(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】織物
(51)【国際特許分類】
D03D 13/00 20060101AFI20221207BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20221207BHJP
A41D 31/14 20190101ALI20221207BHJP
【FI】
D03D13/00
A41D31/04 C
A41D31/14
(21)【出願番号】P 2020043465
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】593020175
【氏名又は名称】一村産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501376936
【氏名又は名称】丸井織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】竹内 弘二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089293(JP,A)
【文献】特開2005-048298(JP,A)
【文献】特開2019-183304(JP,A)
【文献】特開2010-265567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 13/00
A41D 31/04
A41D 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
総繊度が異なる経糸と緯糸から構成される4つの区画を備え、4つの区画は
総繊度が太い経糸をW1、
総繊度が細い経糸をW2、
総繊度が太い緯糸をF1、
総繊度が細い緯糸をF2とすれば、W1とF1からなる区画Aと、W2とF1からなる区画Bと、W1とF2からなる区画Cと、W2とF2からなる区画Dから構成され、区画Aは区画Bと区画Cに隣接し、区画Dは区画Cと区画Bに隣接し、上記W1とW2及びF1とF2が所定のサイクルで繰り返される
、当該繰り返し単位のみからなる織物において、区画Aのカバーファクターが1500以上であり、区画Dのカバーファクターが1350以下であることを特徴とする織物。
【請求項2】
W1とW2が1回/2.54cm以上のサイクルで繰り返され、F1とF2が2回/2.54cm以上のサイクルで繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の織物。
【請求項3】
区画Aと区画Bと区画Cと区画Dの合計面積を100%とした場合、区画Aが55%以上であり、区画Dが10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の織物。
【請求項4】
W1の
総繊度が33dteX以上585dteX以下であり、W2の
総繊度が11dteX以上84dteX以下であり、F1の
総繊度が33dteX以上585dteX以下であり、F2の
総繊度が11dteX以上84dteX以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の織物。
【請求項5】
JIS L 1096:2010 A法(フラジール法)で測定した通気性が30cm
3/cm
2・sec以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の織物。
【請求項6】
JIS L 1096:2010 D法(ペンジュラム法)で測定した引裂強さが8N以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の織物。
【請求項7】
JIS L 1096:2010 縫目滑脱法(B法)で測定した滑脱抵抗力が1.5mm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は織物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から夏場の清涼感を得るとともに運動時の発汗による蒸れ感を抑制するために、できる限り薄手で目の開いた素材を用いたり、通気部分を設けるなど、より通気しやすくする試みが種々なされてきた。この様な衣料として、織物設計の工夫を取り入れた模紗織物が提案されている。これらの織物は軽くて通気性が良好であるが、使用される繊維量が少なく空隙が多くなるため、シャツ地やブラウスなどの直接肌の上に着る衣料では、下着や肌が透けやすく防透け性に劣ったものであり、保形性が乏しく形崩れしやすくなり満足できるものは得られていない。
【0003】
この種の先行技術として、アルカリに溶解する糸を含む経糸と緯糸で織物を作製した後、その織物をアルカリ液に浸してアルカリ溶解性の糸がアルカリ液に溶解することによって穴を形成して、通気性を向上させる織物が提案されている(特許文献1、特許文献2)。この織物の通気性は良好であるが、穴があることによって引裂強さや滑脱抵抗力が低下することから、作業服などの過酷な用途には適していない。また、アルカリ溶解性の糸を溶解する工程が必要であるから、アルカリ液使用による製造コスト(工程コスト+薬剤コスト)の上昇の他、加工環境側面で工場排水ならびにBOD(生物化学的酸素要求量)負荷が上昇する。
