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特許7189636電気自動車用バッテリーモジュール製造方法およびこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電気自動車用バッテリーモジュール製造方法およびこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/534 20210101AFI20221207BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221207BHJP
   H01M 50/503 20210101ALN20221207BHJP
【FI】
H01M50/534
H01M50/536
H01M50/566
H01M50/54
H01M50/557
H01M50/562
H01M50/507
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/211
H01M50/249
H01M50/503
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021054168
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022135815
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0027999
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519302372
【氏名又は名称】エイエフダブリュー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギ ヨン
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2157495(KR,B1)
【文献】特開2014-238938(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112103749(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/292080(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2034011(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0062131(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50ー50/598
H01M 50/10ー50/198
H01M 50/20ー50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電極板、複数個の電極タブ、分離膜を含む電極組立体を準備する電極組立体準備段階;
銅とアルミニウムを摩擦溶接して電極リードを複数個に製造する電極リード製造段階;
電極タブに銅を溶接する溶接段階;
電極リードにシーリングフィルムを付着するフィルム付着段階;
電極組立体をパウチケースの内部に収容させるものの、アルミニウムがパウチケースの外部に露出するようにパッキングするパッキング段階;
パウチケースの内部に電解液を注入する電解液注入段階;
パウチケースをシーリングしてバッテリーセルを製造するバッテリーセル製造段階;
バッテリーセルを複数個積層させる積層段階;および
前記バッテリーセルでアルミニウムをセンシングバスバーに連結させるセンシングバスバー設置段階を含み、
前記電極リード製造段階は、
銅の一側とアルミニウムの一側を摩擦溶接する摩擦溶接過程;
銅とアルミニウムの摩擦溶接部位に発生した溶接ビードを除去するビード除去過程;
溶接ビードが除去された銅とアルミニウムに対し、第1ヒーティング機を利用して300~400℃の温度で銅を加熱し、第2ヒーティング機を利用して200~300℃の温度でアルミニウムを加熱する熱処理過程;
熱処理された銅とアルミニウムを加圧鍛造する鍛造過程;
第3ヒーティング機を利用して300~400℃の温度で銅を加熱し、第4ヒーティング機を利用して200~300℃の温度でアルミニウムを加熱する第1ヒーティング過程;
鍛造された銅とアルミニウムを圧延する第1圧延過程;
第5ヒーティング機を利用して250~350℃の温度で銅を加熱し、第6ヒーティング機を利用して150~250℃の温度でアルミニウムを加熱する第2ヒーティング過程;
圧延された銅とアルミニウムを再圧延する第2圧延過程;
再圧延された銅とアルミニウムをレベリングするレベリング過程;および
レベリングされた銅とアルミニウムを切断して電極リードを製造するスリッティング過程を含む、
