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特許7189584形状データ処理装置、形状データ処理方法及び形状データ処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】形状データ処理装置、形状データ処理方法及び形状データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20221207BHJP
【FI】
G06F30/10 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021537560
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2020002342
(87)【国際公開番号】W WO2021024515
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/030822
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507240370
【氏名又は名称】インテグラル・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】西浦 光一
(72)【発明者】
【氏名】ジエン スマディ
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175349(WO,A1)
【文献】特開2008-134943(JP,A)
【文献】特開2006-302035(JP,A)
【文献】特開2004-206551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定手段と、
前記複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報を取得する取得手段と、
前記判定手段にて判定した前記形状識別情報と前記取得手段にて取得した前記特性情報とを前記区分に対応する区分情報毎に前記区分に隣接する隣接区分に対応する隣接区分情報と関連付けてデータベースに登録する登録手段と
を備えることを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の形状データ処理装置であって、
前記データベースに保存した前記区分情報毎の前記形状識別情報、前記特性情報及び前記隣接区分情報から前記区分情報と前記隣接区分情報とを繋ぎ合わせて前記対象物の形状を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定した前記対象物の形状を出力する出力手段と
をさらに備えることを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の形状データ処理装置であって、
前記形状識別情報及び/又は前記特性情報を変更するための入力操作を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記受付手段にて変更された前記形状識別情報及び/又は前記特性情報の変更値により前記対象物の形状を特定することを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1つに記載の形状データ処理装置であって、
前記区分情報に対して複数に分けて処理する複数のプロセッサーを備え、
前記複数のプロセッサーにより並列処理を行うことを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項5】
形状データ処理装置が行う形状データ処理方法であって、
判定手段が、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定ステップと、
取得手段が、前記複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報を取得する取得ステップと、
登録手段が、前記判定ステップにて判定した前記形状識別情報と前記取得ステップにて取得した前記特性情報とを前記区分に対応する区分情報毎に前記区分に隣接する隣接区分に対応する隣接区分情報と関連付けてデータベースに登録する登録ステップと
を含むことを特徴とする形状データ処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の形状データ処理方法の各ステップを、コンピュータに実行させるための形状データ処理プログラム。
【請求項7】
表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定手段と、
前記判定手段にて判定した前記複数の形状識別情報を該複数の形状識別情報に対応する画像要素に変換する変換手段と、
前記変換手段にて変換した前記画像要素から予め定めた所定の並び順で形状識別用の画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段にて生成した前記形状識別用の画像データを所定の並び順でデータベースに登録する登録手段と
を備えることを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の形状データ処理装置であって、
前記所定の並び順は、前記複数の面のうち予め定めた所定の並び方向に隣り合う面の一端から他端までの並び順であることを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の形状データ処理装置であって、
前記画像要素は、色画像の画像要素であることを特徴とする形状データ処理装置。
【請求項10】
形状データ処理装置が行う形状データ処理方法であって、
判定手段が、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定ステップと、
