IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特許-ガス炊飯器 図1
  • 特許-ガス炊飯器 図2
  • 特許-ガス炊飯器 図3
  • 特許-ガス炊飯器 図4
  • 特許-ガス炊飯器 図5
  • 特許-ガス炊飯器 図6
  • 特許-ガス炊飯器 図7
  • 特許-ガス炊飯器 図8
  • 特許-ガス炊飯器 図9
  • 特許-ガス炊飯器 図10
  • 特許-ガス炊飯器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ガス炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A47J27/00 105A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018199780
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020065679
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義生
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-350657(JP,A)
【文献】特開2000-237040(JP,A)
【文献】特開平8-98763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、有底筒状に形成され、底部に設けられた開口部の内側に前記バーナの炎口部を臨ませると共に、前記バーナの上方に内釜を支持し、当該内釜の周囲を取り囲む支持体と、前記バーナ及び前記支持体を内側に収容する筐体とを備え、水と米が投入される前記内釜を前記支持体に支持させ、前記筐体に設けられた蓋を閉じ、前記バーナを燃焼させ、前記バーナの燃焼排気を前記内釜と前記支持体との間の空間に通過させて炊飯を行うガス炊飯器において、
前記筐体は樹脂製であって、
前記バーナを内側に収容する下部筐体と、
前記下部筐体の上方に配置され、前記支持体を内側に収容する上部筐体と
を備え、
前記下部筐体は、
前記支持体の前記底部が固定される第一固定部と、
前記第一固定部とは独立して設けられ、前記上部筐体の下端部が固定される第二固定部と
を備えたことを特徴とするガス炊飯器。
【請求項2】
前記上部筐体の内面における少なくとも一部には、前記上部筐体の内側に向かって突出する突出部が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のガス炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯釜が挿脱自在に挿入される釜装着部を備えたケーシング、および、前記ケーシング内に装着されて、前記釜装着部に装着された前記炊飯釜を加熱するバーナを備えた燃焼式炊飯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。ケーシングは、外枠と下枠からなる筒状の筐体、及び外枠と自己との間における空間のうち上端部分を閉じる状態で外枠の内方側に間隔を隔てて挿入される内胴から構成される。ケーシングは耐熱性の問題から金属製のものが一般的であるが、軽量化やデザインの自由度を高める要請から少なくともケーシングのうち、需要者の視界に入る筐体を樹脂化したいというニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-350657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス炊飯器においては、バーナ燃焼により生じる燃焼排気を、内釜と、その内釜の外側に配置される内筒との間に通過させる構成を採用する。それ故、炊飯時において、内胴は燃焼排気によって高熱になるので、樹脂製の筐体を内胴と接触することなく固定することが必要不可欠となる。ところが、上記の内胴は上端部分において外枠と接触して閉じた状態であるので、外枠を樹脂化するのは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、樹脂製の筐体に対して、炊飯時の熱の影響を最小限に抑制できるガス炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のガス炊飯器は、バーナと、有底筒状に形成され、底部に設けられた開口部の内側に前記バーナの炎口部を臨ませると共に、前記バーナの上方に内釜を支持し、当該内釜の周囲を取り囲む支持体と、前記バーナ及び前記支持体を内側に収容する筐体とを備え、水と米が投入される前記内釜を前記支持体に支持させ、前記筐体に設けられた蓋を閉じ、前記バーナを燃焼させ、前記バーナの燃焼排気を前記内釜と前記支持体との間の空間に通過させて炊飯を行うガス炊飯器において、前記筐体は樹脂製であって、前記バーナを内側に収容する下部筐体と、前記下部筐体の上方に配置され、前記支持体を内側に収容する上部筐体とを備え、前記下部筐体は、前記支持体の前記底部が固定される第一固定部と、前記第一固定部とは独立して設けられ、前記上部筐体の下端部が固定される第二固定部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のガス炊飯器の前記上部筐体の内面における少なくとも一部には、前記上部筐体の内側に向かって突出する突出部が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のガス炊飯器によれば、下部筐体に対し、支持体と上部筐体が独立に固定されているので、炊飯時に加熱される支持体と非接触の状態で、上部筐体を支持体の周囲に配置できる。これにより、支持体から上部筐体へ直接伝熱されるのを防止できるので、樹脂製の筐体を備えるガス炊飯器において、炊飯時の熱による影響を最小限に抑制できる。
【0009】
請求項2のガス炊飯器によれば、仮に輸送時において落下等の衝撃が加わったり、経年変化が生じたりしたとしても、上部筐体と支持体との接触を最小限とし、上部筐体に伝熱されて溶解するのを効率的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ガス炊飯器1の斜視図である。