電気自動車用バッテリーモジュール製造方法。
【請求項2】
前記摩擦溶接過程は、
棒状の銅と棒状のアルミニウムをそれぞれ摩擦溶接機装着して、銅とアルミニウムを互いに逆方向に1600~2200rpmの回転速度で回転させ、銅とアルミニウムが密着した状態で互いに逆方向に回転する間に密着面方向に7~20ton範囲で加圧力を提供して接合させることを特徴とする、請求項に記載の電気自動車用バッテリーモジュール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用バッテリーモジュールの製造方法及びこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュールに関し、特に品質と耐久性を向上させ、軽量化できるようにした電気自動車用バッテリーモジュールの製造方法及びこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、二次電池は先端電子産業の発達で電子装備の小型化および軽量化が可能となったことによって、携帯用電子機器に幅広く使われている。
【0003】
また、既存のガソリンやディーゼル車両などの大気汚染などの環境問題を解決するために提案されている電気自動車およびハイブリッド自動車の電源としての使用も次第に増加する趨勢にある。
【0004】
このような二次電池の種類にはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがあり、一定の電圧を有する単位二次電池すなわち、バッテリーセルは形態により角形、円筒形、パウチ型などがあるが、角形や円筒形対比厚さが薄く、重さが軽く、多様な形状および形に製造が可能であるだけでなく、体積面積当たり効率および放熱性が優秀であり、多層に積層が容易なパウチ型バッテリーセルの使用比重が次第に増加しているのが実情である。
【0005】
一般的な二次電池は、高出力大容量の必要性によって多数個のバッテリーセルを積層させた後、電気的に並列または直列に連結してモジュールの形態で製作される。
【0006】
韓国登録特許第10-0928975号(2009.11.20登録)は二次電池モジュールについて記載されている。開示された技術によると、アルミニウム薄板で囲まれたパッケージタイプの電池セルと;電池セルの+-電極に溶接付着されながら垂直な上下方向に折り曲げられた折り曲げ部を備えたタブ端子;電池セルが挿入装着される凹溝部と、電池セルに付着されたタブ端子の折り曲げ部が上方と下方に差し込まれて結合される挿入スロットを備えたセルケース;セルケースの挿入スロットの中に差し込まれた下側電池セルのタブ端子と上側電池セルのタブ端子を連結する直列連結端子;積層された電池セルの上下端にそれぞれ連結されて機器と連結されるようにする+-モジュール端子;積層されたセルケースを一つにまとめるためにセルケースを貫通して挿入設置された固定ボルト;それぞれのセルケースに装着された電池セルの電圧および電流を測定して管理する基板を備えた回路ケースおよび;電池セルのタブ端子と回路ケースの基板の間に連結されて電池セルの電圧を感知できるようにするセンシングケーブルを含んでなることを特徴とする。
【0007】
韓国登録特許第10-1198623号(2012.11.01登録)は組立性を向上させたバッテリーモジュールに関して記載されており、開示された技術によると、+端子と-端子に電気的な連結手段としてリセプタクル部材が付着されている多数のバッテリーセル;「一」字状の連結ピンを有しながらいずれか一つのバッテリーセルの+端子に固定されたリセプタクル部材と他の一つのバッテリーセルの-端子に固定されたリセプタクル部材に締結されるバスバー;バスバーをBMSに連結することができる回路が印刷されており、バスバーの連結ピンを挿入できる連結ピン挿入用ホールが形成されている印刷回路基板;印刷回路基板とBMSの間を連結するBMS連結コネクタが内側に装着されており、内側には印刷回路基板が装着される安全カバーを含み、安全カバーをバッテリーモジュールの高電圧端子部に覆って組立るとともに、バスバーの連結ピンが印刷回路基板の連結ピン挿入用ホールに差し込まれながら電圧センシング回路が一挙に構成されて、BMSを通じてのセル電圧センシングおよびバッテリーモジュール管理が可能であるようになったことを特徴とする。
【0008】
前述した通り、従来には電気自動車用バッテリーモジュールの構成のうち端子がアルミニウムまたは銅材質で形成されるが、銅の場合、価格が高く重さが重いため、製品の耐久性に問題を惹き起こす恐れがあり、アルミニウムの場合、堅固なハンダ付けが難しく、ハンダ付け部が塩水によく腐食する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国登録特許第10-0928975号
