(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】シート用パッドおよび座席シート
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20221207BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A47C27/15 B
A47C27/15 Z
A47C7/18
(21)【出願番号】P 2017146972
(22)【出願日】2017-07-28
【審査請求日】2020-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 健司
(72)【発明者】
【氏名】米澤 泰輔
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147616(JP,A)
【文献】特開2015-164656(JP,A)
【文献】実開平06-048448(JP,U)
【文献】特開2005-253493(JP,A)
【文献】実開昭58-175756(JP,U)
【文献】特開2001-070084(JP,A)
【文献】特開2014-094623(JP,A)
【文献】特開2007-222397(JP,A)
【文献】特開2007-097948(JP,A)
【文献】特開2005-095342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00 - A47C 27/22
A47C 7/00 - A47C 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座する着座面を有するとともに、合成樹脂材料からなる発泡成形体を備え、この発泡成形体に空調用の通気溝が形成されたシート用パッドであって、
前記着座面は、鉛直方向の上側を向き、
前記通気溝は、鉛直方向から見て、鉛直方向に交差する横方向に延び、空気の供給源側と連通し、
前記発泡成形体は、前記着座面を有する上部発泡成形体と、前記着座面と反対の取付面側の下部発泡成形体と、からなり、
前記下部発泡成形体は、前記上部発泡成形体より硬度が高く、
前記通気溝は、前記上部発泡成形体に形成されるとともに、前記着座面に開口し、
前記着座面に、この着座面における前記通気溝の開口を閉塞した変形可能な板体が配設され、
前記板体は、前記上部発泡成形体より硬度が低く、
前記通気溝は、前記板体に形成された貫通孔を通して、前記着座面の外側に連通し、
前記通気溝は、前記上部発泡成形体に形成されるとともに、前記上部発泡成形体において、前記着座面の反対側の裏面に開口し、
前記下部発泡成形体は、前記上部発泡成形体の前記裏面における前記通気溝の開口の
全体を閉塞していることを特徴とするシート用パッド。
【請求項2】
前記上部発泡成形体は、発泡ポリウレタンを含む材質で形成され、前記下部発泡成形体は、発泡ポリプロピレンを含む材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート用パッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート用パッドと、
前記発泡成形体の取付面に配設された枠状のフレームと、
前記フレームの内側開口を区画し、前記発泡成形体の取付面を支持するワイヤと、を備えることを特徴とする座席シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート用パッドおよび座席シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗員が着座する着座面を有するとともに、合成樹脂材料からなる発泡成形体を備えるシート用パッドとして、発泡成形体に空調用の通気溝が形成された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、乗員の着座時に通気溝が潰れ、所期した空調効果が発揮されないおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、乗員の着座時に通気溝が潰れるのを抑制することができるシート用パッドおよび座席シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のシート用パッドは、乗員が着座する着座面を有するとともに、合成樹脂材料からなる発泡成形体を備え、この発泡成形体に空調用の通気溝が形成されたシート用パッドであって、前記着座面は、鉛直方向の上側を向き、前記通気溝は、鉛直方向から見て、鉛直方向に交差する横方向に延び、空気の供給源側と連通し、前記発泡成形体は、前記着座面を有する上部発泡成形体と、前記着座面と反対の取付面側の下部発泡成形体と、からなり、前記下部発泡成形体は、前記上部発泡成形体より硬度が高く、前記通気溝は、前記上部発泡成形体に形成されるとともに、前記着座面に開口し、前記着座面に、この着座面における前記通気溝の開口を閉塞した変形可能な板体が配設され、前記板体は、前記上部発泡成形体より硬度が低く、前記通気溝は、前記板体に形成された貫通孔を通して、前記着座面の外側に連通し、前記通気溝は、前記上部発泡成形体に形成されるとともに、前記上部発泡成形体において、前記着座面の反対側の裏面に開口し、前記下部発泡成形体は、前記上部発泡成形体の前記裏面における前記通気溝の開口の全体を閉塞していることを特徴とする。
