IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイ.エス.テイの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ポリイミド膜
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20221207BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20221207BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C08G73/10
H05K1/03 610N
C08J5/18 CFG
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019511161
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012023
(87)【国際公開番号】W WO2018186215
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2017076855
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391059399
【氏名又は名称】株式会社アイ.エス.テイ
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】白井 友貴
(72)【発明者】
【氏名】森内 幸司
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6253172(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/148441(WO,A1)
【文献】特開2012-041473(JP,A)
【文献】特開2016-000462(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051827(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0046463(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00 - 73/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位と、
2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位、および、4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位と、
2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来部位と、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)由来部位、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位とから成るポリイミド樹脂から成り、
片面をメチルエチルケトン(MEK)で濡らしたときの引張伸びが3.5%以上35%以下の範囲内である
ポリイミド膜。
【請求項2】
全てのテトラカルボン酸系化合物由来部位に対する前記ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位のモル分率が70mol%以上99mol%以下の範囲内である
請求項1に記載のポリイミド膜。
【請求項3】
全てのテトラカルボン酸系化合物由来部位に対する前記2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位、および、前記4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位のモル分率が1mol%以上30mol%以下の範囲内である
請求項1または2に記載のポリイミド膜。
【請求項4】
全てのジアミン由来部位に対する前記2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来部位のモル分率が40mol%以上98mol%以下の範囲内である
請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミド膜。
【請求項5】
全てのジアミン由来部位に対する前記3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)由来部位、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位のモル分率が2mol%以上60mol%以下の範囲内である
請求項1から4のいずれか1項に記載のポリイミド膜。
【請求項6】
引張強度が100MPa以上500MPa以下の範囲内である
請求項1から5のいずれか1項に記載のポリイミド膜。
【請求項7】
前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度が260℃以上350℃以下の範囲内である
請求項1から6のいずれか1項に記載のポリイミド膜。
【請求項8】
光ファイバー、液晶表示面の基板、エレクトロルミネッセンスの基板、導波管用保護被膜および太陽電池用保護被膜のうち少なくとも一つの用途に用いられる
請求項1から7のいずれか1項に記載のポリイミド膜。
【請求項9】
ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位と、
2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位、および、4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位と、
2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来部位と、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)由来部位、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位とから成るポリイミド樹脂から成り、
面をメチルエチルケトン(MEK)で濡らしたときの引張伸びが3.5%以上35%以下の範囲内である
発光素子実装用の回路基板、カバーレイ、または、バーコード印刷用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバー、液晶表示面の基板、エレクトロルミネッセンスの基板、保護シートなどに有用なポリイミド膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド膜は、一般的に優れた熱安定性、電気的特定および機械的特性を有しており、比較的厳しい環境下で使用される様々な製品に適用されている。ところで、ポリイミド膜は、膜形成に至るまでの過酷な熱履歴のために白濁化したり、黄色または褐色に着色したりしているものが多い。このように白濁化したポリイミド膜や、着色したポリイミド膜は、液晶ディスプレイ装置のフィルム基板として適用された場合、その視野を暗くするだけでなく、液晶ディスプレイ装置本来の機能を損ねてしまう。そこで、そのような問題を解決するために無色透明のポリイミド膜が開発されてきた。そして、今や、無色透明のポリイミド膜は、液晶ディスプレイ装置、光ファイバーケーブル被膜、導波管および太陽電池用保護被膜などにフィルムとして広範囲に用いられている(例えば、特開昭62-7733号公報、特開2000-313804号公報、特開2012-040836号公報、韓国公開特許第10-2015-0046463号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-7733号公報
【文献】特開2000-313804号公報
【文献】特開2012-040836号公報
【文献】韓国公開特許第10-2015-0046463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従前の無色透明のポリイミド膜は、フレキシブルプリント回路基板等の作製時に使用されるメチルエチルケトンに対する耐性が低く、張力がかかった場合に破断してしまうという不具合があった。
【0005】
