(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B01D53/26 220
(21)【出願番号】P 2020553414
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2019041406
(87)【国際公開番号】W WO2020085340
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】201811229801.X
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】廬 佩澤
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲路▼▲路▼
(72)【発明者】
【氏名】補 祷寧
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-110736(JP,A)
【文献】特開2004-216229(JP,A)
【文献】特開2006-281046(JP,A)
【文献】特開2009-226288(JP,A)
【文献】特開2018-028426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28、
53/02-53/18
F24F 3/00- 3/16、
6/00- 6/18、
13/20
D06F 58/00-58/52
F26B 1/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口(101)、第1吹出口(611)、及び第2吹出口(102)を有する本体(BT)と、
前記本体内に設けられ、吸気口(201)、第1送気口(202)、及び第2送気口(203)を有するファンアセンブリ(200)と、
前記本体内に設けられ、前記ファンアセンブリ(200)のファンロータ(210)の回転軸(L1)に略平行な回転軸(L2)を有し、さらに前記回転軸(L2)を中心とする周方向において互いに隣接する、吸湿エリア(301)及び放湿エリア(302)を
有する調湿ロータ(300)と、
前記本体内に設けられ、加熱部を有し、前記加熱部が、少なくとも、前記放湿エリア(302)のうち前記調湿ロータ(300)の回転方向上流側寄りの部分を加熱する加熱アセンブリ(400)と、
を備え、
前記ファンアセンブリ(200)の動作時、前記吸込口(101)から前記本体(BT)内に吸い込まれた空気流が、前記吸湿エリア(301)を通過して前記ファンアセンブリ(200)の前記吸気口(201)に入った後に、前記第1送気口(202)から吹き出され前記放湿エリア(302)を通過して前記第1吹出口(611)から放出される経路と、前記第2送気口(203)から前記第2吹出口(102)に吹き出されて放出される経路と、の2つの経路に分かれ、
前記第1送気口(202)は、少なくとも、前記放湿エリア(302)のうち前記調湿ロータ(300)の回転方向上流側寄りの部分に送風し、
前記ファンロータ(210)の回転方向は、前記調湿ロータ(300)の回転方向と同一である、
空気処理装置(1)。
【請求項2】
前記加熱アセンブリ(400)は、緩衝部(430)を更に有し、
前記緩衝部(430)は、前記放湿エリア(302)のうち前記調湿ロータ(300)の回転方向下流側寄りの部分と対応し、且つ前記調湿ロータ(300)の回転方向において、前記加熱部よりも下流側にある、
請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記加熱アセンブリ(400)は、前記第1送気口(202)から吹き出されて前記放湿エリア(302)を通過する空気流の経路に、少なくとも部分的に設置される、
請求項1又は請求項2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記加熱アセンブリ(400)は、前記第1吹出口(611)と前記ファンアセンブリ(200)との間に位置している、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記加熱アセンブリ(400)は、
前記第1送気口(202)と対応する加熱アセンブリ吸込口(411)、及び
前記放湿エリア(302)と対応する加熱アセンブリ吹出口(412)、を有する
加熱アセンブリハウジング(410)を有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記加熱アセンブリ吸込口(411)は、前記加熱部(420)と対応して設置され、その開口の大きさは、前記加熱部(420)と等しいか、又は前記加熱部(420)よりも大きい、
請求項5に記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記緩衝部(430)は、空気処理装置の安全な運転を確実にするための安全保護装置(431)を含む、
請求項2に記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記加熱アセンブリ(400)は、前記ファンアセンブリ(200)の径方向において、前記ファンアセンブリ(200)に隣接しており、且つ前記調湿ロータ(300)の回転軸方向において、前記調湿ロータ(300)に隣接しており、
前記調湿ロータ(300)は、前記加熱アセンブリ(400)及び前記ファンアセンブリ(200)を、少なくとも部分的に覆う、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記本体(BT)は、
前記吸込口(101)及び前記第2吹出口(102)を有するケーシング(100)と、
前記調湿ロータ(300)の径方向において前記調湿ロータ(300)に隣接し、且つ前記第1吹出口(611)を有する仕切部(610)と、
を含み、
前記ケーシング(100)内には、前記ファンアセンブリ(200)、前記調湿ロータ(300)、前記加熱アセンブリ(400)、及び前記仕切部(610)が設けられている、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記仕切部(610)には、前記第1吹出口(611)と前記調湿ロータ(300)との間に、遮蔽板(612)が設けられている、
請求項9に記載の空気処理装置。
【請求項11】
前記第1吹出口(611)には、排気ダクト(500)が接続されている、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項12】
前記ファンアセンブリ(200)は、前記ファンロータ(210)を収容するスクロールケーシング(220)を有し、
前記吸気口(201)、前記第1送気口(202)、及び前記第2送気口(203)のうち少なくとも1つは、
前記スクロールケーシング(220)のみによって構成される、
或いは、
前記本体(BT)に含まれるケーシング(100)及び前記スクロールケーシング(220)によって構成され、
前記ファンアセンブリ(200)、前記調湿ロータ(300)、及び前記加熱アセンブリ(400)は、前記ケーシング(100)内に設けられている、
請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項13】
前記本体(BT)は、
前面(110)と、
前記前面(110)に対向する背面(120)と、
前記前面(110)と前記背面(120)との間に位置する側面(130)と、
を有し、
前記吸込口(101)は、前記前面(110)に設けられ、
前記第2吹出口(102)は、前記側面(130)に設けられる、
請求項12に記載の空気処理装置。
【請求項14】
蓋体(GT)を更に含み、
前記蓋体(GT)と前記本体(BT)との間には隙間が形成されており、
前記吸込口(101)は、前記本体(BT)の、前記蓋体(GT)に面する面に設けられ、
前記ファンアセンブリ(200)の動作時、空気流は外部から前記隙間を通って前記吸込口(101)に入る、
請求項12又は請求項13に記載の空気処理装置。
【請求項15】
前記本体(BT)内には、前記調湿ロータ(300)の回転軸方向両側から、前記調湿ロータ(300)を挟持し、前記放湿エリア(302)と対応する、上フレーム側空気流路及び下トレイ側空気流路が形成されている上フレーム(600)及び下トレイ(700)が設けられており、
前記ファンアセンブリ(200)の動作時、前記第1送気口(202)から吹き出された空気流は、前記下トレイ側空気流路、前記放湿エリア(302)、及び前記上フレーム側空気流路を順に通過して、前記第1吹出口(611)から放出され、
前記調湿ロータ(300)の前記上フレーム(600)側とは反対側の面と、前記下トレイ(700)との間には、前記放湿エリアと対応するように、シールリング(800)が設けられている、
請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項16】
