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特許7189510作業機械の支援装置および作業機械のワイヤーロープ配設方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】作業機械の支援装置および作業機械のワイヤーロープ配設方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B66C23/26 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019060737
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020158268
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】百濟 和文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 伸広
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227236(JP,A)
【文献】特開平10-157982(JP,A)
【文献】特開2005-200206(JP,A)
【文献】登録実用新案第3015762(JP,U)
【文献】特開2016-129456(JP,A)
【文献】実開平05-054852(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体に起伏可能に装着される基端部とその反対側の先端部とを含む起伏部材と、前記機体または前記起伏部材の前記基端部に装着されワイヤーロープの繰り出しおよび巻き上げを行うウインチと、を備える作業機械のワイヤーロープ配設作業を支援する、作業機械の支援装置であって、
前記ウインチから繰り出された前記ワイヤーロープを把持することが可能である一方前記ワイヤーロープを開放することが可能な、把持部と、
前記機体に対して倒伏した状態の前記起伏部材の上面部に配置された走行面を、少なくとも前記起伏部材の前記基端部から前記先端部に向かう方向である移動方向に沿って走行することが可能な走行部と、
前記把持部が前記走行部に対して相対変位可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続する接続部と、
を備える、作業機械の支援装置。
【請求項2】
前記把持部を前記走行部に対して相対変位させる駆動部を更に備える、請求項1に記載の作業機械の支援装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続する、請求項1または2に記載の作業機械の支援装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、前記移動方向と交差しかつ前記走行面と平行な方向に延びる横軸回りに相対的に回動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続する、請求項1または2に記載の作業機械の支援装置。
【請求項5】
前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、相対的に上下移動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続する、請求項1または2に記載の作業機械の支援装置。
【請求項6】
前記接続部は、前記把持部を支持するアーム先端部と前記移動方向と交差しかつ前記走行面と平行な方向に延びる横軸回りに回動可能なように前記走行部に支持されたアーム基端部とを含むアームを有する、請求項5に記載の作業機械の支援装置。
【請求項7】
前記アーム先端部は、前記把持部が前記横軸と平行な軸回りに回動可能なように前記把持部を支持する、請求項6に記載の作業機械の支援装置。
【請求項8】
前記接続部は、前記アーム基端部を前記横軸回りに回動可能に支持するとともに、前記アーム基端部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なように、前記アーム基端部と前記走行部とを互いに接続する中間接続部を更に有する、請求項6または7に記載の作業機械の支援装置。
【請求項9】
前記アームは少なくとも第1の位置および第2の位置を含む範囲において前記横軸回りに回動可能なように前記走行部に支持され、前記第1の位置における前記把持部が前記走行部よりも前記移動方向後端側に配置され、前記第2の位置における前記把持部が前記第1の位置における前記把持部よりも前記移動方向先端側に配置される、請求項6乃至8の何れか1項に記載の作業機械の支援装置。
【請求項10】
前記第1の位置における前記把持部が前記走行面と平行な方向において前記走行部に対向して配置される、請求項9に記載の作業機械の支援装置。
【請求項11】
前記第2の位置における前記把持部が前記走行部よりも高い位置に配置される、請求項9または10に記載の作業機械の支援装置。
【請求項12】
前記第2の位置における前記把持部が前記走行部よりも前記移動方向先端側に配置される、請求項9乃至11の何れか1項に記載の作業機械の支援装置。
【請求項13】
前記把持部よりも前記移動方向後端側において前記走行部に支持され、前記ワイヤーロープの下方に配置され前記ワイヤーロープを支持可能であるとともに前記把持部に向かって前記ワイヤーロープを案内する後端側案内部を更に備える、請求項1乃至12の何れか1項に記載の作業機械の支援装置。
【請求項14】
前記後端側案内部を上下に移動させることが可能な後端側案内駆動部を更に備える、請求項13に記載の作業機械の支援装置。
【請求項15】
前記把持部よりも前記移動方向先端側において前記走行部に支持され、前記ワイヤーロープの下方に配置され前記ワイヤーロープを支持可能であるとともに前記ワイヤーロープを前記移動方向先端側に案内する先端側案内部を更に備える、請求項1乃至14の何れか1項に記載の作業機械の支援装置。
【請求項16】
前記先端側案内部を上下に移動させることが可能な先端側案内駆動部を更に備える、請求項15に記載の作業機械の支援装置。
【請求項17】
前記走行部は、前記作業機械の前記起伏部材の上面部に前記移動方向に沿って延びるように施設され前記走行面を形成する足場上を走行可能である、請求項1乃至16の何れか1項に記載の作業機械の支援装置。
【請求項18】
機体と、前記機体に起伏可能に装着される基端部とその反対側の先端部とを含む起伏部材と、前記機体または前記起伏部材の前記基端部に装着されワイヤーロープの繰り出しおよび巻き上げを行うウインチと、を備える作業機械において、前記起伏部材が倒伏された状態で前記起伏部材の上面部に形成された走行面上の初期位置から前記初期位置よりも前記起伏部材の前記先端部側の目標位置まで前記ウインチから繰り出された前記ワイヤーロープを牽引し前記起伏部材上に前記ワイヤーロープを配設するための、作業機械のワイヤーロープ配設方法であって、
前記倒伏された前記起伏部材上の前記初期位置に、ワイヤーロープを把持可能な把持部と、前記走行面を走行可能な走行部と、前記把持部が前記走行部に対して相対変位可能なように前記把持部と前記走行部とを互いに接続する接続部と、を備えた支援装置を配置することと、
前記ウインチから前記ワイヤーロープを繰り出し、当該ワイヤーロープを前記支援装置の前記把持部に把持させることと、
前記ウインチから前記ワイヤーロープを更に繰り出しながら、前記把持部が前記ワイヤーロープを把持した状態で前記起伏部材上の前記初期位置から前記目標位置まで前記起伏部材の前記基端部から前記先端部に向かう方向である移動方向に沿って前記走行部に前記起伏部材の前記走行面を走行させることと、
前記初期位置と前記目標位置との間において、前記把持部に把持される前記ワイヤーロープの張力の増大を抑制するように、前記接続部において前記把持部を前記走行部に対して相対的に変位させることと、
前記走行部の走行によって前記支援装置が前記目標位置に到達すると、前記把持部による前記ワイヤーロープの把持を開放することと、
を備える、作業機械のワイヤーロープ配設方法。
【請求項19】
前記支援装置として、前記把持部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、
前記走行面上における前記走行部の方向転換に応じて、前記ワイヤーロープが前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、前記把持部を前記縦軸回りに回動させることと、
を備える、請求項18に記載の作業機械のワイヤーロープ配設方法。
【請求項20】
前記支援装置として、前記把持部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、
前記移動方向と交差しかつ前記走行面と平行な方向における、前記ウインチから前記ワイヤーロープが繰り出される位置の変化に応じて、前記把持部を前記縦軸回りに回動させることと、
を備える、請求項18に記載の作業機械のワイヤーロープ配設方法。
【請求項21】
前記走行部の走行によって前記支援装置が前記目標位置に到達すると、前記支援装置によって前記ワイヤーロープを前記走行部に対して相対移動させることを更に備える、請求項18乃至20の何れか1項に記載の作業機械のワイヤーロープ配設方法。
【請求項22】
前記起伏部材として、倒伏姿勢における前記起伏部材の前記上面部に前記移動方向に沿って延びるように施設された足場を備えるものを準備することと、
前記走行部に前記起伏部材の前記足場上を前記初期位置から前記目標位置まで走行させることと、
を備える、請求項18乃至21の何れか1項に記載の作業機械のワイヤーロープ配設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械を組み立てる際に使用される支援装置および作業機械のワイヤーロープ配設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、クレーン本体と、ブーム(起伏部材)と、ウインチと、を備えたクレーンが知られている。ブームはクレーン本体の前部に起伏可能に支持される。ウインチは、クレーン本体またはブームの基端部に装着され、主巻ロープ(ワイヤーロープ)の繰り出しおよび巻き取りを実行する。このようなクレーンの組立時には、ブームがクレーン本体に対して倒伏された状態で、ウインチから繰り出された主巻ロープの先端をブームの先端部まで牽引する牽引作業(ワイヤーロープ配設作業)が必要となる。従来、このような牽引作業は、ウインチから繰り出された主巻ロープの先端を作業者が把持しながらブーム上を移動することで、行われていた。ブームの先端部まで牽引された主巻ロープはフックに接続され、当該フックが起立したブームの先端部から垂下される。
【0003】
また、特許文献1には、クレーン本体と、マスト(起伏部材)と、ブームと、ブライドルユニット(下部スプレッダ)と、ベイルユニット(上部スプレッダ)と、ブーム起伏用ウインチと、を備えたクレーンが開示されている。ブームはクレーン本体に起伏可能に支持され、マストはブームの後方でクレーン本体に起伏可能に支持される。クレーンの作業時には、マストの先端に接続されたブライドルユニットのシーブと、当該ブライドルユニットよりもブームの先端側に配置されるベイルユニットのシーブとの間に、ブーム起伏用ウインチから繰り出されたブーム起伏用ロープが掛け回される。ベイルユニットは、ガイラインによってブームの先端部に接続される。ブーム起伏用ウインチがブーム起伏用ロープの巻き上げ、繰り出しを行うと、ブライドルユニットとベイルユニットとの間隔が変化することで、ブームが起伏する。
【0004】
特許文献1に記載された技術において、クレーンの輸送段階では、ブライドルユニットとベイルユニットとが互いに連結された状態で、マストの基端部に固定される。一方、クレーンの組立時には、上記の両ユニットが補助クレーンによって吊り上げられながら、マストの基端部からマストの先端部に移動される。この際、両ユニットにはブーム起伏用ウインチから繰り出されたブーム起伏用ロープの先端部が固定されている。このため、ブーム起伏用ウインチがブーム起伏用ロープを繰り出しながら、補助クレーンによる両ユニットの移動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-116605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の作業機械では、ウインチから繰り出されたロープを起伏部材の基端部側から起伏部材の先端部側まで架け渡す作業が容易でないという問題があった。具体的に、作業者はウインチから繰り出された主巻ロープの先端を把持しながら、起伏部材が倒伏された状態で地上から数メートルの高さにある起伏部材の上面部を移動しなければならない。このため、作業者は、安全を確保しながら慎重に移動する必要がある。また、一般的に、作業機械に使用されるロープ(ワイヤーロープ)は鋼製の重量物であるため、作業者にかかる負担も大きい。
【0007】
更に、特許文献1に記載されたように、補助クレーンによってロープの先端側を起伏部材の先端部に向かって移動させるためには、補助クレーンの移動速度とウインチの繰り出し速度とを合わせる必要がある。特に、ロープの移動中には、ロープのうちウインチから繰り出された部分の重量が増加するため、ロープの張力変化によって補助クレーンの吊り上げ部に揺れが発生しやすく、ウインチの繰り出しを行う作業者および補助クレーンを操作する作業者にそれぞれ高い注意力が要求される。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ウインチから繰り出されたワイヤーロープを起伏部材の基端部側から起伏部材の先端部側まで架け渡すワイヤーロープ配設作業の作業性を向上することが可能な作業機械の支援装置および作業機械のワイヤーロープ配設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る作業機械の支援装置は、機体と、前記機体に起伏可能に装着される基端部とその反対側の先端部とを含む起伏部材と、前記機体または前記起伏部材の前記基端部に装着されワイヤーロープの繰り出しおよび巻き上げを行うウインチと、を備える作業機械のワイヤーロープ配設作業を支援する、作業機械の支援装置であって、前記ウインチから繰り出された前記ワイヤーロープを把持することが可能である一方前記ワイヤーロープを開放することが可能な、把持部と、前記機体に対して倒伏した状態の前記起伏部材の上面部に配置された走行面を、少なくとも前記起伏部材の前記基端部から前記先端部に向かう方向である移動方向に沿って走行することが可能な走行部と、前記把持部が前記走行部に対して相対変位可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続する接続部と、を備える。
【0010】
本構成によれば、ウインチから繰り出されたワイヤーロープを起伏部材の基端部側から起伏部材の先端部側まで架け渡すワイヤーロープ配設作業(ワイヤリング)の作業性を向上することが可能となる。特に、前記配設作業のために、作業者が起伏部材上に登る機会を最小限とし、作業者がワイヤーロープを牽引しながら起伏部材を移動することなく、前記配設作業を行うことが可能となる。したがって、作業者による高所作業を低減することで作業性が向上するとともに、作業時間を短縮することができる。また、把持部が走行部に対して相対変位可能なように把持部と走行部とが互いに接続されているため、走行部やワイヤーロープの動きに応じて両者の相対的な位置関係を変化させることで、走行中のワイヤーロープの張力の増大を抑制しながら、ワイヤーロープを配設することができる。
【0011】
上記の構成において、前記把持部を前記走行部に対して相対変位させる駆動部を更に備えることが望ましい。
【0012】
本構成によれば、駆動部の駆動力によって、把持部を走行部に対して積極的に相対変位させることができる。
【0013】
上記の構成において、前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続することが望ましい。
【0014】
本構成によれば、把持部が走行部に対して縦軸回りに回動可能とされる。このため、走行部が走行面上において方向転換することがあっても、把持部に把持されたワイヤーロープが前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、把持部を回動させることができる。すなわち、走行部は方向転換する一方、把持部は方向転換することなく走行部に対して相対的に回動することができる。また、ウインチからワイヤーロープが繰り出される繰り出し位置が変化した場合でも、前記繰り出し位置にあわせて把持部が揺動するように把持部を回動させることができる。このため、前記走行部の方向転換やウインチ上の繰り出し位置の変化によってワイヤーロープの張力が増大しワイヤーロープが損傷することが抑止される。
【0015】
上記の構成において、前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、前記移動方向と交差しかつ前記走行面と平行な方向に延びる横軸回りに相対的に回動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続することが望ましい。
【0016】
本構成によれば、走行体が走行面上の障害物を乗り越える際に、把持部が横軸回りに回動することができるため、ワイヤーロープの上下移動を抑えワイヤーロープの張力の増大を抑制することができる。
【0017】
上記の構成において、前記接続部は、前記把持部が前記走行部に対して、相対的に上下移動可能なように、前記把持部と前記走行部とを互いに接続することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、走行体が走行面上の障害物を乗り越える際に、把持部が走行部に対して相対的に上下移動することができるため、ワイヤーロープの上下移動を抑えワイヤーロープの張力の増大を抑制することができる。また、支援装置が起伏部材の基端部側に配置された際に、ウインチの高さにあわせて、把持部の位置を調整することができる。また、支援装置が起伏部材の先端部側に到達すると、作業者の身長や他のシーブの高さにあわせて、把持部の位置を調整することができる。この結果、支援装置におけるワイヤーロープの受け渡し作業の作業性を向上することができる。
