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特許7189405溶接方法、およびトラス橋の支点補強方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】溶接方法、およびトラス橋の支点補強方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 6/00 20060101AFI20221207BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20221207BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
E01D6/00
E01D21/00 B
B23K9/00 501B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019118127
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004475
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592242822
【氏名又は名称】三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 陽二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝史朗
(72)【発明者】
【氏名】金光 宏司
(72)【発明者】
【氏名】井上 大地
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076912(JP,A)
【文献】特開2009-019438(JP,A)
【文献】特開昭49-021344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 6/00
E01D 21/00
B23K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材から成る 積層部材のうちの1つの板材を被溶接母材として板材である溶接母材を完全溶け込み溶接する方法であって、
前記溶接母材の突合せ側端面に一方の主面側から開先を形成し、
前記積層部材のうちの前記被溶接母材を構成する板材に隣接する板材における前記被溶接母材と当接する主面と前記被溶接母材の突合せ側端面が位置する側の端面との間の角部に面取りを施し、
前記被溶接母材と前記溶接母材との間にルート間隔を設けた上で前記溶接母材の他方の面側から前記ルート間隔を設けた位置に裏当て材を当接させ、
前記被溶接母材における突合せ側端面と前記溶接母材の開先形成部との間に溶着金属を溶け込ませて接合することを特徴とする溶接方法。
【請求項2】
前記裏当て材は、溶接完了後に取り外すことを特徴とする請求項1に記載の溶接方法。
【請求項3】
前記被溶接母材は、一方の面側と他方の面側の双方に前記板材を隣接させており、
前記裏当て材は、端部に傾斜面を備え、前記傾斜面を前記他方の主面側に隣接させた前記板材の前記面取り形成部分に嵌めるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接方法。
【請求項4】
トラス橋を構成する支点の近傍に仮設支持部を配置して下弦材を持ち上げる際に、斜材を構成する腹板の一部と、前記下弦材を構成する腹板の一部を第1補剛材で接合する際、前記斜材の腹板を被溶接母材、前記第1補剛材を溶接母材として、請求項1乃至3に係る溶接方法を適用することを特徴とするトラス橋の支点補強方法。
【請求項5】
前記斜材の腹板と鉛直材との間に第2補剛材を接合し、
接合状態の検査を終えた後、前記第2補剛材の一部を切除することを特徴とする請求項4に記載のトラス橋の支点補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接技術に係り、特に板厚方向に積層配置された板材の一部に他の板部材を完全溶け込み溶接する場合に好適な接続方法、およびこれをトラス橋に適用した支点補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の溶接技術としては、突合せ溶接やすみ肉溶接、および部分溶け込み溶接などが知られている。このような技術のうち、突合せ溶接を行う際には、母材に開先を形成すると共にルートギャップを設けて完全溶け込み溶接を行うのが一般的である。そして、このような完全溶け込み溶接を行う際には、開先形成面と反対側に裏当て金を配置し、この裏当て金ごと溶接を行うことが一般的であった。
【0003】
しかし、このような方法では、裏当て金の溶接部に集中応力が加わることとなり、建造物の耐震性に悪影響を及ぼす可能性があると懸念されている。これに対し特許文献1には、溶接箇所に段差や角部が生じないように母材の表裏面に肉盛りが成されるように完全溶け込み溶接を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-77618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような方法により突合せ溶接を行うことによれば、応力集中を緩和することができ、強度不安を解消することができると考えられる。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている溶接方法は、あくまで1枚板同士の突合せ溶接に関する技術である。このため、積層された板部材の一部の板に対して他の板部材を突合せ溶接する際には、隣接部材の溶融に伴う応力集中箇所が生じてしまうことが考えられる。また、特許文献1に開示されている技術は、表裏からの溶接が可能な箇所でなければ適用できないという問題もある。
