(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン、情報処理装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A63F5/04 691B
(21)【出願番号】P 2018203902
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 淳
【審査官】馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038725(JP,A)
【文献】特開2009-125073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0087396(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0011301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンであって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入された遊技価値に応じてゲームを実行するゲーム実行部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、
前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別され
、
前記出力部は、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報と、前記ゲーム実行部により実行されたゲームの賞額とを出力することを特徴とするゲーミングマシン。
【請求項2】
前記投入情報記憶部に記憶される投入情報は、前記ゲームに投入された遊技価値の種別及び種別ごとの投入額を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記投入情報は、1ゲームの前後における前記投入された遊技価値の積算値の差分と、前記1ゲームに投入された全種類の遊技価値の投入額の合計とを含む
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置であって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を
、前記ゲーミングマシンにより実行されたゲームの賞額と対比可能に出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、
前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンと、前記ゲーミングマシンとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置とを有し、
前記ゲーミングマシンは、
ゲームを実行するゲーム実行部と、
前記情報処理装置との間で情報を送受信可能なインターフェースと、を備え、
前記情報処理装置は、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を
、前記ゲーミングマシンにより実行されたゲームの賞額と対比可能に出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、
前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別されることを特徴とするゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカジノ等の遊技ホールにおけるスロットマシン、情報処理装置及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシンボルをスクロール表示した後に停止表示し、停止表示されたシンボルの組合せに基づいて遊技価値(例えば、コイン)を付与するスロットマシンが知られている。
【0003】
また、遊技者に有利な状態となることを遊技者に印象付けながら遊技を進行させることにより、遊技者に魅力的なペイアウト率を実感させることができるスロットマシンが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2012/0115571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなスロットマシンにおいては、遊技を行うために当該スロットマシンに投入可能な遊技価値として、現金又は予めプロモーション用に配布されたポイント等がある。ポイントは、スロットマシンに挿入可能な情報カードに予め書き込まれ、当該情報カードが挿入されたスロットマシンにおいてゲームを行うために使用される。
【0006】
スロットマシンでは、現金又はポイントが投入されることにより、ゲームを開始可能となる。また、当該ゲームの結果によって発生する配当(賞額)はプレーヤに払い出される。
【0007】
このように従来のスロットマシンでは、投入される遊技価値として、現金又はプロモーション用に配布されたポイントが使用可能であり、プレーヤはこれらの遊技価値のいずれを投入してもゲームを行うことができる。
【0008】
このようなスロットマシンでは、現金又はプロモーション用に配布されたポイントを投入してゲームを行った場合に得られた賞がいずれも同じ種類の遊技価値としてプレーヤに払い戻されていた。
【0009】
具体的には、ゲームの結果プレーヤに付与される賞は、いずれの遊技媒体(現金又はポイント)を投入して行われたゲームであっても、現金又はチケットプリンター等により印刷された印刷物として払い出されるため、当該払い出された遊技価値の額が、現金又はポイントのいずれを投入して行われたゲームの賞なのか又はそれらの内訳を区別することができなかった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができるゲーミングマシン、情報処理装置及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のゲーミングマシンは、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンであって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入された遊技価値に応じてゲームを実行するゲーム実行部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別され、
前記出力部は、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報と、前記ゲーム実行部により実行されたゲームの賞額とを出力することを特徴とする。
【0012】
本発明のゲーミングマシンは、上記構成において、
前記投入情報記憶部に記憶される投入情報は、前記ゲームに投入された遊技価値の種別及び種別ごとの投入額を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明のゲーミングマシンは、上記構成において、
前記投入情報は、1ゲームの前後における前記投入された遊技価値の積算値の差分と、前記1ゲームに投入された全種類の遊技価値の投入額の合計とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の情報処理装置は、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置であって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を、前記ゲーミングマシンにより実行されたゲームの賞額と対比可能に出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別されることを特徴とする。
【0016】
本発明のゲームシステムは、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンと、前記ゲーミングマシンとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置とを有し、
前記ゲーミングマシンは、
ゲームを実行するゲーム実行部と、
前記情報処理装置との間で情報を送受信可能なインターフェースと、を備え、
前記情報処理装置は、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記ゲームに対して投入された前記遊技価値の種類及び投入総額に占める前記種類毎の投入額の割合を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入情報記憶部に記憶された前記投入情報を、前記ゲーミングマシンにより実行されたゲームの賞額と対比可能に出力する出力部と、を備え、
