(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】穀物乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20221207BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20221207BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F26B25/00 K
F26B9/06 D
B65G1/00 521B
(21)【出願番号】P 2018247033
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】生田 長三郎
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-041653(JP,A)
【文献】特開2009-017823(JP,A)
【文献】特開平05-199805(JP,A)
【文献】特開平01-318940(JP,A)
【文献】特開平07-063477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
F26B 9/06
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥装置であって、
乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、
前記複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持する保持機構を有し、該保持機構によって保持される前記一つの箱を搬送する搬送部と、
前記複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室を備える乾燥機本体と、
前記複数の格納室にそれぞれ格納された前記複数の箱の各々について、該箱に収容された前記穀物の乾燥が完了したか否かを監視する監視部と、
乾燥が完了した前記穀物を自主検定装置へ排出するための排出開口と、
前記排出開口から排出された前記穀物を一時的に貯留するためのホッパと、
前記監視部による監視状況に基づいて前記搬送部を制御することによって、前記排出開口への前記穀物の排出を管理する管理部と
を備え、
前記管理部は、乾燥が完了した前記穀物を収容している前記箱である乾燥完了箱が前記複数の格納室のいずれかにある場合に、前記ホッパに前記穀物が貯留されていないときは、前記乾燥完了箱に収容された前記穀物を前記排出開口から排出するように前記搬送部を制御する
穀物乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の穀物乾燥装置であって、
前記管理部は、
前記乾燥完了箱が前記複数の格納室のいずれかにある場合に、前記ホッパに前記穀物が貯留されているか否かにかかわらず、該乾燥完了箱を前記格納室から取り出して、前記排出開口のところまで移動させ、
前記ホッパに前記穀物が貯留されているときは、前記ホッパから前記穀物が排出されるまで、前記排出開口のところに前記乾燥完了箱を待機させる
穀物乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の穀物乾燥装置であって、
前記ホッパから前記自主検定装置へ前記穀物を搬送するコンベアを備える
穀物乾燥装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の穀物乾燥装置であって、
前記ホッパの排出口を開閉するバルブを備える
穀物乾燥装置。
【請求項5】
穀物乾燥装置であって、
乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、
前記複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持する保持機構を有し、該保持機構によって保持される前記一つの箱を搬送する搬送部と、
前記複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室を備える乾燥機本体と、
前記複数の格納室にそれぞれ格納された前記複数の箱の各々について、該箱に収容された前記穀物の乾燥が完了したか否かを監視する監視部と、
乾燥が完了した前記穀物を自主検定装置へ排出するための排出開口と、
前記監視部による監視状況に基づいて前記搬送部を制御することによって、前記排出開口への前記穀物の排出を管理する管理部と
を備え、
前記管理部は、乾燥が完了した前記穀物を収容している前記箱である乾燥完了箱が前記複数の格納室のいずれかにある場合に、前記自主検定装置のホッパに前記穀物が貯留されていないことを表す信号を前記穀物乾燥装置が受け取ったときは、前記乾燥完了箱に収容された前記穀物を前記排出開口から排出するように前記搬送部を制御する
穀物乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥調製施設などの穀物処理施設では、搬入された穀物の一部がサンプル穀物として抽出され、自主検定装置に供給される。自主検定装置では、穀物の計量、脱ぷ、選別などが行われ、整粒および屑粒の計量データから歩留まりが計算される。サンプル穀物は、このような自主検定装置に供給される前に、サンプル穀物乾燥装置において乾燥される。
