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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】連結ピン挿入装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B66C23/26 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019065358
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164280
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓則
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167935(JP,A)
【文献】特開平9-12279(JP,A)
【文献】実開平4-33751(JP,U)
【文献】特開2017-7777(JP,A)
【文献】特開2015-54739(JP,A)
【文献】特開2009-173424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と前記機体に起伏方向に回動可能なように装着される起伏体と前記起伏体に接続され前記起伏体を支持する左右一対のガイリンクと複数の連結ピンとを有し、前記左右一対のガイリンクのそれぞれが、第1リンク部材および第2リンク部材を有し、前記第1リンク部材はその両端部の一方の端部である第1端部であって前記機体の左右方向に沿って第1孔部が形成されている第1端部を含み、前記第2リンク部材はその両端部の一方の端部である第2端部であって前記左右方向において前記第1孔部に合致するように前記左右方向に沿って第2孔部が形成されている第2端部を含む、作業機械において、
前記機体に対して倒伏された状態の前記起伏体の上面部上で、前記左右一対のガイリンクのうちの少なくとも一方のガイリンクにおける、前記第1リンク部材に形成された前記第1孔部と、前記第2リンク部材に形成された前記第2孔部に、前記複数の連結ピンのうちの一の連結ピンを挿入することで、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを互いに連結することが可能な連結ピン挿入装置であって、
シリンダ本体と前記シリンダ本体から所定の押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な押圧ロッドとを含む少なくとも一つの押圧シリンダと、
地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含み、前記少なくとも一つの押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記押圧方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記起伏体の前記上面部に配置されることが可能であるとともに、前記押圧ロッドが前記一の連結ピンを前記押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピンを前記第1リンク部材の前記第1孔部および前記第2リンク部材の前記第2孔部に挿入することで前記第1リンク部材および第2リンク部材を互いに連結することが可能なように前記少なくとも一つの押圧シリンダを保持する本体部と、
前記シリンダ本体に接続される少なくとも一つのリンク拘束部であって、前記押圧ロッドから見て前記第1孔部および前記第2孔部よりも前記押圧方向先端側で前記押圧方向において前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも一方のリンク部材に対向して配置され、前記押圧ロッドによって前記一の連結ピンが前記第1孔部および前記第2孔部に挿入される際に前記押圧方向において前記少なくとも一方のリンク部材を拘束することが可能な、少なくとも一つのリンク拘束部と、
を備える、連結ピン挿入装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのリンク拘束部は、前記連結ピンの中心軸を前記押圧方向と直交する方向において両側から挟むように互いに間隔をおいて配置され、前記押圧方向において前記少なくとも一方のリンク部材をそれぞれ拘束する一対のリンク拘束部を含む、請求項1に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのリンク拘束部は、前記シリンダ本体に対して第1の姿勢と第2の姿勢との間で姿勢変更可能であり、前記第1の姿勢では、前記第2の姿勢よりも前記少なくとも一つのリンク拘束部の上下方向の寸法が小さく、前記第2の姿勢では、前記リンク拘束部が前記少なくとも一方のリンク部材を前記押圧方向において拘束することが可能である、請求項1または2に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのリンク拘束部は、
前記シリンダ本体から前記押圧方向に延びるように前記シリンダ本体に接続される拘束支持部と、
前記拘束支持部の先端部から前記押圧方向と直交する方向に延びるように前記拘束支持部に接続され、前記少なくとも一方のリンク部材に当接することが可能な拘束当接部と、
を有し、
少なくとも前記拘束当接部が、前記拘束支持部を通り前記押圧方向に延びる回転中心軸回りに回転することで、前記少なくとも一つのリンク拘束部が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で姿勢変更する、請求項3に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項5】
前記シリンダ本体に接続され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも一部を支持することが可能なリンク支持部を更に備える、請求項1乃至4の何れか1項に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項6】
前記リンク支持部は、前記一の連結ピンが前記押圧方向において前記第1孔部および前記第2孔部に対向するように前記一の連結ピンを支持することが可能なピン支持部を含む、請求項5に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項7】
前記一の連結ピンは、前記第1孔部および前記第2孔部に挿入されるピン本体部と、前記ピン本体部の前記押圧方向後端側に接続され前記第1孔部および前記第2孔部の内径よりも大きな外径を有するピンフランジ部と、を含み、
前記ピン支持部は、
前記ピン本体部を支持するピン本体支持部と、
前記ピン本体部が前記ピン本体支持部に支持された状態の前記一の連結ピンの中心軸が前記押圧方向と平行になるように、前記ピンフランジ部を支持するピンフランジ支持部と、
を含む、請求項6に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項8】
前記本体部と前記第1シリンダ本体とを互いに接続するとともに、前記押圧方向に沿って伸縮可能な伸縮部を更に備える、請求項1乃至7の何れか1項に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの押圧シリンダは、
第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、
第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、
備え、
前記本体部は、前記第1押圧方向および前記第2押圧方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧ロッドが前記一の連結ピンを前記第1押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピンを前記一方のガイリンクにおける前記第1リンク部材の前記第1孔部および前記第2リンク部材の前記第2孔部に挿入することで前記一方のガイリンクにおける前記第1リンク部材および第2リンク部材を互いに連結する一方、前記第2押圧ロッドが前記複数の連結ピンのうちの前記一の連結ピンとは異なる他の連結ピンを前記第2押圧方向に向かって押圧しながら当該他の連結ピンを前記左右一対のガイリンクのうちの前記一方のガイリンクとは異なる他方のガイリンクにおける前記第1リンク部材に形成された前記第1孔部および前記第2リンク部材に形成された前記第2孔部に挿入することで前記他方のガイリンクにおける前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する、請求項1乃至8の何れか1項に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項10】
前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが前記第1押圧方向および前記第2押圧方向に同時に伸長するように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを駆動するシリンダ駆動部を更に備える、請求項9に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項11】