【文献】韓国登録特許第10-1198623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、前述したような問題点を解決するためのものであって、品質と耐久性を向上させ、軽量化できるようにした電気自動車用バッテリーモジュール製造方法およびこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明の一特徴によると、複数個の電極板、複数個の電極タブ、分離膜を含む電極組立体を準備する電極組立体準備段階;銅とアルミニウムを摩擦溶接して電極リードを複数個に製造する電極リード製造段階;電極タブに銅を溶接する溶接段階;電極リードにシーリングフィルムを付着するフィルム付着段階;電極組立体をパウチケースの内部に収容させるものの、アルミニウムがパウチケースの外部に露出するようにパッキングするパッキング段階;パウチケースの内部に電解液を注入する電解液注入段階;パウチケースをシーリングしてバッテリーセルを製造するバッテリーセル製造段階;バッテリーセルを複数個積層させる積層段階;および前記バッテリーセルでアルミニウムをセンシングバスバーに連結させるセンシングバスバー設置段階を含む電気自動車用バッテリーモジュール製造方法を提供する。
【0012】
一実施例において、前記電極リード製造段階は、銅の一側とアルミニウムの一側を摩擦溶接する摩擦溶接過程;銅とアルミニウムの摩擦溶接部位に発生した溶接ビードを除去するビード除去過程;溶接ビードが除去された銅とアルミニウムを既設定された温度で加熱する熱処理過程;熱処理された銅とアルミニウムを加圧鍛造する鍛造過程;鍛造された銅とアルミニウムを圧延する第1圧延過程;圧延された銅とアルミニウムを再圧延する第2圧延過程;再圧延された銅とアルミニウムをレベリングするレベリング過程;およびレベリングされた銅とアルミニウムを切断して電極リードを製造するスリッティング過程を含むことを特徴とする。
【0013】
一実施例において、前記摩擦溶接過程は、棒状の銅と棒状のアルミニウムをそれぞれ摩擦溶接機や装備に装着して、銅とアルミニウムを互いに逆方向に1600~2200rpmの回転速度で回転させ、銅とアルミニウムが密着した状態で互いに逆方向に回転する間に密着面方向に7~20ton範囲で加圧力を提供して接合させることを特徴とする。
【0014】
一実施例において、前記熱処理過程は、第1ヒーティング機を利用して300~400℃の温度で銅を加熱し、第2ヒーティング機を利用して200~300℃の温度でアルミニウムを加熱することを特徴とする。
【0015】
一実施例において、前記第1圧延過程前に、第3ヒーティング機を利用して300~400℃の温度で銅を加熱し、第4ヒーティング機を利用して200~300℃の温度でアルミニウムを加熱する第1ヒーティング過程をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
一実施例において、前記第2圧延過程前に、第5ヒーティング機を利用して250~350℃の温度で銅を加熱し、第6ヒーティング機を利用して150~250℃の温度でアルミニウムを加熱する第2ヒーティング過程をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の一特徴によると、前述した電気自動車用バッテリーモジュール製造方法によって製造された電気自動車用バッテリーモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、伝導性が優秀な銅と重さが軽いアルミニウムを摩擦溶接して製造した電極リードを使うことによって、費用と重さを減らし得ることはもちろん、性能および軽量性が向上する効果がある。
【0019】
また、複数個のバッテリーセルを積層させた後に電極リードのアルミニウムを同一のアルミニウム素材からなるセンシングバスバーで連結することによって、連結性を向上させ、バッテリーモジュールの安定性および耐久性が増大する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュール製造方法を説明するフローチャートである。
図2図1にあるバッテリーセル製造段階によって製造されたバッテリーセルの主要部を説明する図面である。
図3】本発明の第1実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュール製造方法によって製造された電気自動車用バッテリーモジュールを説明する図面である。
図4図1にある電極リード製造段階を第1例として説明するフローチャートである。
図5図4にある熱処理過程を説明する図面である。
図6図1にある電極リード製造段階を第1例として説明するフローチャートである。