【0004】
また、運動時の発汗による蒸れ感を抑制するために、微細孔を有する中空繊維を用いた織物が提案されている(特許文献3)。この織物は着用時の蒸れ感をある程度抑制することはできるが、防風性を有していることから、通気性に劣っており、夏場の清涼感という点で問題がある。
【0005】
さらに、芯部の重合体よりも鞘部の重合体が低融点である芯鞘複合繊維からなるメッシュシート(特許文献4)や左右何れか片側に経糸が配列されていない経糸無配列区画を設け、両端に模紗織区画を設けたメッシュ織物(特許文献5)が提案されている。これらメッシュ織物の通気性は良好であるが、メッシュ構造であるため、衣料用の過酷な用途に適しておらず、繰り返し洗濯が想定される用途においては形態保持の点で問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-44317号公報
【文献】特許第5896059号明細書
【文献】特開平10-130975号公報
【文献】特開2008-1995号公報
【文献】特開2011-231420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の前記問題点に鑑みてこれを改良したものであって、充分な通気性を有しながら引裂強さなどの機械的特性が良好で、様々な衣料用途に適用することができる、耐久性に優れた織物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本願第一発明の織物は、単糸繊度が異なる経糸と緯糸から構成される4つの区画を備え、4つの区画は単糸繊度が太い経糸をW1、単糸繊度が細い経糸をW2、単糸繊度が太い緯糸をF1、単糸繊度が細い緯糸をF2とすれば、W1とF1からなる区画Aと、W2とF1からなる区画Bと、W1とF2からなる区画Cと、W2とF2からなる区画Dとから構成され、区画Aは区画Bと区画Cに隣接し、区画Dは区画Cと区画Bに隣接し、上記W1とW2及びF1とF2が所定のサイクルで繰り返されることを特徴とする。
【0009】
本願第二発明は、本願第一発明において、W1とW2が1回/2.54cm以上のサイクルで繰り返され、F1とF2が2回/2.54cm以上のサイクルで繰り返されることを特徴とする。
【0010】
本願第三発明は、本願第一又は第二発明において、区画Aと区画Bと区画Cと区画Dの合計面積を100%とした場合、区画Aが55%以上であり、区画Dが10%以下であることを特徴とする。
【0011】
本願第四発明は、本願第一ないし第三のいずれかの発明において、区画Aのカバーファクターが1500以上であり、区画Dのカバーファクターが1350以下であることを特徴とする。
【0012】
本願第五発明は、本願第一ないし第四のいずれかの発明において、W1の単糸繊度が33dteX以上585dteX以下であり、W2の単糸繊度が11dteX以上84dteX以下であり、F1の単糸繊度が33dteX以上585dteX以下であり、F2の単糸繊度が11dteX以上84dteX以下であることを特徴とする。
【0013】
本願第六発明は、本願第一ないし第五のいずれかの発明において、JIS L 1096:2010 A法(フラジール法)で測定した通気性が30cm3/cm2・sec以上であることを特徴とする。
【0014】
本願第七発明は、本願第一ないし第六のいずれかの発明において、JIS L 1096:2010 D法(ペンジュラム法)で測定した引裂強さが8N以上であることを特徴とする。
【0015】
本願第八発明は、本願第一ないし第七のいずれかの発明において、JIS L 1096:2010 縫目滑脱法(B法)で測定した滑脱抵抗力が1.5mm以下あることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願第一発明と第二発明と第三発明と第四発明と第五発明によれば、単糸繊度が太い経糸と緯糸からなる高密度の区画Aと、単糸繊度が細い経糸と単糸繊度が太い緯糸からなる中密度の区画B及び単糸繊度が太い経糸と単糸繊度が細い緯糸からなる中密度の区画Cと、単糸繊度が細い経糸と緯糸からなる低密度の区画Dとから構成され、上記経糸及び緯糸が所定のサイクルで繰り返されることで、穴あき織物と同等の通気性を保持しながら、隣接する区画の密度が異なることで織組織の柔軟性が向上し、引裂強さ等の機械的特性が向上し、洗濯等が繰り返されても、機械的特性が損なわれることはない。
【0017】
本願第六発明によれば、清涼感に優れた織物を提供することができる。
【0018】
本願第七発明と第八発明によれば、耐久性に優れた織物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図2は、本発明の織物の組織の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の織物の組織の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。
【0021】
