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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】車両装備操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20221207BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20221207BHJP
   B60J 5/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
B60R16/02 630L
G06F3/0354 453
B60J5/00 501A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021033874
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2019147768の分割
【原出願日】2014-07-07
(65)【公開番号】P2021098511
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2013143087
(32)【優先日】2013-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】余郷 広
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-195962(JP,A)
【文献】特開2009-090811(JP,A)
【文献】特開2012-236477(JP,A)
【文献】特開2004-153660(JP,A)
【文献】特開2003-280814(JP,A)
【文献】特開2005-082086(JP,A)
【文献】特表2012-515104(JP,A)
【文献】特開2013-088904(JP,A)
【文献】特表2009-530158(JP,A)
【文献】特開平11-070843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06F 3/0354
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の装備を操作するための車両装備操作装置であって、
操作物の接触による操作入力を認識するとともに、操作される被操作装備に対して前記操作入力の情報を伝達して前記被操作装備を動作させる操作パネルを備え、
前記車両装備操作装置は、前記車両のドアのアームレストの前後方向における中間部よりも前方で前端部を装飾する意匠部材に設けられた収容凹部に収容可能であり、
前記収容凹部は、前記車両装備操作装置の外形状よりも大きく、
前記収容凹部の前後両方向における一対の壁部は、下方から上方に向かって互いの離間距離が広がるテーパ面となっている、
ことを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両装備操作装置であって、
前記車両装備操作装置は、前記操作パネルが画像表示部を備え、ドアのウインドウガラスを操作する、
ことを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルは、前記操作物としてユーザーの指によって操作され、
前記操作パネルよりも後方の、前記意匠部材には、ユーザーの掌を載置可能な載置部が設けられている、
ことを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
複数の前記被操作装備を操作可能であることを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルは、前記被操作装備の情報を表示する画像表示部を有し、
複数の前記被操作装備を操作可能とされ、
前記画像表示部には、前記操作パネルに対して所定の操作入力を行うことにより、複数の前記被操作装備の情報のうち、一の前記被操作装備の情報と他の前記被操作装備の情報とが切り替え表示されることを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルは、多機能携帯情報端末のタッチパネルディスプレイであり、
前記多機能携帯情報端末は、専用アプリケーションソフトをダウンロードすることにより、前記操作パネルとして機能することを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルは、タッチパネルディスプレイであり、前記車両のドアに対し着脱可能に形成されていることを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルを覆う蓋部材を有することを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
所定の信号を認識することにより、前記操作パネルのロックおよびロック解除を行うロック機構を備えたことを特徴とする車両装備操作装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両装備操作装置であって、
前記操作パネルが設けられた前記アームレストの下方には、上方に開口するドアポケットが設けられていることを特徴とする車両装備操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両装備操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のウインドウガラスやシート、エアコンディショナー等の種々の装備を操作するための操作装置として、電子部品を実装したプリント基板や接点等を内部に備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両装備操作装置は、車両のウインドウガラスやサンルーフ等の開閉に用いる装置であって、助手席スイッチ部や後部座席右スイッチ部、後部座席左スイッチ部、パワーウインドウ操作部等の複数のスイッチ群を備えている。特許文献1によれば、スイッチを操作することにより、ウインドウガラスやサンルーフを開閉することができるとされている。
【0004】
