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  • 特許-電源装置および照明装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電源装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/31 20200101AFI20221207BHJP
   H05B 45/3725 20200101ALI20221207BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20221207BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221207BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20221207BHJP
【FI】
H05B45/31
H05B45/3725
F21V23/00 140
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019038791
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020144999
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 朋和
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239387(JP,A)
【文献】特開2017-098168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流する第1の整流手段と;
前記第1の整流手段で整流された整流後電圧を入力し、負荷に供給する出力電圧に変換する電力変換回路と;
4つの整流素子を1つのパッケージ内に有しており、4つの前記整流素子のうちの2つの前記整流素子が前記交流電圧の検出に用いられる第2の整流手段と;
前記第2の整流手段で検出される前記交流電圧に基づいて前記電力変換回路を制御する制御回路と;
を具備することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1の整流手段、前記電力変換回路、前記第2の整流手段および前記制御回路の各部品を実装する基板を具備し、
前記第2の整流手段は、面実装部品であり、前記基板の一面に前記パッケージの高さよりも高い他の部品とともに実装されている
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記基板の対向する一辺側と他辺側のうち、一辺側に前記第2の整流手段が実装され、他辺側に前記パッケージの高さよりも高い他の部品が実装されている
ことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記負荷である発光素子と;
前記発光素子に電源を供給する請求項1ないし3いずれか一記載の電源装置と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷に電源を供給する電源装置、およびこの電源装置を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電圧を入力し、所定の出力電圧に変換して負荷に供給する電源装置がある。このような電源装置では、入力する交流電圧を検出し、変換制御に利用する場合がある。この場合、交流電圧検出用に2つの整流素子を用いている。整流素子には、アキシャルリードタイプのダイオードを使用していることが多い。アキシャルリードタイプのダイオードを実装するには、リードを加工し、加工したリードを基板に挿入して実装することになる。
【0003】
そして、交流電圧検出用に2つの整流素子を用いるが、これら整流素子を実装する基板の実装面積が必然的に大きくなって小形化の障害となったり、実装するための工数が増加したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-69501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品点数を削減し、実装のための実装面積および工数を削減することができる電源装置および照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源装置は、第1の整流手段、電力変換回路、第2の整流手段および制御回路を備える。第1の整流手段は、交流電圧を整流する。電力変換回路は、第1の整流手段で整流された整流後電圧を入力し、負荷に供給する出力電圧に変換する。第2の整流手段は、4つの整流素子を1つのパッケージ内に有しており、4つの整流素子のうちの2つの整流素子が交流電圧の検出に用いられる。制御回路は、第2の整流手段で検出される交流電圧に基づいて電力変換回路を制御する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の電源装置によれば、部品点数が削減され、実装のための実装面積および工数を削減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示す電源装置を備えた照明装置の回路図である。
図2】同上電源装置の第2の整流手段に用いられる整流器の平面図である。