変換手段が、前記判定ステップにて判定した前記複数の形状識別情報を該複数の形状識別情報に対応する画像要素に変換する変換ステップと、
生成手段が、前記変換ステップにて変換した前記画像要素から予め定めた所定の並び順で形状識別用の画像データを生成する生成ステップと、
登録手段が、前記生成ステップにて生成した前記形状識別用の画像データを所定の並び順でデータベースに登録する登録ステップと
を含むことを特徴とする形状データ処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の形状データ処理方法の各ステップを、コンピュータに実行させるための形状データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状データ処理装置、形状データ処理方法及び形状データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、構造解析等のCAE(Computer Aided Engineering:コンピュータ支援エンジニアリング)の技術分野において区分された対象物の表面形状を複数の記号(+,-,0)を用いて判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/175349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CAD(Computer-Aided Design:コンピュータ支援設計)の技術分野においては、区分された対象物の表面形状の判定結果を利用して対象物の形状を出力することが望まれている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、区分された対象物の表面形状がどこの区分のものでどのような形状のものであるかを特定できないため、CADの技術分野に利用することができていないのが実情である。
【0006】
そこで、本発明は、区分された対象物の表面形状がどこの区分のものでどのような形状のものであるかを特定することができ、これにより、CADの技術分野に利用することができる形状データ処理装置、形状データ処理方法及び形状データ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、次の第1態様及び第2態様の形状データ処理装置、第1態様及び第2態様の形状データ処理方法及び第1態様及び第2態様の形状データ処理プログラムを提供する。
【0008】
(1-1)第1態様の形状データ処理装置
本発明の第1態様に係る形状データ処理装置は、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定手段と、前記複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報を取得する取得手段と、前記判定手段にて判定した前記形状識別情報と前記取得手段にて取得した前記特性情報とを前記区分に対応する区分情報毎に前記区分に隣接する隣接区分に対応する隣接区分情報と関連付けてデータベースに登録する登録手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
(1-2)第1態様の形状データ処理方法
本発明の第1態様に係る形状データ処理方法は、形状データ処理装置が行う形状データ処理方法であって、判定手段が、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定ステップと、取得手段が、前記複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報を取得する取得ステップと、登録手段が、前記判定ステップにて判定した前記形状識別情報と前記取得ステップにて取得した前記特性情報とを前記区分に対応する区分情報毎に前記区分に隣接する隣接区分に対応する隣接区分情報と関連付けてデータベースに登録する登録ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
(1-3)第1態様の形状データ処理プログラム
本発明の第1態様に係る形状データ処理プログラムは、前記本発明の第1態様に係る形状データ処理方法の各ステップを、コンピュータに実行させるためのものである。
【0011】
(2-1)第2態様の形状データ処理装置
本発明の第2態様に係る形状データ処理装置は、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定手段と、前記判定手段にて判定した前記複数の形状識別情報を該複数の形状識別情報に対応する画像要素に変換する変換手段と、前記変換手段にて変換した前記画像要素から予め定めた所定の並び順で形状識別用の画像データを生成する生成手段と、前記生成手段にて生成した前記形状識別用の画像データを所定の並び順でデータベースに登録する登録手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
(2-2)第2態様の形状データ処理方法
本発明の第2態様に係る形状データ処理方法は、形状データ処理装置が行う形状データ処理方法であって、判定手段が、表面を複数の面に区分された対象物における前記複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報を判定する判定ステップと、変換手段が、前記判定ステップにて判定した前記複数の形状識別情報を該複数の形状識別情報に対応する画像要素に変換する変換ステップと、生成手段が、前記変換ステップにて変換した前記画像要素から予め定めた所定の並び順で形状識別用の画像データを生成する生成ステップと、登録手段が、前記生成ステップにて生成した前記形状識別用の画像データを所定の並び順でデータベースに登録する登録ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