図7図6にある第1ヒーティング過程と第2ヒーティング過程を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明に関する説明は構造的乃至機能的説明のための実施例に過ぎないため、本発明の権利範囲は本文に説明された実施例によって制限されるものと解釈されてはならない。すなわち、実施例は多様な変更が可能であり、多様な形態を有することができるため、本発明の権利範囲は技術的思想を実現できる均等物を含むものと理解されるべきである。また、本発明で提示された目的または効果は特定の実施例がこれをすべて含むべきであるとか、そのような効果のみを含むべきであるという意味ではないため、本発明の権利範囲はこれによって制限されるものと理解されてはならないであろう。
【0022】
一方、本発明で記述される用語の意味は次のように理解されるべきである。
【0023】
「第1」、「第2」等の用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのもので、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。一方、構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「~の間に」と「すぐに~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0025】
単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含むものと理解されるべきであり、「含む」または「有する」等の用語は実施された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0026】
ここで使われるすべての用語は異なるように定義されない限り、本発明が属する分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致するものと解釈されるべきであり、本発明で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味を有するものと解釈されてはならない。
【0027】
本発明の実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュール製造方法およびこれによって製造された電気自動車用バッテリーモジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュール製造方法を説明するフローチャートである。
【0029】
図1を参照すると、電気自動車用バッテリーモジュール製造方法は、電極組立体準備段階S100、電極リード製造段階S200、溶接段階S300、フィルム付着段階S400、パッキング段階S500、電解液注入段階S600、バッテリーセル製造段階S700、積層段階S800、センシングバスバー設置段階S900を含む。
【0030】
電極組立体準備段階S100は、複数個の電極板101、複数個の電極タブ102、分離膜103を含む電極組立体を準備する。
【0031】
一実施例において、電極板101は、一つ以上の正極板および一つ以上の負極板を含み、正極板と負極板は厚さ10μmのアルミニウム薄板で形成され得、これに限定されるものではない。
【0032】
一実施例において、電極タブ102は、電極板101から外部に突出する形態で構成されるものであって、正極板から外部に突出する正極タブと負極板から外部に突出する負極板を含み、同一の極性の電極リードに連結され得る。
【0033】
一実施例において、分離膜103は、複数個の電極板101の間に介在されるものであって、正極板と負極板を分離させる。
【0034】
すなわち、電極組立体は、バッテリーセルで要求される出力電圧または充放電容量に応じて複数個の正極板と負極板が分離膜を挟んで交互に積層された形態で構成され得る。
【0035】
電極リード製造段階S200は、銅200とアルミニウム300を摩擦溶接して電極リードを複数個に製造する。
【0036】
一実施例において、電極リードは、正極タブに連結される正極リードと負極タブに連結される負極リードを含む。
【0037】
溶接段階S300は、電極組立体準備段階S100で準備した電極組立体のうち電極タブ102に電極リード製造段階S200で製造した電極リードの銅200を溶接する。
【0038】
一実施例において、溶接段階S300は、正極タブの一端と正極リードの銅200が密着するように供給した後、密着した部分をレーザー溶接することができる。この時、正極タブの一端と正極リードの銅200は互いに重なるように配置されることが好ましく、正極タブの一端と正極リードの銅200が互いに接触した形態でレーザー溶接がなされてもよい。
【0039】
一実施例において、溶接段階S300は、負極タブの一端と負極リードの銅200が密着するように供給した後、密着した部分をレーザー溶接することができる。この時、負極タブの一端と負極リードの銅200は互いに重なるように配置されることが好ましく、負極タブの一端と負極リードの銅200が互いに接触した形態でレーザー溶接がなされてもよい。
