(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】物品選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20221207BHJP
B65G 47/46 20060101ALI20221207BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/46 B
B65G47/68 C
(21)【出願番号】P 2018150767
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】508134337
【氏名又は名称】シブヤ精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】久保 誠
(72)【発明者】
【氏名】松井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】兼子 義生
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-212909(JP,A)
【文献】特開2017-145123(JP,A)
【文献】特開2011-005464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/46
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の領域にわたって設けられた搬送コンベヤと、この搬送コンベヤに搬送方向に沿って複数設けられるとともに、物品を載置する載置部材を有するバケットと、上記載置部材を搬送コンベヤの搬送方向と交差する方向に移動させる駆動機構とを備え、各バケットの載置部材に物品を載置して搬送しながら仕分け区分に応じてバケット上の物品を搬送コンベヤの側方に排出するようにした物品選別装置において、
上記載置部材は、隣接させて平行に配置された少なくとも2以上の無端状ベルトからなり、隣り合う無端状ベルトのうちの一方に当該無端状ベルトと一体に噛み込み防止部を設けてあり、該噛み込み防止部が隣り合う無端状ベルトのうちの他方の上面に重合されることで、隣り合う無端状ベルトの間の隙間を遮蔽するようになっており、
上記噛み込み防止部及び隣り合う
無端状ベルトにわたって上記物品を載置した状態で搬送することを特徴とする物品選別装置。
【請求項2】
隣り合う無端状ベルトは、相互に近接する側部の高さが、それと反対側の側部の高さよりも低くなるように傾斜させて配置されていることを特徴とする
請求項1に記載の物品選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品選別装置に関し、より詳しくは、例えばトマト等のヘタを有する農産物を等級の違いに応じて選別する場合に好適な物品選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農産物等の物品を等級の違いに応じて選別する物品選別装置は公知である(例えば特許文献1)。
特許文献1の装置においては、物品を載置する複数のバケットが設けられたバケットコンベヤを備えており、さらに、上記バケットとして一対の無端状ベルトを隣接させて平行に配置した構成が提案されている(特許文献1の第2実施例参照)。この特許文献1においては、バケットが有する一対の無端状ベルトにリンゴ等の農産物を載置して搬送しながら等級を判定したら、該等級の違いに応じてバケット上から分岐コンベヤへ農産物を排出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の装置によって、トマト等のヘタ(放射状に広がるガク)を有する農産物を選別する場合には、搬送時の安定性を確保するためにヘタを下方にしてバケットにトマトを載置するようにしている。
この場合には、バケットに設けた一対の無端状ベルトにわたってトマトを載置することになるが、隣り合う無端状ベルト同士の隙間にトマトのヘタが入り込み、バケットからのトマトの排出時にプーリと無端状ベルトの下面との間にヘタが挟まり、ヘタが脱落したり、トマトが挟まったまま排出されずに損傷するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、所要の領域にわたって設けられた搬送コンベヤと、この搬送コンベヤに搬送方向に沿って複数設けられるとともに、物品を載置する載置部材を有するバケットと、上記載置部材を搬送コンベヤの搬送方向と交差する方向に移動させる駆動機構とを備え、各バケットの載置部材に物品を載置して搬送しながら仕分け区分に応じてバケット上の物品を搬送コンベヤの側方に排出するようにした物品選別装置において、
