(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】キャップ着脱装置およびその装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
G01N35/02 B
(21)【出願番号】P 2019542164
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(86)【国際出願番号】 IB2018050705
(87)【国際公開番号】W WO2018142361
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-19
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】アゼンタ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AZENTA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ホヴェンダール・ラース・ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン・ミケル
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン・スティグ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-525720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0095024(US,A1)
【文献】米国特許第09199755(US,B1)
【文献】特開昭54-130288(JP,A)
【文献】特開2005-345177(JP,A)
【文献】特開昭58-129365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(112)を保持する開口(114)の二次元アレイを有する管保持ラック(111)に配置された前記管(112)のキャップ着脱を行うキャップ着脱装置(100)であって、
前記管保持ラック(111)を支持するラック支持部(110)と、
エジェクタピン(230)のアレイおよびそのエジェクタピンを回転させるアクチュエータユニット(240)を搬送するヘッドユニット(120)と、
前記開口(114)中の前記管(112)のキャップ(113)とそれぞれ係合するキャップ着脱グリッパ(122)のアレイを備える、交換できるグリッパのカートリッジ(152)であって、前記開口に対して整列した前記キャップ着脱グリッパとともに、前記ヘッドユニット(120)の下方から、前記ヘッドユニットに取り付けられたり、前記ヘッドユニットから取り外されたりして、キャップ着脱グリッパのアレイ全体を一度に交換できる、前記キャップ着脱グリッパを前記エジェクタピンとともに回転させるためのカートリッジと、
前記ラック支持部(110)と前記ヘッドユニット(120)とを相対的に近づけたり、離したりして、前記キャップ着脱グリッパ(122)と
前記開口(114)のアレイ中の管(112)のキャップ(113)との係合を生じさせたり、係合を外したりする駆動システム(130)と、
前記エジェクタピンおよび前記キャップ着脱グリッパ(122)を回転させ
る前記アクチュエータユニット(240)を有し、一方向への回転により前記キャップ(113)を前記管(112)に取り付け、反対方向への回転により前記キャップ(113)を前記管(112)から取り外す駆動システム(140)とを備える、キャップ着脱装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記ヘッドユニット(120)が、
前記エジェクタピン(230)および前記アクチュエータユニットを支持する第1の取付体(151)
ならびにその第1の取付体(151)の下方の第2の取付体(153)を備え、前記カートリッジ(152)が、前記第2の取付体(153)に取り付けられている、キャップ着脱装置(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記カートリッジ(152)が、前記第2の取付体(153)に設けられた自動締付け手段によって、前記第2の取付体(153)に取り付けられたり、前記第2の取付体(153)から取り外されたりする、キャップ着脱装置(100)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)において、少なくとも1つの装置設定手段を備え
、その装置設定手段が、前記管に必要な設定を前記装置に知らせるデータを有する、キャップ着脱装置(100)。
【請求項5】
請求項4に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記装置設定手段が、前記ヘッドユニット(120)に配置された一組のスイッチを備える、キャップ着脱装置(100)。
【請求項6】
請求項4に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記装置設定手段が、前記カートリッジ(152)に配置されたマイクロチップを備える、キャップ着脱装置(100)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記キャップ着脱グリッパ(122)
のそれぞれが、当該キャップ着脱グリッパ(122)の中央軸心に沿って延びる貫通通路(221)を有し、前記貫通通路(221)内には
前記エジェクタピン(230)が移動可能に配置されており、前記エジェクタピン(230)が、前記キャップ着脱グリッパ(122)に対して並進動作することで、前記キャップ着脱グリッパ(122)内に保持されたキャップ(113)を取り外す、キャップ着脱装置(100)。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)において、複数のキャップ着脱グリッパ(122)を備え、各キャップ着脱グリッパ(122)が、他のキャップ着脱グリッパ(122)とは独立して、キャップ(113)と係合し、かつ/またはキャップ(113)との係合を外す、キャップ着脱装置(100)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)において、複数の前記キャップ着脱グリッパ(122)の動作を互いに独立に制御し、かつ/または複数の前記エジェクタピン(230)の動作を互いに独立に制御する制御ユニット(160)をさらに備える、キャップ着脱装置(100)。
【請求項10】
請求項
9に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記制御ユニット(160)と関連付けられたユーザインターフェースであって、いずれのキャップ着脱グリッパ(122)が、前記ラック(111)内に配置されたキャップ(113)を受け取りかつ/または引き渡す管(112)と係合し、かつ/または管(112)との係合を外すのかを、ユーザが決定できるように構成されたユーザインターフェースをさらに備える、キャップ着脱装置(100)。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法であって、
