(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ブタジエン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/269 20060101AFI20221207BHJP
C07C 21/20 20060101ALI20221207BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
C07C17/269
C07C21/20
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020036224
(22)【出願日】2020-03-03
(62)【分割の表示】P 2018117052の分割
【原出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2017120576
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 章広
(72)【発明者】
【氏名】星谷 尚亨
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智仁
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106495982(CN,A)
【文献】じっきょう 理科資料,69,実教出版株式会社,2011年03月22日,pp.1-5,http://www.jikkyo.co.jp/download/detail/45/9992655101,http://www.jikkyo.co.jp/download/detail/45/9992655101
【文献】Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,Second Edition, Vol.13,Wiley,2009年,pp.10953-10954,ISBN:978-0-470-01754-8
【文献】Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,Second Edition, Vol.1,Wiley,2009年,pp.261-267,ISBN:978-0-470-01754-8
【文献】フッ素の異常性,有機元素化学持論 ,第11回,2012年,https://oec.chembio.nagoya-u.ac.jp/PDFs/OrgElementChem/2014orgelementchem-11.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つがフッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいは、R
1a-C-R
2a部、R
1b-C-R
2b部、R
1a-C=C-R
3a部、及びR
1b-C=C-R
3b部のうちの1以上が、同一又は異なって、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい。波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化2】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化3】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)ニッケル触媒及びパラジウム触媒からなる群より選択される1種以上である金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第13族金属元素、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上である還元剤の存在下
、20~200℃の反応温度にて、一段階でカップリング反応させる工程Aを含む
製造方法。
【請求項2】
式(1):
【化4】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つがフッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいはR
1a-C-R
2a部及びR
1b-C-R
2b部の一方又は両方が、同一又は異なって、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい。波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化5】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化6】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)ニッケル触媒及びパラジウム触媒からなる群より選択される1種以上である金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第13族金属元素、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上である還元剤の存在下
、20~200℃の反応温度にて、一段階でカップリング反応させる工程Aaを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
式(1):
【化7】
[式中、
R
1aは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及びR
2aは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1a-C-R
2a部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよく、
R
3aは、フルオロアルキル基又はフッ素を表し、
R
1bは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及びR
2bは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1b-C-R
2b部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよく、及び
R
3bは、フルオロアルキル基又はフッ素を表す。
波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化8】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化9】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)ニッケル触媒及びパラジウム触媒からなる群より選択される1種以上である金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第13族金属元素、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上である還元剤の存在下
、20~200℃の反応温度にて、一段階でカップリング反応させる工程Abを含む製造方法である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
R
1aは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基である請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
R
2aは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基である請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
R
3aは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
R
1bは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基である請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
R
2bは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基である請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
R
3bは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
X
aは、臭素、又は塩素である請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
X
bは、臭素、又は塩素である請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記式(2a)で表される化合物と、前記式(2b)で表される化合物が同一である、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記金属触媒の配位子が、ジアルキルモノアリールホスフィン、ジアリールモノアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、及び二座配位型のジホスフィンからなる群より選択される1種以上である請求項1~12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記還元剤が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、及びインジウムからなる群より選択される1種以上である請求項1~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記金属触媒の量は、前記式(2a)の化合物、及び前記式(2b)の化合物の総量の1モルに対して、0.001~0.1モルの範囲内である、請求項1~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブタジエン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブタジエン化合物は、合成ゴム原料、非線形光学材料、液晶化合物原料、及び色素原料
等の様々な用途に用いられている、産業上、重要な化合物である。
従って、従来、ブタジエン化合物を容易に、安価に、且つ収率よく得る方法が研究され
てきた。
【0003】
例えば、特許文献1は、遷移金属触媒の存在下に、有機金属化合物を用いて、テトラフ
ルオロエチレンからヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造する方法を提供している
。
しかし、特に含フッ素ブタジエン化合物の合成方法は限られており、簡便且つ効率的な
、ブタジエン化合物の製造方法の提供が更に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の課題に鑑み、本発明は、簡便且つ効率的なブタジエン化合物の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、
式(1):
【化1】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フ
ッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つが
フッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいは、R
1a-C-R
2a部、R
1b-C-R
2b部、R
1a-C=C-R
3a部、
及びR
1b-C=C-R
3b部のうちの1以上が、同一又は異なって、1個以上のフッ素
原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい。波線で示される単結合は
、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれら
の任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化2】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化3】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Aを含む製造方法によって、前記課題
が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、次の態様を含む。
【0008】
項1.
式(1):
【化4】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フ
ッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つが
フッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいは、R
1a-C-R
2a部、R
1b-C-R
2b部、R
1a-C=C-R
3a部、
及びR
1b-C=C-R
3b部のうちの1以上が、同一又は異なって、1個以上のフッ素
原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい。波線で示される単結合は
、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれら
の任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化5】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化6】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Aを含む製造方法。
項2.
式(1):
【化7】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フ
ッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つが
フッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいはR
1a-C-R
2a部及びR
1b-C-R
2b部の一方又は両方が、同一又は異
なって、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい
。波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置
若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化8】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化9】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Aaを含む、項1に記載の製造方法。
項3.
式(1):
【化10】
[式中、
R
1aは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及
びR
2aは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1a-C-R
2a部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよ
く、
R
3aは、フルオロアルキル基又はフッ素を表し、
R
1bは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及
びR
2bは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1b-C-R
2b部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよ
く、及び
R
3bは、フルオロアルキル基又はフッ素を表す。
波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若
しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化11】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化12】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Abを含む製造方法である、項1に記
載の製造方法。
項4.
R
1aは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基である項1~3のいず
れか一項に記載の製造方法。
項5.
R
2aは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基である項1~4のいずれか一項に記
載の製造方法。
項6.
R
3aは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である項1~5のいずれか一項に記載の製
造方法。
項7.
R
1bは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基である項1~6のいず
れか一項に記載の製造方法。
項8.
R
2bは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基である項1~7のいずれか一項に記
載の製造方法。
項9.
R
3bは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である項1~8のいずれか一項に記載の製
造方法。
項10.
X
aは、臭素、又は塩素である項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
X
bは、臭素、又は塩素である項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
項12.
前記式(2a)で表される化合物と、前記式(2b)で表される化合物が同一である、項
1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
項13.
前記金属触媒は、ニッケル触媒、パラジウム触媒、白金触媒、ルテニウム触媒、ロジウム
触媒、及びコバルト触媒からなる群より選択される1種以上である項1~12のいずれか
一項に記載の製造方法。
項14.
前記金属触媒が、パラジウム触媒、又はニッケル触媒である項13に記載の製造方法。
項15.