前記下トレイ(700)には、又は、前記下トレイ(700)及び前記シールリング(800)には、付勢ユニット(900)が設けられており、
前記付勢ユニット(900)は、前記シールリング(800)に対して、前記調湿ロータ(300)の回転軸に沿い前記調湿ロータ(300)に向かって、作用力を加える、
請求項15に記載の空気処理装置。
【請求項17】
前記下トレイ(700)の、前記シールリング(800)に対向する面には、前記シールリング(800)を収容する下トレイ側凹溝(701)が設けられている、
請求項15又は請求項16に記載の空気処理装置。
【請求項18】
前記シールリング(800)の、前記下トレイ(700)に面する面には、シールリング側凹溝(801)が設けられており、
前記付勢ユニット(900)の少なくとも一部は、前記シールリング側凹溝(801)内に収容されている、
請求項
16に記載の空気処理装置。
【請求項19】
前記付勢ユニット(900)は、前記作用力としての磁石の斥力を加える、1対又は複数対の磁石を含む、
且つ/或いは、
前記付勢ユニット(900)は、前記作用力としての弾性力を加える、1つ又は複数の弾性部材を含む、
請求項
16に記載の空気処理装置。
【請求項20】
前記下トレイ(700)及び前記シールリング(800)の少なくとも一方には、他方に向かって延びる柱(702)が設けられており、
前記付勢ユニット(900)は、前記作用力としての弾性力を加えるバネを含み、
前記バネは、前記柱(702)に嵌められて、前記シールリング側凹溝(801)に収容される、
請求項
18に記載の空気処理装置。
【請求項21】
前記シールリング(800)の、前記調湿ロータ(300)に面する面には、前記調湿ロータが当接する摩擦防止層(1000)が設けられている、
請求項
15から請求項20のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項22】
前記本体(BT)は、
前面(110)と、
前記前面(110)に対向する背面(120)と、
前記前面(110)と前記背面(120)との間に位置する側面(130)と、を有し、
前記ファンロータ(210)の回転軸(L1)は、前記前面(110)に対して傾斜しており、
前記本体(BT)内には、前記ファンアセンブリ(200)と前記背面(120)との間に、電装品箱(DH)が設けられており、
前記電装品箱(DH)は、前記ファンロータ(210)の回転軸(L1)に垂直な方向に沿って見た時に、台形を呈す、
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項23】
前記吸込口(101)の、前記放湿エリア(302)から離れた箇所に、センサが設けられている、
請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項24】
前記本体(BT)に対向する蓋体(GT)を更に含み、
前記蓋体(GT)の、前記放湿エリア(302)から離れた箇所に、センサが設けられている、
請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項25】
前記第1吹出口(611)の箇所には、逆流防止ダンパ及び/又は防虫ネットを含む防護装置(FH)が連結されている、
請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気処理装置に関し、特に、空気の湿度を調節する機能を備えた空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上に伴い、オフィス環境や居住環境に対する人々の要望もますます高まっている。例えば、冷房又は暖房用エアコン等の環境温度を調節する空気処理装置に対するニーズが拡大しているだけでなく、除湿機又は乾燥機等の環境湿度を調節する空気処理装置に対するニーズも同時に日増しに高まっている。
【0003】
従来の除湿機の中には、圧縮機の冷媒を圧縮する特性を利用して除湿を行うものがあるが、このような除湿機は圧縮機を使用する必要があるため、製造コストが高い、運転音が大きい等の欠点がある。
【0004】
このような従来の除湿機の欠点に対して、除湿ロータ式の除湿機が以前から提案されている。この除湿機では、例えばゼオライトを材料として用いて除湿ロータを製造する。そして、この除湿ロータの吸湿特性を利用することによって、圧縮機を使用することなく空気の湿度を調節する機能を実現することができる(例えば、特許文献1:中国実用新案第202096871号を参照)。
【0005】
上述の除湿ロータ式除湿機では、常温で湿気を吸収でき、高温で湿気を放出できるという除湿ロータの特性を利用して、除湿ロータの吸湿後のエリアを加熱して再生させる電熱装置を設けることによって、長時間の除湿機能を容易に実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の除湿ロータ式除湿機では、空気吸入装置内を除湿ロータで除湿して除湿後の空気を室内に送る送風ユニットに加え、除湿ロータの吸湿後のエリアの加熱再生効率向上のために、専用の送風装置を更に設けて、電熱装置に送風し、電熱装置を通って加熱された後の空気を利用して、除湿ロータの吸湿後のエリアを加熱する必要がある。このため、装置全体が複雑になり、製造コストの増大を招く。
【0007】
本発明は、まさに上述の課題を解決するためになされたものであり、全体の構造を簡素化するとともに、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与し、除湿効果を高める空気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、以下の空気処理装置を提供する。空気処理装置は、本体を有する。本体は、吸込口と、第1吹出口と、第2吹出口とを有する。本体内には、ファンアセンブリと、調湿ロータと、加熱アセンブリとが設けられている。ファンアセンブリは吸気口と、第1送気口と、第2送気口とを有する。調湿ロータは、ファンアセンブリのファンロータの回転軸に略平行な回転軸を有し、調湿ロータの回転軸を中心とする周方向において互いに隣接する、吸湿エリア及び放湿エリアを有する。ファンアセンブリの動作時、吸込口から本体内に吸い込まれた空気流は、吸湿エリアを通過してファンアセンブリの吸気口に入った後、2つの経路に分かれる。1つは、第1送気口から吹き出され、放湿エリアを通過して、第1吹出口から放出される経路であり、もう1つは、第2送気口から第2吹出口に吹き出されて放出される経路である。加熱アセンブリは、加熱部を有する。加熱部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分を加熱する。第1送気口は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分に送風する。ファンロータの回転方向と調湿ロータの回転方向は同一である。
【0009】
ここで、「調湿ロータは、ファンアセンブリのファンロータの回転軸に略平行な回転軸を有する」とは、調湿ロータの回転軸とファンアセンブリのファンロータの回転軸とが厳密に平行である場合に限定されず、製造や組立による誤差、又は動作時の振動や熱による変形等が原因で、調湿ロータの回転軸が、ファンアセンブリのファンロータの回転軸に対してわずかに傾いている場合も含まれる。
【0010】
本発明の空気処理装置によると、ファンアセンブリは、吸気口及び第1送気口を有し、ファンアセンブリの動作時、調湿ロータの吸湿エリアを通過してファンアセンブリの吸気口に入った空気流の一部は、第1送気口から吹き出され放湿エリアを通過した後に、第1吹出口から放出される。これにより、専用の送風装置を設けて加熱アセンブリに送風する必要がなく、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流を利用して、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を高めることができ、装置全体の構造の簡素化に寄与する。
【0011】
また、本発明の空気処理装置によると、加熱アセンブリの加熱部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分を加熱するので、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向下流側寄りの部分のみを加熱する場合と比べて、実際に機能する放湿エリアの面積を大きくしやすく、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0012】
