(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】浄水装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20221207BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D65/02 530
(21)【出願番号】P 2019027909
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】509314334
【氏名又は名称】株式会社エイアイティ
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【氏名又は名称】星野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田鍋 文啓
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-116659(JP,A)
【文献】特開昭62-095189(JP,A)
【文献】特開2010-149030(JP,A)
【文献】特開平07-083370(JP,A)
【文献】特開平05-051095(JP,A)
【文献】特開昭56-084685(JP,A)
【文献】特開2007-136384(JP,A)
【文献】特開2000-189964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を貯水する給水タンクと、前記給水タンクからコネクタを介して原水を加圧ポンプへ供給する原水供給管と、
前記加圧ポンプから送水される原水中の不純物を除去して浄水を生成する逆浸透膜を含む浄化フィルタ部と、
前記逆浸透膜の浄化作用により生ずる濃縮水を、流水調整部を介して前記給水タンクへ帰還させる濃縮水帰還管と、
前記浄水を貯水する浄水タンクと、前記浄水タンクから浄水を取り出す浄水取出部と、
を具備する浄水装置であって、
前記給水タンクは上方に給水口、下方の側面または底面に前記原水供給管および前記濃縮水帰還管と繋がるコネクタ部を備え、
該コネクタ部は、給水タンクに装着する第1のコネクタと、該第1のコネクタに脱着自在に嵌合し、前記原水供給管および前記濃縮水帰還管と接続する第2のコネクタからなり、前記第1および第2のコネクタの接続部は、前記原水供給管の原水および前記濃縮水帰還管の濃縮水を同心円状にそれぞれ流体連通させ、前記第1のコネクタは、前記第2のコネクタの接続時には原水の通流を可能にし、前記第2のコネクタの分離時には原水の通流を禁止する弁機構を備えたことを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
前記第1のコネクタの給水タンク内に突出する2つの管のうち、一方は前記原水供給管と流体連通する管であって、前記給水タンク内の原水を取り入れる取水口を有し、他方は前記濃縮水帰還管と流体連通する管であって、前記給水タンク上方に向けて延在して前記取水口よりも高い位置に排出口を有することを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
浄化フィルタ部と流水調整部との間に介装され、一定の圧力を検知したときに検知信号を出力する高圧スイッチと、
前記手動スイッチや前記高圧スイッチの状態を入力して、前記排水制御弁や前記加圧ポンプを制御する演算処理手段と、
を備え、
前記加圧ポンプの取水口は、前記給水タンク内の取水口よりも下方に設置されおり、
前記演算処理手段は、
前記検知信号に基いて前記給水タンク内の原水の交換時期の到来を通知することを特徴とする請求項1または2に記載の浄水装置。
【請求項4】
前記流水調整部は、管内の流量を調整するための排水調整弁と、該排水調整弁と並列に接続し弁の開閉により前記排水調整弁をバイパスさせるか否かを制御する排水制御弁からなり、
給水タンクのセット後に給水完了を知らせるためのタンクスイッチを備え、
前記演算処理手段は、
電源投入時あるいは前記タンクスイッチの状態変化を検知して、所定時間、前記排水制御弁が開状態で前記加圧ポンプを稼動することにより前記逆浸透膜をフラッシング洗浄し、
その後、前記排水制御弁を閉状態にして、浄水処理を実行するとともに、一定周期でフラッシング洗浄処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の浄水装置。
【請求項5】
前記浄水タンクに満水であることを検知する高水位センサと、一定の水位に低下したことを検知する低水位センサと、を備え、
前記演算処理手段は、
前記高水位センサにより、前記浄水タンクが満水であることを検知したときは、加圧ポンプを停止し、その後、前記低水位センサにより、浄水タンク内の水量の低下を検知したときは、加圧ポンプを稼動し、