前記金属触媒の配位子が、ジアルキルモノアリールホスフィン、ジアリールモノアルキル
ホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、及び二座配位型のジホ
スフィンからなる群より選択される1種以上である項14に記載の製造方法。
項16.
前記還元剤が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、カド
ミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、及びインジウムからなる群より選択される1種
以上である項1~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブタジエン化合物の簡便且つ効率的な製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、例えば、入手の容易な原料(例:1-クロロ-1-フルオ
ロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等)から、一段階の反応でブタジエン化合物を
製造することができる。
【0010】
一般に、化合物の製造において金属を使用する場合、その廃棄処理が問題になる場合が
ある。本発明の製造方法の一態様では、少量の金属で目的化合物を得ることができる点で
優れている。
【0011】
本発明の製造方法は、特殊な溶媒を大量に使用することを必要とせず、容易に使用でき
る溶媒を用いて、目的化合物を得られる点で優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が
属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0013】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」
を包含することを意図して用いられる。
【0014】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で
実施され得る。
【0015】
本明細書中、室温は、10~35℃の範囲内の温度を意味する。
【0016】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル
(例:n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例:n-ブチル、イソブチル、sec-
ブチル、tert-ブチル)、ペンチル(例:n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオ
ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オ
クチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-C10アルキル基を包
含できる。
本明細書中、表記「Cn-Cm」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は
、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0017】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は
4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、C6-C18アリール基である
ことができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル、1-ナフチル、
2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリル
を包含できる。
【0018】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置
換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例:1~
3個、1~6個、1~12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基を包含する。「パーフルオロアル
キル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~20、炭素数1~12、
炭素数1~6、炭素数1~4、炭素数1~3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3
、炭素数2、又は炭素数1のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基
であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、フルオロメチル基
、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペ
ンタフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基(例:HCF2CF2CH2-)、ヘ
キサフルオロプロピル基(例:(CF3)2CH-)、ノナフルオロブチル基、オクタフ
ルオロペンチル基(例:HCF2CF2CF2CF2CH2-)、及びトリデカフルオロ
ヘキシル基等が挙げられる。
【0019】
製造方法
本発明の製造方法は、前記式(1):
【化13】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フ
ッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つが
フッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいは、R
1a-C-R
2a部、R
1b-C-R
2b部、R
1a-C=C-R
3a部、
及びR
1b-C=C-R
3b部のうちの1以上が、同一又は異なって、1個以上のフッ素
原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい。波線で示される単結合は
、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれら
の任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化14】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化15】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Aを含む。
【0020】
本発明の製造方法の好適な一態様は、式(1):
【化16】
[式中、
R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bは、同一又は異なって、水素、フ
ッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、
但し、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、及びR
3bのうちの少なくとも一つが
フッ素又はフルオロアルキル基を表し、
あるいはR
1a-C-R
2a部及びR
1b-C-R
2b部の一方又は両方が、同一又は異
なって、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよい
。波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置
若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化17】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化18】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Aaを含む。
【0021】
本発明の製造方法のより好適な一態様は、
式(1):
【化19】
[式中、
R
1aは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及
びR
2aは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1a-C-R
2a部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよ
く、
R
3aは、フルオロアルキル基又はフッ素を表し、
R
1bは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基を表し、及
びR
2bは、水素、フッ素、又はフルオロアルキル基を表すか、あるいはR
1b-C-R
2b部が、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環を形成してもよ
く、及び
R
3bは、フルオロアルキル基又はフッ素を表す。
波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若
しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2a):
【化20】
[式中、
X
aは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
式(2b):
【化21】
[式中、
X
bは、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、及び
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物
を、(1)金属触媒、並びに(2)(a)第4周期遷移金属元素、(b)第12族金属元素、(c)第1
3族金属元素、(d)有機還元剤、及び(e)一酸化炭素からなる群より選択される1種以上で
ある還元剤の存在下でカップリング反応させる工程Abを含む。
【0022】
前記R1a-C-R2a部、及び前記R1b-C-R2bのそれぞれが形成してもよい
「1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環」の「非芳香族炭化水素
環」の例は、炭素数3~8の非芳香族炭化水素環を包含し、その具体例の例は、
(1)シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタ
ン、シクロオクタン等のC3-C8シクロアルカン;
(2)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC5-C
8シクロアルケン;
(3)シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジ
エン等のC5-C8シクロアルカジエン;及び
(4)ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[
3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、トリシクロ[2.2
.1.0]ヘプタン等の炭素数5~8の橋かけ環炭化水素等を包含できる。
【0023】
前記R1a-C=C-R3a部、及びR1b-C=C-R3b部のそれぞれが形成して
もよい「1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非芳香族炭素環」の「非芳香族炭
化水素環」の例は、炭素数3~8(好ましくは炭素数5~8)の非芳香族不飽和炭化水素
環を包含し、その具体例の例は、