【0003】
かかるサンプル穀物乾燥装置として、例えば、下記の特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、サンプル穀物を収容するための複数の箱と、これらの箱を格納する複数の格納空間と、これらの箱のうちの一つを選択的に保持するロボットと、を備えている。乾燥が完了した穀物を収容する箱は、ロボットによって搬送され、当該箱に収容された穀物は、排出開口から自主検定装置へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサンプル穀物乾燥装置では、一つ目の箱のサンプル穀物を自主検定装置に排出した後は、自主検定装置において所定の処理が終了して二つ目の箱のサンプル穀物を受入可能になるまでは、二つ目の箱のサンプル穀物を排出できなかった。このため、複数の箱のサンプル穀物の乾燥が完了している場合に、一つ目の箱のサンプル穀物を排出した後、二つ目の箱のサンプル穀物を受入可能になるまで待機時間を生じることがあった。このような待機時間は、サンプル穀物乾燥装置における処理効率の低下を招く。したがって、乾燥が完了したサンプル穀物を自主検定装置へ排出する際の待機時間を低減することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、穀物乾燥装置が提供される。この穀物乾燥装置は、乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持する保持機構を有し、保持機構によって保持される一つの箱を搬送する搬送部と、複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室を備える乾燥機本体と、複数の格納室にそれぞれ格納された複数の箱の各々について、箱に収容された穀物の乾燥が完了したか否かを監視する監視部と、乾燥が完了した穀物を自主検定装置へ排出するための排出開口と、排出開口から排出された穀物を一時的に貯留するためのホッパと、監視部による監視状況に基づいて搬送部を制御することによって、排出開口への穀物の排出を管理する管理部と、を備えている。管理部は、乾燥が完了した穀物を収容している箱である乾燥完了箱が複数の格納室のいずれかにある場合に、ホッパに穀物が貯留されていないときは、乾燥完了箱に収容された穀物を排出開口から排出するように搬送部を制御する。
【0008】
かかる穀物乾燥装置によれば、自主検定装置が新たな検査対象穀物を受け入れ可能な状態にない場合であっても、穀物を排出開口から排出して、ホッパに一時的に貯留しておくことができる。したがって、従来と比べて、穀物を自主検定装置へ排出する際の待機時間を低減することができる。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、管理部は、乾燥完了箱が複数の格納室のいずれかにある場合に、ホッパに穀物が貯留されているか否かにかかわらず、乾燥完了箱を格納室から取り出して、排出開口のところまで移動させ、ホッパに穀物が貯留されているときは、ホッパから穀物が排出されるまで、排出開口のところに乾燥完了箱を待機させる。かかる形態によれば、ホッパから穀物が排出された後、穀物を排出開口へ速やかに排出することができる。換言すれば、ホッパから穀物が排出された後に、箱を格納室から取り出して排出開口まで搬送する構成と比べて、箱を格納室から取り出して排出開口まで搬送するために必要な時間分だけ、待機時間をさらに低減することができる。
【0010】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、穀物乾燥装置は、ホッパから自主検定装置へ穀物を搬送するコンベアを備えている。かかる形態によれば、自主検定装置において新たな穀物を受け入れ可能になったタイミングでコンベヤを稼働させて、ホッパから穀物を排出できる。
【0011】
本発明の第4の形態によれば、第1または第2の形態において、穀物乾燥装置は、ホッパの排出口を開閉するバルブを備えている。かかる形態によれば、自主検定装置において新たな穀物を受け入れ可能になったタイミングでバルブを開いて、ホッパから穀物を排出できる。
【0012】
本発明の第5の形態によれば、穀物乾燥装置が提供される。この穀物乾燥装置は、乾燥対象の穀物を収容するための複数の箱と、複数の箱のうちの一つの箱を選択的に保持する保持機構を有し、保持機構によって保持される一つの箱を搬送する搬送部と、複数の箱をそれぞれ格納可能に区画された複数の格納室を備える乾燥機本体と、複数の格納室にそれぞれ格納された複数の箱の各々について、箱に収容された穀物の乾燥が完了したか否かを監視する監視部と、乾燥が完了した穀物を自主検定装置へ排出するための排出開口と、監視部による監視状況に基づいて搬送部を制御することによって、排出開口への穀物の排出を管理する管理部と、を備えている。管理部は、乾燥が完了した穀物を収容している箱である乾燥完了箱が複数の格納室のいずれかにある場合に、自主検定装置のホッパに穀物が貯留されていないことを表す信号を穀物乾燥装置が受け取ったときは、乾燥完了箱に収容された穀物を排出開口から排出するように搬送部を制御する。かかる形態によれば、第1の形態と同様の効果を奏する。第5の形態に第2の形態を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による穀物乾燥装置の概略正面図である。