本発明の課題は、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前よりも低コストで生産することが可能であり、また、従前のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いポリイミド膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るポリイミド膜は、特定のポリイミド樹脂から成る。なお、ここで、ポリイミド膜には、フィルムや、シート、管状体が含まれる。特定のポリイミド樹脂は、ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位と、2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位、および、4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来部位と、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)由来部位、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位とから成る。なお、ここで、テトラカルボン酸系化合物由来部位は、「テトラカルボン酸」または「テトラカルボン酸二無水物や、テトラカルボン酸ジエステル等のテトラカルボン酸誘導体」に由来する部位を意味し、ジアミン由来部位は「ジアミン」に由来する部位を意味する。また、本発明に係るポリイミド膜の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲内であるが、7.5μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましく、10μm以上30μm以下の範囲内であることがより好ましい。そして、このポリイミド膜は、片面をメチルエチルケトン(MEK)で濡らしたときの引張伸びが3.5%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、5.0%以上25%以下の範囲内であることがより好ましい。ポリイミド膜がこのような物性を有することにより、フレキシブルプリント回路基板等の作製時においてこのポリイミド膜に銅箔を張り付ける際にポリイミド膜が破断することがないからである
【0007】
なお、本発明に係るポリイミド膜は、ビフェニルテトラカルボン酸系化合物と、2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物、および、4,4’-オキシジフタル酸系化合物より成る群から選択される少なくとも1つと、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンと、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンより成る群から選択される少なくとも1つとを用いて調製されたポリイミド前駆体溶液から形成される。そのポリイミド前駆体溶液は、上述のテトラカルボン酸系化合物と上述のジアミンとが極性有機溶媒中で反応させられることによって得られる。なお、ポリイミド前駆体溶液を調製する際、本発明の本質を損なわない範囲で、既知の全ての芳香族テトラカルボン酸系化合物または芳香族ジアミンを添加することができる。また、ポリイミド膜の目的や用途に応じて、複数種類のテトラカルボン酸系化合物中の各テトラカルボン酸系化合物のモル比を適宜調整することができる。
【0008】
上述のポリイミド前駆体溶液の調製のために使用される有機溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、フェノ-ル、クレゾ-ル、キシレノ-ル、レゾルシン、3-クロロフェノ-ル、4-クロロフェノ-ル、3-ブロモフェノ-ル、4-ブロモフェノ-ル、2-クロロ-5-ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、スルホラン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフランおよびジオキソラン等が挙げられる。これらの中でもN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)は好適に用いられる。また、これらの溶媒は2種以上併用されてもよい。
【0009】
また、上述のポリイミド前駆体溶液には、本発明の本質を損なわない範囲内で、分散剤、固体潤滑剤、沈降防止剤、レベリング剤、表面調節剤、水分吸収剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、皮張り防止剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐剤、増粘剤などの公知の添加剤が添加されてもよい。
【0010】
そして、本発明に係るポリイミド膜は、上述のポリイミド前駆体溶液から塗膜を形成し、その塗膜をイミド転化させることによって得られる。
【0011】
なお、上述のポリイミド膜の特定のポリイミド樹脂において、全てのテトラカルボン酸系化合物由来部位に対するビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位のモル分率が70mol%以上99mol%以下の範囲内であることが好ましく、80mol%以上97.5mol%以下の範囲内であることがより好ましく、90mol%以上95mol%以下の範囲内であることがより好ましい。テトラカルボン酸系化合物由来部位に対するビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)のモル比が50mol%以上であるポリイミド膜は、高いガラス転移温度を有し、液晶ディスプレイやフレキシブルプリント基板などの製造時において半田付けなどを行う際に、十分な耐熱性を保持できるためである。
【0012】
ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)由来部位はビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)から形成されるが、ビフェニルテトラカルボン酸系化合物(BPDA)としては、「ビフェニルテトラカルボン酸」または「ビフェニルテトラカルボン酸二無水物や、ビフェニルテトラカルボン酸ジエステル等のビフェニルテトラカルボン酸誘導体」が挙げられる。なお、ビフェニルテトラカルボン酸はビフェニルテトラカルボン酸二無水物を公知の方法によって加水分解することによって得ることができ、ビフェニルテトラカルボン酸ジエステルはビフェニルテトラカルボン酸二無水物を公知の方法によってジエステル化することによって得ることができる。
【0013】
また、上述のポリイミド膜を形成する特定のポリイミド樹脂において、全てのテトラカルボン酸系化合物由来部位に対する2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位、および、4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位のモル分率が1mol%以上30mol%以下の範囲内であることが好ましく、2.5mol%以上20mol%以下の範囲内であることがより好ましく、5mol%以上10mol%以下の範囲内であることがさらに好ましい。このような特定のポリイミド樹脂から成るポリイミド膜は、白濁化の度合いが極めて低く、高い透明性を維持することができるためである。
【0014】
2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物(BPADA)由来部位は2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物から形成され、4,4’-オキシジフタル酸系化合物(ODPA)由来部位は4,4’-オキシジフタル酸系化合物から形成されるが、2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン系化合物としては、「2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン」または「2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物や、2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジエステル等の2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン誘導体」が挙げられ、4,4’-オキシジフタル酸系化合物としては、「4,4’-オキシジフタル酸」または「4,4’-オキシジフタル酸二無水物や、4,4’-オキシジフタル酸ジエステル等の4,4’-オキシジフタル酸誘導体」が挙げられる。なお、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物を公知の方法によって加水分解することによって芳香族テトラカルボン酸を得ることができ、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物を公知の方法によってジエステル化することによって芳香族テトラカルボン酸ジエステルを得ることができる。