【0019】
上記の構成において、前記接続部は、前記把持部を支持するアーム先端部と前記横軸回りに回動可能なように前記走行部に支持されたアーム基端部とを含むアームを有することが望ましい。
【0020】
本構成によれば、アームが横軸回りに回動することで、把持部を走行部に対して相対的に上下移動させることができる。このため、起伏部材上の障害物に対応して把持部の位置を変化させながら、走行体を走行させることができる。
【0021】
上記の構成において、前記アーム先端部は、前記把持部が前記横軸と平行な軸回りに回動可能なように前記把持部を支持することが望ましい。
【0022】
本構成によれば、アームが回動することに加えて、把持部がアーム先端部に回動可能に支持されている。このため、アームの回動に伴ってワイヤーロープの姿勢が変化しワイヤーロープの張力が増大することを抑制することができる。
【0023】
上記の構成において、前記接続部は、前記アーム基端部を前記横軸回りに回動可能に支持するとともに、前記アーム基端部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なように、前記アーム基端部と前記走行部とを互いに接続する中間接続部を更に有することが望ましい。
【0024】
本構成によれば、中間接続部を含む接続部によって、把持部が走行部に対して縦軸回りに相対的に回動することができる。このため、走行部が走行面上において方向転換することがあっても、把持部に把持されたワイヤーロープが前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、把持部を走行部に対して相対的に回動させることができる。この結果、前記走行部の方向転換によってワイヤーロープの張力が増大しワイヤーロープが損傷することが抑止される。
【0025】
上記の構成において、前記アームは少なくとも第1の位置および第2の位置を含む範囲において前記横軸回りに回動可能なように前記走行部に支持され、前記第1の位置における前記把持部が前記走行部よりも前記移動方向後端側に配置され、前記第2の位置における前記把持部が前記第1の位置における前記把持部よりも前記移動方向先端側に配置されることが望ましい。
【0026】
本構成によれば、走行部の走行時には、把持部が第1の位置に配置されることで、把持部が走行部の走行を妨げることが抑止される。また、支援装置が起伏部材の先端部に到達すると、把持部が第2の位置に配置されることで、起伏部材の先端部で待機する作業者や起伏部材の先端部に配置される他のシーブなどにワイヤーロープを容易に受け渡すことができる。
【0027】
上記の構成において、前記第1の位置における前記把持部が前記走行面と平行な方向において前記走行部に対向して配置されることが望ましい。
【0028】
本構成によれば、走行部の走行時には、把持部が第1の位置に配置されることで、走行部と把持部とを前後に並ぶように配置することができる。このため、走行部と把持部とが上下に並ぶように配置される場合と比較して、支援装置の高さを抑えることが可能となり、支援装置の走行安定性が向上するとともに、支援装置と起伏部材の走行面上の障害物との接触を低減することができる。
【0029】
上記の構成において、前記第2の位置における前記把持部が前記走行部よりも高い位置に配置されることが望ましい。
【0030】
本構成によれば、起伏部材の先端部で待機する作業者や起伏部材の先端部に配置される他のシーブなどにワイヤーロープを更に容易に受け渡すことができる。
【0031】
上記の構成において、前記第2の位置における前記把持部が前記走行部よりも前記移動方向先端側に配置されることが望ましい。
【0032】
本構成によれば、起伏部材の先端部で待機する作業者や起伏部材の先端部に配置される他のシーブなどにワイヤーロープを更に容易に受け渡すことができる。
【0033】
上記の構成において、前記把持部よりも前記移動方向後端側において前記走行部に支持され、前記ワイヤーロープの下方に配置され前記ワイヤーロープを支持可能であるとともに前記把持部に向かって前記ワイヤーロープを案内する後端側案内部を更に備えることが望ましい。
【0034】
本構成によれば、ウインチから繰り出されたワイヤーロープを把持部に容易に案内することが可能となる。この結果、支援装置によるワイヤーロープの把持作業が容易に実現される。
【0035】
上記の構成において、前記後端側案内部を上下に移動させることが可能な後端側案内駆動部を更に備えることが望ましい。
【0036】
本構成によれば、把持部の高さに応じて後端側案内部を上下に移動させることで、ウインチから繰り出されたワイヤーロープの案内状態を上下方向において変化させることが可能となる。
【0037】
上記の構成において、前記把持部よりも前記移動方向先端側において前記走行部に支持され、前記ワイヤーロープの下方に配置され前記ワイヤーロープを支持可能であるとともに前記ワイヤーロープを前記移動方向先端側に案内する先端側案内部を更に備えることが望ましい。
【0038】
本構成によれば、ワイヤーロープを、起伏部材上で待機する作業者や他のシーブなどに安定して受け渡すことができる。
【0039】
上記の構成において、前記先端側案内部を上下に移動させることが可能な先端側案内駆動部を更に備えることが望ましい。
【0040】
本構成によれば、起伏部材上で待機する作業者の身長、姿勢や他のシーブなどの高さに応じて先端側案内部を上下に移動させることで、ワイヤーロープを前記作業者などに更に安定して受け渡すことができる。
【0041】
上記の構成において、前記走行部は、前記作業機械の前記起伏部材の上面部に前記移動方向に沿って延びるように施設され前記走行面を形成する足場上を走行可能であることが望ましい。
【0042】
本構成によれば、起伏部材上に支援装置の専用の走行路を設ける必要がなく、作業機械および支援装置のコストが低減される。
【0043】
本発明の他の局面に係る作業機械のワイヤーロープ配設方法は、機体と、前記機体に起伏可能に装着される基端部とその反対側の先端部とを含む起伏部材と、前記機体または前記起伏部材の前記基端部に装着されワイヤーロープの繰り出しおよび巻き上げを行うウインチと、を備える作業機械において、前記起伏部材が倒伏された状態で前記起伏部材の上面部に形成された走行面上の初期位置から前記初期位置よりも前記起伏部材の前記先端部側の目標位置まで前記ウインチから繰り出された前記ワイヤーロープを牽引し前記起伏部材上に前記ワイヤーロープを配設するための、作業機械のワイヤーロープ配設方法であって、前記倒伏された前記起伏部材上の前記初期位置に、ワイヤーロープを把持可能な把持部と、前記走行面を走行可能な走行部と、前記把持部が前記走行部に対して相対変位可能なように前記把持部と前記走行部とを互いに接続する接続部と、を備えた支援装置を配置することと、前記ウインチから前記ワイヤーロープを繰り出し、当該ワイヤーロープを前記支援装置の前記把持部に把持させることと、前記ウインチから前記ワイヤーロープを更に繰り出しながら、前記把持部が前記ワイヤーロープを把持した状態で前記起伏部材上の前記初期位置から前記目標位置まで前記走行部に前記起伏部材の前記走行面を走行させることと、前記初期位置と前記目標位置との間において、前記把持部に把持される前記ワイヤーロープの張力の増大を抑制するように、前記接続部において前記把持部を前記走行部に対して相対的に変位させることと、前記走行部の走行によって前記支援装置が前記目標位置に到達すると、前記把持部による前記ワイヤーロープの把持を開放し、所定のワイヤーロープ接続部に前記ワイヤーロープを接続することと、を備える。
【0044】
本方法によれば、ウインチから繰り出されたワイヤーロープを起伏部材の基端部側から起伏部材の先端部側まで架け渡すワイヤーロープ配設作業(ワイヤリング)の作業性を向上することが可能となる。特に、前記配設作業のために、作業者が起伏部材上に登る機会を最小限とし、作業者がワイヤーロープを牽引しながら起伏部材を移動することなく、前記配設作業を行うことが可能となる。したがって、作業者による高所作業を低減することで作業性が向上するとともに、作業時間を短縮することができる。また、把持部が走行部に対して相対変位可能なように把持部と走行部とが互いに接続されているため、走行部やワイヤーロープの動きに応じて両者の相対的な位置関係を変化させることで、走行中のワイヤーロープの張力の増大を抑止しながら、ワイヤーロープを配設することができる。
【0045】
上記の方法において、前記支援装置として、前記把持部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、前記走行面上における前記走行部の方向転換に応じて、前記ワイヤーロープが前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、前記把持部を前記縦軸回りに回動させることと、を備えることが望ましい。
【0046】
本方法によれば、把持部が走行部に対して縦軸回りに回動可能とされる。このため、走行部が走行面上において方向転換することがあっても、把持部に把持されたワイヤーロープが前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、把持部を回動させることができる。このため、前記走行部の方向転換によってワイヤーロープが損傷することが抑止される。
【0047】
上記の方法において、前記支援装置として、前記把持部が前記走行部に対して前記走行面と交差する方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、前記移動方向と交差しかつ前記走行面と平行な方向における、前記ウインチから前記ワイヤーロープが繰り出される位置の変化に応じて、前記把持部を前記縦軸回りに回動させることと、を備えることが望ましい。
【0048】
本方法によれば、把持部が走行部に対して縦軸回りに回動可能とされる。このため、ウインチからワイヤーロープが繰り出される繰り出し位置が変化した場合でも、前記繰り出し位置にあわせて把持部を回動させることができる。この結果、前記ウインチ上の繰り出し位置の変化によってワイヤーロープが損傷することが抑止される。
【0049】
上記の方法において、前記走行部の走行によって前記支援装置が前記目標位置に到達すると、前記支援装置によって前記ワイヤーロープを前記走行部に対して相対移動させることを更に備えることが望ましい。
【0050】
本方法によれば、支援装置が起伏部材の先端部側に到達すると、作業者や他のシーブなどにあわせて、把持部の位置を調整することができる。この結果、支援装置におけるワイヤーロープの受け渡し作業の作業性を向上することができる。
【0051】
上記の方法において、前記起伏部材として、前記倒伏姿勢における前記起伏部材の前記上面部に前記移動方向に沿って延びるように施設された足場を備えるものを準備することと、前記走行部に前記起伏部材の前記足場上を前記初期位置から前記目標位置まで走行させることと、を備えることが望ましい。
【0052】
本方法によれば、起伏部材上に支援装置の専用の走行路を設ける必要がなく、作業機械および支援装置のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、ウインチから繰り出されたワイヤーロープを起伏部材の基端部側から起伏部材の先端部側まで架け渡すワイヤーロープ配設作業の作業性を向上することが可能な作業機械の支援装置および作業機械のワイヤーロープ配設方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の第1実施形態に係る作業機械の起伏部材が倒伏姿勢とされた状態の側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る作業機械の起伏部材の上面部の斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る支援装置の平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る支援装置の側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る支援装置の平面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る支援装置の側面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る支援装置の内部構造を示す模式的な断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図9図8の支援装置のI-I位置の上下断面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る支援装置の制動機構を示す断面図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る支援装置の制動機構を示す底面図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る支援装置の把持部のローラーの断面図である。
図13】本発明の第1変形実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図14】本発明の第1変形実施形態に係る支援装置の内部構造を示す模式的な断面図である。
図15】本発明の第2変形実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図16】本発明の第2変形実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図17】本発明の第3変形実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図18】本発明の第4変形実施形態に係る支援装置の部分透視平面図である。
図19】本発明の第5変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図20】本発明の第5変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図21】本発明の第5変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図22】本発明の第5変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図23】本発明の第6変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図24】本発明の第6変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図25】本発明の第6変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図26】本発明の第7変形実施形態に係る支援装置の制動機構を示す断面図である。
図27】本発明の第8変形実施形態に係る支援装置の制動機構を示す平面図である。
図28】本発明の第8変形実施形態に係る支援装置の制動機構を示す断面図である。
図29】本発明の第9変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図30】本発明の第9変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図31】本発明の第2実施形態に係る支援装置の側面図である。
図32】本発明の第2実施形態に係る支援装置の平面図である。
図33】本発明の第2実施形態に係る支援装置が起伏部材上の足場のクランク部を走行する様子を示す平面図である。
図34】本発明の第2実施形態に係る支援装置の把持部の断面図である。
図35】本発明の第2実施形態に係る支援装置の把持部の断面図である。
図36】本発明の第2実施形態に係る支援装置の把持部がワイヤーロープを送り出す様子を示す模式的な断面図である。
図37】本発明の第2実施形態に係る支援装置の把持部の断面図である。
図38】本発明の第2実施形態に係る支援装置の押圧部材の(A)正面図、(B)側面図である。
図39】本発明の第10変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図40】本発明の第10変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図41】本発明の第10変形実施形態に係る支援装置が障害物を乗り越える様子を示す側面図である。
図42】本発明の第10変形実施形態に係る支援装置が障害物を乗り越える様子を示す側面図である。
図43】本発明の第11変形実施形態に係る支援装置の把持部の断面図(A)、(B)である。
図44】本発明の第12変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図45】本発明の第3実施形態に係る支援装置の側面図である。
図46】本発明の第3実施形態に係る支援装置の平面図である。
図47】本発明の第3実施形態に係る支援装置の背面図である。
図48】本発明の第3実施形態に係る支援装置の把持部の側面図(A)、(B)である。
図49】本発明の第3実施形態に係る支援装置の把持部がワイヤーロープを把持する様子を示す側面図(A)、(B)である。
図50】本発明の第13変形実施形態に係る支援装置の把持部がワイヤーロープを把持する様子を示す側面図(A)、(B)である。
図51】本発明の第14変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図52】本発明の第15変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図53】本発明の第16変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図54】本発明の第16変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図55】本発明の第17変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図56】本発明の第18変形実施形態に係る支援装置の送り部の背面図である。
