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特許7189392難燃性のイソシアネートフリーコーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】難燃性のイソシアネートフリーコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 5/18 20060101AFI20221206BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20221206BHJP
   C09K 21/00 20060101ALI20221206BHJP
   C09D 7/48 20180101ALI20221206BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20221206BHJP
【FI】
C09D5/18
C09K21/02
C09K21/00
C09D7/48
C09D7/61
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022528538
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(86)【国際出願番号】 EP2020083008
(87)【国際公開番号】W WO2021105034
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】62/939,772
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19215939.0
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500286643
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】カンタベリー,セオドア
(72)【発明者】
【氏名】ローデス,トーリカ アグラワル
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-079265(JP,A)
【文献】特開平11-309941(JP,A)
【文献】国際公開第2018/136488(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03026087(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 5/00
C09D 7/00
C09K21/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非膨張性の水性イソシアネートフリー難燃性コーティング組成物であって、
(a)ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を有する少なくとも1つのバインダー樹脂であって、前記バインダー樹脂が、固形分に対して40mg KOH/g樹脂よりも低い酸価、固形分に対して30mg KOH/g樹脂よりも高いOH価を有する、バインダー樹脂と、
(b)前記バインダー樹脂(a)の前記官能基のうちの少なくともいくつかと反応可能な架橋剤であって、前記架橋剤が、カルボジイミド官能基を含有する、架橋剤と、
(c)少なくとも1つの難燃剤と、を含み、
前記コーティング組成物の固形分を基準として50~90重量%の範囲の無機含有量を有する、コーティング組成物。
【請求項2】
前記バインダー樹脂(a)がポリウレタンである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記バインダー樹脂(a)が、前記コーティング組成物の前記固形分含有量の20重量%未満の量で存在する、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
0.5~10の範囲の顔料対バインダー比を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記難燃剤が、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
200g/L未満のVOC含有量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング組成物を基材に適用する工程と、前記コーティング組成物を硬化させる工程と、を含む、基材をコーティングする方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた、基材。
【請求項9】
プラスチック、複合材料又は金属基材である、請求項8に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、イソシアネートフリー(NISO)である、非膨張性の水性難燃性コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃性コーティングは、燃焼温度を上昇させること、燃焼速度を低下させること、火炎伝播を低減すること、及び煙発生を低減することを含む様々な手段によって火炎を制御するために開発されてきた。難燃性コーティングは様々な分野で使用されており、特に自動車及び航空機用途で重要である。