本発明の座席シートは、本発明のシート用パッドと、前記発泡成形体の取付面に配設された枠状のフレームと、前記フレームの内側開口を区画し、前記発泡成形体の取付面を支持するワイヤと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、下部発泡成形体が、着座面を有する上部発泡成形体より硬度が高いので、乗員の着座時に発泡成形体に加えられる力を、下部発泡成形体に受け止めさせることが可能になり、良好な乗り心地性を確保しつつ、通気溝が潰れるのを抑制することができる。
しかも、発泡成形体が、上部発泡成形体および下部発泡成形体を備えることで、このような作用効果が奏されることから、例えば、通気溝にパイプを嵌め込むのと比べて、容易に製造することができるとともに、良好な乗り心地性を確実に確保することができる。
【0009】
着座面に配設された板体の硬度が、上部発泡成形体の硬度より低いので、快適な乗り心地性を確保することができる。
【0011】
下部発泡成形体が、上部発泡成形体の裏面における通気溝の開口を閉塞しているので、前記裏面における通気溝の開口部が下部発泡成形体により保持されることとなり、乗員の着座時に、前記裏面側が変形し通気溝が潰されようとしても、下部発泡成形体に引張力が発生することとなる。したがって、通気溝の内面が変形するのをその深さ方向の全域にわたって抑制することが可能になり、通気溝が潰れるのを抑制することができる。
【0012】
また、前記上部発泡成形体は、発泡ポリウレタンを含む材質で形成され、前記下部発泡成形体は、発泡ポリプロピレンを含む材質で形成されてもよい。
【0013】
この場合、上部発泡成形体が、発泡ポリウレタンを含む材質で形成され、下部発泡成形体が、発泡ポリプロピレンを含む材質で形成されているので、前述の作用効果を奏するシート用パッドを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、乗員の着座時に通気溝が潰れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示した座席シートの上面図である。
【
図2】
図1に示す座席シートのA-A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシート用パッドおよび座席シートの一実施形態を、
図1および
図2を参照しながら説明する。
例えば自動車等の車両に装着される座席シート10は、シート用パッド1と、フレーム21と、第1ワイヤ(ワイヤ)22および第2ワイヤ(ワイヤ)23と、を備える。
【0017】
シート用パッド1は、合成樹脂材料からなる発泡成形体11を備える。シート用パッド1は、シートに着座する乗員が当接する着座面17を備える。シート用パッド1は、クッションパッドおよびバックパッドとして用いることができる。着座面17に当接する乗員の部位として、尻、および腿、または背中が挙げられる。
【0018】
シート用パッド1をクッションパッドとして用いた場合、シート用パッド1が車両に装着された状態で、着座面17は、鉛直方向の上側を向き、シート用パッド1には、乗員の荷重が上側から作用する。また、シート用パッド1をバックパッドとして用いた場合、シート用パッド1が車両に装着された状態で、着座面17は、車両の前側を向き、シート用パッド1には、乗員の荷重が前側から作用する。
以下、クッションパッドとして用いられるシート用パッド1を例に挙げて説明する。
【0019】
シート用パッド1の発泡成形体11は、本体部12と、本体部12に左右方向Xの両側から連なる左右一対のサイド部13と、本体部12から後方に向けて突出する取付部14と、を備えるとともに、着座面17を有する。
着座面17において、一対のサイド部13と本体部12との境界部分には、前後方向Yに延びる第1境界溝11aが各別に形成され、本体部12と取付部14との境界部分には、左右方向Xに延びる第2境界溝11bが形成されている。
本体部12は、上面視において、一対の辺部が前後方向Yに延び、かつ残り一対の辺部が前後方向Yに直交する左右方向Xに延びる矩形状を呈する。図示の例では、本体部12の平面視形状は、前後方向Yに長い長方形状となっている。
【0020】
発泡成形体11に空調用の通気溝16が形成されている。通気溝16は、本体部12に形成されている。通気溝16は、空気の供給源側と連通するとともに、着座面17の外側に連通している。
通気溝16は、本体部12における左右方向Xの全長にわたって連続して延びる横溝16aと、横溝16aにおける左右方向Xの両端部から前方に向けて延びる左右一対の外溝16bと、横溝16aにおける左右方向Xの中央部から前方に向けて延びる内溝16cと、横溝16aにおける左右方向Xの中間部において、内溝16cから左右方向Xにずれた部分から後方に向けて延びる後溝16dと、を備える。なお、外溝16bが横溝16aから前後方向Yに延びる向きと、内溝16cが横溝16aから前後方向Yに延びる向きと、を逆向きにしてもよい。
【0021】
横溝16aは、本体部12において、前後方向Yの中央部より後方に位置する部分に配置されている。外溝16b、および内溝16cは、本体部12における前後方向Yの中央部を前後方向Yに跨いで配置されている。