図57】本発明の第19変形実施形態に係る支援装置の送り部の背面図である。
図58】本発明の第20変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図59】本発明の第21変形実施形態に係る支援装置の先端側案内部の拡大側面図である。
図60】本発明の第21変形実施形態に係る支援装置の先端側案内部の拡大背面図である。
図61】本発明の第4実施形態に係る支援装置の平面図である。
図62】本発明の第4実施形態に係る支援装置の側面図である。
図63】本発明の第4実施形態に係る支援装置の側面図である。
図64】本発明の第22変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図65】本発明の第22変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図66】本発明の第22変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図67】本発明の第22変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図68】本発明の第23変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図69】本発明の第23変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図70】本発明の第23変形実施形態に係る支援装置が起伏部材上の足場のクランク部を走行する様子を示す平面図である。
図71】本発明の第24変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
図72】本発明の第24変形実施形態に係る支援装置の平面図である。
図73】本発明の第24変形実施形態に係る支援装置がワイヤーロープを受け渡す様子を示す側面図である。
図74】本発明の第24変形実施形態に係る支援装置がワイヤーロープを受け渡す様子を示す側面図である。
図75】本発明の第25変形実施形態に係る支援装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る支援装置(支援装置50、図2)が適用されるクレーン1(作業機械)の側面図であって、クレーン1の組立作業中の様子を示している。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向が必要に応じて示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン1および各支援装置の構造およびクレーン1の組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る作業機械および支援装置の移動方向や使用態様などを限定するものではない。
【0056】
クレーン1は、クレーン本体に相当する上部旋回体11(機体)と、この上部旋回体11を旋回可能に支持する下部走行体10と、起伏部材として機能するブーム16と、ガントリ14と、マスト15と、を備える。上部旋回体11の前端部には、作業者が搭乗することを許容するキャブ12(運転席)が配置されている。
【0057】
図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、基端側部材と、一または複数の中間部材と、先端側部材とから構成される。ブーム16は、上部旋回体11に水平な回転軸回りに回動可能に支持されている。換言すれば、ブーム16は、上部旋回体11に起伏可能に装着される基端部とその反対側の先端部とを含む。ただし、ブーム16の具体的な構造は限定されない。ブーム16は、単一の部材で構成されたものでもよい。
【0058】
マスト15は、ブーム16の後側の位置でブーム16の回動軸と平行な回動軸回りに上部旋回体11に回動可能に支持される。すなわち、マスト15もブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。
【0059】
ガントリ14は、上部旋回体11の後端側に固定された支柱である。
【0060】
更に、クレーン1は、カウンタウエイト13と、ブーム起伏ロープ17と、ガイライン18と、ブーム起伏ウインチ19と、主巻ウインチ20(ウインチ)と、主巻ロープ21(ワイヤーロープ)と、を備える。
【0061】
カウンタウエイト13は、上部旋回体11の後端部に装着されている。カウンタウエイト13は、クレーン1の前後方向のバランスを保持するための錘である。
【0062】
ガイライン18は、マスト15の先端部とブーム16の先端部とを接続する。ブーム起伏ウインチ19は、上部旋回体11の前後方向の略中央部に配置されており、ブーム起伏ロープ17の繰り出し動作、巻き上げ動作を実行する。ブーム起伏ウインチ19から繰り出されたブーム起伏ロープ17は、図1に示すように、ガントリ14の先端部およびマスト15の先端部にそれぞれ配置されたシーブ間に掛け渡される。ブーム起伏ウインチ19がブーム起伏ロープ17の巻き上げ、繰り出しを行うとマスト15が回動し、当該回動に連動してブーム16が起伏する。
【0063】
主巻ウインチ20は、上部旋回体11のうちブーム起伏ウインチ19の前側に配置されている。主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21は、ブーム16に沿って配設された後、ブーム16の先端部から垂下される。主巻ウインチ20が主巻ロープ21の巻き上げ、繰り出し動作を行うと、主巻ロープ21の先端側に配置された不図示のフックによって吊り荷の吊り上げ、吊り下げが行われる。なお、主巻ウインチ20は、ブーム16の基端部に配置されてもよい。
【0064】
図1に示すように、クレーン1の組立段階では、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21の先端部を、ブーム16の基端部側からブーム16の先端部側に架け渡す必要がある(ワイヤーロープ牽引作業、配設作業)。図1に示されるようなブーム16の倒伏状態では、ブーム16の上面部は、地上から数メートルの位置にあるため、上記のロープ牽引作業は高所作業に相当する。本実施形態では、支援装置50がブーム16上を走行しながら、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21の先端をブーム16の基端部からブーム16の先端部まで牽引する。すなわち、支援装置50は、クレーン1における主巻ロープ21の配設作業を支援する。
【0065】
図2は、本実施形態に係る支援装置50が、ブーム16の上面部を走行する様子を示す斜視図であって、上部旋回体11に対して倒伏した状態のブーム16の先端部側からブーム16の基端部側(上部旋回体11側)を見た図である。
【0066】
前述のブーム16は、一対の第1メインパイプ161と、一対の第2メインパイプ162と、複数のラチスパイプ163と、ガイドローラーユニット164と、を備える。一対の第1メインパイプ161および一対の第2メインパイプ162は、それぞれブーム16の長手方向に沿って延びており、ブーム16の断面四角形構造を構成している。
【0067】
複数のラチスパイプ163は、一対の第1メインパイプ161同士、一対の第2メインパイプ162同士、および第1メインパイプ161と第2メインパイプ162とを互いに接続する。なお、図2では、一対の第1メインパイプ161同士を接続する複数のラチスパイプ163のみが図示されている。
【0068】
ガイドローラーユニット164は、ラチスパイプ163上に固定されており、作業時に主巻ロープ21などがブーム16の背面において繰り出されたり巻き取られたりするときに前記ロープとブーム16との接触を抑制する。ガイドローラーユニット164は、ガイドローラー164Aと、左右一対のブラケット164Bと、を有する。左右一対のブラケット164Bは、ラチスパイプ163の両端部付近に固定されており、ガイドローラー164Aを回転可能に支持する。作業者が主巻ロープ21を牽引する際に、ガイドローラーユニット164上に主巻ロープ21が載置されると、ガイドローラーユニット164の回転によって、主巻ロープ21が前方(ロープ送り方向)に案内される。この結果、作業者の牽引負荷が低減される。
【0069】
更に、ブーム16は、足場100を備える。足場100は、倒伏されたブーム16の上面部に主に前後方向(支援装置50の移動方向)に沿って延びるように施設されている。具体的に、足場100は、複数のラチスパイプ163上に固定されており、ラチスパイプ163よりも上方かつ前述のガイドローラーユニット164のガイドローラー164Aの下方に位置している(図2)。作業者は必要に応じて足場100上を移動可能である。また、足場100は、コの字状のクランク部100Cを有する。クランク部100Cは、足場100の一部がコの字状に屈曲されることで構成されている。クランク部100Cの内側には、アイドラシーブ配置部100Sが形成される。アイドラシーブ配置部100Sにおいて不図示のアイドラシーブがブーム16に回転可能に支持されることで、クレーン1の使用時に、主巻ロープ21をブーム16の先端側に案内することができる。
【0070】
図3および図5は、本実施形態に係る支援装置50の平面図である。図4および図6は、本実施形態に係る支援装置50の側面図である。
【0071】
支援装置50は、把持部50Aと、本体部50Hを含む走行部50Bと、を備える。
【0072】
把持部50Aは、本体部50Hに接続され、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21を把持することが可能である一方、主巻ロープ21を開放することが可能とされている。
【0073】
本体部50Hは、支援装置50の本体部分であって、支援装置50に搭載される各部材を支持する。
【0074】
走行部50Bは、上部旋回体11に対して倒伏した状態のブーム16の上面部(足場100)に配置された走行面を少なくともブーム16の前記基端部から前記先端部に向かう移動方向に走行することが可能である。本実施形態では、走行部50Bは、公知のクローラ構造を有しており、その左右方向における幅は、足場100の左右方向における幅よりも狭く設定されている。なお、各図において、矢印DSは、支援装置50が主巻ロープ21を牽引するために主に移動する方向(移動方向)を示している。
【0075】
把持部50Aは、左右一対のローラー510(把持部材)と、左右一対のローラー支持部511(支持部、一対の支持部材、一対のアーム)と、を備える(図3図5)。左右一対のローラー510は、支援装置50の移動方向と直交する(交差する)方向(上下方向)に延びる一対の中心線上にそれぞれ配置されており、前記移動方向と交差する方向において互いに対向して配置される円筒状の外周面(把持面、図12のロープ把持面510F参照)を有する。左右一対のローラー510の前記外周面は、前記中心線と平行な方向(主巻ロープ21が延びる方向と交差する方向)から見て互いに凸形状の曲面(円周面)からなる。左右一対のローラー支持部511は、左右方向に互いに間隔をおいて本体部50Hに装着(支持)され、一対のローラー510をそれぞれ回転可能に支持する。特に、本実施形態では、前記一対のローラー支持部511は、前記一対のローラー510の前記外周面同士が左右方向(支援装置50の移動方向と直交し(交差し)かつ足場100の走行面と平行な対向方向)において互いに対向するように、前記一対のローラー510をそれぞれ支持する。
【0076】
図7は、本実施形態に係る支援装置50の内部構造を示す模式的な断面図である。図8は、支援装置50の部分透視平面図である。図9は、図8の支援装置50のI-I位置の上下断面図である。
【0077】
図9を参照して、前述の左右一対のローラー支持部511は、側面視でL字形状を有しており、内部に後記の各部材を収容可能な空間を有する。各ローラー支持部511は、本体部50Hに上下方向に延びる回転軸回りに回動可能に支持された、円筒状の支持基端部511B(アーム基端部)と、支持基端部511Bとは反対側に配置されローラー510を回転可能に支持する支持先端部511A(アーム先端部)とを有する。なお、一対のローラー支持部511の支持基端部511Bは、左右方向(対向方向)に互いに間隔をおいて本体部50Hに支持されており、一対のローラー支持部511の支持先端部511Aは一対の支持基端部511Bよりも前後方向(支援装置50の移動方向)に間隔をおいた位置で左右方向において互いに対向して配置されている。
【0078】
図7乃至図9を参照して、把持部50Aは、更に、左右一対の回転軸510Aと、左右一対の軸受510Bと、左右一対のプーリー511Cと、左右一対のプーリー511Dと、左右一対のベルト512と、左右一対の軸受513と、左右一対の抜け止め部材514と、を有する。なお、図7および図9では、これら左右一対の各部材のうち左側のローラー510に対応する部材が図示されている。更に、把持部50Aは、左右一対のローラー510、左右一対のローラー支持部511に対して駆動力を供給する、左右一対の第1モーターM1(図7)と、左右一対の第2モーターM2(図9)と、を有する。なお、第1モーターM1および第2モーターM2は、それぞれ一つずつ配置され、不図示のギア機構によって左右のローラー510およびローラー支持部511に駆動力を伝達するものでもよい。第1モーターM1および第2モーターM2は、電動モータ(サーボモータ)からなる。なお、第1モーターM1は、モーター軸MGを有し、当該モーター軸MGは支持基端部511Bの内部に下方から進入するように配置されている(図9)。
【0079】
回転軸510Aは、ローラー510の回転における軸部を構成し、ローラー510に固定されている。本実施形態では、回転軸510Aは、上下方向に延びるように配置されている。なお、回転軸510Aには、ロードセル510A1(図9)が備え付けられている。当該ロードセル510A1は、回転軸510Aの回転負荷を検出する。
【0080】
軸受510Bは、ローラー支持部511の支持先端部511Aに固定され、回転軸510Aを回転可能に支持している。なお、図9に示すように、回転軸510Aは、上下2つの軸受510Bによって支持されている。プーリー511Cは、支持基端部511Bの内部に配置されるとともに、第1モーターM1のモーター軸MGの上端部に固定されている。一方、プーリー511Dは、支持先端部511Aの内部において、回転軸510Aに固定されている。ベルト512は、プーリー511Cとプーリー511Dとに掛け渡されている。なお、ベルト512に代えて、公知のチェーンなどが用いられてもよい。
【0081】
軸受513は、本体部50Hに固定されており、円筒状の支持基端部511Bの外周面を回転可能に支持している。抜け止め部材514は、本体部50Hの上面部に固定され、支持基端部511Bの外周部に固定されたフランジ511Fを上から押さえることで、ローラー支持部511が本体部50Hから脱離することを防止する。なお、支持基端部511Bの外周面のうち軸受513よりも下方部分には不図示のギア歯が形成されており、当該ギア歯は、第2モーターM2の出力軸(不図示)に連結されている。
【0082】
上記のような構成によれば、第1モーターM1(ローラー駆動部)が所定の回転方向に回転すると、モーター軸MGの上端部に固定されたプーリー511Cが回転することで、ベルト512、プーリー511Dを介して、回転軸510Aに回転駆動力が伝達される。この結果、回転軸510Aの上端部に固定されたローラー510が図5の矢印DR方向に回転する。この際、第1モーターM1は、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態で、一対のローラー510の外周面同士が互いに対向する領域において同じ方向にかつ同じ速度で移動するように、一対のローラー510を回転させる。そして、ローラー510の回転に伴って、左右一対のローラー510に挟持された主巻ロープ21が、図5の矢印DW方向に送り出される(主巻ロープ21が走行部50Bに対して前方に相対移動する)。
【0083】
また、第2モーターM2(把持駆動部)が予め設定された第1回転方向に回転されると、支持基端部511Bが第1モーターM1のモーター軸MGと同じ回転軸回りに回動する。この際、左右一対のローラー510が互いに近づくように、左右一対のローラー支持部511が回動(移動)する。この結果、左右一対のローラー510の外周面同士によって、主巻ロープ21を把持することが可能となる。一方、第2モーターM2が前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転されると、同様に、支持基端部511Bが第1モーターM1のモーター軸MGと同じ回転軸回りに回動(移動)する。この際、左右一対のローラー510が互いに離間するように、左右一対のローラー支持部511が回動する。この結果、左右一対のローラー510から、主巻ロープ21を開放することが可能となる。
【0084】
また、図10は、支援装置50の制動機構を示す断面図であり、図11は、支援装置50の制動機構を示す底面図である。支援装置50は、更に、ロック機構515(制動機構)を備える。ロック機構515は、一対のローラー510が主巻ロープ21の先端部を把持した状態で前記一対のローラー510の回転を阻止する機能を有する。より詳しくは、ロック機構515は、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態で一対のローラー510の回転を許容する許容状態と前記回転を阻止する制動状態とに切換可能であって、前記許容状態において一対のローラー510の回転によって主巻ロープ21を走行部50Bに対して前方に相対移動させる一方、前記制動状態において一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態を維持する。
【0085】
ロック機構515は、ローラー支持部511の支持基端部511Bの上面部に固定されている。ロック機構515は、ロック本体部515Aと、ロックレバー515Bと、を有する。ロック本体部515Aは、支持基端部511B上に固定され、ロックレバー515Bを水平な回転軸回りに揺動可能に支持している。ロックレバー515Bは、ロック本体部515Aからローラー510の下方に進入するように延びている。ロックレバー515Bの先端部には、円柱状の突起が設けられている。一方、ローラー510の下面部には、図11に示すような複数の円形のロック用凹部510Jが部分的に重なるように形成されている。複数のロック用凹部510Jは、ローラー510の周方向全体に亘って形成されている。