ラック支持部(110)にカートリッジ(152)を配置するステップと、
駆動システム(130)によってヘッドユニット(120)を前記カートリッジ(152)および前記ラック支持部(110)に向かって移動させるステップと、
前記カートリッジを前記ヘッドユニット(120)に取り付けるステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)から移動させるステップと、
前記ラック支持部(110)にラック(111)を配置するステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(120)を前記ラック(111)および前記ラック支持部(110)に向かって移動させるステップと、
前記カートリッジ(152)に取り付けられた少なくとも1つのキャップ着脱グリッパ(122)
に、前記ラック支持部(110)のラック(111)に配置された対向する試験管(112)の対向するキャップ(113)
を係合
させるステップと、
前記ヘッドユニット(120)を前記ラック支持部(110)から離す前記駆動システム(130)の動作と、それと同時の前記グリッパユニット(122)の回転動作との協働動作によって、前記試験管(112)から前記キャップ(113)の係合を外すステップであって、前記回転動作が、前記キャップ着脱グリッパ(122)に連結されたアクチュエータユニット(240)によって発生されるステップと、
上記のステップを逆にたどってキャップを取り付けるステップであって、トルクを検出する手段が特定の閾値トルクを超えたことを検出したときに、前記回転動作が停止されるステップとを備える、方法。
【請求項12】
請求項
11に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、
装置設定手段を有効にして、前記カートリッジ(152)の特定のキャップ着脱グリッパ(122)に合わせた装置設定を行うステップをさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項
12に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記有効にすることが、前記カートリッジ(152)と、前記ヘッドユニット(120)に設けられた一組のスイッチとが相互に作用することを含む、方法。
【請求項14】
請求項
12に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記有効にすることが、前記カートリッジ(152)に設けられたマイクロチップと、前記キャップ着脱装置(100)の制御ユニット(160)とが相互に作用することを含む、方法。
【請求項15】
請求項
11から
14のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、
駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)に向かって移動させて、前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)の上に戴置するステップと、
前記カートリッジ(152)を前記ヘッドユニット(120)から取り外すステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)を前記カートリッジ(152)および前記ラック支持部(110)から移動させるステップと、
によって、前記カートリッジを前記ヘッドユニット(120)から取り外すことをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項
15に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記カートリッジが、自動締付け手段によって、前記ヘッドユニット(120)に取り付けられたり、前記ヘッドユニットから取り外されたりする、方法。
【請求項17】
請求項
11から
16のいずれか一項に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、キャップ着脱グリッパ(122)と接触しているが、前記キャップ着脱グリッパ(122)
に連結された前記アクチュエータユニット(240)によって回転されないキャップ(113)は、対応する試験管(112)から取り除かれない、方法。
【請求項18】
管(112)の二次元アレイを有する管保持ラック(111)に配置された前記管(112)のキャップ着脱を行うキャップ着脱装置(100)であって、
アクチュエータユニット(240)のアレイ、前記アクチュエータユニットと同軸のエジェクタピンのアレイおよび前記エジェクタピンを並進動作させる駆動システム(130)を搬送するヘッドユニット(120)と、
前記管(112)のキャップ(113)とそれぞれ係合するキャップ着脱グリッパ(122)のアレイを備える、交換できるグリッパのカートリッジ(152)であって、前記ヘッドユニット(120)に取り付けられたり、前記ヘッドユニット(120)から取り外されたりして、キャップ着脱グリッパのアレイ全体を一度に交換できる、前記キャップ着脱グリッパを回転させるためのカートリッジと、
前記ヘッドユニットに前記カートリッジが取り付けられると、前記アクチュエータユニットが前記キャップ着脱グリッパに係合して、前記キャップ着脱グリッパの貫通通路内で前記エジェクタピンが移動可能となり、前記アクチュエータユニットにおける、一方向への回転により前記キャップを前記管に取り付け、反対方向への回転により前記キャップを前記管から取り外し、前記キャップ着脱グリッパ内での前記エジェクタピンの並進動作により前記キャップ着脱グリッパから前記キャップを取り外す、キャップ着脱装置(100)。
【請求項19】
請求項18に記載のキャップ着脱装置において、前記キャップ着脱グリッパおよびエジェクタピンが、前記アクチュエータユニットにより回転されるところ、前記エジェクタピンの前記キャップ着脱グリッパに対する並進動作が可能なように、結合されている、キャップ着脱装置。
【請求項20】
請求項18に記載のキャップ着脱装置において、各キャップ着脱グリッパが、他のキャップ着脱グリッパとは独立して、キャップと係合し、またはキャップ(113)との係合を外すように、前記アクチュエータユニットが独立して操作される、キャップ着脱装置。
【請求項21】
請求項20に記載のキャップ着脱装置において、いずれのキャップ着脱グリッパが、管と係合し、または管との係合を外すのかを、ユーザが決定できるように構成された制御ユニットをさらに備える、キャップ着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管のキャップを着脱する装置と、この装置を使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