前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダは、それぞれ、作動油の供給を受けるとともに作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなり、
前記シリンダ駆動部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダに対して作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させる、請求項10に記載の連結ピン挿入装置。
【請求項12】
前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントのうち前記走行部に姿勢変更可能なように支持される可動部材であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能な作業部材が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされる、請求項1乃至11の何れか1項に記載の連結ピン挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結ピン挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、機体と、ブームと、ブーム支持部材と、ガイリンクと、を備えたクレーンが知られている。ブームは、所定の方向に延びる長手形状を有し、機体の前部に起伏方向に回動可能に取り付けられる。ガントリやマストに代表されるブーム支持部材は、機体の後部に配置される。ガイリンクは、ブーム支持部材の先端部とブームの先端部とを接続し、ブームの姿勢を保持する。
【0003】
上記のようなブームは、前記長手方向に沿って複数のブーム部材(下部ブーム、中間ブーム、上部ブームなど)が作業現場において互いに連結され形成されることが多い。ブーム部材同士は、水平方向に沿って延びる連結ピンによって互いに連結される。
【0004】
特許文献1には、ガイリンクが、複数のリンク部材が水平方向に沿って延びる連結ピンによって互いに連結されることで形成される技術が開示されている。予め分割された複数のリンク部材は、ブーム部材の上面部にそれぞれ載置された状態で、作業現場に輸送される。そして、長手方向において隣接するリンク部材同士が、ブームの上面部上で連結ピンによって互いに連結されることで、ガイリンクが組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-7777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、作業者がブームの上面部においてハンマーによって連結ピンを打撃することでリンク部材に開口されたピン孔に連結ピンを挿入する。このため、作業者は高所において作業しければならず、作業負担が大きくなるという問題があった。また、ガイリンクを構成するリンク部材は板状の部材からなるため、連結ピンをピン孔に無理に挿入しようとすると、リンク部材に曲げ変形が生じてしまう場合がある。ガイリンクがブームを支持する際にはガイリンクに非常に大きな引っ張り力が掛かるため、上記の曲げ変形部分では、引張力に加えて曲げ力が発生してしまうため亀裂が生じやすくなり、ガイリンクの寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガイリンクの連結作業における作業者の負担を減らすとともに、組立時にガイリンクが損傷することを抑止することが可能な連結ピン挿入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る連結ピン挿入装置は、機体と前記機体に起伏方向に回動可能なように装着される起伏体と前記起伏体に接続され前記起伏体を支持する左右一対のガイリンクと複数の連結ピンとを有し、前記左右一対のガイリンクのそれぞれが、第1リンク部材および第2リンク部材を有し、前記第1リンク部材はその両端部の一方の端部である第1端部であって前記機体の左右方向に沿って第1孔部が形成されている第1端部を含み、前記第2リンク部材はその両端部の一方の端部である第2端部であって前記左右方向において前記第1孔部に合致するように前記左右方向に沿って第2孔部が形成されている第2端部を含む、作業機械において、前記機体に対して倒伏された状態の前記起伏体の上面部上で、前記左右一対のガイリンクのうちの少なくとも一方のガイリンクにおける、前記第1リンク部材に形成された前記第1孔部と、前記第2リンク部材に形成された前記第2孔部に、前記複数の連結ピンのうちの一の連結ピンを挿入することで、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを互いに連結することが可能な連結ピン挿入装置であって、シリンダ本体と前記シリンダ本体から所定の押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な押圧ロッドとを含む少なくとも一つの押圧シリンダと、地上を走行可能な走行部と前記走行部に支持され姿勢変更可能な作業アタッチメントとを有する作業装置の前記作業アタッチメントの先端部に接続される被接続部を含み、前記少なくとも一つの押圧シリンダが前記作業装置の前記作業アタッチメントの姿勢変更に伴って前記押圧方向が前記左右方向と平行となるような姿勢で前記起伏体の前記上面部に配置されることが可能であるとともに、前記押圧ロッドが前記一の連結ピンを前記押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピンを前記第1リンク部材の前記第1孔部および前記第2リンク部材の前記第2孔部に挿入することで前記第1リンク部材および第2リンク部材を互いに連結することが可能なように前記少なくとも一つの押圧シリンダを保持する本体部と、前記シリンダ本体に接続される少なくとも一つのリンク拘束部であって、前記押圧ロッドから見て前記第1孔部および前記第2孔部よりも前記押圧方向先端側で前記押圧方向において前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも一方のリンク部材に対向して配置され、前記押圧ロッドによって前記一の連結ピンが前記第1孔部および前記第2孔部に挿入される際に前記押圧方向において前記少なくとも一方のリンク部材を拘束することが可能な、少なくとも一つのリンク拘束部と、を備える。
【0009】
本構成によれば、連結ピン挿入装置は、少なくとも一つの押圧シリンダを保持する本体部を有している。特に、本体部は、少なくとも一つの押圧シリンダが作業装置の作業アタッチメントの姿勢変更に伴って押圧方向が左右方向と平行となるような姿勢で起伏体の上面部に配置されることが可能であるように、少なくとも一つの押圧シリンダを保持する。このため、本体部の被接続部が作業装置の作業アタッチメントの先端部に接続されると、作業アタッチメントの姿勢を変更することで重量物である押圧シリンダを連結ピンの挿入位置まで容易に移動させることができる。このため、作業者が高所まで押圧シリンダを運ぶ必要がなく、連結ピンの挿入作業における作業性を向上することが可能となる。更に、押圧ロッドが一の連結ピンを押圧方向に向かって押圧しながら第1リンク部材の第1孔部および第2リンク部材の第2孔部に挿入することで、ガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材を互いに連結することが可能とされる。このため、作業者がハンマーなどで連結ピンを打撃して挿入する必要がなく、連結ピンの挿入作業における作業性を更に向上することが可能となる。更に、押圧シリンダの押圧ロッドが連結ピンを挿入する際には、少なくとも一つのリンク拘束部が、第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも一方のリンク部材を押圧方向先端側で拘束する。このため、押圧ロッドの押圧力によってリンク部材が大きく変形することが抑止される。この結果、ガイリンクの連結作業における作業者の負担を減らすとともに、組立時にガイリンクが損傷することを抑止することが可能な連結ピン挿入装置が提供される。
【0010】
上記の構成において、前記少なくとも一つのリンク拘束部は、前記連結ピンの中心軸を前記押圧方向と直交する方向において両側から挟むように互いに間隔をおいて配置され、前記押圧方向において前記少なくとも一方のリンク部材をそれぞれ拘束する一対のリンク拘束部を含むことが望ましい。
【0011】
本構成によれば、連結ピンの中心軸を挟むように、一対のリンク拘束部が配置されるため、押圧ロッドの押圧力によってリンク部材が大きく変形することが更に抑止される。
【0012】
上記の構成において、前記少なくとも一つのリンク拘束部は、前記シリンダ本体に対して第1の姿勢と第2の姿勢との間で姿勢変更可能であり、前記第1の姿勢では、前記第2の姿勢よりも前記少なくとも一つのリンク拘束部の上下方向の寸法が小さく、前記第2の姿勢では、前記リンク拘束部が前記少なくとも一方のリンク部材を前記押圧方向において拘束することが可能であることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、リンク拘束部が第1の姿勢とされると、リンク拘束部をリンク部材の下方を通ってリンク部材を拘束可能な位置に配置することができる。一方、リンク拘束部が第2の姿勢とされると、リンク拘束部によってリンク部材を安定して拘束することができる。