【0086】
左右一対のローラー510によって主巻ロープ21が把持された状態で、不図示の制動用モーターがロックレバー515Bを上方に揺動させると、ロックレバー515Bの前記突起が、直上のロック用凹部510Jに嵌合する。このように本実施形態では、ロック機構515が制動状態に切換えられることで、主巻ロープ21が把持された状態で、ローラー510が誤って回転することが抑止される。この結果、左右一対のローラー510による主巻ロープ21の送り出しや主巻ロープ21の脱落が抑止される。このような制御は、支援装置50がブーム16の基端部側から先端部側に至るまで走行しながら、主巻ロープ21を牽引(誘導)している間に行われる。一方、ロック機構515が許容状態に切換えられると、主巻ロープ21を把持および開放可能な一対のローラー510が、更に、主巻ロープ21を走行部50Bに対して相対移動させる、いわゆる送り出し機能を兼ね備えることができる。
【0087】
図12は、本実施形態に係る支援装置50の把持部50Aのローラー510の上下方向に沿った断面図である。図12に示すように、走行面と平行な方向から見て、ローラー510の外周面であるロープ把持面510F(把持面)は、内側に窪んだ曲面からなり、特に、所定の曲率半径Rを有した断面円形形状からなる。また、ロープ把持面510Fの上下端部に対するロープ把持面510Fの中央部の水平方向の窪み量がδと定義される。ここで、左右一対のローラー510によって把持される主巻ロープ21(ワイヤーロープ)の直径φが、A≦φ≦Bの場合、2σ<Aかつ2R>Bの関係が満たされることが望ましい。この場合、左右一対のローラー510は、互いに外径の異なる複数の主巻ロープ21をそれぞれ安定して挟持することができる。特に、ロープ把持面510Fの円弧部分で主巻ロープ21が挟持されるため、主巻ロープ21の脱離、落下が抑止される。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る支援装置50によれば、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21をブーム16の基端部側からブーム16の先端部側まで架け渡すワイヤーロープ配設作業(ワイヤリング)の作業性を向上することが可能となる。特に、前記配設作業のために、作業者がブーム16上に登る機会を最小限とし、作業者が主巻ロープ21を牽引しながらブーム16を移動することなく、前記配設作業を行うことが可能となる。したがって、作業者による高所作業を低減することで作業性が向上するとともに、作業時間を短縮することができる。
【0089】
また、一対のローラー510が互いに近づくように第2モーターM2がローラー支持部511を駆動(回動)しローラー510を移動させることで、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持することができる一方、一対のローラー510が互いに遠ざかるように第2モーターM2がローラー支持部511を駆動しローラー510を移動させることで、一対のローラー510から主巻ロープ21を開放することができる。
【0090】
また、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態で第1モーターM1が一対のローラー510を前記中心線(回転軸510A)回りに回転させることで、把持された主巻ロープ21を送り出すことが可能となり、ブーム16の先端部などで待機する作業者にスムーズに主巻ロープ21を受け渡すことができる。
【0091】
また、本実施形態では、一対のローラー510が左右方向において対向するように配置されている。更に、ローラー510は、その半径よりも高さ(厚み)が小さい寸法を有している。このため、図4に示すように支援装置50の高さを低くすることができる。この結果、支援装置50がブーム16上の障害物に干渉しにくく、また、支援装置50の重心が低くなることで走行安定性が高くなる。
【0092】
また、本実施形態では、一対の円形状のローラー510の外周面によって主巻ロープ21が把持される。一対のローラー510の外周面は、前記中心線と平行な方向(主巻ロープ21が延びる方向と交差する方向、上下方向)から見て互いに凸形状の曲面からなる。このため、主巻ウインチ20から主巻ロープ21が繰り出される位置が主巻ウインチ20の回転軸の方向に沿って変化し、主巻ウインチ20と支援装置50との間で主巻ロープ21が左右に揺れた場合でも、主巻ロープ21がローラー510の外周面(曲面)に沿うように移動するため、主巻ロープ21の損傷が抑止される。
【0093】
また、本実施形態では、本体部50H内に第1モーターM1(図7)、第2モーターM2(図9)が配置される。このため、左右一対のローラー支持部511の軽量化が実現されるとともに、支援装置50の重心を低く設定し、支援装置50の転倒を抑止することができる。
【0094】
また、本実施形態では、図9の回転軸510Aには、公知のロードセル510A1(トルク測定部、張力測定部)が備え付けられている。当該ロードセル510A1は、回転軸510Aの回転負荷を検出する。この結果、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態において、上記の回転負荷から主巻ロープ21の牽引張力を測定することができる。したがって、上記のロードセル510A1が出力する信号に応じて、主巻ロープ21が牽引されている状態や支援装置50に負荷がかかっている状態をモニタリングすることが可能となる。また、本実施形態では、支援装置50は、作業者がブーム16上を移動するために設けられた足場100上を走行する。このため、ブーム16上に支援装置50の専用の走行路を設ける必要がなく、クレーン1および支援装置50のコストが低減される。また、支援装置50の走行部50Bの左右方向における幅(左右一対のクローラ間の幅)が、足場100の幅よりも狭く設定されているため、支援装置50が足場100から脱落することが抑止される。
【0095】
また、本実施形態において、第2モーターM2がローラー支持部511を回転駆動することで、左右一対のローラー510が図5の位置よりも更に左方または右方に移動されると、一対のローラー510によって把持される主巻ロープ21が左方または右方に移動する。すなわち、左右一対のローラー支持部511(接続部)は、把持部50Aが走行部50Bに対して相対変位可能なように、把持部50Aと走行部50Bとを互いに接続する。特に、本実施形態では、接続部は、把持部50Aが走行部50Bに対して、左右方向(支援装置50の移動方向と直交し(交差し)かつ足場100の走行面と平行な方向)に相対的に移動可能なように、把持部50Aと走行部50Bとを互いに接続する。
【0096】
このような構成によれば、走行部50Bや主巻ロープ21の動きに応じて把持部50Aと走行部50Bとの相対的な位置関係を変化させることで、走行中の主巻ロープ21の張力の増大を抑制しながら、ブーム16上に主巻ロープ21を配設することができる。特に、主巻ウインチ20における主巻ロープ21の繰り出し位置が左右方向に変化した場合でも、把持部50Aを繰り出し位置にあわせて左右方向に移動させることができる。この際、第2モーターM2(駆動部)の駆動力によって、把持部50Aを走行部50Bに対して積極的に相対変位させることができる。
【0097】
また、本実施形態では、把持部50A(ロープ送り部)の一対のローラー510が、走行部50Bに支持され、主巻ロープ21を走行部50Bに対して前記移動方向先端側に相対移動させることが可能とされている。また、第2モーターM2(ローラー移動駆動部)は、一対のローラー510のうちの少なくとも一方のローラー510が他方のローラー510に対して接離するように、少なくとも一方のローラー510を移動させることが可能である。また、第1モーターM1(ローラー回転駆動部)は、一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態で一対のローラー510が主巻ロープ21を走行部50Bに対して相対移動させるように、一対のローラー510のうちの少なくとも一方のローラー510を回転させる。このため、走行部50Bの走行中は、把持部50Aによって主巻ロープ21を確実に把持することができる。更に、走行部50Bの走行によって支援装置50がブーム16の先端部側に到達し走行部50Bが停止すると、把持部50Aが主巻ロープ21を移動方向先端側に移動させることができる。このため、ブーム16の先端部側で待機する作業者やブーム16の先端部に配置されたシーブなどに主巻ロープ21を容易に受け渡すことができる。特に、一対のローラー510の相対的な接離動作および回転動作によって、主巻ロープ21を走行部50Bに対して相対移動させることができる。
【0098】
次に、上記の第1実施形態を基に、本発明の変形実施形態について説明する。なお、以後の各変形実施形態では、基となる実施形態との相違点について説明し、共通する点の説明を省略する。また、以下の変形実施形態は第1実施形態に係る支援装置50に限定して適用されるものではなく、後記の他の実施形態に係る支援装置に対しても適用可能である。
【0099】
図13は、本発明の第1変形実施形態に係る支援装置50の部分透視平面図である。図14は、本変形実施形態に係る支援装置50の内部構造を示す模式的な断面図である。本変形実施形態では、支援装置50の把持部50Aは、中央リンク516と、左右一対のサイドリンク517と、ばね518(付勢部材)と、を有する。中央リンク516は、本体部50Hの略中央部において、上下に延びる支点516Aを中心に回動可能なように支持されている。中央リンク516は、支点516Aから互いに反対の2つの方向に延びている。左右一対のサイドリンク517は、中央リンク516と左右一対のローラー支持部511(アーム)とをそれぞれ接続する。すなわち、図13の左側のサイドリンク517は、中央リンク516の一端部と左側のローラー支持部511の先端部とを接続する。同様に、図13の右側のサイドリンク517は、中央リンク516の他端部と右側のローラー支持部511の先端部とを接続する。なお、サイドリンク517の基端部は支点517Aにおいて中央リンク516に回動可能に支持され、サイドリンク517の先端部はローラー510と同じ軸線回りに回動可能なようにローラー支持部511に支持されている。ばね518は、一対のローラー支持部511の先端部(アーム先端部)が左右方向(対向方向)において互いに近づくように左右一対の一対のローラー支持部511を付勢する。ばね518の一端部は左側のローラー支持部511に接続され、ばね518の他端部は右側のローラー支持部511に接続されている。
【0100】
また、本変形実施形態では、本体部50Hの内部に配置された第3モーターM3(把持駆動部)(図14)が、中央リンク516を支点516A回りに回動させる。詳しくは、第3モーターM3は、一対のローラー支持部511の先端部がばね518の付勢力に抗して左右方向において互いに離れるように一対のローラー支持部511を支点516A回りに回動(移動)させる。このため、第3モーターM3の駆動力が発生していない状態では、ばね518の付勢力によって左右一対のローラー510の間に主巻ロープ21が把持可能とされる。一方、第3モーターM3が駆動力を発生すると、左右一対のローラー510が互いに離間し、主巻ロープ21が開放される。なお、第3モーターM3の駆動切換は、クレーン1の周囲に位置する作業者から無線通信などによって指示される。このように本変形実施形態では、第3モーターM3、中央リンク516、サイドリンク517、ばね518などの簡易な構成によって、主巻ロープ21の把持と開放とを安定して切換えることができる。特に、ばね518の付勢力をうけて、左右一対のローラー510が主巻ロープ21を安定して把持することができる。また、第3モーターM3が一対のローラー支持部511を回動させると、ばね518の付勢力に抗して一対のローラー510から主巻ロープ21を開放することができる。
【0101】
また、本変形実施形態では、ローラー510を支持するローラー支持部511の支持先端部511A(図9参照)とローラー支持部511の回動支点となる支持基端部511Bとが支援装置50の移動方向(前後方向)において異なる位置に配置されている。また、支持基端部511Bは、支持先端部511Aよりも左右方向の内側に配置されている。このため、第3モーターM3が一対の支持基端部511Bを回動させることで、ばね518の付勢力に抗して、一対のローラー510から主巻ロープ21を開放することができる。
【0102】
図15および図16は、本発明の第2変形実施形態に係る支援装置50の部分透視平面図である。図15に示すように、支援装置50は、中央リンク516と、コイルばね516Bと、左右一対の第1サイドリンク517と、左右一対の第2サイドリンク519と、を備えるものでもよい。コイルばね516Bは、支点516Aの外周部に外嵌されている。コイルばね516Bは、第1変形実施形態のばね518と同様に、一対のローラー支持部511の先端部(アーム先端部)が左右方向(対向方向)において互いに近づくように、中央リンク516、第1サイドリンク517および第2サイドリンク519を介して左右一対の一対のローラー支持部511を付勢する。
【0103】
左右一対の第1サイドリンク517は、中央リンク516の両端部に回動可能に接続されており、左右一対の第2サイドリンク519は、左右一対の第1サイドリンク517の先端部に回動可能に接続されている。また、左右一対の第2サイドリンク519の先端部は、ローラー支持部511の先端部に接続されている。
【0104】
図15に示される状態では、コイルばね516Bの付勢力によって、ローラー510が互いに近づくような力がローラー支持部511に付与されている。一方、先の変形実施形態の第3モーターM3(図14)と同様のモーターがコイルばね516Bの付勢力に抗して中央リンク516を図15の矢印方向に回動させると、左右一対のローラー510が互いに離間するように(図16の矢印参照)左右一対のローラー支持部511が回動する。この結果、左右一対のローラー510から主巻ロープ21が開放される。
【0105】
図17は、本発明の第3変形実施形態に係る支援装置50の部分透視平面図である。図17に示すように、左右一対のリンク520が支点520Aを支点として互いに屈曲可能に接続されてもよい。支点520Aから前方に延びるロッド521が不図示の駆動部によって前方に引かれると、ばね518の付勢力に抗して、左右一対のローラー510が互いに近づくように左右一対のローラー支持部511が回動し、主巻ロープ21を把持することができる。このように、本変形実施形態では、ロッド521の直線的な動作によって、一対のローラー510に強い把持力をもたらすことが可能となる。
【0106】
図18は、本発明の第4変形実施形態に係る支援装置50の部分透視平面図である。図18に示すように、左右一対のローラー支持部511の先端部を互いに接続する、伸縮シリンダ522を備える態様でもよい、伸縮シリンダ522は、左側のローラー支持部511に接続されるシリンダロッド522Aと、右側のローラー支持部511に接続されるシリンダ本体522Bと、を有する。図18の状態では、左右一対のローラー510の間に所定の間隔が形成されている。そして、伸縮シリンダ522のシリンダロッド522Aがシリンダ本体522Bに対して収縮すると、左右一対のローラー510の外周面同士が近付き、主巻ロープ21が把持可能とされる。このように、本変形実施形態では、伸縮シリンダ522の直接的な動力によって、一対のローラー510に強い把持力を備えることが可能となる。
【0107】
図19および図21は、本発明の第5変形実施形態に係る支援装置50の平面図である。図20および図22は、本変形実施形態に係る支援装置50の側面図である。本変形実施形態では、支援装置50は、リアガイド523(後端側案内部)と、伸縮シリンダ524と、を更に備える。リアガイド523は、本体部50Hの後方部分に配置されている。リアガイド523は、リアガイド本体523Aと、リアガイド支持部523Bと、を有する。リアガイド本体523Aは、平面視で三角形状の板部材である。なお、リアガイド本体523Aの左右両端縁には、上方に突出したリブ523H(図21)が配置されている。リアガイド支持部523Bは、リアガイド本体523Aと本体部50Hとを接続し、リアガイド本体523Aを支持する。
【0108】
リアガイド523は、把持部50Aよりも支援装置50の移動方向の上流側において本体部50Hに支持され、主巻ロープ21の下方に配置され主巻ロープ21を支持可能であるとともに把持部50Aに向かって主巻ロープ21を案内する。このような構成によれば、ブーム16の基端部側の足場100上に支援装置50が配置された状態で、主巻ウインチ20から送り出された主巻ロープ21を把持部50Aに容易に案内することが可能となる。この結果、支援装置50による主巻ロープ21の把持作業が容易に実現される。
【0109】
更に、本変形実施形態では、図22に示すように、リアガイド支持部523B(図20)が、伸縮シリンダ524(後端側案内駆動部)を有する。伸縮シリンダ524は、リアガイド523を上下に移動させることができる。伸縮シリンダ524の基端部は本体部50Hに接続され、伸縮シリンダ524の先端部はリアガイド本体523Aの後端部の下面に接続されている。なお、伸縮シリンダ524の先端部は、リアガイド本体523Aに対して水平な回転軸回りに回動可能に支持されることが望ましい。伸縮シリンダ524が伸長すると、図22に示すように、リアガイド本体523Aの後端部が上方に押し上げられる。
【0110】
支援装置50が足場100のうちブーム16の先端部部分に到着すると、左右一対のローラー510が回転されることで、主巻ロープ21が前方に送り出される。そして、ブーム16の先端部付近で待機している作業者が、主巻ロープ21の先端部を受け取り他のアイドラシーブユニット150(図25参照)に掛け渡す。更に、支援装置50をブーム16の先端部から脱離させるために、左右一対のローラー510が互いに離間するように左右一対のローラー支持部511が回動される。
【0111】