ところで、近年、ユーザーの車両の快適性等の要望に対応するため、車両装備が多種多様化している。このため、種々の車両装備を操作する車両装備操作装置についても、車室内の様々な場所に数多く設置されるとともに、数多くのスイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3384003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にあっては、スイッチが接点方式であるため、水浸入や過電流等による不具合を防止するための安全機能を追加する必要がある。これにより、車両装備操作装置が大型化する傾向にあった。
【0007】
また、装備ごとに車両装備操作装置およびスイッチが必要となるが、装備ごとに車両装備操作装置およびスイッチの設置位置が異なることになる。これにより、ユーザーは、装備ごとに車両装備操作装置およびスイッチの設置位置を認識する必要があるため、車両装備操作装置の操作性の向上という点で課題が残されている。
【0008】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、小型化できるとともに操作性に優れた車両装備操作装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の車両装備操作装置は、車両の装備を操作するための車両装備操作装置であって、操作物の接触による操作入力を認識するとともに、操作される被操作装備に対して前記操作入力の情報を伝達して前記被操作装備を動作させる操作パネルを備え、前記車両装備操作装置は、前記車両のドアのアームレストの前後方向における中間部よりも前方で前端部を装飾する意匠部材に設けられた収容凹部に収容可能であり、前記収容凹部は、前記車両装備操作装置の外形状よりも大きく、前記収容凹部の前後両方向における一対の壁部は、下方から上方に向かって互いの離間距離が広がるテーパ面となっている、ことを特徴としている。
また、前記車両装備操作装置は、前記操作パネルが画像表示部を備え、ドアのウインドウガラスを操作する、ことを特徴としている。
また、前記操作パネルは、前記操作物としてユーザーの指によって操作され、前記操作パネルよりも後方の、前記意匠部材には、ユーザーの掌を載置可能な載置部が設けられている、ことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、操作物の接触による操作入力を認識するとともに、被操作装備に対して操作入力の情報を伝達して被操作装備を動作させる操作パネルを備えているので、従来技術の車両装備操作装置に対して、接点方式のスイッチおよび水浸入や過電流等による接点の不具合を防止するための安全機能が不要となる。したがって、従来技術と比較して、車両装備操作装置を小型化および薄型化できる。
また、例えばユーザーが操作パネルに指先等で触れることにより、被操作装備を動作させることができるので、簡単な操作により被操作装備を動作させることができ、車両装備操作装置の操作性を向上できる。
また、操作パネルは、車両のドアに設けられたアームレストの前後方向における中間部よりも前方に設けられているので、例えばユーザーがアームレストに肘を載置した状態で、指先だけを動かすことにより、操作パネルに対して簡単に操作入力を行って被操作装備を動作させることができる。
したがって、小型化できるとともに操作性に優れた車両装備操作装置を提供できる。
【0011】
また、複数の前記被操作装備を操作可能であることを特徴としている。
【0012】
従来技術では、複数の被操作装備に対応して、複数の車両装備操作装置を設ける必要があるため、車室内に複数の車両装備操作装置を設置するためのスペースを確保する必要があった。これに対して、本発明によれば、一個の操作パネルにより、例えば、車両のウインドウガラスやシート、エアコンディショナー、サンバイザ、ドアミラー、ナビゲーションシステム等の複数の被操作装備を操作することができるので、車両装備操作装置の設置スペースを節約できるとともに、操作性に優れた車両装備操作装置とすることができる。
【0013】
また、前記操作パネルは、前記被操作装備の情報を表示する画像表示部を有し、複数の前記被操作装備を操作可能とされ、前記画像表示部には、前記操作パネルに対して所定の操作入力を行うことにより、複数の前記被操作装備の情報のうち、一の前記被操作装備の情報と他の前記被操作装備の情報とが切り替え表示されることを特徴としている。
【0014】
従来技術では、車両装備操作装置の操作時に、被操作装備と車両装備操作装置との対応を視覚的に把握するのが困難であった。これに対して、本発明によれば、車両の複数の装備のうち被操作装備の情報をユーザーに表示するので、ユーザーは、操作するべき装備を視覚的に把握して間違うことなく操作できる。したがって、被操作装備の誤操作を防止することができる。
また、従来技術では、複数の被操作装備に対応して複数の車両装備操作装置が設けられるとともに、各々の車両装備操作装置の設置位置が異なるため、異なる被操作装備に切り換えて操作する際に煩雑となるおそれがあった。これに対して、本発明によれば、操作パネルに対して所定の操作入力を行うことにより、複数の被操作装備の情報のうち、一の被操作装備の情報と他の被操作装備の情報とが切り替え表示されるので、簡単な操作により被操作装備の切り替えを行うことができる。このため、例えばユーザーが指先で操作パネルに接触した後、操作パネル上で所定方向に操作パネルを弾くように高速移動させる、いわゆるフリック等の操作入力方法により、一の被操作装備の情報と他の被操作装備の情報とを切り替え表示させることができる。したがって、操作性に優れ、簡単に被操作装備を切り換えることができる車両装備操作装置とすることができる。
【0025】
また、前記操作パネルは、多機能携帯情報端末のタッチパネルディスプレイであり、前記多機能携帯情報端末は、専用アプリケーションソフトをダウンロードすることにより、前記操作パネルとして機能することを特徴としている。
【0026】
車両装備操作装置として専用のタッチパネルディスプレイを設ける場合、高コストとなるおそれがある。これに対して、本発明によれば、ユーザーが所有する多機能携帯情報端末をタッチパネルディスプレイとして機能させることができるので、車両装備操作装置の低コスト化ができる。また、例えば車両側に多機能携帯情報端末のID登録等を行う等して、予め登録した多機能携帯情報端末を用いることにより、セキュリティを確保した上で被操作装備を簡単に操作できる。
【0027】
また、前記操作パネルは、タッチパネルディスプレイであり、前記車両のドアに対し着脱可能に形成されていることを特徴としている。