図2】ガス炊飯器1の正面図である。
図3】ガス炊飯器1の右側面図である。
図4】蓋体3を開いた状態のガス炊飯器1の斜視図である。
図5図2に示すI-I線矢視方向断面図である。
図6図3に示すII-II線矢視方向断面図である。
図7】上部筐体8の分解斜視図である。
図8】上部筐体8の図3に示すII-II線矢視方向断面図である。
図9】下部筐体7、リング状板材50、外側遮熱筒60、内側遮熱筒70、支持筒80の分解斜視図である。
図10図5に示すW1領域の部分拡大図である。
図11図6に示すW2領域の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造等は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0012】
図1図9を参照し、ガス炊飯器1の外観構造を説明する。図1図3に示すように、ガス炊飯器1は、筐体2と蓋体3を備える。筐体2は上向きに開口する有底略筒状に形成される。筐体2は下部筐体7と上部筐体8を備え、何れも樹脂成型品である。
【0013】
下部筐体7は有底略筒状に形成され、前面には操作パネル175が設けられる。下部筐体7の内側略中央部には、バーナ10(図5参照)が収納される。下部筐体7の右側面の後側部には、貫通孔16が設けられる。貫通孔16からガス供給管19が後方に突出する。ガス供給管19には、図示外のガスホースが接続される。下部筐体7の底部には、複数の脚部177が設けられる。
【0014】
上部筐体8は上下方向に延びる略筒状に形成され、下部筐体7の上部に同軸上に取り付けられる。上部筐体8の内側には内釜9(図5参照)が収容され、バーナ10の直上に支持される。内釜9には米と水が収容される。上部筐体8の右側部及び左側部の夫々の上端部には、側面視矩形状の切欠部125が設けられる。切欠部125の内側には、後述する支持筒80の鍔部82の外周面部84の一部が配置され、外方に露出される。右側方に露出する部分には、一対の排気口841が配置され、左側方に露出する部分には、一対の排気口842(図2参照)が設けられる。これら排気口841,842からは、バーナ10からの燃焼排気が外部に向けて排出される。上部筐体8の左右両側部の上部には、略半円弧状のハンドル5が回動可能に軸支される。
【0015】
蓋体3は平面視略円形状に形成され、その外殻部分は樹脂で形成される。蓋体3は後部に後方突出部301、前部に前方突出部302を備える。後方突出部301は、蓋体3の後部から後方に突出する平面視略矩形状に形成され、上部筐体8の上部の後端部に回動可能に軸支される。これにより、蓋体3は、上部筐体8の開口する上部を開閉できる(図1図4参照)。前方突出部302は、蓋体3の前部から前方に突出する平面視略矩形状に形成される。前方突出部302の左右方向の略中央部には、係合部303が設けられる。係合部303は、上部筐体8の前側上部に設けられた後述する突起112(図4参照)に係合する。係合部303を押下すると、突起112に対する係止が解除され、後述するバネ308によって蓋体3が上方に押し上げられる。蓋体3の下面には、内蓋6(図4参照)が取り付けられる。上部筐体8に対して蓋体3が閉じられたとき、内蓋6は、内釜9の開口する上部を密閉できる。
【0016】
図1図4を参照し、下部筐体7の外部構造を具体的に説明する。下部筐体7の右側壁及び左側壁は、夫々、湾曲部171、前側突出部172、後側突出部173を備える。湾曲部171は、右側壁及び左側壁の前後方向中央部に夫々形成され、外方に向けて緩やかに略円弧状に湾曲する。前側突出部172は、湾曲部171の前端部から前方に直線状に延びる。後側突出部173は湾曲部171の後端部から後方に直線状に延びる。下部筐体7の後壁は、右側壁と左側壁の夫々の後端部の間に接続される。下部筐体7の前側には、略矩形状の開口部174が形成される。開口部174には、操作パネル175が取り付けられる。操作パネル175は、前方に対して上部から下部にかけて下り傾斜する。これにより、操作パネル175の視認性及び操作性を向上できる。
【0017】
貫通孔16は、下部筐体7の右側面における湾曲部171の後方部に設け、後方に向けて略円形状に開口する。ガス供給管19は、下部筐体7の内側から貫通孔16を介して後方に向かって略直線状に突出する。これにより、図3に示すように、筐体2を右方から見た場合、貫通孔16から後方に突出するガス供給管19は、下部筐体7のうち後方に突出する後側突出部173とオーバーラップする。また、図2に示すように、筐体2を正面視で見た場合、ガス供給管19は、下部筐体7の湾曲部171によって隠れて見えない。これにより、ガス炊飯器1は、ガス供給管19を目立たなくできると共に、ガス供給管19に障害物が引っ掛かり難くできる。
【0018】
図7図8を参照し、上部筐体8の構造を具体的に説明する。図7に示すように、上部筐体8は、前側板材11、右側板材12、左側板材13、後側板材14の4枚の樹脂成型品を互いに組み付けることによって、上下方向に延びる略筒状に構成される。上部筐体8は樹脂成型品で構成されるので、金属製の筐体に比べて軽量化を図ることができる。
【0019】
前側板材11は、正面視縦長略矩形状に形成される。前側板材11の上端部には、後方に略水平に突出する上面部111が設けられる。上面部111の後端部は、後述する支持筒80の外周面形状に対応して、前方に略円弧状に湾曲する。上面部111の上面の略中央部には、上方に突出する突起112が設けられる。突起112には、蓋体3の係合部303が上方から係止する。上面部111の下面における右端部と左端部には、一対の嵌入部113が設けられる(図8参照)。各嵌入部113は下方に突出する。上面部111の下面には、一対の当接部115が設けられる。一対の当接部115は側面視略L字状であり、互いに左右に離間する。前側板材11の後面における右下部と左下部には、一対の嵌入部114が設けられる。各嵌入部114は下方に突出する。前側板材11の後面の右上部には、突条部31が設けられ、その下方には突条部32が設けられる。突条部31,32は、上下方向に延びる直線状に形成される。前側板材11の後面の左上部には、突条部33が設けられ、その下方には突条部34が設けられる。突条部33,34も、上下方向に延びる直線状に形成される。