前記高水位センサの検知する水位および前記低水位センサの検知する水位は、両水位の差に相当する前記浄水タンク内の蓄水量が前記演算処理手段が実行するフラッシング洗浄処理の実行間隔内に浄水生成可能量よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の浄水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を利用した循環型の浄水装置に係り、特に給水タンクの交換作業など保守が容易で簡易な構成の浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浄水装置は、給水タンク内の原水を加圧ポンプで吸い上げ、フィルタを通して、浄水を生成する一方、逆浸透膜の浄化作用により生ずる濃縮水は給水タンクへ戻して原水として再利用していた。この構成の浄水装置は、原水を吸い上げるための原水供給管や、濃縮水を給水タンクへ戻すための濃縮水帰還管を給水タンクの上蓋から挿入するのが一般的であった。(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、特に原水供給管は、給水タンクの下部近くまで延在するため、給水タンクの原水の交換時は、上蓋を外して原水供給管や濃縮水帰還管を給水タンクから引き出す必要があった。このため、交換作業に手間が掛かり、また構造上、給水タンクの上方に管を着脱するための十分な空間を設ける必要があった。
【0004】
また、従来は給水タンク内の原水の不純物濃度を計測し、その不純物濃度が一定値以上になると加圧ポンプを停止して、給水タンクの原水の交換が必要である旨のアラームを出力していた。このため不純物の濃度センサ等を備えるためのコストを要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、給水タンク内の水の交換作業などの保守が容易で、かつ濃度センサ等を不要として簡易な構成の浄水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の浄水装置においては、
原水を貯水する給水タンクと、前記給水タンクからコネクタを介して原水を加圧ポンプへ供給する原水供給管と、
前記加圧ポンプから送水される原水中の不純物を除去して浄水を生成する逆浸透膜を含む浄化フィルタ部と、
前記逆浸透膜の浄化作用により生ずる濃縮水を、流水調整部を介して前記給水タンクへ帰還させる濃縮水帰還管と、
前記浄水を貯水する浄水タンクと、前記浄水タンクから浄水を取り出す浄水取出部と、
を具備する浄水装置であって、
前記給水タンクは上方に給水口、下方の側面または底面に前記原水供給管および前記濃縮水帰還管と繋がるコネクタ部を備え、
該コネクタ部は、給水タンクに装着する第1のコネクタと、該第1のコネクタに脱着自在に嵌合し、前記原水供給管および前記濃縮水帰還管と接続する第2のコネクタからなり、前記第1および第2のコネクタの接続部は、前記原水供給管の原水および前記濃縮水帰還管の濃縮水を同心円状に流体連通させ、前記第1のコネクタは、前記第2のコネクタの嵌合時には原水の通流を可能にし、前記第2のコネクタの分離時には原水の通流を禁止する弁機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
特に、第1のコネクタにおいて、同心円状に形成された流体連通部の内側を原水の通流用、外側を濃縮水の通流に割り当て、内側の流体連通部に弁機構を設けて第2のコネクタ分離時に原水の通流を禁止させるのが簡易な構成となり好ましい。勿論、外側、内側の両流体連通部に弁機構を設けて、第2のコネクタ分離時に原水、濃縮水の両方の通流を禁止するようにしても良い。そして第1のコネクタと第2のコネクタを同心円状の流体連通部を中心軸として回転嵌合させる構造により、浄水装置内の異なる方向から来る原水供給管および濃縮水帰還管をそれぞれ給水タンク内の管と同時にかつ簡便に連結、分離することができる。
【0009】
本開示の浄水装置では、給水タンクの着脱時においてコネクタ内部の弁の作動により自動的にバルブを閉じて、給水タンク移動時の水たれを最小限に抑えることができる。
また、本開示に係わる浄水装置の前記第1のコネクタの給水タンク内に突出する2つの管のうち、一方は前記原水供給管と流体連通する管であって、略水平に突出して給水タンク内の水を取り入れる取水口を有し、他方は前記濃縮水帰還管と流体連通する管であって、前記給水タンク上方に向けて延在して前記取水口よりも高い位置に排出口を有することを特徴とする。
【0010】
特に取水口の位置は、原水の不純物濃度の許容値によって決定するのが好ましい。浄水装置は設置先ごとに原水の供給元(一般水道水か河川か等)が決まることが多い。本開示によれば、給水タンクの満水時の水量および取水口の高さによって決まる原水交換時の水量によって原水再利用時における原水内の不純物濃度を管理することが可能となるので、不純物の濃度センサを省くことができる。
【0011】
好ましくは、取水口の位置を調整可能にすると良い。浄水装置の設置先ごとに、原水の水質が良いときは取水口を低い位置に設定し、原水の水質が悪いときは取水口を高い位置に設定することができるので、不純物濃度の管理がより正確かつ容易になり、同時に浄水の品質を維持することができる。
【0012】
なお、取水口の位置の調整は、複数の管を連結可能にしたり、管を蛇腹など伸縮自在にすることによって上方に延びる高さを調整できるようにして実現することができる。
あるいは取水口の位置の調整に代えて、水質により給水タンクに入れる水の量(高さ)を示す目盛りを給水タンクの表面に設けるようにしても良い。たとえば、水道水の場合は高い目盛りまで水を補給し、河川などの水質の悪いところは低い目盛り位置に留めることにより、原水内の不純物濃度を管理することができる。
【0013】
なお、給水タンクのコネクタ部をタンク内部側に対して外部側を所定角度高くすることにより水たれ防止効果を高めることができる。このときの角度は、[管の開口径/管の水平長さ]とすることができる。
