(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/3575 20200101AFI20221207BHJP
H05B 45/3725 20200101ALI20221207BHJP
H05B 45/52 20200101ALI20221207BHJP
H05B 47/21 20200101ALI20221207BHJP
【FI】
H05B45/3575
H05B45/3725
H05B45/52
H05B47/21
(21)【出願番号】P 2018165197
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390031521
【氏名又は名称】トキコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤城 健司
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-138666(JP,A)
【文献】特開2015-050785(JP,A)
【文献】実開昭63-009164(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数のLED(Light Emitting Diode)と、
前記複数のLEDにそれぞれ直列に接続された複数の第1スイッチと、
入力される調光信号をもとに前記複数の第1スイッチを個別に制御する第1制御回路と、
前記複数のLEDと並列に接続されたダミー負荷と、
前記ダミー負荷に直列に接続された第2スイッチと、
入力される直流電圧を変換して定電流の直流電力を、
前記複数の前記第1スイッチのそれぞれのオン/オフ状態に関わらず、前記複数のLEDと前記ダミー負荷が並列に接続された電力供給ラインに出力
し続けるDC/DCコンバータと、
前記複数の第1スイッチのオン/オフを制御するための複数の信号を監視し、前記複数の信号の少なくとも1つにオン信号が含まれるとき前記第2スイッチをオフに制御する信号を出力し、前記複数の信号の全てがオフ信号のとき前記第2スイッチをオンに制御する信号を出力する第2制御回路と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
並列に接続された複数のLEDは、赤色LED、緑色LED及び青色LEDであり、
前記第1スイッチは3つであり、
前記第2制御回路は、前記3つの第1スイッチに供給される3つの信号の全てがオフ信号のとき前記第2スイッチをオンに制御する信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数のLEDにそれぞれ直列に接続され、各LEDに流れる電流を均等にするための複数のバランス抵抗
素子をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ダミー負荷は、
非発光のダイオードと、
前記ダイオードと直列に接続されたバランス抵抗
素子と、
を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三原色(RGB)LEDを用いた舞台照明や演出照明が普及してきている。三原色LEDは、例えばDMX512規格に準拠したケーブルでコントローラ(例えば、操作卓、PCなど)と接続され、当該コントローラから色ごとに任意のタイミングで調光制御される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
三原色LEDの駆動方法として、各色のLEDごとに定電流出力のDC/DCコンバータを接続し、各DC/DCコンバータをPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、各色のLEDを個別に調光制御する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の駆動方法では、DC/DCコンバータの起動と停止が頻繁に繰り返される。このDC/DCコンバータの出力のオン/オフにより、大きなノイズが発生する。可聴ノイズが発生することもある。
【0006】
また各色のLEDごとにDC/DCコンバータを設置すると、3つのDC/DCコンバータが必要になり、DC/DCコンバータの設置スペースが大きくなる。またDC/DCコンバータにかかるコストが増大する。
【0007】
また三原色LEDが実装される回路基板は、3つのLEDが全て点灯した状態の放熱を基準に設計される。通常、ある色のLEDを駆動するDC/DCコンバータは、他の色のLEDの点灯状態が分からないため、他の色のLEDがフルに点灯している状態を前提として、自己に接続されたLEDを駆動している。