上記載置部材は、隣接させて平行に配置された少なくとも2以上の無端状ベルトからなり、隣り合う無端状ベルトのうちの一方に当該無端状ベルトと一体に噛み込み防止部を設けてあり、該噛み込み防止部が隣り合う無端状ベルトのうちの他方の上面に重合されることで、隣り合う無端状ベルトの間の隙間を遮蔽するようになっており、
上記噛み込み防止部及び隣り合う無端状ベルトにわたって上記物品を載置した状態で搬送するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、隣り合う無端状ベルトの隙間は上記噛み込み防止部によって遮蔽されており、その部分と隣り合う無端状ベルトに例えばヘタを有するトマトが載置されて搬送される。そのため、バケット上からトマトが排出される際には、トマトのヘタが隣り合う無端状ベルトの隙間等に噛み込むのを防止できる。したがって、ヘタを有するトマト等の農産物であっても損傷させることなく確実にバケットから排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1ないし
図3において、物品選別装置1は、ヘタTaを有するトマトT(農産物)を外観や品質等の違いに応じて8種類の等階級に選別するようになっている。物品選別装置1は、所要の領域にわたって配置されて矢印方向に循環走行される搬送コンベヤ2と、この搬送コンベヤ2の搬送方向に沿って等間隔で設けられてトマトTを載置して移送する多数のバケット3とを備えている。搬送コンベヤ2の搬送経路における上流側の領域が手動供給部Aとなっており、その隣接下流側の領域が検査部Bとなっており、さらに検査部Bの隣接下流側の領域が仕分け排出部Cとなっている。
【0009】
手動供給部Aの一側(
図1における上方側)の隣接位置には、搬送コンベヤ2に沿ってコンテナ用コンベヤ4が配置されており、コンテナ用コンベヤ4と手動供給部Aとにわたって複数の作業者Wが配置されている。検査部Bには、搬送コンベヤ2の搬送経路上に外観検査装置6と品質検査装置7が順次配置されるとともに、両検査装置6,7による検査結果が送信される制御装置8も配置されている。仕分け排出部Cとなる搬送コンベヤ2の一側の隣接位置には、搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に8本の分岐コンベヤ11A~11Hが設けられており、これらの周辺に複数の作業者Wが配置されている。
【0010】
複数のトマトTを収納した各コンテナ12がコンテナ用コンベヤ4によって供給位置Dに供給されると、手動供給部Aの各作業者Wは各コンテナ12から順次1つずつトマトTを取り出して、矢印方向に走行中の搬送コンベヤ2の各バケット3上に載置するようになっている。その際、作業者Wは、当該トマトTをヘタTaが下になるようにしてバケット3上に供給するようにしている(
図3、
図5参照)。このように、ヘタTaを下にしてバケット3上にトマトTを供給する理由は、トマトTが略球状であるため、バケット3上にトマトTを安定した状態で載置し、搬送するためである。
後に詳述するが、バケット3はトマトTが載置される載置部材10(無端状ベルト10A、10B)を備えており、該載置部材10はトマトTを載置した状態で搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に移動できるようになっている。仕分け排出部CにおいてトマトTが載置された載置部材10が搬送方向と直交する方向へ移動されると、バケット3の載置部材10上からトマトTが分岐コンベヤ11A~11H上へ排出されるようになっている。
【0011】
本実施例では、搬送コンベヤ2が走行中において、手動供給部Aの作業者によってトマトTを1つずつバケット3の載置部材10にヘタTaが下になるようにして載置するようになっている。
その後、検査部B内を搬送されるバケット3上のトマトTは、先ず外観検査装置6によって外観を検査された後に、品質検査装置7によって糖度や腐敗の有無等の内部品質に関する内部品質検査が行われるようになっている。各バケット3上のトマトTに対する両検査装置6、7の検査結果は逐次制御装置8に入力されるようになっている。なお、外観検査装置6、品質検査装置7の構成は上記特許文献1等により従来公知であるため、詳細な説明は省略する。