【0003】
民間航空機産業では、航空機内装部品は、典型的には、外板の間に挟まれたコア構造パネルを含むサンドイッチ構造である。床、側壁、パネルカバー、窓囲い(window surrounds)、仕切り、隔壁、天井及び収納区画などのそのような内装部品は、燃焼中に火災に耐え、最小量の煙及び他の有毒ガスを放出しなければならない。
【0004】
米国の耐火基準は、連邦航空局によって定められている。航空機内装部品について、規則FAR 25.853には、米国で運航される多くの航空機で使用される材料の可燃性要件が含まれる。特に、FAR 25.853は、材料の燃焼時間が15秒を超えないこと、燃焼長さが6インチを超えないこと、及びドリップ燃焼(drip flame)が3秒を超えないことを必要とする。
【0005】
典型的には、航空機用途のための難燃性コーティングは、2成分(2K)コーティング組成物であり、多くの場合ポリイソシアネート含有架橋剤を含む。しかしながら、イソシアネート架橋剤の使用は、それらの高い毒性のために、これらの材料の取り扱い及び使用において注意を必要とする。コーティングにおけるそれらの使用を減らし、代替の毒性の低い類似体を探すことが所望される。しかしながら、FARの放熱率を満たす効果的でイソシアネートフリーの難燃性コーティングを開発することは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イソシアネートフリーである水性難燃性コーティング組成物を提供することが所望される。コーティング組成物は、従来の2K配合物と比較して可使時間の長い2成分(2K)組成物であることがさらに所望される。コーティング組成物は、種々の基材に対する良好な接着性を有し、FAR 25.853の要件に適合することがさらに所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の要望に対処するために、本発明は、第1の態様において、
(a)ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を有する少なくとも1つのバインダー樹脂であって、バインダー樹脂が、固形分に対して40mg KOH/g樹脂よりも低い酸価、及び固形分に対して30mg KOH/g樹脂よりも高いOH価を有する、バインダー樹脂と、
(b)バインダー樹脂(a)の官能基のうちの少なくともいくつかと反応可能な架橋剤であって、カルボジイミド官能基を含有する架橋剤と、
(c)少なくとも1つの難燃剤と、を含む、非膨張性の水性難燃性コーティング組成物を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、本発明のコーティング組成物を基材に適用する工程と、コーティング組成物を硬化させる工程と、を含む、基材をコーティングする方法を提供する。
【0009】
さらなる態様において、本発明はまた、本発明のコーティング組成物による基材コーティングを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるコーティング組成物は、非膨張性の水性難燃性組成物である。
【0011】
このコーティング組成物は、非膨張性コーティング組成物である。膨張性コーティングは、熱又は火炎にさらされると、基材の表面上に厚く、高度に絶縁性の炭素質層(チャー)を形成する。これは、炭化剤(charring agent)(例えば、(ジ)ペンタエリスリトールなどの多価アルコール)及び発泡剤(メラミン又は尿素など)を使用して達成される。したがって、このコーティング組成物は、炭化剤及び発泡剤を含有しない。
【0012】
本発明によるコーティング組成物は水性であり、これは、水が液相の主成分であり、バインダー樹脂が溶解又は分散されていることを意味する。「主成分」とは、任意の他の溶媒よりも多い量で存在することを意味する。本明細書では、「溶媒」は、水及び有機溶媒の両方を包含するために使用される。好ましくは、水は、全溶媒の少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%を構成する。
【0013】
好ましくは、コーティング組成物は実質的にイソシアネートフリーである。「実質的にイソシアネートフリー」とは、コーティング組成物が、反応性又は可逆的にブロックされたイソシアネート官能性を有する化合物を含まないか、又はコーティング組成物の総重量を基準として、1重量%未満のそれら、好ましくは0.1重量%未満を含有することを意味する。最も好ましくは、コーティング組成物はそのような化合物を含まない。
【0014】
コーティング組成物は、以下に詳細に記載される、少なくとも1つのバインダー樹脂、架橋剤、少なくとも1つの難燃剤、及び任意選択的に他の成分を含む。
【0015】
バインダー樹脂