従って、他の色のLEDが消灯している状態では、回路基板の許容電力より低い電力でLEDを駆動していることになる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列に接続された複数のLEDを備える照明装置において、小さな回路面積で、低ノイズで、LEDの能力を十分に発揮させることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の照明装置は、並列に接続された複数のLEDと、前記複数のLEDにそれぞれ直列に接続された複数の第1スイッチと、入力される調光信号をもとに前記複数の第1スイッチを個別に制御する第1制御回路と、前記複数のLEDと並列に接続されたダミー負荷と、前記ダミー負荷に直列に接続された第2スイッチと、入力される直流電圧を変換して定電流の直流電力を、前記複数のLEDと前記ダミー負荷が並列に接続された電力供給ラインに出力するDC/DCコンバータと、前記複数の第1スイッチのオン/オフを制御するための複数の信号を監視し、前記複数の信号の少なくとも1つにオン信号が含まれるとき前記第2スイッチをオフに制御する信号を出力し、前記複数の信号の全てがオフ信号のとき前記第2スイッチをオンに制御する信号を出力する第2制御回路と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、並列に接続された複数のLEDを備える照明装置において、小さな回路面積で、低ノイズで、LEDの能力を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】比較例に係る照明装置の回路構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る照明装置の回路構成を示す図である。
【
図3】第1制御回路により制御される赤色用スイッチ、緑色用スイッチ及び青色用スイッチと、第2制御回路により制御されるダミー負荷用スイッチのオン/オフ関係をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、比較例に係る照明装置1の回路構成を示す図である。照明装置1は、三原色LED(具体的には、赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20B)を備えるフルカラーの照明装置である。照明装置1に外部から直流電源と調光信号が供給される。
図1に示す例では、電源線とグランド線の2線により外部から24Vの直流電圧が供給される。上記電源線は照明装置1の電源端子VINに接続され、上記グランド線は照明装置1のグランド端子GNDに接続される。また制御信号線により外部から調光信号が供給される。上記制御信号線の送信側は、調光コントローラ(例えば、操作卓、PCなど)と接続され、上記制御信号線の受信側は照明装置1の調光端子DIMに接続される。調光コントローラから、例えばDMX512規格に準拠した調光信号が照明装置1に供給される。
【0014】
照明装置1において、電源端子VINに接続された電源供給ライン(
図1に示す例では、DC24Vライン)の入力段にヒューズF1及び第1ダイオードD1が挿入される。ヒューズF1は、電源供給ライン(24Vライン)に定格値以上の電流が流れると溶断し、照明装置1内の部品を過電流から保護する。なおヒューズF1の代わりに、ポリスイッチを使用してもよい。第1ダイオードD1は、電源端子VIN側がアノードとなる向きに接続される逆接防止ダイオードである。作業者やユーザが誤って、グランド線を照明装置1の電源端子VINに、電源線をグランド端子GNDに接続した際に、照明装置1内に逆電流が流れないようにしている。
【0015】
DC/DCコンバータ11は、降圧型の定電流DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ11の入力端子VINには電源供給ライン(24Vライン)が接続される。DC/DCコンバータ11の出力端子SWには、負荷に接続された電源供給ラインW1が接続される。
図1において主な負荷は、並列に接続された赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bである。
【0016】
DC/DCコンバータ11の電流検出端子CSには、負荷に流れる電流(即ち、DC/DCコンバータ11の出力電流)を検出するための電圧が入力される。より具体的には、直列接続された、負荷と第5抵抗R5間の分圧電圧が入力される。第5抵抗R5は、負荷に流れる電流を検出するためのセンシング抵抗である。
【0017】
DC/DCコンバータ11は内部に、スイッチ、ドライバ、コンパレータ、誤差増幅器を主要構成要素として含む。スイッチは、入力端子VINと出力端子SW間の配線内に接続される。スイッチには例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を使用することができる。誤差増幅器は、所定の参照電圧と、電流検出端子CSに入力される電圧との誤差を増幅して誤差信号を生成する。コンパレータは、所定の搬送波(三角波)信号と、誤差増幅器から入力される誤差信号を比較してPWM信号を生成する。ドライバは、コンパレータから入力されるPWM信号に応じて上記スイッチのオン/オフを制御する。
【0018】
電流検出端子CSに入力される電圧により監視されるDC/DCコンバータ11の出力電流が目標値より低くなると、DC/DCコンバータ11は、上記スイッチのデューティ比を上げるように制御し、当該出力電流が目標値より高くなると上記スイッチのデューティ比を下げるように制御する。このような電流フィードバック制御により、DC/DCコンバータ11の出力端子SWから出力される電流が上記目標値に維持される。
【0019】
DC/DCコンバータ11の出力端子SWには出力フィルタが接続される。
図1に示す例では、出力フィルタがLCフィルタで構成されている。具体的には、DC/DCコンバータ11の出力端子SWに接続された電源供給ラインW1にインダクタL1が挿入される。電源供給ラインW1とグランドライン間にコンデンサC1が接続される。コンデンサC1は、インダクタL1の出力側に接続される。
