IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本エネルギーパートナーズ株式会社の特許一覧

特許7189603ボイラータービン発電システムおよび発電方法
<>
  • 特許-ボイラータービン発電システムおよび発電方法 図1
  • 特許-ボイラータービン発電システムおよび発電方法 図2
  • 特許-ボイラータービン発電システムおよび発電方法 図3
  • 特許-ボイラータービン発電システムおよび発電方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ボイラータービン発電システムおよび発電方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 33/00 20060101AFI20221207BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20221207BHJP
   F22B 33/18 20060101ALI20221207BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20221207BHJP
   F22B 1/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F22B33/00
F01K27/02 D
F22B33/18
F22B35/00 A
F22B1/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018236097
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020098059
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】518449180
【氏名又は名称】日本エネルギーパートナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 伸治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良二
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-099801(JP,A)
【文献】特開2011-149658(JP,A)
【文献】特開昭58-179702(JP,A)
【文献】特開平11-343814(JP,A)
【文献】特開2016-183839(JP,A)
【文献】特開2016-035346(JP,A)
【文献】特開2004-332623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0317320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 33/00
F22B 33/18
F22B 35/00
F22B 1/02
F22B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蒸気ドラムと、
第2蒸気ドラムと、
リサイクル燃料からなる第1燃料を燃焼させ、前記第1蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させるとともに前記第1蒸気ドラムの飽和蒸気を前記第2蒸気ドラムに送気する第1ボイラと、
前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を検出する送気量検出部と、
前記送気量検出部によって検出された飽和蒸気の送気量と、所定の飽和蒸気の送気量とを比較する送気量比較部と、
前記送気量比較部が比較した結果に基づいて、前記第1ボイラに対する前記第1燃料の供給量を調整することにより、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持する送気量保持部と、
化石燃料を燃焼させ、前記第2蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させる第2ボイラと、
前記第2ボイラに設けられるとともに、前記第1ボイラおよび前記第2ボイラによって発生させられた前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する過熱器と、
前記過熱器によって生成された過熱蒸気を導入し、前記導入された過熱蒸気によって回転させられることにより動力を生成する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンによって生成された動力によって発電する発電機と、
前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記発電機による発電量を検出する発電量検出部と、
前記発電量検出部によって検出された発電量と、所定の発電量とを比較する発電量比較部と、
前記発電量比較部が比較した結果に基づいて、前記蒸気加減弁を制御して前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整することにより、前記発電機による発電量を前記所定の発電量に保持する発電量保持部と、
前記蒸気加減弁より上流に設けられ、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部によって検出された過熱蒸気の圧力と、所定の過熱蒸気の圧力とを比較する圧力比較部と、