【0014】
また、本開示に係わる浄水装置は、浄化フィルタ部と流水調整部との間に介装され、一定の圧力を検知したときに検知信号を出力する高圧スイッチと、
前記手動スイッチや前記高圧スイッチの状態を入力して、前記排水制御弁や前記加圧ポンプを制御する演算処理手段と、
を備え、
前記加圧ポンプの取水口は、前記給水タンク内の取水口よりも下方に設置されおり、
前記演算処理手段は、
前記検知信号に基いて、前記加圧ポンプの作動を停止させるとともに、前記給水タンク内の原水の交換時期の到来を通知することを特徴とする。
【0015】
本開示による浄水装置の演算処理手段は、浄水時に高圧スイッチの前記検知信号により濃縮水帰還管内の圧力が一定値以下であることを検出し、これが一定時間継続すると、給水タンク内の原水が交換時期に達したと判定してアラーム出力する。
【0016】
具体的には、給水タンクにおいてタンク水量が低水位レベルに達した場合に操作パネルにある「タンク低水位ランプ」を点滅させると同時にブザー音により使用者に警告を発し、給水タンクの原水の交換を促す。本開示によれば、給水タンクの原水が低水位時において自動的に加圧ポンプの作動を停止させることにより、加圧ポンプの空気流入による空転を防ぎ電気系統への負荷を減らし、故障や事故の原因を低減させることができる。
【0017】
また、本開示に係わる浄水装置の前記流水調整部は、管内の流量を調整するための排水調整弁と、該排水調整弁と並列に接続し弁の開閉により前記排水調整弁をバイパスさせるか否かを制御する排水制御弁からなり、
給水タンクのセット後に手動操作することにより給水完了を知らせるタンクスイッチを備え、
前記演算処理手段は、
電源投入時あるいは前記タンクスイッチの状態変化を検知して、所定時間、前記排水制御弁が開状態で前記加圧ポンプを稼動することにより前記逆浸透膜をフラッシング洗浄し、その後、前記排水制御弁を閉状態にして、浄水処理を実行するとともに、一定周期でフラッシング洗浄処理を実行することを特徴とする。
【0018】
本開示によれば、給水タンクに還流する濃縮水の制御弁を一定時間ごとに開放することにより、逆浸透膜フィルタ(R.O.メンブレンフィルタ)をフラッシング洗浄し、逆浸透膜フィルタの不純物除去能力の保持を長期化することができる。
【0019】
このとき、演算処理手段の交換時期到来の判定時点でセットし、前記手動スイッチの動作を検知してリセットするラッチ回路であって電源断ではリセットしないラッチ回路を備え、当該ラッチ回路の状態に基いて、加圧ポンプを稼動または停止させるのが好ましい。これにより、演算処理手段は、電源投入時にラッチ回路の状態を読み込んで、給水タンク内の原水が交換の必要なものか否かを適切に検知することができる。
【0020】
また、本開示に係わる浄水装置は、前記浄水タンクに満水であることを検知する高水位センサと、一定の水位に低下したことを検知する低水位センサと、を備え、
前記演算処理手段は、
前記高水位センサにより、前記浄水タンクが満水であることを検知したときは、加圧ポンプを停止し、その後、前記低水位センサにより、浄水タンク内の水量の低下を検知したときは、加圧ポンプを稼動し、
前記高水位センサの検知する水位および前記低水位センサの検知する水位は、両水位の差に相当する前記浄水タンク内の蓄水量が、前記演算処理手段が実行するフラッシング洗浄処理の実行間隔内に浄水生成可能量よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、フラッシング洗浄の頻繁な繰り返しを防止して、適切なタイミングでフラッシング洗浄と浄水処理を行うことができる。
【0022】
また、本開示による浄水装置の浄水の供給時における蛇口付近の雑菌などの汚染から防止するために温水使用時には必ず冷水ラインも含め高温水が流入し、熱殺菌を施す機能を特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の浄水装置においては、給水タンク内の水の交換作業などの保守が容易で、かつ濃度センサ等を不要として簡易な構成の浄水装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態による浄水装置のブロック図である。
【
図2】
図1のコネクタの原理を説明するための断面図である。
【
図5】
図1のコネクタのロック手段の構成説明図である。
【
図6】
図1のコネクタのロック手段の作用説明図である。
【
図7】
図1のコネクタに挿入される延長チューブの説明図である。
【
図8】
図1のコネクタの他の実施例によるロック手段の作用説明図である。
【
図9】
図1の冷水・温水出口の構成の説明図である。
【
図10】
図1の制御回路の電源投入時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図1の制御回路の給水タンク交換時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図1の制御回路の他の実施例による電源投入時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図12のEmptyフラグをリセットする手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図1の制御回路の他の実施例による給水タンク交換時の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る浄水装置の第1の実施の形態を