【0007】
そこで本発明では、積層板の一部に対する完全溶け込み溶接による突合せ溶接を可能とし、かつ一方の面からの施工を可能とする溶接方法、およびこのような溶接方法をトラス橋に適用した支点補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る溶接方法は、複数の板材から成る積層部材のうちの1つの板材を被溶接母材として板材である溶接母材を完全溶け込み溶接する方法であって、前記溶接母材の突合せ側端面に一方の主面側から開先を形成し、前記積層部材のうちの前記被溶接母材を構成する板材に隣接する板材における前記被溶接母材と当接する主面と前記被溶接母材の突合せ側端面が位置する側の端面との間の角部に面取りを施し、前記被溶接母材と前記溶接母材との間にルート間隔を設けた上で前記溶接母材の他方の面側から前記ルート間隔を設けた位置に裏当て材を当接させ、前記被溶接母材における突合せ側端面と前記溶接母材の開先形成部との間に溶着金属を溶け込ませて接合することを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する溶接方法において前記裏当て材は、溶接完了後に取り外すようにする。このような特徴を有する事によれば、裏当て材の当接部に応力集中が生じる虞が無くなる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する溶接方法では、前記被溶接母材は、一方の面側と他方の面側の双方に前記板材を隣接させており、前記裏当て材は、端部に傾斜面を備え、前記傾斜面を前記他方の主面側に隣接させた前記板材の前記面取り形成部分に嵌めるようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、積層部材の如何なる部位に存在する部材も、それ単体を被溶接母材とすることができる。また、裏当て材の端部を面取り形成部分に押し当てることで、溶接時に裏当て材がズレる事を防ぐことができる。
【0011】
また、上記目的を達成するためのトラス橋の支点補強方法では、トラス橋を構成する支点の近傍に仮設支持部を配置して下弦材を持ち上げる際に、斜材を構成する腹板の一部と、前記下弦材を構成する腹板の一部を第1補剛材で接合する際、前記斜材の腹板を被溶接母材、前記第1補剛材を溶接母材として、上記溶接方法を適用することを特徴とする。
【0012】
さらに、上記のような特徴を有するトラス橋の支点補強方法では、前記斜材の腹板と鉛直材との間に第2補剛材を接合し、接合状態の検査を終えた後、前記第2補剛材の一部を切除する構成とすると良い。このような方法を採用することによれば、設計上の板幅が狭い部位であっても、溶接部位の超音波検査を実施することができ、品質の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記のような特徴を有する溶接方法によれば、積層板の一部に対する完全溶け込み溶接による突合せ溶接を可能とする。また、一方の面からの施工を可能とすることができる。
【0014】
また、このような溶接方法をトラス橋の支点補強方法に適用することにより、隣接する板材に影響を及ぼす事無く、積層配置された板材の中心に位置する板材に対して補剛材を完全溶け込み溶接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る溶接構造の断面構造を示す図である。
図2】実施形態に係る溶接構造に適用する母材を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る溶接構造を得るための方法を説明するのに用いる図である。
図4】実施形態に係る溶接構造を適用する橋梁の支承部の構成を示す正面図である。
図5図4におけるA-A断面の一部を示す図である。
図6】補剛材と下弦材との接合方法を説明するための部分断面図である。
図7】橋梁の支承部における補剛材溶接時の形態を示す正面図である。
図8】実施形態に係る溶接構造における第1の応用形態を示す断面図である。
図9】実施形態に係る溶接構造における第2の応用形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の溶接方法、および溶接構造に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す形態は、本発明を実施するために好適な形態の一部である。よって、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部形態に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0017】
[基本形態]