【0028】
本発明によれば、タッチパネルディスプレイが車両のドアに対し着脱可能に形成されているので、ユーザーは、車両の運転時にタッチパネルディスプレイを車両装備操作装置として使用できるとともに、車両の運転終了後に通常のタッチパネルディスプレイとして使用できる。
【0029】
また、前記操作パネルを覆う蓋部材を有することを特徴としている。
【0030】
本発明によれば、操作パネルを蓋部材で覆うことにより、誤操作を防止することができる。
【0031】
また、所定の信号を認識することにより、前記操作パネルのロックおよびロック解除を行うロック機構を備えたことを特徴としている。
【0032】
本発明によれば、ロック機構を備えているので、ユーザーが車両装備操作装置に対して所定の信号を入力することにより、操作パネルのロックおよびロック解除をすることができる。したがって、セキュリティに優れた車両装備操作装置とすることができる。
また、前記操作パネルが設けられた前記アームレストの下方には、上方に開口するドアポケットが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、操作物の接触による操作入力を認識するとともに、被操作装備に対して操作入力の情報を伝達して被操作装備を動作させる操作パネルを備えているので、従来技術の車両装備操作装置に対して、接点方式のスイッチおよび水浸入や過電流等による接点の不具合を防止するための安全機能が不要となる。したがって、従来技術と比較して、車両装備操作装置を小型化および薄型化できる。
また、例えばユーザーが操作パネルに指先等で触れることにより、被操作装備を動作させることができるので、簡単な操作により被操作装備を動作させることができ、車両装備操作装置の操作性を向上できる。
また、操作パネルは、車両のドアに設けられたアームレストの前後方向における中間部よりも前方に取り付けられているので、例えばユーザーがアームレストに肘を載置した状態で、指先だけを動かすことにより、操作パネルに対して簡単に操作入力を行って被操作装備を動作させることができる。
したがって、小型化できるとともに操作性に優れた車両装備操作装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】車両装備操作装置を備えた車両の車室内を示す斜視図である。
図2】車室内側から見たときの、ドアの斜視図である。
図3】車両装備操作装置の分解斜視図である。
図4】ユーザーが車両装備操作装置を操作しているときの説明図である。
図5】ウインドウガラスを操作する際の第二実施形態に係る操作パネルの説明図である。
図6】シートを操作する際の第二実施形態に係る操作パネルの説明図である。
図7】第二実施形態の変形例に係る操作パネルの説明図である。
図8】他の実施形態に係る車両装備操作装置の斜視図である。
図9】他の実施形態に係る車両装備操作装置の平面図である。
図10】他の実施形態に係る車両装備操作装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第一実施形態)
図1は、車両装備操作装置5を備えた車両1の車室内2を示す斜視図である。
以下に、本発明の第一実施形態に係る車両装備操作装置5について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における前後左右方向は、特に記載が無ければ、図1に示す車両1における前後左右方向と同一とする。また、各図中の矢印Tは車両1の前方を、矢印LBは車両1の左方を、矢印Hは車両1の上方をそれぞれ示す。また、以下では、右側に運転席のシート10が配置された、いわゆる右ハンドルの車両1を例に説明する。また、分かりやすくするために、図1においては、助手席のシートの図示を省略している。
【0036】
運転席のシート10は、例えば不図示の電動モータを複数備えたいわゆるパワーシートであって、シートレール11を介して前後方向にスライド可能に配置されている。シート10は、主に、乗員の腰部及び背部を支持するシートバック12と、乗員の臀部を支持するシートクッション14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、により構成されている。また、シート10には、シートバック12を傾動可能とする不図示の電動リクライナ機構や、ヘッドレスト16を傾動可能とする不図示の電動傾動機構が設けられている。
【0037】
車両1のインストルメントパネル4には、ナビゲーションシステム40(請求項の「内装品」に相当。)が収容されている。ナビゲーションシステム40は、車両1の現在位置を表示したり、現在位置から目的地までの経路を探索して車両1を誘導したりするためのものであって、ナビゲーション制御部41と、ナビゲーションディスプレイ43と、を主に備えている。
【0038】
ナビゲーション制御部41は、ナビゲーションシステム40の内部に設けられており、例えば人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)信号等の測位信号を受信して、車両1の現在位置を検出する。また、ナビゲーション制御部41は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの短距離無線通信を介して、不図示の携帯情報端末(例えば、いわゆる携帯電話等)との間で情報を送受信可能となっている。
ナビゲーションディスプレイ43は、例えば液晶ディスプレイであって、車両1のインストルメントパネル4内に、運転者が視認可能なように設置される。ナビゲーションディスプレイ43には、ナビゲーション制御部41に格納された地図データに基づく画像等が表示される。
【0039】
図2は、車室内2側から見たときの、運転席側ドア3(以下、単に「ドア3」という。)の斜視図である。
ドア3は、車室外側に配置された不図示のドアスキンと車室内2側に配置されたドアインナパネル31aとを接合して閉断面形状に形成されたドアパネル31と、ドアパネル31に開口する窓32の下方に配置され、ドアインナパネル31aの車室内2側に固定された例えば樹脂材料からなるドアライニング34(請求項の「内装部材」に相当。)と、窓32を開閉するウインドウガラス33と、を備えている。
ウインドウガラス33は、ドアスキンとドアインナパネル31aとの間に収納された不図示の電動ウインドウレギュレータによって昇降されることにより、窓32を開閉している。