図1に基づいて説明する。
図1において、本実施の形態による浄水装置1は、水道水や天然水等の原水を貯留する給水タンク2を備えている。この給水タンク2は、コネクタ3を介して原水供給管21および濃縮水帰還管22と接続している。原水供給管21は、原水を循環系に押し出す加圧ポンプ4に接続されている。加圧ポンプ4は連結管23によって、原水中の不純物を除去して浄水を生成するRO膜フィルター52を含む浄化フィルタ部5、RO膜の浄化作用により生ずる濃縮水を給水タンク2の方へ帰還させるための連結管24、浄化フィルタ部5によって浄化された浄水を貯留する冷却タンク9、前記浄化フィルタ部5から浄水を冷却タンク9に供給する連結管27を備えている。
【0026】
冷却タンク9の下部には冷却装置(図示せず)が付設されており、貯留水を一定の温度まで冷却して冷水化することができる。冷却温度は任意に設定することができる。冷却タンク9には2本の連結管28、29が冷却タンク9内に連通して取り付けられている。連結管28の一端は冷却タンク9の連結管29の取水口位置よりも高く、冷却装置が付設されていない位置から浄水を取り込むように構成され、その他端は加熱タンク10の上部に延設されている。加熱タンク10は加熱ヒータ(図示せず)により加熱され、連結管28を通じて冷却タンク9から供給された浄水を加熱して温水化する。加熱タンク10の底面にはドレイン管32が配設され、ドレイン管32は開閉弁を有する温水排出口14から排出可能になっている。
【0027】
また加熱タンク10には連結管30が接続され、連結管30の一端は温水電磁弁11と接続している。温水電磁弁11の他端は連結管31により冷水・温水出口13に接続されている。一方、冷却タンク9の底部からは連結管29を介して冷水電磁弁12と接続され、この冷水電磁弁12の直下に前記冷水・温水出口13が配設されている。
【0028】
前記浄化フィルタ部5は、RO膜フィルター52と、その前後に配設された2つの活性炭槽であるプレフィルター51、ポストフィルター53を備えている。プレフィルター51とRO膜フィルター52は連結管33により連結されている。ポストフィルター53とRO膜フィルター52は連結管34により連結されている。プレフィルター51、ポストフィルター53は必要により複数台設けるようにしても良い。最前段のプレフィルター51の原水導入口には、加圧ポンプ4からの連結管23が接続されている。
【0029】
後述する制御回路40からの駆動信号S4により駆動制御される加圧ポンプ4から送り出された原水は連結管23を介してプレフィルター51を通過し、活性炭の吸着作用により、原水に含まれる塩素イオンや有機化合物等の有害物質を吸着して除去する。活性炭前処理を施された原水は、RO膜フィルター52の給水口に流入される。
【0030】
RO膜フィルター52は、RO膜を収納した筒状容器であり、その容器上には、給水口、浄水排出口及び濃縮水排出口が設けられている。浄水排出口からは給水した水から不純物を高度に除去した純水が排出され、濃縮水排出口からは逆浸透作用により生じた濃縮水が排出される。
【0031】
RO膜フィルター52の浄水排出口は連結管34を介してポストフィルター53に接続されている。RO膜フィルター52の濃縮水排出口は連結管24を介して高圧スイッチ6の一端に連結している。高圧スイッチの他端はT字管15を介して並列に排水調整弁7、排水制御弁8と接続されている。そして、排水調整弁7、排水制御弁8の他端はT字管16を介して、濃縮水帰還管22と接続している。給水タンク2が装着されているときは、給水タンク2内の原水供給管35および濃縮水帰還管36は、コネクタ3を介して夫々給水タンク外の原水供給管21および濃縮水帰還管22と接続する。なお原水供給管35は、給水タンク2内の低位置から給水し、濃縮水帰還管36は、給水タンク2内の高位置に排水するように構成されている。なお原水供給管35の取水口は、水平上向きに形成されるのが好ましい。これにより給水タンクの水位が原水供給管35の取水口の高さまで下がったときに、空気の混入した原水が長時間加圧ポンプ4側に供給されることを避けることができる。
【0032】
RO膜フィルター52を経て不純物が濃縮された濃縮水は給水タンク2に帰還し、濃縮水帰還管36から排出され、再処理に供される。すなわち給水タンク2に戻された濃縮水は原水となって原水供給管35の取水口から取り入れられ、加圧ポンプ4により再び前記浄化フィルタ部5に送水される循環型浄水処理システムが構成されている。
【0033】
(制御回路40の構成)
制御回路40は、外部からの信号を入力処理する入力手段、入力した信号を演算処理する演算処理手段、演算結果を出力する出力手段、データを記憶する記憶手段(図示せず)を備えている。
【0034】
入力手段の処理する信号としては、給水タンク交換時に手動でオフ・オンするタンクスイッチの状態や、高圧スイッチ6の圧力検出状態などがある。演算処理手段には、主に電源投入時処理と給水タンク交換時処理を実行する。出力手段は、前記各処理の実行結果である給水交換時期の到来を通知するためのアラーム信号、排水制御弁の開閉信号、加圧ポンプの駆動信号を出力する。
【0035】
制御回路40は、演算処理手段としてマイクロプロセッサ(以下、「CPU」という。)40aを備え、上記入力した信号を演算処理する。この処理手順については後述する。
【0036】
(排水調整弁7に並設された排水制御弁8の処理)