【0015】
また、上述のポリイミド膜の特定のポリイミド樹脂において、全てのジアミン由来部位に対する2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来部位のモル分率が40mol%以上98mol%以下の範囲内であることが好ましく、50mol%以上95mol%以下の範囲内であることがより好ましく、60mol%以上90mol%以下の範囲内であることがさらに好ましい。このような特定のポリイミド樹脂から成るポリイミド膜は、優れた透明性を示すことができるからである。
【0016】
また、上述のポリイミド膜を形成する特定のポリイミド樹脂において、全てのジアミン由来部位に対する3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)由来部位、および、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)由来部位より成る群から選択される少なくとも1つの部位のモル分率が2mol%以上60mol%以下の範囲内であることが好ましく、5mol%以上50mol%以下の範囲内であることがより好ましく、10mol%以上40mol%以下の範囲内であることがさらに好ましい。このような特定のポリイミド樹脂から成るポリイミド膜は、原料コストが低くなるからである。
【0017】
また、上述のポリイミド膜は、その引張強度が100MPa以上500MPa以下の範囲内であることが好ましい。
【0018】
また、上述のポリイミド膜の特定のポリイミド樹脂は、そのガラス転移温度が260℃以上350℃以下の範囲内であることが好ましい。このポリイミド膜のガラス転移温度が260℃以上であれば、このポリイミド膜がフレキシブルプリント回路基板等に組み込まれている場合においてそのフレキシブルプリント回路基板等に実装部品が半田付けされる際に、ポリイミド膜が十分な耐熱性を有するため、フレキシブルプリント回路基板等の物性低下などを防ぐことができるからである。
【0019】
また、上述のポリイミド膜の全光線透過率は、ポリイミド膜の膜厚が25μmであるとき、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0020】
また、上述のポリイミド膜の黄色度は、ポリイミド膜の膜厚が25μmであるとき、8.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることがさらに好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を用いて本発明に係るポリイミド膜について詳述する。
【実施例1】
【0022】
1.ポリイミド前駆体溶液の調製
18.86gのビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、0.34gの2,2-ビス[3,4-(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)と、20.32gの2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)と、0.32gの4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)とを、110.17gのN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)中で反応させ、固形分20wt%のポリイミド前駆体溶液を調製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は99mol%および1mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび4,4’-DDSのそれぞれのモル分率は98mol%および2mol%であった。
【0023】
2.ポリイミド膜の作製
上述のポリイミド前駆体溶液をガラス基板上に塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を70℃のオーブンに入れ、20分経過後にそのオーブンを120℃まで昇温させた。なお、このとき、オーブンの温度が70℃から120℃に達するのに20分の時間を要した。オーブンの温度が120℃に達してからその温度を20分間維持し、その後、オーブンを300℃まで昇温させた。なお、このとき、オーブンの温度が120℃から300℃に達するのに39分の時間を要した。オーブンの温度が300℃に達してからその温度を5分間維持した。その結果、ガラス基板上に膜厚25μmのポリイミド膜が形成された。そして、ガラス基板上のポリイミド膜をガラス基板から剥離して目的のポリイミド膜を得た。
【0024】
3.ポリイミド膜の物性測定
以下の通り、得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度(乾燥時)、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びおよびガラス転移温度を求めた。
【0025】
(1)ポリイミド膜のヘイズ値及び全光線透過率
スガ試験機製ヘイズメータ(HGM-2DP)を用いて、旧JISK7105に基づいて、ポリイミド膜のヘイズ値及び全光線透過率を測定したところ、そのヘイズ値は0.4%、全光線透過率は90.5%であった。なお、このとき、b値や黄色度(Yellowness index)も同時に測定された。そのb値は2.4であり、黄色度は4.0であった。
【0026】
(2)ポリイミド膜の引張強度
島津製作所製オートグラフAGS-10kNGを用いて、引張速度50mm/分でポリイミド膜の引張強度を測定した測定したところ、その引張強度は200MPaであった。なお、このとき、引張弾性率や引張伸びも同時に測定された。その引張弾性率は4.4GPaであり、引張伸びは21.3%であった。
【0027】
(3)メチルエチルケトンで濡れた状態のポリイミド膜の引張伸び
島津製作所製オートグラフAGS-10kNGのチャックにポリイミド膜をセットした後に、そのポリイミド膜の片面全面をメチルエチルケトンで濡らしてから引張速度50mm/分でそのポリイミド膜を引っ張り、そのときの引張伸び(破断伸び)を測定したところ、その引張伸びは17.8%であった。
【0028】
(4)ポリイミド膜のガラス転移温度
セイコーインスツルメント社製動的粘弾性装置(DM6100)を用いて、以下に示す条件でポリイミド膜のガラス転移温度を測定したところ、そのガラス転移温度は347℃であった。
-測定条件-
測定環境:大気雰囲気下
フィルムサイズ:縦30mm×横8mm
正弦荷重:振幅98mN,周波数1.0Hz
昇温速度:2℃/min
【0029】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例2】
【0030】
BPDAの添加量を18.53gに代え、BPADAの添加量を0.84gに代え、TFMBの添加量を19.65gに代え、4,4’-DDSの添加量を0.80gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は97.5mol%および2.5mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび4,4’-DDSのそれぞれのモル分率は95mol%および5mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0031】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.5%であり、全光線透過率は90.5%であり、引張強度は175MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは15.2%であり、ガラス転移温度は342℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.1GPaであり、引張伸びは20.0%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.4であり、黄色度は3.9であった。
【0032】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例3】