(2-3)第2態様の形状データ処理プログラム
本発明の第2態様に係る形状データ処理プログラムは、前記本発明の第2態様に係る形状データ処理方法の各ステップを、コンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、区分された対象物の表面形状がどこの区分のものでどのような形状のものであるかを特定することができ、これにより、CADの技術分野に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、形状データ処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、形状データ処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、対象物の一部の区分情報の面の一例を示す説明図である。
図4図4は、形状データ処理装置による対象物の判定処理の説明図である。
図5図5は、形状データ処理装置による対象物の判定処理の説明図である。
図6図6は、形状データ処理装置による対象物の判定処理の説明図である。
図7図7は、形状データ処理装置による対象物の判定処理の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、判定処理を対象物の具体的な形状部分に当てはめたときの処理結果を示す説明図である。
図9図9は、データベースにおいて図8に示す対象物の一部の形状データのデータ構造の一例を概略的に示す図表である。
図10図10は、形状識別情報及び特性情報の変更値を入力するための入力画面の一例を示す模式図である。
図11図11は、形状データ処理装置のハードウェア構成の他の例を示すブロック図である。
図12図12は、形状データ処理装置の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
図13図13は、判定処理を対象物の具体的な形状部分に当てはめたときの処理結果を例示している。
図14図14は、データベースにおいて図13に示す対象物の一部の画像データ及びそれに対応する所定の並び順のデータ構造の一例を概略的に示す図表である。
図15図15は、図14に示す画像要素からなる形状識別用の画像データを用いて出力した出力画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
<第1実施形態>
[第1実施形態に係る形状データ処理装置のハードウェア構成]
先ず、第1実施形態に係る形状データ処理装置100のハードウェア構成について図1を参照しながら以下に説明する。
【0018】
図1は、形状データ処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、形状データ処理装置100は、制御部110(コンピュータ)、記憶部120、読取部130及び出力部140を備えている。制御部110は、記憶部120の記録装置121に予め格納(インストール)された形状データ処理プログラムPaを実行することによって、制御部110に必要な各種の機能を実現させるように構成されている。詳しくは、制御部110は、CPU等のプロセッサーで構成されている。制御部110は、記録装置121に予め格納された形状データ処理プログラムPa等のソフトウェアプログラムをメモリ装置122のRAM122b上にロードして実行することにより、各種の処理を行う。記憶部120は、ROM122a、RAM122b等のメモリ装置122、及び、フラッシュメモリ、ハードディスク装置等の記録装置121を備えている。記録装置121には、読取部130から取得した形状データ処理プログラムPaが予め格納される。出力部140は、液晶表示パネル等の表示装置141と、レーザープリンタ等の印刷装置142を備えている。表示装置141は、制御部110からの出力表示情報を表示画面に表示する。印刷装置142は、制御部110からの出力表示情報を印刷する。読取部130は、CD-ROM等の記録媒体Mを読み取る読取装置131を備えている。記録媒体Mには、形状データ処理プログラムPaが予め記録されている。なお、記録媒体Mは、CD-ROM等の記録ディスクの他、他の各種の記録媒体であってもよい。また、形状データ処理プログラムPaは、CD-ROM等の記録媒体を介して取得したものには限定されず、インターネット等の通信手段を介してダウンロードされたものであってもよい。
【0020】
[第1実施形態に係る形状データ処理装置のソフトウェア構成]
次に、第1実施形態に係る形状データ処理装置100のソフトウェア構成について図1を参照しながら以下に説明する。
【0021】
制御部110は、3次元CADデータ入力手段Qa1と、形状認識手段Qa2と、判定手段Qa3と、取得手段Qa4と、登録手段Qa5と、受付手段Qa6と、特定手段Qa7と、出力手段Qa8とを備える手段として機能する。すなわち、形状データ処理プログラムPaは、3次元CADデータ入力ステップと、形状認識ステップと、判定ステップと、取得ステップと、登録ステップと、受付ステップと、特定ステップと、出力ステップとを含むステップを制御部110に実行させる。
【0022】
[第1実施形態に係る形状データ処理装置の処理手順]
図2は、形状データ処理装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0023】
形状データ処理装置100の処理手順の一例では、3次元CADデータ入力、形状認識、形状識別情報判定、特性情報取得、データベース登録、変更受付、形状特定、情報出力の各処理を行う。
【0024】
(3次元CADデータ入力)
3次元CADデータ入力ステップでは、制御部110は、3次元CADで作成された対象物(製品)の形状データである3次元CADデータ(3次元CADモデル)が読取部130から入力される。
【0025】
(形状認識)