【0020】
後側板材14は、前側板材11と前後略対称形状である。後側板材14は、背面視縦長略矩形状に形成される。後側板材14の上端部には、前方に略水平に突出する上面部141が設けられる。上面部141の前端部は、後述する支持筒80の外周面形状に対応して、後方に略円弧状に湾曲する。上面部141の上面には、回動軸支部142が設けられる。回動軸支部142は左右方向に延びる断面略半割筒状に形成され、その内側には、回動軸307(図5参照)が取り付けられる。その回動軸307に対して、蓋体3の後方突出部301が回動可能に軸支される。回動軸307の周囲を取り囲むようにして、バネ308(図5参照)が設けられる。バネ308は、蓋体3を上方に押し上げるように常時付勢する。
【0021】
上面部141の下面における右端部と左端部には、一対の嵌入部143が設けられる。各嵌入部143は下方に突出する。上面部141の下面には、一対の当接部145が設けられる。一対の当接部145は側面視略L字状であり、互いに左右に離間する。後側板材14の前面における右下部と左下部には、一対の嵌入部144が設けられる。各嵌入部144は下方に突出する。後側板材14の前面の右上部には、突条部35が設けられ、その下方には突条部36が設けられる。突条部35,36は、上下方向に延びる直線状に形成される。後側板材14の前面の左上部には、突条部37が設けられ、その下方には突条部38が設けられる。突条部37,38は、上下方向に延びる直線状に形成される。
【0022】
後側板材14の後面の上部には、ハンドル係止部101(図3参照)が設けられる。ハンドル係止部101は後方に略水平に突出する板状部である。ハンドル係止部101の上面には、後方に回動したハンドル5を載置可能である。これにより、後方に回動したハンドル5は後側板材14の後面に接触せず、略水平に支持された状態となるので、使用者はハンドル5を容易に掴むことができる。
【0023】
右側板材12は、右側面視前後方向に長い略矩形状に形成される。右側板材12は、湾曲部121、前側平面部122、後側平面部123を備える。湾曲部121は右側板材12の前後方向中央部に形成され、平面視右側方に向けて緩やかに略円弧状に湾曲する。前側平面部122は、湾曲部121の前端部から前方に略直線状に延びる。後側平面部123は、湾曲部121の後端部から後方に略直線状に延びる。湾曲部121、前側平面部122、後側平面部123の各形状は、下部筐体7の湾曲部171、前側突出部172、後側突出部173の各形状に夫々対応する。
【0024】
湾曲部121の上端部は、前側平面部122と後側平面部123の夫々の上端部の高さよりも低い。それ故、湾曲部121の上端部、前側平面部122の上部の後端部、後側平面部123の上部の前端部によって、切欠部125が形成される。切欠部125は、右側面視上方に開口する略コの字状に形成される。湾曲部121の上端部には、径方向内側に突出するリブ128が設けられる。湾曲部121の内面の下部には、前後方向に離間する位置に一対の固定部129が設けられる。固定部129は内側に略水平に突出し、その中央部には上下方向に貫通する孔(図示略)が設けられる。湾曲部121の下端部には、該下端部に沿うようにして差込片127が設けられる。差込片127は下方に向けて突出する。湾曲部121の上端部近傍で且つ前後方向略中央部には、ハンドル用孔部17が設けられる。ハンドル用孔部17には、ハンドル5の一端部が回動可能に軸支される。
【0025】
前側平面部122の内面(左方に向く面)には、該内面の前端側に沿うようにして、前側係合部21が設けられる。前側係合部21は左方にリブ状に突出する基部を有し、その基部の上部と下部に一対の鉤状部211,212を備える。鉤状部211,212は、前側係合部21の基部から左方に更に突出し、その突出する先端側が上方向に屈曲する背面視略L字状に形成される。それ故、鉤状部211,212の内側には、上方から下方に延びる溝部が形成される。
【0026】
前側平面部122の内面の前下部には、左方に突出する被嵌入部251と固定部271が設けられる。被嵌入部251は、左方に略水平に突出する板状部を備え、その中央には上下方向に貫通する孔(図示略)を備える。固定部271は、被嵌入部251の後方に隣接するように設けられる。固定部271は、前側平面部122の内面から左方に略水平に延びる板状部を備え、その先端側には上下方向に貫通する孔(図示略)を備える。前側平面部122の内面の上部で、且つ前側係合部21よりも後方には、被嵌入部261(図8参照)が設けられる。被嵌入部261は、左方に略水平に突出する板状部を備え、その中央には上下方向に貫通する孔(図示略)を備える。
【0027】
なお、詳述しないが、後側平面部123の内面にも、前側平面部122の各部位と前後対称形状の後側係合部22、被嵌入部252、固定部272、被嵌入部262が夫々設けられる(図7参照)。後側係合部22には、一対の鉤状部221,222が設けられる。
【0028】
左側板材13は、右側板材12と略左右対称形状であるので、簡単に説明する。左側板材13も、右側板材12と同様に、湾曲部131、前側平面部132、後側平面部133を備える。湾曲部131の上端部、前側平面部132の上部の後端部、後側平面部133の上部の前端部によって、切欠部135(図2参照)が形成される。湾曲部131の上端部には、径方向内側に突出するリブ138が設けられる。湾曲部131の内面の下部には、前後方向に離間する位置に一対の固定部139が設けられる。固定部139は内側に略水平に突出し、その中央部には上下方向に貫通する孔(図示略)が設けられる。湾曲部131の下端部には、該下端部に沿うようにして差込片137が設けられる。湾曲部131の上端部近傍で且つ前後方向略中央部には、ハンドル用孔部18が設けられる。ハンドル用孔部18には、ハンドル5の他端部が回動可能に軸支される。
【0029】
前側平面部132の内面(右方に向く面)には、該内面の前端側に沿うようにして、前側係合部23が設けられる。前側係合部23は右方にリブ状に突出する基部を有し、その基部の上部と下部に一対の鉤状部231,232を備える。鉤状部231,232は、前側係合部23の基部から右方に更に突出し、その突出する先端側が上方向に屈曲する背面視略L字状に形成される。それ故、鉤状部231,232の内側には、上方から下方に延びる溝部が形成される。