制御装置8は、各バケット3上のトマトTについて外観検査と内部品質検査の結果を基にして8種類の等階級に区分するようになっている。そして、制御装置8は、トマトTを載置した各バケット3が仕分け排出部Cを通過する際に、仕分け排出部Cに配置された駆動機構13の作動を制御して、8種類の等階級に応じて各バケット3上のトマトTをいずれかの分岐コンベヤ11A~11H上に排出させるようになっている。これらの分岐コンベヤ11A~11H上に排出されたトマトTは、その後、各分岐コンベヤ11A~11H上のトマトT毎に作業者Wによって図示しないコンテナまたは箱に収納されるようになっている。
【0012】
しかして、
図2~
図5に示すように、本実施例のバケット3は、搬送コンベヤ2が備える左右一対の無端状チェーン14、14にわたって水平に取り付けられた支持フレーム15と、この支持フレーム15上に設けられて、搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に移動可能な載置部材10と、載置部材10の近接上方に配置されて該載置部材10とともに搬送方向と直交する方向に移動可能なバックサポータ17と、連結ピン18、18によってバックサポータ17に連結されるとともに駆動機構13に連動して載置部材10とバックサポータ17を搬送方向と直交する方向に移動させるスライダー19を備えている。
支持フレーム15は長方形の枠状に形成されており、その内方側に板状のガイドプレート21が水平に連結されている。このガイドプレート21には、搬送方向と交差する方向の切り欠きからなるガイド溝21Aが形成されており、このガイド溝21Aに、スライダー19に連結された係合ピン22を係合させている。
【0013】
支持フレーム15の上部の左右両側には、搬送コンベヤ2の搬送方向と平行にガイド軸23、23が同じ高さで水平に取り付けられている。これらガイド軸23、23によって載置部材10、バックサポータ17が水平に支持されるとともに、それらはガイド軸23、23に沿って搬送コンベヤ2の搬送方向に移動可能となっている。
本実施例の載置部材10は、隣接させて平行に配置された可動部材としての一対の無端状ベルト10A、10Bとから構成されており、それら一対の無端状ベルト10A、10Bの上面にわたってトマトTを載置するようになっている。
断面コ字型をした一対の支持フレーム24A、24Bの間に複数のスペーサ25を介在させることで、両支持フレーム24A、24Bは少し離隔した状態で一体に連結されている。その状態の両支持フレーム24A、24Bの長手方向の両端部に穿設したガイド孔24aに上記ガイド軸23、23を挿通させている。
各支持フレーム24A、24Bにおける上部の長手方向両端にプーリ26A、26Bが回転自在に設けられている。そして、一方の支持フレーム24Aの両プーリ26A、26Bにわたって無端状ベルト10Aが掛け渡されており、他方の支持フレーム24Bのプーリ26A、26Bにわたって無端状ベルト10Bが掛け渡されている。これにより、無端状ベルト10A、10Bは、搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に走行可能(移動可能)となっている。
前述したように、ガイド軸23、23は支持フレーム15に搬送方向と同一方向に支持されており、それらガイド軸23、23は支持フレーム24A、24Bのガイド孔24a、24aを貫通しているので、並列に配置された両無端状ベルト10A、10Bはガイド軸23、23に案内されて搬送方向に移動可能となっている。
図5に示すように、支持フレーム24A、24Bは、スペーサ25に接触する位置の側部の高さが、他側の高さよりも少し低くなっており、そのため、並列に配置された一対の無端状ベルト10A、10Bも、隣接する一側の縁部の高さが、他測の縁部の高さよりも少し低くなっている。つまり、トマトTが載置される載置箇所となる両無端状ベルト10A、10Bの上面は、それらの間のスペーサ25側の縁部が最も低くなるようにV字状の傾斜状態に維持されている(
図5参照)。
本実施例では、隣り合う一対の無端状ベルト10A、10Bの上面にわたってヘタTaを有するトマトTを載置し、その状態でトマトTを搬送するようにしている。そこで、本実施例では、トマトTの載置箇所における無端状ベルト10A、10Bの間の隙間を遮蔽するために、一方の無端状ベルト10Aに噛み込み防止部10Aaが形成されている。
噛み込み防止部10Aaは、無端状ベルト10Aにおけるスペーサ25側となる縁部を、隣接位置の無端状ベルト10Bに向けて台形状に突き出して形成されている。この噛み込み防止部10Aaの側部は、隣接位置の無端状ベルト10Bの上面に重合させてあり、したがって、この噛み込み防止部10Aaの位置では両無端状ベルト10A、10Bの間の隙間が遮蔽されている。