また、本発明の空気処理装置によると、加熱アセンブリの加熱部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分を加熱し、第1送気口は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分に送風する。また、ファンロータの回転方向は、調湿ロータの回転方向と同一である。これにより、ファンロータの回転方向と調湿ロータの回転方向とが異なる場合に比べて、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流が、放湿エリア全体に行き渡りやすく、放湿エリアの温度を更に均一にするので、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0013】
また、本発明の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。加熱アセンブリは、緩衝部を更に有する。緩衝部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向下流側寄りの部分と、部分的に対応し、且つ、調湿ロータの回転方向において、加熱部よりも下流側にある。
【0014】
上述の構成の空気処理装置によると、第1送気口が放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分に送風する場合、空気流が、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向下流側寄りの部分に到達しにくい恐れがある。このため、この下流側の部分を加熱部により加熱すると、この下流側部分付近の温度が上昇しすぎる現象が起こりやすく、安全上の潜在リスクが存在する。これに対し、調湿ロータの回転方向において加熱部よりも下流側の位置に、放湿エリアに対し加熱を行わない緩衝部を設けると、上述の安全上の潜在リスクを回避しやすい。更に、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向下流側寄りの部分と、部分的に対応する緩衝部を設けることによって、調湿ロータの放湿エリア部分の緩衝部通過後の温度をある程度下げることができる。これにより、調湿ロータの放湿エリア部分が熱を受けた後に過度に温度上昇することによって、放湿エリア部分が回転して吸湿エリアに到達した時の吸湿作用効率に影響を与えてしまうのを防ぐことができる。その結果、調湿ロータの放湿効率が高まる。
【0015】
また、本発明の空気処理装置において、好ましくは、加熱アセンブリは、第1送気口から吹き出されて放湿エリアを通過する空気流の経路に、少なくとも部分的に設置される。
【0016】
本発明の空気処理装置によると、第1送気口から吹き出された空気流は、加熱アセンブリにより加熱された後に、調湿ロータの放湿エリアを通過することができるので、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の更なる向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0017】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することができる。加熱アセンブリは、第1吹出口とファンアセンブリとの間に位置している。
【0018】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの除湿効率が向上するのと同時に、装置全体の小型化の実現に寄与する。
【0019】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することもできる。加熱アセンブリは、加熱アセンブリハウジングを有する。加熱アセンブリハウジングは、加熱アセンブリ吸込口及び加熱アセンブリ吹出口を有する。加熱アセンブリ吸込口は、第1送気口と対応する。加熱アセンブリ吹出口は、放湿エリアと対応する。
【0020】
上述の構成の空気処理装置によると、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流が加熱アセンブリを通過しやすく、且つ加熱アセンブリの加熱アセンブリ吹出口から吹き出された空気流が放湿エリアを通過しやすい。従って、加熱アセンブリを通って加熱された後の空気流を利用して、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を更に容易に向上させることができる。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0021】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。加熱アセンブリ吸込口は、加熱部と対応して設置され、その開口の大きさは、加熱部と等しいか、又は加熱部よりも大きい。
【0022】
上述の構成の空気処理装置によると、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流が、加熱アセンブリの加熱部を更に通過しやすくなるので、加熱アセンブリを通って加熱された後の空気流を利用して、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を更に容易に向上させることができる。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0023】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。緩衝部は、空気処理装置の安全な運転を確実にするための安全保護装置を含む。
【0024】
上述の構成の空気処理装置によると、空きスペースになりやすい緩衝部に、安全保護装置を配置することにより、装置の寸法を大きくすることなく、運転の安全性を向上させやすい。特に、周囲の温度が高すぎる時に、加熱部又は空気処理装置の動作を停止させる安全保護装置を緩衝部に設けると、容易に且つ効果的に、安全上の潜在リスクを検出することができるので、確実に空気処理装置を保護することができる。
【0025】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することもできる。加熱アセンブリは、ファンアセンブリの径方向において、ファンアセンブリに隣接しており、且つ調湿ロータの回転軸方向において、調湿ロータに隣接している。また、調湿ロータは、加熱アセンブリ及びファンアセンブリを、少なくとも部分的に覆う。
【0026】
上述の構成の空気処理装置によると、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流が加熱アセンブリを通過しやすいので、加熱アセンブリを通って加熱された後の空気流を利用して、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を向上させやすい。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。更に、調湿ロータ、加熱アセンブリ、及びファンアセンブリはコンパクトに配置されているので、装置全体の小型化を実現しやすい。
【0027】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することができる。本体は、ケーシング及び仕切部を含む。ケーシングは、吸込口及び第2吹出口を有する。ファンアセンブリ、調湿ロータ、加熱アセンブリ、及び仕切部は、ケーシング内に設けられている。仕切部は、第1吹出口を有し、調湿ロータの径方向において、調湿ロータに隣接している。
【0028】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することができる。仕切部には、第1吹出口と調湿ロータとの間に、遮蔽板が設けられている。
【0029】
上述の構成の空気処理装置によると、第1送気口から吹き出された空気流が放湿エリア全体を通過しやすくなるので、実際に機能する放湿エリアの面積を大きくしやすく、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0030】
また、本発明の空気処理装置では、第1吹出口に排気ダクトが接続されていることが好ましい。
【0031】
上述の構成の空気処理装置によると、必要に応じて、第1吹出口から吹き出された空気流の方向を柔軟に設定することができる。
【0032】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することができる。ファンアセンブリは、ファンロータを収容するスクロールケーシングを有する。吸気口、第1送気口、及び第2送気口のうち少なくとも1つは、スクロールケーシングのみによって構成されるか、或いは、ケーシング及びスクロールケーシングによって構成される。ファンアセンブリ、調湿ロータ、及び加熱アセンブリは、ケーシング内に設けられている。
【0033】
上述の構成の空気処理装置によると、吸い込まれる空気量又は放出される空気量を精密に制御しやすく、吸気口、送気口を接合する時の隙間に起因する空気漏れ等を防ぐことができる。