【0030】
前側平面部132の内面の前端側下部には、左方に突出する被嵌入部253と固定部273が設けられる。被嵌入部253は、右方に略水平に突出する板状部を備え、その中央には上下方向に貫通する孔(図示略)を備える。固定部273は、被嵌入部253の後方に隣接するように設けられる。固定部273は、前側平面部132の内面から右方に略水平に延びる板状部を備え、その先端側には上下方向に貫通する孔273Aを備える。前側平面部122の内面の上部で、且つ前側係合部23よりも後方には、被嵌入部263が設けられる。被嵌入部263は、右方に略水平に突出する板状部を備え、その中央には上下方向に貫通する孔(図示略)を備える。
【0031】
なお、詳述しないが、後側平面部133の内面にも、前側平面部132の各部位と前後対称形状の後側係合部24、被嵌入部254、固定部274、被嵌入部264が設けられる(図7参照)。後側係合部24には、一対の鉤状部241,242が設けられる。固定部274には、孔274Aが設けられる。
【0032】
図7図8を参照し、前側板材11、右側板材12、左側板材13、後側板材14の組み付け方法の一例を説明する。作業者は、先ず、右側板材12と左側板材13を左右両側に立てて、互いに対向するように配置する。前側板材11と右側板材12を連結する為に、右側板材12の前側平面部122に設けた前側係合部21の鉤状部211,212の夫々の溝部に対し、前側板材11の後面右側の突条部31,32(図8参照)を上方から下方に差し込んで嵌入させる。このとき、前側板材11の上面部111の下面の右端部に設けた嵌入部113を、右側板材12の前側平面部122の内面上部に設けた被嵌入部261の孔に上方から嵌入させる。さらに、前側板材11の後面の右下部に設けた嵌入部114を、右側板材12の前側平面部122の内面下部に設けた被嵌入部251の孔に上方から嵌入させる。これにより、前側板材11と右側板材12が互いに強固に連結する。
【0033】
さらに、前側板材11と左側板材13を連結する為に、左側板材13の前側平面部132に設けた前側係合部23の鉤状部231,232の夫々の溝部に対し、前側板材11の後面左側の突条部33,34(図8参照)を上方から下方に差し込んで嵌入させる。このとき、前側板材11の上面部111の下面の左端部に設けた嵌入部113を、左側板材13の前側平面部132の内面上部に設けた被嵌入部263の孔に上方から嵌入させる。さらに、前側板材11の後面の左下部に設けた嵌入部114を、左側板材13の前側平面部132の内面下部に設けた被嵌入部253の孔に上方から嵌入させる。これにより、前側板材11と左側板材13が互いに強固に連結する。
【0034】
さらに、後側板材14と右側板材12を連結する為に、右側板材12の後側平面部123に設けた後側係合部22の鉤状部221,222の夫々の溝部に対し、後側板材14の前面右側の突条部35,36を上方から下方に差し込んで嵌入させる。このとき、後側板材14の上面部141の下面の右端部に設けた嵌入部143を、右側板材12の後側平面部123の内面上部に設けた被嵌入部262の孔に上方から嵌入させる。さらに、後側板材14の前面の右下部に設けた嵌入部144を、右側板材12の後側平面部123の内面下部に設けた被嵌入部252の孔に上方から嵌入させる。これにより、後側板材14と右側板材12が互いに強固に連結する。
【0035】
さらに、後側板材14と左側板材13を連結する為に、左側板材13の後側平面部133に設けた後側係合部24の鉤状部241,242の夫々の溝部に対し、後側板材14の前面左側の突条部37,38を上方から下方に差し込んで嵌入させる。このとき、後側板材14の上面部141の下面の左端部に設けた嵌入部143を、左側板材13の後側平面部133の内面上部に設けた被嵌入部264の孔に上方から嵌入させる。さらに、後側板材14の前面の左下部に設けた嵌入部144を、左側板材13の後側平面部133の内面下部に設けた被嵌入部254の孔に上方から嵌入させる。これにより、後側板材14と左側板材13が互いに強固に連結する。
【0036】
このようにして、前側板材11、右側板材12、左側板材13、後側板材14が互いに強固に連結されることによって、上部筐体8が構成される。上記の通り、右側板材12の前側係合部21の鉤状部211,212、及び左側板材13の前側係合部23の鉤状部231,232に対し、前側板材11の右側の突条部31,32、及び左側の突条部33,34を上方から同時に差し込むことができる。さらに、右側板材12の後側係合部22の鉤状部221,222、及び左側板材13の後側係合部24の鉤状部241,242に対し、後側板材14の右側の突条部35,36、及び左側の突条部37,38を上方から同時に差し込むことができる。これにより、上部筐体8の組み付けを容易にできる。
【0037】
図9を参照し、下部筐体7の内部構造を具体的に説明する。上記の通り、下部筐体7は、上部が開口する有底略筒状に形成される。下部筐体7の内部には、支持台41、バーナ10、ガス量調節装置40、温度センサ42、イグナイタ電極44、熱電対45、四本の第一固定筒部47、四本の係止突起48(図9では二本のみ図示)、三本の第二固定筒部49(図9では一本のみ図示)、リング状板材50等が設けられる。
【0038】
支持台41は金属製で、且つ略水平面を有する板状に形成され、下部筐体7の底部上面から上方に離間した位置に支持される。ガス量調節装置40は、支持台41の下側に固定される。ガス量調節装置40には、ガス供給管19が図示外のガス管を介して接続される。支持台41には、操作パネル175による操作に基づき、ガス炊飯器1の動作を制御する制御装置(図示略)が固定される。ガス量調節装置40は、制御装置からの制御信号に基づき、バーナ10に供給するガス量を調節する。
【0039】
バーナ10は、上部にリング状のバーナヘッド10Aを有し、支持台41の略中央部に設けた開口部(図示略)に対し、上下方向に挿通するように固定される。温度センサ42は、バーナヘッド10Aの内側において上下方向に出退可能に支持される。温度センサ42は、図示外のバネにより上方に常時付勢され、内釜9の釜底に当接可能である。温度センサ42はその周囲を円筒状のカバー42Aにより囲まれている。イグナイタ電極44及び熱電対45は、支持台41に固定され、バーナヘッド10Aの近傍に支持される。イグナイタ電極44は、制御装置からの制御信号に従い、スパーク放電を発生することで、バーナ10を点火させる。熱電対45は、バーナ10の失火を検出し、検出信号を制御装置に出力する。