高価な生体試料は、多くの場合、複数の試験管を収容する、いわゆるSBS形式のラックを用いて保存され処理される。このようなラックは、例えば、試験管をしっかりと保持するように設計された8×12個の開口のアレイに96個の試験管を収容することができる。これらの試験管およびその内容物は、処理システムにおいて、例えば保冷庫と様々な処理ステーションとの間を移動させることができ、同時または個別に、(ある程度または完全に)充填することまたは処理することが必要になることもある。
【0003】
従来、試験管のキャップ着脱は、ラックに保持されたままの状態でまたはラックから取り出した後に、手作業またはキャップ着脱ユニットによって1つずつ行われていた。このような作業は(特に、手作業でキャップの着脱をする場合に)煩わしいだけでなく、複数の管は同じ方法で同時に処理することが通常求められることから、時間もかかってしまう。キャップ着脱ユニットを直線状のアレイとして設け、一列の管のキャップを着脱できるようにすることが知られているが、そうしたシステムは、キャップ着脱ユニットに用いられる駆動システムの寸法により、かさ高くなってしまうし、試験管同士を近接して配置するため、キャップ着脱ユニットの駆動システムを、キャップ着脱ヘッドから離して、かつ、その大きさから、ラックよりも大きな専有面積にわたって設置することが必要となる。
【0004】
欧州特許出願公開第1882949号明細書(特許文献1)には、複数のキャップ付き試験管を所定の位置に収容するラックを支持する試験管ラック支持部を備えるキャップ着脱装置が、開示されている。ヘッドユニットは、キャップ着脱スピンドルの二次元アレイを支持している。各キャップ着脱スピンドルは、クラッチと、キャップ着脱スピゴットまたはソケットとを有し、これらのスピンドルは、ラック内に定められた試験管位置に対して整列している。駆動システムは、使用時に、これらの管とヘッドユニットとを相対的に近づけたり、離したりして、キャップ付きの試験管を収容したラックがラック支持部に配置されると、スピゴットまたはソケットを管キャップと係合させたり、その係合を外したりする。スピンドル駆動システムは、スピゴットまたはソケットを管キャップと係合させてから同時に回転させることで、管にキャップを取り付けるか、または管からキャップを取り外す。スピゴットからのキャップの取り出しは、スピンドルの並進動作とは反対方向に外部ネットを移動させることで行われ、1回の動作ですべてのキャップからすべてのソケットが外される。
【0005】
欧州特許出願公開第13752860号明細書(特許文献2)には、試験管のキャップ着脱を行う装置であって、キャップ着脱ソケットユニットを有する1つ以上のキャップ着脱グリッパを備え、この1つ以上のグリッパはそれぞれ、当該グリッパ内にエジェクタピンが移動可能に配置されて構成されており、このエジェクタピンは、グリッパに対して並進動作することにより、ソケットユニットによって保持されたキャップをソケットユニットから取り外すことができる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第1882949号明細書
【文献】欧州特許出願公開第13752860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャップ着脱グリッパのアレイ全体を一度に簡単かつ速やかに交換できるグリッパカートリッジを交換可能に有するキャップ着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記および他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項、明細書および図面から更なる実施例が明らかである。
【0009】
本発明の第1構成によると、管を保持する開口の二次元アレイを有する管保持ラックに配置された前記管のキャップ着脱を行うキャップ着脱装置であって、前記管保持ラックを支持するラック支持部と、少なくとも1つのキャップ着脱グリッパを備えるカートリッジを搬送するように適合されたヘッドユニットと、前記ラック支持部と前記ヘッドユニットとを相対的に近づけたり、離したりして、前記キャップ着脱グリッパと少なくとも1つの管のキャップとの係合を生じさせたり、係合を外したりする駆動システムと、前記キャップ着脱グリッパを回転させ、一方向への回転により前記キャップを前記管に取り付け、反対方向への回転により前記キャップを前記管から取り外す駆動システムとを備える、キャップ着脱装置が提供される。
【0010】
異なる形式の管キャップは異なる形式のグリッパを必要とするので、管のキャップ着脱を行う装置のグリッパは、定期的な交換を必要とする場合がある。第2構成に係る装置は、グリッパを1つずつ交換する必要がなく、その代わりに、カートリッジを交換する際にすべてのグリッパを同時に交換することから、簡単かつ高効率なグリッパ交換を促進する。よって、前記装置は、異なるグリッパに交換する際のダウンタイムを顕著に低減することにより、さらに効率的に使用することができる。
【0011】
第1構成の第1実施例においては、前記ヘッドユニットが、第1の取付体および第2の取付体を備え、前記カートリッジが、前記第2の取付体に取り付けられていることにより、前記ヘッドユニットに対する前記カートリッジの安定な連結を促進するので、前記カートリッジが信頼性の高い動作経路をとる。
【0012】
第1構成の第2実施例においては、前記カートリッジが、前記第2の取付体に設けられた自動締付け手段によって、前記第2の取付体に取り付けられたり、前記第2の取付体から取り外されたりするので、自動化された環境における前記装置の使用が促進される。
【0013】
第1構成の第3実施例においては、前記装置が、少なくとも1つの装置設定手段を備える。
【0014】
第1構成の第4実施例においては、前記装置設定手段が、前記ヘッドユニットに配置された一組のスイッチを備える。
【0015】
第1構成の第5実施例においては、前記装置設定手段が、前記カートリッジに配置されたマイクロチップを備える。
【0016】
第1構成の第6実施例においては、前記キャップ着脱グリッパが、当該キャップ着脱グリッパの中央軸心に沿って延びる貫通通路を有し、前記貫通通路内にはエジェクタピンが移動可能に配置されており、前記エジェクタピンが、前記キャップ着脱グリッパに対して並進動作することで、前記キャップ着脱グリッパ内に保持されたキャップを取り外すように構成されている。
【0017】
第1構成の第7実施例においては、前記エジェクタピンが、前記第1の取付体に取り付けられている。
【0018】
第1構成の第8実施例においては、前記装置が、複数のキャップ着脱グリッパを備え、各前記キャップ着脱グリッパが、他のキャップ着脱グリッパとは独立して、キャップと係合し、かつ/またはキャップとの係合を外すことができるように構成されていることにより、前記装置を柔軟性が高く用途の広いものとしている。
【0019】
第1構成の第9実施例においては、前記装置が、複数の前記キャップ着脱グリッパの動作を互いに独立に制御し、かつ/または複数の前記エジェクタピンの動作を互いに独立に制御するように構成された制御ユニットを備える。
【0020】