この際、主巻ロープ21の一部が左右一対のローラー510の間に位置すると、支援装置50が主巻ロープ21と干渉しやすく、支援装置50を足場100から脱離させることが困難となる。そこで、本変形実施形態では、図22に示すように、所定の指令信号によって伸縮シリンダ524が伸長され、リアガイド本体523Aの後端部が上方に押し上げられる。この結果、左右一対のローラー510の間に位置していた主巻ロープ21が、ローラー510よりも高い位置に押し上げられ、把持部50Aから脱離される(図22)。この結果、支援装置50の走行部50Bによって、支援装置50が図21の矢印のように主巻ロープ21の下方(図22)を側方に移動することができる。したがって、支援装置50を主巻ロープ21から容易に脱離させることが可能となる。
【0112】
図23は、本発明の第6変形実施形態に係る支援装置50の平面図である。図24および図25は、本変形実施形態に係る支援装置50の側面図である。
【0113】
本変形実施形態では、支援装置50は、フロントガイド525(先端側案内部)と、伸縮シリンダ526(先端側案内駆動部)と、を更に備える。フロントガイド525は、本体部50Hの前方部分に配置されている。フロントガイド525は、平面視で三角形状の板部材である。なお、フロントガイド525の左右両端縁にも、上方に突出したリブが配置されていることが望ましい。伸縮シリンダ526は、フロントガイド525の前後方向の中央部と本体部50Hとを接続し、リアガイド本体523Aを支持する。なお、図24に示すように、フロントガイド525の後端部は、本体部50Hに配置された軸受525Aに回動可能に支持されている。
【0114】
フロントガイド525は、把持部50Aよりも支援装置50の移動方向の下流側において本体部50Hに支持され、主巻ロープ21の下方に配置され主巻ロープ21を支持可能であるとともに前方(支援装置50の移動方向下流側)に向かって主巻ロープ21を案内する。このような構成によれば、支援装置50がブーム16上の目標位置に到達すると、主巻ロープ21をたとえばアイドラシーブユニット150(図25)に容易に案内することが可能となる。この結果、ブーム16の先端部における主巻ロープ21の受け渡し作業が容易に実現される。
【0115】
また、伸縮シリンダ526は、伸縮動作によってフロントガイド525を上下に移動させることができる。
【0116】
前述と同様に、支援装置50が足場100のうちブーム16の先端部に到着すると、左右一対のローラー510が回転されることで、主巻ロープ21が前方に送り出され、フロントガイド525(図24)によって前方に案内される。更に、図25に示すように、所定の指令信号によって伸縮シリンダ526が伸長され、フロントガイド525の前端部が上方に押し上げられる。この結果、主巻ロープ21の先端部を、ブーム16の先端部に配置されたアイドラシーブユニット150に容易に受け受け渡すことができる。また、ブーム16上で待機する作業者の身長、姿勢や他のシーブなどの高さに応じてフロントガイド525を上下に移動させることで、把持部50Aから開放された主巻ロープ21を、前記作業者などに更に安定して受け渡すことができる。
【0117】
図26は、本発明の第7変形実施形態に係る支援装置50の制動機構を示す断面図である。先の実施形態では、図10図11に示すようなロック機構515の構造に基づいて説明した。本変形実施形態では、ロック機構515が、ロック本体部515Aと、上下一対のロックレバー515Bと、を有する。ロックレバー515Bは、水平な回転軸回りに上下に揺動可能にロック本体部515Aに支持されている。上下一対のロックレバー515Bは、ローラー510の周方向の一部を上下から挟持することが可能とされている。なお、ロックレバー515Bの先端部のうち、ローラー510に対向する部分には、公知のブレーキパッドなどが固定されている。このような構成によれば、左右一対のローラー510が主巻ロープ21を把持した状態で、上下一対のロックレバー515Bがローラー510を上下から挟持することで、ローラー510の回転を阻止することができる。特に、本変形実施形態では、ローラー510の回転位置によらずに、上記のブレーキパッドがローラー510に当接しローラー510を制動することができる。
【0118】
図27は、本発明の第8変形実施形態に係る支援装置50の制動機構を示す平面図である。図28は、本変形実施形態に係る支援装置50の制動機構を示す断面図である。本変形実施形態では、支援装置の把持部50Aが、左右一対のスプライン527と、支持ブラケット528と、第4モーターM4(図28)と、を有する。左右一対のスプライン527は、ローラー支持部511の下方において、前述の第1モーターM1のモーター軸MGに固定されている。
【0119】
支持ブラケット528は、左右のローラー支持部511の間において本体部50Hの内部に配置されている。支持ブラケット528は、ブラケット本体528Aと、スライダ528Bと、ピニオン528Cと、を有する。ブラケット本体528Aは、本体部50Hに固定されている。スライダ528Bは、ブラケット本体528Aに前後方向にスライド移動可能なように支持されている。スライダ528Bには、ピニオン528Cと嵌合するラックギア528Hが形成されている。ピニオン528Cは、第4モーターM4に接続されており、第4モーターM4の回転駆動力を受けて水平な軸回りに回転する。ピニオン528Cの回転によって、スライダ528Bが後方にスライド移動すると、スライダ528Bの後端部に配置された左右一対の突起528K(図27)が、左右一対のスプライン527に係合する。この結果、左右のモーター軸MGの回転が阻止され、ローラー510の回転が阻止される。なお、本変形実施形態では、制動機構が本体部50Hに配置されている。このため、ローラー支持部511に制動機構が備えられている場合と比較して、支援装置50の重心を低くし、支援装置50の転倒を抑止することができる。
【0120】
図29は、本発明の第9変形実施形態に係る支援装置50の平面図である。図30は、本変形実施形態に係る支援装置50の側面図である。先の第1実施形態では、支援装置50が、図3に示すように、左右一対のローラー510を備える態様にて説明した。本変形実施形態では、支援装置50は、左右二対のローラー510と、左右一対のローラー支持部511と、左右一対のベルト512と、を備えている。左右一対のローラー支持部511の前後にそれぞれ一対のローラー510が回転可能に支持されている。また、左右一対のローラー支持部511内のプーリー511Cがそれぞれ回転されると、左右のベルト512を介して、前後左右4つのローラー510がそれぞれ回転する。このような構成においても、先の第1実施形態と同様の構造で、左右一対のローラー支持部511が左右方向において接離することで、前後左右4つのローラー510によって主巻ロープ21を把持および開放することが可能となる。また、左右のベルト512の周回によって、前後左右4つのローラー510が回転し、挟持された主巻ロープ21を前方に送り出すことが可能となる。
【0121】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図31は、本実施形態に係る支援装置60の側面図である。図32は、本実施形態に係る支援装置60の平面図である。図33は、本実施形態に係る支援装置60がブーム16上の足場100のクランク部100Cを走行する様子を示す平面図である。
【0122】
本実施形態においても、支援装置60は、先の第1実施形態と同様に、把持部60Aと、本体部60Hを含む走行部60Bと、を備える。
【0123】
把持部60Aは、把持ユニット610と、旋回ユニット620と、第5モーターM5(図31)と、を有する。把持ユニット610は、支援装置60のうち、主巻ロープ21を把持および開放可能な部分である。旋回ユニット620は、把持ユニット610を支持する。旋回ユニット620は、平面視で円形形状を有し、本体部60Hの上面部に装着されている。旋回ユニット620は、上下方向に延びる回転軸回りに回転可能とされている。図31に示すように、第5モーターM5は、本体部60Hの内部に配置され、第5モーターM5の出力軸は旋回ユニット620に固定されている。第5モーターM5は第3回転方向および前記第3回転方向とは反対の第4回転方向に回転可能とされており、当該回転に応じて、把持ユニット610を支持した旋回ユニット620が、本体部60Hに対して各回転方向に相対回転する。
【0124】
このような構成によれば、図33に示すように、支援装置60が足場100のクランク部100C(図2)に到達すると、走行部60Bは、支援装置60の進行方向を前方向から右方向に切り換えるように走行する。この際、旋回ユニット620は、主巻ロープ21の延びる方向が変化しないように、すなわち、引き続き主巻ロープ21が前後方向に沿って延びるように、走行部60B(本体部60H)に対して相対的に90度回転する。この結果、旋回ユニット620が相対回転しない場合と比較して、主巻ロープ21の屈曲、損傷が抑止される。
【0125】
また、本実施形態のように、旋回ユニット620が把持ユニット610に対して相対回転可能な場合、主巻ウインチ20のリリースポイント(主巻ロープ21の繰り出し位置)の変化にも柔軟に対応することができる。すなわち、図2において、主巻ウインチ20から主巻ロープ21が繰り出される位置は、主巻ウインチ20のドラム上を左右に移動する。この結果、主巻ウインチ20から支援装置60に延びる主巻ロープ21は前後方向(ブーム16が延びる方向)に対して左右両側に交互に傾斜する。仮に、旋回ユニット620が旋回できない場合には、主巻ロープ21のうち把持ユニット610によって把持されている部分が左右両側に交互に屈曲する。一方、本実施形態のように旋回ユニット620が把持ユニット610に対して旋回可能な場合、走行部60Bは足場100上を前後方向に沿って走行(直進)しながら、旋回ユニット620は主巻ウインチ20から主巻ロープ21が繰り出される方向に沿って把持ユニット610の姿勢を調整するように旋回することができる。したがって、上記のような主巻ロープ21の屈曲が抑止され、主巻ロープ21の損傷が防止される。
【0126】
すなわち、本実施形態では、旋回ユニット620(接続部)が、把持部60Aの把持ユニット610が走行部60Bに対して相対変位可能なように、把持部60Aと走行部60Bとを互いに接続する。より詳しくは、旋回ユニット620は、把持部60Aが走行部60Bに対して前記走行面と直交する(交差する)方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なように、把持部60Aと走行部60Bとを互いに接続する。そして、第5モーターM5(図31)(駆動部)が、把持部60Aを走行部60Bに対して相対変位させる。
【0127】
このため、走行部60Bや主巻ロープ21の動きに応じて、把持部60Aと走行部60Bとの相対的な位置関係を変化させることで、走行中の主巻ロープ21の張力の増大を抑制しながら、ブーム16上に主巻ロープ21を配設することができる。また、第5モーターM5の駆動力によって、把持部60Aを走行部60Bに対して積極的に相対変位させることができる。なお、第5モーターM5の駆動力を受けることなく、旋回ユニット620が走行部60Bに対して旋回(回動)可能に支持される構成でもよい。この場合、主巻ウインチ20と把持部60Aとの間の主巻ロープ21の方向に応じて、旋回ユニット620が走行部60Bに対して旋回することで、主巻ロープ21に係る張力の増大が抑止される。
【0128】
図34および図35は、本実施形態に係る支援装置60の把持部610の断面図である。また、図36は、支援装置60の把持部610が主巻ロープ21を送り出す様子を示す模式的な断面図である。図37は、支援装置60の把持部610の断面図である。図38は、支援装置60の第1押圧ピン612の(A)正面図、(B)側面図である。
【0129】
把持ユニット610は、ユニット本体611(保持部材)と、第1押圧ピン612(押圧部材)と、第2押圧ピン613(押圧部材)と、第3押圧ピン614(押圧部材)と、を有する。
【0130】
ユニット本体611は、把持ユニット610の本体部分であって、主巻ロープ21が挿通されることを許容する内部空間を囲む筒状の部材からなる。第1押圧ピン612、第2押圧ピン613、第3押圧ピン614は、前記内部空間に挿通された主巻ロープ21を互いに異なる方向から押圧する第1押圧ローラー612S、第2押圧ローラー613S、第3押圧ローラー614S(いずれも押圧部)をそれぞれ含み、これらの押圧ローラーが主巻ロープ21に接離する方向(主巻ロープ21の径方向)に沿って移動可能なようにユニット本体611に支持されている。本実施形態では、図34図35に示すように、第1押圧ピン612(所定の押圧部材)がユニット本体611の下側部分に上下移動可能に支持されている。また、第2押圧ピン613および第3押圧ピン614は、第1押圧ピン612から見て斜め上方の位置にそれぞれ配置されている。すなわち、これらの押圧ピンは互いに周方向に異なる位置に配置されている。そして、このように3本(複数)の押圧ピンの径方向に沿った移動によって、主巻ロープ21を安定して把持することができる。
【0131】
第1押圧ピン612は、図38に示すように、ピン本体部612Aと、ピン伸縮部612Bと、を有する。第1押圧ピン612は、公知のシリンダ構造を有しており、後記の第7モーターM7(図47)と同様の駆動部(押圧部材駆動部)が発生する駆動力を受けて、ピン伸縮部612Bがピン本体部612Aに対して相対移動することで、第1押圧ピン612が伸縮する。なお、第2押圧ピン613および第3押圧ピン614の伸縮構造についても、第1押圧ピン612と同様である。
【0132】
第1押圧ローラー612S、第2押圧ローラー613Sおよび第3押圧ローラー614Sは、それぞれ、支援装置60の移動方向と直交する(交差する)方向に延びる軸回りに回転可能なように、第1押圧ピン612、第2押圧ピン613および第3押圧ピン614にそれぞれ支持されている。このため、支援装置60がブーム16上の目標位置に到達すると、把持部60A(把持ユニット610)から主巻ロープ21を容易に抜き出すことができる。なお、これらの押圧ローラーは、弾性部材からなることが望ましい。この場合、主巻ロープ21の損傷が抑止される。また、主巻ロープ21の下方部分を支持する第1押圧ローラー612Sは、図37に示されるように、中央部が凹没した外周形状を備えているため、主巻ロープ21を安定して保持することができる。これらの押圧ローラーは、空転可能なアイドラローラでもよいが、先の第1実施形態と同様に、主巻ロープ21の送り出し機能を備えることが望ましい。本実施形態では、把持ユニット610が、第1押圧ローラー612Sを回転駆動させる第6モーターM6(押圧ローラー駆動部)を有している(図38)。第6モーターM6は、図36に示すように、第1押圧ローラー612Sを前記軸回りに回転させることで、第2押圧ローラー613Sおよび第3押圧ローラー614Sとともに、主巻ロープ21を前記移動方向下流側(前方)に送り出すことが可能となる(主巻ロープ21を走行部60Bに対して相対移動させる)。したがって、支援装置60がブーム16の先端部に至った際に、作業者やアイドラシーブユニット150(図25参照)に主巻ロープ21を容易に受け渡す(送り出す)ことができる。
【0133】
なお、第1押圧ローラー612S、第2押圧ローラー613Sおよび第3押圧ローラー614Sには、前述のロック機構515と同様の機能を備えた不図示の制動機構が備えられることが望ましい。当該制動機構は、前記複数の押圧ピンの前記押圧ローラーが主巻ロープ21を把持した状態で前記押圧ローラーの回転を許容する許容状態と前記回転を阻止する制動状態とに切換可能であって、前記許容状態において前記押圧ローラーによって主巻ロープ21を走行部60Bに対して相対移動させ、前記制動状態において前記複数の押圧部材の前記押圧ローラーによって主巻ロープ21を把持し続ける。この場合、制動機構の制動状態では、支援装置60の走行中に、把持された主巻ロープ21が誤って脱落することが抑止される。一例として、各押圧ローラーの周面または側面に公知のブレーキパッドなどの摩擦部材が押し付けられることで、各ローラーに必要に応じて制動力(ブレーキ力)が付与される。また、各押圧ローラーの回転軸の外周面に公知のスプラインのような複数の凹凸が形成され、当該凹凸に爪部材が係合されることで、制動力が付与されるものでもよい。
【0134】
また、ユニット本体611は、ユニット固定部611A(固定部)と、ユニット開閉部611B(可動部)と、を有する(図34)。ユニット固定部611Aは、ユニット本体611の周方向において約270度の範囲で前記内部空間の一部を画定している。ユニット開閉部611Bは、ユニット本体611の上端部に配置され、ユニット固定部611Aとともに前記内部空間の一部を画定する部分であって、ユニット本体611の周方向において約90度の範囲で前記内部空間の一部を画定している。
【0135】
ユニット開閉部611Bは、ユニット固定部611Aに対して支点部611Cを支点として回動(相対移動)可能とされており、ユニット固定部611Aとともに前記内部空間を画定する閉じ状態と前記内部空間を開放する開状態との間で切換可能とされる。このような構成によれば、支援装置60がブーム16の先端部に至った際に、作業者がユニット開閉部611Bをユニット固定部611Aに対して回動させることで、主巻ロープ21を把持ユニット610から脱離させることができる。換言すれば、支援装置60の走行中は、主巻ロープ21の周囲を把持ユニット610のユニット本体611が囲んでいるため、主巻ロープ21が把持ユニット610から脱離することが抑止される。また、ユニット開閉部611Bは、主巻ロープ21が前記内部空間から上方に離脱可能なように前記開状態において前記内部空間を上向きに開放する。
【0136】
次に、上記の第2実施形態を基に、本発明の変形実施形態について説明する。また、以下の変形実施形態も第2実施形態に係る支援装置60に限定して適用されるものではなく、後記の他の実施形態に係る支援装置に対しても適用可能である。
【0137】
