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特許7189376制御機器を取り囲むケーシングの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】制御機器を取り囲むケーシングの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H05K7/20 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021572060
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020064287
(87)【国際公開番号】W WO2020244935
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】19179010.4
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】コレー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】グラフ、ハラルト
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-156407(JP,A)
【文献】特開2018-142692(JP,A)
【文献】特開2016-103521(JP,A)
【文献】特開2004-071977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0186685(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0112244(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御機器(8)を取り囲むケーシング(7)を、出発材料(1)の機械的成形によって製造する方法であって
a)実質的にストライプ状の、上側(2)と下側(3)を有する出発材料(1)を提供するステップであって、前記出発材料(1)は、折り畳み軸(11,13)により区分された互いに隣接する少なくとも3つの部分領域(4,5,6)に区分されている、ステップと、
b)冷却リブ(4a)を、前記出発材料(1)の第1の部分領域(4)に成形するステップと、
c)ケーシング底部(5a)を、当該出発材料(1)の第2の部分領域(5)に成形するステップであって、前記出発材料(1)は、前記第1の部分領域(4)と前記第2の部分領域(5)との間に第1の折り畳み軸(11)を有する、ステップと、
d)ケーシングカバー(6a)を、前記出発材料(1)の第3の部分領域(6)に成形するステップであって、前記出発材料(1)は、前記第2の部分領域(5)と前記第3の部分領域(6)との間に第2の折り畳み軸(13)を有する、ステップと、
e)前記出発材料(1)の第1の部分領域(4)の下側(3)を、前記第1の折り畳み軸(11)を中心に前記出発材料(1)の第2の部分領域(5)の下側(3)の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップであって、折り畳まれた状態で前記第1の部分領域(4)と前記第2の部分領域(5)とは重なり合って配向されており、第1の部分領域(4)の下側(3)と第2の部分領域(5)の下側(3)とは、互いに直接接触している、ステップと、
f)とりわけ自動車投光器を制御するように構成された制御機器(8)を、前記出発材料(1)の第2の部分領域(5)の上側(2)に取り付けるステップと、
g)前記出発材料(1)の第3の部分領域(6)の上側(2)を、前記第2の折り畳み軸(13)を中心に前記出発材料(1)の第2の部分領域(5)の上側(2)の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップ、または前記出発材料(1)の第3の部分領域(6)の下側(3)を、前記第2の折り畳み軸(13)を中心に前記出発材料(1)の第2の部分領域(5)の上側(2)の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップであって、折り畳まれた状態で前記第2の部分領域(5)と前記第3の部分領域(6)とは、重なり合って配向されており、ステップc)で成形されたケーシング底部(5a)と、ステップd)で成形されたケーシングカバー(6a)とは、重なり合って折り畳まれた状態で前記ケーシング底部(5a)と前記ケーシングカバー(6a)との間に前記制御機器(8)を取り囲むケーシングチャンバが形成されるように構成される、ステップと、
h)前記第1の部分領域を(4)前記第2の部分領域(5)に、および/または前記第2の部分領域(5)を前記第3の部分領域(6)に少なくとも1つの固定手段(16)により固定するステップであって、前記第1の部分領域(4)は前記第2の部分領域(5)に、および/または前記第2の部分領域(5)は前記第3の部分領域(6)に、前記少なくとも1つの固定手段(16)の共同作用によって互いに接合される、ステップと