【0014】
上記の構成において、前記少なくとも一つのリンク拘束部は、前記シリンダ本体から前記押圧方向に延びるように前記シリンダ本体に接続される拘束支持部と、前記拘束支持部の先端部から前記押圧方向と直交する方向に延びるように前記拘束支持部に接続され、前記少なくとも一方のリンク部材に当接することが可能な拘束当接部と、を有し、少なくとも前記拘束当接部が、前記拘束支持部を通り前記押圧方向に延びる回転中心軸回りに回転することで、前記少なくとも一つのリンク拘束部が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で姿勢変更することが望ましい。
【0015】
本構成によれば、少なくとも拘束当接部を回転中心軸回りに回転させることで、リンク拘束部を第1の姿勢と第2の姿勢との間で容易に姿勢変更させることができる。
【0016】
上記の構成において、前記シリンダ本体に接続され、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも一部を支持することが可能なリンク支持部を更に備えることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、連結ピン挿入装置がリンク支持部を備えることで、第1リンク部材と第2リンク部材との連結時に、これらのリンク部材が脱落することが抑止される。
【0018】
上記の構成において、前記リンク支持部は、前記一の連結ピンが前記押圧方向において前記第1孔部および前記第2孔部に対向するように前記一の連結ピンを支持することが可能なピン支持部を含むことが望ましい。
【0019】
本構成によれば、連結ピン挿入装置がピン支持部を備えることで、予め連結ピンをピン支持部に装着した上で、連結ピン挿入装置を起伏体の上面部に移動させることができる。
【0020】
上記の構成において、前記一の連結ピンは、前記第1孔部および前記第2孔部に挿入されるピン本体部と、前記ピン本体部の前記押圧方向後端側に接続され前記第1孔部および前記第2孔部の内径よりも大きな外径を有するピンフランジ部と、を含み、前記ピン支持部は、前記ピン本体部を支持するピン本体支持部と、前記ピン本体部が前記ピン本体支持部に支持された状態の前記一の連結ピンの中心軸が前記押圧方向と平行になるように、前記ピンフランジ部を支持するピンフランジ支持部と、を含むことが望ましい。
【0021】
本構成によれば、第1孔部および第2孔部の内径よりも大きな外径を有するピンフランジ部がリンク部材の側面に当接することによって連結ピンの押圧方向における位置を規制することができる。また、連結ピンが互いに外径の異なるピン本体部とピンフランジ部とを有する場合でも、ピン本体支持部およびピンフランジ支持部によって、その中心軸が押圧方向と平行になるように連結ピンを安定して支持することができる。
【0022】
上記の構成において、前記本体部と前記第1シリンダ本体とを互いに接続するとともに、前記押圧方向に沿って伸縮可能な伸縮部を更に備えることが望ましい。
【0023】
本構成によれば、作業アタッチメントの姿勢変更によって連結ピン挿入装置が起伏体の上面部に配置された後に、伸縮部の伸縮動作によって押圧ロッドを各リンク部材に近づけることができる。このため、押圧ロッドの伸長ストロークを小さくすることができる。また、起伏体の左右方向の寸法に応じたガイリンクの位置に応じて、押圧シリンダの位置を調整することができる。
【0024】
上記の構成において、前記少なくとも一つの押圧シリンダは、第1シリンダ本体と前記第1シリンダ本体から第1押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第1押圧ロッドとを含む第1押圧シリンダと、第2シリンダ本体と前記第2シリンダ本体から第2押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピンを押圧可能な第2押圧ロッドとを含む第2押圧シリンダと、備え、前記本体部は、前記第1押圧方向および前記第2押圧方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持し、かつ、前記第1押圧ロッドが前記一の連結ピンを前記第1押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピンを前記一方のガイリンクにおける前記第1リンク部材の前記第1孔部および前記第2リンク部材の前記第2孔部に挿入することで前記一方のガイリンクにおける前記第1リンク部材および第2リンク部材を互いに連結する一方、前記第2押圧ロッドが前記複数の連結ピンのうちの前記一の連結ピンとは異なる他の連結ピンを前記第2押圧方向に向かって押圧しながら当該他の連結ピンを前記左右一対のガイリンクのうちの前記一方のガイリンクとは異なる他方のガイリンクにおける前記第1リンク部材に形成された前記第1孔部および前記第2リンク部材に形成された前記第2孔部に挿入することで前記他方のガイリンクにおける前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持することが望ましい。
【0025】
本構成によれば、作業アタッチメントの姿勢変更によって、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを、一の連結ピンおよび他の連結ピンを押圧可能な位置に配置することができる。また、左右一対のガイリンクの連結作業を第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダによって並行して行うことができる。このため、1つの押圧シリンダによって各ガイリンクを連結する場合と比較して、ガイリンクの連結作業を効率的に行うことができる。
【0026】
上記の構成において、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが前記第1押圧方向および前記第2押圧方向に同時に伸長するように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを駆動するシリンダ駆動部を更に備えることが望ましい。
【0027】
本構成によれば、第1押圧ロッドおよび第2押圧ロッドが連結ピンを同時に押圧することで、押圧時に発生する反力を相殺し、本体部や作業アタッチメントに掛かる負荷を低減することができる。
【0028】
上記の構成において、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダは、それぞれ、作動油の供給を受けるとともに作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなり、前記シリンダ駆動部は、前記第1押圧シリンダおよび前記第2シリンダに対して作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させることが望ましい。
【0029】
本構成によれば、シリンダ駆動部が第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダに作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させることができる。このため、同時かつ十分な力で、連結ピンを挿入することができる。
【0030】
上記の構成において、前記本体部の前記被接続部は、前記作業装置の前記作業アタッチメントのうち前記走行部に姿勢変更可能なように支持される可動部材であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能な作業部材が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされることが望ましい。
【0031】