前記圧力比較部が比較した結果に基づいて、前記第2ボイラに対する前記化石燃料の供給量を調整することにより、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を前記所定の過熱蒸気の圧力に保持する圧力保持部と、を備え、 前記送気量保持部は、前記発電量検出部によって検出された発電量にかかわらず、前記リサイクル燃料の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持する
ことを特徴とするボイラータービン発電システム。
【請求項2】
外部の蒸気の需要に応じて、前記外部の需要に対応する量の蒸気を前記蒸気タービンから抽気するとともに、前記外部に供給する蒸気供給部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラータービン発電システム。
【請求項3】
前記第2ボイラは、微粉炭ボイラである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のボイラータービン発電システム。
【請求項4】
前記第1ボイラは、流動床ボイラであり、
前記リサイクル燃料は、複数の種類からなり、
前記送気量保持部は、前記複数の種類のリサイクル燃料を所定の比率に保ちながら、前記流動床ボイラに供給する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のボイラータービン発電システム。
【請求項5】
前記所定の発電量および前記所定の飽和蒸気の送気量は、発電計画に基づいて、それぞれ計画的に変動する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のボイラータービン発電システム。
【請求項6】
前記所定の飽和蒸気の送気量は、前記過熱器が前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を適切に過熱することができるように、前記過熱器の過熱能力に基づいて設定されている
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のボイラータービン発電システム。
【請求項7】
ボイラータービン発電システムによって発電する方法であって、
第1ボイラによって、リサイクル燃料である第1燃料を燃焼させ、第1蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させるとともに前記第1蒸気ドラムの飽和蒸気を第2蒸気ドラムに送気し、
送気量検出部によって、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を検出し、
送気量比較部によって、前記送気量検出部によって検出された飽和蒸気の送気量と、所定の飽和蒸気の送気量とを比較し、
送気量保持部によって、前記送気量比較部が比較した結果に基づいて、前記第1ボイラに対する前記第1燃料の供給量を調整することにより、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持し、
第2ボイラによって、化石燃料を燃焼させ、前記第2蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させ、
前記第2ボイラに設けられた過熱器によって、前記第1ボイラおよび前記第2ボイラによって発生させられた前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を過熱して過熱蒸気を生成し、
蒸気タービンによって、前記過熱器によって生成された過熱蒸気を導入するとともに、前記導入した過熱蒸気によって、前記蒸気タービンを回転させることにより、動力を生成し、
発電機によって、前記蒸気タービンが生成した動力を利用して発電し、
発電量検出部によって、前記発電機による発電量を検出し、
発電量比較部によって、前記発電量検出部によって検出された発電量と、所定の発電量とを比較し、
発電量保持部によって、前記発電量比較部が比較した結果に基づいて、蒸気加減弁を制御して前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整することにより、前記発電機による発電量を前記所定の発電量に保持し、
前記蒸気加減弁より上流に設けられた圧力検出部によって、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を検出し、
圧力比較部によって、前記圧力検出部によって検出された過熱蒸気の圧力と、所定の過熱蒸気の圧力とを比較し、
圧力保持部によって、前記圧力比較部が比較した結果に基づいて、前記第2ボイラに対する前記化石燃料の供給量を調整することにより、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を前記所定の過熱蒸気の圧力に保持し、
前記所定の発電量および前記所定の飽和蒸気の送気量を、発電計画に基づいて、それぞれ計画的に変動させ、
かつ、前記発電量検出部によって検出された発電量にかかわらず、前記リサイクル燃料の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持する
ことを特徴とする発電方法。
【請求項8】
さらに、蒸気供給部によって、外部の蒸気の需要に応じて、前記外部の需要に対応する量の蒸気を前記蒸気タービンから抽気するとともに、前記外部に供給する
ことを特徴とする請求項に記載の発電方法。
【請求項9】
前記所定の発電量および前記所定の飽和蒸気の送気量を、発電計画に基づいて、それぞれ計画的に変動させる
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の発電方法。
【請求項10】
前記第2ボイラは、流動床ボイラであり、