有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の部分領域(4)は前記第2の部分領域(5)に隣接し、前記第2の部分領域(5)は前記第3の部分領域(6)に隣接し、したがって前記第2の部分領域(5)は前記第1の部分領域(4)と前記第3の部分領域(6)の間に配置されており、または前記第2の部分領域(5)は前記第1の部分領域(4)に、そして前記第1の部分領域(4)は前記第3の部分領域(6)に隣接し、したがって前記第1の部分領域(4)は前記第2の部分領域(5)と前記第3の部分領域(6)の間に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの固定手段(16)は、折り畳みフラップ、リベット接合、溶接接合、ラッチ接合または接着接合として構成されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの固定手段(16)は、第1の固定手段(16a)と第2の固定手段(16b)を含み、前記第1の固定手段(16a)は前記第1の部分領域(4)を前記第2の部分領域(5)に固定し、前記第2の固定手段(16b)は前記第2の部分領域(5)を前記第3の部分領域(6)に固定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の固定手段(16b)は、前記ケーシング底部(5a)を前記ケーシングカバー(6a)に固定する接着接合として構成されており、かつ前記ケーシングチャンバを密閉するように構成されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、ステップc)の後、かつステップf)による前記制御機器(8)の取り付け前に、
・充填材料(15)を前記制御機器(8)と前記第2の部分領域(5)との間に取り付けるさらなるステップを含み、前記充填材料(15)は、伝熱ペーストを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記制御機器(8)は、導体路基板(14)と、それに実装された、前記自動車投光器を制御するための電子回路とを含み、前記充填材料(15)は、前記導体路基板(14)と前記第2の部分領域(5)との間に取り付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記充填材料(15)は、1W/mK超の熱伝導率を有する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記出発材料(1)は金属である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記出発材料(1)は金属ストライプを含み、金属は、方法ステップe)とg)による、可塑性で破損しない折り畳み過程を可能にする機械的特性を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記出発材料(1)は、単一の金属ストライプからなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御機器(8)は、自動車投光器を制御するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の部分領域(5)は、前記出発材料(1)の中央領域に対応する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の部分領域(4)及び前記第2の部分領域(5)は、折り畳まれた状態で合同に重なり合っている、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の部分領域(5)及び前記第3の部分領域(6)は、折り畳まれた状態で合同に重なり合っている、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記伝熱ペーストは、シリコン含有またはシリコンフリーのペーストである、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
御機器(8)と、制御機器を取り囲むケーシング(7)とを含む制御モジュールにおいて、
前記ケーシング(7)は、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法により製造されている、ことを特徴とする制御モジュール。
【請求項18】
前記制御機器(8)は、自動車投光器を制御するように構成されている、請求項17に記載の制御モジュール。
【請求項19】
請求項18による制御モジュールを含む自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御機器を取り囲むケーシングを、出発材料の機械的成形によって製造する方法に関し、制御機器は、特に自動車投光器を制御するように構成されている。
【0002】
本発明はさらに、制御モジュールに関する。
【0003】