通常浄水生成時には、排水制御弁8は閉じられ、管に内蔵された排水調整弁7により流量を制御しながらRO膜フィルターに圧力を掛けて浄水する。しかし冷却タンク9の満水状態が続き、循環する水の動きがほとんど無い場合には正の浸透の作用によりRO膜フィルター内部に濃縮された水が滞留し、浄水効率を低下させる要因となる。
【0037】
このため、制御回路40は、一定の時間間隔(例えば30分ごとに排水制御弁8に対して開放指令S3を出力する。排水制御弁8は、開放指令S3を受信すると、排水制御弁8を開放状態にして流量を増加させ、RO膜をフラッシング洗浄する。
【0038】
これにより、内部に滞留した濃縮水をRO膜フィルター外に排水し、RO膜フィルターをクリーニングして除去率低下を防ぐことができる。
【0039】
(浄水提供処理)
RO膜フィルター52により生成された浄水は、ポストフィルター53の浄水導入口に流入される。ポストフィルター53に導入された浄水はフィルター(活性炭槽)を通過することにより、原水に含まれる微量の残留物質も取り除かれて、ポストフィルター53の浄水排水口に接続された連結管27を通じて冷却タンク9に排出される。
【0040】
浄水提供部9aは、冷却タンク9又は加熱タンク10の浄水を蛇口(冷水・温水出口)13を通じて冷水又は温水として提供可能に構成されている。連結管27の排水端は、冷却タンク9の上蓋に取着され、その排水口から浄水が冷却タンク9内部に貯水される。また、冷却タンク9の上蓋には、タンク内部に向けて、UVランプ(紫外線殺菌灯)91と、フロートスイッチ(液面センサ)92が取り付けられている。UVランプ91は制御回路40からの制御指令により点灯・消灯制御される。
【0041】
フロートスイッチ92は収容された浄水液面に接触することにより、所定量の浄水が貯留されているか否かを検出する。即ち、フロートスイッチ92は所定量の浄水が貯留されていることを検出する検出手段であり、液面の上昇・下降に応じて上下動するフロートにより、液面の上限位置と下限位置を検出する。フロートスイッチ92が液面の上限位置Hおよび下限位置Lを検出したときそれぞれ検出信号S2a,S2bを出力する。制御回路40は、まず上限位置Hの検出信号S2aの受信により、加圧ポンプ4を停止させて、冷却タンク9への浄水の送水を停止させる。その後、制御回路40は、下限位置Lの検出信号S2bの受信により、駆動信号S4を加圧ポンプ4に送信して駆動させて浄水の生成を再開する。このように、フロートスイッチ92による浄水量の監視と連動した加圧ポンプ4の間欠駆動により、冷却タンク9内の浄水が一定の水位に保持されるように浄水量の制御が行われる。
【0042】
(給水タンク2のコネクタ3の構造)
次に
図2を参照して給水タンク2に装着するコネクタ3の基本原理を説明する。
図2は、基本原理を説明するための断面図であり、嵌合構造の詳細などは割愛している。また、コネクタ3において、管壁を形成する部分のみにハッチングを施し、弁などの稼動部分にはハッチングを施さずに表している。
【0043】
コネクタ3は、給水タンク2へ直接装着するコネクタ3aと、コネクタ3aに嵌合するコネクタ3bで構成される。コネクタ3bには、加圧ポンプへ行く原水供給管21と、流水調整部7aから配設される濃縮水帰還管22が接続されている。
【0044】
このコネクタ3bにおいて、コネクタ3aとの接続部は、同心円状に流水経路が形成されており、原水供給管21は中心側の管61b、濃縮水帰還管22は外側の管62bにそれぞれ接続されている。一方、コネクタ3aにおいても、その接続部は、コネクタ3bと同様に同心円状に流水経路が形成され、原水供給管35は中心側の管61a、濃縮水帰還管36は外側の管62aにそれぞれ接続されている。このように構成されたコネクタ3a,3bは嵌合連結されると、同心円状の管の中心側(61a,61b)では原水、その外側(62a,62b)では濃縮水をそれぞれ流通させることができる。
【0045】
なお、コネクタ3aでは、中心側は逆止弁63aを備え、コネクタ3bの接続時は、
図2(b)に示すようにコネクタ3bの突起63bにより逆止弁バネ64aが押された状態になり、パッキン65aが管61aの開口部から離れ、その結果、逆止弁63aが開状態になる。コネクタ3bが取り外されたときは、
図2(a)に示すように逆止弁バネ64aがその復元力により伸びて、パッキン65aが管61aの開口部を塞ぐことになる。これにより、逆止弁63aが閉じられ、給水タンク2から外部への原水の流出を防ぐことができる。
【0046】
なお、
図2においては、濃縮水側は弁を備えず、常に流通可能な状態になっている。給水タンク交換時は、通常は加圧ポンプが停止状態であるので、濃縮水の流出はほとんどない。しかし、濃縮水帰還管22から外側の管62bへの入口に逆止弁を設けることも勿論可能である。
【0047】
図3に本実施例によるコネクタ3の断面図を示す。
図3(a)はコネクタ嵌合時の原水の流れ、
図3(b)はコネクタ嵌合時の濃縮水の流れをそれぞれ示している。
図3(c)は、逆止弁を構成する主な部品を示している。
【0048】
次に
図4~
図7を用いて、コネクタ3a,3bの構造をさらに詳細に説明する。
図4は、一実施例によるコネクタ3a,3bを挿入面から見た図である。なお、コネクタ3a,3bが給水タンク2に装着された際、運用時には
図7に示すように濃縮水帰還管36の排水口側に給水タンク上方に向けて延長チューブ37が設けられるが、
図4では図示していない。