前記リサイクル燃料は、複数の種類からなり、
前記送気量保持部によって、前記複数の種類のリサイクル燃料を所定の比率に保ちながら、前記流動床ボイラに供給する
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の発電方法。
【請求項11】
前記所定の飽和蒸気の送気量は、前記過熱器が前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を適切に過熱することができるように、前記過熱器の過熱能力に基づいて設定されている
ことを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル燃料を燃焼させるボイラによって生成された蒸気を蒸気タービンに導入し、蒸気タービンによって生成された動力を利用して発電するボイラータービン発電システムおよび発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラによって生成された蒸気を利用して発電するボイラータービン発電システムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のボイラータービン発電システムは、蒸気発生手段と、過熱器と、第1次タービンと、第2次タービンと、再熱器と、蒸気供給手段と、を備える。この発電システムでは、蒸気発生手段が蒸気を発生させ、過熱器がこの蒸気を過熱し、第1次タービンが過熱された蒸気を導入する。次いで、再熱器が第1次タービンから供給される蒸気を導入して再過熱し、第2次タービンが再熱器によって過熱された蒸気を導入する。蒸気供給手段は、第1次タービンから供給される蒸気または再熱器から供給される蒸気の一部を外部に供給する。
【0003】
近年、発電事業においても、地球温暖化対策としてCO排出量の削減が求められている。そこで、事業用発電ボイラの燃料としてバイオマス等の廃棄物を用いることにより、CO排出量削減をはかる方法がとられてきた(特許文献2参照)。特許文献2に記載の方法では、廃棄物を熱分解炉で加熱することにより塩素を含んだ熱分解ガスとチャー(炭化物)とに熱分解させ、熱分解ガスを燃焼装置で燃焼させ熱分解炉の熱源とし、塩素除去装置によって燃焼ガスから塩素分を除去し、チャーを石炭と混合し、火力発電装置の事業用ボイラで燃焼することにより、廃棄物を処理する。これにより、リサイクル燃料に含まれる塩素等が減少するため、塩素等によってボイラが損傷される可能性が低くなり、事業用ボイラにおけるリサイクル燃料の混焼率を従来よりも上昇させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-242522
【文献】特開2005-24193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地球環境問題の観点からより高い発電効率が求められている。この点、ボイラータービン発電システムにおける発電効率の上昇には、タービンに導入される蒸気の高温化が必要とされる。したがって、タービンに導入される蒸気の高温化をはかるためにボイラの温度を高くする必要があるが、ボイラの温度を高くすると、リサイクル燃料に含まれる塩素等がボイラを損傷する可能性が高まる。そのため、特許文献2に記載の方法によっても、リサイクル燃料による他の燃料との混焼率は、高温のボイラにおいて数%に過ぎず、CO排出量の削減をはかるには不十分であった。
【0006】
そこで、本発明の課題とするところは、CO排出量の削減をはかるとともに、高い発電効率を保持することができるボイラータービン発電システムおよび発電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラータービン発電システムは、第1蒸気ドラムと、第2蒸気ドラムと、リサイクル燃料からなる第1燃料を燃焼させ、前記第1蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させるとともに前記送気管を介して前記第1蒸気ドラムの飽和蒸気を前記第2蒸気ドラムに送気する第1ボイラと、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を検出する送気量検出部と、前記送気量検出部によって検出された飽和蒸気の送気量と所定の飽和蒸気の送気量とを比較する送気量比較部と、前記送気量比較部が比較した結果に基づいて、前記第1ボイラに対する前記第1燃料の供給量を調整することにより、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持する送気量保持部と、第2燃料を燃焼させ、前記第2蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させる第2ボイラと、前記第2ボイラに設けられるとともに、前記第1ボイラおよび前記第2ボイラによって発生させられた前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する過熱器と、前記過熱器によって生成された過熱蒸気を導入し、前記導入された過熱蒸気によって回転させられることにより動力を生成する蒸気タービンと、前記蒸気タービンによって生成された動力によって発電する発電機と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記ボイラータービン発電システムは、前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、前記発電機による発電量を検出する発電量検出部と、前記発電量検出部によって検出された発電量と所定の発電量とを比較する発電量比較部と、前記発電量比較部が比