【
図3】荷受指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】水分測定指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】排出指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による穀物乾燥装置10の概略正面図である。穀物乾燥装置10は、乾燥調製施設などの穀物処理施設に設置される。穀物処理施設では、搬入された穀物のうちの一部がサンプル穀物(以下、単にサンプルと呼ぶ)として抽出される。サンプルは、穀物乾燥装置10で水分測定されるとともに乾燥された後に、自主検定装置100に供給される。
【0015】
図1に示すように、穀物乾燥装置10は、投入・排出部20と乾燥機本体30と搬送部50と、を備えている。投入・排出部20の内部には、サンプルの水分測定を行うための水分測定装置(図示省略)が配置されている。投入・排出部20は、投入開口21と、水分測定開口22と、水分測定終了開口23と、排出開口24と、を備えている。これらの開口21~24は、サンプルを収容するためのサンプル箱40を挿入可能に構成されている。投入開口21は、サンプル箱40に穀物を投入するために設けられる。水分測定開口22は、水分測定装置にサンプルを投入するために設けられる。水分測定終了開口23は、水分測定が終了したサンプルをサンプル箱40内に受け取るために設けられる。排出開口24は、乾燥機本体30によって乾燥が完了したサンプルをサンプル箱40から自主検定装置100へ排出するために設けられる。
【0016】
また、投入・排出部20の内部には、ホッパ70とコンベア80とが配置されている。ホッパ70は、排出開口24から排出されたサンプルを一時的に貯留する。コンベア80は、ホッパ70から自主検定装置100へサンプルを搬送する。コンベア80は、自主検定装置100において新たなサンプルを受入可能になったことを表す信号が自主検定装置100から出力されたときに稼働される。これにより、ホッパ70内のサンプルは、シュート110およびホッパ120を介して、自主検定装置100に供給される。
【0017】
乾燥機本体30は、サンプル箱40を格納するための複数の格納室31を備えている。複数の格納室31は、複数のサンプル箱40をそれぞれ格納可能に区画されている。
図1では、格納室31の各々にサンプル箱40が格納された状態を概略的に示している。
【0018】
格納室31に収容されたサンプル箱40内のサンプルは、適切な水分になるまで乾燥される。本実施形態では、穀物乾燥装置10では、ヒータ(図示省略)によって加熱された空気が背面から格納室31に供給されることによって、乾燥が行われる。複数の格納室31の各々には、加熱空気を格納室31内に導入するためのファン(図示省略)が設置されている。このため、格納室31ごとに乾燥を行うことができる。なお、穀物乾燥装置10は、上述の形態に限らず、任意の方式の乾燥装置であってもよい。
【0019】
搬送部50は、複数のサンプル箱40のうちの一つのサンプル箱40を選択的に保持するための保持機構60を備えている。保持機構60は、アクチュエータ(図示省略)によってガイドレール(図示省略)に沿って鉛直方向および水平方向に並進可能に構成される。これにより、搬送部50は、投入開口21、水分測定開口22、水分測定終了開口23、排出開口24および格納室31のうちの所望の場所へサンプル箱40を搬送することができる。また、保持機構60は、水平方向に延びる回転軸線を中心として回転可能に構成される。これにより、保持機構60は、保持しているサンプル箱40内に収容されたサンプルをサンプル箱40から排出することができる。
【0020】
穀物乾燥装置10および自主検定装置100の動作全般は、制御装置130によって制御される。制御装置130は、本実施例では、所定のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータである。制御装置130は、インストールされたプログラムを実行することによって、監視部131および管理部132としても機能する。監視部131は、複数の格納室31にそれぞれ格納された複数のサンプル箱40の各々について、当該サンプル箱40に収容されたサンプルの乾燥が完了したか否かを監視する。管理部132は、監視部131による監視状況に基づいて搬送部50を制御することによって、排出開口24へのサンプルの排出を管理する。
【0021】
図2は、監視部131による監視状況を例示する図である。本実施形態では、監視部131は、サンプル箱40の各々のステータスを「乾燥中」、「排出待ち」および「排出中」に区分して監視する。「乾燥中」とは、サンプル箱40内のサンプルの乾燥を実施中であることを示している。「排出待ち」とは、サンプル箱40内のサンプルの乾燥が完了しているが、当該サンプル箱40が未だ格納室31に格納されたままである状態を示している。「排出中」とは、格納室31からサンプル箱40を取り出して、当該サンプル箱40に収容されたサンプルを排出開口24へ排出し、空になったサンプル箱40を格納室31に戻すまでの動作を行っている最中であることを示している。このような監視状況は、例えば、