前記投入情報記憶部に記憶される遊技価値の種類は、現金への換金が可能な遊技価値と、前記ゲームへの使用が許可されるのみであって現金への換金が制限されている遊技価値とが区別されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができるゲーミングマシン、情報処理装置及びゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカジノシステムの全体構成及び情報管理装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに組み込まれたPTS端末を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るPTS端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシン制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るPTS装置による賞額計算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[全体構成]
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るカジノシステム100を示すブロック図である。
図1に示すように、カジノシステム100は、例えばカジノ等の遊技施設に設置された複数のゲーミングマシン(例えば、スロットマシン1010A、1010B、…)と、複数の遊技テーブル(例えば、遊技テーブル2010A、2010B、…)及びこれらと双方向に通信可能に接続されたホテルサーバ500とから構成されている。
【0026】
ホテルサーバ500には、会員情報カード及びゲーム用チップ発行装置601が接続されており、この会員情報カード及びゲーム用チップ発行装置601において、ICカード1500が会員情報カードとして発行され、また、ゲーム用チップ1600が発行されるようになっている。
【0027】
会員情報カードには、当該ICカード1500を特定するための固有の情報カード識別情報(情報カード番号(No))が記憶され、ホテルサーバ500では、各情報カード番号に対応付けて、会員情報が会員データベースに蓄積されている。会員になるプレーヤは、個人情報(例えば、氏名、住所、電話番号、国籍、パスポート番号、政府等が発行した個人を特定する個人特定情報)を会員情報として会員データベースに登録することにより、当該会員データベースでは、個人情報が情報カードを特定する情報カード識別情報(情報カード番号)と対応付けられて登録される。
【0028】
この情報カード番号が付与された情報カードが会員情報カード及びゲーム用チップ発行装置601から発行され、会員登録したプレーヤがスロットマシン1010A、1010B、…においてゲームをプレーする場合に使用することになる。
【0029】
ゲーム用チップ1600は会員情報カード及びゲーム用チップ発行装置601から発行され、遊技用テーブル2010A、2010B、…においてゲームをプレーする場合に使用することになる。
【0030】
また、ホテルサーバ500には、ICカード1500(会員情報カード、非会員情報カード)もしくはゲーム用チップに基づいて換金するためのキャッシャー600が接続されている。
【0031】
会員情報カード又は非会員情報カード(後述)としてのICカード1500を使用してゲームプレーを行ったプレーヤは、ゲーム後にスロットマシン1010A、1010B、…から払い出されたICカード1500をキャッシャー600のカード読取り装置に挿入することにより、当該ICカード1500の情報カード識別情報(情報カード番号)に記憶された当該プレーヤの所持する残高に応じた通貨をプレーヤに払い出す。本実施形態の場合、情報カードに対応付けられた残高の情報は、ICカード1500に直接書き込まれるが、これに限られず、例えば、情報カード番号に対応付けて、ホテルサーバ500において記憶するようにしてもよい。この場合、キャッシャー600のカード読取り装置において読み取られたICカード1500のカード番号に対応してホテルサーバ500のメモリに記憶されている残高情報を読み出し、これに基づいて通貨を払い戻すようにすればよい。
【0032】
また、ICカード1500(会員情報カード及び非会員情報カード)には、それぞれゲームのBETに供される遊技価値の額を表す遊技価値情報として、4種類の遊技価値記憶領域が設けられている。具体的には、現金としてクレジットされ、ゲームでの使用のみが許可されている第1の遊技価値を記憶する第1の記憶領域AR1と、現金としてクレジットされ、ゲームをプレーしなくとも換金が可能である第2の遊技価値を記憶する第2の記憶領域AR2と、現金以外の遊技価値としてクレジットされ、換金することは原則不可能であり、ゲームでの使用のみが許可されている第3の遊技価値を記憶する第3の記憶領域AR3と、現金以外の遊技価値としてクレジットされ、換金することは原則不可能であり、ゲームでの使用の他、施設内の各種サービスでの使用も許可されている(いわゆるボーナスクレジット)第4の遊技価値を記憶する第4の記憶領域AR4とが設けられている。以下、第1の記憶領域AR1に記憶される遊技価値の種別及び額を表す情報を第1の遊技価値情報と呼び、第2の記憶領域AR2に記憶される遊技価値の種別及び額を表す情報を第2の遊技価値情報と呼び、第3の記憶領域AR3に記憶される遊技価値の種別及び額を表す情報を第3の遊技価値情報と呼び、第4の記憶領域AR4に記憶される遊技価値の種別及び額を表す情報を第4の遊技価値情報と呼ぶ。また、情報カードに書き込まれているこれらの遊技価値情報を総称して残高情報と呼ぶ。
【0033】
ICカード1500のうち、非会員情報カードは、会員登録していないプレーヤが、まず通貨をスロットマシン1010A、1010B、…に投入してゲームをプレーし、当該ゲームの結果プレーヤに付与された配当(賞金)や投入額に対してBET後に残ったクレジット数に応じた額が書き込まれて、当該プレーが行われたスロットマシン1010A、1010B、…から新規に払い出されるものである。プレーヤは、この新規に払い出された非会員情報カード(ICカード1500)を他のスロットマシン1010A、1010B、…に挿入することにより、当該非会員情報カードに書き込まれている残高情報に応じたクレジット数を用いて、新たなゲームをプレーすることができる。なお、非会員情報カード(ICカード1500)をスロットマシン1010A、1010B、…に挿入してゲームをプレーした場合、当該ゲームプレーの結果付与される配当(賞金)などのクレジット数に基づく遊技価値は、そのゲームプレーに際して当該スロットマシン1010A、1010B、…に挿入された非会員情報カード(ICカード1500)に残高情報として書き込まれることになる。すなわち、当該非会員情報カードの残高情報が更新されて当該非会員情報カードが払い出されることになる。これにより、会員登録していないプレーヤは、当該1つの非会員情報カードを使いながら複数のスロットマシン1010A、1010B、…においてゲームをプレーすることができる。
【0034】
なお、挿入されたICカード1500が会員登録されたプレーヤに発行された会員情報カードである場合においても、同様にして、当該挿入された会員情報カードに対して残高情報が更新されて払い出される。
【0035】
また、ゲーム用チップを使用して遊技テーブル2010A、2010B、…においてゲームプレーを行ったプレーヤは、ゲーム後にディーラーから受け取った配当(賞金)としてのゲーム用チップをキャッシャー202において提示すると、当該ゲーム用チップに応じた通貨を受け取ることができる。
【0036】
本実施形態の場合、情報カードに対応付けられた残高情報は、ICカード1500に直接書き込まれるが、これに限られず、例えば、情報カード番号に対応付けて、ホテルサーバ500において記憶するようにしてもよい。この場合、キャッシャー600のカード読取り装置において読み取られたICカード1500のカード番号に対応してホテルサーバ500のメモリに記憶されている残高情報を読み出し、これに基づいて通貨を払い戻すようにすればよい。
【0037】
また、
図1(b)は、ホテルサーバ500の構成を示すブロック図である。
図1(b)に示すように、ホテルサーバ500は、バスにCPU(Central Processing Unit)551、ROM(Read Only Memory)552、RAM(Random Access Memory)553、ゲーミングマシンI/F556、データベース560、I/F561等が接続され、I/F561を介してLCD(Liquid Crystal Display)562、キーボード563及びマウス564等が接続された構成を有している。データベース560には、情報カード番号に対応付けられた会員情報、情報カードに記憶されている遊技価値会員に発行されたICカード1500に対応付けられた残高情報及び遊技履歴情報、非会員に発行されたICカード1500に対応付けられた残高情報及び遊技履歴情報等が記憶される。
【0038】
[スロットマシンの全体構成]
図2は、本発明の一実施形態に係るゲーミングマシンとしてのスロットマシン1010の外観を示す斜視図である。
【0039】