【0033】
BPDAの添加量を14.39gに代え、BPADAの添加量を1.34gに代え、TFMBの添加量を14.84gに代え、4,4’-DDSの添加量を1.28gに代え、DMAcの添加量を118.15gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は95mol%および5mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび4,4’-DDSのそれぞれのモル分率は90mol%および10mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0034】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は156MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは8.9%であり、ガラス転移温度は335℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.3GPaであり、引張伸びは14.1%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.3であり、黄色度は3.9であった。
【0035】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例4】
【0036】
BPDAの添加量を13.54gに代え、BPADAの添加量を2.66gに代え、TFMBの添加量を13.10gに代え、4,4’-DDSの添加量を2.54gに代え、DMAcの添加量を118.16gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は90mol%および10mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび4,4’-DDSのそれぞれのモル分率は80mol%および20mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0037】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.5%であり、全光線透過率は90.3%であり、引張強度は143MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは5.1%であり、ガラス転移温度は328℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.0GPaであり、引張伸びは9.2%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.4であり、黄色度は4.0であった。
【0038】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例5】
【0039】
4,4’-DDSを3,3’-DDSに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は99mol%および1mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は98mol%および2mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0040】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.7%であり、全光線透過率は90.5%であり、引張強度は207MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは20.7%であり、ガラス転移温度は339℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.4GPaであり、引張伸びは22.0%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.9であり、黄色度は3.6であった。
【0041】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例6】
【0042】
BPDAの添加量を18.53gに代え、BPADAの添加量を0.84gに代え、TFMBの添加量を19.65gに代え、0.32gの4,4’-DDSを0.80gの3,3’-DDSに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は97.5mol%および2.5mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は95mol%および5mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0043】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は176MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは17.9%であり、ガラス転移温度は323℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.2GPaであり、引張伸びは20.0%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.0であり、黄色度は3.7であった。
【0044】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例7】
【0045】
BPDAの添加量を14.39gに代え、BPADAの添加量を1.34gに代え、TFMBの添加量を14.84gに代え、0.32gの4,4’-DDSを1.28gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.15gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は95mol%および5mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は90mol%および10mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0046】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は180MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは12.5%であり、ガラス転移温度は312℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.4GPaであり、引張伸びは16.6%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.9であり、黄色度は3.6であった。
【0047】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例8】
【0048】
BPDAの添加量を13.54gに代え、BPADAの添加量を2.66gに代え、TFMBの添加量を13.10gに代え、0.32gの4,4’-DDSを2.54gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.16gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は90mol%および10mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は80mol%および20mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0049】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.5%であり、全光線透過率は90.6%であり、引張強度は184MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは8.2%であり、ガラス転移温度は297℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.3GPaであり、引張伸びは27.4%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.2であり、黄色度は3.8であった。
【0050】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例9】