組成物は、ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を有する少なくとも1つのバインダー樹脂を含む。好適なバインダー樹脂は、例えば、ポリアクリレート、ポリエステル、及びポリウレタンからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、バインダー樹脂はポリウレタンである。好ましくは、水性ポリウレタン分散体(PUD)の形態で提供される。
【0016】
ポリウレタンは、典型的には、少なくとも1つのポリイソシアネート及び少なくとも1つのポリオールから調製される。ポリウレタン合成に使用することができるポリイソシアネートは、これに関連して当業者に公知であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレン-ジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、1,4-若しくは1,3-ビス(イソシアナト-メチル)シクロヘキサン、1,4-若しくは1,3-若しくは1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、2,4-若しくは2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、又はこれらのポリイソシアネートの混合物などである。また、記載されたポリイソシアネートの二量体及び/又は三量体、より具体的には、それ自体が公知であり市販されている上記ポリイソシアネート、特に上記ジイソシアネートのウレトジオン及びイソシアヌレートを使用することができる。
【0017】
脂肪族イソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、及び脂環式イソシアネート、例えばメチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、1,3-シスビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-トランスビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シスビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-トランスビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、並びにそれらの混合物が好ましい。
【0018】
「ポリオール」という用語は、イソシアネート基と反応することが可能な2つ以上のヒドロキシル(-OH)基を有する任意の有機化合物を指す。ポリウレタン分散体の調製に有用なポリオールは、一般に当業者に公知である。好適なポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリラクトンポリオールが挙げられ得る。好ましいポリオールはポリエステルポリオールである。
【0019】
バインダー樹脂は、好ましくは、2,000~10,000g/mol、より好ましくは2,500~5,000の数平均分子量Mを有する。バインダー樹脂は、好ましくは、5,000~50,000g/mol、より好ましくは10,000~30,000g/molの重量平均分子量Mを有する。分子量は、移動相としてテトラヒドロフランを用いたポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0020】
本発明で使用されるバインダー樹脂は、ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を含有する。バインダー樹脂を水に分散させるためには、カルボン酸基を中和剤で中和することが好ましい。中和剤の例としては、アンモニア並びにアミン、例えばジ-及びトリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、モルホリン及び/又はN-アルキルモルホリンが挙げられる。
【0021】
好ましくは、バインダー樹脂の酸価は、40mg KOH/g樹脂固形分未満、より好ましくは30mg KOH/g樹脂固形分未満である。一般に、酸価は少なくとも5mg KOH/g樹脂固形分である。本発明の文脈における酸価は、例えば、DIN EN ISO 3682に従って、電位差滴定によって測定される。
【0022】
バインダー樹脂は、好ましくは、30mg KOH/g樹脂固形分より高い、好ましくは40mg KOH/g樹脂固形分より高い、さらにより好ましくは50mg KOH/g樹脂固形分より高いOH価(ヒドロキシル価)を有する。一般に、ヒドロキシル価は100mg KOH/g樹脂固形分未満である。ヒドロキシル価は、例えば、ASTM E1899-08に従って、TSI法を使用した電位差滴定によって測定することができる。
【0023】
バインダー樹脂分散体は、好ましくは、5~60重量%、より好ましくは10~50重量%の固形分含有量を有する。
【0024】