本発明の織物を構成する繊維は、合成繊維でも天然繊維でもよく、特に限定されない。中でも安価であるから、ポリエステル系繊維を好ましく用いることができる。ポリエステル系繊維の素材ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどを好ましく用いることができる。また、それらのコンジュゲート糸も好ましく用いることができる。さらに、ポリエステル系繊維の他にナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレンなどの合成繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、羊毛、絹、木綿、麻などの天然繊維を用いることができる。
【0022】
本発明の織物は格子状であり、
図1に示すような概略構成を有している。格子状織物を構成する原糸のうち、単糸繊度が太い経糸をW1、単糸繊度が細い経糸をW2、単糸繊度が太い緯糸をF1、単糸繊度が細い緯糸をF2とすれば、W1とF1からなる区画Aと、W2とF1からなる区画Bと、W1とF2からなる区画Cと、W2とF2からなる区画Dとから構成される。区画Aは区画Bと区画Cに隣接し、区画Dは区画Cと区画Bに隣接している。
【0023】
図2と
図3は、本発明の織物の組織の一例を示す図である。織物組織図では、経糸が表側に表れている交点を黒色、緯糸が表側に表れている交点を白色で表しており、
図2は平組織、
図3は綾組織と呼ばれる。各々の組織が経糸W1とW2、緯糸F1とF2の配列によって
図1の区画A、区画B、区画C及び区画Dを構成する。
【0024】
織物構造の繰り返しの最小単位は1完全やワンリピート及び1循環と呼ばれている。
図2の織物組織は経糸2本と緯糸2本の繰り返しであるが、経糸W1とW2の配列が7本対1本、緯糸F1とF2の配列が7本対1本となるため、1完全は経糸8本と緯糸8本から構成される。同様に、
図3の織物組織は経糸4本と緯糸4本の繰り返しであるが、経糸W1とW2の配列が7本対1本、緯糸F1とF2の配列が7本対1本となるため、1完全は経糸8本と緯糸8本から構成される。経糸W1とW2を合わせた本数で形成される1完全の単位長さ当たりの回数が1回/2.54cm以上15回/2.54cm以下のサイクルで繰り返されることが好ましく、5回/2.54cm以上のサイクルで繰り返されることがより好ましい。緯糸F1とF2を合わせた本数で形成される1完全の単位長さ当たりの回数が2回/2.54cm以上12回/2.54cm以下のサイクルで繰り返されることが好ましく、5回/2.54cm以上のサイクルで繰り返されることがより好ましい。良好な通気性と機械的特性を満足するためである。
【0025】
織物において、カバーファクターは単位面積当たりに糸が占めている割合を示す。本発明は、経糸に単糸繊度が異なるW1とW2を使用し、緯糸に単糸繊度が異なるF1とF2を使用するため、それらの経糸と緯糸からなる区画A、区画B、区画C、区画Dはそれぞれ異なるカバーファクターを有する。 W1とF1からなる区画Aのカバーファクターは4区画のうちで最も大きく、1500以上2700以下であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。W2とF2からなる区画Dのカバーファクターは4区画のうちで最も小さく、800以上1350以下であることが好ましく、1300以下であることがより好ましい。良好な通気性と機械的特性を満足するためである。また、区画Bのカバーファクターは1500以上1800以下であることが好ましく、区画Cのカバーファクターは1400以上2000以下であることが好ましい。一層良好な通気性と一層優れた機械的特性を得るためである。
【0026】
NW(経糸)及びNF(緯糸)はそれぞれ織物の経糸密度及び緯糸密度(本/2.54cm)とし、DW及びDFはそれぞれ織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)としたとき、カバーファクター(CF)は以下の式より求められる。
CF=NW×(DW)1/2+NF×(DF)1/2
【0027】
本発明は経糸W1とW2の配列と、緯糸F1とF2の配列と、単位長さ当たりの経糸密度及び緯糸密度とを設定することで、1完全の区画A、区画B、区画C、区画Dの割合を各々設定することが可能である。区画Aと区画Bと区画Cと区画Dの合計面積を100%とした場合、区画Aが55%以上85%以下であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。区画Aが55%未満の場合、通気性が高くなる一方、機械的強度が低くなる。区画Dが1%以上10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。区画Dが10%を超える場合、通気性が高くなる一方、機械的強度が低くなる。区画Bと区画Cについては、通気性と機械的強度の両方を満足するために、区画Bと区画Cがそれぞれ8%以上25%未満であることが好ましく、10%以上25%未満であることがより好ましい。
【0028】