まず、図1から図3を参照して、本実施形態に係る溶接構造の特徴について説明する。なお、図1は、実施形態に係る溶接構造の断面構造を示す図であり、図2は、実施形態に係る溶接構造に適用する母材を示す斜視図である。また、図3は、実施形態に係る溶接構造を得るための方法を説明するのに用いる図である。
【0018】
本実施形態に係る溶接構造10は、積層部材12を構成する板材12a~12cのうちの1つを被溶接母材とし、この被溶接母材に対して板材である溶接母材14を溶接したものである。図1に示す形態では、3枚の板材12a~12cから構成される積層部材12のうちの真ん中に位置する板材12bを被溶接母材としている。
【0019】
溶接母材14は、突合せ側端面に開先16が形成されている。開先16の角度や深さは溶接母材14の厚みや溶着金属18の溶け込み具合、及び作業性等に応じて定めることができる。本実施形態では、板厚を16mmとしており、完全溶け込み溶接を行うため、開先の深さは、溶接母材14を構成する板材の一方の主面から他方の主面に至るものとしている。また、開先16の角度(ベベル角度θ)は、概ね35度としている。
【0020】
溶接母材14が溶接される積層部材12は、被溶接母材(板材12b)に隣接配置されている板材12a,12cの端面に面取り20を施している。面取り20は、板材12a,12cにおいて、被溶接母材(板材12b)と当接する主面と、被溶接母材(板材12b)における突合せ側端面との間の角に施す。面取り20の大きさは、板材12a,12cの厚みや溶接範囲等にも異なるが、本実施形態では、板材12a,12cの厚みを16mmとし、面取り20のカット幅を5mmとしている。
【0021】
上記のように本実施形態に係る溶接構造10では、溶接母材14側のみに開先16を形成することより、レ型、あるいはJ型の開先16が設けられた突合せ溶接が成される。被溶接母材(板材12b)と溶接母材14との間には、ルート間隔dが設けられている。本実施形態の場合、ルート間隔dは約5mmとしている。
【0022】
本実施形態では、溶接母材14において、開先16の開口が大きくとられる一方の主面側に溶着金属18を盛り上がらせている。一方、溶接母材14における他方の主面側では、ルート間隔dから露出する溶着金属18が平坦となるように構成されている。
【0023】
[溶接方法]
このような溶接構造10を得るための溶接方法について、図3を参照して説明する。まず、図3(A)に示すように、溶接を行う溶接母材14と、溶接される被溶接母材(板材12b)を含む積層部材12を用意する。
【0024】
次に、図3(B)に示すように、溶接母材14における突合せ側端面に開先16を形成する。溶接母材14に対する開先16の形成と共に、あるいは前後して、積層部材12における被溶接母材(板材12b)と隣接する板材12a,12cに対して面取り20を施す。ここで、開先16の形成角度θや、面取り20幅の大きさについては、適宜定める。
【0025】
溶接母材14に対する開先16の形成と、積層部材12共に対する面取り20を施した後、図3(C)に示すように、被溶接母材(板材12b)と溶接母材14との間にルート隙間dを設けた状態とし、溶接母材14の他方の主面側に裏当て材22を当接させる。ここで、裏当て材22は、溶接により溶着しない素材により構成されているものを用いると良い。具体的には、セラミックス製の裏当て材22を用いれば良い。このような裏当て材22を用いる事により、溶接完了後に裏当て材22を取り外すことができる。このため、裏当て材22の当接部に応力集中が生じる虞が無い。また、裏当て材22は、端部に傾斜面22aを備え、板材12cに形成した面取り20部分に嵌るようにすると良い。裏当て材22の端部を面取り20形成部分に押し当てることで、溶接時に裏当て材22がズレる事を防ぐことができるからである。
【0026】
次に、図3(D)に示すように、溶接母材14における他方の主面側に裏当て材22を当接させた状態で溶着金属18による溶接を行う。溶接母材14の他方の主面側に裏当て材22を配置しているため、溶着金属18は、一方の主面側のみに盛り上がりを生じさせる。溶接完了後、裏当て材22を取り外す事で、溶接構造10が完成する。
【0027】
このような方法により溶接を行うことによれば、積層部材12の一部に対する完全溶け込み溶接による突合せ溶接が可能となる。また、被溶接母材(板材12b)に隣接配置されている板材12a,12cの一部を溶着させることが無いため、予期しない溶着部に応力が集中する事を避けることができる。また、上記のような溶接方法によれば、溶接母材14の一方の主面からの施工が可能となり、他方の主面側からの作業が困難な場合にも対応することが可能となる。
【0028】
[適用事例]
上述したような溶接方法は、例えば図4に示すような橋梁(例えばトラス橋)における支承部30に対する補剛材(第1補剛材)40の溶接などに適用することができる。
【0029】
例えば図4に示す支承部30は、支承32により支持される下弦材34に鉛直材36と斜材38が集中する格点を成す部位である。このような構成の支承部30の支承32を交換する際には、図4中に二点鎖線で示す位置に仮設支持部(ジャッキ)を配置して、下弦材34を含む支承部30全体を持ち上げることとなる。このため、斜材38を構成する腹板と下弦材34を構成する腹板との間には、斜線でハッチングした位置の補剛材40を溶接すると共に、斜材38と鉛直材36との間に補剛材(第2補剛材)46が溶接される。ここで、破線で囲った部位Pは、上述した基本形態に従い、H型構造となるように構成された斜材38と、斜材38の外側に配置されているフィラープレート42、および外装を成す添接板44の3層構造(いずれも斜材38に対するせん断力を受ける腹板を構成する)とされている。