好適な市販のポリウレタン分散体は、例えば、AllnexのDaotanシリーズ、特にDaotan TW 1225/40 WANEP、TW 1252/42WA、TW 2229/40WANEP、TW 6425/40WA、TW 6464/36WA、TW 7000/40 WA、TW 7010/36WAである。
【0025】
バインダー樹脂(a)は、コーティング組成物の固形分含有量の20重量%未満の量で存在することが好ましい。
【0026】
架橋剤、添加剤及び任意選択的に存在するポリマー難燃剤を含むすべてのバインダー成分を考慮すると、全バインダー含有量は、コーティング組成物の固形分含有量の好ましくは50重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。無機難燃剤のみを使用する場合、全バインダー含有量は、総固形分に対して5~15重量%まで低くすることができる。他のいくつかの場合では、例えば、ポリマー難燃剤が使用される場合、全バインダー含有量は30~50重量%であり得る。低いバインダー含有量により、耐火試験に必要な多量の難燃剤を含むことが可能となる。本発明において、バインダーは、コーティング組成物の固形分のごく一部を構成するにすぎないが、実施例において実証されるように、最終コーティングの優れた乾燥及び湿潤接着のためには驚くほど十分である。
【0027】
架橋剤
コーティング組成物は、上記のバインダー樹脂の官能基のうちの少なくともいくつかと反応可能な架橋剤をさらに含む。架橋剤が非イソシアネート(NISO)架橋剤であることが本発明に必須である。特に、架橋剤はカルボジイミド官能基を含む。カルボジイミド架橋剤は、コーティング組成物中の唯一の架橋剤であることが好ましい。
【0028】
架橋剤は、カルボジイミドモノマー、又は好ましくはポリカルボジイミドであり得る。ポリカルボジイミドは、平均して2つ以上のカルボジイミド基を含有するオリゴマー又はポリマーである。カルボジイミド基は、以下の一般式:
N=C=NR
を有し、式中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素、脂肪族基又は芳香族基から選択される。脂肪族基は、例えば、1~20個の炭素原子を含むアルキル又はシクロアルキルであり得る。そのようなカルボジイミドの一例は、ジシクロヘキシルカルボジイミドである。いくつかの実施形態では、架橋剤は多官能性ポリカルボジイミドであり得、これは、樹脂中の官能基に対して、又は対応する基に対して、すなわち、自己縮合又は自己付加による反応性を有する追加の官能基を含み得ることを意味する。有用な市販のカルボジイミドとしては、例えば、Stahlのポリマーカルボジイミド、例えばPicassian(登録商標)XL-701、Picassian(登録商標)XL-702、Picassian(登録商標)XL-725、Picassian(登録商標)XL-732がさらに挙げられる。オリゴマー又はポリマーカルボジイミドは、より低い毒性を有するので望ましい。好ましくは、水分散性カルボジイミド架橋剤が使用される。
【0029】
コーティング組成物は、好ましくは、組成物の総重量の0.1~20重量%、より好ましくは1~10重量%のカルボジイミド架橋剤を含む。
【0030】
難燃剤
コーティング組成物は、少なくとも1つの難燃剤をさらに含む。水性コーティング組成物に組み込むことができる任意の公知の難燃剤を使用することができる。難燃剤は無機及びポリマーであり得る。
【0031】
難燃剤はまた、ハロゲン含有難燃剤及びハロゲンフリー難燃剤の群に分けることができる。ハロゲン含有難燃剤としては、例えば、有機塩素、例えばクロレンド酸誘導体及び塩素化パラフィン、有機臭素、例えばデカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)、デカブロモジフェニルエタン、ポリマー臭素化化合物、例えば臭素化ポリスチレン、臭素化カーボネートオリゴマー(BCO)、臭素化エポキシオリゴマー(BEO)、テトラブロモフタル酸無水物、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)及びヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が挙げられる。好ましいハロゲン含有難燃剤には、ポリマー臭素化化合物、例えばICL Industrialから入手可能TexFRon 4002が含まれる。
【0032】
代替的又は追加的に、ハロゲンフリー難燃剤を使用することが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、ハロゲンフリー難燃剤のみが使用され、コーティング組成物全体がハロゲンフリーであることが好ましい場合がある。「ハロゲンフリー」とは、組成物がいかなるハロゲン含有化合物、すなわち、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素含有化合物も含まないことを意味する。
【0033】