スロットマシン1010では、遊技媒体として、ICカード1500、紙幣又はこれら遊技価値に相当する電子的な有価情報が用いられる。本実施形態では、スロットマシン1010におけるゲームの結果プレーヤに付与される配当が発生した場合、当該配当の額をICカード1500に記憶させて当該ICカード1500を払い出すようになっている。
【0040】
すなわち、スロットマシン1010Aに設けられたPTS端末1700のカードユニット1741に対してプレーヤによりICカード1500が挿入された場合には、当該挿入されたICカード1500からその記憶された遊技価値の残高が読み取られてゲームプレーに使用され、ゲームの結果配当が発生した場合には、カードユニット1741に挿入されている当該プレーヤのICカード1500に配当を記憶させるようになっている。また、ICカード1500が挿入されない状態で遊技価値が投入された場合(すなわち、紙幣等のICカード1500以外の媒体により遊技価値が投入された場合)には、ゲームの結果発生した配当は、カードユニット1741のカードスタッカー1742に用意されている未使用のICカード1500に配当が記憶されて払い出される。
【0041】
スロットマシン1010は、キャビネット1011と、キャビネット1011の上側に設置されたトップボックス1012と、キャビネット1011の前面に設けられたメインドア1013と、を備えている。
【0042】
メインドア1013には、下側画像表示パネル1141と称されるシンボル表示装置1016が設けられている。シンボル表示装置1016は、透明液晶パネルにより形成されている。シンボル表示装置1016が表示する画面では、中央部に表示窓1150を有している。表示窓1150は、5列、4行の20個の表示ブロック1028により構成されている。各列の4個の表示ブロック1028は、擬似リール1151~1155を形成し、プレーヤの操作に応じて回転するようになっている。各擬似リール1151~1155は、4個の表示ブロック1028が全体的に速度を変更しながら下方向に移動表示されることによって、各表示ブロック1028に表示されたシンボル1501を縦方向に回転させた後に停止する再配置を行うことを可能にしている。
【0043】
ここで、「再配置」とは、シンボルの配置が解除された後、再びシンボルが配置される状態を意味する。「配置」とは、シンボルが外部のプレーヤに対して目視により確認可能な状態であることを意味する。スロットマシン1010は、回転した擬似リール1151~1155が停止することによるシンボル1501の配置状態によって、ウィニングコンビネーション(入賞役)に応じた配当を付与する所謂スロットゲームを実行する。
【0044】
なお、本実施形態では、スロットマシン1010が所謂ビデオスロットマシンである場合について説明しているが、本発明のスロットマシン1010は、所謂機械式リールを採用してもよいし、一部の擬似リール1151~1155に代用してもよい。
【0045】
さらに、シンボル表示装置1016の前面には、タッチパネル1069が設けられていて、プレーヤはタッチパネル1069を操作して各種の指示を入力することができる。タッチパネル1069から入力信号がメインCPU1071に対して送信される。
【0046】
トップボックス1012の前面には、上側画像表示パネル1131が設けられている。上側画像表示パネル1131は、液晶パネルからなり、ディスプレイを構成する。上側画像表示パネル1131は、演出にかかる画像や、遊技の内容の紹介やルールの説明を示す画像が表示される。また、トップボックス1012には、ランプ1111が設けられている。
【0047】
また、表示窓1150の上方には、クレジット数表示部(不図示)が表示されており、現在のクレジット数が表示されている。ここで、「クレジット」とは、プレーヤがBETする際に使用するゲーム上での仮想の遊技媒体である。なお、クレジット数表示部には、プレーヤが現在所有するクレジットの合計数が表示されるようになっている。
【0048】
また、クレジット数表示部の下方には、端数現金表示部(不図示)が表示されている。端数現金表示部には、端数現金が表示されている。「端数現金」とは、投入された金額が足らないために、クレジットに換算されなかった現金の事である。
【0049】
後述するPTS端末1700にICカード1500が挿入され、クレジット数表示部に、ICカードに記憶されていたクレジット数が表示され、端数現金表示部に、ICカードに記憶されていた端数現金が表示される。なお、これらの数値は、ICカード1500の使用者が会員である場合には、会員カードの識別コードに対応付けて、会員管理サーバ(図示せず)に記憶される。
【0050】
ここで、ICカードは、非接触ICカードであり、クレジットなどの各種データの記録や演算をするためのIC(Integrated Circuit)が組み込まれ、例えば、NFC(Near Field Communication)のようなRFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた近距離無線通信が可能となっている。プレーヤは、ICカード1500を用いることによりクレジット関連データを所有でき、さらに、異なるスロットマシン間において、これを自由に持ち運びすることができる。そして、プレーヤは、スロットマシン1010のPTS端末1700にICカード1500を挿入することにより、ICカード1500内に記憶されたクレジット関連データ(金額データ)を使用して、スロットマシン1010で単位ゲーム等の遊技を行うことができる。
【0051】
なお、プレーヤは、ホールに設置される機械から、コインや紙幣などの現金を現金データとして、ICカード1500に貯めることができてもよい。
【0052】
また、下側画像表示パネル1141の下方では、キャビネット1011にPTS端末1700が組み込まれている。さらに、PTS端末1700の左右には、それぞれ、スピーカ1112が設けられ、トップボックス1012の上部にはランプ1111が設けられている。スロットマシン1010では、上側画像表示パネル1131による画像の表示、スピーカ1112による音の出力、および、ランプ1111による光の出力等によって単位ゲームの演出が実行される。PTS端末1700は、スロットマシン1010に付帯的又は内在するように設けられている。
【0053】
[PTS端末の構成]
図3は、スロットマシン1010に組み込まれているPTS端末1700を示す図である。PTS端末1700は、ゲーミングマシンとの間で共通化されたデータインターフェイスを用いてデータのやりとりを行うことによって、様々なメーカの様々なタイプのゲーミングマシンに組み込むことが可能である。
【0054】
PTS端末1700はパネル1710を有しており、パネル1710の前面に配置された各部がプレーヤによって視認され、パネル1710の裏面に配置された部材は、スロットマシン1010の内部に収納され、プレーヤからは視認できないようになっている。
【0055】
パネル1710の前面右側には、タッチパネル機能を有したLCD1719が設けられている。LCD1719は、例えば、会員の情報や会員向けの情報を表示し、画面のサイズは6.2インチ(約15.7cm)である。また、LCD1719の周囲には、LCDカバー1719aが設けられている。なお、この例では、LCD1719がタッチパネル機能を有するように構成されるが、キーボードやマウスといった他の入力装置によってプレーヤの指示を入力するようにしてもよい。
【0056】
フルカラーLED1721aおよびフルカラーLED1721b(
図5)は、不正行為の警告に資する発光を行うことが可能に構成されている。
【0057】
また、LCD1719の右側には、撮像窓1712が設けられており、LCDカバー1719aの内部又はパネル1710の裏側に配置された人体検出カメラ1713が、この撮像窓1712を介してプレーヤなどを撮像する。撮像窓1712は、例えば、スモーク等のシールド処理がなされたハーフミラー材であってもよい。
【0058】
パネル1710の前面左下には、ICカード1500を挿入又は取り出すことができるカード挿入口1730が設けられている。カード挿入口1730のカード挿入部には、フルカラーLED1731(
図5参照)が設けられており、複数色に点灯することによって、後述するカードスタッカー1742に溜まったICカード1500の残数を報知することができる。カード挿入口1730には、イジェクトボタン1732が設けられており、イジェクトボタン1732の位置や、イジェクト操作の工程がわかるように、イジェクトボタン1732の近傍に設けられた赤色のLED1733(
図5参照)が点灯するようになっている。
【0059】
また、カード挿入口1730に対応するパネル1710の裏側の位置には、カードユニット1741とカードスタッカー1742が設けられており、カード挿入口1730は、カードユニット1741の一部として構成されている。カードスタッカー1742には、ICカード1500を30枚程度保管しておくことができ、ICカード1500を挿入せずに紙幣等他の遊技価値を投入してゲームが行われた場合において、クレジットの精算を行う際に、カードスタッカー1742に保管してあるICカード1500が取り出され、ゲームの結果発生した配当(残高)を当該ICカード1500に書き込んで、カード挿入口1730から排出するように構成されている。