(1)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC5-C
8シクロアルケン;
(2)シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジ
エン等のC5-C8シクロアルカジエンを包含できる。
【0024】
念のため記載するにすぎないが、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、及びR3
bのうち、このような環形成に関与しない基は、本明細書中のそれぞれの基についての説
明によって理解される。
【0025】
当該「非芳香族炭化水素環」が有していてもよいフッ素原子の数は、1個~置換可能な
最大数であることができる。
念のために記載するに過ぎないが、当業者が通常理解する通り、置換可能な最大数のフ
ッ素原子で置換された非芳香族炭化水素環は水素原子を有さない。
【0026】
R1aは、
好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリール基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基であり、及び
更に好ましくは、水素、又はフッ素である。
【0027】
R2aは、好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリー
ル基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基であり、及び
更に好ましくは、水素、又はフッ素である。
【0028】
R3aは、好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリー
ル基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基であり、及び
更に好ましくは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である。
【0029】
R1bは、好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリー
ル基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、トリフルオロメチル基、又はアリール基であり、及び
更に好ましくは、水素、又はフッ素である。
【0030】
R2bは、好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリー
ル基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基であり、及び
更に好ましくは、水素、又はフッ素である。
【0031】
R3bは、好ましくは、水素、フッ素、フルオロアルキル基、アルキル基、又はアリー
ル基であり、
より好ましくは、水素、フッ素、又はトリフルオロメチル基であり、及び
更に好ましくは、フッ素、又はトリフルオロメチル基である。
【0032】
但し、ここで、前述の通り、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、及びR3bの
うちの少なくとも一つは、フッ素又はフルオロアルキル基である。
【0033】
前記式(2a)で表される化合物と、前記式(2b)で表される化合物が異なる場合、
工程Aの反応により、
[1]前記式(2a)で表される化合物と、前記式(2b)で表される化合物とがヘテロ
カップリングした化合物、
[2]前記式(2a)で表される化合物の2分子がホモカップリングした化合物、及び
[3]前記式(2b)で表される化合物の2分子がホモカップリングした化合物
か生成し得る。
これは、所望により、慣用の用法で、単離、又は精製することができる。
【0034】
本発明の好適な一態様においては、前記式(2a)で表される化合物と、前記式(2b
)で表される化合物が同一である。
当該態様において、工程Aの反応は、前記式(2a)で表される化合物[又は前記式(
2b)で表される化合物]のホモカップリングである。
【0035】
Xaは、好ましくは塩素、又は臭素であり、及び特に好ましくは塩素である。
【0036】
Xbは、好ましくは塩素、又は臭素であり、及び特に好ましくは塩素である。
【0037】
金属触媒
本発明で用いられる金属触媒は、好適に遷移金属触媒であることができる。
【0038】
当該「遷移金属触媒」としては、例えば、その遷移金属が、ニッケル、パラジウム、白
金、ルテニウム、ロジウム又はコバルトが挙げられる。なかでも、好ましくは、その遷移
金属が、パラジウム、又はニッケルである遷移金属触媒である。
【0039】
すなわち、前記金属触媒は、好ましくはパラジウム触媒、及びニッケル触媒からなる群
より選択される1種以上である。
【0040】
遷移金属が、パラジウムである遷移金属触媒としては、0価パラジウム錯体;I価、又
はII価パラジウム錯体から反応中に発生した0価パラジウム錯体;又はこれらとケトン
、ジケトン、ホスフィン、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリンからなる群より
選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
【0041】
0価パラジウム錯体としては、特に限定はないが、例えば、
Pd
2(dba)
3(dbaはジベンジリデンアセトン)、
Pd
2(dba)
3-CHCl
3、Pd(dba)
2、
Pd(cod)
2(codはシクロオクタ-1,5-ジエン)、
Pd(dppe)
2(dppeは1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)、
Pd(PCy
3)
2(Cyはシクロヘキシル基)、
Pd(Pt-Bu
3)
2(t-Buはt-ブチル基)、
Pd(PPh
3)
4(Phはフェニル基)、及び
トリス{トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン}パラジウ
ム(0)等が挙げられる。
I価パラジウム錯体としては、以下の化学式:
【化22】
[式中、
X
cは塩素、臭素、又はヨウ素を表し、
R
4、R
5、及びR
6は、独立して、及び各出現において同一又は異なって、C1~20
のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表す。]
で表される
パラジウム錯体が挙げられる。
具体的には、ジ-μ-クロロビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)ジパラジウム
(I)、ジ-μ-ブロモビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)ジパラジウム(I)
、ジ-μ-ヨードビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)ジパラジウム(I)、ジ-
μ-クロロビス{トリ(1-アダマンチル)ホスフィン}ジパラジウム(I)、ジ-μ-
ブロモビス{トリ(1-アダマンチル)ホスフィン}ジパラジウム(I)、及びジ-μ-
ヨードビス{トリ(1-アダマンチル)ホスフィン}ジパラジウム(I)
等が好ましい。
【0042】
II価パラジウム錯体としては、例えば、
塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジ
ウム(II)、ジクロロ(η4-1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジ
ブロモ(η4-1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ビス(アセトニトリ
ル)ジクロロパラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)
、及びジ-μ-クロロビス{(η-アリル)パラジウム}(II);
並びに
これらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体
等が挙げられる。
これらのII価パラジウム錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(例:ホスフィン
、還元剤、有機金属試薬等)により還元されて0価パラジウム錯体が生成する。
【0043】
前記の0価パラジウム錯体、I価、又はII価パラジウム錯体から還元により生じた0
価パラジウム錯体は、反応中で、必要に応じて添加されるケトン、ジケトン、ホスフィン
、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリン等の化合物(配位子)と作用して、反応
に関与する0価のパラジウム錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価
のパラジウム錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかではない。
【0044】
これらパラジウム錯体は前記のような配位子を用いることで、反応基質との均一な溶液
を形成させて反応に用いることが多いが、これ以外にもポリスチレン、ポリエチレン等の
ポリマー中に分散又は担持させた不均一系触媒としても用いることが可能である。このよ
うな不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。具体的な触媒構造とし
ては、以下の化学式:
【0045】
【化23】
に示すような、架橋したポリスチレン鎖にホスフィンを導入した、ポリマーホスフィンな
どで金属原子を固定したもの等が挙げられる。
【0046】
また、本発明で用いられる「金属触媒」は、前記遷移金属が担体に担持されている担持
触媒であることができる。このような担持触媒は、触媒を容易に再利用できるので、コス
トの点で有利である。
当該担体としては、例えば、炭素、アルミナ、シリカゲル-アルミナ、シリカゲル、炭
酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化カ
ルシウム、及びゼオライト等が挙げられる。
【0047】
また、これ以外にも、以下:
1)Kanbaraら、Macromolecules, 2000年、33巻、657頁
2)Yamamotoら、J. Polym. Sci., 2002年、40巻、2637頁
3)特開平06-32763号公報
4)特開2005-281454号公報
5)特開2009-527352号公報
に記載のポリマーホスフィンも利用可能である。
【0048】
ここで、ケトンとしては、特に制限されないが、例えば、ジベンジリデンアセトン等が
挙げられる。
【0049】
ジケトンとしては、特に制限されないが、例えば、アセチルアセトン、1-フェニル-
1,3-ブタンジオン、1,3-ジフェニルプロパンジオン、ヘキサフルオロアセチルア
セトン等のβジケトン等が挙げられる。
【0050】
ホスフィンとしては、ハロゲン-リン結合を有するホスフィン類では、それ自身がカッ
プリング反応を受ける可能性があるので、ジアルキルモノアリールホスフィン、ジアリー
ルモノアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン又は二座
配位型のジホスフィンが好ましい。
【0051】
ジアルキルモノアリールホスフィンとしては、具体的には、ジイソプロピルフェニルホ
スフィン、ジイソプロピル(o-トリル)ホスフィン、ジイソプロピル(2,6-ジメチ
ルフェニル)ホスフィン、ジイソプロピルペンタフルオロフェニルホスフィン、ジ-n-
ブチルフェニルホスフィン、ジ-n-ブチル(o-トリル)ホスフィン、ジ-n-ブチル
(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ジ-n-ブチルペンタフルオロフェニルホス
フィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチル(o-トリル
)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ジ-t
ert-ブチルペンタフルオロフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィ
ン、ジシクロヘキシル(o-トリル)ホスフィン、ジシクロヘキシル(2,6-ジメチル
フェニル)ホスフィン、ジシクロヘキシルペンタフルオロフェニルホスフィン、ジ(1-
アダマンチル)フェニルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)(o-トリル)ホスフィン
、ジ(1-アダマンチル)(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ジ(1-アダマン
チル)ペンタフルオロフェニルホスフィン、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,6
’-ジイソプロポキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメ
トキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロ
ピルビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)
ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,
6’-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル、2'-ジシクロヘキシルホスフィノ-2
,4,6-トリメトキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビ
フェニル、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジ-t
ert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジ-t
ert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイ
ソプロピル-1,1'-ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2’,4
’,6’-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル、2-ジ-t
ert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル、(2-ビ
フェニル)ジシクロヘキシルホスフィン、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホス
フィン等が挙げられる。
【0052】
ジアリールモノアルキルホスフィンとしては、具体的には、ジフェニルメチルホスフィ
ン、ジフェニルイソプロピルホスフィン、n-ブチルジフェニルホスフィン、tert-
ブチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、(1-アダマンチ
ル)ジフェニルホスフィン、ジ(o-トリル)メチルホスフィン、ジ(o-トリル)イソ
プロピルホスフィン、n-ブチルジ(o-トリル)ホスフィン、tert-ブチルジ(o
-トリル)ホスフィン、シクロヘキシルジ(o-トリル)ホスフィン、(1-アダマンチ
ル)ジ(o-トリル)ホスフィン、ビス(2,6-ジメチルフェニル)メチルホスフィン
、ビス(2,6-ジメチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2,6-ジメチル
フェニル)-n-ブチルホスフィン、ビス(2,6-ジメチルフェニル)-tert-ブ
チルホスフィン、ビス(2,6-ジメチルフェニル)シクロヘキシルホスフィン、(1-
アダマンチル)ビス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、ビス(ペンタフルオロフ
ェニル)メチルホスフィン、ビス(ペンタフルオロフェニル)イソプロピルホスフィン、
ビス(ペンタフルオロフェニル)-n-ブチルホスフィン、ビス(ペンタフルオロフェニ
ル)-tert-ブチルホスフィン、ビス(ペンタフルオロフェニル)シクロヘキシルホ
スフィン、(1-アダマンチル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等が挙げら
れる。
トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ
イソプロピルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン
、トリ(1-アダマンチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジ-tert
-ブチルメチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、ジ-te
rt-ブチルネオペンチルホスフィン、ジ-tert-ブチルイソプロピルホスフィン、
ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル
-2-ブテニル)ホスフィン、1-アダマンチル-ジ-tert-ブチルホスフィン、t
ert-ブチルジ(1-アダマンチル)ホスフィン、ジ(1-アダマンチル)イソプロピ
ルホスフィン、シクロヘキシルジ(1-アダマンチル)ホスフィン、n-ブチルジ(1-
アダマンチル)ホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノル
ボルニルホスフィン等のトリ(C3-20アルキル)ホスフィン等が挙げられる。
【0053】
トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチ
ルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリス{(4-トリフルオロメチル)フ
ェニル}ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリス[3,5-
ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィン
等が挙げられる。
【0054】
また、二座配位型のジホスフィンとしては、具体的には、1,2-ビス(ジフェニルホ
スフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ
フェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,3
-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジイソプロピルホスフィ
ノ)ブタン、1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ
シクロヘキシルホスフィノ)ブタン、ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、
ビス(ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)エーテル、1,1’-ビス(ジフェニルホ
スフィノ)フェロセン、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、1
,1’-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン、1,1’-ビス(ジ-tert
-ブチルホスフィノ)フェロセン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチ
ル)ベンゼン、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、4,5-ビス(
ジフェニルホスフィノ)-9,9’-ジメチルキサンテン、4,5-ビス(ジ-tert
-ブチルホスフィノ)-9,9’-ジメチルキサンテン、2,2’‐ビス(ジフェニルホ
スフィノ)-1,1’-ビナフチル等が挙げられる。
【0055】
本発明で用いられるホスフィンは、テトラフルオロほう酸塩(例:トリヘキシルホスホ
ニウムテトラフルオロボラート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボ
ラート等のトリアルキルホスホニウムテトラフルオロボラート)であってよい。当該塩は
、塩基と反応して、ホスフィンのフリー体(例:トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-
tert-ブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン)を与えることができる。
当該塩基としては、例えば、アミン、無機塩基、及び有機金属塩基が挙げられる。
【0056】
アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ(n-プロピル)アミン、トリ(n
-ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリ
ジン、ルチジン、γ-コリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N
-メチルピロリジン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-
7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネン、及び1,4-ジ
アザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。
【0057】
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、及びリン酸カリウム等が挙げら
れる。
【0058】
有機金属塩基としては、例えば、
ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウム、トリフェニルメチルナ
トリウム、エチルナトリウム等の有機アルカリ金属化合物;
メチルマグネシウムブロミド、ジメチルマグネシウム、フェニルマグネシウムクロリド、
フェニルカルシウムブロミド、ビス(ジシクロペンタジエン)カルシウム等の有機アルカ
リ土類金属化合物;及び
ナトリウムメトキシド、tert-ブチルメトキシド等のアルコキサイド
等が挙げられる。
【0059】
塩基の好ましい例としては、トリエチルアミン、炭酸カリウム、及びリン酸カリウムが
挙げられる。塩基のより好ましい例としては、炭酸カリウム、及びリン酸カリウムが挙げ
られる。塩基の特に好ましい例としては、リン酸カリウムが挙げられる。
【0060】
塩基は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
本発明で用いられるホスフィンは、オキサイド体であってもよい。
当該オキサイド体の例は、ジ(シクロ)アルキルホスフィンオキサイド(例:ジ-te
rt-ブチルホスフィンオキサイド、ジ(1-アダマンチル)ホスフィンオキサイド)を
包含する。
【0062】
また先に挙げたように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリ
ールホスフィンも好ましく用いることが出来る。具体的には以下の化学式:
【0063】