ハロゲンフリー難燃剤には、水酸化マグネシウム(MDH)、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、シリコーン樹脂、ポリリン酸アンモニウムが含まれる。好ましくは、無機のハロゲンフリー難燃剤が使用される。より好ましくは、水酸化アルミニウム及び/又はホウ酸亜鉛が使用される。
【0034】
好ましい実施形態では、難燃剤の混合物が使用される。特に、水酸化アルミニウムとホウ酸亜鉛との混合物が好ましい。任意選択的に、この混合物をハロゲン含有難燃剤とともに使用することができる。
【0035】
難燃剤の総含有量は、コーティング組成物の総固形分含有量の40~90重量%、より好ましくは50~80重量%の範囲であることが好ましい。これは、使用される場合、無機難燃剤及びポリマー難燃剤の両方を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、無機難燃剤対バインダー比は、好ましくは2~6の範囲である。無機難燃剤対バインダー比は、樹脂、架橋剤及び添加剤固形分を含む全バインダー成分の合計に対する全無機難燃剤の合計の重量比である。しかしながら、必要な放熱率試験に依然として合格しながら、バインダーの量を増加させ、無機難燃剤対バインダー比を0.1~2まで低くすることも可能である。
【0037】
他の成分
コーティング組成物は、コーティング組成物に色を付与するために、少なくとも1つの顔料を含むことが好ましい。好適な顔料は、無機又は有機であり得る。適切な無機着色顔料の例は、白色顔料、例えば二酸化チタン、亜鉛白、硫化亜鉛、若しくはリトポン;黒色顔料、例えばカーボンブラック、鉄マンガンブラック若しくはスピネルブラック;着色顔料(chromatic pigments)、例えば酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーン、若しくはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、若しくはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット若しくはコバルトバイオレット及びマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、硫セレン化カドミウム、モリブデンレッド若しくはウルトラマリンレッド;褐色酸化鉄、混合褐色、スピネル相、及びコランダム相、若しくはクロムオレンジ;又は黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエロー、若しくはバナジウム酸ビスマスである。
【0038】
好適な有機着色顔料の例は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンゾイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダンスロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、又はアニリンブラックである。
【0039】
顔料の含有量は、コーティング組成物の総重量を基準として、好ましくは1~80重量%の範囲、より好ましくは5~60重量%の範囲、より好ましくは10~50重量%の範囲である。
【0040】
充填剤の例は、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリケート、例えばタルク若しくはカオリン、シリカ、酸化物及び水酸化物、例えば(水)酸化アルミニウム若しくは(水)酸化マグネシウム、粘土、ナノシリカ、ボレート、ガラスビーズ、又は有機充填剤、例えば織物繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維、若しくはポリマー粉末である。
【0041】
好ましくは、本発明による組成物の無機含有量は、総固形分重量を基準として、40~95重量%、より好ましくは50~90重量%の範囲である。無機含有量は、全固形分無機成分(顔料及び無機難燃剤を含む)の含有量であり、コーティング組成物の総固形分重量を表したものである。高い無機含有量は、通常、放熱要件を満たすために必要である。これは、高い無機含有量がより低いバインダー樹脂含有量に対応するため、接着性などの良好なコーティング特性を維持するのが困難であり得る。
【0042】
好ましくは、組成物の顔料対バインダー(P/B)比は、0.5~10の範囲、より好ましくは5~8の範囲である。いくつかの実施形態では、例えば、ポリマー難燃剤の場合、0.5~2のP/B比を使用することができる。P/B比は、無機顔料及び充填剤の合計と、樹脂、架橋剤及び添加剤を含むバインダー固形分との重量比である。
【0043】
コーティング組成物は、従来の添加剤、例えば消泡剤、レオロジー変性剤、顔料、pH安定剤、流動化剤、レベリング剤、湿潤剤、艶消し剤、酸化防止剤、乳化剤、安定化剤、阻害剤、触媒、増粘剤、チキソトロープ剤、耐衝撃性改良剤、膨張剤(expandant)、加工助剤、及び上述した添加剤の混合物をさらに含むことができる。そのような添加剤の量は、コーティング組成物の総重量を基準として、好ましくは0.01~25重量%、より好ましくは0.05~15重量%、最も好ましくは0.1~10重量%である。