第1構成の第10実施例においては、前記装置が、前記制御ユニットと関連付けられたユーザインターフェースであって、いずれのキャップ着脱グリッパが、前記ラック内に配置されたキャップを受け取るようにかつ/または引き渡すように構成された管と係合し、かつ/または管との係合を外すのかを、ユーザが決定できるように構成されたユーザインターフェースを備える。
【0021】
本発明の第2構成によると、上記のキャップ着脱装置の操作方法であって、ラック支持部にカートリッジを配置するステップと、駆動システムによってヘッドユニットを前記カートリッジおよび前記ラック支持部に向かって移動させるステップと、前記カートリッジを前記ヘッドユニットに取り付けるステップと、前記駆動システムによって前記ヘッドユニットおよび前記カートリッジを前記ラック支持部から移動させるステップと、前記ラック支持部にラックを配置するステップと、前記駆動システムによって前記ヘッドユニットおよび前記カートリッジを前記ラックおよび前記ラック支持部に向かって移動させるステップと、前記カートリッジに取り付けられた少なくとも1つのキャップ着脱グリッパが、前記ラック支持部のラックに配置された対向する試験管の対向するキャップと係合するステップと、前記ヘッドユニットを前記ラック支持部から離す前記駆動システムの動作と、それと同時の前記グリッパユニットの回転動作との協働動作によって、前記試験管から前記キャップの係合を外すステップであって、前記回転動作が、前記キャップ着脱グリッパに連結されたアクチュエータユニットによって発生されるステップと、上記のステップを逆にたどってキャップを取り付けるステップであって、トルクを検出する手段が特定の閾値トルクを超えたことを検出したときに、前記回転動作が停止されるステップとを備える、方法が提供される。
【0022】
前述のとおり、異なる形式の管キャップは異なる形式のグリッパを必要とするので、管のキャップ着脱を行う装置のグリッパは、定期的な交換を必要とする場合がある。第3構成に係る方法は、グリッパを1つずつ交換する必要がなく、その代わりに、カートリッジを交換する際にすべてのグリッパを同時に交換することから、簡単かつ高効率なグリッパ交換を促進する。よって、前記装置は、異なるグリッパに交換する際のダウンタイムを顕著に低減することにより、さらに効率的に使用することができる。
【0023】
第2構成の第1実施例においては、前記方法が、さらに、装置設定手段を有効にして、前記カートリッジの特定のキャップ着脱グリッパに合わせた装置設定を行うステップを含む。
【0024】
第2構成の第2実施例においては、前記有効にすることが、前記カートリッジと、前記ヘッドユニットに設けられた一組のスイッチとが相互に作用することを含む。
【0025】
第2構成の第3実施例においては、前記有効にすることが、前記カートリッジに設けられたマイクロチップと、前記装置の制御ユニットとが相互に作用することを含む。
【0026】
第2構成の第4実施例においては、前記方法が、さらに、駆動システムによって前記ヘッドユニットおよび前記カートリッジを前記ラック支持部に向かって移動させて、前記カートリッジを前記ラック支持部の上に戴置するステップと、前記カートリッジを前記ヘッドユニットから取り外すステップと、前記駆動システムによって前記ヘッドユニットを前記カートリッジおよび前記ラック支持部から移動させるステップとによって、前記カートリッジを前記ヘッドユニットから取り外すことを含む。
【0027】
第2構成の第5実施例においては、前記カートリッジが、自動締付け手段によって、前記ヘッドユニットに取り付けられたり、前記ヘッドユニットから取り外されたりする。
【0028】
第2構成の第6実施例においては、キャップ着脱グリッパと接触しているキャップであっても、前記キャップ着脱グリッパの一部をなす前記アクチュエータユニットによって回転されないキャップは、対応する試験管から取り除かれない。
【0029】
第2構成の第7実施例においては、前記方法が、第1の取付体を前記ラック支持部に向かって移動させて、エジェクタピンを前記管の前記キャップと接触させることによって、キャップ付きの管をキャップ着脱グリッパから取り外すステップと、第2の取付体を前記管から離して、前記エジェクタピンを前記キャップと接触した状態に保ちつつ、前記キャップから前記ソケットユニットの係合を外すことによって、前記キャップから前記ソケットユニットの係合を外すステップと、前記第1の取付体を前記ラック支持部から移動させて、前記管を取り外し、前記キャップ着脱装置を解放して、新しいキャップ着脱サイクルを行うステップとを含む。
【0030】
第2構成の第8実施例においては、前記第1および第2の取付体が、駆動システムによって移動される。使用する駆動システムを1つとすることは、省コストおよび省スペースな解決手段である。
【0031】
これらの構成および他の構成は、後述する実施形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の以下の詳細な説明において、構成、実施形態および実施例について、図面に示した例示的な実施形態に言及しながら、より詳細に説明する。
【
図1】本発明の実施形態に係るキャップ着脱装置の模式的な斜視図である。外部の制御ユニットを有する本発明に係る装置の組み合わせは例示的に示したものであって、この実施形態が好ましいとするものではない。
【
図2】
図1に示された実施形態の側面断面図である。
【
図3】本発明の更なる実施形態に係るカートリッジの上面図である。
【
図4】
図3に示された実施形態に係るカートリッジおよびラック支持部の斜視図である。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態の模式的な斜視図である。
【
図6】
図6に示された実施形態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1および
図2には、本発明に係るキャップ着脱装置100の実施形態が詳細に示されている。
図1において、外部の制御ユニット160はあくまでも例示的に示されている。当業者にとって明白であるように、制御ユニット160は、何らかの目的のために装置100の外部のユニットとすることが可能であり、または他の目的のために前記装置と一体化させることが可能である。さらに、制御ユニット160と装置l00との間の接続は、図面に示すようなケーブルであっても、WiFi信号や、当業者の選択に応じた他の同様のオプションであってもよい。こうした選択は、現代の研究室の環境において些事であると考えられる。
【0034】
キャップ着脱装置100は、管ラック111(好ましくは、試験管ラック)を支持するラック支持部110を備えており、この管ラックは、キャップ113(好ましくは、ねじキャップ)を受け取るようにかつ/または引き渡すように取り付けられた少なくとも1つの管112(好ましくは、試験管)を、ラック111内の所定の位置に収容する。
【0035】
キャップ着脱装置100は、さらに、第1および第2の取付体151,153を有するヘッドユニット120を備えている。第1の取付体151は、特にエジェクタピン230を支持している。第2の取付体153は、キャップ着脱グリッパ122の二次元アレイ121(本例示的な実施形態においては6×8アレイであるが、例えば8×12などの任意の適切なアレイとすることができる)が設けられたカートリッジ152を支持している。各キャップ着脱グリッパ122は、キャップと係合し保持することができるキャップ着脱ソケットユニット123を有しており、キャップ着脱グリッパ122はラック111内の管位置に対して整列している。