図2に示すような態様で、制御装置130のモニタに表示されてもよい。
図2の例では、各格納室31の実際の配置と一致する区画を表示し、それぞれの区画に、当該区画に対応する格納室31に収容されたサンプル箱40のステータスを表示している。
【0022】
上述した穀物乾燥装置10の基本動作について説明する。穀物乾燥装置10は、荷受指令、水分測定指令および排出指令に基づいて動作する。本実施形態では、これらの3つの指令のうち、排出指令が最も優先的に実行され、次いで、荷受指令が優先的に実行される。水分測定指令の優先順位は最も低い。
【0023】
図3は、荷受指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、荷受指令は、荷受計量器(図示省略)によってサンプルの計量が完了したことを表す信号を制御装置130が荷受計量器から受け取ったときに発行される。荷受指令が発行されると、まず、搬送部50(
図1参照)は、格納室31に収容されている空のサンプル箱40を保持機構60によって保持し、格納室31から取り出す(
図3のステップS210)。次いで、搬送部50は、投入開口21のところまでサンプル箱40を移動させ、当該サンプル箱40を投入開口21に挿入する(ステップS220)。
【0024】
次いで、荷受計量器による計量が完了したサンプルが、ダクト25を介して、投入開口21に挿入されたサンプル箱40に投入される(ステップS230)。次いで、搬送部50は、サンプルが収容されたサンプル箱40を投入開口21から取り出して、もとの格納室31に戻す(ステップS240)。
【0025】
サンプルが収容されたサンプル箱40が格納室31に戻されると、乾燥機本体30は、当該格納室31での乾燥を開始する(ステップS250)。この乾燥は、タイマー制御され、所定時間だけ継続される。次いで、制御装置130は、監視部131の処理として、乾燥が開始された格納室31に格納されたサンプル箱40のステータスを「乾燥中」に設定する(ステップS260)。ステップS260の後、荷受指令に基づく処理は終了する。
【0026】
図4は、水分測定指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、水分測定指令は、ステップS250によって開始された乾燥が完了したこと(タイマセットされた時間だけ乾燥処理が行われたこと)を契機として発行される。水分測定指令が発行されると、まず、搬送部50は、ステップS250によって開始された乾燥が完了したサンプル箱40を格納室31から取り出す(ステップS310)。
【0027】
次いで、搬送部50は、水分測定開口22のところまでサンプル箱40を移動させる(ステップS320)。次いで、搬送部50は、サンプル箱40を水分測定開口22に挿入して、サンプルを水分測定装置に投入する(ステップS330)。具体的には、搬送部50は、サンプル箱40を投入・排出部20の内部において回転させて、サンプル箱40内に収容されたサンプルを排出する。これによって、排出されたサンプルは、投入・排出部20内に設置された水分測定装置に供給される。次いで、水分測定装置は、投入されたサンプルの一部について水分を測定する(ステップS340)。
【0028】
次いで、搬送部50は、空になったサンプル箱40を水分測定開口22から取り出して、水分測定終了開口23のところまで移動させ、当該サンプル箱40を水分測定終了開口23に挿入する(ステップS350)。次いで、水分測定後のサンプルがサンプル箱40に投入される(ステップS360)。次いで、搬送部50は、サンプルが収容されたサンプル箱40を水分測定終了開口23から取り出して、もとの格納室31に戻す(ステップS370)。
【0029】
次いで、制御装置130は、ステップS250で開始された乾燥の結果が良好であるか否か(つまり、所定の水分まで乾燥されているか否か)を判断する(ステップS380)。この判断は、ステップS340での水分測定の結果に基づいて行われる。
【0030】
乾燥の結果が良好でなければ(ステップS380:NO)、乾燥機本体30は、追加乾燥を開始する(ステップS390)。この乾燥は、タイマー制御され、所定時間だけ継続される(ステップS400:NO)。そして、所定時間が経過すると(ステップS400:NO)、または、乾燥の結果が良好であれば(ステップS380:YES)、制御装置130は、監視部131の処理として、この格納室31に格納されたサンプル箱40のステータスを「排出待ち」に設定する(ステップS410)。ステップS410の後、水分測定指令に基づく処理は終了する。
【0031】
図5は、排出指令に基づき実行される処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、排出指令は、ステータスが「排出待ち」のサンプル箱40が存在するときに発行される。排出指令が発行されると、制御装置130は、監視部131の処理として、これから排出処理を行うサンプル箱40のステータスを「排出中」に設定する(ステップS510)。
【0032】