【0040】
四本の第一固定筒部47は、下部筐体7の右側壁の湾曲部171の前端部近傍の一箇所、左側壁の湾曲部171の前端部近傍の一箇所、後壁の左右両端部近傍の二箇所に夫々立設される。四本の第一固定筒部47は、下部筐体7と一体成型される。第一固定筒部47は、下部筐体7の底部上面から上方向に突出する略筒状に形成され、その上部内側には固定孔(図示略)が形成される。四本の第一固定筒部47の各位置は、上部筐体8の右側板材12の固定部271,272、左側板材13の固定部273,274の各位置に対応する。上部筐体8の右側板材12の固定部271,272、及び左側板材13の固定部273,274は、対応する四本の第一固定筒部47に対し、図示外のネジで固定される。
【0041】
四本の係止突起48のうち二本の係止突起48は、下部筐体7の右側に位置する二本の第一固定筒部47の間であって、下部筐体7の右側壁の内面近傍に立設される。残りの二本の係止突起48は、下部筐体7の左側に位置する二本の第一固定筒部47の間であって、下部筐体7の左側壁の内面近傍に立設される。これら四本の係止突起48は、下部筐体7と一体成型される。係止突起48は、下部筐体7の底部上面から上方向に突出する略柱状に形成され、右側壁又は左側壁の夫々の内面の上端部との間には隙間が形成される。
【0042】
三本の第二固定筒部49は、下部筐体7の底部において、バーナ10を中心とする円の周方向において等間隔に設けられ、下部筐体7と一体成型される。第二固定筒部49は、下部筐体7の底部上面から上方向に突出する略筒状に形成され、その上部内側には固定孔(図示略)が形成される。第二固定筒部49の高さは、第一固定筒部47の高さよりも低い。
【0043】
リング状板材50は金属製で、且つ平面視略リング状に形成され、支持台41の上方に支持された状態で、下部筐体7に固定される。リング状板材50の中央部には、上下方向に貫通する円形状の開口部52が設けられる。開口部52の内側には、バーナ10のバーナヘッド10Aが挿入して配置される(図5図6参照)。リング状板材50の上面の外周縁部には、外側係止部53が設けられる。外側係止部53は、リング状板材50の外周縁部に沿って形成され、上方にリブ状に突出する。開口部52の内縁部には、内側係止部54が設けられる。内側係止部54は、開口部52の内縁部に沿って形成され、上方にリブ状に突出する。
【0044】
リング状板材50の外周縁部において互いに等間隔で離間する三箇所には、凹状に切り欠いた三つの凹部501が設けられ。これら三つの凹部501には、略L字状の固定片55(図9では一本のみ図示)が夫々設けられる。固定片55は、凹部501から下方に垂下し、下端部が外方に屈曲する。固定片55の外方に屈曲する下端部には、上下方向に貫通する孔55Aが形成される。これら三本の固定片55の各孔55Aは、下部筐体7の底部に設けられた三本の第二固定筒部49の各位置に対応し、ネジで固定される(図5参照)。これにより、三本の固定片55は、三本の第二固定筒部49上に固定されるので、リング状板材50は、下部筐体7の底部に固定される。
【0045】
リング状板材50には、周方向において互いに等間隔で離間する三箇所には、上下方向に貫通する三つの固定孔56が設けられる。これら三つの固定孔56には、支持筒80がネジで固定される。さらに、リング状板材50の外周縁部近傍で且つ互いに周方向にずれた位置には、二つの係止孔57が設けられる。二つの係止孔57は、周方向に長いスリット状に形成される。さらに、リング状板材50の上面には、リング状の温熱ヒータ58が、内側係止部54の外面に沿うように配置して取り付けられる。
【0046】
図9を参照し、上部筐体8の内部構造を説明する。上部筐体8の内側には、外側遮熱筒60、内側遮熱筒70、支持筒80等が同軸上に収納される。
【0047】
外側遮熱筒60は金属製で、且つ上下方向に延びる略筒状に形成される。外側遮熱筒60は、リング状板材50の外周縁部に対応する大きさを有する。外側遮熱筒60は、リング状板材50の上面に載置される。
【0048】
内側遮熱筒70も金属製で、且つ外側遮熱筒60よりも小径の略筒状に形成される。内側遮熱筒70は、外側遮熱筒60の内側に同軸上に挿入される。内側遮熱筒70の上端部において、互いに対向する前側部と後側部には、一対の突出部71が設けられる。一対の突出部71は、上方に向けて略矩形状に各々突出する。一対の突出部71の間には、一対の凹部72が設けられる。一対の凹部72は、上部筐体8の切欠部125,135の夫々に対向配置される。内側遮熱筒70の下端部には、二つの係止突起75が互いに離間する位置に設けられる。係止突起75は下端部から下方に略矩形状に突出する。二つの係止突起75の位置は、リング状板材50に設けられた二つの係止孔57の位置に対応する。
内側遮熱筒70も、リング状板材50の上面に載置される。
【0049】
支持筒80も金属製で、且つ上下方向に延びる鍔付略円筒状に形成される。支持筒80は、筒部81、鍔部82、底板89を備える。筒部81は、内側遮熱筒70よりも小径の略筒状に形成される。筒部81の開口する下端部には、径方向内側に突出する突出部(図示略)が設けられる。突出部には、周方向における等間隔の位置に三つの固定孔(図示略)が設けられる。これら三つの固定孔は、リング状板材50の三つの固定孔56の各位置に対応する。
【0050】
鍔部82は、筒部81の上端部に設けられ、径方向外側に向けて略フランジ状に突出する。鍔部82は、上面部83、外周面部84、下面部85を備える。上面部83は、筒部81の上端部から径方向外側に突出し、平面視略リング状に形成される。外周面部84は、上面部83の外周部から垂下し、鍔部82の外周面を形成する。外周面部84において、互いに対向する前側部と後側部には、下部から上方に向けて略矩形状に切り欠いた一対の凹部86(図9では前側部の凹部86のみ図示)が夫々設けられる。これにより、外周面部84は、右側部84Aと左側部84Bに分断される。右側部84Aには、一対の排気口841が周方向に並んで設けられる。左側部84Bには、一対の排気口842(図2参照)が周方向に並んで設けられる。排気口841,842は該周方向に長いスリット状に形成される。排気口841,842は、鍔部82の内部と連通する。下面部85は外周面部84の下端部から径方向内側に突出する(図11参照)。