【0051】
BPDAの添加量を12.70gに代え、BPADAの添加量を3.97gに代え、TFMBの添加量を11.38gに代え、0.32gの4,4’-DDSを3.78gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.17gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は85mol%および15mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は70mol%および30mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0052】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は90.5%であり、引張強度は164MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは7.9%であり、ガラス転移温度は290℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.1GPaであり、引張伸びは25.8%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.2であり、黄色度は4.0であった。
【0053】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例10】
【0054】
BPDAの添加量を13.42gに代え、0.34gのBPADAを2.50gの5,5’-オキシビス(イソベンゾフラン-1,3-ジオン)(ODPA)に代え、TFMBの添加量を12.03gに代え、0.32gの4,4’-DDSを4.00gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.07gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびODPAのそれぞれのモル分率は85mol%および15mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は70mol%および30mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0055】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.8%であり、全光線透過率は90.3%であり、引張強度は209MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは14.8%であり、ガラス転移温度は297℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.2GPaであり、引張伸びは27.0%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は4.0であり、黄色度は7.4であった。
【0056】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例11】
【0057】
BPDAの添加量を11.87gに代え、BPADAの添加量を5.25gに代え、TFMBの添加量を9.69gに代え、0.32gの4,4’-DDSを5.01gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.18gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は80mol%および20mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は60mol%および40mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0058】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.5%であり、全光線透過率は90.5%であり、引張強度は155MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは6.2%であり、ガラス転移温度は281℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.0GPaであり、引張伸びは25.2%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.3であり、黄色度は4.1であった。
【0059】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例12】
【0060】
BPDAの添加量を12.77gに代え、0.34gのBPADAを3.37gのODPAに代え、TFMBの添加量を10.43gに代え、0.32gの4,4’-DDSを5.39gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.05gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびODPAのそれぞれのモル分率は80mol%および20mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は60mol%および40mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0061】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.7%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は177MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは12.1%であり、ガラス転移温度は293℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.1GPaであり、引張伸びは24.3%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は4.2であり、黄色度は7.6であった。
【0062】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例13】
【0063】
BPDAの添加量を11.05gに代え、BPADAの添加量を6.52gに代え、TFMBの添加量を8.02gに代え、0.32gの4,4’-DDSを6.22gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.20gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は75mol%および25mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は50mol%および50mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0064】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.5%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は140MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは4.1%であり、ガラス転移温度は275℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.6GPaであり、引張伸びは10.2%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.7であり、黄色度は2.8であった。
【0065】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例14】
【0066】