【0049】
コネクタ3a,3bの接合部は、それぞれ外側管壁69a,69b、および内側管壁68a,68bで区切られた同心円状の二重管構造となっている。コネクタ3bの外側管壁69bの内側にコネクタ3bの外側管壁69aが嵌合し、コネクタ3bの内側管壁68bの内側にコネクタ3aの内側管壁68aが嵌合する。そして、原水は内側管壁68a,68bの内側に形成された管61a,61bを通流し、濃縮水は内側管壁68a,68bと外側管壁69a,69bの間に形成された管62a,62bを通流する。コネクタ3bは、内側管壁68bの内側に突起63bを備えており、この突起63bで、コネクタ3aの逆止弁63aのヘッドを押し込むことにより、パッキン65aが開口部から離れ逆止弁63aが開く。
【0050】
次に
図5を用いて、コネクタ3a,3bを嵌合固定するロック手段について説明する。コネクタ3aは、
図5(c)に示すように、一点鎖線で表す給水タンク2の外壁に挿通されたコネクタ本体71aと固定手段72aとで当該外壁を挟着することによって、給水タンク2に取り付けられる。このコネクタ3aには、中心軸に対して対称位置にロック手段80aを2つ備えている。このロック手段80aは、外側管壁69aの外側表面に凸状に形成され、挿入面に対して一定の傾斜勾配を有する傾斜スライド部81a、挿入面と略平行な面を有する平行スライド部82aを備えている。
【0051】
図5(a),(b)に、コネクタ3bのロック手段80bを示す。ロック手段80bは、コネクタ3bの外側管壁69bの内側表面上、ロック手段80aに対応する位置に、凸状に形成され、挿入面に対して傾斜勾配を有する傾斜スライド部81b、挿入面と略平行な面を有する平行スライド部82bを備えている。
【0052】
次にコネクタ3a,3bの着脱時のロック手段80a,80bの作用について説明する。なお、コネクタの着脱作業は、コネクタ3bに原水供給管、濃縮水帰還管が装着された状態で行われるが、
図5(a),(b)において、原水供給管、濃縮水帰還管の記載は省略している。
【0053】
コネクタ3bを取り付ける際は、使用者はコネクタ3bをコネクタ3aに挿入し、本実施例においては右方向に回転させる。すると、ロック手段80bの傾斜スライド部81bとロック手段80aの傾斜スライド部81aが当接し、傾斜スライド部81bが傾斜スライド部81a上を滑動する。滑動途中の状態を
図6(a)に示す。この結果、コネクタ3bは、さらに深くコネクタ3aに挿入されることになる。
【0054】
使用者によってコネクタ3bがコネクタ3aに挿入された段階、すなわち傾斜スライド部81bの滑動前に、管61a,61bおよび管62a,62bがそれぞれ流体連通可能状態になり、傾斜スライド部81bの滑動中に逆止弁63aが開くように、突起63bの高さを決めることができる。そして、コネクタ3bの挿入面が、コネクタ3aの固定手段72aに当接した時点で、傾斜スライド部81a,81bによる滑動から、平行スライド部82a,82bによる滑動に移行する。
【0055】
図5(b)に示すように、コネクタ3bのロック手段80bは、平行スライド部82bからさらに奥側(挿入面と反対側)に向けて挿入面に対してある角度で傾斜した面を有する傾斜スライド部83bを備えており、右方向(装着方向)の回転によりやがてはコネクタ3aの傾斜スライド部81aがコネクタ3bの傾斜スライド部83bに当接する。これにより使用者はコネクタ3bが正しく装着されたことを知覚することができる。
【0056】
一方、コネクタ3bを取り外す際は、使用者はコネクタ3bを左方向に回転させる。これにより、コネクタ3bの平行スライド部82bがコネクタ3aの平行スライド部82a上を滑動する。さらに左回転させるとコネクタ3aにおけるロック手段80aの角部83aが、コネクタ3bにおける対抗する(隣の)ロック手段80bの傾斜スライド部83bに当接し、その後その傾斜スライド部83に沿って滑動する。その結果、コネクタ3bは徐々にコネクタ3aから離れ、使用者は容易にコネクタ3bを取り外すことができる。
【0057】
なお上述したように、コネクタ取り付けの際、傾斜スライド部81a,81bの滑動中に逆止弁63aが開くように突起63bの高さを決めておけば、取り外しの際も、逆止弁63aが閉じた後に、管61a,61bおよび管62a,62bがそれぞれ分離される。
【0058】
なお上記の説明においてコネクタ3bの傾斜スライド部81bは、一定の傾斜角を設定する必要はなく、傾斜スライド部81a上で滑動可能な凸部を有すれば十分である。
【0059】
(他の実施例)
以上、平行スライド部82a,82bは、挿入面に対して略平行であるとして説明した。しかしながら、
図8(a)に示すようにコネクタ3aの平行スライド部82aを挿入面に対して、ある角度γだけ傾斜させ、これに接するコネクタ3bの平行スライド部82bも同じ角度だけ傾斜させるようにしても良い。これにより、傾斜スライド部81a,81bによる滑動から、平行スライド部82a,82bに移行したときに、コネクタ3a,3bの材料(例えば、プラスチック)の弾性復元力により、係止力を生じさせることができる。すなわち、コネクタ取り付け時において、傾斜スライド部81a,81bの滑動を進めると、コネクタ3bの挿入面が、コネクタ3aの固定手段72aに当接し、このとき
図8(b)に示すように傾斜スライド部81bは、まだ傾斜スライド部81a上にある。この状態において、コネクタ3bをさらに右方向へ回転させると、コネクタ3a,3bの弾性変形により傾斜スライド部81bは、傾斜スライド部81aを通過し、平行スライド部82aの方へ移行する。そして、