【0034】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。本体は、前面と、背面と、側面とを有する。背面は、前面に対向する。側面は、前面と背面との間に位置する。吸込口は、前面に設けられる。第2吹出口は、側面に設けられる。
【0035】
上述の構成の空気処理装置によると、吸込口と第2吹出口との間で、空気流のショートサーキットが起こるのを防ぎやすい。
【0036】
また、本発明の空気処理装置において、好ましくは、蓋体(GT)を更に含む。蓋体と本体との間には隙間が形成されている。吸込口は、本体の、蓋体に面する面に設けられている。ファンアセンブリの動作時、空気流は外部から隙間を通って吸込口に入る。
【0037】
上述の構成の空気処理装置によると、吸込口を蓋体で覆うことにより、外部の塵埃が吸込口に付着して吸気効率に影響を及ぼすことを防ぎやすい。また、装置全体の美観性の向上にも寄与する。
【0038】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することができる。本体には、上フレーム及び下トレイが設けられている。上フレーム及び下トレイは、調湿ロータの回転軸方向両側から、調湿ロータを挟持する。上フレーム及び下トレイにはそれぞれ、放湿エリアと対応する、上フレーム側空気流路及び下トレイ側空気流路が形成されている。ファンアセンブリの動作時、第1送気口から吹き出された空気流は、下トレイ側空気流路、放湿エリア、及び上フレーム側空気流路を順に通過して、第1吹出口から放出される。調湿ロータの上フレーム側とは反対側の面と、下トレイとの間には、放湿エリアと対応するように、シールリングが設けられている。
【0039】
本発明の空気処理装置によると、調湿ロータの回転軸方向両側には、放湿エリアと対応する下トレイ側空気流路及び上フレーム側空気流路をそれぞれ有する下トレイ及び上フレームが、調湿ロータを挟持するように設けられる。また、調湿ロータの上フレーム側とは反対側の面と下トレイとの間には、放湿エリアと対応するように、シールリングが設けられる。これにより、調湿ロータの回転が安定しやすくなる上、第1送気口から吹き出された空気流が、調湿ロータの放湿エリアに集中して流れやすい。また、調湿ロータの吸湿エリアを通る空気流と、調湿ロータの放湿エリアを通る空気流とが、互いに干渉し合うのを防ぎやすい。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0040】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することもできる。下トレイには、又は下トレイ及びシールリングには、付勢ユニットが設けられており、付勢ユニットは、シールリングに対して、調湿ロータの回転軸に沿い調湿ロータに向かって、作用力を加える。
【0041】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの回転時にも、シールリングを調湿ロータに密着させやすく、第1送気口から吹き出された空気流を、より良好に調湿ロータの放湿エリアに向かわせることができる。これにより、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を向上させやすい。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0042】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。下トレイの、シールリングに対向する面には、シールリングを収容する下トレイ側凹溝が設けられている。
【0043】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの回転時に、シールリングが調湿ロータの回転による外力を受けて位置ずれを起こすことを防止しやすいので、シールリングのシール作用がより良好に発揮されやすい。
【0044】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。シールリングの、下トレイに面する面には、シールリング側凹溝が設けられており、付勢ユニットの少なくとも一部は、このシールリング側凹溝内に収容されている。
【0045】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの回転時に、付勢ユニットが外力を受けて位置ずれを起こすことを防止しやすいので、付勢ユニットの作用がより良好に発揮されやすい。
【0046】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。付勢ユニットは、作用力としての磁石の斥力を加える、1対又は複数対の磁石を含む、且つ/或いは、付勢ユニットは、作用力としての弾性力を加える、1つ又は複数の弾性部材を含む。
【0047】
上述の構成の空気処理装置によると、簡単な構成で付勢ユニットを実現することができ、製造コストの低減に寄与する。
【0048】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。下トレイ及びシールリングの少なくとも一方には、他方に向かって延びる柱が設けられている。付勢ユニットは、作用力としての弾性力を加えるバネを含む。バネは、柱に嵌められて、シールリング側凹溝に収容される。
【0049】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの回転時に、バネが外力を受けることよって位置ずれ又は変形を起こすことを確実に防止しやすいので、バネの作用がより良好に発揮されやすい。
【0050】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を採用することもできる。シールリングの、調湿ロータに面する面には、調湿ロータが当接する摩擦防止層が設けられている。
【0051】
上述の構成の空気処理装置によると、調湿ロータの回転時に、摩擦によって生じる転がり抵抗を低減しやすい。従って、駆動力の比較的小さい小型の駆動装置を使って調湿ロータを回転させることが容易であり、装置全体の小型化に寄与する。
【0052】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。本体は、前面と、背面と、側面とを有する。背面は、前面に対向する。側面は、前面と背面との間に位置する。ファンロータの回転軸は、前面に対して傾斜している。本体内には、電装品箱が設けられている。電装品箱は、ファンアセンブリと背面との間に設けられる。電装品箱は、ファンロータの回転軸に垂直な方向に沿って見た時に、台形を呈す。
【0053】
上述の構成の空気処理装置によると、装置全体を小型化しやすい。
【0054】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。吸込口の、放湿エリアから離れた箇所に、センサが設けられている。
【0055】
上述の構成の空気処理装置によると、センサの検出精度が、加熱アセンブリの発熱による影響を受けにくいだけでなく、加熱された調湿ロータによる発熱の影響も受けにくい。よって、センサの検出結果に応じて、高い精度で空気処理装置を制御しやすい。
【0056】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。本体に対向する蓋体を更に含む。蓋体の放湿エリアから離れた箇所にセンサが設けられている。
【0057】
上述の構成の空気処理装置によると、センサの検出精度が、加熱アセンブリの発熱による影響を受けにくいだけでなく、加熱された調湿ロータによる発熱の影響も受けにくい。よって、センサの検出結果に応じて、高い精度で空気処理装置を制御しやすい。
【0058】
また、上述の構成の空気処理装置において、以下の構成を更に採用することができる。第1吹出口には、防護装置が連結されている。防護装置は、逆流防止ダンパ及び/又は防虫ネットを含む。
【0059】
上述の構成の空気処理装置によると、汚れた空気流、雨水又は飛来昆虫等が第1吹出口を通って空気処理装置の内部に入り、空気処理装置の正常な運転に影響を及ぼしてしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によると、ファンアセンブリは、吸気口及び第1送気口を有し、ファンアセンブリの動作時、調湿ロータの吸湿エリアを通過してファンアセンブリの吸気口に入った空気流の一部は、第1送気口から吹き出され放湿エリアを通過した後に、第1吹出口から放出される。これにより、専用の送風装置を設けて加熱アセンブリに送風する必要がなく、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流を利用して、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果を高めることができ、装置全体の構造の簡素化に寄与する。