本構成によれば、作業装置の作業アタッチメントの可動部材に配置され作業部材を装着するための接続部を利用して、連結ピン挿入装置を作業アタッチメントに装着することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ガイリンクの連結作業における作業者の負担を減らすとともに、組立時にガイリンクが損傷することを抑止することが可能な連結ピン挿入装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の模式的な側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る作業機械の起伏体が組み立てられる様子を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業機械の組立作業において、起伏体の上面部においてガイリンクの第1リンクと第2リンクとが連結される様子を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持された様子を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置が作業装置に支持され、起伏体の上面部に配置された様子を示す正面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材の斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によってガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材が連結される様子を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によってガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材が連結される様子を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によってガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材が連結される様子を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によってガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材が連結される様子を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によってガイリンクの第1リンク部材および第2リンク部材が連結される様子を示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置のピン支持部に連結ピンが支持された様子を示す正面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置のピン支持部に連結ピンが支持された様子を示す底面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置のピン支持部に連結ピンが支持された様子を示す右側面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置のピン支持部に連結ピンが支持された様子を示す左側面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によって連結ピンが押圧される様子を示す正断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によって連結ピンが押圧される様子を示す正断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によって連結ピンが押圧される様子を示す正断面図である。
図20】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によって連結ピンが押圧される様子を示す正断面図である。
図21】本発明の一実施形態に係る連結ピン挿入装置によって連結ピンが押圧される様子を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るクレーン1(作業機械)の模式的な側面図である。図2は、本実施形態に係るクレーン1の組立作業において、ブーム12の第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とが連結される様子を示す模式的な平面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン1の構造、組立方法ならびにピン打ち装置30(図4)の構造を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る連結ピン挿入装置の構造や使用態様などを限定するものではない。
【0035】
クレーン1は、機体に相当する上部旋回体11と、この上部旋回体11を旋回可能に支持する下部走行体10と、ブーム12と、ブーム起伏部材13と、左右一対のガイリンク15と、後記の複数の連結ピン70と、を備える。
【0036】
図1に示されるようにクレーン1の一部を構成するブーム12は、いわゆるラチス型であり、下部ブーム14と、一または複数(図例では2個)の中間ブームと、ブーム12の最も先端に配置される上部ブームと、から構成される(いずれもブーム部材ともいう)。ブーム12は、上部旋回体11に水平な回転中心軸回りに起伏方向に回動可能なように装着される。一例として、ブーム12の中間ブームは、第1中間ブーム16と、第2中間ブーム18と、を有する。下部ブーム14は、上部旋回体11の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。第1中間ブーム16、第2中間ブーム18は、その順に下部ブーム14の先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ブームは、最も先端側の中間ブームの先端に着脱可能に継ぎ足される。なお、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、上記とは中間部材の数が異なるものでもよい。
【0037】
ブーム起伏部材13は、上部旋回体11に配置されている。ブーム起伏部材13は、ブーム12を起伏可能に支持する。左右一対のガイリンク15は、ブーム起伏部材13とともに、ブーム12に接続されブーム12を支持する。具体的に、ブーム起伏部材13は、マスト13Aと、ブーム起伏用ロープ13Bと、を含む。左右一対のガイリンク15の基端部は、マスト13Aの先端部に接続される。一方、左右一対のガイリンク15の先端部は、ブーム12の先端部に接続される。なお、マスト13Aの先端部と上部旋回体11の後端部には、それぞれ不図示のシーブが配置され、当該シーブ間にブーム起伏用ロープ13Bが架け渡されている。そして、上部旋回体11上に配置された不図示のブーム起伏用ウインチが前記ブーム起伏用ロープ13Bの繰出しおよび巻上げを行うことで、両シーブ間の距離が変化する。この結果、マスト13Aと、左右一対のガイリンク15によってマスト13Aに接続されたブーム12とが一体的に回動(起伏)する。
【0038】
クレーン1が組み立てられる際には、ブーム12が地上で組み立てられる。すなわち、前記ブーム部材が互いに連結されることで、ブーム12が形成される。たとえば、図2にように、第1中間ブーム16が地上に載置された状態で、第2中間ブーム18が補助クレーン1Sによって吊り上げられ、第1中間ブーム16と第2中間ブーム18とが互いに連結される。一方、左右一対のガイリンク15も、その長手方向に沿って複数のリンク部材が互いに連結されることで形成されており、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18を含むブーム部材上に保持されている。
【0039】
図3は、本実施形態に係るクレーン1の組立作業において、ブーム12(第1中間ブーム16、第2中間ブーム18)の上面部においてガイリンク15の第1リンク部材15Aと第2リンク部材15Bが連結される様子を示す斜視図である。本実施形態では、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18に代表されるブーム部材上に、左右一対のガイリンク15を構成するリンク部材(15A、15B)がそれぞれ装着されている(図2)。そして、ブーム12の各ブーム部材の連結作業時に、前記リンク部材同士がブーム部材の上面部上で互いに連結される。この結果、ブーム12の分解時には、各ブーム部材上にガイリンク15の一部を収容できるため、ブーム12およびガイリンク15を一体で保管、輸送することが可能となる。
【0040】
図3を参照して、第1中間ブーム16は、左右一対の第1上メインフレーム161と、左右一対の第1上メインフレーム161の先端部同士を左右方向に接続する第1上サブフレーム162とを有する。左右一対の第1メインフレーム161は、第1中間ブーム16の上面部を構成し、左右方向に互いに間隔をおいてそれぞれ前後方向に沿って延びている。なお、図3では、左右一対の第1メインフレーム161のうち右側の第1メインフレーム161のみが現れている。
【0041】
同様に、第2中間ブーム18は、左右一対の第2上メインフレーム181と、左右一対の第2上メインフレーム181の先端部同士を左右方向に接続する第2上サブフレーム182と、を有する。左右一対の第2メインフレーム181は、第2中間ブーム18の上面部を構成し、左右方向に互いに間隔をおいてそれぞれ前後方向に沿って延びている。また、図3では、左右一対の第2メインフレーム181のうち右側の第2メインフレーム181のみが現れている。また、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18の上面部には、作業者が歩行可能な足場16Fおよび足場18Fがそれぞれ固定されている。
【0042】
第1中間ブーム16は、更に、左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第1上コネクタ16Aを有する。一方、第2中間ブーム18は、更に、前記左右一対の第1上コネクタ16Aの間で左右方向に互いに間隔をおいて配置される左右一対の第2上コネクタ18Aを有する。第1コネクタ16Aおよび第2コネクタ18Aは、左右方向に沿って延びる不図示のブーム連結ピンによって互いに連結される。なお、図3では、右側の第1コネクタ16Aおよび第2コネクタ18Aのみが現れている。また、左右一対の第1コネクタ16Aおよび左右一対の第2コネクタ18Aの下方にも、左右一対の第1コネクタ16Bおよび左右一対の第2コネクタ18Bが配置されており(図2)、不図示のブーム連結ピンによって互いに連結される。この結果、第1中間ブーム16および第2中間ブーム18が連結される。