図8(c)に示すように、コネクタ3a,3bの弾性復元力により平行スライド部82a,82bが密着した状態で係止する。
【0060】
(濃縮水の濃度管理方法)
濃縮水の濃度は、例えば濃縮水帰還管36に装着される延長チューブの高さを可変にすることによって実現することができる。使用者は、コネクタ3bを取り外して給水タンクに原水を充填するとき、延長チューブの排出口よりも高く原水を充填するとその原水は濃縮帰還管36を通りコネクタ3aの外に排出されるため、給水タンク内に充填される原水量は延長チューブの高さによって決まる。一方、原水供給管の取水口は逆止弁により閉じられているため、原水供給管を通って外部へ排出されることはない。このため、原水供給管の取水口を一定の高さにしておけば、帰還水の濃度管理は、延長チューブの長さによって管理可能になる。
なお、原水供給管の取水口にも、高さ調整可能な第2の延長チューブを取り付け、これにより濃縮水の濃度管理を行うようにしても良い。
【0061】
(冷水・温水出口付近の構造)
次に、本実施の形態による浄水装置の蛇口部の構造について
図9を用いて説明する。
この図に示すように、浄水装置の蛇口部は、蛇口から垂直方向に流出させる構造になっている。これにより冷水が管内蛇口付近に停滞しないようにしている。一方、温水は、その蛇口に横方向から流出するようにする。これにより、蛇口付近は、温水により熱殺菌され、横方向の管に残った温水も、それ自体も熱殺菌されたものであるので、常に衛生状態を保つことができる。
【0062】
(制御回路の動作)
次の本実施の形態による浄水装置の制御回路(演算処理手段、以下「CPU」という。)40の動作を
図10,
図11に基いて説明する。
【0063】
1.電源投入時の動作(
図10参照)
電源が投入されると制御回路40のマイクロプロセッサ(以下、CPUという。)40aは電源投入時処理を実行する。電源投入時処理では、手動でオン・オフさせるタンクスイッチがオンか否かを判定し(S101)、オンでない場合は(S101で「No」)、給水タンクの水が交換時期に達したことを示すLED(以下、「Empty LED」という。)を点滅させる(S102)。
【0064】
一方、タンクスイッチがオンの場合は(S101で「Yes」)、排水制御弁8に開放指令を出力するとともに、加圧ポンプ4に駆動指令を出力する(S103)。これにより、排水制御弁8が開放状態になる。加圧ポンプ4の取水口は、コネクタ3よりも低い位置になるように設置されているので、給水タンク2の原水は重力により加圧ポンプ4に流れる。そして加圧ポンプ4により押し出された原水は、連結管23、浄化フィルタ部5、排水制御弁8、および濃縮水帰還管22を通って給水タンク2へ帰還する。これにより、RO膜フィルター52のフラッシング洗浄が実行される。このとき、RO膜フィルタ52を通して浄水は生成されない。
【0065】
CPU40aは、フラッシング洗浄を一定時間(たとえば30秒間)続けた後(S104)、排水制御弁8に閉指令を出力する(S105)。これにより、排水制御弁8は閉じて、排水調整弁7により一定の圧力がRO膜フィルター52に加わる。これにより、RO膜フィルタ52を通して浄水が生成され、ポストフィルター52によってさらに浄化された後、連結管27を通して冷却タンク9に蓄水される。
【0066】
CPU40aは、浄水の生成中、常に高圧スイッチ6の検出信号S1の状態を監視し(S106)、一定時間(例えば5分間)、高圧状態を検知しない場合は(S110)、給水タンク2が空の状態、すなわち低水位に達したと判定して、原水交換時期であることを示すEmpty LEDを点滅させ、アラーム出力する(S111)。そして加圧ポンプ4に停止指令を出力する(S112)。なお、給水タンク2が空か否かの判定アルゴリズムは、予め設定した第1の時間以内にそれよりも短い第2の時間以上連続して高圧状態を検知しない場合は空(原水交換時期)であると判定するのが好ましい。給水タンクが空か否かを高圧スイッチによって判定する場合、空状態になるまで原水供給管35から空気の混じった原水が取り込まれることになるが、この場合一定圧力以上ならば高圧(オン)、それより低ければ低圧(オフ)となるような高圧スイッチを用いた場合、給水タンクが空に近づくと検知結果が不安定になる可能性があるが、この手法によれば、より安定的に給水タンクの空判定を行うことができ、かつ濃縮水帰還管22内に残留する水を極力少なくして、給水タンク交換時における濃縮水帰還管22からの水たれを低減することが可能となる。本実施の形態では、5分以内に10秒以上高圧状態を検知しない場合は、給水タンクは空(原水交換時期)であると判定している(S106,S107,S110)。
【0067】
2.給水タンク水交換時の動作(
図11参照)
上述したように、給水タンクが空になると、CPU40aは、Empty LEDを点滅させ、またブザー等を鳴動させてアラーム出力を行う。使用者は、この通知により給水タンク内の水の交換時期が到来したことを知ると、給水タンクのコネクタを分離する。そして、給水タンク内の濃縮水を廃棄して、新たな原水を給水タンクに目印を付された満水位置まで充填すると、給水タンクのコネクタを連結して、タンクスイッチをオフ・オン操作する。
【0068】