【0061】
また、本発明によると、加熱アセンブリの加熱部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分を加熱するので、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向下流側寄りの部分のみを加熱する場合と比べて、実際に機能する放湿エリアの面積を大きくしやすく、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【0062】
また、本発明によると、加熱アセンブリの加熱部は、少なくとも、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分を加熱し、第1送気口は、放湿エリアのうち調湿ロータの回転方向上流側寄りの部分に送風する。また、ファンロータの回転方向は、調湿ロータの回転方向と同一である。これにより、ファンロータの回転方向と調湿ロータの回転方向とが異なる場合に比べて、ファンアセンブリの第1送気口から吹き出された空気流が、放湿エリア全体に行き渡りやすく、調湿ロータの放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータの除湿効率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気処理装置を模式的に示す斜視図であり、蓋体が本体に対して開いている状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気処理装置を模式的に示す断面斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体部分を模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体の一部を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体の一部を模式的に示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る空気処理装置の調湿ロータを模式的に示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る空気処理装置のシールリング付近の構造を模式的に示す部分的な断面斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る空気処理装置のシールリング付近の構造を模式的に示す部分的な断面斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る空気処理装置のファンロータ及び調湿ロータの運動について模式的に示す平面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る空気処理装置の動作時における各部分の温度を示すサーモグラフィーである。
【
図11】比較例に係る空気処理装置の動作時における各部分の温度を示すサーモグラフィーである。
【
図12】本発明の変形例に係る空気処理装置の加熱アセンブリの加熱部及び緩衝部を模式的に示す平面図である。
【
図13】本発明の変形例に係る空気処理装置の加熱アセンブリの加熱部及び緩衝部を模式的に示す平面図である。
【
図14】本発明の変形例に係る空気処理装置を模式的に示す斜視図であり、蓋体が本体に対して開いている状態を示す。
【
図15】本発明の変形例に係る空気処理装置のシールリング付近の構造を模式的に示す部分的な断面斜視図である。
【
図16】本発明の変形例に係る空気処理装置の防護装置を模式的に示す斜視図である。
【
図17】本発明の変形例に係る空気処理装置の防護装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、
図1~
図11を参照しながら、本発明の実施形態に係る空気処理装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気処理装置を模式的に示す斜視図であり、蓋体が本体に対して開いている状態を示す。
図2は、本発明の実施形態に係る空気処理装置を模式的に示す断面斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体部分を模式的に示す分解斜視図である。
図4は、本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体の一部を模式的に示す分解斜視図である。
図5は、本発明の実施形態に係る空気処理装置の本体の一部を模式的に示す斜視図である。
図6は、本発明の実施形態に係る空気処理装置の調湿ロータを模式的に示す分解斜視図である。
図7は、本発明の実施形態に係る空気処理装置のシールリング付近の構造を模式的に示す部分的な断面斜視図である。
図8は、本発明の実施形態に係る空気処理装置のシールリング付近の構造を模式的に示す部分的な断面斜視図である。
図9は、本発明の実施形態に係る空気処理装置のファンロータ及び調湿ロータの運動について模式的に示す平面図である。
図10は、本発明の実施形態に係る空気処理装置の動作時における各部分の温度を示すサーモグラフィーである。
図11は、比較例に係る空気処理装置の動作時における各部分の温度を示すサーモグラフィーである。
【0065】
ここで、説明の便宜上、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、Z方向とする。X方向の一方をX1、X方向の他方をX2とし、Y方向の一方をY1、Y方向の他方をY2とし、Z方向の一方をZ1、Z方向の他方をZ2とする。
(全体構造)
図1に示すように、空気処理装置1は、蓋体GT及び本体BTを含み、蓋体GTと本体BTとはピボット連結され、蓋体GTは本体BTに対して開閉可能である。また、
図2に示すように、蓋体GTが本体BTに対して閉じられた状態において、蓋体GTと本体BTとの間には、空気流が通ることのできる隙間が形成されている(図に示す例では、空気流は、周りから蓋体GTと本体BTとの間の隙間に入ることができる)。
【0066】
また、
図1及び
図2に示すように、本体は、吸込口101及び第1吹出口611を有し、本体BT内には、ファンアセンブリ200と、調湿ロータ300と、加熱アセンブリ400とが設けられている。ファンアセンブリ200は、吸気口201及び第1送気口202を有する。調湿ロータ300は、ファンアセンブリ200のファンロータ210の回転軸L1に略平行な回転軸L2を有する。また、調湿ロータ300は、調湿ロータ300の回転軸L2を中心とする周方向において互いに隣接する、吸湿エリア301及び放湿エリア302を有する。また、
図2に示すように、ファンアセンブリ200の動作時、吸込口101から本体BT内に吸い込まれた空気流は、吸湿エリア301を通過してファンアセンブリ200の吸気口201に入る。その後、そのうちの少なくとも一部の空気流は、第1送気口202から吹き出され、放湿エリア302を通過して、第1吹出口611から放出される。また、
図9に示すように、加熱アセンブリ400は、加熱部420を有する。加熱部420は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分を加熱する。第1送気口202は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分に送風する。ファンロータ210の回転方向は、調湿ロータ300の回転方向と同一である。
【0067】
ここで、
図1及び
図2に示すように、本体BTは、吸込口101(本体BTの、蓋体GTに面する面に設けられる)及び第1吹出口611に加え、第2吹出口102を更に有する(状況に応じて、第1吹出口611及び第2吹出口102以外に、他の吹出口を更に設けてもよい)。また、
図3に示すように、ファンアセンブリ200は、吸気口201及び第1送気口202に加え、第2送気口203を更に有する。また、
図2に示すように、ファンアセンブリ200の動作時、空気流は、外部から入り、蓋体GTと本体BTとの間の隙間を通って、吸込口101から本体BT内に吸い込まれる。吸込口101から本体BT内に吸い込まれた空気流は、吸湿エリア301を通過して、ファンアセンブリ200の吸気口201に入った後、2つの経路に分かれる。1つは、第1送気口202から吹き出され、放湿エリア302を通過して、第1吹出口611から放出される経路であり(矢印A1参照)、もう1つは、第2送気口203から第2吹出口102に吹き出されて放出される経路である(矢印A2参照)。
【0068】