【0036】
第1および第2の取付体151,153、カートリッジ152、管ラック111、およびラック支持部110は、すべて互いに実質的に平行に延びている。好ましくは、これらの各部品の平面は水平方向に延びており、前記装置がテーブルなどの台に配置されたとき、上下方向において、ラック支持部110がテーブルに最も近く、第1の取付体151が最も遠くなる。
【0037】
また、キャップ着脱装置100は、使用時に、ラック支持部110とヘッドユニット120とを相対的に近づけたり、離したりすることで、管112を収容したラック111がラック支持部110に配置されたときに、キャップ着脱ソケットユニット123と管112との係合を生じさせたり、係合を外したりする駆動システム130も備えている。
【0038】
キャップ着脱装置100は、さらに、キャップ着脱グリッパ122を回転させる駆動システム140と、この駆動システムに取り付けられたキャップ着脱ソケットユニット123とを備えている。キャップ着脱ソケットユニット123がキャップ113と係合した後、キャップ着脱ソケットユニット123の回転によって、キャップ着脱グリッパ122が一方向に回転する場合には、ラック111内の管112にキャップ113を取り付け、少なくともキャップ着脱グリッパ122が他方向に回転する場合には、管112からキャップ113を取り外すことが可能である。
【0039】
さらに、キャップ着脱装置100は、ヘッドユニット120の内部に駆動システム150を備えている。これにより、第1の取付体151および第2の取付体152は、駆動システム150によって移動されたとき、ヘッドユニット120の動作とは独立に、近づいたり、離れたりするように移動することができる。
【0040】
また、キャップ着脱装置100は、さらに、制御ユニット160を備えている。好ましくは、この制御ユニットは、プログラム可能なロジックコントローラ、マイクロプロセッサ、またはコンピュータアプリケーションであり、制御ユニット160は、グリッパユニットおよびエジェクタピンのアレイ全体の中のサブグループとして、またはグリッパユニットおよびエジェクタピンの全体として、グリッパユニットおよびエジェクタピンの(並進および回転)動作を個別に制御するために装置100の内部または外部にある。また、ユーザインターフェースを設けることによって、ユーザは、グリッパアレイ内のいずれのグリッパまたは複数のグリッパがラック内の対応する管と係合するのかを選択できる。好適な実施形態において、制御ユニット160は、好ましくは、グリッパを継続的に回転させるために必要とされる、駆動システム140に供給される電流を測定することによって、回転する各グリッパについてのトルクを測定する手段と、所定の閾値を超えた場合に、少なくとも1つのグリッパの回転を停止する手段とを備える。
【0041】
図3および
図4に示される上記のカートリッジは、貫通孔155の二次元アレイが設けられた実質的に矩形のトレイ154を備え、各貫通孔155は、キャップ着脱グリッパ122を収容するように適合されている。トレイ154の2つの対向する縁部(前縁部および後縁部)に中央凹部を設けて、カートリッジの中央部分における奥行を縁部分よりも小さくしてもよい。ここで、前側は、カートリッジが前記装置に配置されたときにユーザに面する縁部を指している。前記トレイの残り2つの対向する縁部(側縁部)には、装置100の第2の取付体153にカートリッジ152を取り付けるように適合された第1の係合手段156が設けられている。好ましくは、第1の係合手段156は貫通凹部を備えており、ヘッドユニット120には、対応して、第2の取付体153に設けられた自動締付け手段などの係合手段が設けられている。この自動締付け手段は、これらの凹部156と相互に作用することで、カートリッジ152を第2の取付体153に係止することができる。前記カートリッジは第2の取付体153に係止され、キャップ着脱グリッパ122は、装置100に挿入された管保持ラック111に設けられた管開口114に対して整列している。これにより、キャップ着脱グリッパ122について、管保持ラック111に配置された少なくとも1つの管112のキャップ113と係合させることおよび/またはキャップ113との係合を外すことが可能である。
【0042】
トレイ154は、さらに、両側のトレイ縁部に沿って設けられた第2の係合手段157を備える。好ましくは、第2の係合手段157は、管保持ラック111を支持するラック支持部110に設けられた対応する手段(細長い凹部など)と係合するように適合された細長い突起の形状である。
図4を参照されたい。
【0043】
装置100は、少なくとも1つの装置設定手段をさらに備え、この装置設定手段は、ヘッドユニット120に設けられた一組のスイッチまたはカートリッジ152に配置されたマイクロチップを備えていてもよい。装置設定手段を有効にすることにより、カートリッジ152の特定のキャップ着脱グリッパ122に合わせた装置設定が行われる。前記一組のスイッチは、前記カートリッジがヘッドユニット120に取り付けられたとき、このカートリッジと相互に作用する。マイクロチップを備える実施形態では、制御ユニット160と相互に作用する。前記装置設定手段は、特定の試験管(すなわち、特定のキャップ着脱グリッパ122)に必要な設定を前記装置に知らせるデータを有していてもよい。前記データは、トルク、速度、トレッド上のピッチなどに関するデータである。
【0044】
キャップ着脱グリッパ122は、カートリッジ152に取り付けられており、好ましくは、「ナットおよびボルト」形式の手段などを用いて容易に解除可能な方法で取り付けられている。このような実施形態において、グリッパ122の一端にはねじ部が設けられており、このねじ部は、カートリッジ152の一方側から貫通孔155を介して挿入され、その後、カートリッジ152の他方側のねじ部とナットを相互に作用させることによって、カートリッジ152に係止される。
【0045】
このナットは、ヘッドユニット120のアクチュエータユニット240と係合するインターフェースを備える。一実施形態において、前記インターフェースは、前記ナットの2つの対向する部分の間をナットの中央軸心方向に延びるスロットを備え、ナットの断面を略U字形状としている。
【0046】
前記カートリッジは、いくつかの異なるキャップ着脱グリッパ122を備えていてもよく、各グリッパは、異なるソケットユニット123を備えていてもよい。
【0047】
さらに、カートリッジ152には、カートリッジの種類を識別する識別子(バーコード、RFIDタグ、または機械的な標識などであるが、これらに限定されない)が設けられていてもよい。さらに、この識別子は、書き込み可能な電子メモリと、受信部/送信部とを備えていてもよい。当該実施形態において、前記識別子は、機械、カートリッジ、およびカートリッジの使用についてのデータ(カートリッジ152が取り付けたキャップおよび/または取り外したキャップの数、カートリッジ152が置かれた機械の種類、カートリッジ152についてのサービスログ、カートリッジに存在するキャップ着脱グリッパ122の種類についての情報など)を送信してもよい。