CPU40aは、タンクスイッチのオフ・オンを検知すると(S201で「Yes」)、Empty LEDを消灯し(S203)、フラッシング洗浄処理(S204,S205)および浄水・給水タンク空判定処理(S206~S213)を実行する。フラッシング洗浄処理、浄水・給水タンク空判定処理については、上述した電源投入時処理の手順と同様であるので説明を割愛する。
【0069】
3.他の実施例
図12~
図14に、電源投入時処理、給水タンクの水交換時処理の他の実施例を示す。本実施例では、給水タンク内の水の交換時期が到来したときにセットし、交換後にリセットされるEmptyフラグを内部データとしてCPU40aの記憶部に保存し、タンクスイッチのオフからオンへのイベント発生により起動してEmptyフラグをリセットする割込みルーチンを設けた。
【0070】
以下、
図10,
図11との相違点を中心に説明する。
図12に示す電源投入時処理では、給水タンクセット判定処理において、タンクスイッチがオンの場合(S101)、続いてEmptyフラグをオフにする。また、ステップS110で水なし(交換時期到来)の判定の場合、Emptyフラグをオンにする(S110a)。そして、加圧ポンプをオフにして処理を終了する前に、給水タンク交換時処理手段を起動する(S113)。
【0071】
一方、Emptyフラグリセットルーチンは、
図13に示すように、タンクスイッチのオフからオンへのイベント発生により起動すると、Emptyフラグをオフにする。
給水タンクの水交換時処理は、電源投入時処理の中で起動されると、以降は定周期で起動するルーチンである。
図14において、給水タンクの水交換時処理ルーチンは起動すると、Emptyフラグがオフか否かを判定し(S201a)、オフでない場合は、Empty LEDの点滅を継続する(S202)。なお、本実施の形態では、給水タンクの水交換時処理ルーチンの起動間隔は、使用者がアラーム(たとえばブザー音)を十分認識可能な時間間隔を想定しているため、アラームについてはオフするようにしているが、給水タンクの水交換時処理ルーチンが一定回数起動したとき、あるいはEmptyフラグをオフするタイミングでアラームをオフするようにしてもよい。また、ステップS211で水なし(交換時期到来)の判定の場合、Emptyフラグをオンにする(S211a)。
【0072】
本実施例では、Emptyフラグを設ける一方、タンクスイッチのオフからオンへの変化検出を給水タンクの水交換時処理とは別の独立したルーチンで実行し、当該ルーチンにおいて、Emptyフラグをリセットし、給水タンクの水交換時処理では、このEmptyフラグの状態によって給水タンクの水が交換されたか否かを判定するようにしたので、浄水タンクの水位が下がりフロートスイッチがオンすることにより加圧ポンプが停止した場合などでも安定的に動作させることが可能となる。
【0073】
以上、本実施の形態によれば、それぞれ異なる方向から来る原水供給管と濃縮水帰還管を同心円状の二重の管に変換して、相対回転させて脱着可能なコネクタ構成とし、中心側の原水供給管には逆止弁を設けたので、給水タンク交換時の水たれを低減し、交換作業の煩雑さを緩和することができる。
【0074】
また、給水タンク内の原水取入口の高さと、満水時の水量とで原水交換時期を管理できるので、濃度センサを不要としてコストの低減を図ることができる。
【0075】
さらに、前記原水取入口よりも、加圧ポンプの給水口の高さを低くすることにより、原水が自然に加圧ポンプに供給されるので、加圧ポンプは吸込能力は要求されず、吐出能力のみを考慮すればよいので、加圧ポンプ選定の省力化を図ることができ、また安価な加圧ポンプの採用が可能となる。
【0076】
また、高圧スイッチの圧力を監視することにより、給水タンクの原水が低位レベルに達したことを検知して、加圧ポンプを停止させて、アラーム出力するので、使用者は原水の交換時期を容易に知ることができる。
【0077】
さらに、浄水処理中のみならず、電源投入時、給水タンク交換時、冷水タンクの水位低下時の浄水処理再開時に、フラッシング洗浄をするので、加圧ポンプや浄化フィルタ部を含む循環系全体に確実に水を満たしてから浄水処理を行うことができる。
【0078】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。たとえば、上記説明において、タンクスイッチは、手動でオン・オフさせるスイッチとして説明したが、タンクスイッチの取り外し、取り付け時に自動的にオフ、オンするスイッチ(例えば感圧スイッチ)を用いるようにしても良い。また、Emptyフラグは、ソフトウェアで管理することも可能であるが、給水タンクの交換時期の到来でセットされ、タンクスイッチの変化でリセットするラッチ回路の出力によって管理するようにしても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 浄水装置
2 給水タンク
3,3a,3b コネクタ
4 加圧ポンプ
5 浄化フィルタ部
6 高圧スイッチ
7 排水調整弁
7a 流水調整部
8 排水制御弁
9 冷却タンク
9a 浄水提供部
10 加熱タンク
11 温水電磁弁
12 冷水電磁弁
13 冷水・温水出口
14 温水排出口
15,16 T字管
21 原水供給管
22 濃縮水帰還管
23,24,27,28,29,30,31,33,34 連結管
35 原水供給管
36 濃縮水帰還管
40 制御回路
51 プレフィルター
52 逆浸透膜フィルター
52 ポストフィルタ
63a 逆止弁
64a 逆止弁バネ
91 UVランプ
92 フロートスイッチ