【化24】
に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリ
ールホスフィンが例示される。
【0064】
ジアミンとしては、特に制限されないが、テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジ
フェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0065】
ビピリジンとしては、特に制限されないが、例えば、
2,2’-ビピリジル、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル、5,5’-ジメチ
ル-2,2’-ビピリジル、6,6’-ジメチル-2,2’-ビピリジル、4,4’-ジ
-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジメトキシ-2,2’-ビピリ
ジル、2,2’-ビキノリン、及びα,α’,α’’-トリピリジル等
が挙げられる。
【0066】
フェナントロリンとしては、特に制限されないが、例えば、
1,10-フェナントロリン、2-メチル-1,10-フェナントロリン、3-メチル-
1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメ
チル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、5,6-ジメチル-1,10-フェ
ナントロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-
4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、及び3,4,7,8-テトラメチル
-1,10-フェナントロリン等
が挙げられる。
【0067】
これらの配位子のうち、
ホスフィン、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリンの配位子が好ましく;
トリアリールホスフィン、及びトリアルキルホスフィンがより好ましい。
トリアリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、及びトリス[3,5-ビス
(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン等が好ましく;及びトリアルキルホスフィ
ンとしては、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ
イソプロピルホスフィン、トリ(1-アダマンチル)ホスフィン等が好ましい。
同様に、前述したような、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基を、ポリマー鎖
に結合させたトリアリールホスフィン類もまた好ましい。
【0068】
遷移金属が、ニッケルである遷移金属触媒としては、0価ニッケル錯体;II価ニッケ
ル錯体から反応中に発生した0価ニッケル錯体;又はこれらとケトン、ジケトン、ホスフ
ィン、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリンからなる群より選ばれる少なくとも
1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
【0069】
0価ニッケル錯体としては、特に限定はないが、例えば、Ni(cod)2、Ni(c
dd)2(cddはシクロデカ-1,5-ジエン)、Ni(cdt)2(cdtはシクロ
デカ-1,5,9-トリエン)、Ni(vch)2(vchは4-ビニルシクロヘキセン
)、Ni(CO)4、(PCy3)2Ni-N≡N-Ni(PCy3)2、Ni(PPh
3)4等が挙げられる。
【0070】
II価ニッケル錯体としては、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、
ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等
のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価ニッケル錯体は、例
えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて
0価ニッケル錯体が生成する。
【0071】
前記の0価ニッケル錯体又はII価ニッケル錯体から還元により生じた0価ニッケル錯
体は、反応中で、必要に応じ添加される配位子と作用して、反応に関与する0価のニッケ
ル錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のニッケル錯体にこれらの
配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでは無い。
【0072】
これらニッケル錯体は前記のような配位子を用いることで、反応基質との均一な溶液を
形成させて反応に用いることが多いが、これ以外にもポリスチレン、ポリエチレン等のポ
リマー中に分散又は担持させた不均一系触媒としても用いることが可能である。このよう
な不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。具体的な触媒構造として
は、以下の化学式:
【0073】
【化25】
に示すような、架橋したポリスチレン鎖にホスフィンを導入した、ポリマーホスフィン等
で金属原子を固定したもの等が挙げられる。
【0074】
また、これ以外にも、以下:
1)Kanbaraら、Macromolecules, 2000年、33巻、657頁
2)Yamamotoら、J. Polym. Sci., 2002年、40巻、2637頁
3)特開平06-32763号公報
4)特開2005-281454号公報
5)特開2009-527352号公報
に記載のポリマーホスフィンも利用可能である。
【0075】
ここで、ケトン、ジケトン、ホスフィン、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリ
ンの例としては、それぞれ、前記でパラジウム錯体について例示した例と同様のものが挙
げられる。
【0076】
また先に挙げたように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリ
ールホスフィンも好ましく用いることが出来る。具体的には以下の化学式:
【0077】
【化26】
に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリ
ールホスフィンが例示される。
【0078】
これらの配位子のうち、
ホスフィン、ジアミン、ビピリジン、及びフェナントロリンの配位子が好ましく;
トリアリールホスフィン、及びトリアルキルホスフィンがより好ましい。
トリアリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィンが好ましく;及びトリアルキ
ルホスフィンとしては、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフ
ィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ(1-アダマンチル)ホスフィン等が好ましい
。
【0079】
同様に、前述したような、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基を、ポリマー鎖
に結合させたトリアリールホスフィン類もまた好ましい。
【0080】
その他、白金を含む触媒としては、Pt(PPh3)4、Pt(cod)2、Pt(d
ba)2、塩化白金、臭化白金、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ジクロロ(
η4-1,5-シクロオクタジエン)白金(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィ
ン等のホスフィン配位子が配位した錯体等;ルテニウムを含む触媒としては、(Cl)2
Ru(PPh3)3、Ru(cot)(cod)(cotはシクロオクタ-1,3,5-
トリエン)、塩化ルテニウム(III)、ジクロロ(η4-1,5-シクロオクタジエン
)ルテニウム(II)、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)、又はこれ
らにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等;ロジウムを含む触
媒としては、(Cl)Rh(PPh3)3、塩化ロジウム(III)、クロロ(η4-1
,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、トリス(アセチルアセトナト)ロ
ジウム(III)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位し
た錯体等;コバルトを含む触媒としては、(Cl)Co(PPh3)3、(C5H5)2
Co(PPh3)2(C5H5はシクロペンタジエニル基)、(C5H5)2Co(co
d)2、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)、塩化コバルト(II)、又
はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる
。
【0081】
前記の触媒のうち、反応性、収率、及び選択性等の観点から、ニッケル又はパラジウム
を含む触媒、なかでもパラジウムを含む触媒、さらにパラジウム錯体、特に0価のパラジ
ウムのホスフィン錯体(とりわけトリアリールホスフィン錯体、ジアリールモノアルキル
ホスフィン錯体、ジアルキルモノアリールホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体
又は以下の化学式:
【0082】
【化27】
で示されるポリマーホスフィン錯体)が好ましい。
【0083】
金属触媒における配位子/触媒のモル比は、例えば、0.5~10、1~10、1~8
、1~6、1~4又は1~2の範囲内であることができる。
【0084】
前記金属触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0085】
金属触媒の量の上限は、前記式(2a)の化合物、及び前記式(2b)の化合物の総量
の1モルに対して、好ましくは0.1モル、より好ましくは0.05モル、及び更に好ま
しくは0.025モルであることができる。
金属触媒の量の下限は、前記式(2a)の化合物、及び前記式(2b)の化合物の総量
の1モルに対して、好ましくは0.01モル、より好ましくは0.005モル、及び更に
好ましくは0.001モルであることができる。
金属触媒の量は、前記式(2a)の化合物、及び前記式(2b)の化合物の総量の1モ
ルに対して、好ましくは0.001~0.1モルの範囲内、より好ましくは0.005~
0.05モルの範囲内、及び更に好ましくは0.01~0.025モルの範囲内であるこ
とができる。
【0086】
還元剤
本発明で用いられる還元剤は、有機還元剤、又は無機還元剤であることができる。
前記無機還元剤としての好適な例は、単体金属、及び一酸化炭素を包含する。
【0087】
前記無機還元剤としての金属の好適な例は、
第4周期遷移金属元素[具体例:スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン
、鉄、コバルト、ニッケル、銅];
第12族金属元素[具体例:亜鉛、カドミウム、水銀];及び
第13族金属元素[具体例:アルミニウム、ガリウム、インジウム]
を包含する。
前記無機還元剤としての金属は、水溶液中の標準電極電位(酸化還元電位)が、-1.