このように、本実施形態のスロットマシン1010では、投入された遊技媒体の種類に関わらず、配当や残高が生じた場合の払出方法として、ICカード1500に当該配当又は残高が記憶されて払い出されるようになっている。
【0060】
カードユニット1741において保持されているICカード1500は、クレジットの精算時において、NFC等によりメモリに書き込まれる配当や残高といったクレジット情報を更新し、その後、ICカード1500をカード挿入口1730から排出する。ICカード1500は、プレーヤが単位ゲームを行っている間は、完全にカードユニット1741の内部に格納されている。
【0061】
また、クレジットの精算時において、ICカード1500が残っているにもかかわらず人体検出カメラ等によってプレーヤの不在が検出された場合、ICカード1500をカードスタッカー1742に保管するように構成することもできる。これにより、例えば、プレーヤが、残りクレジットが少ないことを知った上でICカード1500を放置して席を立った場合や、単にICカード1500を取り忘れて席を離れた場合でも、ICカード1500が長時間に亘ってカードユニット1741に保持されたままになることがない。
【0062】
パネル1710の前面左上には、USB端子1737とオーディオ端子1738が設けられている。USB端子1737は、ここにUSB機器を接続して充電等を行うことができるように構成されている。また、オーディオ端子1738は、例えば、4極の端子であり、ここにヘッドセットを挿入して、ヘッドフォンとマイクで相手と通話をすることができる。また、オーディオ端子1738を2極又は3極の端子として、ヘッドフォンで音声を聴くことができるようにもできる。
【0063】
パネル1710の前面で、LCD1719の左側には、タッチユニット1745が設けられている。タッチユニット1745は、ICチップを含んだICデバイス(例えば、非接触ICカードやNFCによる通信機能を備えた携帯電話やスマートフォン等)に対してデータ通信によりデータを書き込むライタや、当該ICデバイスからデータ通信によりデータを読み取るリーダとして機能することが可能なRFIDモジュールを含んでいる。また、タッチユニット1745の前面4隅には、それぞれLED1746(不図示)が配置されている。また、タッチユニット1745の他に、あるいはタッチユニット1745に替えて、磁気カードのような情報記録媒体に記憶された情報を読み取るための情報記録媒体読取装置を備えるようにしてもよい。この場合、ICカード1500の代わりに、磁気カードを会員カードとすることができる。
【0064】
上述したように、本発明の一実施形態に係るPTS端末1700は、マイク機能、カメラ機能、スピーカ機能、表示機能、などを有する各種装置が、一体となって一つのユニットを形成しているため、省スペース化を実現している。これにより、例えば、それぞれの機能が単品で設置されることによって、LCDをプレーヤの方に向けると、スピーカがプレーヤの方に向けて設置できないなどの不都合を生じることがない。
【0065】
また、本発明の一実施形態に係るPTS端末1700は、カード挿入口1730にICカード1500が挿入されると、カードユニット1741によってICカード1500の内容が読み込まれ、ICカード1500全体を(PTS端末1700の内部に)取り込んで保持するように構成されるが、これに加えて、タッチユニット1745が設けられ、これによって、さらに別のICカードや携帯電話、スマートフォンとデータ通信を行うことができる。
【0066】
[スロットマシンの回路構成]
次に、
図4を参照して、スロットマシン1010、及び、スロットマシン1010に設けられたコントロールパネル30の内部構成について説明する。
【0067】
ゲームコントローラ70は、スロットマシン1010の内部のゲーム用回路基板上に設けられる。ディスプレイコントローラ170は、コントロールパネル内部に、ゲームコントローラ70のゲーム用回路基板とは別のコントロールパネル用回路基板上に設けられる。ゲームコントローラ70、及び、ディスプレイコントローラ170は、それぞれ、ゲーム用回路基板、及び、コントロールパネル用回路基板に設けられたCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。ゲームコントローラ70、及び、ディスプレイコントローラ170は、これらハードウェアと上記のような記憶装置内のソフトウェアとが協働して構築されている。尚、ディスプレイコントローラ170をゲームコントローラ70と別に設けることに限定されず、ゲームコントローラ70がディスプレイコントローラ170の機能を有していてもよい。
【0068】
例えば、ゲームコントローラ70の記憶装置には、CPUが動作する際に用いられるデータやプログラムが記憶される。例えば、ゲームコントローラ70は、外部記憶装置から前述のゲームプログラム及びゲームシステムプログラムや認証プログラムの取込処理を行った際、これらを記憶することができる。また、ゲームコントローラ70の記憶装置には、上記プログラムを実行する際の作業用の領域が設けられている。例えば、遊技回数、BET数、払出数、クレジット数などを記憶する領域や、抽選により決定したシンボル(コードナンバー)を記憶する領域などが設けられている。
【0069】
ゲームコントローラ70は、上述のように、ゲームを実行し、ゲームに応じたシンボルの再配置となるようにシンボル表示装置1016を制御する。また、ゲームコントローラ70は、上述のように、複数のブロックからなる3行5列の表示枠に、入力を受け付けたクレジットボタン(図示せず)に応じた数の有効ラインを有効化し、有効化された有効ラインにおいて、所定数以上の同じ種類のシンボルが再配置された場合に当該種類のシンボルに応じたライン配当を付与する。即ち、ゲームコントローラ70は、記憶装置内のゲームプログラムやゲームシステムプログラムをCPUで実行することによってスロットマシンを制御するように構成している。ディスプレイコントローラ170は、グラフィックボードを有し、クレジットボタンの表示装置(図示せず)に必要となるベット額を表示する。
【0070】
コントロールパネル30には、前述の各ボタンに対応して、CHANGEスイッチ31S、CASHOUTスイッチ32S、BETスイッチ34S、クレジットスイッチ40S、スピンスイッチ46S、デノミ切換えスイッチ47Sが設けられている。各スイッチは、対応するボタンがプレーヤによって押されたことを検出し、ゲームコントローラ70、及び、ディスプレイコントローラ170に対して信号を出力する。ゲームコントローラ70は各スイッチからの信号に基づいてベットの制御を行う。ディスプレイコントローラ170は各スイッチからの信号をゲームコントローラ70に送信し、ゲームコントローラ70は、これらの信号に基づいて、ボタン設けられた表示装置に表示する内容を決定し、決定結果をディスプレイコントローラ170に送信することにより、各ボタンに表示させる。
【0071】
また、ゲームコントローラ70には、スピーカ、タッチパネル等の他に、グラフィックボード130、電源ユニット81、通信インターフェース82が接続されている。
【0072】
グラフィックボード130は、ゲームコントローラ70から出力される制御信号に基づいて、上側画像表示パネル1131及び下側画像表示パネル1141のそれぞれにより行う画像の表示を制御する。グラフィックボード130は、画像データを生成するVDPや、VDPによって生成される画像データを記憶するビデオRAM等を備えている。
【0073】
また、グラフィックボード130は、ゲームコントローラ70から出力される制御信号に基づいて、画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを一時的に記憶するビデオRAM等を備えている。なお、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、記憶装置のゲームプログラム内に含まれている。また、グラフィックボード130は、下側画像表示パネル141に設けられた各種のタッチアイコンの操作結果をゲームコントローラ70に出力する機能を有している。
【0074】
通信インターフェース82は、PTS装置1700や外部制御装置との通信を行うためのものである。PTS装置1700は、ビルエントリー60から入力信号を受け付けたときに、その入力信号に含まれる投入通貨情報を、通信インターフェース82を介してゲームコントローラ70に送信する。また、PTS装置1700は、カード挿入口にICカードが挿入されたときに、そのICカードに記憶された残高情報を、通信インターフェース82を介してゲームコントローラ70に送信する。また、PTS装置1700は、通信インターフェース82を介してゲームコントローラ70から受信した制御信号に基づいて、カード挿入口に挿入されたICカードに対してクレジットデータの書き込みを行う。
【0075】