【0040】
ドアライニング34の上方かつ前方には、ドアロックユニット35が車室内2側に露出して配置されている。ドアライニング34の下方には、上方に開口するドアポケット36が設けられている。
【0041】
ドアライニング34には、上下方向の略中間部であって、ドアロックユニット35とドアポケット36との間に、アームレスト38が設けられている。アームレスト38は、車室内2側に張り出すように所定の幅を有するとともに、前後方向に沿って延在している。アームレスト38の前後方向における中間部よりも前方部分は、後方から前方に向かうにしたがい漸次上方に傾斜するように形成されている。
アームレスト38の後端部は、運転者の肘が載置される肘置き38aとなっている。また、アームレスト38の前後方向における中間部分は、上方に開口したアームレストポケット38bとなっている。
【0042】
アームレスト38の前後方向における中間部よりも前方であって、アームレスト38の前端部38cには、車両装備操作装置5が設けられている。
車両装備操作装置5は、車両1に設けられた種々の装備を操作するためのものである。なお、第一実施形態では、上述したドア3のウインドウガラス33が車両装備操作装置5によって操作される装備(以下、「被操作装備E1」という。)となっており、車両装備操作装置5を操作することによりドア3のウインドウガラス33を昇降できるように構成されている。
【0043】
図3は、車両装備操作装置5の分解斜視図である。
図3に示すように、車両装備操作装置5は、主にカバー部材51と、操作パネル53と、ベース板55と、により構成されている。
カバー部材51は、例えば樹脂材料等により形成された部材であり、外表面51aがアームレスト38の前端部38c(図2参照)の外装を構成している。カバー部材51は、操作パネル53を覆うとともに、アームレスト38の前端部38cを装飾する意匠部材としても機能している。
カバー部材51の中央部には、開口51bが設けられている。カバー部材51の開口51bからは、操作パネル53が外部に露出している。
カバー部材51の開口51bよりも後方の領域は、載置部51cとなっている。載置部51cは、例えば上方に凸の曲面状に形成されており、後述するようにユーザーの掌を載置可能となっている。
【0044】
操作パネル53は、平面視で前後方向に沿って長手方向を有し、左右方向に沿って短手方向を有する長方形状に形成されている。操作パネル53は、操作入力部53aとフラットケーブル53bとを有している。
操作入力部53aは、操作パネル53の主面に設けられており、例えば静電容量センサ等のタッチセンサを備える、いわゆるタッチパッドである。なお、タッチセンサは、静電容量センサに限定されることはなく、例えばピエゾ素子等を用いた圧力センサであってもよい。また、操作パネル53の電源は、操作パネル53に内蔵された電池から供給されてもよいし、車両1(図1参照)に搭載されるバッテリーから供給されてもよい。
【0045】
図4は、ユーザーが車両装備操作装置5を操作しているときの説明図である。
図4に示すように、操作入力部53aは、ユーザーの操作物、例えば、ユーザーの指先と接触することにより、操作入力を受け付けるようになっている。このとき、ユーザーの掌は、載置部51cに載置されている。
ここで、ドア3のドアライニング34における操作パネル53に対応した部分には、車室外側に凹む凹部34aが形成されている。凹部34aは、上方から見て車室外側に湾曲するように凹み形成されている。凹部34aは、例えば操作パネル53の後端部に対応した位置が最も深くなっている。なお、操作パネル53の後端部に対応した領域は、ユーザーが掌を載置部51cに載置しつつ、指先を左右方向へ動かして操作入力部53aへの操作入力を行った時に、手の左右方向への移動量が最も大きくなる領域となっている。
操作入力部53aへの操作入力方法は、例えばタッチやロングタッチ、リリース、タップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、ピンチアウト等と呼ばれる各操作入力方法を含む。
【0046】
各操作入力方法の定義は以下のとおりである。
タッチは、操作入力部53aに指先を接触させる操作入力方法である。
ロングタッチは、操作入力部53aに指先を一定時間以上接触させる操作入力方法である。
リリースは、操作入力部53aに接触している指先を操作入力部53aから離間させる操作入力方法である。
タップは、操作入力部53aに指先を接触させた後、指先を操作入力部53aから離間させる操作入力方法である。
【0047】
ドラッグは、所定位置を始点として、操作入力部53aに指先を接触させたままの状態で移動させる操作入力方法である。
フリックは、操作入力部53aに指先を接触させた後、指先を所定方向へ所定速度以上で移動させつつ操作入力部53aから離間させる操作入力方法である。
ピンチインは、操作入力部53aに複数の指先を接触させつつ、互いに近接するように移動させる操作入力方法である。
ピンチアウトは、操作入力部53aに複数の指先を接触させつつ、互いに離間するように移動させる操作入力方法である。
【0048】
操作入力部53aは、例えば上記の各操作入力方法による操作入力を認識するとともに、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33(図2参照)に対して操作入力の情報を伝達して動作させる。第一実施形態においては、操作入力部53aへの操作入力の情報は、操作パネル53から延出されるフラットケーブル53bや不図示の車体ハーネス等を介して、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の制御装置に伝達される。ECU等の制御装置は、操作入力部53aに対する操作入力の情報を基に演算を行い、ウインドウガラス33の移動方向や移動距離等の算出を行う。次いで、ECUは、ウインドウガラス33の移動方向や移動距離等の算出結果を基に、ドア3の電動ウインドウレギュレータに対して所定の駆動電圧を印加し駆動させる。これにより、図2に示すように、ドア3のウインドウガラス33は、ユーザーからの操作入力部53aへの操作入力に対応して駆動され、窓32の開閉動作を行うようになっている。
【0049】