70~-0.25の範囲内であるものが好ましく、及び-1.20~-0.3の範囲内に
あるものがより好ましい。
前記無機還元剤としての金属のより好適な具体例は、マンガン、鉄、亜鉛、アルミニウ
ム、及びインジウムを包含する。
前記無機還元剤としての金属の特に好適な具体例は、亜鉛、マンガン、及びインジウム
を包含する。
【0088】
前記金属の形態は、例えば、粉末等の固体であることができる。
【0089】
前記有機還元剤の好適な例は、
イソプロピルアルコール、及びベンジルアルコール等の、1級又は2級アルコール;
N-H部含有アミン類、ヒドラジン類、及び含窒素不飽和複素環化合物等の含窒素化合物
;
ヒドロキノン等のキノン類;
フェニルボロン酸、及びビス(ピナコラート)ジボロン等のホウ素化合物;
ビス(トリブチルすず)等のすず化合物;並びに
テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン
を包含する。
【0090】
前記還元剤は、無機還元剤および有機還元剤のなかから1種を単独で、又は2種以上を
組み合わせて用いられ得る。
前記無機還元剤としての金属は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ
得る。
前記有機還元剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0091】
還元剤の量の上限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1
モルに対して、好ましくは10モル、より好ましくは7.5モル、及び更に好ましくは5
モルであることができる。
還元剤の量の下限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1
モルに対して、好ましくは0.5モル、より好ましくは1モル、及び更に好ましくは1.
5モルであることができる。
還元剤の量は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1モルに
対して、好ましくは0.5~10モルの範囲内、より好ましくは1~7.5モルの範囲内
、及び更に好ましくは1.5~5モルの範囲内であることができる。
【0092】
本発明の工程Aの反応には、所望により、好適に金属塩を用いることができる。
当該金属塩の例は、亜鉛、金、銀、銅、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、
マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄、マンガン、クロム、アルミニウム、インジウ
ム、すず、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、及びチタンからなる
群より選択される1種以上の金属のハロゲン化物(例:塩化物、臭化物)、酢酸塩、テト
ラフルオロホウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩を包含
する。
なかでも、好適な例は、亜鉛のハロゲン化物(例:塩化物、臭化物)、又はアルカリ金
属のヘキサフルオロリン酸塩(例:リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)を包含する
。
【0093】
前記金属塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0094】
金属塩の量の上限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1
モルに対して、好ましくは1モル、より好ましくは0.5モル、及び更に好ましくは0.
25モルであることができる。
金属塩の量の下限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1
モルに対して、好ましくは0.01モル、より好ましくは0.02モル、及び更に好まし
くは0.05モルであることができる。
金属塩の量は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1モルに
対して、好ましくは0.01~1モルの範囲内、より好ましくは0.02~0.5モルの
範囲内、及び更に好ましくは0.05~0.25モルの範囲内であることができる。
【0095】
工程Aの反応温度の上限は、好ましくは200℃、より好ましくは125℃、及び更に
好ましくは75℃であることができる。
工程Aの反応温度の下限は、好ましくは-30℃、より好ましくは-15℃、及び更に
好ましくは0℃であることができる。
工程Aの反応温度は、好ましくは、-30~200℃の範囲内、より好ましくは、-1
5~125℃の範囲内、更に好ましくは、0~75℃の範囲内である。
当該反応温度が低すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。
当該反応温度が高すぎると、コスト的に不利であり、原料及び生成物の分解、及び望ま
しくない反応が起こる虞がある。
【0096】
当該工程Aの反応時間の上限は、好ましくは48時間、より好ましくは24時間、及び
更に好ましくは12時間であることができる。
当該工程Aの反応時間の下限は、好ましくは0.5時間、より好ましくは1時間である
ことができる。
当該工程Aの反応時間は、好ましくは、0.5~48時間の範囲内、より好ましくは、
1~24時間の範囲内、及び更に好ましくは、1~12時間の範囲内であることができる
。
当該反応時間が短すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。
当該反応時間が長すぎると、コスト的に不利であり、及び望ましくない反応が起こる虞
がある。
【0097】
当該反応は、不活性ガス(例:窒素ガス)の存在下、又は不存在下で実施され得る。
【0098】
工程Aは、減圧下、大気圧下、又は加圧条件下にて実施されうる。
加圧のために用いることができるガスの好適な例は、
窒素、及びアルゴン等の不活性ガス;
一酸化炭素等の還元性を有するガス;並びに
前記式(1)、(2a)、及び(2b)でそれぞれ表される、室温でガス状の化合物を包
含する。
反応圧力は、通常-0.1~5MPaG、及び好ましくは0~1MPaGの範囲内であ
ることができる。
【0099】
当該反応は、溶媒の存在下、又は不存在下で実施され得る。
当該溶媒の例は、非プロトン性溶媒を包含する。
当該「非プロトン性溶媒」の例は、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ビス(2-メトキシエチル)エー
テル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン等のエーテル類;
N-メチルピロリドン等のラクタム類;
アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;
アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類;
ジメチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド;
1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルプロピレン尿素、及びテトラメチル
尿素等のテトラアルキル尿素;並びに
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサアルキルリ
ン酸トリアミド[例:ヘキサメチルリン酸アミド]等のアミド類
を包含する。
当該溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0100】
当該溶媒の使用量は、技術常識に従い、溶媒として機能できる十分量に設定すればよい
が、具体的には例えば、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1
質量部に対して、好ましくは0.2~100質量部の範囲内、より好ましくは5~50質
量部の範囲内、及び更に好ましくは10~20質量部の範囲内であることができる。
当該溶媒の使用量が多すぎると、コスト的に不利になる場合がある。
【0101】
本発明の工程Aの反応には、所望により、添加剤を用いることができる。
当該添加剤の例は、“ヘテロ原子、又はオレフィン部を有する、化学的に中性である化
合物”を包含する。
当該“ヘテロ原子、又はオレフィン部を有する、化学的に中性である化合物”の例は、
テトラヒドロフラン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、及び1,2-ビス(2-メ
トキシエトキシ)エタン等のエーテル類;
アセトニトリル、及びプロピオニトリル等のニトリル類;
アセトン、アセトフェノン、及びベンゾフェノン等のケトン類;
ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、及び1,2-ビス(フェニルスルフィ
ニル)エタン等の(ビス)スルホキシド類;
1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルプロピレン尿素、及びテトラメチル
尿素等のテトラアルキル尿素;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサアルキルリ
ン酸トリアミド[例:ヘキサメチルリン酸アミド]等のアミド類;
トリアリールホスフィンオキサイド(例:トリフェニルホスフィンオキサイド)、及びト
リ(シクロ)アルキルホスフィンオキサイド(例:トリ-tert-ブチルホスフィンオ
キサイド)等のホスフィンオキサイド;並びに
シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、及び1,5-シクロオクタジエン等のジエン類
を包含する。
前記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
当該添加剤の量の上限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量
の1モルに対して、好ましくは2モル、より好ましくは1モル、及び更に好ましくは0.