横溝16a、外溝16b、内溝16c、および後溝16dそれぞれの溝幅は互いに同等になっている。横溝16a、外溝16b、内溝16c、および後溝16dそれぞれの深さも互いに同等になっている。
【0022】
なお、外溝16b、内溝16cおよび後溝16dそれぞれの左右方向Xの位置、横溝16aの前後方向Yの位置、並びに、横溝16a、外溝16b、内溝16c、および後溝16dの各本数は、本実施形態に限らず適宜変更してもよい。例えば、横溝16aは、本体部12において、前後方向Yの中央部より前方に位置する部分に配置してもよい。外溝16b、および内溝16cとして、本体部12における前後方向Yの中央部を前後方向Yに跨がない構成を採用してもよい。
【0023】
横溝16a、外溝16b、内溝16c、および後溝16dそれぞれの溝幅を互いに異ならせてもよく、横溝16a、外溝16b、内溝16c、および後溝16dそれぞれの深さも互いに異ならせてもよい。横溝16aの溝幅および深さを、左右方向Xの全長にわたって同等にしなくてもよく、左右方向Xにおける少なくとも一部で異ならせてもよい。外溝16b、内溝16c、および後溝16dそれぞれの溝幅および深さを、前後方向Yの全長にわたって同等にしなくてもよく、前後方向Yにおける少なくとも一部で異ならせてもよい。
【0024】
ここで、シート用パッド1は、矩形枠状のフレーム21を介して車両に装着される。フレーム21は、例えば金属材料等で形成される。フレーム21は、発泡成形体11における着座面17と反対側の取付面15のうち、本体部12と取付部14との境界部分、左右一対のサイド部13、並びに、本体部12の前端部が位置する各部分に跨って一体に配設される。なお、フレーム21は、矩形枠状に限らず例えば、円形枠状にする等適宜変更してもよい。
フレーム21には、フレーム21の内側開口を格子状に区画し、発泡成形体11の取付面15を支持する第1ワイヤ22、および第2ワイヤ23が取付けられている。第1ワイヤ22、および第2ワイヤ23は、例えば金属材料等で形成される。なお、第1ワイヤ22、および第2ワイヤ23それぞれの数および位置は、本実施形態に限らず適宜変更してもよい。
【0025】
第1ワイヤ22は、左右方向Xに延び、フレーム21のうち、前後方向Yに延びる左右一対の縦部21a同士を連結している。図示の例では、第1ワイヤ22は、縦部21aにおける前後方向Yの中央部同士を互いに連結し、本体部12における前後方向Yの中央部に、左右方向Xの全域にわたって位置している。
第2ワイヤ23は、前後方向Yに延び、フレーム21のうち、左右方向Xに延びる前後一対の横部21b同士を連結している。図示の例では、第2ワイヤ23は、フレーム21の内側開口を左右方向Xにほぼ3等分割するように2つ配設されている。第2ワイヤ23は、本体部12のうち、前端縁部を除く前後方向Yの全域にわたって位置している。2つの第2ワイヤ23同士の間に、通気溝16における内溝16cおよび後溝16dが位置している。
【0026】
そして本実施形態では、発泡成形体11は、着座面17を有する上部発泡成形体25と、着座面17と反対の取付面15側の下部発泡成形体26と、により構成されている。上部発泡成形体25および下部発泡成形体26は互いに接着されている。上部発泡成形体25および下部発泡成形体26は、接着剤を介在させず直接互いに接着してもよいし、接着剤を介して互いに接着してもよい。上部発泡成形体25および下部発泡成形体26はそれぞれ、全体が同一の材質により一体に形成されている。下部発泡成形体26は、上部発泡成形体25より硬度が高い。
上部発泡成形体25の体積は、下部発泡成形体26の体積より大きい。上部発泡成形体25の厚さは、下部発泡成形体26の厚さより厚い。なお、上部発泡成形体25の体積を、下部発泡成形体26の体積以下としてもよい。上部発泡成形体25の厚さを、下部発泡成形体26の厚さ以下としてもよい。
【0027】
上部発泡成形体25は、ポリオール、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、および触媒を含有する発泡原液を発泡成形することで得られる発泡ポリウレタン等の発泡高分子材料を含む材質で形成される。上部発泡成形体25は、単一の発泡高分子材料、および互いに異なる複数種の発泡高分子材料を混ぜ合わせた混合材料のいずれであってもよく、公知の技術で採用される添加剤等を配合してもよい。
下部発泡成形体26は、上部発泡成形体25の材質よりも硬度が高い、例えば発泡ポリプロピレン(EPP)等の発泡高分子材料を含む材質で形成される。高分子材料の材質にも依存するが、発泡倍率は例えば10~60倍程度が好ましい。下部発泡成形体26は、単一の発泡高分子材料、および互いに異なる複数種の発泡高分子材料を混ぜ合わせた混合材料のいずれであってもよく、公知の技術で採用される添加剤等を配合してもよい。
【0028】
ここで、硬度の測定方法の一例について説明する。
まず、加圧板を、加圧板の受ける反力が4.9Nになるまで、試験片に向けて50mm/minの速さで前進移動し、この位置を、試験片の厚さが100%である、加圧板の初期位置とする。