【0020】
電源供給ラインW1とグランドライン間に第2ダイオードD2が接続される。第2ダイオードD2は、アノードがグランドライン側、カソードが電源供給ラインW1側となる向きに接続される転流ダイオード(フリー・ホイール・ダイオード)である。第2ダイオードD2は、インダクタL1の入力側に接続される。第2ダイオードD2は、DC/DCコンバータ11内のスイッチがオフの期間に、インダクタL1に蓄積されたエネルギーを負荷に転流させる。
【0021】
電源供給ラインW1(ハイサイドライン)とローサイドラインW2間に第1抵抗R1、赤色LED20R、赤色用スイッチS1rが直列に接続される。また電源供給ラインW1とローサイドラインW2間に第2抵抗R2、緑色LED20G、緑色用スイッチS1gが直列に接続される。また電源供給ラインW1とローサイドラインW2間に第3抵抗R3、青色LED20B、青色用スイッチS1bが直列に接続される。
【0022】
ローサイドラインW2は、第5抵抗R5を介してグランド電位に接続される。ローサイドラインW2の電圧は、上述したようにDC/DCコンバータ11の電流検出端子CSに入力される。
【0023】
図1に示す例では、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bにNチャンネルのMOSFETを使用している。具体的には、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bの各ソース端子はローサイドラインW2に共通に接続され、各ドレイン端子は赤色LED20Rのカソード端子、緑色LED20Gのカソード端子及び青色LED20Bのカソード端子にそれぞれ接続される。赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bの各ゲート端子には、第1制御回路12から、PWM信号で規定される駆動信号がそれぞれ入力される。
【0024】
第1制御回路12は、調光端子DIMから入力される赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bの調光信号を受信し、受信した調光信号に応じて赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bにそれぞれ供給するPWM信号を生成する。
図1に示す例では、第1制御回路12はDMXデコーダICで構成される。
【0025】
なお、調光信号はDMX形式以外のデータ形式で与えられてもよい。調光信号がDMX形式以外のデータ形式で与えられる場合、第1制御回路12はマイクロコントローラや当該データ形式に応じた別のロジックICで構成される。
【0026】
第1制御回路12は、赤色用スイッチS1rのゲート端子にハイレベル電圧(オン信号)を印加することにより、赤色用スイッチS1rを導通させ、赤色LED20Rを点灯させることができる。また第1制御回路12は、赤色用スイッチS1rのゲート端子にローレベル電圧(オフ信号)を印加することにより、赤色用スイッチS1rを遮断させ、赤色LED20Rを消灯させることができる。また第1制御回路12は、ハイレベルとローレベルのデューティ比を制御することにより、赤色LED20Rの光量を調整することができる。
【0027】
同様に第1制御回路12は、緑色用スイッチS1gの導通/遮断を制御することにより、緑色LED20Gの点灯/消灯、及び光量を調整することができる。同様に第1制御回路12は、青色用スイッチS1bの導通/遮断を制御することにより、青色LED20Bの点灯/消灯、及び光量を調整することができる。
【0028】
このように第1制御回路12は、赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bを個別にPWM制御することができる。したがって第1制御回路12は、赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bを3つ同時に点灯させることもできるし、それらの内の2つを同時に点灯させることもできるし、それらの内の1つだけを点灯させることもできる。また同時に点灯させる2つ又は3つのLEDの光量をそれぞれ変えることもできる。これにより任意の発光色を得ることができる。
【0029】
赤色LED20Rのアノード端子に接続される第1抵抗R1、緑色LED20Gのアノード端子に接続される第2抵抗R2、青色LED20Bのアノード端子に接続される第3抵抗R3は、各LEDに流れる電流を均等にするためのバランス抵抗である。LEDの順方向降下電圧Vfは、発光色により異なる。一般的に赤色のLEDは1.8~2.2V程度、緑色のLEDは2.2~3.7V程度、青色のLEDは3.2~3.7V程度である。
【0030】
第1抵抗R1、第2抵抗R2及び第3抵抗R3は、順方向降下電圧Vfが異なる赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bがそれぞれ接続された3列の直列回路の負荷が均等になるように設計される。例えば、第1抵抗R1の抵抗値は、第3抵抗R3の抵抗値より高く設定される。なお、各列に接続される抵抗素子の数を変えることにより、各列の負荷を調整することもできる。
【0031】