噛み込み防止部10Aaは、搬送方向及びそれと直交する方向におけるバケット3の中央部に位置しており、噛み込み防止部10Aaとその隣接両側となる両無端状ベルト10A、10Bの上面の箇所が、トマトTが載置される載置位置となっている。そのため、手動供給部Aにおいて、バケット3の無端状ベルト10A、10B上にトマトTがヘタTaを下にして供給されると、該ヘタTaとその周辺部は噛み込み防止部10Aa上に載置されるようになっている。
それにより、載置部材10を構成する両無端状ベルト10A、10Bが仕分け排出部Cで分岐コンベヤ11A~11Hに向けて移動されてトマトTが載置部材10から排出される際に、トマトTのヘタTaが両無端状ベルト10A、10Bの間の隙間に噛み込んだり、無端状ベルト10A、10Bとプーリ26A、26Aとの間にヘタTaが噛み込むのを防止できるようになっている。
【0014】
本実施例では、無端状ベルト10A、10Bと噛み込み防止部10Aaにわたって載置されるトマトTを後方側から支持して側方へ押し出すために、バックサポータ17が配置されている。
バックサポータ17は厚肉の平板状に形成されており、バックサポータ17の底面は両無端状ベルト10A、10Bの上面に重合させた状態でそれらと一体に連結されている。それにより、バックサポータ17と両無端状ベルト10A、10Bは一体となって、搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に移動可能となっている。バックサポータ17の前面17Aは、平面で見るとトマトTの外形に沿うように円弧状に形成されており、その前面17Aは、上記噛み込み防止部10Aaに隣接上方で交差した状態となっている。それによって、噛み込み防止部10Aaの位置にトマトTがヘタTaを下にして載置されると、該トマトTの外周の一部をバックサポータ17の前面17Aで安定した状態で支持できるようになっている(
図2参照)。
バックサポータ17は、両支持フレーム24A、24Bの間の隙間を介して2本の連結ピン18、18により下方側のスライダー19と一体に連結されている。
支持フレーム24Aの下部と支持フレーム24Bの下部とにわたって、搬送方向と直交する方向に一対のガイド軸27、27が水平に取り付けられており、上記スライダー19の両側部に形成されたガイド溝19A、19Aを上記ガイド軸27、27に摺動自在に係合させている。これにより、スライダー19、バックサポータ17及び両無端状ベルト10A、10Bが搬送方向と直交する方向に同期して移動可能となっている。
【0015】
スライダー19の底面に係合ピン22が鉛直下方に向けて固定されており、この係合ピン22はガイドプレート21のガイド溝21Aに貫通させて、それに係合されている。
図4に示すように、ガイド溝21Aは、搬送方向と直交する方向の直交ガイド部21aと、それから連続し、かつ搬送方向に対して斜めに後退するように傾斜した後退ガイド部21bとから構成されている。
バケット3の載置部材10(無端状ベルト10A、10B)にトマトTが供給される前の状態では、係合ピン22がガイド溝21Aの直交ガイド部21aの始点に位置しているので、無端状ベルト10A、10B及びバックサポータ17は
図2、
図3に示す後退端に位置するとともに、この状態では無端状ベルト10Aの噛み込み防止部10Aaは、実質的にバケット3の中央部に位置している。
このように後退端に位置するバケット3の載置部材10(無端状ベルト10A、10B)に、手動供給部AにおいてヘタTaを下にした状態でトマトTが載置されるようになっている。その際、前述したように、無端状ベルト10に噛み込み防止部10Aaが形成されているので、トマトTのヘタTaは噛み込み防止部材10Aa上とその隣接位置の両無端状ベルト10A、10B上に載置されるようになっている。その際には、トマトTの外周部がバックサポータ17の前面17Aにより支持される。
そして、バケット3に載置されたトマトTに対して、検査部Bにおいて外観検査装置6、品質検査装置7による検査が行われて、該バケット3上のトマトTの品質の区分が決定すると、その後、仕分け排出部Cにおいて、制御装置8によって各バケット3に応じた駆動機構13が駆動される。すると、該駆動機構13によって係合ピン22が上記直交ガイド部21aの始点から後退ガイド部21bの終点まで移動される。
それにより、スライダー19、バックサポータ17及びトマトTを載置した両無端状ベルト10A、10B(載置部材10)が、ガイド溝21Aの形状に倣って先ず搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向(
図2~4の左方向)に移動され、さらに搬送方向に対して斜めに後退する方向に移動される。これにより、載置部材10上のトマトTが搬送方向の左側となる側方に向けて排出されて、分岐コンベヤ11A~11Hのいずれかに排出される。