5モルであることができる。
当該添加剤の量の下限は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量
の1モルに対して、好ましくは0.005モル、より好ましくは0.01モル、及び更に
好ましくは0.05モルであることができる。
当該添加剤の量は、前記式(2a)の化合物、及び前記(2b)の化合物の総量の1モ
ルに対して、好ましくは0.005~2モルの範囲内、より好ましくは0.01~1モル
の範囲内、及び更に好ましくは0.05~0.5モルの範囲内であることができる。
【0102】
工程Aで得られた前記式(1)の化合物は、抽出、溶解、濃縮、析出、脱水、吸着、蒸
留、精留、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、あるいはこれらの組合せにより、単
離、又は精製できる。
【0103】
本発明の製造方法によれば、原料転化率は、好ましくは10%以上、より好ましくは3
0%以上、及び更に好ましくは50%以上であることができる。
本発明の製造方法によれば、前記式(1)で表される化合物の選択率は、好ましくは8
0%以上、及びより好ましくは90%以上であることができる。
本発明の製造方法によれば、前記式(1)で表される化合物の収率は、好ましくは50
%以上、及びより好ましくは70%以上であることができる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0105】
実施例中、特に記載の無い場合、収率はGC収率を意味する。
【0106】
実施例1
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 288mg、ト
リフェニルホスフィン 262mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムア
ミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温
で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は5.8
%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは89.3%であった。トリフルオロエ
チレンの収率は0.4%であり、選択率は93.0%であった。
【0107】
実施例2
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン
10mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及び1-クロロ-1-フルオロエチレ
ン 0.80gを導入し、及び50℃で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ジフルオロ-1,3-ブタジエン
の収率は74.7%であり、残存した1-クロロ-1-フルオロエチレンは22.8%で
あった。モノフルオロエチレンの収率は0.5%であり、選択率は99.3%であった。
【0108】
実施例3
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン
10mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1
.16gを導入し、及び室温で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は86.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは13.0%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.6%であり、選択率は98.7%であった。
【0109】
実施例4
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 144mg、ジ
(1-アダマンチル)ホスフィンオキサイド 159mg、亜鉛粉末 0.98g、N,
N-ジメチルホルムアミド 5mL、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導
入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は12.
4%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは58.7%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は96.0%であった。
【0110】
実施例5
50mLの反応容器に、トリス{トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニ
ル]ホスフィン}パラジウム 1.06g、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルア
セトアミド 10mLを加え、及びブロモトリフルオロエチレン 1.61gを導入し、
及び90℃で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は24.
0%であり、残存したブロモトリフルオロエチレンは68.1%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.6%であり、選択率は94.4%であった。
【0111】
実施例6
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、塩化亜鉛 0.136g、N,N-ジメチルホルムアミ
ド 10mL、トルエン 10mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16
gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は65.
8%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは30.5%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は95.3%であった。
【0112】
実施例7
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 288mg、2
-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソ
プロピル-1,1'-ビフェニル 268mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチ
ルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し
、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は9.3
%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは76.5%であった。トリフルオロエ
チレンの収率は0.3%であり、選択率は95.8%であった。
【0113】
実施例8
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 144mg、ト
リ-tert-ブチルホスフィン 101mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチ
ルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し
、及び40℃で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は39.
6%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは52.4%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.8%であり、選択率は96.0%であった。
【0114】
実施例9
50mLの反応容器に、トリス{トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニ
ル]ホスフィン}パラジウム 529mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホ
ルムアミド 15mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、
及び120℃で2時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は26.
8%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは36.6%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.6%であり、選択率は95.7%であった。
【0115】
実施例10
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 1.96g、N,N-ジメチルホルムアミド 20mLを加え、及び
クロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び25℃で8時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は69.
8%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは19.7%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.3%であり、選択率は99.3%であった。
【0116】
実施例11
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びク
ロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び5℃で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は52.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは36.5%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.1%であり、選択率は99.5%であった。
【0117】
実施例12
50mLの反応容器に、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム 71.
4mg、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン
10mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1
.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は10.
5%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは73.6%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.9%であり、選択率は91.9%であった。
【0118】
実施例13
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 1.65g、塩化マグネシウム 1.43g、N,N-ジメチルホル
ムアミド 20mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及
び室温で8時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は11.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは25.6%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は36.1%であり、選択率は23.0%であった。
【0119】
実施例14
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、塩化亜鉛 0.682g、N,N-ジメチルホルムアミ
ド 10mL、テトラヒドロフラン 10mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン
1.16gを導入し、及び室温で22時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は61.
2%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは37.4%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.3%であり、選択率は98.7%であった。
【0120】
実施例15
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 288mg、2
-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル 23
8mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びク
ロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は9.8
%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは83.1%であった。トリフルオロエ
チレンの収率は0.1%であり、選択率は99.0%であった。
【0121】
実施例16
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルアセトアミド 5mLを加え、及びク
ロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び40℃で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は10.
6%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは57.0%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は96.5%であった。
【0122】
実施例17
50mLの反応容器に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル 327m
g、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロ
トリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は19.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは58.5%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.7%であり、選択率は95.5%であった。
【0123】
実施例18
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 61
.3mg、亜鉛粉末 1.95g、ジメチルスルホキシド 234mg、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル 48.3mg、N,N-ジメチルホルムアミド 10mLを加
え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌し
た。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は46.
5%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは51.8%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は99.1%であった。
【0124】
実施例19
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 288mg、ト
リ-tert-ブチルホスフィン 101mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチ
ルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し
、及び室温で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は56.
4%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは40.1%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.6%であり、選択率は98.0%であった。
【0125】
実施例20
50mLの反応容器に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル 327m
g、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン 10
mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及び1-クロロ-1-フルオロエチレン
0.80gを導入し、及び50℃で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ジフルオロ-1,3-ブタジエン
の収率は66.9%であり、残存した1-クロロ-1-フルオロエチレンは21.0%で
あった。モノフルオロエチレンの収率は0.8%であり、選択率は98.6%であった。
【0126】
実施例21
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mLを加え、及び
クロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は49.