較した結果に基づいて、前記蒸気加減弁を制御して前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整することにより、前記発電機による発電量を前記所定の発電量に保持する発電量保持部と、前記蒸気加減弁より上流に設けられ、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部によって検出された過熱蒸気の圧力と所定の過熱蒸気の圧力とを比較する圧力比較部と、前記圧力比較部が比較した結果に基づいて、前記第2ボイラに対する前記第2燃料の供給量を調整することにより、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を前記所定の過熱蒸気の圧力に保持する圧力保持部と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
上記ボイラータービン発電システムは、例えば、外部の蒸気の需要に応じて、前記外部の需要に対応する量の蒸気を前記蒸気タービンから抽気するとともに、前記外部に供給する蒸気供給部をさらに備えてもよい。
【0010】
上記ボイラータービン発電システムは、例えば、前記第2燃料が化石燃料であり、前記第2ボイラが微粉炭ボイラでもよい。
【0011】
上記ボイラータービン発電システムでは、前記第1ボイラが、流動床ボイラであることが好ましい。また、上記ボイラータービン発電システムでは、前記リサイクル燃料が複数の種類から構成されていてもよく、この場合、前記送気量保持部が、前記複数の種類のリサイクル燃料を所定の比率に保ちながら、前記流動床ボイラに供給してもよい。
【0012】
上記ボイラータービン発電システムでは、発電計画が存在する場合、この発電計画に基づいて、前記所定の発電量および前記所定の飽和蒸気の送気量が、それぞれ計画的に変動するように構成されることが好ましい。
【0013】
上記ボイラータービン発電システムでは、前記過熱器が前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を適切に過熱することができるように、前記所定の飽和蒸気の送気量が、前記過熱器の過熱能力に基づいて設定されていることが好ましい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る発電方法は、ボイラータービン発電システムによって発電する方法であって、第1ボイラによって、リサイクル燃料である第1燃料を燃焼させ、第1蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させるとともに前記第1蒸気ドラムの飽和蒸気を第2蒸気ドラムに送気し、送気量検出部によって、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を検出し、送気量比較部によって、前記送気量検出部によって検出された飽和蒸気の送気量と、所定の飽和蒸気の送気量とを比較し、送気量保持部によって、前記送気量比較部が比較した結果に基づいて、前記第1ボイラに対する前記第1燃料の供給量を調整することにより、前記第1蒸気ドラムから前記第2蒸気ドラムに送気される飽和蒸気の送気量を前記所定の飽和蒸気の送気量に保持し、第2ボイラによって、第2燃料を燃焼させ、前記第2蒸気ドラム内に飽和蒸気を発生させ、前記第2ボイラに設けられた過熱器によって、前記第1ボイラおよび前記第2ボイラによって発生させられた前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を過熱して過熱蒸気を生成し、蒸気タービンによって、前記過熱器によって生成された過熱蒸気を導入するとともに、前記導入した過熱蒸気によって、前記蒸気タービンを回転させることにより、動力を生成し、発電機によって、前記蒸気タービンが生成した動力を利用して発電することを特徴とする。
【0015】
上記発電方法は、さらに、発電量検出部によって、前記発電機による発電量を検出し、発電量比較部によって、前記発電量検出部によって検出された発電量と、所定の発電量とを比較し、発電量保持部によって、前記発電量比較部が比較した結果に基づいて、蒸気加減弁を制御して前記蒸気タービンに導入される過熱蒸気の流量を調整することにより、前記発電機による発電量を前記所定の発電量に保持し、前記蒸気加減弁より上流に設けられた圧力検出部によって、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を検出し、圧力比較部によって、前記圧力検出部によって検出された過熱蒸気の圧力と、所定の過熱蒸気の圧力とを比較し、圧力保持部によって、前記圧力比較部が比較した結果に基づいて、前記第2ボイラに対する前記第2燃料の供給量を調整することにより、前記蒸気加減弁の1次側の過熱蒸気の圧力を前記所定の過熱蒸気の圧力に保持することが好ましい。
【0016】
上記発電方法は、例えば、さらに、蒸気供給部によって、外部の蒸気の需要に応じて、前記外部の需要に対応する量の蒸気を前記蒸気タービンから抽気するとともに、前記外部に供給してもよい。
【0017】
上記発電方法では、発電計画が存在する場合、その発電計画に基づいて、前記所定の発電量および前記所定の飽和蒸気の送気量を、それぞれ計画的に変動させることが好ましい。
【0018】
上記発電方法では、前記第2ボイラが流動床ボイラであることが好ましい。また、上記発電方法では、前記リサイクル燃料が複数の種類からなる場合、前記送気量保持部によって、前記複数の種類のリサイクル燃料を所定の比率に保ちながら、前記流動床ボイラに供給してもよい。
【0019】