【0043】
図3に示すように、第1中間ブーム16の上面部には、雄リンク150に対して雌リンク151が回動可能に連結された状態で支持されている(第1リンク部材15A)。一方、第2中間ブーム18の上面部にも、雄リンク150が支持されている(第2リンク部材15B)。なお、第2中間ブーム18上の雄リンク150の前端部も、上記と同様の雌リンク151が回動可能に連結されている。したがって、作業者が各ブーム部材間において、雌リンク151と雄リンク150とを連結ピン70によって連結することで、左右一対のガイリンク15を組み立てることができる。雄リンク150は、1枚の板状部材からなり、雌リンク151は左右方向に間隔をおいて配置される2枚の板状部材からなる。雌リンク151の2枚の板状部材の間に、1枚の板状部材からなる雄リンク150が配置されることで、雄リンク150と雌リンク151とが連結される。なお、前後方向に延びる雄リンク150および雌リンク151の断面は、その左右方向の寸法よりも上下方向の寸法が大きく設定されている。
【0044】
従来、このような左右一対のガイリンク15をブーム12上で組み立てるためには、作業者がブーム12の上面部においてハンマーによって連結ピン70を打撃することで各リンク部材に開口されたピン孔に連結ピン70を挿入していた。このため、作業者は高所において作業しければならず、作業負担が大きくなるという問題があった。また、ガイリンク15を構成する各リンク部材は板状の部材からなるため、連結ピン70をピン孔に無理に挿入しようとすると、リンク部材に曲げ変形が生じてしまう。ガイリンク15がブーム12を支持する際にはガイリンク15に非常に大きな引っ張り力が掛かるため、上記の曲げ変形部分から亀裂が生じやすく、ガイリンク15の寿命が短くなるという問題があった。
【0045】
本実施形態では、上記のように、クレーン1のブーム12の上面部において、ガイリンク15の雄リンク150と雌リンク151とを連結ピン70によって互いに連結することが可能なピン打ち装置30(連結ピン挿入装置)が提供される。図4は、本実施形態に係るピン打ち装置30が作業装置20に支持された様子を示す斜視図である。また、図5は、本実施形態に係るピン打ち装置30が作業装置20に支持され、ブーム12の上面部に配置された様子を示す正面図である。
【0046】
本実施形態では、ピン打ち装置30を支持する作業装置20が、一例として油圧ショベルからなる。なお、作業装置20は、油圧ショベルに限定されるものではなく、クレーンや専用の作業車両であってもよい。各図では、油圧ショベルの不図示のバケットに代わってピン打ち装置30が装着されている。作業装置20は、地上を走行可能な下部走行体21(走行部)と、下部走行体21上に旋回可能に支持された上部旋回体22と、上部旋回体22の前端部に配置されるキャブ23(運転席)と、作業アタッチメント24と、を有する。作業アタッチメント24は、上部旋回体22に水平な回転中心軸回りに起伏可能に支持されたブーム25と、ブーム25の先端部に水平な回転中心軸回りに回動可能に支持されたアーム26と、を有する。ピン打ち装置30は、アーム26の先端部に前記バケットに代わって装着されている。なお、作業装置20は、ブーム25、アーム26およびピン打ち装置30を回動させるための不図示の油圧シリンダを含む。作業アタッチメント24は、上部旋回体22を介して下部走行体21に支持され、ブーム25およびアーム26の回動に伴って姿勢変更可能とされている。この結果、図5に示すように、作業アタッチメント24の姿勢変更によって、作業アタッチメント24の先端部に装着されたピン打ち装置30が、ブーム12(第1中間ブーム16、第2中間ブーム18)の上面部に配置される。なお、図3では、ブーム12の上面部に配置されたピン打ち装置30の一部である後記の左右一対の先端作業部33が図示されている。
【0047】
図6は、本実施形態に係るピン打ち装置30の斜視図である。図7は、本実施形態に係るガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bの斜視図である。
【0048】
図7を参照して、左右一対のガイリンク15は、前述のように複数の雄リンク150および雌リンク151をそれぞれ有している。ここで、第1中間ブーム16の上面部に支持されている雄リンク150および雌リンク151を含む部分が、第1リンク部材15Aと定義される。同様に、第2中間ブーム18の上面部に支持されている雄リンク150および雌リンク151を含む部分が、第2リンク部材15Bと定義される。
【0049】
第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bは、それぞれ、一端部(第1端部)と他端部(第2端部)とを含む。そして、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bの一端部には、上部旋回体11の左右方向に沿って雌リンク孔部151T(第1孔部)が形成され、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bの他端部には前記左右方向において雌リンク孔部151Tに合致するように前記左右方向に沿って雄リンク孔部150T(第2孔部)が形成されている。第1リンク部材15Aの雌リンク151が、雄リンク150の一端側に形成された雄リンク支点部150S回りに回動すると(図7の矢印参照)、雌リンク孔部151Tが雄リンク孔部150Tに合致し、両孔部に連結ピン70が挿入可能とされる。
【0050】
なお、ガイリンク15の構造は、図7に示される態様に限定されるものではない。たとえば、ガイリンク15は雌リンク151を備えておらず、複数の雄リンク150同士が互いに連結されるものでもよい。この場合、互いに隣接する雄リンク150が、本発明の第1リンク部材および第2リンク部材を構成する。
【0051】
図6を参照して、ピン打ち装置30は、上部旋回体11に対して倒伏された状態のブーム12の上面部上で、左右一対のガイリンク15の第1リンク部材15Aに形成された雌リンク孔部151Tと、第2リンク部材15Bに形成された雄リンク孔部150Tとに、前記複数の連結ピン70のうちの一の連結ピン70を挿入することで、第1リンク部材15Aと第2リンク部材15Bとを互いに連結することが可能とされている。
【0052】
ピン打ち装置30は、本体部31と、左右一対のメインシリンダ32と、左右一対の先端作業部33と、左右一対のリンク支持部333と、左右二対のリンク拘束部334と、を備える。なお、図6に示すように、本実施形態では、ピン打ち装置30の構造は左右対称とされているため、図6のピン打ち装置30の右側部分を例に、ピン打ち装置30の構造を説明する。
【0053】
本体部31は、ピン打ち装置30の本体部分である。本体部31は、筐体310と、前後一対の被接続部311と、左右一対のメインシリンダ挿入部312と、を有する。
【0054】
筐体310は、左右方向に長く延びる略直方体形状を有している。筐体310の内部には、メインシリンダ32が挿入されることを許容する左右一対のメインシリンダ挿入部312が形成されている。
【0055】
被接続部311は、作業装置20の前記作業アタッチメント24の先端部に接続(固定)される。
【0056】
左右一対のメインシリンダ32は、本体部31の筐体310から左右方向に延びるように配置されており、筐体310のメインシリンダ挿入部312とともに公知の油圧シリンダを構成している。換言すれば、メインシリンダ32は、作動油の供給を受ける一方、作動油を排出することで、筐体310に対して左右方向(後記の押圧ロッド332の押圧方向)に沿って伸縮可能とされている。また、メインシリンダ32は、本体部31と後記の作業シリンダ本体331とを互いに接続する。
【0057】
先端作業部33(少なくとも一つの押圧シリンダ)は、メインシリンダ32の先端部に接続されている。先端作業部33は、作業シリンダ本体331(シリンダ本体)と、押圧ロッド332と、を有する。作業シリンダ331の内部には、押圧ロッド332を伸縮させるための油圧シリンダや後記のリンク拘束部334を姿勢変更させるための駆動機構(モーターやギア)、更には油圧配管や電源線などが収容されている。本実施形態では、作業シリンダ本体331は、楕円形状の断面を有し、左右方向に沿って延びている。なお、作業シリンダ331の断面形状は楕円に限定されるものではなく、円形、矩形など他の形状であってもよい。押圧ロッド332は、作業シリンダ本体331の内部から所定の押圧方向に向かって伸長可能とされ、連結ピン70を押圧可能とされている。押圧ロッド332は、円柱形状からなる。
【0058】
なお、先端作業部33も、作動油の供給を受ける一方作動油を排出することで伸縮する油圧シリンダからなる。このため、ピン打ち装置30は、シリンダ駆動部30K(図4)を有する。本実施形態では、シリンダ駆動部30Kは、作業装置20の上部旋回体22に備えられている。なお、シリンダ駆動部30Kは、本体部31に備えられてもよい。シリンダ駆動部30Kは、油圧源や切換弁を含み、先端作業部33に対して不図示の油路を経由して作動油を同時に供給することで、左右一対の先端作業部33の押圧ロッド332を同時に伸長させる。他の実施形態において、先端作業部33は、電動シリンダなど他の駆動シリンダでもよい。この場合、シリンダ駆動部30Kは、電動モーターなどでもよい。また、シリンダ駆動部30Kは、メインシリンダ32および筐体310から構成される油圧シリンダにも作動油を供給する。