本実施形態では、操作入力部53a上でユーザーが指先を後方から前方に向かってドラッグしたとき、ウインドウガラス33が上方に所定距離だけ移動して窓32の開放面積を減少させる。また、操作入力部53a上でユーザーが指先を前方から後方に向かってドラッグしたとき、ウインドウガラス33が下方に所定距離だけ移動して窓32の開放面積を増加させる。ウインドウガラス33の移動距離は、例えば指先をドラッグしたときの操作入力部53a上における指先の移動距離に対応して決定される。
また、操作入力部53a上でユーザーが指先を後方から前方に向かってフリックしたとき、ウインドウガラス33が上方に移動して窓32を全閉する。また、操作入力部53a上でユーザーが指先を前方から後方に向かってフリックしたとき、ウインドウガラス33が下方に移動して窓32を全開する。
【0050】
ベース板55は、例えば樹脂材料や金属材料等により形成された平板状の部材である。ベース板55の外形は、操作パネル53よりもわずかに大きくなっている。ベース板55は、例えば不図示のネジ等により、カバー部材51の下面に固定される。これにより、操作パネル53は、カバー部材51とベース板55との間で挟持されて保持される。
【0051】
図2に示すように、上述の車両装備操作装置5は、アームレスト38の前端部38cにおいて、操作入力部53aの表面が上方に面するように取り付けられている。これにより、ユーザーは、アームレスト38の肘置き38aに肘を載置した状態で、車両装備操作装置5の操作入力部53aに指先を接触させ、操作入力部53a上でタッチやロングタッチ、リリース、タップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、ピンチアウト等の各操作入力方法による操作入力を行うことができる。
【0052】
図4に示すように、例えばユーザーが操作入力部53a上において、指先Fを前方から後方に向かって所定距離だけドラッグすると(図4における矢印S1参照)、操作入力部53aはドラッグによる操作入力を認識する。次いで、図2に示すように、車両装備操作装置5は、被操作装備E1であるドア3に対して、操作入力の情報を伝達する。これにより、ドア3の電動ウインドウレギュレータが駆動されて、ウインドウガラス33が下方に所定距離だけ移動する。すなわち、窓32を開けるようにウインドウガラス33が動作し、窓32の開放面積を増加させる。
【0053】
また、図4に示すように、例えばユーザーが操作入力部53a上において、指先Fを後方から前方に向かってフリックすると(図4における矢印S2参照)、操作入力部53aはフリックによる操作入力を認識する。次いで、図2に示すように、車両装備操作装置5は、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33に対して、操作入力の情報を伝達して動作させる。これにより、ドア3の電動ウインドウレギュレータが駆動されてウインドウガラス33が上方に移動し、窓32を全閉する。
このように、ユーザーが操作入力部53a上において、指先Fにより所定の操作入力を行うことにより、簡単にウインドウガラス33の開閉を行うことができる。
【0054】
第一実施形態によれば、ユーザーの指先Fの接触による操作入力を認識するとともに、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33に対して操作入力の情報を伝達して動作させる操作パネル53を備えているので、従来技術の車両装備操作装置に対して、接点方式のスイッチおよび水浸入や過電流等による接点の不具合を防止するための安全機能が不要となる。したがって、従来技術と比較して、車両装備操作装置5を小型化および薄型化できる。
また、ユーザーが操作パネル53に指先Fで触れることにより、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33を動作させることができるので、簡単な操作によりドア3のウインドウガラス33を動作させることができ、車両装備操作装置5の操作性を向上できる。
また、操作パネル53は、車両1のドア3に設けられたアームレスト38の前端部38cに設けられているので、例えばユーザーがアームレスト38の肘置き38aに肘を載置した状態で、指先Fだけを動かすことにより、操作パネル53に対して簡単に操作入力を行って被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33を動作させることができる。
したがって、小型化できるとともに操作性に優れた車両装備操作装置5を提供できる。
【0055】
また、操作パネル53に指先Fで触れ、ドラッグやフリック等の簡単な操作入力方法により、車両1のウインドウガラス33を動作させることができる。したがって、操作性に優れたウインドウガラス用の車両装備操作装置5とすることができる。
【0056】
また、車両1のドア3の車室内2側面には、ドアライニング34が設けられ、ドアライニング34における操作パネル53に対応した部分には、車室外側に凹む凹部34aが形成されているので、操作パネル53を操作した時に、ユーザーの手がドアライニング34と干渉するのを防止できる。したがって、操作性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0057】
また、操作パネル53よりも後方には、ユーザーの掌を載置可能な載置部51cが設けられているので、掌を載置部51cに載置しつつ指先Fのみ動かして操作パネル53を操作できる。したがって、操作性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0058】
(第二実施形態)
図5は、ウインドウガラス33を操作する際の第二実施形態に係る操作パネル53の説明図である。
図6は、シート10を操作する際の第二実施形態に係る操作パネル53の説明図である。
第一実施形態に係る車両装備操作装置5は、操作パネル53がいわゆるタッチパッドであり(図4参照)、ドア3のウインドウガラス33が車両装備操作装置5によって操作される被操作装備E1(図1参照)となっていた。
これに対して、第二実施形態に係る車両装備操作装置5は、図5および図6に示すように、操作パネル53が画像表示部54を備えたいわゆるタッチパネルディスプレイであり、ドア3のウインドウガラス33(図5参照)およびシート10(図6参照)がそれぞれ車両装備操作装置5によって操作される被操作装備E1,E2となっている点で第一実施形態とは異なっている。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略する。
【0059】