次に、初期位置に位置する加圧板を、試験片に向けて50mm/minの速さで前進移動し、試験片の厚さが75%になったときに、加圧板を速やかに試験片から反力を受けなくなる位置まで後退移動する。そして、60秒間待機した後に、再度、加圧板を試験片に向けて50mm/minの速さで前進移動し、試験片の厚さが75%になったときに加圧板を停止する。そして、20秒間待機したときに加圧板が受けている反力を特定し、この値を硬度とする。
【0029】
通気溝16は、上部発泡成形体25に形成されている。
通気溝16は、上部発泡成形体25において、着座面17の反対側の裏面18に開口している。下部発泡成形体26は、上部発泡成形体25の裏面18における通気溝16の開口を閉塞している。下部発泡成形体26は、上部発泡成形体25の裏面18における通気溝16の開口の全体を閉塞している。
【0030】
下部発泡成形体26は、発泡成形体11のうち、本体部12における取付面15側の一部を構成している。下部発泡成形体26は、本体部12の取付面15側のうち、前部を除く全域を構成している。下部発泡成形体26は、平面視で左右方向Xに長い長方形状を呈する。なお、下部発泡成形体26は、本体部12の取付面15側における全域を構成してもよい。
発泡成形体11の着座面17は、全域にわたって上部発泡成形体25により構成され、取付面15は、上部発泡成形体25および下部発泡成形体26により構成されている。取付面15のうち、本体部12の一部が下部発泡成形体26により構成され、その他の部分は上部発泡成形体25により構成されている。下部発泡成形体26は、本体部12の取付面15のうち、前部より後方に位置する部分を構成している。
【0031】
通気溝16は着座面17に開口している。着座面17に、この着座面17における通気溝16の開口を閉塞した変形可能な板体27が配設されている。板体27は、着座面17における通気溝16の開口の全体を閉塞している。通気溝16は、板体27に形成された貫通孔27aを通して、着座面17の外側に連通している。板体27は、着座面17のうち、本体部12が位置する部分における全域にわたって一体に配設されている。板体27は、例えば軟質発砲ポリウレタン等で形成され、上部発泡成形体25より硬度が低い。
下部発泡成形体26の体積は、板体27の体積より大きい。下部発泡成形体26の厚さは、板体27の厚さより厚い。なお、下部発泡成形体26の体積を、板体27の体積以下としてもよい。下部発泡成形体26の厚さを、板体27の厚さ以下としてもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によるシート用パッド1および座席シート10によれば、下部発泡成形体26が、着座面17を有する上部発泡成形体25より硬度が高いので、乗員の着座時に発泡成形体11に加えられる力を、下部発泡成形体26に受け止めさせることが可能になり、良好な乗り心地性を確保しつつ、通気溝16が潰れるのを抑制することができる。
しかも、発泡成形体11が、上部発泡成形体25および下部発泡成形体26を備えることで、このような作用効果が奏されることから、例えば、通気溝16にパイプを嵌め込むのと比べて、容易に製造することができるとともに、良好な乗り心地性を確実に確保することができる。
また、着座面17に配設された板体27の硬度が、上部発泡成形体25の硬度より低いので、快適な乗り心地性を確保することができる。
【0033】
また、下部発泡成形体26が、上部発泡成形体25の裏面18における通気溝16の開口を閉塞しているので、前記裏面18における通気溝16の開口部が下部発泡成形体26により保持されることとなり、乗員の着座時に、前記裏面18側が変形し通気溝16が潰されようとしても、下部発泡成形体26に引張力が発生することとなる。したがって、通気溝16の内面が変形するのをその深さ方向の全域にわたって抑制することが可能になり、通気溝16が潰れるのを抑制することができる。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
例えば、前記実施形態では、サイド部13および取付部14を備えるシート用パッド1を示したが、本発明は、これら13、14を有しないシート用パッドであっても適用可能である。
また、前記実施形態では、通気溝16として、上部発泡成形体25における着座面17および裏面18の双方に開口した構成を示したが、これに限らず例えば、着座面17および裏面18のうちのいずれか一方に開口してもよいし、双方に開口していない構成を採用してもよい。
また、前記実施形態では、通気溝16を上部発泡成形体25に形成したが、下部発泡成形体26に形成してもよいし、上部発泡成形体25および下部発泡成形体26の双方に形成してもよい。下部発泡成形体26に通気溝16を形成する場合、空調効果の観点から、通気溝16は取付面15に開口していないのが好ましい。上部発泡成形体25および下部発泡成形体26の双方に通気溝16を形成する場合、上部発泡成形体25の通気溝16と、下部発泡成形体26の通気溝16と、を鉛直方向に互いに連結してもよいし、鉛直方向に交差する横方向に離間させてもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 シート用パッド
10 座席シート
11 発泡成形体
15 取付面
16 通気溝
17 着座面
18 裏面
21 フレーム
22 第1ワイヤ(ワイヤ)
23 第2ワイヤ(ワイヤ)
25 上部発泡成形体
26 下部発泡成形体
27 板体