次に、形状認識ステップでは、制御部110は、3次元CADデータに基づいて形状を認識する。詳しくは、形状認識ステップは、主に3つのステップに分けることができる。
【0026】
第1ステップでは、3次元CADデータのそれぞれの面情報を取得する。最初に入力された3次元CADデータのそれぞれの面にフリーメッシュを作成し、特徴計算のためのデータベース(この例ではデータベースDB)を構築する。かかる特徴は、例えば、面の曲率、外周の曲率、外周長さ、外周上の固定点、対になる外周ペアの長さ比、外周の円形状、円筒形状、球面度、固定点の内角、面積、面内の法線方向角度差、サーフェス連続性、外周の接触角度、そして断面形状が含まれる。これらの特徴を計算するために、取得したジオメトリ形状の情報とともにメッシュデータを主に参照する。
【0027】
本明細書でいう「特徴」とは、例えば、
(1)「全体の形状」:穴の開いている捻じれた凹凸のある板
(2)「ドロービード」:平らな面に作る帯状の凹凸部分
(3)「フィレット」:尖った角を丸く削った部分
などの「形状」(又はそれを示す言葉)をいい、「シェープ」と称される。
【0028】
また、「特徴=形状」の「起点(頂点、端部を含む)」「切り替わる」部分(但し、3次元CADデータに表現されている「線」すべてがそれに相当するわけではない。)は、「フィーチャー」と称される。
【0029】
第2ステップでは、取得した情報と特徴を元にそれぞれの面を分類分けする。データを取得し、それぞれの面の特徴を計算した後に、それぞれの面を5つの異なるタイプ(平面、フィレット、円筒、球、曲面)に分類する。各面を分類するためには、分類する面タイプによって特定の特徴を有するか確認する。例として、ある面をフィレットの面だとみなすためには、面の曲率、外周の曲率、外周長さ、面の幅、外周上の固定点、対になる外周ペアの長さ比、外周の円形状、固定点の内角、面積、サーフェスの連続性、外周の接触角度、そして断面形状を検査する。フィレット、円筒、球、そして曲面は全て最初の段階では曲面とみなす。その後異なる特徴からそれらを区別する。また、円筒と球とはフィレットになり得る。それらが特定の形で隣接面との連続性がある場合はフィレットとみなす。
【0030】
第3ステップでは、複数の面からなる複雑な部位の認識を行う。板形状モデル上の2Dの穴、ソリッドモデル上の3Dの孔、ザグリをはじめとした段付き孔、段差、エンボス、フランジ、フィレット流れ、面取り、角部フィレット、フィレット間の細い面、リブ、溝、ギヤの歯、ネジのような部位を認識するために、第2ステップで分類した面タイプとその他の情報を使用する。部位の認識を行うめに使用したその他の情報には、面タイプの組み合わせ、面同士の位置関係、部位の大きさ、複数の面で複合形状を形成した際の断面形状などがある。
【0031】
以上、3つのステップを経て認識された特定部位は、CADの情報、メッシュの領域情報、認識した際の形状データをまとめてシステム内部で保持され、ルールに従ったメッシュ作成の際に使用される。
【0032】
このとき、データベースDBにおいて、対象物の区分に対応する区分情報毎に特性情報等の形状データが関連付けられている。この例では、区分情報は、サーフェス(以下、面ということもある。)に対応するサーフェス記号及び/又は番号とされている。ここで、サーフェスとは、3次元CADデータにおいて対象物を構成する一単位を意味する。すなわち、サーフェスは、対象物における個々の形状の位置を把握するために、便宜上、対象物の表面をサーフェスで複数に区切ったものであり、複数のサーフェスのそれぞれには記号及び/又は番号が付与される。なお、データベースDBにおいて区分情報毎に関連付けられた特性情報等の形状データが予め登録されていてもよい。この場合、形状認識ステップを省略することができる。
【0033】
(形状識別情報判定)
判定ステップでは、制御部110は、表面を複数の面(サーフェス)に区分された対象物における複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報(+1,-1,0)を判定する。
【0034】
図3は、対象物の一部の区分情報F12の面の一例を示す説明図である。図3に示す面は、後述する図8に示すリブ形状のリブの立ち上がり部分の根元である丸み肉厚部(フィレット)の区分情報F12の面を例示している。
【0035】
データベースDBには、各面の情報として、面積a1、各面の外形を構成するラインL1~L4及びライン数、それぞれのラインL1~L4の長さ、最大ライン長(この例ではL1(またはL3)の幅W)、相当ライン幅(=面積a1/最大ライン長L1の長さD)の各情報が、それぞれの区分情報毎に登録されている。
【0036】
ここで、データベースDBに登録された一つの面を第1区分情報の第1面(基準面)とし、これに隣接する他の面を第2区分情報の第2面とすると、判定ステップは、第1区分情報の面(基準面)の法線ベクトル(面外ベクトル)と、第1区分情報の面と第2区分情報の面とが接する接線方向のベクトルとにより外積ベクトルを求める外積演算ステップと、求めた外積ベクトルと第2区分情報の面の法線ベクトル(面外ベクトル)との内積を求める内積演算ステップと、内積演算ステップの演算結果に基づいて第1区分情報の面に対する第2区分情報の面の表面形状を判定する判定ステップとを含んでいる。
【0037】
次に、上記構成の判定ステップによる判定処理について、図4から図6に示す説明図及び図7に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0038】
図4から図6は、形状データ処理装置100による対象物の判定処理の説明図である。また、図7は、形状データ処理装置100による対象物の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0039】