【0059】
また、本実施形態の被接続部311を含む本体部31は、先端作業部33が作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って押圧ロッド332の押圧方向が上部旋回体11(ブーム12)の左右方向と平行となるような姿勢でブーム12の上面部に配置されることが可能なように、先端作業部33を保持している。更に、本体部31は、押圧ロッド332が一の連結ピン70を前記押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピン70を第1リンク部材15Aの雌リンク孔部151Tおよび第2リンク部材15Bの雄リンク孔部150Tに挿入することで第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを互いに連結することが可能なように先端作業部33を保持する。
【0060】
リンク支持部333は、作業シリンダ本体331の先端部の下端部に接続され、作業シリンダ本体331から押圧ロッド332の伸長方向(押圧方向)に延びている。リンク支持部333は、ブーム12の上面部において、ガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bのうちの少なくとも一部を支持することが可能とされている。なお、リンク支持部333の詳細な構造については、後記で更に説明する。
【0061】
ピン打ち装置30の右側端部に配置されている前後一対のリンク拘束部334は、図6に示すように、リンク支持部333を前後から挟むように配置されている。当該前後一対のリンク拘束部334は、それぞれ、拘束支持部334Aと、拘束当接部334Bと、を有する。拘束支持部334Aは、作業シリンダ本体331の先端部の下端部から前記押圧方向に延びるように作業シリンダ本体331に接続されている。拘束当接部334Bは、拘束支持部334Aの先端部に接続され、拘束支持部334A(前記押圧方向)と直交する方向に延びるように配置されている。拘束当接部334Bは、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bのうちの少なくとも一方のリンク部材に当接することが可能とされている。
【0062】
連結ピン70の挿入作業時には、リンク拘束部334(拘束当接部334B)は、押圧ロッド332から見て雄リンク孔部150Tおよび雌リンク孔部151Tよりも前記押圧方向先端側で、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bのうちの少なくとも一方のリンク部材に前記押圧方向において対向して配置される。そして、リンク拘束部334は、押圧ロッド332によって一の連結ピン70が雄リンク孔部150Tおよび雌リンク孔部151Tに挿入される際に前記少なくとも一方のリンク部材を前記押圧方向先端側で拘束することが可能とされている。
【0063】
また、リンク拘束部334は、後記で詳述するように、第1の姿勢と第2の姿勢との間で姿勢変更可能とされている。前記第1の姿勢では、リンク拘束部334が前記少なくとも一方のリンク部材の下方を前記押圧方向に沿って通過可能であり、前記第2の姿勢では、リンク拘束部334が前記少なくとも一方のリンク部材を前記押圧方向先端側で拘束することが可能である。本実施形態では、リンク拘束部334の拘束当接部334Bが、拘束支持部334Aを通り前記押圧方向に延びる支点部334S(回転中心軸)回りに回転することで、リンク拘束部334が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で姿勢変更する。
【0064】
なお、図6のピン打ち装置30の左右端部にそれぞれ配置される前後一対のリンク拘束部334同士は、連結ピン70の中心軸(その延長線)を前記押圧方向と直交する方向(前後方向)において両側から挟むように互いに間隔をおいて配置されている(図11参照)。
【0065】
<ピン打ち装置30による連結ピン70の挿入手順について>
図8乃至図12は、本実施形態に係るピン打ち装置30によって右側のガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bが連結される様子を示す斜視図である。
【0066】
作業装置20の作業アタッチメント24の先端部に装着されたピン打ち装置30が、作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って、図5のようにブーム12の上面部に配置される。この際、ピン打ち装置30は、押圧ロッド332による連結ピン70の押圧方向が左右方向と平行になるように第1中間ブーム16と第2中間ブーム18との境界付近に配置される(図8)。なお、予め地上においてリンク支持部333上には連結ピン70が載置されている。図8に示すように、ブーム12の上面部では、押圧ロッド332および連結ピン70は、左右方向において第2リンク部材15Bの雄リンク孔部150Tに合致する位置に配置される。
【0067】
次に、作業装置20のキャブ23に配置される操作部、または、ブーム12の周囲に位置する作業者が有する不図示の操作部からの指令信号を受けて、ピン打ち装置30のメインシリンダ32が図9の矢印で示すように伸長する。この際、リンク支持部333および前後一対のリンク拘束部334の先端部は、雄リンク150の下方を通過する。この結果、リンク支持部333に載置された連結ピン70が、雄リンク150の雄リンク孔部150Tの近傍に配置される。また、雄リンク150の雄リンク孔部150T周辺部分がリンク支持部333によって支持される。なお、雄リンク150は、ブーム12の上面部に配置される他の支持部材によって支持されていてもよい。
【0068】
次に、作業者が、図9の矢印で示すように、第1リンク部材15Aの雌リンク151を雄リンク支点部150S回りに回動する。この結果、図10に示すように、雌リンク151の2枚の板状部材が第2リンク部材15Bの雄リンク150を左右両側から挟むように配置される。この際、第2リンク部材15Bの雄リンク150に対して、上方から回動する第1リンク部材15Aの雌リンク151は、リンク支持部333によって支持されるため、リンク支持部333が更に下方まで回動することが防止される。すなわち、リンク支持部333は、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを下方向において拘束する機能を有する。図10に示される状態では、第1リンク部材15Aの雌リンク151の雌リンク孔部151Tと、第2リンク部材15Bの雄リンク150の雄リンク孔部150Tとが左右方向において合致した位置に配置されている。
【0069】
次に、作業者は、前後一対のリンク拘束部334の拘束当接部334Bを支点部334S(図6)回りに回動させる。この結果、図11に示すように、前後一対のリンク拘束部334(拘束当接部334B)が、雌リンク151の先端部に左右方向において対向して配置される。
【0070】
そして、前記指令信号を受けて、先端作業部33の押圧ロッド332が作業シリンダ本体331に対して伸長すると、図12に示すように、連結ピン70が第1リンク部材15Aの雌リンク151の雌リンク孔部151T(左右2つの孔部)と、第2リンク部材15Bの雄リンク150の雄リンク孔部150Tとに挿入される。この結果、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bが互いに連結される。なお、上記と同様の動作が、図6の左側の押圧ロッド332によっても同時に行われる。この結果、左右一対のガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bが互いに連結される。そして、作業装置20が地上を移動しながら、ピン打ち装置30が、ブーム12の上面部において左右一対のガイリンク15の複数のリンク部材同士を前後方向に沿って順に連結することで、左右一対のガイリンク15が組み立てられる。
【0071】
<リンク支持部333の構造について>
図13図14図15および図16は、本実施形態に係るピン打ち装置30のリンク支持部333(ピン支持部)に連結ピン70が支持された様子を示す正面図、底面図、右側面図および左側面図である。前述のように、ピン打ち装置30のリンク支持部333は、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを下方から支持することが可能である。一方、リンク支持部333は、連結ピン70を支持する機能を兼ね備えている。
【0072】
図13図15および図16を参照して、連結ピン70は、ピン本体部71と、ピン先端部72と、ピンフランジ部73と、を有する。ピン先端部72は、ピン本体部71の先端部に配置され、ピン本体部71よりも小さくかつ先細の外径を有する。ピン本体部71およびピン先端部72は、ガイリンク15の雄リンク孔部150Tおよび雌リンク孔部151Tに挿入される。ピンフランジ部73は、ピン本体部71の基端部(連結ピン70の押圧方向後端側)に配置され、雄リンク孔部150Tおよび雌リンク孔部151Tの内径よりも大きな外径を有する。