図5および図6に示すように、第二実施形態に係る車両装備操作装置5は、複数の被操作装備を操作可能とされる。本実施形態においては、ドア3のウインドウガラス33およびシート10が被操作装備E1,E2となっている(図1参照)。
【0060】
操作パネル53は、被操作装備E1,E2の情報を表示する画像表示部54を有する。画像表示部54は、いわゆるタッチパネルディスプレイとなっており、操作入力部53aの全面に設けられている。
操作パネル53の画像表示部54には、被操作装備E1,E2の情報として画像のモデルが表示される。図5においては、第一の被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33のモデルM1が表示されている。図6においては、第二の被操作装備E2であるシート10のモデルM2が表示されている。
【0061】
画像表示部54には、操作パネル53の操作入力部53aに対して、各操作入力方法のうち例えばフリックによる操作入力(請求項の「所定の操作入力」に相当。)を行うことにより、第一の被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33のモデルM1と、第二の被操作装備E2であるシート10のモデルM2とが切り替え表示される。具体的には、ドア3のモデルM1およびシート10のモデルM2のうちいずれか一方のモデルが画像表示部54に表示されている状態において、操作入力部53a上において表示された前記一方のモデルに指先を接触させた後、左右方向のうちいずれか一方向へフリックする。これにより、画像表示部54は、ドア3のモデルM1およびシート10のモデルM2のうちいずれか一方のモデルから他方のモデルに切り替え表示できるようになっている。
【0062】
図5に示すように、操作入力部53aは、操作入力を認識するとともに、被操作装備E1であるドア3に対して操作入力の情報を伝達する。
被操作装備E1としてドア3のウインドウガラス33が選択された場合、ユーザーは、操作パネル53の操作入力部53a上で指先をドラッグすることにより、ドア3のウインドウガラス33を昇降できるように構成されている。
例えば、ドア3のモデルM1において、被操作部位であるウインドウガラス33の上部に対応するポイントP1に触れた後、操作入力部53a上で後方(図5における下方)に向かって、ポイントP2の位置までドラッグしたとき、ウインドウガラス33が下方に所定距離だけ移動して窓32の開放面積を増加させる。
【0063】
ここで、ウインドウガラス33が移動する所定距離は、ユーザーが操作入力部53a上でドラッグを行ったときの指先の移動距離に対応して決定される。
このように、ドア3のモデルM1におけるウインドウガラス33に対応した部位に指先が接触することにより、被操作装備E1の被操作部位としてウインドウガラス33が選択される。また、指先を画像表示部54に接触させたまま移動させる(すなわちドラッグする)ことにより、指先の移動方向に対応して、ウインドウガラス33が移動する。
【0064】
また、図6に示すように、被操作装備E2としてシート10が選択された場合、ユーザーは、操作パネル53の操作入力部53a上で指先をドラッグすることにより、シート10のシートバック12、シートクッション14およびヘッドレスト16の位置を移動できるように構成されている。
例えば、シート10のモデルM2において、被操作部位であるシートバック12の上部に対応するポイントP3に触れた後、操作入力部53a上で右方に向かって、ポイントP4の位置までドラッグしたとき、シートバック12が後方に傾動する。
【0065】
ここで、シートバック12が移動する所定距離は、ウインドウガラス33の操作時と同様に、ユーザーが操作入力部53a上でドラッグを行ったときの指先の移動距離に対応して決定される。
このように、シート10のモデルM2におけるシートバック12に対応した部位に指先が接触することにより、被操作装備E2の被操作部位としてシートバック12が選択される。また、指先を画像表示部54に接触させたまま移動させる(すなわちドラッグする)ことにより、指先の移動方向に対応して、シートバック12が傾動する。なお、ここでは、シートバック12の操作を例に説明をしているが、シートクッション14およびヘッドレスト16についても同様に操作することができる。
【0066】
第二実施形態によれば、一個の操作パネル53により、例えば、車両1のウインドウガラス33およびシート10の被操作装備E1,E2を操作することができるので、車両装備操作装置5の設置スペースを節約できるとともに、操作性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0067】
また、操作パネル53は、被操作装備E1,E2の情報であるモデルM1,M2を表示する画像表示部54を有しており、車両1の複数の装備のうち被操作装備E1,E2の情報をユーザーに表示するので、ユーザーは、操作するべき装備を間違うことなく操作できる。したがって、被操作装備E1,E2の誤操作を防止することができる。
【0068】
また、操作パネル53に対して左右方向にフリックすることにより、一の被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33のモデルM1と他の被操作装備E2であるシート10のモデルM2とが切り替え表示されるので、簡単な操作により一の被操作装備E1であるドア3と他の被操作装備E2であるシート10との操作対象の切り替えを行うことができる。したがって、操作性に優れ、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33と、被操作装備E2であるシート10とを簡単に切り換えることができる車両装備操作装置5とすることができる。
【0069】
また、モデルM1,M2における被操作装備E1,E2の被操作部位に対応した部位に、例えばユーザーが指先で触れることにより、被操作装備E1,E2の被操作部位を選択できる。また、例えば画像表示部54にユーザーが指先Fで触れたまま指先Fを移動させるドラッグ等の操作入力方法により、指先Fの移動方向に対応して、ドア3のウインドウガラス33やシート10のシートバック12等を動作させることができる。したがって、視覚的に把握しつつ被操作装備E1,E2であるドア3のウインドウガラス33やシート10のシートバック12等を簡単に操作できるので、操作性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0070】