外積演算ステップでは、データベースDBに登録された一つの面を第1区分情報F1の面(基準面)とし、これに隣接する他の区分情報の面を第2区分情報F2の面として、外積演算を行う(S1)。ここで、第1区分情報F1の面(基準面)は、基本的に平面である。外積演算ステップでは、図4から図6に示すように、第1区分情報F1の面(基準面)の法線ベクトル(面外ベクトル)Aと、第1区分情報F1の面と第2区分情報F2の面とが接する接線方向のベクトルBとにより外積ベクトルDを求める。
【0040】
次に、内積演算ステップでは、外積演算ステップで求めた外積ベクトルDと第2区分情報F2の面の法線ベクトル(面外ベクトル)Cとの内積を求め(S2)、その演算結果を判定ステップに入力する。
【0041】
判定ステップでは、入力された演算結果に基づいて第1区分情報F1の面に対する第2区分情報F2の面の表面形状を判定する。
【0042】
具体的には、演算結果がプラスの値であるか否かを判断し(S3)、演算結果がプラスの値を示すときには(S3:Yes)、第2区分情報F2の面を凹面(図4参照)として形状識別情報(+1)を判定する(S4)。一方、演算結果がプラスの値でない場合には(S3:No)、演算結果がマイナスの値であるか否かを判断し(S5)、演算結果がマイナスの値を示すときには(S5:Yes)、第2区分情報F2の面を凸面(図5参照)として形状識別情報(-1)を判定する(S6)。また、演算結果がマイナスの値でない場合には(ステップS5:No)、演算結果が零の値であるか否かを判断し(S7)、演算結果が零の値を示すときには(S7:Yes)、第2区分情報F2の面を第1区分情報F1の面に連続する平面(図6参照)であるとして形状識別情報(0)を判定する(S8)。なお、S7でもNoと判断された場合には、エラー処理(S11)を実行してS9に移行する。
【0043】
この後、全ての区分情報の面の処理を終了したか否かを確認し(S9)、全ての区分情報の面の処理を終了していない場合には(S9:Yes)、S1に戻って処理を繰り返す。一方、全ての区分情報の面の処理を終了している場合には(S9:No)、その時点で表面形状の判定処理を終了する。
【0044】
すなわち、本実施の形態では、上記内積演算の結果、隣り合う面が、基準面からみたときに面内に食い込む面は必ずマイナスの値となり、面外に広がる面は必ずプラスの値となることを利用している。
【0045】
(特性情報取得)
取得ステップでは、制御部110は、複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報を取得する。ここで、特性情報は、形状認識ステップにて認識した特性情報或いは予め登録しておいた特性情報である。特性情報としては、例えば、面(サーフェス)の幅、長さ、曲率、面(サーフェス)内で形状が切り替わる変曲点座標を挙げることができる。
【0046】
(データベース登録)
登録ステップでは、制御部110は、判定ステップにて判定した形状識別情報(+1,-1,0)と取得ステップにて取得した特性情報とを区分に対応する区分情報毎に区分に隣接する隣接区分に対応する隣接区分情報と関連付けてデータベースDBに登録する。
【0047】
詳しくは、登録ステップは、演算結果がプラスの値を示すときの面の形状識別情報を(+1)、演算結果がマイナスの値を示すときの面の形状識別情報を(-1)、演算結果が零の値を示すときの面の形状識別情報を(0)で分類し、これらの形状識別情報とそれに対応する特性情報とを区分情報毎に隣接区分情報と関連付けてデータベースDBに登録する。これにより、以後に実施される検索等の処理において、これらの形状識別情報(+1,-1,0)の組み合わせにより対象物の形状を抽出(すなわち、特定)することができる。
【0048】
図8は、上記の判定処理を対象物10の具体的な形状部分に当てはめたときの処理結果を例示している。図8に示す例では、リブ形状に上記の判定処理を当てはめた結果を表しており、リブの立ち上がり部分の根元である丸み肉厚部(フィレット)の面は、内積演算の結果がプラス(+)、形状識別情報が+1となり、リブの先端部(端部)の面では、内積演算の結果がマイナス(-)、形状識別情報が-1となっている。
【0049】
図9は、データベースDBにおいて図8に示す対象物10の一部の形状データ〔区分情報F11~F22、形状識別情報(+1,-1,0)、隣接区分情報F11~F22、特性情報(特性値1~特性値n)(nは2以上の整数)〕のデータ構造の一例を概略的に示す図表である。
【0050】
図9に示すデータベースDBにおいて、例えば、区分情報F11には、形状識別情報として-1,+1,-1,0、隣接区分情報として…,F12,F18,…、特性値1として幅W=20mm、特性値2として長さD=10mm、特性値3として曲率=0等が登録されている。以下、F12~F22も同様に形状データが登録されている。
【0051】
(変更受付)
受付ステップでは、制御部110は、形状識別情報(+1,-1,0)及び/又は特性情報(特性値1~特性値n)を変更するための入力操作を受け付ける。この例では、形状識別情報(+1,-1,0)及び特性情報(特性値1~特性値n)の変更値を受け付ける。
【0052】
図10は、形状識別情報(+1,-1,0)及び特性情報(特性値1~特性値n)の変更値を入力するための入力画面Gの一例を示す模式図である。
【0053】
図10に示す例では、入力画面Gは、第1入力画面G1と第2入力画面G2とに分かれている。第1入力画面G1では、ユーザーにより区分情報(図示例ではF22)が入力され、OKボタンBT1が操作されると、第2入力画面G2が表示される。
【0054】
第2入力画面G2では、第1入力画面G1で入力された区分情報(図示例ではF22)に対応する隣接区分情報(図示例ではF21,F16,F19,F12)が表示される。また、第1入力画面G1で入力された区分情報(図示例ではF22)に対応する形状識別情報(図示例では0,-1,0,-1)及び特性情報(図示例では幅20mm、長さ18mm、曲率0、…、変曲点座標)が変更入力可能に表示される。ユーザーにより形状識別情報及び特性情報が変更され、OKボタンBT2が操作されると、変更受付処理が終了する。