【0073】
また、リンク支持部333は、ベース板333T(図14)と、ピンフランジ支持部34およびピン本体支持部35(ピン支持部)を有する。ベース板333Tは、リンク支持部333の本体部分に相当し、左右方向に延びる板状部材からなる。なお、ベース板333Tの先端部が、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを下方から支持する。また、ベース板333Tには、前後一対の矩形状の開口部333Sが開口されている。開口部333Sには、後記の支持板351が挿入されている。
【0074】
ピンフランジ支持部34およびピン本体支持部35は、連結ピン70の押圧方向において雄リンク孔部150Tおよび雌リンク孔部151Tに対向する位置で連結ピン70を支持する機能を有する。
【0075】
ピンフランジ支持部34は、連結ピン70のピンフランジ部73を支持する。ピン本体支持部35は、連結ピン70のピン本体部71を支持する。なお、ピンフランジ支持部34は、ピン本体部71がピン本体支持部35に支持された状態の一の連結ピン70の中心軸が前記押圧方向と平行になるように、ピンフランジ部73を支持する。
【0076】
ピンフランジ支持部34は、ピンフランジ部73を前後方向の両側から挟むように、リンク支持部333のベース板333Tから上方に突出している。
【0077】
ピン本体支持部35は、前後一対の支持板351と、連結部352と、コイルスプリング35K(図14)と、を有する。前後一対の支持板351は、それぞれ、正面視で略三角形形状を有しており、図13に示すように、連結ピン70の押圧方向(挿入方向)に沿って先上がりに傾斜した傾斜部351Hを有する。前後一対の支持板351は、前述の開口部333Sにそれぞれ挿入されており、開口部333Sの左端部に配置された支点部35Sに前後方向に延びる回転中心軸回りに回動可能に支持されている。連結部352は、前後一対の支持板351の右端部をベース板333Tの下方で互いに連結している。コイルスプリング35Kは、支点部35Sに外嵌されており、前後一対の支持板351が開口部333Sから上方に突出するように支持板351を付勢している。なお、連結部352がベース板333Tの下面部に当接することで、前後一対の支持板351の上限位置が規制される。
【0078】
図17乃至図21は、本実施形態に係るピン打ち装置30によって連結ピン70が押圧される様子を示す正断面図である。
【0079】
図17を参照して、作業装置20の作業アタッチメント24の先端部にピン打ち装置30が装着された状態で、ピン打ち装置30のリンク支持部333のピンフランジ支持部34およびピン本体支持部35上に連結ピン70が装着される。その後、作業者によって作業アタッチメント24の姿勢が変更され、ピン打ち装置30がブーム12の上面部に移動される。リンク支持部333および前後一対のリンク拘束部334が雄リンク150および雌リンク151の下方を通過すると、連結ピン70が雌リンク孔部151T(図9)および雄リンク孔部150T(図9)に対向して配置される。この際、連結ピン70のピンフランジ部73がピンフランジ支持部34によって支持される一方、ピン本体部71がピン本体支持部35によって支持される。この結果、連結ピン70の中心軸が左右方向(連結ピン70の押圧方向)と平行に設定される。
【0080】
次に、図18に示すように、押圧ロッド332が作業シリンダ本体331(図6)から伸長すると、連結ピン70が押圧ロッド332によって押圧される。この結果、図18図19に示すように、連結ピン70のピン本体部71が各孔部に順に挿入される一方、連結ピン70のピンフランジ部73がピンフランジ支持部34から脱離される。また、ピンフランジ部73がピン本体支持部35の傾斜部351Hを下方に押圧することで、コイルスプリング35Kの付勢力に抗して、ピン本体支持部35が支点部35S回りに下方に回動する(図19図20)。このため、ピン本体支持部35がピンフランジ部73の右方への移動を妨げることが抑止される。押圧ロッド332が連結ピン70を更に押圧すると、やがてピンフランジ部73がピン本体支持部35よりも押圧方向先端側(図21の右側)に移動する。この結果、ピン本体支持部35がコイルスプリング35Kの付勢力によって上方に回動し(図21の矢印参照)、初期位置に復帰する。この結果、図21に示すように、連結ピン70が、雌リンク孔部151T(図7)および雄リンク孔部150T(図7)に挿入され、第1リンク部材15Aの雌リンク151と第2リンク部材15Bの雄リンク150とが互いに連結される。なお、上記と同様の動作が、図6の左側の押圧ロッド332によっても行われる。この結果、左右一対のガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bが互いに連結される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、ピン打ち装置30は、左右一対の先端作業部33(少なくとも一つの押圧シリンダ)を保持する本体部31を有している。特に、本体部31は、左右一対の先端作業部33が作業装置20の作業アタッチメント24の姿勢変更に伴って、その押圧方向が左右方向と平行となるような姿勢でブーム12の上面部に配置されることが可能であるように、左右一対の先端作業部33を保持する。このため、本体部31の被接続部311が作業装置20の作業アタッチメント24の先端部に接続されると、作業アタッチメント24の姿勢を変更することで重量物である先端作業部33(シリンダ)を連結ピン70の挿入位置まで容易に移動させることができる。特に、起伏体が、ブーム12のように大型の場合には、ブーム12の上面部が地上から数メートルの高さに位置する。このような場合でも、上記の構成によれば、作業装置20の作業アタッチメント24の高さを利用してピン打ち装置30を持ち上げることができるため、作業者が高所まで先端作業部33を運ぶ必要がなく、連結ピン70の挿入作業における作業性を向上することが可能となる。更に、各押圧ロッド332が連結ピン70を押圧方向に向かって押圧しながら第1リンク部材15Aの雌リンク孔部151Tおよび第2リンク部材15Bの雄リンク孔部150Tに挿入することで、ガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを互いに連結することが可能とされる。このため、作業者がハンマーなどで連結ピン70を打撃して挿入する必要がなく、連結ピン70の挿入作業における作業性を更に向上することが可能となる。また、ピン打ち装置30よりも大きな重量を備える作業装置20がピン打ち装置30を支持しているため、ピン打ち装置30が連結ピン70を挿入する際に発生する反力を作業装置20によって受けることができる。更に、先端作業部33の押圧ロッド332が連結ピン70を挿入する際には、前後一対のリンク拘束部334が、第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bのうちの少なくとも一方のリンク部材を押圧方向先端側で拘束する。このため、押圧ロッド332の押圧力によって前記リンク部材が大きく変形することが抑止される。この結果、ガイリンク15の連結作業における作業者の負担を減らすとともに、組立時にガイリンク15が損傷することを抑止することが可能なピン打ち装置30が提供される。なお、ピン打ち装置30が装着される起伏体は、ブームに限定されるものではなく、ジブなど他の部材であってもよい。
【0082】
また、本実施形態では、図11に示すように、連結ピン70の中心軸を挟むように、一対のリンク拘束部334が配置され、前記押圧方向において前記少なくとも一方のリンク部材をそれぞれ拘束するため、押圧ロッド332の押圧力によって各リンク部材が大きく変形することが更に抑止される。
【0083】
また、本実施形態では、リンク拘束部334が第1の姿勢とされると、リンク拘束部334を各リンク部材の下方を通って前記リンク部材を拘束可能な位置に配置することができる。一方、リンク拘束部334が第2の姿勢とされると、リンク拘束部334によって各リンク部材を安定して拘束することができる。この際、前記第1の姿勢では、前記第2の姿勢よりもリンク拘束部334の上下方向の寸法が小さく設定されている。また、作業者が少なくとも拘束当接部334Bを支点部334S(回転中心軸)回りに回転させることで、リンク拘束部334を第1の姿勢と第2の姿勢との間で容易に姿勢変更させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、ピン打ち装置30がリンク支持部333を備えることで、第1リンク部材15Aと第2リンク部材15Bとの連結時に、これらのリンク部材が脱落することが抑止される。
【0085】
更に、本実施形態では、ピン打ち装置30がピンフランジ支持部34およびピン本体支持部35からなるピン支持部を備えることで、予め連結ピン70を前記ピン支持部に装着した上で、ブーム12の上面部においてガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを容易に連結することができる。
【0086】
