCB)、基板、埋め込み用材料、電力コネクタ、遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、巻き枠及びファン、保護接点、コネクタにおけるまたはこれらのための使用のための、回路基板、コネクタ用ケーシング、ケーブル、フレキシブル回路基板、携帯電話用の充電器、エンジンカバー、布帛被覆材中/上での使用のための、電気/電子分野のための部品の形の成形体、特に、プリント回路基板、ハウジング、フィルム、ケーブル、スイッチ、分配基板、継電器、抵抗器、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、コントローラ、メモリ及びセンサの部品のための成形体、大面積コンポーネントの形態の成形体、特にキャビネット用ハウジング部品、及び精巧な形状を持つ複雑な設計の部品の形態の成形体中/上での使用のための、前記23.~26.のいずれか一つに記載の難燃性プラスチック成形材料、フィルム、フィラメント、繊維またはポリマー造形品。