なお、本願において、「吸湿エリア」とは、設計上、吸込口101からファンアセンブリ200の吸気口201に到達しようとする空気流が流れるエリア(図に示す例では中心角が180°よりも大きい扇形であるが、これに限定されない)を指し、「放湿エリア」とは、設計上、第1送気口202から第1吹出口611に到達しようとする空気流が流れるエリア(図に示す例では、中心角が180°よりも小さい扇形であるが、これに限定されない)を指す。また、「放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分」とは、放湿エリア302の角二等分線よりも上流側の部分(図に示す例では、扇形の放湿エリア302の角二等分線よりも上流側の部分である)を指す。また、「第1送気口202は、少なくとも放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分に送風する」とは、上流側の部分のみに送風することに限定されるのではなく、例えば、放湿エリア全体のうち上流側寄りである3分の2に送風してもよい。
(ケーシングの構造)
図1に示すように、ケーシング100は略直方体形状を呈し、前面110と、背面120と、側面130とを有する。前面110は、蓋体GTが本体BTに対して閉じられている時、蓋体GTに対向する。背面120は(平らな面に限定されず、不規則な形状であってもよい)、前面110に対向する。側面130は、前面110と背面120との間に位置して、前面110と背面120とを繋ぐ。
【0069】
ここで、
図1及び
図2に示すように、ケーシング100の前面110には、吸込口101が設けられている(具体的には、前面110のほぼ中央に設けられているが、これに限定されず、他の位置に設けられていてもよい)。この吸込口101の箇所には、第1フィルタLV1が設けられている。ケーシング100の側面130には、第2吹出口102が設けられている(具体的には、4つの側面130のうちY1方向寄りの側面に設けられ、且つこの側面のX2方向側の場所に設けられるが、これに限定されず、他の位置に設けられてもよい)。この第2吹出口102の箇所には、第2フィルタLV2が設けられている。実際の使用時(すなわち、縦方向に取り付けられる時)には、ケーシング100の第2吹出口102を縦方向下方に向けることによって、他の設置方法(例えば、第2吹出口を上方又は側方に向ける)よりも、塵埃が第2吹出口102に入りにくくなり、空気処理装置1の長時間にわたる正常動作が確実に行われやすい。また、
図2に示すように、ケーシング100には、仕切部610が設けられている(具体的には、調湿ロータ300の回転軸L2と垂直になるように、前面110と背面120との間に設けられているが、これに限定されない)。仕切部610は、第1吹出口611を有し、調湿ロータ300の径方向において、調湿ロータ300に隣接するように設けられている(具体的には、仕切部610のX1方向寄り、且つY2方向側の角部付近に設けられるが、これに限定されず、放湿エリアを通過する空気流が流入可能な位置であって、外部の空気流と連通可能な位置に設けられていれば、他の位置に設けられてもよい)。また、吸込口101は、全体として略半円形を呈する(具体的には、半円よりもわずかに大きい形状であるが、これに限定されず、他の形状であってもよい)。第1吹出口611は、全体として略円形を呈し(これに限定されず、他の形状であってもよい)、第2吹出口102は、全体として略矩形を呈する(これに限定されず、他の形状であってもよい)。
【0070】
また、
図2に示すように、第1吹出口611には、排気ダクト500が接続されている(具体的には、調湿ロータ300の回転軸L2方向に沿って、第1吹出口611からケーシング100の背面120側に向かって延びているが、これに限定されず、他の方向に向かって延びていてもよい)。この排気ダクト500は、第1吹出口611から吹き出された空気流を空調対象空間の外に排出するために用いられる。
【0071】
また、
図2に示すように、本体BT内には、電装品箱DHが設けられている。電装品箱DHは、ファンアセンブリ200と背面120との間に設けられ、電装品箱DHは、ファンロータ210の回転軸L1に垂直な方向(図中のY方向)に沿って見た時に、台形(具体的には、下底が上底よりもX2方向側寄りにある台形)を呈する。
【0072】
また、
図9に示すように、第1吹出口611と調湿ロータ300との間には、遮蔽板612が設けられている(具体的には、第1吹出口611に沿って延びる円弧状を呈しているが、これに限定されず、他の形状になるように設けられてもよい)。この遮蔽板612は、第1送気口202から吹き出された空気流が、放湿エリア302を通って、直接第1吹出口611に流れることを防止する。
(ファンアセンブリの構造)
図2、
図4、及び
図5に示すように、ファンアセンブリ200は、ケーシング100内に設けられ、ファンロータ210と、ファンロータ210を収容するスクロールケーシング220とを有する。
【0073】
ここで、ファンアセンブリ200は、例えばターボファンである。ファンロータ210は、その回転軸L1がケーシング100の前面と垂直にならないように(すなわち、ケーシング100の前面に対して傾斜するように)、ケーシング100の背面120に近い位置に設けられる。また、ファンロータ210は羽根部211を有する。
【0074】
また、
図4及び
図5に示すように、スクロールケーシング220は単独で、吸気口201、第1送気口202、及び第2送気口203を構成する(ただし、これに限定されず、吸気口201、第1送気口202、及び第2送気口203のうち1つ又は複数は、スクロールケーシング220及び他の部材によって構成されてもよい)。また、吸気口201は略Z1方向に向いており、第1送気口202は略X1方向に向いており、第2送気口203は略Y1方向に向いている。第1送気口202を略X1方向に向けることで、第1送気口202から吹き出された空気流が、調湿ロータ300の放湿エリア302に流れやすく、放湿エリア302の放湿効率が向上しやすい。一方、第2送気口203を略Y1方向に向けることで、第2送気口203から吹き出された空気流を、ケーシング100の第2吹出口102から空調対象空間に比較的短い距離で届けることができるため、送風効率を向上させやすい(当然ながら、吸気口201、第1送気口202、及び第2送気口203の向きはこれに限定されず、空気流を分岐させることができる方向であればよい)。
【0075】
また、第1送気口202は、ファンロータ210の回転軸L1方向から見た時に、少なくとも調湿ロータ300の回転方向上流側部分と対応する(具体的には、下流側部分のみと対応するのでなければよく、上流側部分のみと対応してもよいし、上流側部分及び下流側部分と対応してもよい)。
(調湿ロータの構造)
図2に示すように、調湿ロータ300は、ケーシング100内に設けられ、調湿ロータ300の回転軸L2を中心とする周方向において互いに隣接する、吸湿エリア301及び放湿エリア302を有する。
【0076】
ここで、調湿ロータ300は、その回転軸L2がケーシング100の前面と垂直にならないように(すなわち、ケーシング100の前面に対して傾斜するように)、ケーシング100の前面110に近い位置に設けられる。また、調湿ロータ300の回転軸L2は、ファンロータ210の回転軸L1と平行であるが一致はしておらず、調湿ロータ300の回転軸L2は、ファンロータ210の回転軸L1よりもX1方向側寄りである(すなわち、加熱アセンブリ400に近い)。
【0077】
また、
図2に示すように、調湿ロータ300の吸湿エリア301は、ケーシング100の吸込口101とほぼ対応しており、吸湿エリア301と吸込口101とは、調湿ロータ300の回転軸L2方向において重なっている(吸湿エリア301は、吸込口101と平行しないように設けられても、吸込口101と平行するように設けられてもよく、吸込口101が吸湿エリア301をほぼ覆いさえすればよい)。これに対し、調湿ロータ300の放湿エリア302と、ケーシング100の吸込口101とは、調湿ロータ300の回転軸L2方向において重ならない。
【0078】
また、
図2に示すように、調湿ロータ300の吸湿エリア301は、ファンアセンブリ200の吸気口201とほぼ対応し、吸湿エリア301と吸気口201とは、調湿ロータ300の回転軸L2方向において重なっている(調湿ロータ300が、少なくとも部分的に吸気口201を覆っていればよい)。
【0079】
また、
図5に示すように、調湿ロータ300は、ファンアセンブリ200のスクロールケーシング220に取り付けられた駆動アセンブリQDによって回転させられる(調湿ロータ300は、直接駆動アセンブリQDによって駆動されてもよいし、他の部材を介して駆動アセンブリQDによって駆動されてもよい)。
(加熱アセンブリの構造)
図2に示すように、加熱アセンブリ400は、ケーシング100内に設けられる。具体的には、加熱アセンブリ400は、第1送気口202から吹き出されて放湿エリア302を通過する空気流の経路に設けられ、第1吹出口611とファンアセンブリ200との間に位置する。より具体的には、加熱アセンブリ400は、ファンアセンブリ200の径方向においてファンアセンブリ200に隣接しており、且つ調湿ロータ300の回転軸方向において調湿ロータ300に隣接している。調湿ロータ300は、加熱アセンブリ400及びファンアセンブリ200を少なくとも部分的に覆う。