図3】同上整流器の回路図である。
図4】同上第2の整流手段の等価回路図である。
図5】同上電源装置の基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、照明装置10は、交流電源eに位相調光器11を介して接続されている。
【0011】
位相調光器11は、例えばトライアックや逆向きに直列接続したスイッチング素子および整流素子を有するスイッチ部を用い、設定された調光レベルに応じて交流電圧の毎半サイクルの期間途中で負荷側への導通、非導通を制御するようにした位相制御方式が採用されている。
【0012】
そして、照明装置10は、負荷14、およびこの負荷14に電源を供給する電源装置15を備えている。
【0013】
負荷14は、半導体発光素子である発光素子14aを備えている。発光素子14aは、例えばLEDや有機ELである。
【0014】
また、電源装置15は、位相調光器11を介して交流電源eが接続される一対の入力端子t1、負荷14が接続される一対の出力端子t2、入力端子t1と出力端子t2との間に設けられる主回路18、入力端子t1に対して主回路18と並列に接続される副回路19を備えている。
【0015】
主回路18は、コンデンサC1およびインダクタL1を含むフィルタ回路22、第1の整流手段23、平滑コンデンサC2、および電力変換回路24などを備えている。
【0016】
フィルタ回路22は、入力電圧に含まれるノイズを低減するもので、入力端子t1間に接続されたコンデンサC1、コンデンサC1の一端側に接続されたインダクタL1などを備えている。インダクタL1は、電源装置15に用いられる部品の中で、比較的大形で、基板に実装された際の高さが高い部品である。
【0017】
第1の整流手段23は、ブリッジ接続された4つの整流素子を1つのパッケージ内に有するパッケージ部品である整流器が用いられている。この整流器は、基板に対して面実装される面実装部品である。第1の整流手段23の一対の入力部側がフィルタ回路22を介して一対の入力端子t1に接続されている。
【0018】
平滑コンデンサC2は、第1の整流手段23の一対の出力部側間に接続され、第1の整流手段23で整流された整流後電圧を平滑する。平滑コンデンサC2は、電源装置15に用いられる部品の中で、比較的大形で、基板に実装された際の高さが高い部品である。
【0019】
電力変換回路24は、平滑コンデンサC2の両端と一対の出力端子t2との間に接続されている。電力変換回路24は、少なくとも1つのスイッチング素子を備え、第1の整流手段23で整流された整流後電圧を入力し、負荷14に供給する所定の出力電圧に変換し、負荷14に供給する。
【0020】
電力変換回路24には、スイッチング素子のスイッチング動作により、第1の整流手段23で整流された整流後電圧を所定の出力電圧に降圧する降圧チョッパ回路などが用いられている。この降圧チョッパ回路にも、電源装置15に用いられる部品の中で、比較的大形で、基板に実装した際の高さの高い部品であるトランスやコンデンサなどが用いられる。
【0021】
また、副回路19は、第2の整流手段27、ブリーダ回路28、および制御回路29などを備えている。
【0022】
第2の整流手段27は、交流電圧の検出に用いられている。第2の整流手段27は、図2に示す1つの整流器32が用いられている。整流器32は、図3に示すブリッジ接続された4つのダイオードである整流素子D1,D2,D3,D4を1つのパッケージ33内に有するブリッジダイオードのパッケージ部品である。さらに、整流器32は、基板に対して面実装される面実装部品である。
【0023】
整流器32のパッケージ33は、四角形で、基板に対する高さ方向の寸法が薄く設けられている。パッケージ33の対向する両側部には、整流素子D1,D2,D3,D4が接続された4つの電極34a,34b,34c,34dがそれぞれ設けられている。
【0024】
そして、第2の整流手段27の整流器32は、入力側の一対の電極34a,34bがフィルタ回路22を介して一対の入力端子t1に接続され、出力側の一方の電極34cがブリーダ回路28および制御回路29に接続され、出力側の他方の電極34dは使用されない。したがって、4つの整流素子D1,D2,D3,D4のうち、入力側の一対の電極34a,34bと出力側の一方の電極34cとの間に接続された2つの整流素子D1,D2のみが使用され、残りの2つの整流素子D3,D4は使用されない。これにより、図4に第2の整流手段27の等価回路図を示すように、各整流素子D1,D2のアノードがフィルタ回路22を介して各入力端子t1に接続され、両整流素子D1,D2のカソードがブリーダ回路28および制御回路29に接続される。
【0025】
そして、整流器32は、第1の整流手段23と第2の整流手段27とに同じ部品が用いられている。つまり、第2の整流手段27に用いられる整流器32は、第1の整流手段23と同じ整流器32が用いられる。また、第1の整流手段23に用いられる整流器32は、入力側の一対の電極34a,34bがフィルタ回路22を介して一対の入力端子t1に接続され、出力側の一対の電極34c,34dが平滑コンデンサC2を介して電力変換回路24に接続される。
【0026】
ブリーダ回路28は、位相制御方式の位相調光器11を使用する場合に用いられ、位相調光器11のトライアックの保持電流を確保するためのブリーダ電流を引き出すように構成されている。
【0027】