【0055】
(形状特定)
特定ステップでは、制御部110は、データベースDBに保存した区分情報(F11~F22)毎の形状識別情報(+1,-1,0)、特性情報(特性値1~特性値n)及び隣接区分情報(F11~F22)から区分情報(F11~F22)と隣接区分情報(F11~F22)とを繋ぎ合わせて対象物10の形状を特定する。例えば、区分情報F22の面は、幅Wが20mm、長さDが18mmの平面(曲率0)で、区分情報F21,F19の面とは平面で隣接し、区分情報F16,F12の面とは凸面で隣接することがわかる。以下、区分情報F22に隣接する他の面、区分情報F11~F21に隣接する全ての面についても同様にして認識処理することで、対象物10の形状を特定することができる。
【0056】
そして、特定ステップでは、制御部110は、受付ステップにて変更された形状識別情報(+1,-1,0)及び/又は特性情報(特性値1~特性値n)の変更値により対象物10の形状を特定する。
【0057】
(情報出力)
出力ステップでは、制御部110は、特定ステップにて特定した対象物10の形状を表示装置141又は印刷装置142に出力する。
【0058】
(第1実施形態について)
第1実施形態によれば、対象物10における複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報(+1,-1,0)を判定し、複数の面の形状にそれぞれ関係する複数の特性情報(特性値1~特性値n)を取得し、判定した形状識別情報(+1,-1,0)と取得した特性情報(特性値1~特性値n)とを区分情報(F11~F22)毎に隣接区分情報(F11~F22)と関連付けてデータベースDBに登録するので、形状識別情報(+1,-1,0)及び特性情報(特性値1~特性値n)を区分情報(F11~F22)毎に対応付けることができる。従って、区分された対象物10の表面形状がどこの区分のものでどのような形状のものであるかを特定することができ、これにより、CADの技術分野に利用することが可能となる。さらに、区分情報(F11~F22)が隣接区分情報(F11~F22)と関連付けられているので、区分情報(F11~F22)と隣接区分情報(F11~F22)との繋がりを認識することができ、これにより、対象物10の形状を特定し易くすることができる。しかも、対象物10がたとえ複雑な形状であっても簡単なデータ構造にすることができ、これにより、制御構成の容易化、ひいては処理速度の高速化を実現させることができる。
【0059】
本実施の形態において、制御部110は、データベースDBに保存した区分情報(F11~F22)毎の形状識別情報(+1,-1,0)、特性情報(特性値1~特性値n)及び隣接区分情報(F11~F22)から区分情報(F11~F22)と隣接区分情報(F11~F22)とを繋ぎ合わせて対象物10の形状を特定し、特定した対象物10の形状を出力する。こうすることで、ユーザーは、データベースDBに保存した区分情報(F11~F22)毎の形状識別情報(+1,-1,0)、特性情報(特性値1~特性値n)及び隣接区分情報(F11~F22)から出力した対象物10の形状を確認することができる。
【0060】
ところで、現状の対象物10から新しい対象物を設計する(いわゆるモデルチェンジする)場合、現状の対象物10の形状及び/又は形状の特性を容易に変更して新しい対象物を設計することが望まれている。
【0061】
この点、本実施の形態において、制御部110は、形状識別情報(+1,-1,0)及び/又は特性情報(特性値1~特性値n)を変更するための入力操作を受け付け、変更した形状識別情報(+1,-1,0)及び/又は特性情報(特性値1~特性値n)の変更値により対象物10の形状を特定する。こうすることで、現状の対象物10の形状及び/又は特性を容易に変更して新しい対象物を容易に設計することができる。
【0062】
本実施の形態において、制御部110は、区分情報(F11~F22)に対して複数に分けて処理する複数のプロセッサーを備えていてもよい。この場合、制御部110は、複数のプロセッサーにより並列処理を行うことができる。例えば、区分情報F11~F14に対して第1プロセッサー、区分情報F15~F18に対して第2プロセッサー、区分情報F19~F12に対して第3プロセッサーをそれぞれ割り当て、第1プロセッサー、第2プロセッサー及び第3プロセッサーにより並列処理を行うことができる。こうすることで、容易に並列処理を行うことができ、これにより、簡単な制御構成で、さらなる高速処理を実現させることができる。
【0063】
<第2実施形態>
[第2実施形態に係る形状データ処理装置のハードウェア構成]
先ず、第2実施形態に係る形状データ処理装置100のハードウェア構成について図11を参照しながら以下に説明する。
【0064】
図11は、形状データ処理装置100のハードウェア構成の他の例を示すブロック図である。
【0065】
図11に示すように、制御部110は、記憶部120の記録装置121に予め格納(インストール)された形状データ処理プログラムPbを実行することによって、制御部110に必要な各種の機能を実現させるように構成されている。詳しくは、制御部110は、記録装置121に予め格納された形状データ処理プログラムPb等のソフトウェアプログラムをメモリ装置122のRAM122b上にロードして実行することにより、各種の処理を行う。記録装置121には、読取部130から取得した形状データ処理プログラムPbが予め格納される。記録媒体Mには、形状データ処理プログラムPbが予め記録されている。なお、形状データ処理プログラムPbは、CD-ROM等の記録媒体を介して取得したものには限定されず、インターネット等の通信手段を介してダウンロードされたものであってもよい。
【0066】
[第2実施形態に係る形状データ処理装置のソフトウェア構成]