【0040】
フィルム付着段階S400は、溶接段階S300後に、電極リードにシーリングフィルム400を付着する。
【0041】
一実施例において、フィルム付着段階S400は、正極リードと負極リードにそれぞれシーリングフィルム400を付着し、正極リードと負極リードの上下方向からそれぞれシーリングフィルム400を供給した後、正極リードと負極リードをそれぞれ囲むように相互に密着したシーリングフィルム400を加圧融着することが好ましいが、これに限定するものではない。
【0042】
一実施例において、フィルム付着段階S400は、電極リードで銅200とアルミニウム300が摩擦溶接によって接合された部分が完全に囲まれるようにシーリングフィルム400を付着することができる。
【0043】
したがって、銅とアルミニウムを摩擦溶接して製造された電極リードがパウチケース500内のアルミニウム層と反応して、相互作用によってショートなどの電気的衝撃または腐食などの物理的損傷が発生することを防止できることになる。
【0044】
パッキング段階S500は、フィルム付着段階S400でシーリングフィルム400が付着完了された電極組立体をパウチケース500の内部に収容させるものの、図2に図示された通り、電極リードのアルミニウム300がパウチケース500の外部に露出するようにパッキングする。
【0045】
一実施例において、パウチケース500は、アルミニウムラミネートシートからなるものであり得る。
【0046】
一実施例において、パッキング段階S500は、パウチケース500を構成する第1パウチフィルムを所定の形状に成形した後、成形された第1パウチフィルム上に電極組立体を装着させ、その上に第2パウチフィルムを供給して第1パウチフィルムと第2パウチフィルムの縁に沿って融着することによって、電極組立体をパウチケース500の内部に収容させることができる。ここで、第1パウチフィルムと第2パウチフィルムを融着する時、電極リードのアルミニウム300の端部はパウチケース500の外部に露出形成されることが好ましい。
【0047】
一実施例において、パッキング段階S500は、パウチケース500の一側の縁は電解液の注入のために開放されるように形成することができる。
【0048】
電解液注入段階S600は、パッキング段階S500で電極組立体が収容されたパウチケース500の内部に電解液を注入する。
【0049】
一実施例において、電解液注入段階S600は、パウチケース500の一側縁に開放された部分を通じて電解液を注入することができる。
【0050】
バッテリーセル製造段階S700は、電解液注入段階S600で電解液が注入されたパウチケース500をシーリング処理してバッテリーセル600を製造する。
【0051】
したがって、パウチケース500のすべての縁部分が完全に密封されてパウチケース500の内部に収容された電極組立体が固定されるとともに、パウチケース500の内部に注入された電解液の漏液が防止される。
【0052】
積層段階S800は、バッテリーセル製造段階S700で製造したバッテリーセル600を複数個積層させる。これに伴い、電気自動車で要求されるバッテリーの仕様を容易に充足することができる。
【0053】
センシングバスバー設置段階S900は、積層段階S800で積層された複数個のバッテリーセル600で外部に露出した電極リードのアルミニウム300をセンシングバスバー700で連結する。
【0054】
一実施例において、センシングバスバー700は、アルミニウム素材からなることを特徴とするものの、図3に図示された通り、「⊂」の形状で形成されたものであるか、棒状または真ん中部分に貫通ホールが形成された形状など、必要に応じて多様な形状で形成されたものであり得る。
【0055】
一実施例において、センシングバスバー設置段階S900は、いずれか一つのバッテリーセル600から外部に突出形成された電極リードのアルミニウム300と他のバッテリーセル600から外部に突出形成された電極リードのアルミニウム300をセンシングバスバー700に連結設置して、積層される複数個のバッテリーセル600を連結することができる。
【0056】
前述したような段階を有する電気自動車用バッテリーモジュール製造方法によると、銅200とアルミニウム300を摩擦溶接して製造した電極リードを使うことによって、費用と重さを減らし得ることはもちろん、性能および軽量性が向上する。
【0057】
すなわち、高価なニッケルを使わずとも、電気伝導性が優秀な銅200と重さが軽いアルミニウム300を摩擦溶接して製造した電極リードを構成することによって、高出力電圧に耐える信頼性と安全性を有して高い出力と容量を有するようになる。
【0058】
また、複数個のバッテリーセル600を積層させた後に、電極リードのアルミニウム300を同一のアルミニウム素材からなるセンシングバスバー700に連結することによって、連結性を向上させ、バッテリーモジュールの安定性および耐久性が増大する。