上記発電方法では、前記過熱器が前記第2蒸気ドラムの飽和蒸気を適切に過熱することができるように、前記所定の飽和蒸気の送気量が、前記過熱器の過熱能力に基づいて設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のボイラータービン発電システムおよび発電方法は、CO排出量の削減をはかるとともに、高い発電効率を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るボイラータービン発電システムの概要を示す全体図である。
図2図1に示した発電システムにおける飽和蒸気の送気量の制御方法を示すフローチャートである。
図3図1に示した発電システムにおける発電量の制御方法を示すフローチャートである。
図4図1に示した発電システムにおける過熱蒸気の圧力の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係るボイラータービン発電システムおよびその発電方法の一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るボイラータービン発電システム(以下、単に「発電システム」という)Sの概要を示す図である。図1に示すように、発電システムSは、給水部1と、第1蒸気ドラム2と、第2蒸気ドラム3と、第1燃料供給部6と、流動床ボイラ7(第1ボイラ)と、第2燃料供給部8と、微粉炭ボイラ9(第2ボイラ)と、送気管10と、過熱器11と、主蒸気管12と、蒸気タービン13と、蒸気供給部14と、復水器15と、発電機16と、給水タンク27と、を備える。
【0024】
給水部1は、給水弁1a、1bと、給水弁制御部1c、1dと、水位検出部1e、1fと、を有する。給水弁制御部1c、1dは、給水弁1a、1bを制御することにより、第1蒸気ドラム2および第2蒸気ドラム3に水を供給する。この水は、発電システムSによって生成された蒸気によって、予め加熱されている。本実施形態では、第1蒸気ドラム2および第2蒸気ドラム3は、単胴式であるが、水ドラムを有する2胴式や3胴式でもよく、特に限定されない。
【0025】
水位検出部1eは、第1蒸気ドラム2における現在の水位と所定の水位との差を検出し、検出した水位の差を給水弁制御部1cに送信する。水位検出部1fも同様に、第2蒸気ドラム3における現在の水位と所定の水位との差を検出し、検出した水位の差を給水弁制御部1dに送信する。給水弁制御部1c、1dは、それぞれ受信した水位の差に基づいて、給水弁1a、1bを制御して第1蒸気ドラム2、第2蒸気ドラム3に供給する水の量を調整する。これにより、第1蒸気ドラム2および第2蒸気ドラム3の水位は、それぞれ所定の水位に保たれる。
【0026】
第1燃料供給部6は、流動床ボイラ7に第1燃料Rを供給する。第1燃料Rは、1つまたは複数の種類のリサイクル燃料からなる。本実施形態では、第1燃料Rは、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)である2種類のリサイクル燃料R1、R2からなるが、単なる一例であってこれに限定されない。第1燃料供給部6は、燃料供給手段6a、6bを有する。燃料供給手段6a、6bは、それぞれ第1燃料R1、R2を供給する。
【0027】
流動床ボイラ7は、第1蒸気ドラム2の下方に設けられている。本発明に係る第1ボイラを流動床ボイラ7とすることで、多種の廃棄物からなるリサイクル燃料を燃焼することができる。流動床ボイラ7は、第1蒸気ドラム2の水を導入し、加熱することにより、第1蒸気ドラム2に飽和蒸気を発生させる。具体的には、第1蒸気ドラム2の水が、第1蒸気ドラム2に設けられた降水管(図示しない)によって流動床ボイラ7に導入され加熱されて蒸気となり、蒸発管(図示しない)によって第1蒸気ドラム2に戻される。
【0028】
第2燃料供給部8は、微粉炭ボイラ9に第2燃料Cを供給する。第2燃料Cは、本実施形態では、石炭からなる。第2燃料供給部8は、石炭バンカ8aと、給炭機8bと、ミル(微粉炭機)8cと、バーナ8dと、を有する。第2燃料Cは、石炭バンカ8aから給炭機8bによってミル8cに供給され、ミル8cによって微粉砕され、燃焼用空気とともにバーナ8dから微粉炭ボイラ9内に噴射される。
【0029】
微粉炭ボイラ9は、第2蒸気ドラム3の下方に設けられている。発電システムSは、第2ボイラを微粉炭ボイラ9とすることで、高い発電効率を実現するとともにガス、油および種類の異なる石炭同士を混焼することができる。微粉炭ボイラ9は、第2蒸気ドラム3の水を導入し、加熱することにより、第2蒸気ドラム3内に飽和蒸気を発生させる。具体的には、第2蒸気ドラム3の水が、第2蒸気ドラム3に設けられた降水管(図示しない)によって微粉炭ボイラ9に導入され加熱されて蒸気となり、蒸発管(図示しない)によって第2蒸気ドラム3に戻される。
【0030】
送気管10は、一端部が第1蒸気ドラム2に連結され、他端部が第2蒸気ドラム3に連結されている。流動床ボイラ7は、第1蒸気ドラム2内の飽和蒸気の圧力が第2蒸気ドラム3内の飽和蒸気の圧力よりも高くなるように飽和蒸気を生成することにより、送気管10を介して第1蒸気ドラム2内の飽和蒸気を第2蒸気ドラム3に送気する。これにより、第2蒸気ドラム3には、流動床ボイラ7によって生成された飽和蒸気と、微粉炭ボイラ9によって生成された飽和蒸気とが混在することとなる。
【0031】
過熱器11は、長い鋼管と管寄からなり、微粉炭ボイラ9に設けられている。過熱器11は、第2蒸気ドラム3の飽和蒸気を導入するとともに飽和温度以上に過熱して、過熱蒸気を生成する。過熱器11の過熱温度は、微粉炭ボイラ9の温度に依存するので、微粉炭ボイラ9に対する第2燃料Cの供給量に比例する。
【0032】
主蒸気管12は、一端部が過熱器11に連結され、他端部が蒸気タービン13に連結されている。
【0033】