また、ゲームコントローラ70は、ディスプレイコントローラ170に対して、既知の通信プロトコル及び通信接続を用いて、信号を送信可能にされている。例えば、ゲームコントローラ70は、ディスプレイコントローラ170に対して、現在が各種ボタンの受け付け許可状態であるか否かを示す信号を送信する。
【0076】
また、金額メータ180は、BETされた遊技価値(現金、第1のポイント、第2のポイント(詳細は後述))の各ゲーム時点での積算値及び、各ゲーム時点での賞の額の積算値を記憶し、必要に応じて、出力I/F181を介して外出に出力し得るようになっている。また、金額メータ180に記憶された各積算値は、PTS端末1700からの要求に応じて、当該PTS端末1700に出力される(詳細は後述)。
【0077】
[PTS端末の回路構成]
次に、
図5を参照して、PTS端末1700が備える回路の構成について説明する。
【0078】
PTS端末1700を制御するPTSコントローラ1750は、CPU1751、ROM1752、およびRAM1753を有する。
【0079】
CPU1751は、PTS端末1700の各構成部の実行制御を行うとともに、ROM1752に格納された各種プログラムを実行したり、演算したりする。例えば、CPU1751は、クレジット更新プログラムを実行して、ICカード1500に記憶されたクレジット関連データを更新する。
【0080】
ROM1752は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、CPU1751により実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、ROM1752には、ICカード1500に記憶されたクレジット関連データを書き換えるクレジット更新プログラムや、ボーナスサーバ(図示せず)からの要求に応じて実行される連動演出制御プログラム、ホテルサーバ500からの要求(報知情報など)に応じて実行される報知プログラム等が記憶されうる。
【0081】
RAM1753は、ROM1752に記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。
【0082】
外部記憶装置1754は、例えばハードディスク装置のような記憶装置であり、CPU1751で実行されるプログラムや、CPU1751で実行されるプログラムが利用するデータを記憶する。
【0083】
サーバI/F(インターフェイス)1755は、ホテルサーバ500、ボーナスサーバ(図示せず)等のサーバとPTS端末1700とのデータ通信を実現する。ゲーミングマシンI/F(インターフェイス)1756は、スロットマシン1010のゲームコントローラ70とPTS端末1700とのデータ通信を実現するものであり、当該データ通信には、規定のプロトコルが使用されうる。
【0084】
その他、PTS端末1700は、紙幣識別器I/F(インターフェイス)1757を介してビルエントリー60と、精算機I/F(インターフェイス)1758を介して精算機(図示せず)と接続され、必要に応じてデータの送受信を行うことができる。
【0085】
USB制御部1759は、USB端子1737において電源ユニット1760からの電源を供給するかどうかを判定し、所定の条件を満たす場合に、USB端子1737を充電可能とする。プレーヤは、所定条件を満たす場合に、USB端子1737に電子機器を接続し、当該電子機器を充電することができる。
【0086】
発光部LED駆動部1761は、ホテルサーバ500からの報知要求、ボーナスサーバ(図示せず)からの連動演出開始要求などに応じて、LCD1719の上側の発光板1720aを発光させるために、フルカラーLED1721aを所定のタイミングで点灯させるよう制御するとともに、LCD1719の下側の発光板を発光させるために、フルカラーLED1721bを所定のタイミングで点灯させるよう制御する。
【0087】
LCD制御部1762は、会員の情報、会員向けの情報等をLCD1719に表示させたり、ICカード1500から読み取ったデータや、プレーヤによって入力されたデータを表示させたりするよう制御する。また、LCD1719はタッチパネル機能を備えており、プレーヤによってタッチパネルが操作されたとき、所定の信号がCPU1751に送信される。
【0088】
ホームボタン1722は、LCD1719の近傍に設けられ、LCD1719に表示された画面を所定の上位画面に遷移させるためのボタンである。プレーヤによりホームボタン1722が押されると、そのプレーヤの操作がCPU1751に送信され、CPU1751は、当該操作に応じて、LCD1719の表示を更新するよう、LCD制御部1762に指令を送信する。
【0089】
ICカード制御部1763は、ICカード1500の挿入、排出、クレジットデータの書き込み等を制御する。ICカード制御部1763は、ICカードR/W(リーダライタ)制御部1763a、ICカード吸入排出制御部1763b、LED制御部1763cを備える。
【0090】
ICカードR/W制御部1763aは、カードユニット1741を制御して、ICカード1500に記憶されているクレジット関連データ(遊技価値情報)を更新する。また、新たにICカード1500を発行する場合は、精算された金額に対応するクレジット関連データを当該新たに発行するICカード1500に記憶する。カードユニット1741は、ICカード1500にNFC等によりデータを読み取り、又は書き込むためのアンテナ部を有する。
【0091】
カードユニット1741は、ICカード1500に記憶された情報を読み取るICカードリーダ、および、ICカード1500に情報を書き込むICカードライタの機能を備えるが、必要に応じてどちらか一方の機能を有するものとしてもよい。
【0092】
ICカード吸入排出制御部1763bは、ICカード1500の吸入および排出の制御を行う。プレーヤによってカード挿入口1730にICカード1500が挿入されると、プレーヤがゲームを実行している間、ICカードをカードユニット1741の中に保持するよう制御する。また、精算時にクレジット関連データがICカード1500に書き込まれた後、そのICカード1500を排出するよう制御する。さらに、イジェクトボタン1732が押された場合に、ICカード1500の排出を行う。
【0093】
また、新たにICカード1500を発行する場合は、カードスタッカー1742からICカード1500を新たに取り出して、クレジット関連データを記憶させるために、ICカード1500をカードユニット1741に供給する。
【0094】
LED制御部1763cは、カードユニット1741のカード挿入口1730の近傍に設けられたLED(フルカラーLED1731)を点灯するよう制御するとともに、イジェクトボタン1732の近傍に設けられたLED(赤色LED1733)を点灯するよう制御する。
【0095】
タッチユニット制御部1764は、ICカード1500、携帯電話、スマートフォン等のタッチ操作に伴うデータ送受信を制御する。タッチユニット制御部1764は、非接触R/W(リーダライタ)制御部1764aとLED制御部1764bを備えている。
【0096】
非接触R/W制御部1764aは、タッチユニット1745でICカード1500や携帯電話が所定の距離に近接した(例えば、タッチ操作があった)か否かを判定し、所定の距離に近接した場合に、タッチユニット1745から読み取り結果等を取得する。タッチユニット1745は、ICカード1500や携帯電話との間でNFC等によりデータ送受信を行うためのアンテナ部を有する。
【0097】
タッチユニット1745は、ICカード1500や携帯電話に記憶された情報を読み取るICカードリーダ、および、ICカード1500や携帯電話に情報を書き込むICカードライタの機能を備えるが、必要に応じてどちらか一方の機能を有するものとしてもよい。
【0098】
LED制御部1764bは、タッチユニット1745の前面4隅に配置されているLED1746を制御し、所定のタイミングで点灯させる。
【0099】
DSP1765は、マイク1715、1717から取得した音声データを受信し、所定の音声処理を行った後、そのデータをCPU1751に送信する。また、DSP1765は、受信した音声データをスピーカ1707、1709に送信する。さらに、DSP1765は、ヘッドセットの接続されたオーディオ端子に対して、受信した音声をヘッドフォンに出力するとともに、マイクから受信した音声を処理してCPU1751に送信する。なお、ここでは概略の構成を示すものであり、A/D変換器、D/A変換器、アンプ等は省略してある。
【0100】
カメラ制御部1766は、人体検出カメラ1713により撮像されたプレーヤ等の画像を取得し、必要に応じて所定の画像処理を施し、処理後のデータをCPU1751に送信する。当該データは、例えば、サーバI/F1755を介して、ホテルサーバ500等に送信される。
また、カメラ制御部1766は、人体検出カメラ1713により撮像された撮像情報をホテルサーバ500からの指示に応じてホテル管理サーバ500等に送信する。
【0101】