本発明はまた、自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術では自動車投光器のための制御機器が多くの場合ケーシングにより取り囲まれている。制御機器に発生する熱を放出するために、公知のケーシングには通常、冷却装置、例えば冷却リブがケーシング外側に装備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE102010041831A1
【文献】EP0770817A1
【文献】US2004240192A1
【文献】US6535387B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのために冷却リブをケーシングに接続しなければならず、そのために伝熱性の接着剤が使用されるが、この接着剤はある程度の硬化時間を有する。制御機器のための、冷却されるケーシングを最適化するためのこれまでの試みは、ケーシングおよび冷却リブのための材料選択の改善、冷却リブサイズに対するケーシングサイズの変更、または速硬化性の接着剤の使用に関するものであった。
【0007】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服する可能性を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点において、この課題は、以下の方法ステップ:
a)実質的にストライプ状の、好適には金属製の、上側と下側を有する出発材料を提供するステップであって、前記出発材料は、折り畳み軸により区分された互いに隣接する少なくとも3つの部分領域に区分されている、ステップと、
b)冷却リブを、前記出発材料の第1の部分領域に成形するステップと(ステップaの後)、
c)ケーシング底部を、好適には前記出発材料の中央領域に対応する当該出発材料の第2の部分領域に成形するステップであって、前記出発材料は、第1の部分領域と第2の部分領域との間に第1の折り畳み軸を有する、ステップと(ステップaの後)、
d)ケーシングカバーを、前記出発材料の第3の部分領域に成形するステップであって、前記出発材料は、第2の部分領域と第3の部分領域との間に第2の折り畳み軸を有する、ステップと(ステップaの後)、
e)前記出発材料の第1の部分領域の下側を、前記第1の折り畳み軸を中心に前記出発材料の第2の部分領域の下側の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップであって、折り畳まれた状態で第1の部分領域と第2の部分領域とは実質的に合同に重なり合って配向されており、第1の部分領域の下側と第2の部分領域の下側とは、好適には少なくとも部分的に全面で、互いに直接接触している、ステップと(ステップbとcの後)、
f)とりわけ自動車投光器を制御するように構成された制御機器を、前記出発材料の第2の部分領域の上側に取り付けるステップと(ステップcの後)、
g)前記出発材料の第3の部分領域の上側を、前記第2の折り畳み軸を中心に前記出発材料の第2の部分領域の上側の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップ、または前記出発材料の第3の部分領域の下側を、前記第2の折り畳み軸を中心に前記出発材料の第2の部分領域の上側の上に折り畳む折り畳み過程を実行するステップであって、折り畳まれた状態で第2の部分領域と第3の部分領域とは、実質的に合同に重なり合って配向されており、ステップc)で成形されたケーシング底部とステップd)で成形されたケーシングカバーとは、重なり合って折り畳まれた状態でケーシング底部とケーシングカバーとの間に前記制御機器を取り囲むケーシングチャンバが形成されるように構成される、ステップと(ステップfの後)、
h)前記第1の部分領域を前記第2の部分領域に、および/または前記第2の部分領域を前記第3の部分領域に少なくとも1つの固定手段により固定するステップであって、第1の部分領域は第2の部分領域に、および/または第2の部分領域は第3の部分領域に、前記固定手段の共同作用によって互いに接合される、ステップと(ステップeとgの後)
を含む本発明の方法により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記第1の視点に記載された方法ステップの時間的順序は、特に明示しない限り、自由に選択可能である。例えばステップb,c,dの時間的順序は、b,d,cまたはc,b,dまたはc,d,bまたはd,b,cまたはd,c,bであっても良い。出発材料として、例えばスチール、ステンレス鋼またはアルミニウムが意図される。当業者は出発材料を、この出発材料が破損することなく可塑成形および可塑折り畳みを許容するよう選択する。出発材料は好適にはストライプ状であり、出発材料は、例えば25cm~75cmの長さ、6cm~20cmの幅、および0.3mm~2mmの厚さを有する。折り畳み軸において出発材料は、第1、第2、および第3の部分領域と比較して低減された厚さを有し、折り畳み過程を容易にする。出発材料の第1の部分領域における冷却リブの成形は、特に機械的成形、例えば第1の部分領域を対応する輪郭にプレスすることを含む。出発材料の第2ないし第3の部分領域におけるケーシング底部あるいはケーシングカバーの成形は、特に少なくとも1つの切欠部を第2および/または第3の部分領域に成形することを含み、この切欠部は、制御機器の空間的広がりと少なくとも同じ、またはそれより大きな空間的広がりを有する形状を有することができる。