BPDAの添加量を10.01gに代え、BPADAの添加量を7.59gに代え、TFMBの添加量を9.33gに代え、0.32gの4,4’-DDSを4.83gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.25gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は70mol%および30mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は60mol%および40mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0067】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.4%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は137MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは3.8%であり、ガラス転移温度は269℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.3GPaであり、引張伸びは9.0%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.6であり、黄色度は2.6であった。
【0068】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例15】
【0069】
BPDAの添加量を10.24gに代え、BPADAの添加量を7.77gに代え、TFMBの添加量を6.37gに代え、0.32gの4,4’-DDSを7.41gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.21gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびBPADAのそれぞれのモル分率は70mol%および30mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび3,3’-DDSのそれぞれのモル分率は40mol%および60mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0070】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は90.3%であり、引張強度は129MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは3.5%であり、ガラス転移温度は272℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.3GPaであり、引張伸びは8.4%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.7であり、黄色度は2.7であった。
【0071】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【実施例16】
【0072】
BPDAの添加量を46.887gに代え、0.34gのBPADAを4.365gのODPAに代え、TFMBの添加量を48.348gに代え、4,4’-DDSの添加量を4.163gに代え、DMAcの添加量を287.090gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。なお、この際の全てのテトラカルボン酸二無水物に対するBPDAおよびODPAのそれぞれのモル分率は95mol%および5mol%であり、全てのジアミンに対するTFMBおよび4,4’-DDSのそれぞれのモル分率は90mol%および10mol%であった。また、得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0073】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.7%であり、全光線透過率は90.5%であり、引張強度は155MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは7.1%であり、ガラス転移温度は342℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.3GPaであり、引張伸びは15.5%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.9であり、黄色度は5.1であった。
【0074】
以上の結果から、本実施例で得られたポリイミド膜も、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いことが確認された。
【0075】
(比較例1)
BPADAおよび4,4’-DDSを添加せず、BPDAの添加量を15.26gに代え、TFMBの添加量を16.61gに代え、DMAcの添加量を118.13gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0076】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は7.0%であり、全光線透過率は87.2%であり、引張強度は203MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは20.4%であり、ガラス転移温度は335℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.3GPaであり、引張伸びは20.2%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は3.0であり、黄色度は5.2であった。
【0077】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた耐熱性および強度を示すと共に、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いが、透明性に著しく乏しいことが明らかとなった。
【0078】
(比較例2)
BPDAおよび4,4’-DDSを添加せず、BPADAの添加量を19.41gに代え、TFMBの添加量を11.94gに代え、DMAcの添加量を118.66gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0079】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.9%であり、全光線透過率は90.4%であり、引張強度は158MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは2.6%であり、ガラス転移温度は242℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.8GPaであり、引張伸びは34.1%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.8であり、黄色度は3.5であった。
【0080】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた透明性および強度を示すが、耐熱性に劣るだけでなく、従前の無色透明のポリイミド膜と同等のメチルエチルケトン耐性しか示さないことが明らかとなった。
【0081】
(比較例3)
BPADAを添加せず、BPDAの添加量を15.85gに代え、TFMBの添加量を12.08gに代え、0.32gの4,4’-DDSを4.01gの3,3’-DDSに代え、DMAcの添加量を118.06gに代えた以外は、実施例1と同様にポリイミド前駆体溶液(固形分:20wt%)を調製し、実施例1と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は24μmであった。
【0082】
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は7.5%であり、全光線透過率は85.8%であり、引張強度は162MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは8.1%であり、ガラス転移温度は300℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は4.3GPaであり、引張伸びは21.2%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は3.1であり、黄色度は5.6であった。
【0083】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた耐熱性および強度を示すと共に、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いが、透明性に著しく乏しいことが明らかとなった。
【0084】
(比較例4)
1.ポリイミド前駆体溶液の調製