蒸気タービン13は、主蒸気管12を介して過熱器11によって生成された過熱蒸気を導入するとともに、導入した過熱蒸気によって回転させられることにより、動力を生成する。
【0034】
蒸気供給部14は、蒸気タービン13に導入された蒸気を抽気するとともに、外部の需要に対応する量の外部用蒸気VOを外部に供給する。外部は、例えば、工場でもよい。さらに、蒸気供給部14は、抽気した蒸気の所定量を発電システムS内用蒸気VIとして発電システムS内に供給する。
【0035】
復水器15は、蒸気タービン13によって利用された過熱蒸気を水に戻して給水タンク27に供給する。給水タンク27に供給された水は、ポンプによって給水部1に供給される。給水部1は、脱気器1gと、給水加熱器1hと、をさらに有する。給水部1に供給された水は、脱気器1gによって非凝縮性ガスを除去され、ポンプによって給水加熱器1hに供給され、給水加熱器1hによって加熱される。蒸気タービン13によって、発電システムS内に供給された発電システムS内用蒸気VIは、脱気器1gおよび給水加熱器1hにおいて使用される。
【0036】
発電機16は、蒸気タービン13に接続されている。発電機16は、蒸気タービン13によって生成された動力によって発電し、発電した電力を電力系統に送電する。
【0037】
上述のように、発電システムSでは、過熱器11が設けられていない流動床ボイラ7においてのみリサイクル燃料R1、R2が燃焼されることにより、リサイクル燃料R1、R2が高温で燃焼されリサイクル燃料R1、R2に含まれる塩素等によって、流動床ボイラ7が損傷させられることが防止される。また、過熱器11が設けられた微粉炭ボイラ9には、リサイクル燃料R1、R2が供給されないので、微粉炭ボイラ9は、リサイクル燃料R1、R2に含まれる塩素等によって損傷させられることがない。このように、発電システムSは、リサイクル燃料R1、R2によって設備が損傷させられることを防止することができるので、リサイクル燃料を他の燃料と混焼する従来の発電システムに比して、塩素、硫黄成分等の濃度が高いリサイクル燃料を使用することができ、しかも、発電システムS全体の燃料におけるリサイクル燃料R1、R2の割合を大幅に高めることもできる。
【0038】
次に、図1および図2を参照して、発電システムSにおける第1蒸気ドラム2から第2蒸気ドラム3に送気される飽和蒸気の送気量の制御について説明する。図1に示すように、発電システムSは、送気量検出部24と、送気量比較部25と、送気量保持部26と、をさらに備える。
【0039】
送気量検出部24は、送気管10を通って、第1蒸気ドラム2から第2蒸気ドラム3に送気される飽和蒸気の送気量(以下、単に「飽和蒸気の送気量」という)F1を検出する(図2のS1)。
【0040】
送気量比較部25は、送気量検出部24によって検出された飽和蒸気の送気量F1と、所定の飽和蒸気の送気量RFとを比較する(図2のS2)。発電システムSでは、過熱器11の過熱能力を超えて飽和蒸気が過熱器11に過剰に供給されると、過熱器11が飽和蒸気を適切に過熱できず、生成される過熱蒸気の温度が低下して発電効率が低下する。そこで、高い発電効率を保持するために、発電計画および過熱器11の過熱能力に基づいて、予め飽和蒸気の送気量を設定している。例えば、夜間における所定の飽和蒸気の送気量RFは、夜間における所定の発電量RQが昼間よりも低く設定されていれば、所定の発電量RQと同様に昼間よりも低く設定される。
【0041】
送気量保持部26は、送気量比較部25が比較した結果に基づいて、流動床ボイラ7に対する第1燃料R1、R2の供給量を調整することにより、飽和蒸気の送気量F1を所定の飽和蒸気の送気量RFに保持する(図2のS3~S5)。具体的には、送気量保持部26は、送気量比較部25によって飽和蒸気の送気量F1が所定の飽和蒸気の送気量RFよりも少ない(すなわち、F1<RF)と判定されると、第1燃料供給部6を制御して流動床ボイラ7に対する第1燃料R1、R2の供給量を増加させる(図2のS3、S4)。流動床ボイラ7に対する第1燃料R1、R2の供給量が増加すると流動床ボイラ7の温度が上昇するので、流動床ボイラ7によって生成される飽和蒸気量が増加する。一方、送気量保持部26は、送気量比較部25によって飽和蒸気の送気量F1が所定の飽和蒸気の送気量RFよりも多い(すなわち、F1>RF)と判定されると、第1燃料供給部6を制御して流動床ボイラ7に対する第1燃料R1、R2の供給量を減少させる(図2のS3、S5)。これにより、送気量保持部26は、流動床ボイラ7に対する第1燃料R1、R2の供給量を増加させるときとは逆の作用によって、流動床ボイラ7が生成する飽和蒸気量を減少させる。
【0042】
また、送気量保持部26は、第1燃料Rが複数の種類からなる場合には、第1燃料供給部6を制御し、各燃料を所定の比率に保ちながら流動床ボイラ7に供給してもよい。送気量保持部26は、第1燃料R1、R2を所定の比率で供給することにより、第1燃料R1、R2の物性が異なっていても、流動床ボイラ7の温度を定量的に制御し、飽和蒸気の送気量F1を定量的に制御することができる。
【0043】
これらにより、送気量保持部26は、飽和蒸気の送気量F1を所定の飽和蒸気の送気量RFに保持するので、過熱器11の過熱能力を超えて飽和蒸気が過熱器11に過剰に供給され、生成される過熱蒸気の温度が低下することを防止することができる。したがって、発電システムSは、高い発電効率を保持することができる。
【0044】
次に、図1および図3を参照して、発電システムSにおける発電量の制御について説明する。図1に示すように、発電システムSは、蒸気加減弁17と、発電量検出部18と、発電量比較部19と、ガバナ20(発電量保持部)と、をさらに備える。
【0045】