ステップe)とg)による折り畳み過程は、出発材料の機械的折り畳みを含み、好適には折り畳み工具が対応の折り畳み軸に装填され、引き続き折り畳み過程が実行される。その際に出発材料は、可塑的に成形される。ステップe)による折り畳み過程の後、冷却リブは好適には少なくとも部分的にケーシング底部と直接接触し、ケーシング底部の効率的な冷却を達成する。ケーシング底部およびケーシングカバーの冷却リブの成形後、出発材料の第1、第2および第3の部分領域は、好適には同じ長さおよび/または幅を有する。制御機器は、自動車機関、自動車トランスミッション、自動車のシャーシ、または例えば建設機械または農業用機械のために液圧装置を制御するように構成することもできる。
【0010】
好適には第1の部分領域は第2の部分領域に、そして第2の部分領域は第3の部分領域に隣接し、したがって第2の部分領域は第1と第3の部分領域の間に配置されており、または第2の部分領域は第1の部分領域に、そして第1の部分領域は第3の部分領域に隣接し、したがって第1の部分領域は第2と第3の部分領域の間に配置されている。特に折り畳まれていない状態で第1の部分領域は第3の部分領域に隣接せず、または第2の部分領域は第3の部分領域に隣接しない。
【0011】
少なくとも1つの固定手段は、少なくとも1つの折り畳みフラップ(Faltlasche)、リベット接合、溶接接合、ラッチ接合または接着接合として構成することができる。リベット接合のための少なくとも1つの孔部を、折り畳み過程の前または後に出発材料に取り付けることができる。少なくとも1つの折り畳みフラップは、例えば第1および/または第2および/または第3の部分領域の縁部領域に成形することができる。第1および/または第2の折り畳み過程の後に、少なくとも1つのフラップを折り畳むことができ、それにより部分領域の縁部領域に成形された少なくとも1つのフラップは、これが折り畳まれた後に別の部分領域を少なくとも部分的に取り囲む。これとは択一的にラッチ接合を設けることもでき、少なくとも1つのラッチノーズが出発材料の一方の部分領域に成形され、ラッチノーズを挿入係止することのできる対応の切欠部が他方の部分領域に成形される。一方の部分領域が他方の部分領域に、ステップe)およびg)に従い折り畳まれると、ラッチノーズは対応の切欠部に挿入係止することができる。
【0012】
少なくとも1つの固定手段は、とりわけ第1と第2の固定手段を含むことができ、第1の固定手段は第1の部分領域を第2の部分領域に固定し、第2の固定手段は第2の部分領域を第3の部分領域に固定する。第1と第2の固定手段は、同形式または異なる形式とすることができる。固定手段はまた、第1の部分領域を第3の部分領域に固定することができ、したがって出発材料が折り畳まれた状態で第1と第3の部分領域の間に配置された第2の領域が、第1と第3の部分領域によりサンドイッチ状に固定される。
【0013】
好適には第2の固定手段は、ケーシング底部をケーシングカバーに固定する接着接合として構成されており、かつケーシングチャンバを密閉するように構成されている。これにより有利には、ケーシングカバーをケーシング底部に固定することができ、これにより同時にケーシングが密閉され、場合による汚染に対して保護される。接着接合は、好適には接着層であり、これは例えば出発材料の第2および/または第3の部分領域の縁部領域に沿って、折り畳み過程の前に閉じた接着剤帯状部として塗布される。
【0014】
とりわけ本方法は、(時間的に)ステップc)の後、かつステップf)による制御機器の取り付け前に、以下のさらなるステップを含むことができる。
・充填材料を制御機器と第2の部分領域との間に取り付けるステップ、ただし充填材料は、伝熱ペースト、特にシリコン含有またはシリコンフリーのペースト状の伝熱ペーストを含む。
【0015】
充填材料により有利には、制御機器から発生される熱の放出を促進することができる。充填材料により、特に第2の部分領域における制御機器の接触と保持を改善することができる。
【0016】
好適には制御機器は、導体路基板(回路基板)と、それに実装された、自動車投光器を制御するための電子回路とを含み、充填材料は、特に導体路基板と第2の部分領域との間に取り付けられる。
【0017】
制御機器から冷却リブへの特に効率的な熱放出を可能にするために、充填材料が、1W/mK超の、好適には5W/mK超の、特に好適には10W/mK超の熱伝導率を有すると有利である。
【0018】
好適には出発材料は金属ストライプ(ないしストリップ)を含み、金属は、方法ステップe)とg)による、可塑性で破損しない折り畳み過程を可能にする機械的特性を有する。
【0019】
特に好適には出発材料は、単一の金属ストライプからなる。これにより有利には、制御機器のケーシングは、実質的に一体的に構成される。言い替えると、実質的にケーシングを形成する、冷却装置、ケーシング底部、およびケーシングカバーは、単一の金属ストライプから成形される。これにより製造プロセスを、より有利かつより迅速に実行することができる。
【0020】