6%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは27.8%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.3%であり、選択率は99.0%であった。
【0127】
実施例22
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、臭化亜鉛 1.13g、N,N-ジメチルホルムアミド
20mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で
24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は68.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは27.9%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は99.0%であった。
【0128】
実施例23
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 1.65g、塩化亜鉛 1.36g、N,N-ジメチルホルムアミド
20mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で
8時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は81.
6%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは5.0%であった。トリフルオロエ
チレンの収率は0.8%であり、選択率は98.1%であった。
【0129】
実施例24
50mLの反応容器に、ジ-μ-ブロモビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)ジ
パラジウム 194mg、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 20
mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で16時
間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は51.
9%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは19.6%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は99.4%であった。
【0130】
実施例25
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びク
ロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入したのち、窒素を0.22MPaGになる
まで導入し、及び室温で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は49.
8%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは32.1%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.1%であり、選択率は99.1%であった。
【0131】
実施例26
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 61
.3mg、亜鉛粉末 1.95g、ジメチルスルホキシド 234mg、1,5-シクロ
オクタジエン 38.8mg、N,N-ジメチルホルムアミド 10mLを加え、及びク
ロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で21時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は47.
4%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは50.0%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は99.3%であった。
【0132】
実施例27
50mLの反応容器に、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム 334m
g、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロ
トリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は11.
3%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは79.4%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は98.2%であった。
【0133】
実施例28
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 144mg、ジ
-tert-ブチルホスフィンオキサイド 81mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-
ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを
導入し、及び80℃で13時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は10.
7%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは49.6%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は91.2%であった。
【0134】
実施例29
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 288mg、1
,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン 237mg、亜鉛粉末
0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、及びクロロトリフルオロエ
チレン 1.16gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は8.3
%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは80.1%であった。トリフルオロエ
チレンの収率は0.2%であり、選択率は97.3%であった。
【0135】
実施例30
50mLの反応容器に、トリス{トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニ
ル]ホスフィン}パラジウム 1.06g、トルエン 10mLを加え、及び1-ブロモ
-1-フルオロエチレン 1.25gを導入したのち、一酸化炭素を0.5MPaGにな
るまで導入し、及び90℃で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ジフルオロ-1,3-ブタジエン
の収率は35.7%であり、残存した1-ブロモ-1-フルオロエチレンは10.7%で
あった。モノフルオロエチレンの収率は0.4%であり、選択率は98.1%であった。
【0136】
実施例31
50mLの反応容器に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム 289m
g、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン 10
mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及び1-クロロ-1-フルオロエチレン
0.80gを導入し、及び室温で36時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ジフルオロ-1,3-ブタジエン
の収率は10.1%であり、残存した1-クロロ-1-フルオロエチレンは77.6%で
あった。モノフルオロエチレンの収率は0.4%であり、選択率は96.2%であった。
【0137】
実施例32
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 0.98g、ジメチルスルホキシド 5mLを加え、及びクロロトリ
フルオロエチレン 1.16gを導入し、及び20℃で18時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は29.
0%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは52.8%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.4%であり、選択率は97.3%であった。
【0138】
実施例33
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mLを加え、及び
クロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び60℃で1.5時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は53.
1%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは25.2%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.3%であり、選択率は99.0%であった。
【0139】
実施例34
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 0.98g、N-メチルピロリドン 5mLを加え、及びクロロトリ
フルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は18.
4%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは68.7%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.8%であり、選択率は92.3%であった。
【0140】
実施例35
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 15mLを加え、及び
クロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び60℃で1.5時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は58.
0%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは30.9%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は99.1%であった。
【0141】
実施例36
50mLの反応容器に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル 327m
g、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン 10
mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及び1-クロロ-1-フルオロエチレン
0.80gを導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ジフルオロ-1,3-ブタジエン
の収率は21.8%であり、残存した1-クロロ-1-フルオロエチレンは72.7%で
あった。モノフルオロエチレンの収率は0.3%であり、選択率は98.6%であった。
【0142】
実施例37
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、ヘキサフルオロリン酸カリウム 0.92g、N,N-
ジメチルホルムアミド 20mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16g
を導入し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は61.
9%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは26.9%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.2%であり、選択率は89.0%であった。
【0143】
実施例38
50mLの反応容器に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 144mg、ト
リ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート 145mg、リン酸カリウム
212mg、亜鉛粉末 0.98g、N,N-ジメチルホルムアミド 5mLを加え、
及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び40℃で6時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は31.
2%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは53.4%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は96.6%であった。
【0144】
実施例39
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
6mg、マンガン粉末 1.65g、N,N-ジメチルホルムアミド 20mLを加え、
及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入し、及び室温で8時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は27.
7%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは37.2%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.5%であり、選択率は96.7%であった。
【0145】
実施例40
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 61
.3mg、亜鉛粉末 1.95g、ジメチルスルホキシド 234mg、N,N-ジメチ
ルホルムアミド 10mLを加え、及びクロロトリフルオロエチレン 1.16gを導入
し、及び室温で24時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的のヘキサフルオロブタジエンの収率は53.
0%であり、残存したクロロトリフルオロエチレンは41.0%であった。トリフルオロ
エチレンの収率は0.4%であり、選択率は98.4%であった。
【0146】
実施例41
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 12
8mg、亜鉛粉末 1.95g、N,N-ジメチルホルムアミド 10mL、トルエン
10mL、ジメチルスルホキシド 1mLを加え、及び2-クロロ-3,3,3-トリフ
ルオロプロペン 1.31gを導入し、及び80℃で18時間撹拌した。
反応終了後、冷却した耐圧容器に前記反応容器内部のガスを回収し、回収ガスをガスク
ロマトグラフィーにて分析したところ、目的の2,3-ビス(トリフルオロメチル)-1
,3-ブタジエンの収率は25.3%であり、残存した2-クロロ-3,3,3-トリフ
ルオロプロペンは62.7%であった。選択率は100%であった。
【0147】
実施例42
50mLの反応容器に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム 25
.6mg、亜鉛粉末 0.39g、N,N-ジメチルホルムアミド 2mL、トルエン
2mL、ジメチルスルホキシド 0.2mLを加え、及びβ-ブロモ-β-フルオロスチ
レン 400mgを入れ、及び80℃で18時間撹拌した。
反応終了後、冷却した反応液を19F NMRにて定量したところ、目的の2,3-ジ
フルオロ-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエンの収率は44.0%であり、残存し
たβ-ブロモ-β-フルオロスチレンは14.7%であった。β-フルオロスチレンの収
率は23.5%であり、選択率は65.2%であった。