図39は、本発明の第10変形実施形態に係る支援装置70の側面図である。図40は、支援装置70の平面図である。図41および図42は、支援装置70が障害物を乗り越える様子を示す側面図である。本変形実施形態においても、先の第2実施形態と同様に、支援装置70は、把持部70Aと、本体部70Hを含む走行部70Bと、を備える。第2実施形態では、旋回ユニット620の上面部に把持ユニット610が支持される態様にて説明したが、本変形実施形態では、把持部70Aは、把持ユニット711と、旋回ユニット712と、左右一対のブラケット713と、揺動軸714と、を有する。旋回ユニット712は、本体部70Hに対して旋回(相対回転)可能である。左右一対のブラケット713は、旋回ユニット712の上面部に間隔をおいて配置されている。揺動軸714は、ブラケット713と直交して(交差して)延びる軸部であって、左右一対のブラケット713を接続する。
【0138】
本変形実施形態では、第2実施形態に係る把持ユニット610と同様の構造を備えた把持ユニット711が、揺動軸714によって揺動可能に保持されている。特に、把持ユニット711は、支援装置70の姿勢などに応じて主巻ロープ21の張力または主巻ロープ21の重さにより回転することができるように、揺動軸714に相対回転可能に支持されている。支援装置60がブーム16の足場100上を走行すると、図2のガイドローラーユニット164のような障害物が存在する場合がある。支援装置60は、ガイドローラーユニット164を乗り越えなければ、足場100上を走行し続けることができない。そこで、支援装置70は、図41図42に示すように、走行部70Bのクローラによってガイドローラー164Aを乗り越えるように走行する。この際、主巻ロープ21を把持した把持ユニット711が揺動軸714に対して揺動可能であるため、把持ユニット711において主巻ロープ21がほぼ水平に保持され、主巻ロープ21の姿勢が変わりにくい。したがって、主巻ロープ21に余分な力、負荷が掛かりにくく、主巻ロープ21を安定して牽引、案内することができる。
【0139】
すなわち、本変形実施形態では、ブラケット713および揺動軸714(いずれも接続部)が、把持部70Aの把持ユニット711が走行部70Bに対して相対変位可能なように、把持部70Aと走行部70Bとを互いに接続する。より詳しくは、ブラケット713および揺動軸714は、把持部70Aが走行部70Bに対して、前記移動方向と直交し(交差し)かつ前記走行面と平行な方向に延びる横軸回りに相対的に回動可能なように、把持部70Aと走行部70Bとを互いに接続する。
【0140】
このため、走行部70Bや主巻ロープ21の動きに応じて、把持部70Aと走行部70Bとの相対的な位置関係を変化させることで、走行中の主巻ロープ21の張力の増大を抑制しながら、ブーム16上に主巻ロープ21を配設することができる。
【0141】
なお、本変形実施形態のような機能を備えない場合には、作業者が予めガイドローラーユニット164のガイドローラー164Aをブラケット164Bから取り外せばよい。また、把持ユニット711が主巻ロープ21の張力または主巻ロープ21の重さにより揺動軸714に対して揺動する態様に限らず、所定の指令信号を受けて把持ユニット711を揺動軸714回りに所定の角度だけ回動させる駆動源(駆動部)が備えられる態様でもよい。この場合、前記駆動源が、把持部70Aを走行部70Bに対して相対変位させるため、当該駆動源の駆動力によって、把持部70Aを走行部70Bに対して積極的に相対変位させることができる。
【0142】
図43は、本発明の第11変形実施形態に係る支援装置の把持部の断面図(A)、(B)である。先の第2実施形態では、ユニット開閉部611Bが回動された後、作業者によって主巻ロープ21が取り出される態様にて説明した。本変形実施形態では、図43(A)、(B)に示すように、第1押圧ピン612の伸長ストロークが第2実施形態よりも大きく設定されている。本変形実施形態では、ユニット開閉部611Bは、主巻ロープ21が前記内部空間から上方に離脱可能なように前記開状態において前記内部空間を上向きに開放する。そして、第1押圧ピン612(所定の押圧部材)は、ユニット開閉部611Bの前記開状態において前記内部空間に配置された主巻ロープ21を前記内部空間から離脱する位置まで押し上げることが可能なように、ユニット本体611の下側部分に上下移動可能に支持されている。なお、第1押圧ピン612の上端部(第1押圧ローラー612S)がユニット固定部611Aの上端部よりも高い位置まで上昇することが可能なように、主巻ロープ21から離間した状態の第2押圧ピン613と第3押圧ピン614との間に、第1押圧ピン612の通過スペースが確保されている(図43(B))。このような構成によれば、支援装置60がブーム16上の目標位置に至った際に、ユニット開閉部611Bが開状態とされることで、主巻ロープ21を把持部60Aから脱離させることができる。一方、支援装置60の走行中は、主巻ロープ21の周囲を筒状のユニット本体611が囲んでいるため、主巻ロープ21が把持部60Aから脱離することが抑止される。なお、他の変形実施形態において、ユニット開閉部611Bがユニット固定部611Aに対して回動する駆動力を発生する駆動源を有し、ユニット開閉部611Bの開閉と主巻ロープ21の脱離とが遠隔操作で実現されてもよい。
【0143】
図44は、本発明の第12変形実施形態に係る支援装置70の平面図である。なお、図44では、把持部の図示を省略している。本変形実施形態では、支援装置70が、フロントガイド720と、回転軸722と、左右一対のブラケット723と、を備える。フロントガイド720は、前記把持部よりも支援装置70の移動方向の下流側において本体部70Hに支持され、主巻ロープ21の下方に配置され主巻ロープ21を支持可能であるとともに主巻ロープ21を前記移動方向下流側に案内する。フロントガイド720の左右両側縁には、主巻ロープ21の脱落を防止するリブ721が配置されている。
【0144】
左右一対のブラケット723は、旋回ユニット712に固定されている。回転軸722は、左右一対のブラケット723を接続する軸部である。フロントガイド720は、回転軸722を支点として上下に揺動可能である。この結果、図25に示される支援装置50と同様に、ブーム16の先端部側で待機する作業者やアイドラシーブユニット150に主巻ロープ21を安定して受け渡すことができる。なお、本変形実施形態においても、フロントガイド720を上下に移動させる不図示の伸縮シリンダなどが配置されてもよい。
【0145】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る支援装置80について説明する。図45は、本実施形態に係る支援装置80の側面図である。図46は、支援装置80の平面図である。図47は、支援装置80の背面図である。図48は、支援装置80の把持部の側面図(A)、(B)である。図49は、支援装置80の把持部が主巻ロープ21を把持する様子を示す側面図(A)、(B)である。
【0146】
本実施形態に係る支援装置80は、先の第1実施形態と同様の機能を備える、把持部80Aと、本体部80Hを含む走行部80Bと、を備えるとともに、更に送り部80C(ローラー送り部)とを備える。
【0147】
把持部80Aは、本体部80Hの前側部分に支持(接続)され、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21を把持することが可能である一方、主巻ロープ21を開放することが可能とされている。走行部80Bは、倒伏した状態のブーム16の上面部(足場100)上を少なくともブーム16の前記基端部から前記先端部に向かう移動方向に走行することが可能である。
【0148】
本実施形態では、把持部80Aは、支持部810(支持体、上下移動部)と、上把持爪812および下把持爪813(一対の把持部材)と、第8モーターM8(図49)(把持部材移動駆動部)と、を備える。支持部810は、本体部80Hから上方に延びている。上把持爪812および下把持爪813は、支持部810の上端部において、互いに対向するように支持部810に装着されている。図48に示すように、上把持爪812は2つの爪を有し、下把持爪813は、上記2つの爪の間に進入する1つの爪を有している。また、上把持爪812および下把持爪813は、前記把持面を構成する内周面であって主巻ロープ21が延びる方向と直交する(交差する)断面で見た場合主巻ロープ21の外周面を受け入れることが可能なように凹状に形成された内周面をそれぞれ有し、上把持爪812および下把持爪813のうち少なくとも一方の把持爪が他方の把持爪に対して水平な軸(所定の回転軸)回りに相対的に回動可能とされている。そして、上把持爪812の前記把持面は、前後方向と直交する(交差する)把持方向の一端側から主巻ロープ21に接触し、下把持爪813の前記把持面は前記把持方向の他端側から主巻ロープ21に接触するように配置されている。具体的に、図49(A)に示すように、本実施形態では、第8モーターM8(爪駆動部)の駆動力を受けて、上把持爪812が水平な軸回りに上下に回動可能とされている。そして、上把持爪812および下把持爪813が互いに近づくように上把持爪812が回動すると、上把持爪812および下把持爪813の前記把持面によって主巻ロープ21が把持可能とされ、上把持爪812および下把持爪813が離れるように上把持爪812が回動すると、上把持爪812および下把持爪813から主巻ロープ21が開放される。この結果、図49(B)に示すように、上把持爪812と下把持爪813との間で主巻ロープ21が安定して把持および開放可能とされる。また、上把持爪812および下把持爪813の前記把持面は、主巻ロープ21が延びる方向(前後方向)において互いに異なる位置で主巻ロープ21を把持するように配置されている(図48)。したがって、上把持爪812および下把持爪813が互いに干渉することなく、上把持爪812の2つの爪の間に下把持爪813の1つの爪が進入する進入量に応じて、上把持爪812と下把持爪813との間に形成される空間のサイズが変化する。このため、図48(A)、(B)に示すように、把持部80Aは、互いに異なるさまざまな直径の主巻ロープ21を安定してそれぞれ把持することができる。
【0149】
なお、第8モーターM8の駆動力を受けて、下把持爪813が上下に回動することで主巻ロープ21が把持されてもよく、第8モーターM8の駆動力を受けて、上把持爪812および下把持爪813の両者が回動することで主巻ロープ21が把持されるものでもよい。また、第8モーターM8を備えることなく、ブーム16の基端部において作業者が手動で上把持爪812と下把持爪813との間に主巻ロープ21を把持し、ブーム16の先端部において作業者が上把持爪812および下把持爪813から主巻ロープ21を開放する態様でもよい。
【0150】
図45乃至図47を参照して、送り部80Cは、送り部80Cは、本体部80Hの後側部分に支持されている。送り部80Cは、左右方向(前記移動方向と直交する(交差する)方向)に延びる一対の中心線上にそれぞれ配置された上ローラー851および下ローラー852(一対のローラー、一対の把持部材)と、上ローラー支持部851Sと、下ローラー支持部852Sと、第7モーターM7(図47)(駆動源)と、を備える。上ローラー851および下ローラー852の外周面は、前記中心線と平行な方向(主巻ロープ21が延びる方向と交差する方向)から見て互いに凸形状の曲面(円周面)からなる。また、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sは、上ローラー851および下ローラー852の外周面同士が上下方向(前記移動方向と交差する方向)において互いに対向するように、上ローラー851および下ローラー852をそれぞれ支持する。上ローラー851の外周面と下ローラー852の外周面との間に、主巻ロープ21が挟持される。なお、把持される主巻ロープ21の損傷を抑止するために、上ローラー851および下ローラー852は、弾性部材から構成されることが望ましい。
【0151】
図47を参照して、上ローラー支持部851S(シリンダ)は、回転軸851Aを支持する伸縮ロッド851S1と、本体部80Hに支持されたシリンダ本体851S2と、を有する。伸縮ロッド851S1は、第7モーターM7(駆動源)の駆動力を受けて、シリンダ本体851S2に対して上下方向に移動(伸縮)する。回転軸851Aは、左右方向に延びるとともに、上ローラー851の回転における軸部として機能する。同様に、下ローラー支持部852S(シリンダ)は、回転軸852Aを支持する伸縮ロッド852S1と、本体部80Hに支持されたシリンダ本体852S2と、を有する。伸縮ロッド852S1は、第7モーターM7の駆動力を受けて、シリンダ本体852S2に対して上下方向に移動(伸縮)する。回転軸852Aは、左右方向に延びるとともに、下ローラー852の回転における軸部として機能する。このように、本実施形態では、一対のローラーが上下方向において互いに対向して配置され、当該一対のローラー間に主巻ロープ21が把持される。このため、支援装置80の左右方向における幅が小さく、ブーム16上の走行幅に著しい制限があっても、支援装置80がブーム16上を走行することができる。
【0152】
また、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sの内部には、第7モーターM7の駆動力を上ローラー851および下ローラー852に回転駆動力として伝達する不図示のギア機構が配置されている。第7モーターM7の駆動力が、上ローラー851および下ローラー852の回転動作と、上ローラー支持部851Sの伸縮動作と、下ローラー支持部852Sの伸縮動作とに、選択に伝達されることができるように、本体部50Hの内部に不図示の電磁クラッチが備えられている。このように、本実施形態では、第7モーターM7が各シリンダを伸縮させることによって、一対のローラーによって主巻ロープ21を把持、開放することができる。
【0153】
支援装置80がブーム16の基端部側の初期位置に配置されると、主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21が送り部80Cの上ローラー851と下ローラー852との間に挿通される。この際、上ローラー851と下ローラー852とによって主巻ロープ21を強く把持する必要ななく、両ローラーがガイド部材として機能すればよい。更に、主巻ロープ21の先端部は、前方に引き出され、把持部80Aの上把持爪812と下把持爪813とによって把持される。この状態で、走行部80Bが走行することで支援装置80がブーム16の先端部側に至ると、まず、上ローラー851と下ローラー852とによって主巻ロープ21が強く挟持される。次に、把持部80Aの上把持爪812が上方に回動され、上把持爪812と下把持爪813とによる主巻ロープ21の把持力が開放される。そして、上ローラー851と下ローラー852とが図45の矢印方向に回転されることで、主巻ロープ21の先端部が把持部80Aよりも更に前方に送り出される。この結果、ブーム16の先端部で待機する作業者や前述のアイドラシーブユニット150などに主巻ロープ21を受け渡すことが可能となる。
【0154】
本実施形態では、主巻ロープ21を把持する把持部80Aと、主巻ロープ21を前方に送り出す送り部80Cとが、互いに独立して設けられている。このため、把持部80Aおよび送り部80Cを簡易な構造で実現することができるとともに、支援装置80の走行中には確実に主巻ロープ21を把持し、ブーム16の中間部や先端部では主巻ロープ21をアイドラシーブユニット150や作業者に容易に送り出すことが可能となる。
【0155】
特に、本実施形態では、送り部80Cの一対のローラー(上ローラー851および下ローラー852)が、走行部80Bに支持され、主巻ロープ21を走行部80Bに対して前記移動方向先端側に相対移動させることが可能とされている。また、第7モーターM7(ローラー移動駆動部)は、一対のローラーのうちの少なくとも一方のローラーが他方のローラーに対して接離するように、少なくとも一方のローラーを移動させることが可能である。また、第7モーターM7(ローラー回転駆動部)は、一対のローラーが主巻ロープ21を把持した状態で一対のローラーが主巻ロープ21を走行部80Bに対して相対移動させるように、一対のローラーのうちの少なくとも一方のローラーを回転させる。このため、走行部80Bの走行中は、把持部80Aによって主巻ロープ21を確実に把持することができる。更に、走行部80Bの走行によって支援装置80がブーム16の先端部側に到達し走行部80Bが停止すると、把持部80Aによる主巻ロープ21の把持が開放され、送り部80Cが主巻ロープ21を移動方向先端側に移動させることができる。このため、ブーム16の先端部側で待機する作業者やブーム16の先端部に配置されたシーブなどに主巻ロープ21を容易に受け渡すことができる。特に、一対のローラーの相対的な接離動作および回転動作によって、主巻ロープ21を走行部80Bに対して相対移動させることができる。
【0156】
また、本実施形態では、図45に示すように、送り部80Cは、把持部80Aよりも支援装置80の移動方向後端側で走行部80Bに支持されている。このため、すなわち、送り部80Cが、主巻ロープ21を把持する把持部80Aと主巻ウインチ20との間に配置されている。このため、走行部80Bの走行中に、送り部80Cから主巻ロープ21が脱離することが抑止される。
【0157】
なお、図45に示される支援装置80において、送り部80Cが把持部80Aとしての機能を兼ね備えるとともに、把持部80Aが送りガイド部として機能する態様でもよい。この場合、支援装置80の走行中では、送り部80Cが主巻ロープ21を把持する。やがて、支援装置80がブーム16の先端部に到達すると、送り部80Cの上ローラー851と下ローラー852とが回転することで、主巻ロープ21が前方に送り出される。この際、把持部80Aが送りガイド部として、主巻ロープ21を前方に案内する。このため、把持部80Aは、主巻ロープ21を強く把持する必要はない。
【0158】
この場合、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852S(図47)(いずれも接続部)が、送り部80C(把持部)の上ローラー851および下ローラー852が走行部80Bに対して相対変位可能なように、送り部80Cと走行部80Bとを互いに接続する接続部。より詳しくは、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sは、送り部80Cが走行部80Bに対して、相対的に上下移動可能なように、送り部80Cと走行部80Bとを互いに接続する。
【0159】