単糸繊度に関しては、良好な通気性と機械的特性を満足するため、並びに衣料用テキスタイルとしての風合いや高い生産性を確保するために、以下の範囲であることが好ましい。W1の単糸繊度が33dteX以上585dteX以下であることが好ましく、84dteX以上167dteX以下であることがより好ましい。W2の単糸繊度が11dteX以上84dteX以下であることが好ましく、22dteX以上33dteX以下であることがより好ましい。F1の単糸繊度が33dteX以上585dteX以下であることが好ましく、84dteX以上167dteX以下であることがより好ましい。F2の単糸繊度が11dteX以上84dteX以下であることが好ましく、22dteX以上33dteX以下であることがより好ましい。
【0029】
衣料用途の中でもオフィスウェア、作業服、看護白衣、介護衣、学生服などのユニフォーム、スポーツウェア、コート、ブルゾン、ブラウス、シャツ、スカート、スラックスなどには、通気性や清涼性とともに生地の厚薄、織物密度の粗密、及び経糸と緯糸の均整が取れた地合いがしっかりしたものが求められる。本発明の織物はこれらの衣料品として好ましく用いられる。本発明の織物の織組織は限定されないが、平織、綾織、朱子織、二重織、高密度織、梨地織、繻子織などを挙げることができる。
【0030】
本発明の織物のJIS L1096:2010 A法(フラジール法)で測定した通気性が30cm3/cm2・sec以上であることが、着用時に清涼感を得るうえで好ましい。通気性が50cm3/cm2・sec以上であることがより好ましい。
【0031】
本発明の織物は、JIS L1096:2010 D法(ペンジュラム法)で測定した引裂強さが8N以上であることが好ましい。引裂強さが上記範囲未満では、ブッシュや木の枝や岩等に引っ掛かった場合に引き裂け易い。さらに、引裂強さが16N以上であれば、ユニフォーム等の過酷な使用にも耐え、実用的に極めて有用である。
【0032】
本発明の織物は、JIS L1096:2010 縫目滑脱法(B法)で測定した滑脱抵抗力が1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。滑脱抵抗力が1.5mm超では着用時や洗濯時に滑脱しやすく、実用性が低く使用するアイテムが制限される。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。
【0034】
実施例における各特性の評価は以下の基準に従って行った。
【0035】
(1)繊度(dtex)
JIS L-1013(2010)8.3.1 A法に従って測定される数値を繊度とした。
【0036】
(2)カバーファクター
カバーファクターは、経糸または緯糸に用いる糸の繊度と密度とから計算される値であり、NW及びNFはそれぞれ織物の経糸密度及び緯糸密度(本/2.54cm)とし、DW及びDFはそれぞれ織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)としたとき、カバーファクター(CF)は以下の式より求められる。
CF=NW×(DW)1/2+NF×(DF)1/2
なお、密度は、JIS L-1096(2010)8.6.1 A法に従って、作製した織物の異なる5箇所からサンプリングして、その表面をニコン社製実体顕微鏡にて20倍に拡大して本数を数え、それぞれの平均値を単位長さについて算出し、少数点以下1桁に丸めることにより求めた。
【0037】
(3)W1とW2の繰り返し及びF1とF2の繰り返し
経糸と緯糸の配列については、作製した織物から適切な大きさの試料を採取した後、経糸W1とW2及び緯糸F1とF2の1完全をニコン社製実体顕微鏡にて20倍に拡大して各々の本数を数え、経糸W1とW2及び緯糸F1とF2の配列を求めた。そして、単位長さ当たりの経糸密度及び緯糸密度をそれぞれ経糸W1とW2の配列の和及びF1とF2の配列の和で除することで、単位長さ当たりのW1とW2及びF1とF2の繰り返し数(回/2.54cm)を求めた。
【0038】
(4)区画Aと区画Dの面積比率
作製した織物からランダムに5箇所を選んでサンプリングし、各サンプルを松電舎製のデジタルマイクロスコープで40倍に拡大し、各区画A、B、C、Dの縦方向と横方向の長さを各々0.01mm単位で測定して面積を求め、5つのサンプルの算術平均値を各区画A、B、C、Dの面積とした。そして、各区画の面積A、B、CまたはDを、それぞれすべての区画の面積で除することにより区画A、B、C、Dの面積比率を求めた。
【0039】
(5)引裂強さ
JIS L-1096:2010 8.17引裂強さの8.17.4D法(ペンジュラム法)により引裂強さ(N)を経方向と緯方向についてそれぞれ測定した。なお、5回測定してその算術平均値を求めた。
【0040】
(6)通気性
JIS L-1096:2010 8.26通気性の8.26.1A法(フラジール法)により通気性(cm3/cm2・sec)を測定した。なお、5回測定してその算術平均値を求めた。
【0041】
(7)滑脱抵抗力
JIS L-1096:2010 8.23滑脱抵抗力の8.23.1縫目滑脱法(B法)により、117.0N荷重時の縫い目滑りの最大孔の大きさを経方向と緯方向について、それぞれ0.1mm単位で測定した。なお、5回測定してその算術平均値を求めた。
【0042】
(実施例1)