本実施形態のスロットマシン1010(PTS端末1700)においては、ゲームを行うために投入可能な遊技価値として、現金、ポイント等がある。現金は、PTS端末1700のビルエントリー60に投入され、PTS端末1700からゲーミングマシン1010のゲームコントローラ70にその遊技価値の種類(現金)及び額を表す情報(現金投入額情報)が送信される。ゲームコントローラ70は、PTS端末1700から受け取ったこの情報を金額メータ180のメモリに記憶する。また、ポイントは、PTS端末1700のカードユニット1741に挿入された情報カードから読み取られ、PTS端末1700からゲーミングマシン1010のゲームコントローラ70にその遊技価値の種類(第1又は第2のポイント)及び額を表す情報(ポイント投入額情報)が送信される。ゲームコントローラ70は、PTS端末1700から受け取ったこの情報を金額メータ180のメモリに記憶する。なお、ポイントとは、カジノ等がプロモーション用に配布したポイントであり、プレーヤは自分の情報カードにこのポイントを記憶させた状態でこれをスロットマシン1010(PTS端末1700)で使用することができる。ポイントには、ゲームのプレー用にしか使用できない制限ポイント(第1のポイント)と、ゲームのプレー以外に使用可能(例えば、施設内の各種サービスに使用可能)な無制限ポイント(第2のポイント)とがある。これらは、ポイントの種類毎に、情報カードの対応する記憶領域に区別可能に記憶されている。従って、情報カードをスロットマシン1010(PTS端末1700)のカードユニット1741に挿入した際に、これらのいずれかを選択的に使用することが可能となっている。この選択は、例えば、PTS端末1700のLCDタッチパネル1719において選択可能に構成されている。なお、本実施形態の場合、第1のポイント及び第2のポイントは、いずれも現金相当の扱いができないものとされており、原則として、換金は不可能なものである。
【0102】
ここで、スロットマシン1010の金額メータ180は、ゲーミングマシン1010においてゲームを実行するためにBETされた遊技価値(現金)について、各ゲーム時点での積算値である積算額(投入積算額(Total coin in credits))と、BETされた遊技価値(第1のポイント)について、各ゲーム時点での積算値である積算額(第1の投入ポイント積算額(Total restricted amount played))と、BETされた遊技価値(第2のポイント)について、各ゲーム時点での積算値である積算額(第2の投入ポイント積算額(Total non restricted amount played))とを、毎ゲームの開始時に記憶して行く。これらの積算額とは、例えば、ゲーミングマシン1010の電源が投入された後の上記3種類の各々の積算額、又は所定のリセット操作の後の上記3種類の各々の積算額を意味し、金額メータ180は、各ゲームの開始時に、これらの値を、新たな1ゲームにBETされた遊技価値の種類毎にその額をそれまでの積算値に加算することによりこれを更新(積算)する。
【0103】
また、金額メータ180は、ゲーミングマシン1010においてゲームの結果プレーヤに付与される賞の額について、各ゲーム時点での積算値である積算額(払出積算額(Total coin out credits))を毎ゲームの終了時に記憶して行く。払出積算額とは、例えば、ゲーミングマシン1010の電源が投入された後の払出積算額、又は所定のリセット操作の後の払出積算額を意味し、金額メータ180は、各ゲームの終了時に、これらの値を、新たな1ゲームにおいて付与された賞の額をそれまでの積算値に加算することによりこれを更新(積算)する。なお、賞としてプレーヤに付与される遊技価値の種類は1種類(例えば、現金)であり、投入される場合にその遊技価値の種類(例えば、現金、第1のポイント、第2のポイント)毎に区別されて記憶されるのに対して、賞を払い出す場合にはその種別は区別されずに積算される。なお、「各ゲーム時点」とは、ゲーム開始時、ゲーム終了時など、予め決められた時点を意味する。
【0104】
PTS端末1700では、これらの積算値(スロットマシン1010(PTS端末1700)に対してゲームを行うために投入された各種遊技価値の投入積算額及びゲームの結果払い出された種類の区別がされていない遊技価値の払出積算額)をゲーム毎にスロットマシン1010から受信してRAM1753に記憶する。そして、この受信した情報を用いて、ゲーム毎の払出額に占める、投入された遊技価値の種別毎の配当比率(払出額(賞額)に占める、現金を投じて得られた配当額比率と、第1のポイントを投じて得られた配当額比率と、第2のポイントを投じて得られた配当額比率)を算出して記憶する。そして、この比率に基づいて、ゲーム毎の払出額(賞額)のうちの、投入された遊技価値の種類ごとの配当額比率に応じた遊技価値の種別毎払出額を算出して出力する(後述する
図7の賞額計算処理)。
【0105】
[スロットマシンで実行されるプログラムの内容]
次に、
図6を参照して、スロットマシン1010により実行されるプログラムについて説明する。なお、スロットマシン1010は、適宜のタイミングでホール管理サーバ10に各種の遊技情報を送信している。
【0106】
〈メイン制御処理〉
まず、
図6を参照して、メイン制御処理について説明する。はじめに、スロットマシン1010に電源が投入されると、ゲームコントローラ70は、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを読み出し、RAMに書き込む(ステップ(以下、Sと略記する)11)。
【0107】
次に、ゲームコントローラ70は、1ゲーム終了時初期化処理を行う(S12)。例えば、BET数や抽籤により決定されたシンボルなど、RAMの作業領域において1回の遊技ごとに不要となるデータがクリアされる。
【0108】
次に、ゲームコントローラ70は、後で説明するベット・スタートチェック処理を行う(S13)。この処理では、BETスイッチ34Sやスピンスイッチ46S等の入力のチェックなどが行われる。なお、本実施形態の場合、ICカード1500(会員情報カード又は非会員情報カード)がカード挿入口1730に挿入された場合、当該挿入されたICカード1500から遊技価値を読み出して、これをクレジット数カウンタに設定することで、当該設定されたクレジット数の範囲でゲームを行うことができる。また、ICカード1500が挿入されていない場合は、ビルエントリー60に投入された通貨の額に応じてクレジット数カウンタが設定されることになり、これによりゲームを行うことができる。
【0109】
次に、ゲームコントローラ70は、シンボル抽籤処理を行う(S14)。この処理では、シンボル決定用乱数値に基づいて停止予定シンボルが決定される。
【0110】
次に、ゲームコントローラ70は、演出内容決定処理を行う(S15)。メインCPU1071は、演出用乱数値を抽出し、予め定められた複数の演出内容の何れかを抽籤により決定する。演出内容は、入賞役やスロットマシン1010におけるゲームの状況に応じて決定することができる。例えば、入賞役とスロットマシン1010におけるゲームの状況とに応じて、それぞれの演出に関する抽籤確率を変動させるように構成することができる。
【0111】
次に、ゲームコントローラ70は、シンボル表示制御処理を行う(S16)。この処理では、5列の擬似リール1151~1155(第1ビデオリール~第5ビデオリール)のスクロールが開始され、S14のシンボル抽籤処理において決定された停止予定シンボルが所定の位置(例えば、下側画像表示パネル1141の表示窓1150)に停止される。つまり、各リールに関して、停止予定シンボルを含む4つのシンボルが表示窓1150内に表示される。例えば、停止予定シンボルがコードナンバー「10」のシンボルであり、これを上段の領域に表示する場合であれば、コードナンバー「11」、「12」および「13」の各シンボルが表示窓1150内の中上段、中下段および下段のそれぞれに表示される。
【0112】
次に、ゲームコントローラ70は、払出数決定処理を行う(S17)。この処理では、入賞ライン上に表示されたシンボルの組合せに基づいて払出数が決定され、RAMに設けられた払出数カウンタに格納される。
【0113】
次に、ゲームコントローラ70は、払出処理を行う(S18)。ゲームコントローラ70は、払出数カウンタに格納されている値をRAMに設けられているクレジット数カウンタに加算する。ここで例えば、プレーヤがCASHOUTボタン32を押すと、これを検出したCASHOUTスイッチ(図示せず)がゲームコントローラ70のメインCPU(図示せず)に信号を出力し、カードユニット1741に保持されているICカード1500に記憶されているクレジット数が、クレジット数カウンタの値に更新される。すなわち、情報カード(会員情報カード又は非会員情報カード)がカードユニット1741に挿入されている場合は、当該挿入された情報カード(ICカード1500)から読み出されたクレジット数(遊技価値)がクレジット数カウンタに書き込まれ、この書き込まれたクレジット数によりゲーム(BET)が行われ、ゲームの結果に応じて配当が加算された結果及びBET数分のクレジット数が減算された結果のクレジット数からなるクレジット数カウンタの値が、最終的に払い出されるICカード1500に遊技価値の残高情報として書き込まれることにより当該ICカード1500の残高情報が更新されて、当該ICカード1500がカード挿入口1730から排出されることになる。また、ICカード1500がカードユニット1741に挿入されない状態で、紙幣識別器1022に投入された通貨によりゲームが行われた場合、ゲームの結果によりプレーヤに付与された配当や投入された通貨の残高は、クレジット数カウンタに記憶された後、CASHOUTボタン32の操作に応じてカードスタッカー1742に用意されている未使用のICカード1500に残高情報として書き込まれる。そして、このICカード1500が非会員情報カードとしてカード挿入口1730から排出されることになる。