(第二実施形態の変形例)
図7は、第二実施形態の変形例に係る操作パネル53の説明図である。
第二実施形態に係る車両装備操作装置5は、操作パネル53が画像表示部54を備えたいわゆるタッチパネルディスプレイであり、ドア3のウインドウガラス33およびシート10がそれぞれ車両装備操作装置5によって操作される被操作装備E1,E2となっていた(図5および図6参照)。
これに対して、例えば、図7に示す第二実施形態の変形例に係る車両装備操作装置5のように、多機能携帯情報端末58により操作パネル53および画像表示部54が構成されていてもよい。なお、以下では、第二実施形態と同様の構成部分については説明を省略する。
【0071】
第二実施形態の変形例に係る車両装備操作装置5は、多機能携帯情報端末58を備えている。多機能携帯情報端末58は、例えばタッチパネルディスプレイ54aを備えた多機能携帯電話端末(いわゆるスマートフォン)である。
カバー部材51は、下方に凹み形成された有底の収容凹部52を有している。収容凹部52は、多機能携帯情報端末58の外形状よりも若干大きくなっている。収容凹部52の前後両方向における一対の壁部52a,52aは、下方から上方に向かって互いの離間距離が広がるテーパ面となっている。多機能携帯情報端末58は、アームレスト38の前端部38cに設けられたカバー部材51の収容凹部52に収容可能となっている。
【0072】
多機能携帯情報端末58は、例えばナビゲーションシステム40(図1参照)と、例えばブルートゥース(登録商標)などの短距離無線通信を介して通信可能とされていてもよい。これにより、例えば、車両1の内装品であるナビゲーションシステム40を被操作装備として操作することもできる。さらに、ナビゲーションシステム40を介して、車両1の他の内装品であるエアコンディショナーやカーオーディオ等を被操作装備として操作することもできる。
また、多機能携帯情報端末58は、接続先の基地局に設けられたアプリケーションサーバに接続し、車両1(図1参照)の各装備を操作するための専用アプリケーションをダウンロードすることにより、車両装備操作装置5として機能するようになっている。
【0073】
第二実施形態の変形例によれば、多機能携帯情報端末58をタッチパネルディスプレイとして機能させることができるので、車両装備操作装置5の低コスト化ができる。また、例えば所定の多機能携帯情報端末58を車両1のナビゲーションシステム40等にID登録等することによって、予め登録した多機能携帯情報端末58を用いることにより、セキュリティを確保した上で車両1の各被操作装備を簡単に操作できる。
【0074】
また、多機能携帯情報端末58がアームレスト38の前端部38cに対して着脱可能に形成されているので、ユーザーは、車両1の運転時に多機能携帯情報端末58を車両装備操作装置5として使用できるとともに、車両1の運転終了後に通常の多機能携帯情報端末58として使用できる。
【0075】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0076】
第一実施形態では、操作パネル53は、ベース板55がネジ等によりカバー部材51の下面に固定されることにより、カバー部材51とベース板55との間で挟持されて保持されていた。これに対して、例えばカバー部材51に対して操作パネル53をインサート成型してもよい。
【0077】
図8は、他の実施形態に係る車両装備操作装置5の斜視図である。
第一実施形態では、操作パネル53は、平板状のタッチパッドであった(図3参照)。これに対して、図8に示すように、例えばフィルム状の可撓性を有するタッチパッドを操作パネル53として採用してもよい。これにより、湾曲したデザインのカバー部材51に対しても操作パネル53を設けることができる。したがって、意匠性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。このとき、操作パネル53は、例えば前端部53cが上方に反りあがるように湾曲形成されていてもよい。この構成によれば、湾曲形成された操作パネル53の前端部53cに指先F(図4参照)を接触させ、指先Fのみ動かして操作パネル53を操作できる。したがって、操作性に優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0078】
図9は、他の実施形態に係る車両装備操作装置5の平面図である。
第一実施形態では、操作パネル53は、平面視で長方形状に形成されており、左右方向における幅が前後方向にわたって一定となっていた。これに対して、例えば図9に示すように、操作パネル53は、平面視で前方に長辺を有し、後方に短辺を有する台形状に形成されており、左右方向の幅が後方から前方に向かって広くなるように形成されていてもよい。また、操作パネル53は、平面視で前方に円弧を有する扇形状に形成されており、左右方向の幅が後方から前方に向かって広くなるように形成されていてもよい。この構成によれば、操作パネル53の前方部分において指先Fをより広範囲に動かすことができる。したがって、操作パネル53の後方の載置部51cに掌を載置した状態で、指先Fのみ動かして操作パネル53を操作する際に好適である。
【0079】
第一実施形態では、被操作装備E1が運転席側におけるドア3のウインドウガラス33であり、第二実施形態では被操作装備E1,E2がそれぞれ運転席側におけるドア3のウインドウガラス33および運転席側のシート10であったが、被操作装備は各実施形態に限定されない。したがって、被操作装備は、例えば、助手席側ドアのウインドウガラスであってもよいし、後部座席側ドアのウインドウガラス33であってもよいし、ドアミラーであってもよいし、助手席側のシートであってもよいし、後部座席側のシートであってもよいし、車両1の内装品であるエアコンディショナーやサンバイザ、ナビゲーションシステム等であってもよいし、これら装備の種々の組み合わせであってもよい。
【0080】
第一実施形態では、ウインドウガラス33が移動する所定距離は、ユーザーが操作入力部53a上でドラッグを行ったときの指先の移動距離に対応して決定されていたが、ウインドウガラス33が移動する所定距離の決定方法は、第一実施形態に限定されない。したがって、例えば、ウインドウガラス33が移動する所定距離は、ユーザーの指先が操作入力部53aに接している時間に対応して決定されていてもよい。
【0081】