その際、載置部材10から排出されるトマトTは、噛み込み防止部10Aa及びその隣接位置の両無端状ベルト10A、10Bに載置された状態で搬送方向と直交する左方側に向けて排出される。そのため、トマトTのヘタTaが両無端状ベルト10A、10Bの間の隙間に噛み込まるのが防止されるとともに、プーリ26Aと両無端状ベルト10A、10Bとの間にヘタTaが挟み込まれるとも防止されるようになっている。
【0016】
次に、駆動機構13は、仕分け排出部Cにおける各分岐コンベヤ11A~11Hの位置に合わせて搬送コンベヤ2の搬送経路に8組配置されている。
本実施例の駆動機構13は、停止位置と作動位置とに切り換え可能な切り換えガイド31と、この切り換えガイド31を停止位置と作動位置とに切り換えるソレノイド32と、切り換えガイド31よりも搬送方向の少し下流側に水平に固定された固定斜めガイド33とを備えている。
ソレノイド32は制御装置8によって作動を制御されるようになっており、制御装置8がソレノイド32を作動させると、切り換えガイド31が停止位置から作動位置に切り換えられるようになっている。すると、バケット3の係合ピン22の下端部が切り換えガイド31に当接するので、固定斜めガイド33に向けて係合ピン22を移動させる。それにより、係合ピン22は固定斜めガイド33のガイド面に当接して、該ガイド面に沿って搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向及び斜め後方へ後退する方向に移動される。つまり、係合ピン22が上記ガイド溝21A内を直交ガイド部21aから後退ガイド部21bへと摺動するようになっている。
したがって、前述したように、バケット3における載置部材10、バックサポータ17が搬送方向と直交方向に移動されるとともに、載置部材10は搬送方向と直交する方向に移動されながら後退方向にも移動される。そのため、載置部材10が搬送方向と直交する方向及び斜め後方に後退する方向に前進されて、それに載置されたトマトTは載置部材10上から分岐コンベヤ11A~11H上に排出されるようになっている。
【0017】
さらに、仕分け排出部Cよりも下流側となる搬送コンベヤ2の下方側には、載置部材10等を後退位置に復帰させるための復帰用の固定斜めガイド35が配置されている(
図1参照)。仕分け排出部Cにおいて載置部材10が前進されてトマトTが排出された各バケット3は、搬送コンベヤ2の走行に伴って復帰用の固定斜めガイド35の位置まで搬送されてくると、各バケット3における係合ピン22が復帰用の固定斜めガイド35のガイド面に接触して、分岐コンベヤ11A~11Hとは反対側となる搬送コンベヤ2の他側に向けて移動される。これにより、前進されていた載置部材10、バックサポータ17等が後退して
図2、
図3に示す後退位置に復帰するようになっている。このように、バケット3の載置部材10が後退位置に復帰することで、載置部材10上にトマトTを載置できるようになっている。
【0018】
以上のように、本実施例のバケット3は、一対の無端状ベルト10A、10Bからなる載置部材10を備えており、無端状ベルト10Aには噛み込み防止部10Aaが形成され、該噛み込み部材10Aaは他方の無端状ベルト10Bの上面に重合している。
そのため、隣り合う無端状ベルト10A、10Bの間の隙間は、噛み込み防止部10Aaによって遮蔽されており、噛み込み防止部10Aaとそこの隣接位置の無端状ベルト10A、10B上にトマトTが載置される。そして、その状態で、仕分け排出部Cにおいて、無端状ベルト10A、10Bが搬送方向と直交する左方側へ前進されることで、無端状コンベヤ10A、10B及び噛み込み防止部10Aa上からヘタTaを有するトマトTが排出される。そのため、トマトTのヘタTaが隣り合う無端状ベルト10A、10Bの間の隙間に入り込むのを防止できるとともに、プーリ26Aと無端状コンベヤ10A、10Bとの間にヘタTaが挟み込まれることも防止できる。
したがって、本実施例によれば、ヘタTaを有するトマトTであっても円滑に選別することができるとともに、バケット3からの排出の際にトマトTが損傷することを確実に防止することができる。
【0019】
次に、
図6~
図9は、本発明のバケット3に関する第2実施例から第5実施例を示したものである。なお、これらの実施例においては、上記第1の実施例と対応する部材に同じ部材番号を付している。
すなわち、