蒸気加減弁17は、蒸気タービン13の入口に設けられている。蒸気加減弁17は、弁開度を調節することにより、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気の流量を調整する。蒸気加減弁17は、蒸気タービン13と一体的に構成されていてもよい。
【0046】
発電量検出部18は、発電機16による発電量Q1を検出する(図3のS1)。発電機16による発電量Q1は、外部の蒸気の需要により変動する。具体的には、蒸気タービン13によって生成される動力は、蒸気タービン13に導入された過熱蒸気のうちの一部が復水器15に排出される前に蒸気供給部14によって抽気されることにより減少するので、外部の蒸気の需要が変動すると、蒸気供給部14によって蒸気タービン13から抽気される抽気蒸気量が変動し、これにより、蒸気タービン13によって生成される動力が変動し、その結果、発電機16による発電量Q1も変動する。
【0047】
発電量比較部19は、発電量検出部18が検出した発電量Q1と、所定の発電量RQとを比較する(図3のS2)。発電システムSによって発電した電力を売電する場合には、計画的に発電する必要がある。したがって、予め日時ごとに電力系統に送電するための発電量RQが設定されている。所定の発電量RQは、例えば、夜間には、昼間に比して低く設定されていてもよい。
【0048】
ガバナ20は、発電量比較部19が比較した結果に基づいて、蒸気加減弁17の弁開度を制御することにより、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気量を制御する(図3のS3~S5)。具体的には、ガバナ20は、発電量検出部18によって検出された発電量Q1が所定の発電量RQよりも下回っている(すなわち、Q1<RQ)ときには、蒸気加減弁17の弁開度を大きくすることで蒸気タービン13に供給される過熱蒸気量を増加させ(図3のS3、S4)、発電量検出部18によって検出された発電量Q1が所定の発電量RQよりも上回っている(すなわち、Q1>RQ)ときには、蒸気加減弁17の弁開度を小さくする(図3のS3、S5)ことで蒸気タービン13に供給される過熱蒸気量を減少させる。これにより、ガバナ20は、発電機16による発電量Q1を所定の発電量RQに保持する。
【0049】
以上のように、発電機16による発電量Q1は、ガバナ20によって所定の発電量RQに調整されるので、発電システムSは、外部による蒸気の需要が変動しても、発電計画に基づいて、電力系統に電力を送電することができる。
【0050】
次に、図1および図4を参照して、発電システムSにおける過熱蒸気の圧力の制御について説明する。図1に示すように、発電システムSは、圧力検出部21と、圧力比較部22と、圧力保持部23と、をさらに備える。
【0051】
圧力検出部21は、主蒸気管12、すなわち、蒸気加減弁17より上流に設けられている。圧力検出部21は、蒸気加減弁17の1次側の過熱蒸気の圧力P1を検出する(図4のS1)。
【0052】
圧力比較部22は、圧力検出部21が検出した圧力P1と、所定の過熱蒸気の圧力RPとを比較する(図4のS2)。
【0053】
発電システムSの発電効率を高く保持するためには、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気が所定の温度に保持されなければならない。この点、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気の流量が変動すると、過熱蒸気の圧力P1が変動するとともに蒸気加減弁17の1次側の過熱蒸気の温度も変動する。そこで、発電システムSは、目標とする発電効率に基づいて、予め過熱蒸気の圧力RPが設定されており、過熱蒸気の圧力P1を所定の圧力RPに保持することにより、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気の温度を所定の温度に保持し、高い発電効率を保持する。
【0054】
なお、蒸気加減弁17の1次側の過熱蒸気の圧力P1は、具体的には、過熱器11が生成する過熱蒸気量と、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気量との差に基づいて変動する。蒸気タービン13に導入される過熱蒸気量は、所定の発電量RQに対する発電機16の発電量Q1に基づいて、ガバナ20によって調整されるところ、発電機16の発電量Q1は、外部における蒸気の需要に基づく蒸気供給部14による蒸気の抽気量によって変動する。したがって、蒸気加減弁17の1次側の過熱蒸気の圧力P1は、過熱器11が生成する過熱蒸気量と、外部における蒸気の需要と、所定の発電量RQと、に基づいて変動する。また、過熱器11が生成する過熱蒸気量は、第1蒸気ドラム2からの飽和蒸気の送気量F1と、微粉炭ボイラ9によって生成される飽和蒸気量と、の総飽和蒸気量に基づく。飽和蒸気の送気量F1は、送気量保持部26によって送気量RFに保持されているので、過熱器11が生成する過熱蒸気量は、微粉炭ボイラ9が生成する飽和蒸気量によって変動させられる。
【0055】