本発明によれば、特に自動車投光器を制御するように構成された制御機器とケーシングとを含む制御モジュールが提供され、ケーシングは本発明の方法に従って製造される。制御機器は、自動車機関、自動車トランスミッション、自動車のシャーシ、または例えば建設機械または農業用機械のために液圧装置を制御するように構成することもできる。
【0021】
本発明によれば、本発明の制御モジュールを含む自動車投光器が提供される。
【0022】
本明細書の枠内で概念「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」は、自動車投光器が、自動車に組み込まれた後に、通常の使用位置に配置されているときの配向の記載として理解すべきである。
【0023】
本発明を、以下、好適な実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1、第2および第3の部分領域を有する一出発材料の側面図と平面図を示す。
図2】第1の折り畳み過程後の出発材料の側面図と平面図を示す。
図3】第2の部分領域に制御機器が取り付けられた、図2の出発材料の側面図と平面図を示す。
図4】第2の折り畳み過程後の出発材料の側面図と平面図を示す。
図5】第1、第2および第3の部分領域を択一的な配置に有する出発材料の第2実施形態を示す図である。
図6】第1、第2および第3の部分領域をさらなる択一的な配置に有する出発材料の第3実施形態を示す図である。
【実施例
【0025】
図1は、実質的にストライプ状(帯状)の、好適には金属の、上側2と下側3を有する出発材料を示し、一出発材料1は、図示の実施例では、同じ大きさであり、互いに隣接する少なくとも3つの部分領域4,5,6に区分されており、これらは折り畳み軸により区分されている。第1の部分領域4は第2の部分領域5に隣接し、第2の部分領域5は第3の部分領域6に隣接し、したがって第2の部分領域5は、第1の部分領域4と第3の部分領域6の間に配置されている。出発材料1は、機械的成形および畳み込みにより、制御機器8を取り囲むケーシング7に成形される。この目的で、出発材料1は好適には金属ストライプであり、金属は、可塑性で破損なしの成形および折り畳み過程を可能にする機械的特性を有する。図示の実施例では、出発材料1は、単一の金属ストライプからなる。出発材料1の第1の部分領域4には冷却リブ4aが成形されており、冷却リブ4aは、例えば第1の部分領域4を対応の輪郭にプレスすることによる機械的成形によって成形される。出発材料1の第2の部分領域5にはケーシング底部5aが成形される。第2の部分領域5は、出発材料1の中央領域に対応し、出発材料1は、第1の部分領域4と第2の部分領域5との間に第1の折り畳み軸11を有する。出発材料1の第3の部分領域6にはケーシングカバー6aが成形され、出発材料1は、第2の部分領域5と第3の部分領域6との間に第2の折り畳み軸13を有する。ケーシング底部5aとケーシングカバー6aは、例えば対応の部分領域を対応の輪郭に対して機械的にプレスすることにより成形される。
【0026】
図2は、第1の折り畳み過程後の出発材料1を示す。出発材料1の第1の部分領域4の下側3が、第1の折り畳み軸11を中心に出発材料1の第2の部分領域5の下側3の上に折り畳まれている。折り畳まれた状態で第1の部分領域4と第2の部分領域5は、実質的に合同に重なり合って配向されており、第1の部分領域4の下側3と第2の部分領域5の下側3は互いに直接接触している。
【0027】
図3は、折り畳み過程f)後の出発材料1を示す。特に自動車投光器を制御するように構成された制御機器8が、出発材料1の第2の部分領域5の上側2に固定されている。第2の部分領域5における制御機器8の固定は、例えばリベット留めおよび/または接着剤により行われる。制御機器8は、導体路基板14を含み、それには自動車投光器を制御するための電子回路(図示せず)が実装されている。制御機器8の導体路基板14と第2の部分領域5との間には充填材料15が取り付けられている。充填材料15は、伝熱ペースト、とりわけシリコン含有またはシリコンフリーのペースト状の伝熱ペーストである。
【0028】
図4は、第2の折り畳み過程後の出発材料1を示す。出発材料1の第3の部分領域6の上側2が、第2の折り畳み軸13を中心に出発材料1の第2の部分領域5の上側2の上に折り畳まれている。折り畳まれた状態で第2の部分領域5と第3の部分領域6とは、実質的に合同に重なり合って配向されている。ケーシング底部5aとケーシングカバー6aは、重なり合って折り畳まれた状態で、ケーシング底部5aとケーシングカバー6aとの間に制御機器8を取り囲むケーシングチャンバが形成されるように構成されている。
【0029】