図6はバケット3に関する第2実施例を示したものであり、この第2実施例においては、無端状ベルト10Aに設けた噛み込み防止部10Aaを他方の無端状ベルト10Bに重合しない構成としたものである。噛み込み防止部10Aaの搬送方向の長さは、両スペーサ25、25を合わせた寸法と実質同じ寸法であり、そのため噛み込み防止部10Aaの先端縁部10Abは、他方の無端状ベルト10Bの側部の縁と当接している。それにより、トマトTを載置する位置における両無端状ベルト10A、10Bの間の隙間は遮蔽されている。
その他の構成は上記第1の実施例と同じであり、この第2実施例であっても、上記実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0020】
次に、
図7は本発明のバケット3に関する第3実施例を示したものであり、この第3実施例においては、両無端状ベルト10A、10Bにおける側部の対向位置に、他方に向けて延びる噛み込み防止部10Aa、10Baを形成したものである。それら各噛み合い防止部10Aa、10Baの先端縁部10Ab、10Bbが相互に当接することで、トマトTを載置する位置における両無端状ベルト10A、10Bの間の隙間は遮蔽されている。
その他の構成は上記第1の実施例と同じであり、この第3実施例であっても、上記実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0021】
次に、
図8は本発明のバケット3に関する第4実施例を示したものであり、この第4実施例においては、噛み合い防止部10Aaを、両無端状ベルト10A、10Bの対向する所要箇所を一体に連続させて形成したものである。換言すると、この第4実施例では、一方の走行部材10Aと他方の走行部材10Bをそれらと一体の噛み込み防止部10Aaで接続してあり、一方の走行部材10Aを一側のプーリ6A、6Bに掛け渡すとともに、他方の走行部材10Bを他側のプーリ6A、6Bに掛け渡している。なお、この第4実施例においても、
図5に示した第1実施例と同様に、一方の走行部材10Aと他方の走行部材10BとはV字状となるように傾斜状態に維持されている。
その他の構成は上記第1の実施例と同じであり、このような第4実施例であっても、上記実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0022】
次に、
図9はバケット3に関する第5実施例を示したものである。この第5実施例は、一対のプーリ26A、26Bにわたって6本の無端状ベルト10A~10Fを平行に掛け渡すことで、載置部材10を構成している。そして、無端状ベルト10A~10Eにおける一側に、上記第1の実施例と同様の噛み込み防止部10A1~10A5を形成してあり、それ等の噛み込み防止部10A1~10A5は、隣接位置の無端状ベルト(10B~10F)に重合させている。
なお、この第5実施例では、一対のプーリ26A、26Bに6本の無端状ベルト10A~10Fを掛け渡してあるので、それら無端状ベルト10A~10Fの上面(載置面)は水平で同一平面となっている。
このような第5実施例であっても、上記実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0023】
なお、上記第1の実施例では、一対の無端状ベルト10A、10Bを備えたバケット3において、単一の駆動機構13により両無端状ベルト10A、10Bを移動させているが、各無端状ベルト10A、10Bに個別の駆動機構13を設けて、それらを異なるタイミングで駆動させるようにしても良い。
また、上記各実施例では、1つのバケット3に1つのトマトT(農産物)を載置して搬送しているが、スイカやメロン等の大きな農産物と、リンゴ、桃、梨、トマト等の小さな農産物に兼用する場合には、大玉の農産物(スイカ等)を隣り合う2つのバケット3に跨らせて載置して搬送するようにしても良い。その場合には、一方のバケット3の無端状ベルト10A、10Bから他方のバケット3の無端状ベルトに対して本発明の構成を適用することができる。
また、無端状ベルトとしては、短冊状部材を連結軸で繋いだキャタピラ状のものや、丸ベルト、トップチェーンコンベヤ状のものを用いても良い。
また、実施例では、無端状ベルトにより無端搬送体を構成されているが、特開2015-205263号公報に開示されたような構造の載置部材を用いても良い。
さらに、上記実施例では、噛み込み防止部10Aaを無端状ベルト10A(10B)と一体的に形成しているが、噛み込み防止部を別体として設けても良い。
【符号の説明】
【0024】
1‥物品選別装置 2‥搬送コンベヤ
3‥バケット 10‥載置部材
10A‥無端状ベルト(可動部材) 10B‥無端状ベルト(可動部材)
10Aa‥噛み込み防止部 T‥トマト(物品)
Ta‥ヘタ