【0080】
また、
図5に示すように、加熱アセンブリ400は、加熱アセンブリハウジング410を含み、加熱アセンブリハウジング410は、加熱アセンブリ吸込口411及び加熱アセンブリ吹出口412を有する。加熱アセンブリ吸込口411は、第1送気口202と対応し(具体的には、ファンロータ210の回転軸L1に垂直な方向において対向しているが、これに限定されない)、その開口の大きさは加熱部420と等しいか、又は加熱部420よりも大きい。また、加熱アセンブリ吹出口412は、放湿エリア302と対応する(具体的には、調湿ロータ300の回転軸L2方向において対向しているが、これに限定されない)。
【0081】
また、
図5及び
図9に示すように、加熱アセンブリハウジング410内には、加熱部420及び緩衝部430が設けられている。加熱部420は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分と、部分的に対応する(図に示す例では、加熱部420は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分のみと対応しているため、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分のみを加熱するが、これに限定されず、例えば、
図12に示すように、加熱部420は、放湿エリア302全体の3分の2を加熱してもよい)。また、加熱部420は、加熱アセンブリ吸込口411と対応して設けられた電熱線により構成される(他の加熱部材により構成されてもよい)。緩衝部430は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向下流側寄りの部分と、部分的に対応する(図に示す例では、緩衝部430は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向下流側寄りの部分のみと対応するが、これに限定されず、例えば、
図13に示すように、緩衝部430は、放湿エリア302全体の3分の2と対応してもよい)。また緩衝部430は、調湿ロータ300の回転方向において、加熱部420よりも下流側寄りにある。更に、緩衝部430には、空気処理装置の安全な運転を確実にするための安全保護装置431(例えば、周囲の空気の温度を検出し、周囲の温度が高すぎる場合に、加熱部又は空気処理装置の動作を停止する安全保護装置)が設けられている。
(調湿ロータの放湿エリアと対応したシール構造)
図2~
図4及び
図6~
図8に示すように、ケーシング100内には、上フレーム600及び下トレイ700が設けられており、上フレーム600及び下トレイ700は、調湿ロータ300の回転軸L2方向の両側から調湿ロータ300を挟持する。また、上フレーム600及び下トレイ700にはそれぞれ、放湿エリア302と対応する、上フレーム側空気流路TD1及び下トレイ側空気流路TD2が形成されている。ファンアセンブリ200の動作時、第1送気口202から吹き出された空気流は、下トレイ側空気流路TD2、放湿エリア302、及び上フレーム側空気流路TD1を順に通過し、第1吹出口611から放出される。
【0082】
ここで、
図4及び
図6に示すように、上フレーム600は、仕切部610及び支持部620を有する(すなわち、上フレーム600は、仕切部610と一体形成されているが、これに限定されない)。仕切部610と支持部620とは、調湿ロータ300の径方向において互いに隣接しており、仕切部610は、支持部620よりも調湿ロータ300の径方向外側にある。また、支持部620は、軸受部621及び空気流路形成部622を有する。軸受部621は、調湿ロータ300中央の貫通孔309に挿入され、調湿ロータ300を回転可能に支持する(具体的には、下トレイ700の軸受部710と当接して係合され、調湿ロータ300を回転可能に支持する)。空気流路形成部622は、上フレーム側空気流路TD1を形成する。空気流路形成部622は、調湿ロータ300の回転軸L2方向に沿って見た時に、調湿ロータ300の放湿エリア302を周りから囲んでいる。
【0083】
また、
図6~
図8に示すように、調湿ロータ300の上フレーム600側とは反対側の面と下トレイ700との間には、シールリング800が、放湿エリア302と対応するように設けられている。また、下トレイ700及びシールリング800の少なくとも一方には、付勢ユニット900が設けられている(図に示す例では、下トレイ700及びシールリング800の両方に付勢ユニット900の一部が設けられている)。付勢ユニット900は、シールリング800に対し、調湿ロータ300の回転軸L2に沿い調湿ロータ300に向かって、作用力を加える。
【0084】
ここで、
図4及び
図6に示すように、下トレイ700は、ファンロータ210のスクロールケーシング220に固定されており、軸受部710及び空気流路形成部720を有する。軸受部710と空気流路形成部720とは、回転軸L2を基準とする調湿ロータ300の径方向において互いに隣接しており、空気流路形成部720は、軸受部710よりも調湿ロータ300の径方向外側寄りにある。また、軸受部710は、調湿ロータ300中央の貫通孔309に挿入され、調湿ロータ300を回転可能に支持する(具体的には、上フレーム600の軸受部621と当接して係合され、調湿ロータ300を回転可能に支持する)。空気流路形成部720は、下トレイ側空気流路TD2を形成する。空気流路形成部720は、調湿ロータ300の回転軸L2方向に沿って見た時に、調湿ロータ300の放湿エリア302を周りから囲んでいる。
【0085】
具体的には、空気流路形成部720は、下トレイ内周部721と、下トレイ外周部722と、下トレイ中間部723とを有する。下トレイ内周部721は軸受部710と繋がっている。下トレイ外周部722は、第1部分7221及び第2部分7222を有する。第1部分7221は、調湿ロータ300の、回転軸L2を基準とする軸方向端面の外周縁部分に対向する。第2部分7222は、第1部分7221の、回転軸L2を基準とする径方向外側端部から、調湿ロータ300の回転軸L2に沿って延び、調湿ロータ300の外周面と対向する。下トレイ中間部723は、下トレイ内周部721と下トレイ外周部722とを繋ぐことによって環形状を形成する。この環形状に囲まれた部分の面積は、調湿ロータ300の放湿エリア302の大きさにほぼ対応する。
【0086】
また、
図7に示すように、シールリング800は、下トレイ内周部721、下トレイ外周部722、及び下トレイ中間部723により形成される環形状と対応する環形状を有し、シールリング内周部810、シールリング外周部820、及びシールリング内周部810とシールリング外周部820とを繋ぐシールリング中間部830を有する。
【0087】
また、
図8に示すように、付勢ユニット900は、作用力としての磁石の斥力を加えるペア磁石を含み、ペア磁石の一方は下トレイ700に設けられ、他方はシールリング800に設けられている。具体的には、付勢ユニット900は、作用力としての磁石の斥力を加える複数対の磁石を含み、この複数対の磁石は、シールリング800の周方向に沿って均等に配置される。
【0088】
また、
図8に示すように、下トレイ700の、シールリング800に対向する面には、シールリング800を収容する下トレイ側凹溝701が設けられており、シールリング800の、下トレイ700に面する面には、シールリング側凹溝801が設けられている。シールリング側凹溝801内には、付勢ユニット900の一部(具体的には、ペア磁石のうちの他方)が収容されている。また、シールリング800の、調湿ロータ300に面する面には、調湿ロータ300を当接するための摩擦防止層1000が設けられている。
【0089】
本発明の空気処理装置1によると、ファンアセンブリ200は、吸気口201及び第1送気口202を有し、ファンアセンブリ200の動作時、調湿ロータ300の吸湿エリア301を通過しファンアセンブリ200の吸気口201に入った空気流の一部は、第1送気口202から吹き出され放湿エリア302を通過した後、第1吹出口611から放出される。これにより、専用の送風装置を設けて加熱アセンブリに送風する必要がなく、ファンアセンブリ200の第1送気口202から吹き出された空気流を利用して、調湿ロータ300の放湿エリア302の放湿効果を高めることができるので、装置の全体構造の簡素化に寄与する。
【0090】
また、本発明の空気処理装置1によると、加熱アセンブリ400の加熱部420は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分を加熱するので、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向下流側寄りの部分のみを加熱する場合と比べて、