【0048】
キャップ着脱グリッパ122は、キャップ113と係合し保持することができるキャップ着脱ソケットユニット123を備え、このキャップ着脱ソケットユニット123は、ソケットユニット123の中央軸心に沿って延びる貫通通路211を有する。グリッパ122は、さらに、同様に貫通通路221を有するエジェクタピンガイドと、エジェクタピン230とを備える。ソケットユニット123およびエジェクタピンガイドは、エジェクタピン230がソケットユニット123およびエジェクタピンガイド内で並進動作できるように設けられている。
【0049】
エジェクタピン230は、例えば、上記の第1の取付体151に取り付けられていることにより、第1の取付体151に対して静止している。同様に、エジェクタピンガイドは、例えば、カートリッジ152に取り付けられていることにより、第2の取付体152に対して静止している。よって、駆動システム150を有効にすると、ソケットユニット123およびエジェクタピンガイド内でエジェクタピン230を並進動作させることが可能である。
【0050】
キャップ着脱ソケットユニット123およびエジェクタピンガイドは一体として製造することが可能であるが、一体としないことが好ましい。したがって、好適な実施形態において、キャップ着脱ソケット123はエジェクタピンガイドに対して着脱可能であり、これにより、キャップ着脱ソケットユニット123がエジェクタピンガイドに取り付けられたとき、エジェクタピン230は、キャップ着脱ソケットユニット123に取り付けられたエジェクタピンガイド内で並進動作することができる。
【0051】
エジェクタピン230を回転させる駆動システム140は、複数のアクチュエータユニット240を備え、各アクチュエータユニット240は、エジェクタピン230に機械的に連結されたアクチュエータ(好ましくは、電動モータ)を備える。アクチュエータユニット240の好適な実施形態において、前記アクチュエータは、ギアを用いてエジェクタピン230に機械的に連結されている。また、駆動システム140は、例えば前記アクチュエータが電動モータである場合、アクチュエータに供給される電流の変化を検出することによって、エジェクタピン230に対するトルクを検出する内部または外部の手段と、特定の閾値トルクを超えた場合に前記アクチュエータの動作を停止する内部または外部の手段とを備えていてもよい。しかしながら、トルクを検出する前記手段およびアクチュエータの動作を停止する前記手段は、制御ユニット160と関連していることが好ましい。
【0052】
エジェクタピン230がアクチュエータユニット240によって回転される当該更なる実施形態において、エジェクタピン230は、アクチュエータユニット240によって生じる回転動作を、エジェクタピンガイドまたはキャップ着脱ソケットユニット123に伝達する手段を有する。一実施形態において、エジェクタピン230の回転動作をエジェクタピンガイドに伝達する前記手段は、エジェクタピン230からエジェクタピンガイドの長手方向溝へ直角に突出するピンからなる。
【0053】
更なる実施形態において、前記エジェクタピンガイドは、さらに、キャップ着脱ソケットユニット123をエジェクタピンガイドに取り付ける手段を備える。好適な実施形態において、キャップ着脱ソケットユニット123を取り付ける前記手段は、さらに、付勢手段(好ましくは、コイルばね)を備える。
【0054】
他の実施形態において、キャップ着脱ソケットユニット123は、エジェクタピンガイドに取り外し不能に取り付けられている。なお、ソケットユニット123について、当該ソケットユニットがキャップと係合し、またキャップとの係合を解消する方法は、当該ソケットユニットがエジェクタピンガイドに取り付けられる方法およびこの取り付けが取り外し不能であるかどうかとは独立であるとして理解されたい。
【0055】
動作時には、カートリッジ152は、前記装置の本体構造内での元の位置から実質的に水平方向に取り出されたラック支持部110に配置される。カートリッジ152およびラック支持部110は、ヘッドユニット120が駆動システム130によってカートリッジ152およびラック支持部110に向かって移動されると、前記装置の構造部へ戻される。このカートリッジがヘッドユニット120に取り付けられると、ヘッドユニット120およびカートリッジ152が駆動システム130によってラック支持部110から移動される。その後、ラック支持部110は前記装置の構造部から再度取り出され、ラック111がラック支持部110に配置される。ヘッドユニット120は、駆動システム130によってラック11およびラック支持部110に向かって移動される。キャップ着脱グリッパ122は、ラック支持部110のラック111に配置された対向する試験管112の対向するキャップ113と、ソケットユニット123を介して係合する。ヘッドユニット120をラック支持部110から離す駆動システム130の協働動作と、キャップ113と接触しているキャップ着脱グリッパ122と連結されたアクチュエータユニット240の回転動作とによって、試験管112からキャップ113の係合が外される。キャップ着脱グリッパ122と接触しているものの、上記のキャップ着脱グリッパ122の一部をなすアクチュエータユニット240によって回転されないキャップは、対応する試験管112から取り除かれない。
【0056】
この操作は、装置設定手段を有効にして、カートリッジ152の特定のキャップ着脱グリッパ122に合わせた装置設定を行うことを含んでいてもよい。前記有効にすることは、カートリッジがヘッドユニット120に取り付けられたときに、このカートリッジと相互に作用する一組のスイッチ、または制御ユニット160と相互に作用するマイクロチップによって実行される。
【0057】
キャップ着脱グリッパ122と接触しているものの、上記のキャップ着脱グリッパ122の一部をなすアクチュエータユニット240によって回転されないキャップ113は、対応する試験管112から取り除かれない。
【0058】
取り外されたキャップを取りつけるためには、上記の手順を逆にする。アクチュエータユニット240によって生じるキャップ着脱グリッパ122の回転動作は、前記エジェクタピンにおけるトルクを検出する手段が特定の閾値トルクを超えたことを検出したとき停止される。管112はこの時点でキャップを有しており、エジェクタピン230がキャップ113と接触するように第1の取付体151をラック支持部110および管112に向かう方向に移動させることによって、そのキャップがソケットユニット123から解放される。その後、ラック支持部110および管112から離れる方向に第2の取付体153を移動させることによって、キャップ113からソケットユニット123の係合が外される。これにより、エジェクタピン230をキャップ113と接触した状態に保ちつつ、キャップ113からソケットユニット123の係合を外すことによって、管112を取り外し、キャップ着脱装置100を解放して、新しいキャップ着脱サイクルを行う。上述のとおり、第1および第2の取付体151,153は駆動システム150によって移動される。
【0059】