【0044】
本発明によるコーティング組成物は水性であるが、これは存在し得る少量の有機溶媒を排除するものではない。本発明によるコーティング組成物は、少なくとも1つの有機溶媒を、例えば、総溶媒重量(水を含む)の40重量%未満、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満の量で含有することができる。コーティング組成物の総重量を基準として、有機溶媒含有量は、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、さらにより好ましくは15重量%未満である。いくつかの実施形態では、有機溶媒含有量は、コーティング組成物の総重量を基準として、少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらにより好ましくは少なくとも5重量%であり得る。他の実施形態では、溶媒含有量は、コーティング組成物の総重量を基準として、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%であり得る。
【0045】
好適な有機溶媒は、好ましくは、水と混合することができるものである。特に好ましい部類はグリコールエーテルである。これらには、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルが含まれる。好ましい溶媒としては、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
【0046】
本発明のコーティング組成物の固形分含有量は、好ましくは30~85重量%、より好ましくは35~80重量%、より好ましくは40~75重量%である。
【0047】
本発明によるコーティング組成物は、上記コーティング組成物のそれぞれの成分を混合及び分散及び/又は溶解することにより調製することができる。これは、従来の手段、例えば、高速撹拌機、撹拌槽、撹拌機ミル、溶解機、混合機(compounder)、又はインライン溶解機を使用することによって行うことができる。
【0048】
コーティング組成物は、好ましくは、2成分(2K)コーティング組成物として配合される。「2成分」とは、製造後に別個の容器に保存され、適用の直前にのみ混合される2成分の形態で提供されることを意味する。好ましくは、架橋剤(b)は、バインダー樹脂(a)を含む成分とは別個の成分に保存される。
【0049】
本発明によるコーティング組成物は、基材に直接適用される単一のコーティングとして、又は多層系において、特にプライマー、フィラー若しくはサーフェーサーとして使用することができる。特に好ましい実施形態では、コーティング組成物は、基材に直接適用されるフィラー又はプライマーとして使用される。プライマーは、さらなるコーティング層、好ましくは水性コーティングによってオーバーコーティングすることができる。
【0050】
本発明はさらに、上記のコーティング組成物で基材をコーティングする方法及びコーティング組成物でコーティングされた基材を提供する。好ましくは、コーティングされた基材は、自動車又は航空機の部品である。この方法は、本発明によるコーティング組成物を基材に適用し、続いて硬化させることを含む。
【0051】
コーティング組成物は、航空機又は列車の内装用途に通常使用される基材に適用することができる。基材は、好ましくは、プラスチック、複合材料、金属基材からなる群から選択される。特に、基材は、プラスチック、例えばポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、複合材料、例えばハニカム複合材料、フェノールガラス複合材料、ラミネート(例えば、PVFラミネート)、前処理された金属(例えば、クロメート処理されたアルミニウム)であり得る。ハニカム複合材料の一例は、その高い強度対重量比及び疲労破壊に対する耐性のために航空機構造用パネルに広く使用されているDuPontのNOMEX(登録商標)アラミド紙である。
【0052】
本発明によるコーティング組成物は、当分野で公知の任意の好適な手段、例えば、噴霧、ブラッシング、ローリング、又は浸漬によって基材に適用することができる。
【0053】
コーティング組成物は、室温(15~30℃)などの周囲条件で、例えば、2~4時間硬化させることができる。しかしながら、コーティングは、高温、例えば、80~90℃のオーブン内で30~60分間硬化させることもできる。当業者は、好適な温度及び硬化時間を見出すことができる。
【0054】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、低VOC(揮発性有機含有量)、特に250g/l未満、より好ましくは200g/l未満を有する。VOCは、コーティング組成物中の全揮発性有機成分の合計として計算することができる。低VOCは、最小限の保護装置で航空機の客室内を塗装することを可能にし、噴霧又はブラシ又はロールで適用することができる。
【0055】