次いで、搬送部50は、ステータスが「排出中」のサンプル箱40を格納室31から取り出す(ステップS520)。次いで、搬送部50は、取り出したサンプル箱40を排出開口24の前へ移動させる(ステップS530)。
【0033】
次いで、制御装置130は、ホッパ70内にサンプルが貯留されているか否かを判断する(ステップS540)。この判断は、例えば、前回、排出開口24へサンプルを排出した後に、コンベア80が稼働され、現在は停止されているか否かによって行われてもよい。あるいは、この判断のために、ホッパ70にレベル計を設けてもよい。
【0034】
ホッパ70内にサンプルが貯留されていれば(ステップS540:YES)、搬送部50は、ホッパ70が空になるまで、サンプル箱40を排出開口24のところで待機させる。
【0035】
一方、ホッパ70内にサンプルが貯留されていなければ(ステップS540:NO)、搬送部50は、サンプル箱40に収容されたサンプルを排出開口24から排出する(ステップS550)。具体的には、搬送部50は、サンプル箱40を排出開口24に挿入する。そして、搬送部50は、サンプル箱40を投入・排出部20の内部において回転させて、サンプル箱40内に収容されたサンプルを排出する。これにより、サンプルは、ホッパ70に貯留されることになる。
【0036】
次いで、搬送部50は、空になったサンプル箱40をもとの格納室31へ戻す(ステップS560)。ステップS520~S560の処理は、管理部132の処理として制御される。ステップS560の後、排出指令に基づく処理は終了する。排出処理が終了すると、ステータスの設定は消去される。上述の通り、排出指令は、荷受指令および水分測定指令よりも優先されるので、ステータスが「排出待ち」のサンプル箱40が複数存在する場合には、
図5の処理は連続して繰り返し行われることになる。
【0037】
上述したサンプル排出処理によれば、自主検定装置100がサンプルを受入可能な状態にない場合であっても、ホッパ70にサンプルが貯留されていなければ、乾燥が完了したサンプルを排出開口24から排出することができる。そして、自主検定装置100がサンプルを受入可能な状態になるまで、ホッパ70にサンプルを貯留しておくことができる。このため、ステータスが「排出待ち」のサンプル箱40が複数存在する場合に、1つ目のサンプル箱40からサンプルを排出開口24へ排出した後、2つ目のサンプル箱40に収容されたサンプルの受入準備が自主検定装置100において整っていなくても、2つ目のサンプル箱40からサンプルを排出開口24へ排出することができる。したがって、サンプルの排出動作の待機時間を低減することができる。
【0038】
しかも、上述したサンプル排出処理によれば、管理部132は、ホッパ70にサンプルが貯留されているか否かにかかわらず、ステータスが「排出待ち」のサンプル箱40を格納室31からから取り出して、排出開口24のところまで移動させる。そして、管理部132は、ホッパ70が空になるまで、排出開口24のところに当該サンプル箱40を待機させる。したがって、ホッパ70からサンプルが排出された後、待機しているサンプル箱40から排出開口24へサンプルを速やかに排出することができる。換言すれば、ホッパ70からサンプルが排出された後に、サンプル箱40を格納室31から取り出して排出開口24まで搬送する構成と比べて、サンプル箱40を格納室31から取り出して排出開口24まで搬送するために必要な時間分だけ、待機時間をさらに低減することができる。ただし、ステップS540が、ステップS510の前にあってもよい。この場合、ホッパ70にサンプルがない場合に、処理がステップS510に進むことになる。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。例えば、コンベア80に代えて、ホッパ70の排出開口を開閉するバルブが設けられてもよい。この場合、バルブは、自主検定装置100から新たなサンプルを受入可能になったことを表す信号が出力されたときに開けられる。それによって、ホッパ70内のサンプルは、シュート110へ自然流下する。
【0040】
また、穀物乾燥装置10がホッパ70とコンベア80(または、バルブ)とを備える構成に代えて、自主検定装置100が、同等の機能を有するホッパとコンベア(または、バルブ)を備えていてもよい。この場合、自主検定装置100は、ホッパにサンプルが貯留されていないことを表す信号を出力してもよい。かかる構成によれば、この信号に基づいてステップS540の判断を行うことができる。
【0041】
また、水分測定は、上述のタイミングに代えて、荷受時のみに行われてもよい。この場合、搬送部50は、水分測定開口22においてサンプルを受け取った後、当該サンプルについて水分測定を行ってから、当該サンプルを格納室31に戻してもよい。あるいは、水分測定は、上述のタイミングに加え得て、荷受時にも行われてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…穀物乾燥装置
20…投入・排出部
21…投入開口
22…水分測定開口
23…水分測定終了開口
24…排出開口
25…ダクト
30…乾燥機本体
31…格納室
40…サンプル箱
50…搬送部
60…保持機構
70…ホッパ
80…コンベア
100…自主検定装置
110…シュート
120…ホッパ
130…制御装置
131…監視部
132…管理部