【0030】
本適用例では、破線Pで囲った部分について補剛材40の溶接をする際、図5図4におけるA-A断面を示すように、斜材38を構成する腹板の一部であるフィラープレート42に対して溶接を行う。溶接方法としては、上述した基本形態に倣えば良い。すなわち、支承部30側では、フィラープレート42に隣接配置されて積層部材を構成する斜材38と添接板44における突合せ側端面の面取りを行う。一方、補剛材40側では、突合せ側端面に開先40aを形成する。開先40aは、補剛材40の外側面となる面に傾斜面が現れるように形成する。
【0031】
面取り38a,44aと開先40aの形成を終えた後、フィラープレート42と補剛材40との間にルート間隔dを設け、補剛材40の内側面側からルート間隔dの位置に裏当て材22(図3参照)を当てて、溶接を行う。溶接は、補剛材40の外側面側から行う。溶接を外側面からのみ行うようにすることで、内側面(他方の主面)側からの溶接作業が困難であっても、補剛材40の溶接を行うことができる。また、突合せ側端面に隣接している部位に面取り38a,44aを施したことで、フィラープレート42に積層されている斜材38や添接板44に溶着が及ぶ虞が無い。これにより、溶着部に応力が集中し、クラック等が生じる事を抑制することができる。
【0032】
続いて、図4に示す補剛材40と下弦材34との溶接について説明する。下弦材34は、図6にその断面の一部を示すように、水平部材34aと鉛直部材34bとのコバ面同士をすみ肉溶接による溶着金属48を介して接合することで箱構造を形成している(図6(A)参照)。本実施形態では、補剛材40と鉛直部材34bとを接合するため、図6(B)に示すように、すみ肉溶接による溶着金属48を完全に除去する。溶着金属48を除去した後、補剛材40の裏面側(内側)と、水平部材34aとの間に裏当て材50を設置する。そして、裏当て材50を配置した状態で、補剛材40の外側(表面側)から補剛材40と鉛直部材34bとの完全溶け込み溶接を行い、図6(C)に示すように、新たな溶着金属52による接合を成す。
【0033】
さらに続いて、図4に示すように補剛材46を接合する場合には、図7に示すように、板幅が十分にある板材46aを溶接した後に、余分な部分(図7中斜線で示す部分)を切除するようにしている。橋梁の溶接部位に関しては、完全溶け込み溶接が成されているかについて、超音波検査が行われる。この際、超音波発生装置から溶接部位までの距離が所定の距離だけ必要(検査装置によって定格値が定められている)となる。このため、溶接時には検査のための最少必要距離以上の板幅を有する板材46aを接合し、溶接部位の検査を終えた後に、設計上の不要部位を削除することで、角部などに生ずる応力集中等を回避することができるようになる。
【0034】
なお同様に、補剛材40におけるフィレット部分(図7中の補剛部材40に斜線で示す端部)も同様に、超音波検査を行う際には、溶接部位である下弦材34との間に最小必要距離以上の距離が必要である。このため、当該フィレット部分に関しても、同様に、十分な板幅を有する状態で検査を行った後、不要部分を切除すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
上記実施形態では、積層部材12に対する溶接母材14の溶接について、積層された3枚の板材12a~12cのうち、中央に配置された板材12bを被溶接母材として溶接する旨記載した。しかしながら、本発明に係る溶接方法、および溶接構造は、図8図9に示すように、積層部材12のうち、どの位置に積層された板材12a~12cを被溶接母材としても実施することができる。
【0036】
例えば図8に示すように、3枚の板材12a~12cのうち、一番上に積層されている板材12aを被溶接母材とする場合には、この板材12aに隣接配置されている板材12b、すなわち中央に配置されている板材12bのみに面取り20を施すようにすれば良い。また、図9に示すように、3枚の板材12a~12cのうち、一番下に積層されている板材12cを被溶接母材とする場合にも、中央に配置されている板材12bのみに面取り20を施すようにすれば良い。
【0037】
いずれの形態の場合であっても、上記実施形態と同様に、溶接母材14の一方の主面側からのみの溶接作業により、被溶接母材と溶接母材14とを接合することができる。
【符号の説明】
【0038】
10………溶接構造、12………積層部材、12a~12c………板材、14………溶接母材、16………開先、18………溶着金属、20………面取り、22………裏当て材、22a………傾斜面、30………支承部、32………支承、34………下弦材、34a………水平部材、34b………鉛直部材、36………鉛直材、38………斜材、38a………面取り、40………補剛材、40a………開先、42………フィラープレート、44………添接板、44a………面取り、46………補剛材、46a………板材、48………溶着金属、50………裏当て材、52………溶着金属。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9