制御回路29は、マイコンによって構成されている。制御回路29は、第2の整流手段27で検出される交流電圧に基づいて電力変換回路24を制御する。制御回路29は、第2の整流手段27で検出される位相制御された交流電圧の位相角を検出し、検出された位相角に基づいて電力変換回路24のスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、発光素子14aの明るさを制御する。
【0028】
また、図5には、電源装置15の基板37を示す。電源装置15の製造時において、1枚の基板素材38に複数の基板37が一体に形成され、各基板37の位置に各電源装置15の部品39が実装され、例えばリフロー方式で一体にはんだ付け接続した後、各基板37を切り離すことにより、一度に複数の電源装置15を製造するように構成されている。
【0029】
基板37は、長方形で、両面に配線パターンが形成された両面実装基板である。図5に示す基板37の一面に高さの高い部品およびラジアル部品や第2の整流手段27の整流器32などの面実装部品が実装され、この一面とは反対の他面にICやチップ部品などの面実装部品が実装される。
【0030】
図5には、電源装置15に用いられる部品39のうち、第2の整流手段27の整流器32と、電源装置15に用いられる部品39の中で比較的大形で基板に実装された際の高さが高い部品39とを示し、他の部品39は省略している。高さが高い部品39には、例えば、フィルタ回路22のインダクタL1、平滑コンデンサC2、電力変換回路24のトランスT1やコンデンサC11,C12などが含まれる。
【0031】
第2の整流手段27の整流器32は、そのパッケージ33の一辺が、基板37からのパッケージ33の高さよりも高い他の部品39、例えばインダクタL1などに隣接した位置に実装されている。
【0032】
基板37の対向する一辺側と他辺側のうち、一辺側に第2の整流手段27の整流器32が実装され、他辺側にパッケージ33の高さよりも高い他の部品39、例えばトランスT1やコンデンサC11,C12などが実装されている。この場合、電源装置15の製造時において、第2の整流手段27の整流器32は、基板37の一辺側に隣り合う別の基板37のトランスT1やコンデンサC11,C12に隣接することになる。
【0033】
ここで、仮に、第2の整流手段27に2つのアキシャルリードタイプのダイオードを用いる場合、アキシャルリードタイプ用実装機械により、ダイオードのリードを基板37に挿入可能に加工し、基板37に実装するため、工数がかかり、アキシャルリードタイプ用実装機械が他の部品39と干渉するのを防止するために広い実装面積が必要となる。
【0034】
さらに、アキシャルリードタイプ用実装機械により、ダイオードを図5に示す基板37における第2の整流手段27の整流器32の位置に実装するとした場合、その実装位置に隣接して高さの高い部品39が実装されているため、つまり同じ基板37上に隣接するインダクタL1や、基板37の一辺側に隣り合う別の基板37のトランスT1やコンデンサC11,C12などが実装されているため、それら高さの高い部品39が障害となってアキシャルリードタイプ用実装機械による自動実装が困難となる。
【0035】
本実施形態では、4つの整流素子D1,D2,D3,D4を1つのパッケージ33内に有するパッケージ部品である1つの整流器32を用いているため、リードを加工するような工数がかからず、少ない実装面積に実装できる。
【0036】
さらに、整流器32は、面実装部品であるため、基板37の実装位置に隣接して高さの高い部品39が実装されていても、それら部品39に影響を受けずに、面実装用実装機械による自動実装が可能となる。
【0037】
また、仮に、第2の整流手段27に2つの面実装タイプのダイオードを用いるとした場合、2つのダイオードの異極間での絶縁距離を確保しなければならないため、広い実装面積が必要となる。
【0038】
本実施形態では、4つの整流素子D1,D2,D3,D4を1つのパッケージ33内に有するパッケージ部品である1つの整流器32を用いているため、パッケージ33内で整流素子D1,D2,D3,D4の異極間での絶縁距離は確保されているため、少ない実装面積に実装できる。
【0039】
このように、本実施形態の電源装置15では、第2の整流手段27に、4つの整流素子D1,D2,D3,D4を1つのパッケージ33内に有する1つのパッケージ部品を用い、4つの整流素子D1,D2,D3,D4のうちの2つの整流素子D1,D2のみを使用することで、交流電圧の検出が可能となるため、部品点数が削減され、実装のための実装面積および工数を削減できる。
【0040】
また、第2の整流手段27に用いられる整流器32は、第1の整流手段23と同じ整流器32が用いられるため、部品を共通化し、部品の調達および管理を容易にできる。
【0041】
なお、第2の整流手段に4つの整流素子を1つのパッケージ内に有する1つのパッケージ部品を用い、4つの整流素子のうちの2つの整流素子のみを使用することは、位相調光に対応した電源装置に限らず、交流電圧を監視して制御を行う他の電源装置にも適用できる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 照明装置
14 負荷
14a 発光素子
15 電源装置
23 第1の整流手段
24 電力変換回路
27 第2の整流手段
29 制御回路
33 パッケージ
37 基板
39 部品
D1~D4 整流素子
図1
図2
図3
図4
図5