圧力保持部23は、圧力比較部22が比較した結果に基づいて、蒸気加減弁17の1次側の過熱蒸気の圧力P1を所定の圧力RPに保持する(図4のS3~S5)。具体的には、圧力保持部23は、圧力比較部22によって、過熱蒸気の圧力P1が所定の圧力RPよりも低い(すなわち、P1<RP)と判定されると、給炭機8bを制御して微粉炭ボイラ9に対する第2燃料Cの供給量を増加させる(図4のS3、S4)。これにより、微粉炭ボイラ9の温度が上昇するので、微粉炭ボイラ9によって生成される飽和蒸気量が増加するとともに過熱器11に供給される飽和蒸気量も増加し、その結果、過熱器11によって生成される過熱蒸気量が増加する。また、微粉炭ボイラ9の温度が上昇するとともに過熱器11の温度も上昇するので、過熱器11によって生成される過熱蒸気の温度も維持される。一方、圧力保持部23は、圧力比較部22によって、過熱蒸気の圧力P1が所定の圧力RPよりも高い(すなわち、P1>RP)と判定されると、給炭機8bを制御して微粉炭ボイラ9に対する第2燃料Cの供給量を減少させる(図4のS3、S5)。これにより、圧力保持部23は、微粉炭ボイラ9に対する第2燃料Cの供給量を増加させるときとは逆の作用によって、過熱器11によって生成される過熱蒸気の圧力を維持しつつ、過熱器11によって生成される過熱蒸気量を減少させる。これらにより、圧力保持部23は、過熱蒸気の圧力P1を所定の圧力RPに保持する。
【0056】
このように、発電システムSは、外部の蒸気の需要の変動に基づいて蒸気タービン13に導入される過熱蒸気量を変動させても、圧力保持部23によって過熱蒸気の圧力P1を所定の圧力RPに保持するので、高い発電効率を保持することができる。
【0057】
さらに、発電システムSは、所定の発電量RQとともに所定の飽和蒸気の送気量RFも発電計画に基づいて設定されているので、発電計画に基づき、ガバナ20によって蒸気タービン13に導入される過熱蒸気量を変動させた場合、圧力保持部23によって微粉炭ボイラ9が生成する飽和蒸気量を変動させるとともに送気量保持部26によって飽和蒸気の送気量F1を変動させることにより、過熱器11によって生成され蒸気タービン13に導入される過熱蒸気の温度を所定の温度に保持するので、高い発電効率を保持することができる。すなわち、発電システムSは、夜間等において低く設定された所定の発電量RQに基づいて微粉炭ボイラ9の温度を低下させた場合にも、第1蒸気ドラム2から第2蒸気ドラム3に飽和蒸気が過剰に送気されることを防止するので、過熱器11によって生成する過熱蒸気の温度が下がり発電効率が低下することを防止することができる。
【0058】
以上のように、発電システムSおよびその発電方法によれば、第1燃料R1、R2を過熱器11が設けられていない流動床ボイラ7において燃焼させることにより、リサイクル燃料を他の燃料と混焼する従来の発電システムに比して、CO排出量を大きく削減することができる。
【0059】
また、発電システムSおよびその発電方法では、外部の蒸気の需要の変動による発電量Q1の変動に対しては、ガバナ20による過熱蒸気の流量の制御および圧力保持部23による第2燃料Cの供給量の制御によって対応し、発電計画による所定の発電量RQの変動に対しては、上記2つの制御に加えて送気量保持部26による第1燃料R1、R2の供給量の制御によって対応することにより、所定の発電量RQを保持するとともに高い発電効率を保持することができる。
【0060】
さらに、発電システムSおよびその発電方法では、高精度の制御が可能な微粉炭ボイラ9を第2ボイラとし、かつ、物性の安定している化石燃料のうちの石炭を第2燃料Cとして使用することにより、所定の発電量RQおよび高い発電効率を保持するとともに、安定した運転制御を得ることができる。
【0061】
以上、本発明に係る発電システムSおよびその発電方法の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0062】
(1)第1燃料Rは、例えば、木質バイオマス燃料(間伐材、建築廃材等)、PKS(Palm Kernel Shell)、といったバイオマス燃料、スラッジまたはRDF(Refuse Derived Fuel)といった廃棄物からなる燃料でもよい。
【0063】
(2)第2ボイラは、微粉炭ボイラ9に限定されず、例えば、油焚きボイラでもよい。この場合、第2燃料Cは、重油でもよい。また、第2ボイラは、ガス焚ボイラでもよい。この場合、第2燃料Cは、LPG(液化石油ガス)やLNG(液化天然ガス)などのガスでもよい。
【0064】
(3)蒸気加減弁17は、蒸気タービン13に導入される過熱蒸気の流量を調節できるのであれば、例えば、主蒸気管12に設けられていてもよい。
【0065】
(4)送気量保持部26は、第1燃料Rが複数の種類からなる場合には、第1燃料供給部6を制御し、第1燃料Rのうちの一部の燃料の供給量を固定し、他の燃料の供給量を変動させて、飽和蒸気の送気量F1を所定の飽和蒸気の送気量RFに保持してもよい。この場合、送気量保持部26は、供給量を変動する側の燃料供給手段のみを制御することにより、飽和蒸気の送気量F1を調整する。このように、発電システムSは、送気量検出部24、送気量比較部25および送気量保持部26を備えていることにより、各燃料間の比率を変動させながら第1燃料Rを流動床ボイラ7に供給しつつ、飽和蒸気の送気量F1を所定の飽和蒸気の送気量RFに保持することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 給水部
1a、1b 給水弁
1c、1d 給水弁制御部
1e、1f 水位検出部
1g 脱気器
1h 給水加熱器
2 第1蒸気ドラム
3 第2蒸気ドラム
6 第1燃料供給部
6a、6b 燃料供給手段
7 流動床ボイラ(第1ボイラ)
8 第2燃料供給部
8a 石炭バンカ
8b 給炭機
8c ミル(微粉炭機)
8d バーナ
9 微粉炭ボイラ(第2ボイラ)
10 送気管
11 過熱器
12 主蒸気管
13 蒸気タービン
14 蒸気供給部
15 復水器
16 発電機
17 蒸気加減弁
18 発電量検出部
19 発電量比較部
20 ガバナ(発電量保持部)
21 圧力検出部
22 圧力比較部
23 圧力保持部
24 送気量検出部
25 送気量比較部
26 送気量保持部
27 給水タンク
S ボイラータービン発電システム
VI 発電システムS内用蒸気
VO 外部用蒸気
C 第2燃料
R1、R2 第1燃料(リサイクル燃料)
図1
図2
図3
図4