【0114】
次に、ゲームコントローラ70は、ゲーム終了通知処理を行う(S19)。この処理では、メインCPU1071は、一のゲームが終了したことを示すデータ(ゲーム終了日時を特定可能なゲーム終了日時データを含むデータ)を(ICカード1500等が挿入されていてプレーヤを識別できる場合は、ICカード1500の識別コード等とともに)、PTS端末1700に送信する。PTS端末1700は、上記データを、ホテルサーバ500に送信し、ホテルサーバ500は、上記データを記憶する。なお、これに応じてボーナスサーバ11は、ボーナスゲームの抽籤を行う。S19の処理が終了したら、S12の処理に戻り、単位ゲームを繰り返す。
【0115】
[賞額計算処理]
図7は、PTS端末1700のPTSコントローラ1750によって実行される賞額計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
PTSコントローラ1750は、ステップS101において、ゲーミングマシン1010から送信される単位ゲームの開始を示すゲーム開始信号を受信したか否かを判断する。ステップS101において肯定結果が得られると、このことは、ゲーミングマシン1010において新たなゲームが開始されたことを意味しており、PTSコントローラ1750はステップS101からステップS102に処理を移して、ゲーム開始信号とともにゲーミングマシン1010から送信される当該開始された時点での投入情報を取得してRAM1753に記憶する。
【0117】
投入情報とは、上述した投入積算額(Total coin in credits)と、第1の投入ポイント積算額(Total restricted amount played)と、第2の投入ポイント積算額(Total non restricted amount played)とを含む情報である。PTSコントローラ1750は、続くステップS102において、RAM1753に記憶されたこれらの情報と、前回のゲーム開始時にRAM1753に記憶された対応する情報との差分を算出することにより、これら3つの遊技価値の1ゲームにおける投入額を求めることができる。そして、さらにステップS104において、上述のステップS103において算出された差分(すなわち、1ゲームに対して投入された遊技価値の種類毎の額)に基づいて、当該1ゲームに対して投入された遊技価値の全種類の合計額に占める各種類毎の投入額の比率(各遊技価値の1ゲームにおける賭け金額比率)をそれぞれ算出する。そして、この算出された遊技媒体の種類毎の比率(賭け金額比率)をRAM1753に記憶する。なお、本実施形態においては、3つの遊技価値(現金、第1のポイント及び第2のポイント)のうち、2つの遊技価値(第1のポイント及び第2のポイント)についてその積算値の差分(1ゲームに投入された各々の額)と、1ゲーム当たりの全種類の合計投入額(1ゲームに投入された現金、第1のポイント及び第2のポイントの合計額)とから、1ゲームに投入された全遊技価値の合計投入額に占める、当該2つの遊技価値(第1のポイント及び第2のポイント)の合計投入額の比率(「Total restricted amount played/Total coin in」及び「Total non restricted amount played/Total coin in」)を算出し、これらの比率を加算した結果と「1」との差により、投入された現金の比率(Cashable wager rate)を算出するようにしているがこれに限られるものはなく、例えば、3つの遊技価値(現金、第1のポイント及び第2のポイント)の1ゲームにおける投入額を、各々の積算値の差分から算出し、その差分の合計投入額に占める比率を各遊技価値の投入比率(合計投入額に占める各遊技価値の占める比率)とするようにしてもよい。なお、2つの遊技価値(第1のポイント及び第2のポイント)の合計投入額の比率(「Total restricted amount played/Total coin in」及び「Total non restricted amount played/Total coin in」)の合計が「1」を超える場合は不正値となり、投入された現金の比率を「1」とし、第1のポイント及び第2のポイントの投入比率はいずれも「0」とするようになっている。
【0118】
また、PTSコントローラ1750は、ステップS104の処理の後、又は上述のステップS101において否定結果が得られた場合、ステップS105に処理を移して、ゲーミングマシン1010から送信された単位ゲームの終了を示すゲーム終了信号を受信したか否かを判断する。
【0119】
ステップS105において肯定結果が得られると、このことは、ゲーミングマシン1010において単位ゲーム(1ゲーム)が終了したことを意味しており、PTSコントローラ1750はステップS105からステップS106に処理を移して、ゲーム終了信号とともにゲーミングマシン1010から送信される当該終了した時点での払出積算額(Total coin out credits)を取得してRAM1753に記憶する。
【0120】
PTSコントローラ1750は、続くステップS107において、RAM1753に記憶されたこれらの情報と、前回のゲーム終了時にRAM1753に記憶された対応する情報との差分を算出し、さらにステップS108において、上述のステップS107において算出された差分(すなわち、1ゲームにおいて発生した賞額)に対して、上述のステップS104において算出された、当該1ゲームに対して投入された遊技価値の種類毎の比率(賭け金額比率)を掛けることにより、当該1ゲームにおいて発生した賞額のうちの投入した遊技価値の種類毎の賞額を算出し、当該算出結果をRAM1753に記憶する。
【0121】
そして、PTSコントローラ1750は、ステップS109において、この算出された遊技価値の種類毎の賞額を、外部からの要求に応じて出力する。具体的には、スロットマシン1010が接続された管理サーバ(例えば、複数のスロットマシン1010を設置しているカジノのホテルサーバ500等)からの要求に応じて、遊技価値の種類毎の賞額(又は賭け金額比率)を要求元であるサーバに対して出力する。これにより、管理サーバでは、各スロットマシン1010において、1ゲームに発生した賞額のうち、現金でBETした額に対する賞額と、第1の投入ポイントでBETした額に対する賞額と、第2の投入ポイントでBETした額に対する賞額とを出力する。
そして、PTSコントローラ1750は、次のゲーム開始を待ち受ける。
【0122】
このように、PTS端末1700において賞額計算処理を実行することにより、各ゲームにおいて発生する賞額のうちの、BETした遊技価値の種類毎の内訳を算出することができる。例えば、現金のBET額の積算値、第1の投入ポイントによるBET額の積算値及び第2の投入ポイントによるBET額の積算値について、ある1ゲームの前後で差分を求め、また賞額の積算値の当該1ゲームの前後での差分を求めることにより、例えば、当該1ゲームに対して、現金で1ドル、第1の投入ポイントで2ドル、第2の投入ポイントで3ドルをBETしたことが分かり、さらに、当該1ゲームにおいて、60ドルの賞額が発生したことが分った場合について説明する。この場合、これらの結果から、当該1ゲームにBETされた合計額は6ドルとなることが分かる。この6ドルの内訳として、1/6が現金でBETした賭け金額比率となり、2/6が第1の投入ポイントでBETした賭け金額比率となり、3/6が第2の投入ポイントでBETした賭け金額比率となる。これら各賭け金額比率を賞額である60ドルに掛けることにより、当該60ドルの賞額のうち、10ドルは現金でBETした分の賞額であり、20ドルは第1の投入ポイントでBETした分の賞額であり、30ドルは第2の投入ポイントでBETした分の賞額であることが分かる。なお、現金の賭け金額比率については、第1の投入ポイントの賭け金額比率である2/6と、第2の投入ポイントの賭け金額比率である3/6とを用いて、2/6と3/6との加算結果を「1」から減算することによって1/6を算出するようにしてもよく、3つ(複数)の遊技価値のうちの1つの賭け金額比率は、他の遊技価値の賭け金額比率と合計投入額とから求めることができる。
【0123】
かくして、一律に賞額として発生するゲームの結果におけるBETした遊技価値の比率毎の内訳を算出することができる。
【0124】