【0051】
筒部81の上部における左側部と右側部には、径方向に貫通し、周方向に長い左右一対の流出口87(図9では左側部の流出口87のみ図示)が設けられる。左右一対の流出口87の各位置は、外周面部84の右側部84Aと左側部84Bの各位置に対応する。筒部81の上部の外周面における流出口87の下縁部近傍には、閉塞板88がリベットで固定される。閉塞板88は、断面略逆L字状に形成され、径方向外側に突出する部分が鍔部82の内側で、且つ下面部85の直上に配置される(図11参照)。
【0052】
鍔部82の上面部83には、受け部831と一対の逃がし部832が設けられる。受け部831は、平面視略リング状の上面部83の周方向に沿って断面凹状に形成され、炊飯工程により生じる水滴を受けることができる。一対の逃がし部832は、上面部83の右側部と左側部の夫々の周方向の中央部に設けられ、上面部83のリブ状に突出する外周部を略矩形状に切り欠いて形成される。一対の逃がし部832は、受け部831と接続する。逃がし部832は、受け部831に溜まった水滴を右側部84A及び左側部84Bの外周面部84側に誘導できる。
【0053】
底板89は平面視略リング状の金属板であって、筒部81の開口する底部に内側から固定される。底板89の中央部には、上下方向に貫通する挿通孔891が設けられる。挿通孔891には、バーナ10のバーナヘッド10Aが下側から挿入される。底板89の上面には、挿通孔891の周囲を取り囲むようにして平面視略リング状の隆起部892が設けられる。隆起部892は、プレス加工等により上方に山成りに隆起するように形成される。隆起部892は、リング状板材50の上面に取り付けられた温熱ヒータ58の位置に対応し、温熱ヒータ58を内側に収容する。底板89には、三つの固定孔893が周方向において互いに等間隔の位置に設けられる。三つの固定孔893は、リング状板材50に設けられた三つの固定孔56、筒部81の下端部の突出部に設けられた三つの固定孔の夫々の位置に対応する。底板89は、筒部81の突出部にネジで固定される。
【0054】
図9図10を参照し、外側遮熱筒60、内側遮熱筒70、支持筒80の支持構造を説明する。外側遮熱筒60は、下部筐体7に固定されたリング状板材50の上面に設置される。外側遮熱筒60の外周面の下部に対して、外側係止部53の内縁部が接触する(図10参照)。これにより、外側遮熱筒60は、リング状板材50の上面に位置決めされ、径方向にずれるのを防止できる。内側遮熱筒70は、外側遮熱筒60の内側に挿入配置されると共に、リング状板材50の上面に設置される。内側遮熱筒70の下端部に設けられた二つの係止突起75は、リング状板材50の二つの係止孔57に夫々係止される。これにより、内側遮熱筒70もリング状板材50の上面に位置決めされ、径方向にずれるのを防止できる(図10参照)。外側遮熱筒60の内面と内側遮熱筒70の外面の間には、所定の隙間が形成される。所定の隙間は、空気の断熱層として機能する。
【0055】
支持筒80は、内側遮熱筒70の内側に挿入配置される共に、リング状板材50の上面に配置される。リング状板材50に設けられた三つの固定孔56に対して、支持筒80の底板89に設けられた三つの固定孔893、支持筒80の突出部に設けられた三つの固定孔(図示略)が位置決めされ、底板89の上方からネジ(図示略)が締結される。これにより、支持筒80は、底板89を介してリング状板材50の上面に固定される。底板89の挿通孔851の内側には、バーナヘッド10A、温度センサ42、イグナイタ電極44、熱電対45が挿入配置される(図6参照)。温熱ヒータ58は、底板89の隆起部892の内側に収容される。これにより、温熱ヒータ58は、底板89を介して、支持筒80の内側に支持される内釜9を保温できる。
【0056】
支持筒80は、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70によって周囲を取り囲まれる(図10参照)。内側遮熱筒70の上端部に設けられた一対の突出部71は、支持筒80の鍔部82の外周面部84に設けられた前後一対の凹部86の内側に配置される(図9参照)。これにより、支持筒80からの輻射熱が、上部筐体8の前側板材11及び後側板材14の夫々の上部に直接伝熱するのを防止できる。そして、内側遮熱筒70の上端部に設けられた左右一対の凹部72は、鍔部82の外周面部84の右側部84Aと左側部84Bの直下に夫々配置される。これにより、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70は、支持筒80の鍔部82によって上方向への移動が規制される。
【0057】
なお、ガス炊飯器1では、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70を、温熱ヒータ58を支持する為のリング状板材50に支持させるので、これら外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70を支持する為に別途部品を設ける必要が無いので、コスト的にも有利である。
【0058】
図5図6に示すように、内釜9は、支持筒80の内側に上方から挿入される。内釜9の上部のフランジ部9Aは、支持筒80の鍔部82の上面部83に当接する。これにより、内釜9は、支持筒80の内側に吊り下げられ、バーナ10の上方に位置決めされる。
【0059】
図6図7図9を参照し、下部筐体7に対する上部筐体8の固定構造を説明する。上記の通り、上部筐体8は、前側板材11、右側板材12、左側板材13、後側板材14が互いに連結され、略筒状に構成される。上部筐体8のうち、右側板材12の内面下部の後側に設けられた固定部272(図7参照)、前後一対の固定部129のうち前側の固定部129、左側板材13の内面下部の後側に設けられた固定部274(図7参照)、前後一対の固定部139のうち前側の固定部139は、下部筐体7の底面に設けられた四本の第一固定筒部47(図9参照)に位置決めされ、ネジで固定される。