第二実施形態では、操作パネル53の操作入力部53aに対して、フリックによる操作入力を行うことにより、第一の被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33のモデルM1と、第二の被操作装備E2であるシート10のモデルM2とが切り替え表示されていたが、この態様に限定されない。したがって、例えば、操作パネル53の操作入力部53aをタップすることにより、第一の被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33のモデルM1と、第二の被操作装備E2であるシート10のモデルM2とが切り替え表示されていてもよい。
【0082】
第二実施形態では、被操作装備E2であるシート10の被操作部位として、シートバック12を例に説明したが、被操作部位はシートバック12に限定されない。したがって、車両装備操作装置5により、例えばシートクッション14やヘッドレスト16、ランバーサポート、サイドサポート、シート10のオットマン機構、シート10のシートレールのスライド機構、シート10に設けられたシートヒータおよびシートクーラーの温度調節機構等を操作してもよい。
【0083】
各実施形態では、アームレスト38の前端部38cに車両装備操作装置5を設けていたが、車両装備操作装置5の設置場所は、アームレスト38の前端部38cに限定されることはなく、アームレスト38の前後方向における中間部よりも前方であればよい。したがって、例えばアームレスト38の延長上の前方に車両装備操作装置5を設けてもよいし、アームレスト38の延長上の前方かつ上方に車両装備操作装置5を設けてもよいし、アームレスト38の延長上の前方かつ下方に車両装備操作装置5を設けてもよい。
【0084】
さらに、第二実施形態において、例えば操作パネル53をタップすることにより、操作パネル53が初期状態(例えば、被操作装備E1であるドア3のウインドウガラス33を操作できる状態)に戻る構成としてもよい。これにより、操作パネル53の操作途中で操作対象となる被操作装備が分からなくなった場合でも、初期状態に戻した後に、所望の被操作装備を操作できる。
【0085】
また、各実施形態では、運転席側のドア3におけるアームレスト38の前端部38cに車両装備操作装置5を設けていたが、車両装備操作装置5が設けられるドアは、運転席側のドア3に限定されない。したがって、車両装備操作装置5は、助手席側のドアにおけるアームレストの前端部や、後部座席のドアにおけるアームレストの前端部に設けられていてもよい。
【0086】
各実施形態では、操作パネル53の操作入力部53aを操作する操作物として、ユーザーの指先Fを例に説明をしたが、操作物は、ユーザーの指先Fに限定されない。例えば、ユーザーにより把持されたタッチペンであってもよい。
【0087】
各実施形態では、操作パネル53の操作入力部53aがカバー部材51の開口51bから常時露出していた。これに対して、例えば、カバー部材51の開口51bを閉塞するとともに、操作パネル53の操作入力部53aを覆う蓋部材を設けてもよい。また、蓋部材は、操作パネル53の操作入力部53aに沿って所定方向にスライド移動することにより、カバー部材51の開口51bを開閉する構成としてもよい。この構成によれば、操作パネル53の未使用時に操作パネル53を蓋部材で覆うことにより、操作パネル53の誤操作を防止することができる。
【0088】
図10は、他の実施形態に係る車両装備操作装置5の斜視図である。
各実施形態では、操作パネル53の操作入力部53aが上方に面していた。これに対して、図10に示すように、アームレスト38の前端部38cに、操作入力部53aが後方に面するように操作パネル53を設けてもよい。この構成によれば、後方から例えばユーザーの指先F等の操作物を操作入力部53aに接触させて操作パネル53を操作する場合に好適である。
【0089】
各実施形態の車両装備操作装置5は、所定の信号を認識することにより、操作パネル53のロックおよびロック解除を行うロック機構を備えてもよい。なお、所定の信号とは、例えば、ユーザーの指紋に関する情報の信号であってもよいし、ユーザーが設定した指先Fの動作に関する情報の信号であってもよい。この構成によれば、ユーザーが車両装備操作装置5に対して所定の信号を入力することにより、操作パネル53のロックおよびロック解除をすることができる。したがって、セキュリティに優れた車両装備操作装置5とすることができる。
【0090】
第二実施形態では、操作パネル53のモデルM1におけるウインドウガラス33に対して、指先Fを前後方向に沿ってドラッグすることにより、モデルM1に対する指先Fの移動方向に対応してウインドウガラス33が移動していた。これに対して、例えば、操作パネル53のモデルM1に対して、ウインドウガラス33を移動させたい位置に対応して指先Fを左右方向に沿ってドラッグすることにより、モデルM1に対する指先Fのドラッグ位置に対応してウインドウガラス33が移動する構成としてもよい。
【0091】
各実施形態では、被操作装備E1または被操作装備E2が移動する所定距離は、ユーザーが操作入力部53a上でドラッグを行ったときの、指先Fの移動距離に対応して決定されていた。これに対して、例えば、ドラッグを行ったときの指先Fの移動距離に対して閾値を設けるとともに、指先Fの移動距離が閾値未満の場合には被操作装備E1または被操作装備E2が移動しないように、操作パネル53の不感帯を設けてもよい。これにより、ユーザーによる操作パネル53の誤操作を防止できる。
【0092】
また、第二実施形態の変形例では、カバー部材51に多機能携帯情報端末58を収容可能な収容凹部52を形成していたが、収容凹部52の開口縁部に、例えば多機能携帯情報端末58に対して係止可能な爪部を設けてもよい。これにより、多機能携帯情報端末58は、アームレスト38の前端部38cに設けられたカバー部材51の収容凹部52に対して着脱可能とすることができる。
【0093】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 車両
3 ドア
5 車両装備操作装置
34 ドアライニング(内装部材)
38 アームレスト
40 ナビゲーションシステム(内装品)
53 操作パネル
54 画像表示部
54a タッチパネルディスプレイ
58 多機能携帯情報端末
E1,E2 被操作装備
F 指先(操作物)
M1,M2 モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10