窒素雰囲気下で293.140gのDMAcを容器に入れた後、そのDMAcに35.870gのTFMBを溶解させた。そこに6.950gの3,3’-DDSを添加してDMAcに溶解させた後、さらにそこに21.861gのBPADAを添加してDMAcに溶解させて常温で1時間反応させた。その後、さらにそこに20.595gのBPDAを添加してDMAcに溶解させて1時間反応させた。その後、そこに12.440gの5,5’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(1,3-イソベンゾフランジオン)(6FDA)を添加して18時間反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0085】
2.ポリイミド膜の作製
上述のポリイミド前駆体溶液をステンレス板上に塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を80℃の熱風で30分、150℃で30分、250℃で30分、300℃で30分加熱した後、その塗膜を徐冷した。その結果、ガラス基板上に膜厚25μmのポリイミド膜が形成された。そして、ステンレス板上のポリイミド膜をステンレス板から剥離して目的のポリイミド膜を得た。
【0086】
3.ポリイミド膜の物性測定
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.9%であり、全光線透過率は89.0%であり、引張強度は128MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは3.3%であり、ガラス転移温度は272℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.2GPaであり、引張伸びは5.9%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.6であり、黄色度は2.8であった。
【0087】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた透明性、強度および耐熱性を示すが、従前の無色透明のポリイミド膜と同等のメチルエチルケトン耐性しか示さないことが明らかとなった。
【0088】
(比較例5)
1.ポリイミド前駆体溶液の調製
窒素雰囲気下で293.140gのDMAcを容器に入れた後、そのDMAcに35.870gのTFMBを溶解させた。そこに6.950gの4,4’-DDSを添加してDMAcに溶解させた後、さらにそこに21.861gのBPADAを添加してDMAcに溶解させて常温で1時間反応させた。その後、さらにそこに20.595gのBPDAを添加してDMAcに溶解させて1時間反応させた。その後、そこに12.440gの6FDAを添加して18時間反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0089】
2.ポリイミド膜の作製
上述のポリイミド前駆体溶液を用いて比較例4と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0090】
3.ポリイミド膜の物性測定
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.6%であり、全光線透過率は88.7%であり、引張強度は129MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは2.9%であり、ガラス転移温度は288℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.3GPaであり、引張伸びは12.3%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は2.2であり、黄色度は3.8であった。
【0091】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた透明性、強度および耐熱性を示すが、従前の無色透明のポリイミド膜と同等のメチルエチルケトン耐性しか示さないことが明らかとなった。
【0092】
(比較例6)
1.ポリイミド前駆体溶液の調製
窒素雰囲気下で299.080gのDMAcを容器に入れた後、そのDMAcに35.870gのTFMBを溶解させた。そこに6.950gの3,3’-DDSを添加してDMAcに溶解させた後、さらにそこに7.287gのBPADAを添加してDMAcに溶解させて常温で1時間反応させた。その後、さらにそこに16.476gのBPDAを添加してDMAcに溶解させて1時間反応させた。その後、そこに31.103gの6FDAを添加して18時間反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0093】
2.ポリイミド膜の作製
上述のポリイミド前駆体溶液を用いて比較例4と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0094】
3.ポリイミド膜の物性測定
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.7%であり、全光線透過率は89.4%であり、引張強度は139MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは3.1%であり、ガラス転移温度は297℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.5GPaであり、引張伸びは5.9%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.7であり、黄色度は3.1であった。
【0095】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた透明性、強度および耐熱性を示すが、従前の無色透明のポリイミド膜と同等のメチルエチルケトン耐性しか示さないことが明らかとなった。
【0096】
(比較例7)
1.ポリイミド前駆体溶液の調製
窒素雰囲気下で299.080gのDMAcを容器に入れた後、そのDMAcに35.870gのTFMBを溶解させた。そこに6.950gの4,4’-DDSを添加してDMAcに溶解させた後、さらにそこに7.287gのBPADAを添加してDMAcに溶解させて常温で1時間反応させた。その後、さらにそこに16.476gのBPDAを添加してDMAcに溶解させて1時間反応させた。その後、そこに31.103gの6FDAを添加して18時間反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0097】
2.ポリイミド膜の作製
上述のポリイミド前駆体溶液を用いて比較例4と同様の方法でポリイミド膜を作製した。得られたポリイミド膜の膜厚は25μmであった。
【0098】
3.ポリイミド膜の物性測定
得られたポリイミド膜のヘイズ値、全光線透過率、引張強度、ガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、ヘイズ値は0.9%であり、全光線透過率は89.4%であり、引張強度は126MPaであり、メチルエチルケトンで濡れた状態の引張伸びは1.1%であり、ガラス転移温度は244℃であった。また、引張強度と同時に測定された引張弾性率は3.2GPaであり、引張伸びは5.1%であった。さらに、ヘイズ値及び全光線透過率と同時に測定されたb値は1.7であり、黄色度は3.1であった。
【0099】
以上の結果から、本比較例で得られたポリイミド膜は、従前と同等の優れた透明性および強度を示すが、耐熱性に劣るだけでなく、従前の無色透明のポリイミド膜と同等のメチルエチルケトン耐性しか示さないことが明らかとなった。
【0100】
なお、参考のため、上記実施例および比較例における「ポリイミド前駆体溶液の合成条件およびそのポリイミド前駆体溶液から得られたポリイミド膜の膜厚」および「そのポリイミド膜の諸物性」を以下の表1および表2にそれぞれまとめた。ただし、比較例4-7のテトラカルボン酸二無水物が3成分系であり表のスペースがとれなかったため、比較例4-7における「ポリイミド前駆体溶液の合成条件およびそのポリイミド前駆体溶液から得られたポリイミド膜の膜厚」は表1には掲載しなかった。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係るポリイミド膜は、従前と同等の優れた耐熱性、透明性、強度を示しつつも、従前よりも低コストで生産することが可能であり、また、従前の無色透明のポリイミド膜よりもメチルエチルケトンに対する耐性が高いという特徴を有し、例えば、発光素子実装用の回路基板や、カバーレイ、バーコード印刷用基板に好適に用いることができる。