さらに別の実施形態において、キャップ着脱装置100は、
図5および
図6に示されているように、光カーテン300などの光電気装置を備えていてもよい。この光カーテンは、少なくとも1つの送信部と、少なくとも1つの受信部とを備える。前記光カーテンは、
図5および
図6に示されているような、複数の平行な光ビーム301、またはカーテン表面にわたって前後に反射される1つの連続的な反射光ビームを備える。光カーテン300は、カートリッジ152とラック111との間に配置されており、前記光ビームは、前記カートリッジおよびラックの平面と平行な平面で延びている。前記光カーテンは、ラック111に配置されている管112の高さおよび/または前記装置に配置されているラック111に管112が存在することを特定するために使用することができる。このデータを使用して前記装置の設定を行い、ヘッドユニット120および/または第1および第2の取付体151,153をキャップ着脱のための正確な高さまで移動させること、かつ/または、ユーザに対して、ラック111に管112が存在しないという警告または不適切なカートリッジ152が前記装置に導入されているという警告を与えることが可能である。さらに、光カーテンを用いて、ソケットユニット123にキャップ113が存在することを検出したり、ラック111の管112にキャップ113が存在することまたは存在しないことを検出したり、取り外す際に、キャップ113がソケットユニット123から落下したこと、または管112の内容物の液滴がキャップ113からこぼれたことを特定したりしてもよい。
【0060】
この実施形態は、管112を保持する開口114の二次元アレイを有する管保持ラック111に配置された前記管のキャップ着脱を行うキャップ着脱装置100であって、管保持ラック111を支持するラック支持部110と、少なくとも1つのキャップ着脱グリッパ122を搬送するヘッドユニット120と、ラック支持部110とヘッドユニット120とを相対的に近づけたり、離したりして、キャップ着脱グリッパ122と少なくとも1つの管112のキャップ113との係合を生じさせたり、係合を外したりする駆動システム130と、キャップ着脱グリッパ122を回転させる駆動システム140であって、一方向への回転によりキャップ113を管に取り付け、反対方向への回転によりキャップ113を管から取り外す駆動システム140と、ヘッドユニット120および管保持ラック111の間に設けられた光電気装置とを備える装置100を含む。前記光電気装置は、光カーテンを備えていてもよい。前記光カーテンは、ヘッドユニット120および管保持ラック111と平行な平面で延びる少なくとも1つの光ビームを備えていてもよい。
【0061】
本明細書において、様々な実施形態に言及して種々の構成および実施例について説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された主題を実施するにあたり、本願の図面、明細書および添付の特許請求の範囲を検討することで、開示された実施形態以外の変形例を理解し、それを実施することが可能である。特許請求の範囲において、「備える/含む」などの文言は、他の要素またはステップを除外するものではない。また、単数で記載された用語は、複数のものを除外するものではない。特許請求の範囲に記載された複数の部品の機能を、1つのプロセッサまたは他のユニットが果たしてもよい。単に、特定の手段が異なる従属請求項に記載されているからといって、それらの手段の組み合わせが有利に使用できないということを示すものではない。
【0062】
請求項において使用される符号は、その範囲を限定するものとして理解するべきでない。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
管(112)を保持する開口(114)の二次元アレイを有する管保持ラック(111)に配置された前記管(112)のキャップ着脱を行うキャップ着脱装置(100)であって、
前記管保持ラック(111)を支持するラック支持部(110)と、
少なくとも1つのキャップ着脱グリッパ(122)を備えるカートリッジ(152)を搬送するヘッドユニット(120)と、
前記ラック支持部(110)と前記ヘッドユニット(120)とを相対的に近づけたり、離したりして、前記キャップ着脱グリッパ(122)と少なくとも1つの管(112)のキャップ(113)との係合を生じさせたり、係合を外したりする駆動システム(130)と、
前記キャップ着脱グリッパ(122)を回転させ、一方向への回転により前記キャップ(113)を前記管(112)に取り付け、反対方向への回転により前記キャップ(113)を前記管(112)から取り外す駆動システム(140)とを備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様2]
態様1に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記ヘッドユニット(120)が、第1の取付体(151)および第2の取付体(153)を備え、前記カートリッジ(152)が、前記第2の取付体(153)に取り付けられている、キャップ着脱装置(100)。
[態様3]
態様2に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記カートリッジ(152)が、前記第2の取付体(153)に設けられた自動締付け手段によって、前記第2の取付体(153)に取り付けられたり、前記第2の取付体(153)から取り外されたりする、キャップ着脱装置(100)。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)において、少なくとも1つの装置設定手段を備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様5]
態様4に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記装置設定手段が、前記ヘッドユニット(120)に配置された一組のスイッチを備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様6]
態様4に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記装置設定手段が、前記カートリッジ(152)に配置されたマイクロチップを備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様7]
態様1から6のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記キャップ着脱グリッパ(122)が、当該キャップ着脱グリッパ(122)の中央軸心に沿って延びる貫通通路(221)を有し、前記貫通通路(221)内にはエジェクタピン(230)が移動可能に配置されており、前記エジェクタピン(230)が、前記キャップ着脱グリッパ(122)に対して並進動作することで、前記キャップ着脱グリッパ(122)内に保持されたキャップ(113)を取り外す、キャップ着脱装置(100)。
[態様8]