【0060】
さらに、右側板材12の下端部に設けられた差込片127(図7参照)は、下部筐体7の底面右側に位置する二本の係止突起48(図9参照)と、下部筐体7の右側壁の内面との間の隙間に対し、上方から差し込まれて圧入される(図6参照)。一方、左側板材13の下端部に設けられた差込片137(図7参照)は、下部筐体7の底面左側に位置する二本の係止突起48(図9参照)と、下部筐体7の左側壁の内面との間の隙間に対し、上方から差し込まれて圧入される(図6参照)。これにより、上部筐体8は、外側遮熱筒60、内側遮熱筒70、支持筒80の周囲を取り囲んだ状態で、その下端部が下部筐体7に対して固定される。
【0061】
このように、本実施形態では、下部筐体7に対して、上部筐体8と、支持筒80とが夫々独立して固定されている。これにより、炊飯時に加熱される支持筒80と非接触の状態で、上部筐体8を支持筒80の周囲に配置できるので、上部筐体8の樹脂化を可能にできる。
【0062】
なお、本実施形態では、右側板材12と左側板材13は互いに共通部品である。これにより、右側板材12の前後一対の固定部271,272のうち、第一固定筒部47に対応する方をネジで固定すればよい。また、前後一対の固定部129においても同様に、第一固定筒部47に対応する方をネジで固定すればよい。左側板材13においても同様である。
【0063】
図6図11を参照し、ガス炊飯器1における燃焼排気の流れと、冷却空気の流れを説明する。図6に示すように、バーナ10の燃焼排気は、内釜9の外周面と支持筒80の内周面と間の隙間を上方に流れる。燃焼排気は、支持筒80の鍔部82の内側に流入する。ここで、図1図2図11に示すように、鍔部82の外周面部84の右側部84A及び左側部84Bは、上部筐体8の右側面及び左側面の夫々の上端部に設けられた左右一対の切欠部125の内側に配置され、外方に露出される。これにより、図11に示すように、燃焼排気は、鍔部82内部を外方に沿って流れ、外周面部84の右側部84Aに設けられた一対の排気口841、及び左側部84Bに設けられた一対の排気口842を介して外部に排出される(図11中実線の矢印P1参照)。従って、燃焼排気の熱気が、樹脂製の上部筐体8に直接触れるのを防止できるので、上部筐体8の変色等の可能性を軽減できる。
【0064】
一方、ガス炊飯器1の内部において、支持筒80と上部筐体8の間には、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70が配置される。バーナ10による加熱に伴うドラフト力により、外側遮熱筒60と上部筐体8の隙間に、下側から上側に向けて冷却空気が流れる(図11中二点鎖線の矢印P2参照)。冷却空気は上方に流れると、支持筒80の鍔部82の下側に配置された下面部85に接触し、外方向に編流される。ここで、上部筐体8の左右一対の切欠部125,135において、鍔部82の下面部85と切欠部125,135の間には、隙間90が形成される。これにより、外方向に編流された冷却空気は、排気口841,842の下側に位置する隙間90を介して外部に排出される。よって、排気口841,842から排出される燃焼排気が、上部筐体8に直接接触するのを防止できる。また、燃焼排気の排出方向(P1)と、冷却空気の排出方向(P2)は同一方向である。これにより、冷却空気の流れがエアカーテンとなることから、燃焼排気は、切欠部125,135に対してより当たり難くなっている。これにより、排気口841,842を通過する燃焼排気の熱によって、上部筐体8の切欠部125,135が高熱になるのをより効果的に防止できる。よって、上部筐体8の変色等の可能性をより効果的に軽減できる。
【0065】
また、図1図2に示すように、支持筒80の鍔部82の右側部84A及び左側部84Bの夫々の外周面部84の形状は、上部筐体8の切欠部125,135が設けられた外側面の形状と同一である。これにより、ガス炊飯器1は、上部筐体8の外側面における切欠部125,135の周囲の美観を向上できる。
【0066】
図5図6に示すように、ガス炊飯器1の内部では、外側遮熱筒60と内側遮熱筒70が互いに隙間を隔てた状態で、支持筒80の外側に配置される。これにより、支持筒80から上部筐体8への伝熱が効果的に遮断される。これにより、上部筐体8の樹脂化を可能にできる。
【0067】
また、本実施形態では、リング状板材50の上面に、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70を載置して位置決めし、支持筒80の鍔部82がこれら外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70の上側に位置するように、支持筒80を内側遮熱筒70の内側に上側から差し込んで、リング状板材50の上面に固定する。そして、上記の通り、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70は、リング状板材50により径方向へのずれが規制され、支持筒80の鍔部82により上方向の移動が規制される。これにより、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70は、加締め、ネジ止め等の工程を経ずとも、外側遮熱筒60及び内側遮熱筒70をリング状板材50の上面に支持できる。これにより、ガス炊飯器1の組み立て工程を簡素化できる。
【0068】
また、上部筐体8の前側板材11の上面部111の下面には、一対の当接部115(図8参照)が設けられ、後側板材14の上面部141の下面にも、一対の当接部145(図7参照)が設けられる。さらに、右側板材12の湾曲部121の上端部にはリブ128が設けられ、左側板材13の湾曲部131の上端部にはリブ138が設けられる。これら一対の当接部115、一対の当接部145、リブ128,138は、出荷時、支持筒80とは接触していない。これらにより、仮にガス炊飯器1に落下等の衝撃が加わったり、経年変化が生じたとしても、上部筐体8は、一対の当接部115、一対の当接部145、リブ128,138を介して、支持筒80と接触する。そして、略L字状の当接部115,145においては、上部筐体8の内側に向かって突出する先端部のみが支持筒80と接触する。従って、上部筐体8と支持筒80の接触を最小限にできるので、支持筒80から上部筐体8に伝熱するのを効果的に防止できる。