このため、走行部80Bや主巻ロープ21の動きに応じて、送り部80Cと走行部80Bとの相対的な位置関係を変化させることで、走行中の主巻ロープ21の張力の増大を抑制しながら、ブーム16上に主巻ロープ21を配設することができる。特に、走行体80Bが図42のように走行面上の障害物を乗り越える際に、送り部80Cが走行部80Bに対して相対的に上下移動することができるため、主巻ロープ21の上下移動を抑え主巻ロープ21の張力の増大を抑制することができる。また、支援装置80がブーム16の基端部側に配置された際には、上記のように主巻ウインチ20の高さにあわせて、送り部80Cの位置を調整することができる。また、支援装置80がブーム16の先端部側に到達すると、作業者の身長や他のシーブの高さにあわせて、送り部80Cの位置を調整することができる。この結果、支援装置80における主巻ロープ21の受け渡し作業の作業性を向上することができる。また、支援装置80が足場100の先端側端部に至った場合でも、主巻ロープ21を更に先端側に送り出すことが可能であるため、ブーム16の先端側の地面において待機する作業者に主巻ロープ21を受け渡すことも可能となる。
【0160】
また、図45に示される支援装置80は、送り部80Cを備えない態様でもよい。この場合も、支援装置80が、把持部80Aと、走行部80Bと、を備えることで、支援装置80が主巻ロープ21を把持しながら足場100上を走行することができる。
【0161】
次に、上記の第3実施形態を基に、本発明の変形実施形態について説明する。また、以下の変形実施形態も第3実施形態に係る支援装置80に限定して適用されるものではなく、後記の他の実施形態に係る支援装置に対しても適用可能である。
【0162】
図50は、本発明の第13変形実施形態に係る支援装置の把持部が主巻ロープ21を把持する様子を示す側面図(A)、(B)である。本変形実施形態では、把持部が、上把持爪812と、下把持爪813と、伸縮シリンダ814と、を備える。伸縮シリンダ814は、たとえば電動シリンダから構成される。図50に示すように、伸縮シリンダ814の伸縮動作に応じて、下把持爪813が上把持爪812に対して相対的に回動し、主巻ロープ21の把持および開放が行われてもよい。また、主巻ロープ21が把持された状態で、伸縮シリンダ814に所定の電圧が印加され続けることで制動機能が働き、主巻ロープ21の脱落が防止される。なお、伸縮シリンダ814が伸長し主巻ロープ21が把持された状態で、他の押圧部材が下把持爪813を下方から押圧することで、上記と同様の制動機能が働く態様でもよい。
【0163】
図51は、本発明の第14変形実施形態に係る支援装置80の側面図である。本変形実施形態では、把持部80Aの支持部810が矢印のように上下に伸縮するシリンダ構造を有している。なお、走行部80Bには、支持部810を伸縮させる不図示の駆動源(駆動部)が配置されている。この場合、支持部810(接続部)は、把持部80Aが走行部80Bに対して相対変位可能なように、把持部80Aと走行部80Bとを互いに接続する。より詳しくは、支持部810は、把持部80Aが走行部80Bに対して、相対的に上下移動可能なように、把持部80Aと走行部80Bとを互いに接続する。
【0164】
このため、走行部80Bや主巻ロープ21の動きに応じて、把持部80Aと走行部80Bとの相対的な位置関係を変化させることで、走行中の主巻ロープ21の張力の増大を抑制しながら、ブーム16上に主巻ロープ21を配設することができる。また、本変形実施形態においても、走行体80Bが図42のように走行面上の障害物を乗り越える際に、把持部80Aが走行部80Bに対して相対的に上下移動することができるため、主巻ロープ21の上下移動を抑え主巻ロープ21の張力の増大を抑制することができる。また、支援装置80がブーム16の基端部側に配置された際には、主巻ウインチ20の高さにあわせて、把持部80Aの位置を調整することができる。また、このような構成によれば、支援装置80がブーム16の先端部に至った際に、支持部810が伸縮することで、主巻ロープ21の先端部を作業者またはアイドラシーブユニット150に容易に受け渡すことができる。この結果、支援装置80における主巻ロープ21の受け渡し作業の作業性を向上することができる。
【0165】
また、図52は、本発明の第15変形実施形態に係る支援装置80の側面図である。図52に示すように、把持部80Aの爪部(図48の上把持爪812および下把持爪813)が、水平な軸回りに回動可能なように支持部810に支持されてもよい。この場合、第8モーターM8の駆動力をうけて上把持爪812および下把持爪813が前記軸回りに回動される。このような構成によれば、主巻ロープ21の先端部が作業者またはアイドラシーブユニット150に向かって延びるように配置されるため、主巻ロープ21を更に容易に受け渡すことができる。また、図51に示すように把持部80Aの後端部近傍において主巻ロープ21が屈曲することがないため、主巻ロープ21の損傷を抑止することができる。また、把持部80Aの爪部が支持部810に対して回動可能であるため、支援装置80が足場100上の障害物を乗り越える際に、把持部80Aの端部で主巻ロープ21が屈曲することが抑止される。この結果、上記回動によって、主巻ロープ21に負荷がかかることを抑止することができる。
【0166】
また、図53および図54は、本発明の第16変形実施形態に係る支援装置80の側面図である。本変形実施形態では、支持部810が水平な支持部回転軸810Sを支点として前後に回動可能なように本体部80Hに支持されている。図53に示すように、支持部810が前方に回動することで、主巻ロープ21の先端部を作業者またはアイドラシーブユニット150に容易に受け渡すことができる。この際、把持部80Aの上把持爪812、下把持爪813が支持部810に対して相対的に回動することで、主巻ロープ21の屈曲、損傷が抑止される。また、ブーム16の先端部に不図示の障害物などが存在する場合には、図54に示すように、支持部810が後方に回動することで、主巻ロープ21の先端部と前記障害物との干渉が防止される。この場合も、把持部80Aの上把持爪812、下把持爪813が支持部810に対して相対的に回動することで、主巻ロープ21の屈曲、損傷が抑止される。また、図54に示すように、支持部810が送り部80Cに近づくことで、ブーム16の基端部において主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21を、送り部80Cを介して、把持部80Aに容易に把持することができる。
【0167】
また、図55は、本発明の第18変形実施形態に係る支援装置80の側面図である。本変形実施形態では、上記の第17変形実施形態と比較して、送り部80Cが水平な回転軸回りに前後に回動可能なように本体部80Hに支持されている。このような構成によれば、図55に示すように、支持部810の前方への回動および上把持爪812および下把持爪813の支持部810に対する相対的な回動に合わせて、送り部80Cが後方に回動することで、送り部80Cの上ローラー851、下ローラー852によってガイドされる主巻ロープ21の方向と、把持部80Aが主巻ロープ21を把持する方向とを揃えることができる。このため、主巻ロープ21の先端部を作業者またはアイドラシーブユニット150に容易に受け渡すことができるとともに、主巻ロープ21の損傷を更に抑止することができる。
【0168】
また、図56は、本発明の第19変形実施形態に係る支援装置の送り部80Cの背面図である。また、図57は、本発明の第20変形実施形態に係る支援装置の送り部80Cの背面図である。図56に示すように、上ローラー851を支持する上ローラー支持部851Sは本体部80Hに固定され、下ローラー852を支持する下ローラー支持部852Sが上下に伸縮するものでもよい。また、図57に示すように、上ローラー851を支持する上ローラー支持部851Sは上下に伸縮可能とされ、下ローラー852を支持する下ローラー支持部852Sが本体部80Hに固定されるものでもよい。すなわち、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sのうちの少なくとも一方の支持部(支持部材)が上下方向に沿って移動(伸縮)することで、上ローラー851と下ローラー852との間に主巻ロープ21が把持されればよい。
【0169】
なお、前述の第3実施形態(図45)において、支援装置80は把持部80Aを備えることなく、送り部80Cが把持部の機能を兼ね備える態様でもよい。この場合、上記の第7モーターM7(図47)、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sのシリンダ部分が本発明の把持駆動部を構成する。第7モーターM7、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852Sのシリンダ部分は、少なくとも上ローラー851および下ローラー852のうちの一方のローラーが他方のローラーに対して接離するように、上ローラー支持部851Sおよび下ローラー支持部852S(一対の支持部材)うちの少なくとも一方の支持部を上下に移動させることが可能である。このような構成においても、上ローラー851と下ローラー852との間に主巻ロープ21を安定して把持することができる。また、上ローラー851および下ローラー852が相対移動可能であるため、さまざまな外径の主巻ロープ21を把持することができる。この際、先の第1実施形態と同様に、上ローラー851および下ローラー852の回転を阻止する制動機構が設けられることが望ましい。この場合、送り部80Cが主巻ロープ21を把持した状態で支援装置80が足場100上を走行する際に、主巻ロープ21が脱落することが抑止される。
【0170】
図58は、本発明の第21変形実施形態に係る支援装置80の側面図である。上記のように、把持部80Aが送り部80Cの機能を兼ね備える場合、主巻ロープ21の先端部が把持部80Aから下方に向かって延びることを防止するために、本変形実施形態では、支援装置80が、フロントガイド861(先端側案内部)を備える。フロントガイド861は、把持部80Aよりも支援装置80の移動方向の下流側において本体部80Hに支持され、主巻ロープ21の下方に配置され主巻ロープ21を支持可能であるとともに主巻ロープ21を前記移動方向下流側に案内する。フロントガイド861は、ガイド本体862と、伸縮シリンダ863と、ガイド支持部864と、を有する。ガイド本体862は、ガイド支持部864において水平な回転軸回りに回動可能に支持されている。伸縮シリンダ863の伸縮動作に応じて、ガイド本体862の先端部が上下に移動する。
【0171】
図59および図60は、本発明の第22変形実施形態に係る支援装置のフロントガイド871の拡大側面図および拡大背面図である。図58に示されるフロントガイド861に代えて、図59図60に示すようなフロントガイド871が備えられてもよい。フロントガイド871は、ガイド保持部872と、伸縮シリンダ873と、ガイド支持部874と、を有する。伸縮シリンダ873がガイド支持部874を支点として前後に揺動することで、主巻ロープ21の先端部を前後に移動させることができる。この際、ガイド保持部872が伸縮シリンダ873に対して相対回動することで、前述と同様に、主巻ロープ21に屈曲や損傷が発生することが抑止される。また、ガイド保持部872が図60に示すように円弧形状の保持面を有しているため、主巻ロープ21の左右の動きを規制し、主巻ロープ21を所望の位置に案内することができる。
【0172】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る支援装置90について説明する。図61は、本実施形態に係る支援装置90の平面図である。図62および図63は、支援装置90の側面図である。
【0173】
本実施形態では、支援装置90は、把持部90Aと、本体部90Hを含む走行部90Bと、を備える。
【0174】
把持部90Aは、本体部90Hの後方に配置され連結部912を介して本体部90Hに接続される。把持部90Aは、主巻ウインチ20(図2)から繰り出された主巻ロープ21を把持することが可能である一方、主巻ロープ21を開放することが可能とされている。把持部90Aは、把持ユニット910と、左右一対の支持ブラケット911と、連結部912と、を有する。
【0175】
把持ユニット910は、先の第2実施形態に係る把持ユニット610(図34)と同様の構造を有している。把持ユニット910は、左右一対の支持ブラケット911の後端部に、左右方向に延びる第1支点部911Aを支点として揺動可能なように支持されている。本実施形態では、把持ユニット910が支援装置90の姿勢や左右一対の支持ブラケット911の姿勢などに応じて主巻ロープ21の張力または主巻ロープ21の重さにより支持ブラケット911に対して揺動し、主巻ロープ21が略水平方向に延びる姿勢を保持される。また、左右一対の支持ブラケット911の前端部は、左右方向に延びる第2支点部911Bを支点として回動可能なように、連結部912に支持されている。連結部912は、本体部90Hの前端部に固定されており、把持部90Aと本体部90Hとを接続する。なお、本体部90Hの内部には、左右一対の支持ブラケット911を第2支点部911B回りに回動させる第9モーターM9(電動モータ)が備えられている(図61)。第9モーターM9は、支持ブラケット911を任意の位置(角度)で固定することができる。
【0176】
本実施形態では、ブーム16の基端部の足場100(図2)上において、図61図62のような支援装置90の姿勢で、把持ユニット910が主巻ロープ21を把持する。そして、走行部90Bの走行によって支援装置90がブーム16の先端部の足場100に至ると、第9モーターM9が左右一対の支持ブラケット911を第2支点部911B回りに図62の矢印方向に回動させる。この結果、図63に示すように、左右一対の支持ブラケット911が上方を向くように姿勢変更する。この際、把持ユニット910が第1支点部911A回りに図62の矢印方向に回動する。
【0177】
このような構成によれば、支持ブラケット911は少なくとも第1の位置(図62)および第2の位置(図63)を含む範囲において第2支点部911B回りに回動可能なように走行部90Bに支持されている。前記第1の位置における把持部90Aは、走行部90Bよりも後方(移動方向後端側)に配置され、前記第2の位置における把持部90Aは前記第1の位置における把持部90Aよりも前方(移動方向先端側)に配置されている。図62では、把持部90Aが、前記走行面と平行な方向(前後方向)において走行部90Bに対向して配置される。このため、支援装置90が足場100上を走行する際には、支援装置90の高さが図62に示すように低く設定されるため、支援装置90が倒れにくく安定して走行することができる。また、支援装置90がブーム16の先端部に至ると、図63に示すような姿勢をもって、主巻ロープ21の先端部を作業者やアイドラシーブユニット150の受け渡すことができる。すなわち、支援装置90の走行時よりも作業時(主巻ロープ21の受け渡し時)の方が、把持ユニット910を前方且つ走行部90Bよりも高い位置に配置することができる。
【0178】
また、本実施形態では、図63に示すように、左右一対の支持ブラケット911の回動によって把持ユニット910の走行部90Bに対する相対位置を変化させることができる。このため、支援装置90が足場100上の障害物を乗り越える際に、主巻ロープ21の延びる方向(姿勢)が変動しないように支持ブラケット911の姿勢を調整することができるため、主巻ロープ21への負担を軽減することができる。また、支援装置90の走行時には、把持ユニット910が本体部90Hの後方に配置される(図62)ことで、把持ユニット910が走行部90Bの走行を妨げることが抑止される。
【0179】
本実施形態では、左右一対の支持ブラケット911および連結部912(いずれも接続部)が、把持部90Aの把持ユニット910が走行部90Bに対して相対変位可能なように、把持部90Aと走行部90Bとを互いに接続する。特に、左右一対の支持ブラケット911および連結部912は、把持ユニット910の第2支点部911B回りの回動に伴って、把持ユニット910が走行部90Bに対して前後方向および上下方向において相対変位するように両者を接続している。また、第9モーターM9(駆動部)は、把持部90Aを走行部90Bに対して相対変位させる。
【0180】
また、左右一対の支持ブラケット911の基端部(アーム基端部)は、連結部912を介して第2支点部911B(横軸)回りに回動可能なように走行部90Bに支持されている。このため、左右一対の支持ブラケット911が前記横軸回りに回動することで、把持部90Aを走行部90Bに対して相対的に上下移動させることができる。このため、ブーム16上の障害物に対応して把持部90Aの把持ユニット910の位置を変化させながら、走行体90Bを走行させることができる。更に、左右一対の支持ブラケット911の先端部(アーム先端部)は、把持部90Aの把持ユニット910が第1支点部911A(横軸と平行な軸)回りに回動可能なように把持ユニット910を支持している。すなわち、左右一対の支持ブラケット911が走行部90Bに対して回動することに加えて、把持部90Aの把持ユニット910が支持ブラケット911の先端部に回動可能に支持されている。このため、支持ブラケット911の第2支点部911B回りの回動に伴って主巻ロープ21の姿勢が変化し主巻ロープ21の張力が増大することを抑制することができる。
【0181】
次に、上記の第4実施形態を基に、本発明の変形実施形態について説明する。また、以下の変形実施形態も第4実施形態に係る支援装置90に限定して適用されるものではなく、後記の他の実施形態に係る支援装置に対しても適用可能である。
【0182】
図64および図66は、本発明の第22変形実施形態に係る支援装置90の側面図である。図65および図67は、同支援装置90の平面図である。本変形実施形態では、把持部90Aは、把持ユニット910と、左右一対の支持ブラケット911と、左右一対の連結部912と、を備える。把持ユニット910は、左右一対の支持ブラケット911の先端部において、第1支点部911A回りに回動可能なように支持されている。一方、左右一対の支持ブラケット911の基端部は、左右一対の連結部912に水平な第2支点部911B回りに回動可能なように支持されている。左右一対の連結部912は、左右方向に間隔をおいて本体部90Hに固定された壁部である。左右一対の連結部912の内壁面には、支持ブラケット911の回動範囲を規制し、支持ブラケット911が下方の本体部90Hに接触することを防止する、ストッパ911S(図66)が配置されている。また、本体部90Hの内部には、図61と同様に、左右一対の支持ブラケット911を回動させる第9モーターM9が配置されている。