また、本実施形態では、雌リンク孔部151Tおよび雄リンク孔部150Tの内径よりも大きな外径を有するピンフランジ部73が第1リンク部材15Aの雌リンク151の内側面に当接することによって連結ピン70の押圧方向における位置を規制することができる。また、連結ピン70が外径の異なるピン本体部71とピンフランジ部73とを有する場合でも、ピンフランジ支持部34およびピン本体支持部35によって連結ピン70を安定して支持することができる。
【0087】
また、本実施形態では、ピン打ち装置30が伸縮可能なメインシリンダ32を有している。このため、作業アタッチメント24の姿勢変更によってピン打ち装置30がブーム12の上面部に配置された後に、メインシリンダ32の伸縮動作によって押圧ロッド332を各リンク部材に近づけることができる。このため、押圧ロッド332の伸長によって連結ピン70を雌リンク孔部151Tおよび雄リンク孔部150Tに容易に挿入することができるとともに、押圧ロッド332の伸長ストロークを小さくすることができる。押圧ロッド332の伸長ストロークが長い場合、長く設定される押圧ロッド332の撓みが生じやすい。このため、押圧ロッド332の伸長ストロークが小さくされることで、押圧ロッド332によって連結ピン70を安定して押圧することができる。また、ブーム12の左右方向の寸法に応じた左右一対のガイリンク15の位置に応じて、先端作業部33の位置を調整することができる。
【0088】
また、本実施形態では、ピン打ち装置30が、左右一対の先端作業部33を有している。ここで、右側の先端作業部33が、第1シリンダ本体(331)と前記第1シリンダ本体から第1押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピン70を押圧可能な第1押圧ロッド(332)とを含む第1押圧シリンダと定義し、左側の先端作業部33が、第2シリンダ本体(331)と前記第2シリンダ本体から第2押圧方向に向かって伸長可能とされ連結ピン70を押圧可能な第2押圧ロッド(332)とを含む第2押圧シリンダと、定義される。この場合、本体部31は、前記第1押圧方向および前記第2押圧方向が互いに平行かつ反対の方向に向かうように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持することができる。更に、本体部31は、前記第1押圧ロッドが一の連結ピン70を前記第1押圧方向に向かって押圧しながら当該一の連結ピン70を左右の一方のガイリンク15における前記第1リンク部材15Aの雌リンク孔部151Tおよび第2リンク部材15Bの雄リンク孔部150Tに挿入することで前記一方のガイリンク15における第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを互いに連結する一方、前記第2押圧ロッドが複数の連結ピン70のうちの前記一の連結ピン70とは異なる他の連結ピン70を前記第2押圧方向に向かって押圧しながら当該他の連結ピン70を左右一対のガイリンク15のうちの前記一方のガイリンク15とは異なる他方のガイリンク15における第1リンク部材15Aに形成された雌リンク孔部151Tおよび第2リンク部材15Bに形成された雄リンク孔部150Tに挿入することで前記他方のガイリンク15における第1リンク部材15Aと第2リンク部材15Bとを互いに連結することが可能なように、前記第1押圧シリンダおよび前記第2押圧シリンダを保持する。
【0089】
このような構成によれば、作業アタッチメント24の姿勢変更によって、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダを、一の連結ピン70および他の連結ピン70を押圧可能な位置に配置することができる。また、第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダによって、左右一対のガイリンク15の連結作業を並行して行うことができる。このため、1つの押圧シリンダ(先端作業部33)によって各ガイリンク15を連結する場合と比較して、ガイリンク15の連結作業を効率的に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態では、シリンダ駆動部30Kが、左右一対の先端作業部33を制御することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドが左右の連結ピン70を同時に押圧する。このため、押圧時に発生する反力を左右で相殺し、本体部31や作業アタッチメント24に掛かる負荷、衝撃を低減することができる。特に、シリンダ駆動部30Kが第1押圧シリンダおよび第2押圧シリンダに作動油を同時に供給することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドを同時に伸長させることができる。このため、作業装置20として油圧ショベルなどを用いることで、作業装置20で使用される作動油をピン打ち装置30に供給し、同時かつ十分な力で連結ピン70を挿入することができる。なお、シリンダ駆動部30Kは、左右一対の先端作業部33を制御することで、前記第1押圧ロッドおよび前記第2押圧ロッドによって左右の連結ピン70を順に押圧するものでもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態に係るクレーン1のガイリンク15の組立作業に使用されるピン打ち装置30について説明した。なお、ピン打ち装置30について付言すれば、本体部31の被接続部311は、前記作業装置20の前記作業アタッチメント24のうち下部走行体21に姿勢変更可能なように支持される可動部材(ブーム25、アーム26)であってその先端部に接続部を有する可動部材の前記接続部から、前記可動部材の前記接続部に着脱可能に接続され所定の作業を行うことが可能なバケット(作業部材)が脱離された状態で、前記接続部に接続可能とされる。このため、作業装置20の作業アタッチメント24のアーム26(可動部材)に配置されバケットを装着するための接続部を利用して、ピン打ち装置30を作業アタッチメント24に装着することができる。
【0092】
なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0093】
(1)また、上記の実施形態では、作業機械として図1に示されるクレーン1をもって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、掘削機、破砕機などその他の作業機械に適用されてもよい。
【0094】
(2)上記の実施形態では、ピン打ち装置30が左右一対の先端作業部33を備える態様にて説明したが、ピン打ち装置30は1つの先端作業部33を備えるものでも良い。この場合、左側のガイリンク15において第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを連結すると、作業アタッチメント24の姿勢変更によって先端作業部33が右側のガイリンク15の第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bを連結すればよい。
【0095】
(3)また、先端作業部33の先端部に備えられた前後一対のリンク拘束部334の代わりに、一つのリンク拘束部334が備えられてもよい。また、リンク拘束部334は支点部334S回りに回動することで姿勢変更するものに限定されない。作業者によって、リンク拘束部334が2つの姿勢をもって作業シリンダ本体331の先端部に装着される態様でもよい。また、拘束支持部334Aの先端部に拘束当接部334Bが2つの姿勢で装着されるものでもよい。
【0096】
(4)また、ピン打ち装置30は、リンク支持部333を備えることなく、予めブーム12上に備えられた他のリンク支持部によって第1リンク部材15Aおよび第2リンク部材15Bが支持される態様でもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 クレーン
1S 補助クレーン
10 下部走行体
11 上部旋回体(機体)
12 ブーム(起伏体)
13 ガントリ
14 下部ブーム
15 ガイリンク
150 雄リンク
150S 雄リンク支点部
150T 雄リンク孔部(第2孔部)
151 雌リンク
151T 雌リンク孔部(第1孔部)
15A 第1リンク部材(リンク部材)
15B 第2リンク部材(リンク部材)
16 第1中間ブーム
18 第2中間ブーム
20 作業装置
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 作業アタッチメント
25 ブーム
26 アーム
30 ピン打ち装置(連結ピン挿入装置)
31 本体部
310 筐体
311 被接続部
312 メインシリンダ挿入部
32 メインシリンダ
33 先端作業部(押圧シリンダ)
331 作業シリンダ本体(シリンダ本体)
332 押圧ロッド
333 リンク支持部
333S 開口部
334 リンク拘束部
334A 拘束支持部
334B 拘束当接部
334S 支点部(回転中心軸)
34 ピンフランジ支持部(ピン支持部)
35 ピン本体支持部(ピン支持部)
351 支持板
351H 傾斜部
352 連結部
35K コイルスプリング
35S 支点部
70 連結ピン
71 ピン本体部
72 ピン先端部
73 ピンフランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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