【0069】
また、炊飯工程時に発生する水滴は、支持筒80の鍔部82の上面部83に設けられた受け部831に溜まる(図9図11参照)。受け部831に溜まった水滴は、一対の逃がし部832によって鍔部82の外周面部84側に向けて誘導される。上記の通り、右側部84A及び左側部84Bの外周面部84側は、燃焼排気及び冷却空気が外部に排出される箇所であるから、バーナ10におけるガス燃焼に対して影響の少ない箇所である。これにより、ガス炊飯器1は、受け部831に溜まった水滴を、一対の逃がし部832によってバーナ10におけるガス燃焼等に影響の少ない外周面部84側に誘導できる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態のガス炊飯器1は、バーナ10と、有底筒状に形成され、底板89に設けられた挿通孔891の内側にバーナヘッド10Aの炎口部を臨ませると共に、バーナ10の上方に内釜9を支持し、当該内釜9の周囲を取り囲む支持筒80と、バーナ10及び支持筒80を内側に収容する筐体2とを備える。ガス炊飯器1は、水と米が投入される内釜9を支持筒80に支持させ、筐体2に設けられた蓋体3を閉じ、バーナ10を燃焼させ、バーナの燃焼排気を内釜9と支持筒80との間の空間に通過させて炊飯を行う。筐体2は樹脂製であって、下部筐体7と上部筐体8を備える。下部筐体7は、バーナ10を内側に収容する。上部筐体8は、下部筐体7の上方に配置され、支持筒80を内側に収容する。下部筐体7の底部には、リング状板材50と、該リング状板材50とは独立して、四本の第一固定筒部47が立設されている。四本の第一固定筒部47には、上部筐体8がネジで固定される。これにより、炊飯時に加熱される支持筒80と非接触の状態で、上部筐体8を支持筒80の周囲に配置できる。よって、支持筒80から上部筐体8へ直接伝熱されるのを防止できるので、樹脂製の筐体2を備えるガス炊飯器1において、炊飯時の熱による影響を最小限に抑制できる。
【0071】
上記説明において、支持筒80は本発明の「支持体」の一例である。支持筒80の底板89は、本発明の「底部」の一例である。リング状板材50は、本発明の「第一固定部」の一例である。第一固定筒部47は、本発明の「第二固定部」の一例である。前側板材11に設けられた一対の当接部115、後側板材14に設けられた一対の当接部145、右側板材12に設けられたリブ128、左側板材13に設けられた138は、本発明の「突出部」の一例である。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態の筐体2は、略円筒状に形成されるが、筒状であれば、その外形は種々変更可能であり、例えば、角筒状でもよい。下部筐体7と上部筐体8は共に樹脂製であるが、下部筐体7は金属製でもよい。
【0073】
上部筐体8において、前側板材11及び後側板材14側に、突条部35~38を設け、右側板材12及び左側板材13側に、鉤状部211,212,221,223、231,232,241,242を設けたが、夫々を逆に設けてもよく、前側板材11及び後側板材14側に鉤状部を設け、右側板材12及び左側板材13側に突条部を設けてもよい。
【0074】
上記実施形態の鉤状部211,212等は、先端側が上方向に屈曲する略L字状に形成されることによって、内側に上方向から下方向に差し込み可能な溝部を備えるが、先端側が下方向に屈曲する略L字状に形成し、内側に下方向から上方向に差し込み可能な溝部を備えるようにしてもよい。
【0075】
上記実施形態の鉤状部211,212等は、先端側が上方向に屈曲する略L字状に形成されることによって、内側に上方向から下方向に差し込み可能な溝部を備えるが、鉤状部とは異なる形状で溝部を形成してもよく、例えば、U字状の溝部であってもよい。
【0076】
上記実施形態の上部筐体8は、4枚の樹脂成型品を互いに組み付けることによって構成されるが、4枚以上で構成してもよく、3枚、2枚で構成してもよい。
【0077】
上記実施形態の支持筒80は、底板89を筒部81の底部に固定するが、底板89と筒部81を一体して形成してもよい。
【0078】
上記実施形態のリング状板材50は、上面において、外側係止部53によって外側遮熱筒60の下端部を位置決めし、一対の係止孔57に一対の係止突起75を差し込んで係止することで内側遮熱筒70の下端部を位置決めするが、これら以外の構造で夫々位置決めしてもよい。
【0079】
上記実施形態において、上部筐体8の前側板材11には一対の当接部115が設けられ、後側板材14には一対の当接部145(図7参照)が設けられ、右側板材12にはリブ128が設けられ、左側板材13にはリブ138が設けられるが、それらの数、形状、位置等については、自由に変更可能である。好ましくは、前側板材11、後側板材14、右側板材12、左側板材13の夫々に「突出部」を設けるのがよい。
【0080】
上記実施形態において、支持筒80の鍔部82の右側部84Aの外周面部84には、一対の排気口841が設けられ、左側部84Bの外周面部84には、一対の排気口842が設けられるが、排気口の数、形状、配置等については自由に変更可能である。右側部84Aの外周面部84の外周面形状は、左右方向に長い略矩形状であるが、これ以外の形状であってもよい。これに合わせ、上部筐体8の切欠部125,135の外側面の形状を変更すればよい。
【0081】
上記実施形態において、支持筒80の鍔部82の上面部83には、受け部831と一対の逃がし部832が設けられるが、逃がし部832の数、位置等についても自由に変更可能である。
【0082】
上記実施形態において、筐体2内部には、外側遮熱筒60と内側遮熱筒70を備えるが、遮熱筒は一つでもよく、2枚以上であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ガス炊飯器
2 筐体
3 蓋体
7 下部筐体
8 上部筐体
9 内釜
10 バーナ
47 第一固定筒部
50 リング状板材
80 支持筒
89 底板
115 当接部
128 リブ
138 リブ
145 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11