次に、第2実施形態に係る形状データ処理装置100のソフトウェア構成について図11を参照しながら以下に説明する。
【0067】
制御部110は、3次元CADデータ入力手段Qb1と、判定手段Qb2と、変換手段Qb3と、生成手段Qb4と、登録手段Qb5と、形状特定手段Qb6と、データ受付手段Qb7と、出力手段Qb8とを備える手段として機能する。すなわち、形状データ処理プログラムPbは、3次元CADデータ入力ステップと、判定ステップと、変換ステップと、生成ステップと、登録ステップと、形状特定ステップと、データ受付ステップと、出力ステップとを含むステップを制御部110に実行させる。
【0068】
[第2実施形態に係る形状データ処理装置の処理手順]
図12は、形状データ処理装置100の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【0069】
形状データ処理装置100の処理手順の他の例では、3次元CADデータ入力、形状識別情報判定、画像要素変換、画像データ生成、データベース登録、形状特定、データ受付、情報出力の各処理を行う。
【0070】
(3次元CADデータ入力)
3次元CADデータ入力ステップでは、制御部110は、3次元CADで作成された対象物(製品)の形状データである3次元CADデータ(3次元CADモデル)が読取部130から入力される。
【0071】
(形状識別情報判定)
判定ステップでは、制御部110は、表面を複数の面(サーフェス)に区分された対象物における複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報(+1,-1,0)を判定する。
【0072】
なお、判定ステップは、前述の第1実施形態における図3から図7を用いて説明した判定ステップと同じであり、ここでは、説明を省略する。
【0073】
図13は、第1実施形態と同様、上記の判定処理を対象物10の具体的な形状部分に当てはめたときの処理結果を例示している。図13に示す例では、リブ形状に上記の判定処理を当てはめた結果を表しており、リブの立ち上がり部分の根元である丸み肉厚部(フィレット)の面は、内積演算の結果がプラス(+)、形状識別情報が+1となり、リブの先端部(端部)の面では、内積演算の結果がマイナス(-)、形状識別情報が-1となっている。
【0074】
(画像要素変換)
変換ステップでは、制御部110は、判定ステップにて判定した複数の形状識別情報(-1,0,+1の組み合わせ)を該複数の形状識別情報(-1,0,+1の組み合わせ)に対応する画像要素(M11~M22…)に変換する。ここで、画像要素(Mxy:x,yは1以上の整数)としては、個々の画像要素が互いに識別できるものであれば何れのものであってもよく、例えば、色相、彩度、明度のそれぞれが互いに異なる色画像、白から黒までの明度が互いに異なるモノトーン画像、横線パターン、縦線パターン、格子パターン、斜線パターンやドットパターン等の模様パターンが互いに異なる模様パターン画像、英字、数字、漢字やひらがな、カタカナ等の文字が互いに異なる文字画像や文章画像、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせた組み合わせ画像等の画像要素を挙げることができる。
【0075】
(画像データ生成)
生成ステップでは、制御部110は、変換ステップにて変換した画像要素(M11~M22…)から予め定めた所定の並び順で形状識別用の画像データMDを生成する。所定の並び順は、この例では、複数の面のうち予め定めた所定の並び方向に隣り合う面の一端から他端までの並び順である。ここで、並び順としては、例えば、第1水平方向H1に沿った行の並び順、第1水平方向H1に直交する第2水平方向H2に沿った列の並び順や、鉛直方向V、鉛直方向Vに沿った一方側(手前側)の列の並び順、鉛直方向Vに沿った他方側(奥側)の列の並び順を挙げることができる。
【0076】
(データベース登録)
登録ステップでは、制御部110は、生成ステップにて生成した形状識別用の画像データMDを所定の並び順でデータベースDBに登録する。これにより、以後に実施される形状特定等の処理において、形状識別用の画像データMDの画像パターンにより対象物の形状を特定することができる。この例では、制御部110は、生成ステップにて生成した形状識別用の画像データMDを所定の並び順と関連付けてデータベースDBに登録する。
【0077】
図14は、データベースDBにおいて図13に示す対象物10の一部の形状識別用の画像データMD及びそれに対応する所定の並び順のデータ構造の一例を概略的に示す図表である。
【0078】
図14に示すデータベースDBにおいて、例えば、第1水平方向H1に沿った第1行では、
区分情報F11に対応する形状識別情報(-1,+1,-1,0)は、画像要素(M11)として「赤色」、
区分情報F12に対応する形状識別情報(-1,+1,-1,+1)は、画像要素(M12)として「黄赤色」、
区分情報F13に対応する形状識別情報(-1,-1,-1,+1)は、画像要素(M13)として「黄色」、
区分情報F14に対応する形状識別情報(-1,-1,-1,-1)は、画像要素(M14)として「黄緑色」、
区分情報F15に対応する形状識別情報(-1,-1,+1,-1)は、画像要素(M15)として「緑色」、
区分情報F16に対応する形状識別情報(+1,-1,+1,-1)は、画像要素(M16)として「青緑色」、
区分情報F17に対応する形状識別情報(-1,…,-1,+1)は、画像要素(M17)として「青色」、…が形状識別用の画像データMDに登録される。
【0079】
また、第2水平方向H2に沿った第k列(kは1以上の整数)では、
区分情報F11に対応する形状識別情報(-1,+1,-1,0)は、画像要素(M11)として「赤色」、
第2水平方向H2に沿った第k+1列では、
区分情報F12に対応する形状識別情報(-1,+1,-1,+1)は、画像要素(M12)として「黄赤色」、
第2水平方向H2に沿った第k+2列では、