本発明のコーティング組成物は、現況技術のイソシアネート含有配合物と比較した場合、燃焼中の長い可使時間(>7時間)及び低い熱放出を有する。このコーティングはさらに、ホウ酸亜鉛などの難燃剤が高濃度で使用される場合に優れた放熱を維持しながら、種々の基材(複合材料、ポリカーボネート、アルミニウム)に対する良好な接着性を示す。
【0056】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、カルボジイミド架橋剤は、バインダー樹脂のカルボン酸基と反応すると考えられる。しかしながら、バインダー樹脂が、表面を親水性にすることによって湿潤接着特性を損なうと一般に考えられている比較的低い酸価(固形分に対して40mg KOH/g樹脂未満)及びかなりの量の遊離OH基を有する場合でも、良好なコーティング特性が達成されることは驚くべきことである。実施例においてさらに示されるように、本発明によるコーティング組成物は、水中に浸漬した後であっても、驚くほど良好な接着性を有する。
【実施例
【0057】
略語:
Daotan 6425-40WA-Allnexの水性無溶媒ポリエステル系ポリウレタン分散体、水中の固形分含有量40重量%、固形分に対してOH価55mg KOH/g樹脂、固形分に対して酸価28.7mg KOH/g樹脂、Mn 3100~3500、Mw 15000~17000。
DMEA-ジメチルエタノールアミン
TexFRon 4002-ICL Industrialの臭素化ポリマー難燃剤
Easaqua M501-水分散性脂肪族ポリイソシアネート、HDI-三量体、Vencorexによる
Picassian XL-701-Stahlの多官能性ポリカルボジイミド架橋剤、50重量%固形分
【0058】
実施例1 コーティング組成物の調製
コーティング組成物を表1に従って調製した。成分を分散機中で混合して、均質な組成物を得る。量は重量部として示す。比較組成物Aは、架橋剤としてポリイソシアネートを含有し、比較組成物Cは、カルボジイミド及びポリイソシアネートの両方を含有する。組成物B及びDは本発明によるものであり、架橋剤としてカルボジイミドのみを含有する。組成物Dは、さらにポリマー難燃剤を含有する。
【0059】
【表1】
【0060】
顔料対バインダー(P/B)比は、無機顔料及び充填剤の合計と、樹脂、架橋剤及び添加剤を含むバインダー固形分との重量比である。無機FR顔料対バインダー比は、無機難燃剤の合計とバインダー固形分との重量比である。無機含有量は、総固形分に対する無機化合物の合計の重量比として計算される。固形分に対する全バインダー含有量は、総固形分に対する全バインダー固形分の重量比である。
【0061】
実施例2
接着試験
接着試験を、フェノール/ガラスサンドイッチ(Danner BMS8-226)及びポリカーボネート(SABICによるLexan(商標))の基材上で実施した。約75mm×150mmの接着パネルを、溶媒(イソプロパノール)によるサンディング又は拭き取りによるコーティングのために調製した。実施例1のコーティング組成物を、HVLPカップガン(SATA 3000、1.4mmノズル直径)を使用してプライマーとして、所望の乾燥膜厚(50~100μm)に噴霧適用した。プライマーコーティング後、試料を80~90℃のオーブン内で30~60分間硬化させた。いくつかの下塗りされたパネルを、AkzoNobelから入手可能な市販のIntura 8001半光沢トップコートでさらにコーティングした。トップコート適用後、パネルを制御された温度(25℃)及び湿度(50% RH)で24時間硬化させる。
【0062】
乾燥接着は、コーティングされたパネルにいくつかのスクライブを調製し、スクライブされたコーティングにマスキングテープを適用し除去することによって試験した。湿潤接着は、コーティングパネルを水中に24時間浸漬した後に試験した。接着性は、1~10のスケールで評価され、1-コーティングのすべてがなくなっている、10-コーティングの損失なしである。
【0063】
【表2】
【0064】
表2に見ることができるように、カルボジイミド架橋剤(B及びD)のみを含むコーティング組成物は、水中浸漬の後であっても驚くほど良好な接着結果を有し、ポリイソシアネート架橋剤を含有するものと同等である。元来、良好な湿潤接着は、ポリイソシアネート架橋剤を使用することによってのみ達成できると考えられてきた。
【0065】
実施例3
放熱試験
実施例1で調製したコーティング組成物を、プライマーとして、コーティングされていないフェノールガラス複合材料(エアバスタイプ1)に適用した。放熱パネルは、水平方向寸法が150mm×150mmである。コーティングの適用は実施例2と同様であった。
【0066】
提供された熱放出データは、FAR 25.853要件に適合するAkzoNobelのオハイオ州立大学(OSU)の熱放出装置を使用して測定した。基準FAR 25手順では、試料がOSU装置の燃焼室に挿入され、35kW/mの較正された放射熱流束及び衝突パイロット火炎(impinging pilot flame)にさらされる。室温空気は、燃焼室を通して押し出され、サーモパイルが排気ガスの温度を感知する装置の上部の排気ダクトを通して排出される。試験中の放熱率(HRR)は、排気ガスと周囲流入空気との間の温度差を使用して燃焼室を流れる空気の顕熱エンタルピー上昇から推定され、計量メタン拡散火炎を使用した好適な較正後の燃焼によって放出される熱量を計算する。