第1の部分領域4は第2の部分領域5に、(図2に示した)第1の固定手段16aにより固定されている。さらに第2の部分領域5は第3の部分領域6に、(図3に示した)第2の固定手段16bによって固定されており、したがって第1の部分領域4は第2の部分領域5に、そして第2の部分領域5は第3の部分領域6に、第1の固定手段16aと第2の固定手段16bの相互作用によって互いに堅固に接合(結合)されている。第1の固定手段16aと第2の固定手段16bとは、同形式にまたは異なって構成することができる。一般的に固定手段16は、例えば少なくとも1つの折り畳みフラップ、リベット接合、溶接接合、ラッチ接合または接着接合として構成することができる。図2では、第1の固定手段16aがリベット接合として構成されており、8つの孔部17がリベットのために設けられていることが分かる。図3では、第2の固定手段16bが接着接合として構成されており、接着接合は、閉じた接着剤帯状部18としてケーシング底部5aの縁部領域に沿って延在していることが分かる。接着剤帯状部18は、その代わりにまたはそれに加えてケーシングカバー6aにも取り付けることができる。固定手段16は、第1の部分領域4、第2の部分領域5および第3の部分領域6を互いに固定することもできる。例えば全ての部分領域4,5,6を通る少なくとも1つの孔部17を、リベット接合のために設けることができる。
【0030】
図5は、冷却リブ4aがケーシング底部5aとケーシングカバー6aとの間に配置されている第2実施形態を示す。出発材料1の折り畳みの際に、出発材料1の第1の部分領域4の下側3が、第1の折り畳み軸11を中心に出発材料1の第2の部分領域5の下側3の上に折り畳まれる。言い替えると、ケーシング底部5aは冷却リブ4aの上に折り畳まれる。第2のステップで、出発材料1の第3の部分領域6の下側3が、第2の折り畳み軸13を中心に出発材料1の第2の部分領域5の上側2の上に折り畳まれる。言い替えると、ケーシングカバー6aは、ケーシング底部5aの、冷却リブ4aとは反対側の上に折り畳まれる。
【0031】
図6は、出発材料1の3つの部分領域4,5,6がL字形の配置を有するさらなる実施形態を示す。
【0032】
本発明において、以下の形態が可能であるが、但しこれらに限定されない。
(形態1)
第1の視点に記載の通り。
(形態2)
前記第1の部分領域は前記第2の部分領域に隣接し、前記第2の部分領域は前記第3の部分領域に隣接し、したがって前記第2の部分領域は前記第1の部分領域と前記第3の部分領域の間に配置されており、または前記第2の部分領域は前記第1の部分領域に、そして前記第1の部分領域は前記第3の部分領域に隣接し、したがって前記第1の部分領域は前記第2の部分領域と前記第3の部分領域の間に配置されている、好ましくは形態1に記載の方法。
(形態3)
前記少なくとも1つの固定手段は、折り畳みフラップ、リベット接合、溶接接合、ラッチ接合または接着接合として構成されている、好ましくは形態1または2に記載の方法。
(形態4)
前記少なくとも1つの固定手段は、第1の固定手段と第2の固定手段を含み、前記第1の固定手段は前記第1の部分領域を前記第2の部分領域に固定し、前記第2の固定手段は前記第2の部分領域を前記第3の部分領域に固定する、好ましくは形態1から3のいずれかに記載の方法。
(形態5)
前記第2の固定手段は、前記ケーシング底部を前記ケーシングカバーに固定する接着接合として構成されており、かつ前記ケーシングチャンバを密閉するように構成されている、好ましくは形態4に記載の方法。
(形態6)
当該方法は、ステップc)の後、かつステップf)による前記制御機器の取り付け前に、
・充填材料を前記制御機器と前記第2の部分領域との間に取り付けるさらなるステップを含み、前記充填材料は、伝熱ペースト、特にシリコン含有またはシリコンフリーのペースト状の伝熱ペースト、を含む、好ましくは形態1から5のいずれかに記載の方法。
(形態7)
前記制御機器は、導体路基板と、それに実装された、前記自動車投光器を制御するための電子回路とを含み、前記充填材料は、前記導体路基板と前記第2の部分領域との間に取り付けられる、好ましくは形態6に記載の方法。
(形態8)
前記充填材料は、1W/mK超の熱伝導率を有する、好ましくは形態6または7に記載の方法。
(形態9)
前記出発材料は金属ストライプを含み、金属は、方法ステップe)とg)による、可塑性で破損しない折り畳み過程を可能にする機械的特性を有する、好ましくは形態1から8のいずれかに記載の方法。
(形態10)
前記出発材料は、単一の金属ストライプからなる、好ましくは形態1から9のいずれかに記載の方法。
(形態11)
特に自動車投光器を制御するように構成された制御機器と、制御機器を取り囲むケーシングとを含む制御モジュールにおいて、
前記ケーシングは、好ましくは形態1から10のいずれかに記載の方法により製造されている、ことを特徴とする制御モジュール。
(形態12)
形態11による制御モジュールを含む自動車投光器。
なお、特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら、発明の理解を助けるためのものであり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 出発材料
2 上側
3 下側
4 第1の部分領域
4a 冷却リブ
5 第2の部分領域
5a ケーシング底部
6 第3の部分領域
6a ケーシングカバー
7 ケーシング
8 制御機器
11 第1の折り畳み軸
13 第2の折り畳み軸
14 導体路基板(回路基板)
15 充填材料
16 固定手段
16a 第1の固定手段
16b 第2の固定手段
17 孔部
18 接着剤帯状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6