区分情報F14に対応する形状識別情報(-1,-1,-1,-1)は、画像要素(M14)として「黄緑色」、
第2水平方向H2に沿った第k+3列では、
区分情報F16に対応する形状識別情報(+1,-1,+1,-1)は、画像要素(M16)として「青緑色」、
第2水平方向H2に沿った第k+4列では、
区分情報F17に対応する形状識別情報(-1,…,-1,+1)は、画像要素(M17)として「青色」、…が形状識別用の画像データMDに登録される。
【0080】
さらに、一方側(手前側)の面の鉛直方向Vに沿った第m列(mは1以上の整数)では、
区分情報F18に対応する形状識別情報(-1,0,-1,0)は、画像要素(M18)として「青紫色」、
鉛直方向Vに沿った第m+1列では、
区分情報F19に対応する形状識別情報(0,0,-1,0)は、画像要素(M19)として「紫色」、
区分情報F20に対応する形状識別情報(0,-1,0,-1)は、画像要素(M20)として「赤紫色」、
区分情報F21に対応する形状識別情報(-1,-1,0,-1)は、画像要素(M21)として「茶色」、
鉛直方向Vに沿った第m+2列では、
区分情報F22に対応する形状識別情報(-1,…,-1,0)は、画像要素(M22)として「肌色」、…が形状識別用の画像データMDに登録される。
【0081】
図15は、図14に示す画像要素M11,・・・,M22,・・・からなる形状識別用の画像データMDを用いて出力した出力画像である。なお、図15に示す形状識別用の画像データMDは、表示の都合上、パターン画像になっているが、実際には色画像である。しかし、形状識別用の画像データMDは、前述したとおり、パターン画像であってもよい。
【0082】
(形状特定)
形状特定ステップでは、制御部110は、画像処理技術を用いて形状識別用の画像データMDから対象物10の形状を特定する。画像処理技術は従来公知のものを用いることができる。画像処理技術としては、AI(人工知能)による画像処理技術を例示できる。AIによる画像処理技術には、機械学習という技術が使われる。機械学習は、膨大な画像データのから画像の傾向や特徴などの法則を見出し、その法則から分析して予測するものである。本実施の形態では、形状の情報(例えばリブ形状の情報)、それに対応する画像要素からなる形状識別用の画像データ及び所定の並び順により、形状の情報(例えばリブ形状の情報)に対する形状識別用の画像データにおける各画像要素の並びパターンをAI学習ソフトに学習させておく。これにより、制御部110は、形状識別用の画像データにおける各画像要素の並びパターンから形状(例えば図13に示すようなリブ形状)を特定することができる。
【0083】
(データ受付)
データ受付ステップでは、制御部110は、特定した対象物10の形状に対して面(サーフェス)の幅、長さ、曲率、面(サーフェス)内で形状が切り替わる変曲点座標などの特性情報を変更するための入力操作を受け付ける。
【0084】
(情報出力)
出力ステップでは、制御部110は、特定した対象物10の形状をデータ受付ステップにて受け付けた特性情報の形状に変更して表示装置141又は印刷装置142に出力する。
【0085】
(第2実施形態について)
第2実施形態によれば、表面を複数の面(サーフェス)に区分された対象物における複数の面の形状のそれぞれに対応する複数の形状識別情報(+1,-1,0)を判定し、判定した複数の形状識別情報(-1,0,+1の組み合わせ)を該複数の形状識別情報(-1,0,+1の組み合わせ)のそれぞれに対応する画像要素(M11~M22…)に変換し、変換した画像要素(M11~M22…)から所定の並び順で形状識別用の画像データMDを生成するので、画像処理技術(特にAIによる画像処理技術)を用いて形状識別用の画像データMDから対象物10の形状を特定することができる。従って、区分された対象物10の表面形状がどこの区分のものでどのような形状のものであるかを特定することができ、これにより、CADの技術分野に利用することが可能となる。
【0086】
本実施の形態において、所定の並び順は、複数の面のうち予め定めた所定の並び方向(例えば第1水平方向H1)に隣り合う面の一端から他端までの並び順であることで、形状識別用の画像データMDを生成するための制御動作を容易に実現することができる。
【0087】
画像要素は、色画像の画像要素であることで、画像処理技術(特にAIによる画像処理技術)により対象物10の形状を精度よく特定することができる。
【0088】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、3次元の形状データを1次元の形状データ又は2次元の形状データに変換する技術に係るものであり、特に、CADの技術分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 対象物
100 形状データ処理装置
110 制御部
120 記憶部
121 記録装置
122 メモリ装置
130 読取部
131 読取装置
140 出力部
141 表示装置
142 印刷装置
BT1 OKボタン
BT2 OKボタン
DB データベース
F1 第1区分情報
F2 第2区分情報
F11~F22 区分情報
G 入力画面
G1 第1入力画面
G2 第2入力画面
H1 第1水平方向
H2 第2水平方向
M 記録媒体
M11~M22 画像要素
MD 形状識別用の画像データ
Pa 形状データ処理プログラム
Pb 形状データ処理プログラム
Qa1 3次元CADデータ入力手段
Qa2 形状認識手段
Qa3 判定手段
Qa4 取得手段
Qa5 登録手段
Qa6 受付手段
Qa7 特定手段
Qa8 出力手段
Qb1 3次元CADデータ入力手段
Qb2 判定手段
Qb3 変換手段
Qb4 生成手段
Qb5 登録手段
Qb6 形状特定手段
Qb7 データ受付手段
Qb8 出力手段
V 鉛直方向
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15