【0067】
結果を表3に示す。結果は2回の燃焼の平均である。
【表3】
【0068】
この実施例は、イソシアネートフリーコーティング組成物からの本発明のコーティングが、放熱率要件を満たすことができることを示す。
【0069】
実施例4
プライマー+トップコートの放熱試験
実施例3と同様であるが、AkzoNobelから入手可能な市販のIntura 8001半光沢トップコートでさらにコーティングした。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
この実施例は、イソシアネートフリーコーティング組成物及びトップコートからの本発明のコーティングが、放熱率要件を満たすことができることを示す。
【0072】
実施例5
可使時間
可使時間をKrebs Stormer粘度計を使用して試験し、Krebs単位(K.U.)で報告する。分析の手順は、ASTM D562-10(2018)に詳述されている。試料は約200mLであり、直径80mmのカップ内で試験した。一部の塗料混合物は、可使時間の終わりに粘度の増加を示さない。したがって、プライマーも所与の時間(9時間、18時間、24時間)後に噴霧適用(噴霧可能な場合)し、適用した塗料を試験して、基材への接着性及び耐水性を確認した。さらに、トップコートを硬化プライマーに適用し、再コーティング性及び接着性を確認するために試験した。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】
【0074】
上記表から分かるように、本発明によるコーティング組成物Bの可使時間は、比較例のイソシアネート含有コーティング組成物Aよりもかなり長い。比較例のコーティング組成物の短い可使時間は、Znがウレタン反応の触媒として機能することができるため、高いZnボレート含有量に起因する可能性が高い。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
非膨張性の水性難燃性コーティング組成物であって、
(a)ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を有する少なくとも1つのバインダー樹脂であって、前記バインダー樹脂が、固形分に対して40mg KOH/g樹脂よりも低い酸価、固形分に対して30mg KOH/g樹脂よりも高いOH価を有する、バインダー樹脂と、
(b)前記バインダー樹脂(a)の前記官能基のうちの少なくともいくつかと反応可能な架橋剤であって、前記架橋剤が、カルボジイミド官能基を含有する、架橋剤と、
(c)少なくとも1つの難燃剤と、を含む、組成物。
項2.
前記バインダー樹脂(a)がポリウレタンである、項1に記載の組成物。
項3.
前記バインダー樹脂(a)が、前記コーティング組成物の前記固形分含有量の20重量%未満の量で存在する、項1又は2に記載の組成物。
項4.
0.5~10の範囲の顔料対バインダー比を有する、項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
項5.
前記コーティング組成物がイソシアネートフリーである、項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
項6.
前記難燃剤が、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
項7.
200g/L未満のVOC含有量を有する、項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
項8.
前記組成物の全無機含有量が、総固形分重量を基準として40~95重量%の範囲である、項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
項1から8のいずれか一項に記載のコーティング組成物を基材に適用する工程と、前記コーティング組成物を硬化させる工程と、を含む、基材をコーティングする方法。
項10.
項9に記載のコーティング組成物でコーティングされた、基材。
項11.
プラスチック、複合材料又は金属基材である、項10に記載の基材。
【要約】
本発明は、(a)ヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を含む反応性官能基を有する少なくとも1つのバインダー樹脂であって、バインダー樹脂が、固形分に対して40mg KOH/g樹脂よりも低い酸価、及び固形分に対して30mg KOH/g樹脂よりも高いOH価を有する、バインダー樹脂と、(b)バインダー樹脂(a)の官能基のうちの少なくともいくつかと反応可能な架橋剤であって、カルボジイミド官能基を含有する架橋剤と、(c)少なくとも1つの難燃剤と、を含む、非膨張性の水性難燃性コーティング組成物に関する。得られたコーティングは、種々の基材への良好な接着性を有し、可使時間を延長し、航空機産業における耐火性の要件に適合する。