経糸W1に84dtexのポリエチレンテレフタレート繊維、経糸W2に22dtexのポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれ10本対2本の割合で交互に配列し、緯糸F1に167dtexのポリエチレンテレフタレート繊維、緯糸F2に22dtexのポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれ6本対2本の割合で交互に配列し、経糸密度100本/2.54cm、緯糸密度70本/2.54cmの平織物の生機を製織した。次いで、常法に従い、染色、乾燥、仕上げセットを行い、経糸密度125本/2.54cm、緯糸密度75本/2.54cmのアウター用織物を得た。このアウター用織物の各特性を以下の表1に示す。
【0043】
(実施例2)
経糸W1に84dtexのポリエチレンテレフタレート繊維、経糸W2に22dtexのポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれ12本対2本の割合で交互に配列し、緯糸F1に167dtexのポリエチレンテレフタレート繊維、緯糸F2に22dtexのポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれ6本対2本の割合で交互に配列し、経糸密度150本/2.54cm、緯糸密度58本/2.54cmの平織物の生機を製織した。次いで、常法に従い、染色、乾燥、仕上げセットを行い、経糸密度180本/2.54cm、緯糸密度64本/2.54cmのアウター用織物を得た。このアウター用織物の各特性を以下の表1に示す。
【0044】
(実施例3)
経糸W1に72dtexのポリアミド繊維、経糸W2に22dtexのポリアミド繊維をそれぞれ14本対2本の割合で交互に配列し、緯糸F1に72dtexのポリアミド繊維、緯糸F2に22dtexのポリアミド繊維をそれぞれ14本対2本の割合で交互に配列し、経糸密度100本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cmの平織物の生機を製織した。次いで、常法に従い、染色、乾燥、仕上げセットを行い、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度120本/2.54cmのアウター用織物を得た。このアウター用織物の各特性を以下の表1に示す。
【0045】
(比較例1)
経糸に54dtexのポリエチレンテレフタレート繊維と、33dtexの5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した易アルカリ溶解性のポリエステル繊維をそれぞれ16本対2本の割合で交互に配列し、緯糸に54dtexのポリエチレンテレフタレート繊維と、33dtexの5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した易アルカリ溶解性のポリエステル繊維をそれぞれ16本対2本の割合で交互に配列し、経糸密度194本/2.54cm、緯糸密度97本/2.54cmの平織物の生機を製織した。次いで、常法に従い、精練、乾燥、中間セットした後、水酸化ナトリウムを3%濃度となるように調整した溶液中で95℃、10分間、浴中処理を実施し、易アルカリ溶解性のポリエステル繊維を完全溶解し、その後、常法に従い、染色、乾燥、仕上げセットを行い、経糸密度210本/2.54cm、緯糸密度105本/2.54cmの格子柄を形成する加工布を得た。この加工布の各特性を以下の表1に示す。
【0046】
(比較例2)
経糸に84dtexのポリエチレンテレフタレート繊維と、33dtexの5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した易アルカリ溶解性のポリエステル繊維をそれぞれ8本対2本の割合で交互に配列し、緯糸に84dtexのポリエチレンテレフタレート繊維と、33dtexの5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した易アルカリ溶解性のポリエステル繊維をそれぞれ8本対2本の割合で交互に配列し、経糸密度116本/2.54cm、緯糸密度93本/2.54cmの平織物の生機を製織した。次いで、常法に従い、精練、乾燥、中間セットした後、水酸化ナトリウムを3%濃度となるように調整した溶液中で95℃、10分間、浴中処理を実施し、易アルカリ溶解性のポリエステル繊維を完全溶解し、その後、常法に従い、染色、乾燥、仕上げセットを行い、経糸密度125本/2.54cm、緯糸密度100本/の格子柄を形成する加工布を得た。この加工布の各特性を以下の表1に示す。
【0047】
【0048】
表1に示すように、実施例1、2及び3の織物の引裂強さ、通気性及び滑脱抵抗力は良好である。しかし、比較例1の加工布は、横方向の引裂強さが低く、通気性が不良で、横方向の滑脱抵抗力が劣っている。また、比較例2の加工布は、横方向の滑脱抵抗力が劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の織物は、ユニフォーム等の過酷な用途を含む様々な衣料用途に適用することができる。