図1に示す例ではDC/DCコンバータ11は、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bのオン/オフ状態に関わらず、定電流の直流電力を出力し続ける。赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bが全てオンしている状態では、DC/DCコンバータ11の出力電流が3列に均等に分流する。また赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bの2つがオンしている状態では、DC/DCコンバータ11の出力電流が、オンしている2列に均等に分流する。また赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bのいずれか1つがオンしている状態では、DC/DCコンバータ11の出力電流が、オンしている1列に全て流れる。
【0032】
いずれの状態でもDC/DCコンバータ11から出力される電流は一定であるため、赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bの1つのみが点灯している場合のLEDの光量を1とすると、2つのLEDが点灯している場合の各LEDの光量は1/2、3つのLEDが点灯している場合の各LEDの光量は1/3となる。
【0033】
DC/DCコンバータ11の出力電流の目標値は、赤色LED20R、緑色LED20G及び青色LED20Bの各最大許容電流以下の値に設定される。出力電流の目標値を、最大許容電流に近い値に設定するほど高効率になる。なお、出力電流の目標値は、照明装置1内の基板と他の部品の許容電流以下である必要もある。また、出力電流の目標値は、照明装置1内の基板と部品が、当該出力電流による放熱に対して耐熱条件を満たしている必要もある。
【0034】
比較例に係る回路構成では、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bの全てがオフのとき、DC/DCコンバータ11の出力電圧が、入力電圧(
図1に示す例では、24V)の近辺まで上昇する問題がある。DC/DCコンバータ11は常時、定電流を出力するように制御されているため、負荷に流れる電流がゼロに近づくにしたがい出力電圧が上昇する。
【0035】
赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bの全てがオフの状態から、いずれか1つのスイッチがターンオンすると、当該スイッチに接続されたLEDに、24V相当の高電圧が瞬間的に印加されることになる。この高電圧により、LEDの耐圧をオーバすると、LEDに不具合が発生する可能性がある。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の回路構成を示す図である。以下、
図1に示した比較例に係る回路構成に対する追加の回路構成部分を説明する。
図2に示す実施の形態に係る回路構成では、電源供給ラインW1とローサイドラインW2の間に、ダミー負荷15とダミー負荷用スイッチS2が直列にさらに接続される。
【0037】
図2に示す例では、ダミー負荷15は、直列に接続されたダミーダイオード20Dと第4抵抗R4により構成される。ダミーダイオード20Dは、非発光のダイオードである。一般的なシリコンダイオードの順方向降下電圧Vfは、0.6~0.7V程度である。したがってダミーダイオード20Dは、並列に接続されたLEDの順方向降下電圧Vfに近づけるために、複数(例えば2個)のダイオード素子が直列に接続されて構成される。
【0038】
ダミーダイオード20Dのアノード端子に接続される第4抵抗R4は、赤色LED20R、緑色LED20G、青色LED20B、ダミーダイオード20Dに流れる電流を均等にするためのバランス抵抗である。4列の負荷を均等にするために、第4抵抗R4の抵抗値、及び/又は第4抵抗R4を構成する抵抗素子の数を調整する。
【0039】
なお、ダミーダイオード20Dの列は、他の3列と必ずしも同じ負荷に設計する必要はない。DC/DCコンバータ11の出力電圧の上昇を許容できる範囲内において、ダミーダイオード20Dの列の負荷を、他の3列の負荷より小さく設計してもよい。
【0040】
図2に示す例では、ダミー負荷用スイッチS2に、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bと同様に、NチャンネルのMOSFETを使用している。ダミー負荷用スイッチS2のソース端子はローサイドラインW2に接続され、ドレイン端子はダミーダイオード20Dのカソード端子に接続される。ダミー負荷用スイッチS2のゲート端子には、第2制御回路13からオン/オフ信号が入力される。
【0041】
第2制御回路13は、第1制御回路12から出力される赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bをそれぞれオン/オフ制御するための3系統の駆動信号(PWM信号)を監視する。第2制御回路13は、3系統の駆動信号の少なくとも1つがハイレベル(オン信号)のとき、ダミー負荷用スイッチS2のゲート端子にローレベル(オフ信号)を出力する。一方、第2制御回路13は、3系統の駆動信号の全てがローレベル(オフ信号)のとき、ダミー負荷用スイッチS2のゲート端子にハイレベル(オン信号)を出力する。
【0042】
第2制御回路13は例えば、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bをオン/オフ制御する3系統の駆動信号を入力とし、ダミー負荷用スイッチS2をオン/オフ制御するための駆動信号を出力とするNOR回路で構成することができる。