図10及び
図11に示すように、実際に機能する放湿エリアの面積を大きくしやすく、調湿ロータ300の放湿エリアの放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータ300の除湿効率が上がる。
【0091】
また、本発明の空気処理装置1によると、加熱アセンブリ400の加熱部は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分を加熱し、第1送気口202は、少なくとも、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分に送風する。また、ファンロータ210の回転方向は、調湿ロータ300の回転方向と同一である。これにより、ファンロータ210の回転方向と調湿ロータ300の回転方向とが異なる場合に比べて、ファンアセンブリ200の第1送気口202から吹き出された空気流が、放湿エリア302全体に行き渡りやすく、調湿ロータ300の放湿エリア302の放湿効果の向上に寄与する。その結果、調湿ロータ300の除湿効率が上がる。
【0092】
以上、図面と結び付けながら、本発明について例示的な説明を行ったが、本発明の具体的な実現は、上述の実施形態の制限を受けないことは明らかである。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、空気処理装置1は、蓋体GT及び本体BTを含むが、これに限定されず、状況に応じて蓋体を省略してもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、ケーシング100の前面110と背面120との間に位置する仕切部610は、第1吹出口611を有するが、これに限定されない。状況に応じて、例えば第1吹出口611を、ケーシング100の側面130に設けてもよいし、或いはケーシング100の背面120に設けてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、ファンロータ210は、その回転軸L1とケーシング100の前面とが垂直にならないように、ケーシング100内に設けられ、調湿ロータ300は、その回転軸L2とケーシング100の前面とが垂直にならないように、ケーシング100の前面110に近い位置に設けられる。これにより、装置の全体の寸法を大きくすることなく、ファンロータ210とケーシング100との間に、電装品箱DH等を収容する空間を形成することができ、装置全体の小型化の実現に寄与するが、これに限定されない。ファンロータ210及び調湿ロータ300は、それらの回転軸L1、L2とケーシング100の前面とが垂直になるように、ケーシング100内に設けられてもよい。
【0096】
また、上述の実施形態では、ファンアセンブリ200の第1送気口202は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分にのみ送風しているが、これに限定されない。ファンアセンブリ200の第1送気口202は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分、及び、調湿ロータ300の回転方向下流側寄りのうち上流側に近い部分に、同時に送風してもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、第1送気口202から吹き出されて放湿エリア302を通過する空気流の経路に、加熱アセンブリ400を設けているが、これに限定されず、加熱アセンブリ400の設置位置を、状況に応じて適宜調整してもよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、加熱アセンブリ400は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分のみを加熱するが、これに限定されない。加熱アセンブリ400は、放湿エリア302のうち調湿ロータ300の回転方向上流側寄りの部分、及び、調湿ロータ300の回転方向下流側寄りのうち上流側に近い部分を同時に加熱してもよい。
【0099】
また、上述の実施形態において、
図14に示すように、吸込口101の、放湿エリアから離れた第1位置P1(例えば、第1フィルタLV1の、放湿エリアと隔てられた場所)に、センサCG(温度センサ、湿度センサ等)を設けてもよいし、蓋体GTの、放湿エリアから離れた第2位置P2(例えば、蓋体GTの、吸込口101よりも放湿エリアから離れた場所)に、センサ(温度センサ、湿度センサ等)を設けてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、付勢ユニット900は、作用力としての磁石の斥力を加えるペア磁石を備えているが、これに限定されない。
【0101】
例えば、
図15に示すように、付勢ユニット900は、作用力としての弾性力を加える弾性部材を含んでもよい。具体的には、下トレイ700及びシールリング800の少なくとも一方に、他方に向かって延びる柱702が設けられている(図に示す例では、柱702は下トレイ700に設けられている)。付勢ユニット900は、弾性部材としてバネを含み、このバネは、柱702に嵌められて、シールリング側凹溝801に収容される。
【0102】
上述の場合、弾性部材としてのバネは、シールリング800の周方向に沿って均等に配置されることが好ましい。また、下トレイ700及びシールリング800の少なくとも一方には、バネの端部を収容するための位置制限孔(図示せず)が設けられていることが好ましい。このようにすることで、バネの位置や形状が更に容易に保たれるので(バネを捻じ曲がらないように維持する)、バネが正常に機能する。
【0103】
また、上述の実施形態において、付勢ユニット900は、作用力としての磁石の斥力を加えるペア磁石と、作用力としての弾性力を加える弾性部材とをともに含んでもよい。
【0104】
上述の場合、付勢ユニット900は、複数対の磁石と、複数の弾性部材とを含むことが好ましい。この場合、複数対の磁石が、シールリング800の周方向に沿って均等に配置され、複数の弾性部材が、シールリング800の周方向に沿って均等に配置されることが好ましい。また、磁石と弾性部材とは、シールリング800の周方向に沿って交互に設けられることが好ましい。
【0105】
また、上述の実施形態において、第1吹出口611の箇所に、
図16及び
図17に示すような、直接又は排気ダクト500を介して連結される防護装置FHを更に設けてもよい。防護装置FHは、逆流防止ダンパFH1及び防虫ネットFH2を含む。ここで、
図16及び
図17に示すように、防護装置FHは、第1吹出口611又は排気ダクト500に接続された取付管FH3と、取付管FH3内に設けられた、逆流防止ダンパFH1及び防虫ネットFH2とを含む。取付管FH3の端部(第1吹出口611とは反対側の端部)には、雨水を遮断するための曲管部が設けられており、また、排気溝FH31が設けられている。
【0106】
本発明は、その範囲内において、各実施形態を自由に組み合わせたり、適宜変更、省略したりすることができることを理解されたい。
【0107】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0108】
1 空気処理装置
100 ケーシング
101 吸込口
102 第2吹出口
110 前面
120 背面
130 側面
200 ファンアセンブリ
201 吸気口
202 第1送気口
203 第2送気口
210 ファンロータ
211 羽根部
220 スクロールケーシング
300 調湿ロータ
301 吸湿エリア
302 放湿エリア
309 貫通孔
400 加熱アセンブリ
410 加熱アセンブリハウジング
411 加熱アセンブリ吸込口
412 加熱アセンブリ吹出口
420 加熱部
421 電熱線
430 緩衝部
431 安全保護装置
500 排気ダクト
600 上フレーム
610 仕切部
611 第1吹出口
612 遮蔽板
620 支持部
621 軸受部
622 空気流路形成部
700 下トレイ
701 下トレイ側凹溝
702 柱
710 軸受部
720 空気流路形成部
721 下トレイ内周部
722 下トレイ外周部
723 下トレイ中間部
7221 第1部分
7222 第2部分
800 シールリング
801 シールリング側凹溝
810 シールリング内周部
820 シールリング外周部
830 シールリング中間部
900 付勢ユニット
1000 摩擦防止層
GT 蓋体
BT 本体
QD 駆動アセンブリ
TD1 上フレーム側空気流路
TD2 下トレイ側空気流路
LV1 第1フィルタ
LV2 第2フィルタ
P1 第1位置
P2 第2位置
CG センサ
FH 防護装置
FH1 逆流防止ダンパ
FH2 防虫ネット
FH3 取付管
FH31 排気溝
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】