態様7に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記エジェクタピン(230)が、前記第1の取付体(151)に取り付けられている、キャップ着脱装置(100)。
[態様9]
態様1から8のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)において、複数のキャップ着脱グリッパ(122)を備え、各キャップ着脱グリッパ(122)が、他のキャップ着脱グリッパ(122)とは独立して、キャップ(113)と係合し、かつ/またはキャップ(113)との係合を外す、キャップ着脱装置(100)。
[態様10]
態様1から9のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)において、複数の前記キャップ着脱グリッパ(122)の動作を互いに独立に制御し、かつ/または複数の前記エジェクタピン(230)の動作を互いに独立に制御する制御ユニット(160)をさらに備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様11]
態様10に記載のキャップ着脱装置(100)において、前記制御ユニット(160)と関連付けられたユーザインターフェースであって、いずれのキャップ着脱グリッパ(122)が、前記ラック(111)内に配置されたキャップ(113)を受け取りかつ/または引き渡す管(112)と係合し、かつ/または管(112)との係合を外すのかを、ユーザが決定できるように構成されたユーザインターフェースをさらに備える、キャップ着脱装置(100)。
[態様12]
態様1から11のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法であって、
ラック支持部(110)にカートリッジ(152)を配置するステップと、
駆動システム(130)によってヘッドユニット(120)を前記カートリッジ(152)および前記ラック支持部(110)に向かって移動させるステップと、
前記カートリッジを前記ヘッドユニット(120)に取り付けるステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)から移動させるステップと、
前記ラック支持部(110)にラック(111)を配置するステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(120)を前記ラック(111)および前記ラック支持部(110)に向かって移動させるステップと、
前記カートリッジ(152)に取り付けられた少なくとも1つのキャップ着脱グリッパ(122)が、前記ラック支持部(110)のラック(111)に配置された対向する試験管(112)の対向するキャップ(113)と係合するステップと、
前記ヘッドユニット(120)を前記ラック支持部(110)から離す前記駆動システム(130)の動作と、それと同時の前記グリッパユニット(122)の回転動作との協働動作によって、前記試験管(112)から前記キャップ(113)の係合を外すステップであって、前記回転動作が、前記キャップ着脱グリッパ(122)に連結されたアクチュエータユニット(240)によって発生されるステップと、
上記のステップを逆にたどってキャップを取り付けるステップであって、トルクを検出する手段が特定の閾値トルクを超えたことを検出したときに、前記回転動作が停止されるステップとを備える、方法。
[態様13]
態様12に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、
装置設定手段を有効にして、前記カートリッジ(152)の特定のキャップ着脱グリッパ(122)に合わせた装置設定を行うステップをさらに含む、方法。
[態様14]
態様13に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記有効にすることが、前記カートリッジ(152)と、前記ヘッドユニット(120)に設けられた一組のスイッチとが相互に作用することを含む、方法。
[態様15]
態様13に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記有効にすることが、前記カートリッジ(152)に設けられたマイクロチップと、前記キャップ着脱装置(100)の制御ユニット(160)とが相互に作用することを含む、方法。
[態様16]
態様12から15のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、
駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)および前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)に向かって移動させて、前記カートリッジ(152)を前記ラック支持部(110)の上に戴置するステップと、
前記カートリッジ(152)を前記ヘッドユニット(120)から取り外すステップと、
前記駆動システム(130)によって前記ヘッドユニット(120)を前記カートリッジ(152)および前記ラック支持部(110)から移動させるステップと、
によって、前記カートリッジを前記ヘッドユニット(120)から取り外すことをさらに含む、方法。
[態様17]
態様16に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記カートリッジが、自動締付け手段によって、前記ヘッドユニット(120)に取り付けられたり、前記ヘッドユニットから取り外されたりする、方法。
[態様18]
態様12から17のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、キャップ着脱グリッパ(122)と接触しているが、前記キャップ着脱グリッパ(122)の一部をなす前記アクチュエータユニット(240)によって回転されないキャップ(113)は、対応する試験管(112)から取り除かれない、方法。
[態様19]
態様12から18のいずれか一態様に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、
第1の取付体(151)を前記ラック支持部(110)に向かって移動させて、エジェクタピン(230)を前記管(112)の前記キャップ(113)と接触させることによって、キャップ付きの管(112)をキャップ着脱グリッパ(122)から取り外すステップと、
第2の取付体(153)を前記管(112)から離して、前記エジェクタピン(230)を前記キャップ(113)と接触した状態に保ちつつ、前記キャップ(113)から前記ソケットユニット(123)の係合を外すことによって、前記キャップ(113)から前記ソケットユニット(123)の係合を外すステップと、
前記第1の取付体(151)を前記ラック支持部(110)から移動させて、前記管(112)を取り外し、前記キャップ着脱装置(100)を解放して、新しいキャップ着脱サイクルを行うステップとをさらに含む、方法。
[態様20]
態様19に記載のキャップ着脱装置(100)の操作方法において、前記第1および第2の取付体(151,153)が、駆動システム(150)によって移動される、方法。