【0043】
図3は、第1制御回路12により制御される赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bと、第2制御回路13により制御されるダミー負荷用スイッチS2のオン/オフ関係をまとめた図である。
【0044】
以上説明したように本実施の形態によれば、DC/DCコンバータ11でPWM調光せずに、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g及び青色用スイッチS1bでPWM調光し、DC/DCコンバータ11は定電流を出力し続ける。これにより、DC/DCコンバータ11の停止と再起動が頻繁に繰り返されることがなくなり、DC/DCコンバータ11の出力ノイズが低減される。可聴ノイズが抑制され、静音性が向上する。
【0045】
また本実施の形態によれば、三原色のLEDを3つのDC/DCコンバータではなく、1つのDC/DCコンバータ11で駆動する。これにより、DC/DCコンバータ11を設置するスペースを省スペース化することができる。したがって、照明装置1を小型化することができる。また、DC/DCコンバータの数を減らすことにより、コストを削減することができる。
【0046】
また本実施の形態によれば、1つのDC/DCコンバータ11から出力される電流を、オンしている経路のLEDで分流する。分流することにより、点灯するLEDの数が1つでも2つでも3つでも同じ消費電力となる。1つのLEDが点灯する場合、回路基板の許容電力の限界まで1つのLEDに電流を流すことができ、LEDの能力を十分に引き出すことができる。
【0047】
これに対して、3つのDC/DCコンバータで三原色のLEDを駆動する場合、回路基板の許容電力に対して、基本的に1/3の電流しか流すことができなかった。3つのDC/DCコンバータがそれぞれ三原色のLEDの点灯状態を把握していれば、1/3以上の電流を流すことができるが、回路構成が複雑化する。これに対して本実施の形態によれば、シンプルな回路構成で、LEDの能力を十分に引き出すことができる。
【0048】
三原色のLEDの演出によっては、三原色のLEDが全てオフになるタイミングが発生することがある。DC/DCコンバータ11の負荷が軽くなると、出力電圧が上昇するとともに、大きなノイズが発生する。これに対して本実施の形態によれば、ダミー負荷15を追加し、三原色のLEDが全てオフになるタイミングで、ダミー負荷15を導通させる。これにより、どのような演出がなされた場合でも、DC/DCコンバータ11にかかる負荷が略一定になり、DC/DCコンバータ11の動作が安定し、ノイズが低減される。なお一般的な演出では、三原色のLEDが全てオフになる期間はごく短く、無駄に消費される電流は軽微である。
【0049】
これに対して三原色のLEDが全てオフになる度に、DC/DCコンバータ11を停止させる場合、大きなノイズが発生する要因となる。またDC/DCコンバータ11に三原色のLEDが全てオフになったことを通知する信号線が必要になり、回路構成が複雑化する。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。本実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
上述の実施の形態では、三原色のLEDを使用する例を説明したが、複数のLEDが並列接続される構成であれば、本発明を適用可能である。例えば、赤色LED、緑色LED、青色LEDに、白色LED及び/又は黄色LEDをさらに並列接続させた構成にも適用可能である。また赤色LEDと緑色LED、白色LEDと橙色LEDといったように、2色のLEDを並列接続させた構成にも適用可能である。また同色の複数のLEDを並列接続させた構成にも適用可能である。同色の複数のLEDであっても、設置位置が離れていれば、複数のLEDによる演出が可能である。
【0052】
また上述の実施の形態では、第1制御回路12と第2制御回路13が別のICチップで構成される例を説明した。この点、第1制御回路12と第2制御回路13が1つのICチップに統合されていてもよい。
【0053】
また上述の実施の形態では、外部から直流電圧が供給される例を説明した。この点、外部から交流電圧が供給される場合、照明装置1内のDC/DCコンバータ11の前段にAC/DCコンバータを設置すればよい。
【0054】
また上述の実施の形態では、赤色用スイッチS1r、緑色用スイッチS1g、青色用スイッチS1b、ダミー負荷用スイッチS2にNチャンネルMOSFETを使用する例を説明した。この点、バイポーラトランジスタやリレー等の他の種類のスイッチを使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 照明装置、 11 DC/DCコンバータ、 12 第1制御回路、 13 第2制御回路、 15 ダミー負荷、 20R 赤色LED、 20G 緑色LED、 20B 青色LED、 20D ダミーダイオード、 S1r 赤色用スイッチ、 S1g 緑色用スイッチ、 S1b 青色用スイッチ、 S2 ダミー負荷用スイッチ、 F1 ヒューズ、 D1,D2 ダイオード、 L1 インダクタ、 C1 コンデンサ、 R1-R5 抵抗、 W1 電源供給ライン、 W2 ローサイドライン。