【0183】
上記のような構成によれば、ブーム16の基端部の足場100(図2)上において、図64図65のように、左右一対のユニット本体911が後方を向くような支援装置90の姿勢で、把持ユニット910が主巻ロープ21を把持する。そして、支援装置90がブーム16の先端部の足場100に至ると、第9モーターM9が左右一対の支持ブラケット911を第2支点部911B回りに図64の矢印方向に回動させる。この結果、図66図67に示すように、左右一対の支持ブラケット911が前方を向くように姿勢変更する。この際、把持ユニット910が第1支点部911A回りに図64の矢印方向に回動する。
【0184】
このような構成においても、支援装置90が足場100上を走行する際には、支援装置90の高さが図64に示すように低く設定されるため、支援装置90が倒れにくく安定して走行することができる。また、支援装置90がブーム16の先端部に至ると、図66に示すような姿勢をもって、主巻ロープ21の先端部を作業者やアイドラシーブユニット150の受け渡すことができる。また、本変形実施形態では、図67に示すように、左右一対の連結部912の間、更には、左右一対の支持ブラケット911の間に、主巻ロープ21が収容可能とされている。このため、把持部90Aの姿勢変更に際して、主巻ロープ21と支持ブラケット911および連結部912とが干渉することが防止される。
【0185】
なお、本変形実施形態においても、支持ブラケット911は少なくとも第1の位置(図64)および第2の位置(図66)を含む範囲において第2支点部911B回りに回動可能なように走行部90Bに支持されている。前記第1の位置における把持部90Aは、走行部90Bの後側(移動方向後端側)に配置され、前記第2の位置における把持部90Aは前記第1の位置における把持部90Aよりも前方(移動方向先端側)であって、走行部90Bの前側(移動方向先端側)に配置されている。
【0186】
図68および図69は、本発明の第23変形実施形態に係る支援装置90の側面図および平面図である。図70は、同支援装置90がブーム16上の足場100のクランク部100Cを走行する様子を示す平面図である。本変形実施形態では、先の第22変形実施形態と比較して、連結部912が、本体部側部材912Aと、把持部側部材912Bと、を備える点で相違する。把持部側部材912Bは、左右一対の支持ブラケット911に接続され、本体部側部材912Aは、本体部90Hの後端部に接続されている。そして、把持部側部材912Bは、上下方向に延びる回動支点部912Sを支点として左右に回動可能なように、本体部側部材912Aに連結されている(図68図69)。
【0187】
このような構成によれば、図70に示すように、支援装置90が、足場100上のクランク部100C(図2)に至ると、走行部90Bがクランク部100Cに沿って方向転換した場合であっても、把持部90Aが走行部90Bに対して相対的に回動することで、主巻ロープ21が前後方向に沿って延びる状態を維持することができる。したがって、把持部90Aが走行部90Bとともに一体的に方向転換する場合と比較して、主巻ロープ21に屈曲や損傷が発生することが抑止される。また、本変形実施形態においても、図69に示すように、走行部90Bの走行中に、把持部90Aが回動支点部912Sを支点として回動可能であるため、第2実施形態(図33)と同様に、主巻ウインチ20のリリースポイント(主巻ロープ21の繰り出し位置)の変化にも柔軟に対応することができる。
【0188】
すなわち、本変形実施形態では、連結部912(中間接続部)が、支持ブラケット911の基端部(アーム基端部)を前記横軸回りに回動可能に支持するとともに、支持ブラケット911の基端部が走行部90Bに対して回動支点部912S(前記走行面と直交する(交差する)方向に延びる縦軸)回りに相対的に回動可能なように、支持ブラケット911の基端部と走行部90Bとを互いに接続する。このため、上記のように走行部90Bが走行面上において方向転換することがあっても、把持部90Aに把持された主巻ロープ21が前後方向(移動方向)に沿って延びた状態を維持するように、把持部90Aを走行部90Bに対して相対的に回動させることができる。この結果、走行部90Bの方向転換によって主巻ロープ21の張力が増大し主巻ロープ21が損傷することが抑止される。
【0189】
図71および図72は、本発明の第24変形実施形態に係る支援装置90の側面図および平面図である。図73および図74は、同支援装置90が主巻ロープ21を受け渡す様子を示す側面図である。本変形実施形態では、先の第22変形実施形態と比較して、支持ブラケット911が屈曲した形状を有する点、ならびに、支援装置90が先の第2実施形態と同様に、旋回部913を有する点で相違する。左右一対の支持ブラケット911は、略中央部に屈曲部を有している。左右一対の支持ブラケット911は、それぞれ、第2支点部911Bを支点として回動可能なように、左右一対の連結部912に支持されている。左右一対の連結部912は、本体部90Hに対して旋回(相対回転)可能な旋回部913上に固定されている。また、連結部912には、支持ブラケット911の回動範囲を規制するストッパ911S(図71)が配置されている。
【0190】
このような構成によれば、図73に示すように、ブーム16の先端部に配置されたアイドラシーブユニット150の高さが低い場合には、支持ブラケット911が連結部912の前方に至るまで回動されることで、主巻ロープ21をアイドラシーブユニット150に容易に受け渡すことができる。一方、図74に示すように、ブーム16の先端部に配置されたアイドラシーブユニット150の高さが高い場合には、支持ブラケット911が連結部912の上方に至るまで回動されることで、主巻ロープ21をアイドラシーブユニット150に容易に受け渡すことができる。
【0191】
なお、本変形実施形態においても、支持ブラケット911は少なくとも第1の位置(図71)および第2の位置(図73)を含む範囲において第2支点部911B回りに回動可能なように走行部90Bに支持されている。前記第1の位置における把持部90Aは、走行部90Bよりも後方(移動方向後端側)に配置され、前記第2の位置における把持部90Aは前記第1の位置における把持部90Aよりも前方(移動方向先端側)であって、走行部90Bよりも前方に配置されている。なお、図74では、更に、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置として、把持部90Aが走行部90Bの上方に配置されている。
【0192】
図75は、本発明の第25変形実施形態に係る支援装置90の側面図である。本変形実施形態は、先の第23変形実施形態(図69図70)と比較して、支援装置90がブラケットストッパ950を備える点で相違する。主巻ロープ21は、金属製(鋼製)のワイヤーロープであるため、重量物である。このため、把持ユニット910が主巻ロープ21を把持しながら、走行部90Bが走行する際に、第9モーターM9(図61)が支持ブラケット911の姿勢を維持しようとすると、大きな電流を必要とする。このため、本変形実施形態では、本体部90Hの後端部から後方に延びるように本体部90Hに固定されたブラケットストッパ950が、左右一対の支持ブラケット911の前端部を下方から支持することができる。このため、支援装置90の移動時に、第9モーターM9の負荷を低減することができる。
【0193】
<ワイヤーロープ配設方法について>
上記の各実施形態に係る支援装置を用いることで、クレーン1(作業機械)において、下記のようなワイヤーロープ配設方法で主巻ロープ21をブーム16の基端部からブーム16の先端部まで配設することができる。
【0194】
すなわち、第2実施形態に係る支援装置60を例にすると、前記ワイヤーロープ配設方法は、上部旋回体11と、上部旋回体11に起伏可能に装着される基端部と先端部とを含むブーム16と、上部旋回体11またはブーム16の前記基端部に装着され主巻ロープ21の繰り出しおよび巻き上げを行う主巻ウインチ20と、を備えるクレーン1において、前記ブーム16が倒伏された状態で主巻ウインチ20から繰り出された主巻ロープ21を前記ブーム16の上面部上の所定の初期位置から前記初期位置よりも前記ブーム16の前記先端部側の目標位置まで牽引することで前記ブーム16上に前記主巻ロープ21を配設するための、クレーン1のワイヤーロープ配設方法である。当該ワイヤー配設方法は、
前記倒伏姿勢における前記ブーム16の上面部上の前記初期位置に、主巻ロープ21を把持可能な把持部60Aと前記上面部上を走行可能な走行部60Bと把持部60Aが走行部60Bに対して相対変位可能なように把持部60Aと走行部60Bとを互いに接続する旋回ユニット620と、を備えた支援装置50を配置することと、
前記主巻ウインチ20から前記主巻ロープ21を繰り出し、当該主巻ロープ21を前記支援装置60の前記把持部60Aに把持させることと、
前記主巻ウインチ20から前記主巻ロープ21を更に繰り出しながら、前記把持部60Aが前記主巻ロープ21を把持した状態で前記ブーム16上の前記初期位置から前記目標位置まで前記走行部60Bに前記ブーム16の前記上面部上を走行させることと、
前記初期位置と前記目標位置との間において、把持部60Aに把持される主巻ロープ21の張力の増大を抑制するように、旋回ユニット620において把持部60Aを走行部60Bに対して相対的に変位させることと、
前記走行部60Bの走行によって前記支援装置60が前記目標位置に到達すると、前記把持部60Aによる前記主巻ロープ21の把持を開放することと、
を備える。
【0195】
また、上記のワイヤーロープ配設方法は、
前記支援装置60として、把持部60Aが走行部60Bに対して前記走行面と直交する(交差する)方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、
前記走行面上における走行部60Bの方向転換に応じて、主巻ロープ21が前記移動方向に沿って延びた状態を維持するように、把持部60Aを前記縦軸回りに回動させることと、
を備える。
【0196】
また、上記のワイヤーロープ配設方法は、
前記支援装置60として、把持部60Aが走行部60Bに対して前記走行面と直交する(交差する)方向に延びる縦軸回りに相対的に回動可能なものを用いることと、
前記移動方向と直交し(交差し)かつ前記走行面と平行な方向における、主巻ウインチ20から主巻ロープ21が繰り出される位置の変化に応じて、把持部60Aを前記縦軸回りに回動させることと、
を備える。
【0197】
また、上記のワイヤーロープ配設方法は、
走行部60Bの走行によって前記支援装置60が前記目標位置に到達すると、前記支援装置60によって主巻ロープ21を走行部60Bに対して相対移動させることを更に備える。
【0198】
また、上記のワイヤーロープ配設方法は、
ブーム16として、前記倒伏姿勢におけるブーム16の前記上面部に前記移動方向に沿って延びるように施設された足場100を備えるものを準備することと、
走行部60Bにブーム16の足場100上を前記初期位置から前記目標位置まで走行させることと、
を備える。
【0199】
なお、前述の各実施形態に係る支援装置の機能も、上記のワイヤー配設方法の一部を構成する。
【0200】
以上、本発明の一実施形態に係る支援装置50、60、70、80、90およびこれらの変形実施形態、ならびに当該支援装置を用いたクレーン1のワイヤーロープ配設方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明では、以下のような変形実施形態が可能である。
【0201】
(1)上記の第1実施形態では、左右一対のローラー510が互いに接離するように、第2モーターM2が左右一対のローラー支持部511を回動させる態様にて説明したが、第2モーターM2は、一対のローラー510のうちの少なくとも一方のローラー510が他方のローラー510に対して接離するように、前記一対の支持部材511のうちの少なくとも一方の支持部材511(ローラー510)を移動させることが可能であってもよい。この場合も左右一対のローラー510によって、主巻ロープ21を把持、開放することができる。また、左右一対のローラー510に代えて、互いに対向する部分的な外周面を有する一対の固定された(回転しない)把持部材によって、主巻ロープ21が把持および開放されるものでもよい。この場合、上記の部分的な外周面は、平面視で互いに凸状の曲面であることが望ましく、また、図12に示すような主巻ロープ21が延びる方向と直交する(交差する)断面では、内側に窪んだ(凹状の)曲面からなり、特に、所定の曲率半径Rを有した断面円形形状からなることが望ましい。また、この場合も、前述の2σ<Aかつ2R>Bの関係が満たされることが望ましい。
【0202】
(2)上記の第2実施形態では、図34に示すようないわゆるチャック式の把持部構造にて説明したが、把持ユニット610は、所定の電動シリンダの駆動力を受けて一対の板状部材が主巻ロープ21を把持する万力構造であってもよいし、公知のU字ボルト構造などによって主巻ロープ21を把持するものでもよい。また、図45の支持部810に電磁石が装着されており、当該電磁石の吸引力によって主巻ロープ21を把持(保持)するものでもよい。
【0203】
(3)また、上記の第1実施形態では、一対のローラー510が左右方向において互いに対向して配置され、上記の第2実施形態では、上ローラー851および下ローラー852が上下方向において互いに対向して配置されたが、本発明の把持部または送り部を構成するローラーは、左右方向および上下方向に対して交差した斜め方向において互いに対向して配置される(傾斜配置)など、その他の方向において互いに対向して配置されるものでもよい。
【0204】
(4)また、上記の第2実施形態では、把持ユニット610が、第1押圧ピン612、第2押圧ピン613および第3押圧ピン614を有する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。押圧ピン(押圧部材)は、周方向に沿って異なる位置に配置される3以上の前記押圧部材を含むものでもよい。この場合、3以上の押圧部材の押圧部によって、主巻ロープ21を安定して把持することができる。また、前記3以上の前記押圧部材は、前記周方向に沿って等間隔で配置されることが望ましい。この場合、3以上の押圧部材の押圧部によって、主巻ロープ21を更に安定して把持することができる。また、第1押圧ローラー612S、第2押圧ローラー613Sおよび第3押圧ローラー614Sを主巻ロープ21に対して接離する方向に駆動する前記モーター(押圧部材駆動部)は、前記複数の押圧部を主巻ロープ21に対する距離が互いに異なる複数の位置にそれぞれ配置可能なように、前記複数の押圧部材を駆動することが望ましい。この場合、複数の押圧部材によってが、さまざまな外径を有する主巻ロープ21を安定して把持することができる。
【0205】
(5)更に、上記の第3実施形態では、図45に示すように、支援装置80の前側部分に把持部80Aが配置され、支援装置80の後側部分に送り部80Cが配置される態様にて説明したが、支援装置80の後側部分に把持部80Aが配置され、支援装置80の前側部分に送り部80Cが配置されてもよい。この場合、支援装置80の走行中に予期せぬ主巻ロープ21の動き(障害物との干渉、支援装置80よりも後方の主巻ロープ21の一部がブーム16から落下したときなど)があった場合でも、前側の送り部80Cから主巻ロープ21が脱落することが、後側の把持部80Aによって抑止される。
【符号の説明】
【0206】
1 クレーン(作業機械)
10 下部走行体
100 足場
100C クランク部
100S アイドラシーブ配置部
11 上部旋回体(機体)
150 アイドラシーブユニット
16 ブーム
164A ガイドローラー
20 主巻ウインチ(ウインチ)
21 主巻ロープ(ワイヤーロープ)
50、60、70、80、90 支援装置
50A、60A、70A、80A、90A 把持部
50B、60B、70B、80B、90B 走行部
50H、60H、70H、80H、90H 本体部
510 ローラー
510A 回転軸
510B 軸受
510D プーリー
510F ロープ把持面
510J ロック用凹部
511 ローラー支持部(接続部)
515 ロック機構(制動機構)
515A ロック本体部
515B ロックレバー
516 中央リンク
516B コイルばね
517 サイドリンク
518 ばね
519 サイドリンク
520 リンク
521 ロッド
522 伸縮シリンダ
523 リアガイド(後端側案内部)
524 伸縮シリンダ(後端側案内駆動部)
525 フロントガイド(先端側案内部)
526 伸縮シリンダ(先端側案内駆動部)
527 スプライン
528 支持ブラケット
528A ブラケット本体
528B スライダ
528C ピニオン
610 把持ユニット
611 ユニット本体
611A ユニット固定部
611B ユニット開閉部
611C 支点部
612 第1押圧ピン
612S 第1押圧ローラー
613 第2押圧ピン
613S 第2押圧ローラー
614 第3押圧ピン
614S 第3押圧ローラー
620 旋回ユニット(接続部)
711 把持ユニット
712 旋回ユニット(接続部)
720 フロントガイド
80C 送り部
810 支持部(接続部)
812 上把持爪
813 下把持爪
814 伸縮シリンダ
851 上ローラー
851S 上ローラー支持部(接続部)
852 下ローラー
852S 下ローラー支持部(接続部)
861 フロントガイド
863 伸縮シリンダ
871 フロントガイド
873 伸縮シリンダ
910 把持ユニット
911 支持ブラケット(接続部、アーム)
912 連結部
912A 本体部側部材(中間接続部)
912B 把持部側部材(中間接続部)
913 旋回部
950 ブラケットストッパ
M1 第1モーター
M2 第2モーター(駆動部)
M3 第3モーター
M4 第4モーター
M5 第5モーター(駆動部)
M6 第6モーター
M7 第7モーター(駆動部)
M8 第8モーター
M9 第9モーター
MG モーター軸
図1
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