なお、上述の実施形態においては、ゲームに供する(BETする)遊技価値として、現金、第1の投入ポイント及び第2の投入ポイントを用いる場合について述べたが、遊技価値の種類はこれに限られるものではなく、種々の遊技価値をゲームに供する場合に適用することができる。例えば、ICカード1500内に記憶されている遊技価値情報として、第1及び第2のポイント以外の遊技価値情報が記憶されている場合は、これらについてもそのゲームに対する投入積算値を取得することにより、賞額に占める各遊技価値の比率及び額を算出することができる。具体的には、ICカード1500について上述したように、ICカード1500の第1の記憶領域AR1に第1の遊技価値情報が記憶され、第2の記憶領域AR2に第2の遊技価値情報が記憶され、第3の記憶領域AR3に第3の遊技価値情報が記憶され、第4の記憶領域AR4に第4の遊技価値情報が記憶されている場合には、これらをゲームに供する場合においても、上述の実施形態と同様にして、ゲームに供した遊技価値情報の種別(第1の遊技価値情報であるか、第2の遊技価値情報であるか、第3の遊技価値情報であるか、又は第4の遊技価値情報であるかの種別)ごとにゲームに供した(BETした)投入積算値を記憶し、当該投入積算値のゲーム前後における差分(すなわち、1ゲームに対して投入された遊技価値の種類毎の額)に基づいて、当該1ゲームに対して投入された遊技価値の全種類(第1~第4の遊技価値情報)の合計額に占める各種類毎の投入額の比率(各遊技価値の1ゲームにおける賭け金額比率)をそれぞれ算出し、この算出された遊技価値の種類毎の比率(賭け金額比率)に基づいて1ゲームの配当における各々の比率及び当該比率に応じた遊技価値(第1~第4の遊技価値情報)の種類毎の賞額を求めるようにすることもできる。
【0125】
また、上述の実施形態においては、1ゲーム毎にゲーミングマシン1010の金額メータ180に記憶される3つの遊技価値(現金、第1のポイント及び第2のポイント)の各々の積算値と、賞額の積算値をPTS端末1700においてゲーム毎に取得し、それぞれの差分に基づいて、賞額における各遊技価値の内訳を算出するようにしたが、ゲーミングマシン1010において1ゲームの結果が得られなかった場合(例えば、3つの遊技価値の1ゲームにおける投入額の合計(各積算値の1ゲーム前後の差分の合計)が「0」となった場合)、賞額計算処理(
図7)を実行せずに前回の投入額の各積算値を維持し、次回のゲーム時に得られた積算値と合計することで、2ゲーム分を1回分として計算するようにする。これにより、高速プレイ時に2ゲーム分の賭けがまとまってしまった場合においても、賞額比率を算出することが可能となる。
【0126】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0127】
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語および語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。したがって、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁および一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容およびその本質を簡易な調査で速やかに判定し得るようにするものである。したがって、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的および本発明の特有の効果を十分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
【0128】
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明および表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
[付記]
本発明のゲーミングマシンは、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンであって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記投入された前記遊技価値の種類及び当該種類毎の投入額の各ゲーム時点での積算値を投入情報として記憶する投入情報記憶部と、
前記投入された遊技価値に応じてゲームを実行するゲーム実行部と、
各ゲーム時点での賞額の積算値を払出情報として記憶する払出情報記憶部と、
前記投入情報及び前記払出情報に基づいて、前記ゲーミングマシンで実行された各ゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の割合を算出する賞額比率算出部と、
前記算出された賞額比率に関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができる。
本発明のゲーミングマシンは、上記構成において、
前記投入された遊技価値の種類を1つ又は2つ以上選択可能であるとともに、前記選択された種類毎の投入額を選択可能な選択部を備え、
前記賞額比率算出部は、前記選択部において選択された前記遊技価値の種類毎に当該種類毎の額の各ゲーム時点での積算値を前記投入情報として記憶することを特徴とする。
この構成によれば、複数種類の遊技価値を投入可能である構成において、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができる。
本発明のゲーミングマシンは、上記構成において、
前記賞額比率算出部は、1ゲームの前後における前記投入された遊技価値の積算値の差分と、前記1ゲームの前後における前記賞額の積算値の差分とに基づいて、前記1ゲームに投入された全種類の遊技価値の投入額の合計と、前記1ゲームにおいて発生した賞とを算出し、
前記算出された全種類の遊技価値の投入額の合計及び賞額と、前記投入情報とに基づいて、前記ゲーミングマシンで実行されたゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の割合を算出することを特徴とする。
この構成によれば、遊技価値の積算値の1ゲーム前後の差分により当該1ゲームに投入された遊技価値の額を算出し、この1ゲームに投入された額と、当該1ゲームにおいて発生した賞額に基づいて、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができる。
本発明のゲーミングマシンは、上記構成において、
前記賞額比率算出部は、
前記算出された、前記ゲーミングマシンで実行されたゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の割合に対して、前記1ゲームに投入された全種類の遊技価値の投入額の合計を掛けることにより、ゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の額を算出することを特徴とする。
この構成によれば、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の額を得ることができる。
本発明の情報処理装置は、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置であって、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記投入された前記遊技価値の種類及び当該種類毎の投入額の各ゲーム時点での投入積算値と、各ゲーム時点での賞額の払出積算値とに基づいて、前記ゲーミングマシンで実行された各ゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の割合を算出する賞額比率算出部と、
前記算出された賞額比率に関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができる。
本発明のゲームシステムは、
投入された遊技価値に応じてゲーム可能なゲーミングマシンと、前記ゲーミングとの間で情報を送受信可能に接続された情報処理装置とを有し、
前記ゲーミングマシンは、
ゲームを実行するゲーム実行部と、
前記情報処理装置との間で情報を送受信可能なインターフェースと、を備え、
前記情報処理装置は、
複数種類の遊技価値をゲームに投入可能な投入部と、
前記投入された前記遊技価値の種類及び当該種類毎の投入額の各ゲーム時点での投入積算値と、各ゲーム時点での賞額の払出積算値とに基づいて、前記ゲーミングマシンで実行された各ゲームの賞額に占める、前記投入された遊技価値の種類毎の割合を算出する賞額比率算出部と、
前記算出された賞額比率に関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、ゲームシステムにおいて、払い出された賞額に占める、投入された遊技価値の種類毎の割合を得ることができる。
【符号の説明】
【0129】
100 カジノシステム
500 ホテルサーバ
600 キャッシャー
601 ゲーム用チップ発行装置
1010A、1010B スロットマシン
1500 ICカード
1600 ゲーム用チップ
1700 PTS端末
2010A、2010B 遊技テーブル