【0059】
図4は、図1にある電極リード製造段階を第1例として説明するフローチャートである。
【0060】
図4を参照すると、電極リード製造段階S200は、摩擦溶接過程S210、ビード除去過程S220、熱処理過程S230、鍛造過程S240、第1圧延過程S250、第2圧延過程S260、レベリング過程S270、スリッティング過程S280を含む。
【0061】
摩擦溶接過程S210は、銅200の一側とアルミニウム300の一側を摩擦溶接する。
【0062】
一実施例において、摩擦溶接過程S210は、棒状の銅200と棒状のアルミニウム300をそれぞれ摩擦溶接機や装備に装着して、銅200とアルミニウム300を互いに逆方向に1600~2200rpmの回転速度で回転させ、銅200の一側とアルミニウム300の一側が密着した状態で互いに逆方向に回転する間に密着面方向に7~20ton範囲で加圧力を提供して接合させることができる。これに伴い、互いに逆回転する銅200とアルミニウム300を密着させることによって、相対速度を銅200とアルミニウム300の回転速度を足したものだけ増加させ得るだけでなく、外部からの制動力がない場合にも、正回転するアルミニウム300の偶力と逆回転する銅200の逆偶力が、密着面で力の合成によって慣性が相殺されることによって制動されるようにする効果を提供することができる。
【0063】
ビード除去過程S220は、摩擦溶接過程S210で接合された銅200とアルミニウム300の摩擦溶接部位に発生した溶接ビードを除去する。
【0064】
一実施例において、ビード除去過程S220は、溶接ビード加工機を利用して銅200とアルミニウム300の摩擦溶接部位に突出するように形成された溶接ビードを除去することができる。
【0065】
熱処理過程S230は、ビード除去過程S220で溶接ビードが除去された銅200とアルミニウム300を既設定された温度(例えば、200~400℃)で加熱する。
【0066】
一実施例において、熱処理過程S230は、図5に図示された通り、第1ヒーティング機h1を利用して300~400℃の温度で銅200を加熱し、第2ヒーティング機h2を利用して200~300℃の温度でアルミニウム300を加熱することができる。
【0067】
ここで、第1ヒーティング機h1と第2ヒーティング機h2は、インダクションヒーターなどの金属素材に熱を印加するための多様なヒーティング装置が適用され得る。
【0068】
鍛造過程S240は、熱処理過程S230で熱処理された銅200とアルミニウム300を加圧鍛造する。
【0069】
一実施例において、鍛造過程S240は、鍛造プレスを利用して銅200とアルミニウム300を一定厚さの四角バーの形状に加圧鍛造することができる。
【0070】
第1圧延過程S250は、鍛造過程S240で鍛造された銅200とアルミニウム300を圧延する。この時、ロール圧延によって稠密度が高くなって銅200とアルミニウム300間の強度がさらに上昇する効果がある。
【0071】
一実施例において、第1圧延過程S250は、第1ロール圧延機r1を利用して銅200とアルミニウム300をロール圧延して板状に成形することができる。
【0072】
第2圧延過程S260は、第1圧延過程S250で圧延された銅200とアルミニウム300を再圧延する。
【0073】
一実施例において、第2圧延過程S260は、第2ロール圧延機r2を利用して銅200とアルミニウム300をロール圧延して、必要とする最終厚さ(例えば、50μm~50000μm)を有するように成形することができる。
【0074】
レベリング過程S270は、第2圧延過程S260で再圧延された銅200とアルミニウム300をレベリング(levelling)とする。
【0075】
一実施例において、レベリング過程S270は、2次圧延によって不均一に平坦化された銅200とアルミニウム300をレベリング装置を利用して均一に平坦化させる矯正作業を遂行できる。
【0076】
ここで、レベリング装置は、複数個のローラを含む合金板用レベリング装置であり得る。
【0077】
スリッティング過程S280は、レベリング過程S270でレベリングされた銅200とアルミニウム300を切断して電極リードを製造する。
【0078】
一実施例において、スリッティング過程S280は、スリッティング機を利用して、必要に応じて既設定された長さ(例えば、5~500mm)で切断することができる。
【0079】
前述したような過程を含む電極リード製造段階によると、銅200の融点は約1084℃であり、アルミニウム300の融点は約660℃であって差があるため、同一の温度で加熱する場合、銅200とアルミニウム300の強度が所望の水準より高いか低く形成され得るが、銅200とアルミニウム300を適切な温度条件でそれぞれ加熱することによって加工性を向上させて成形性が優秀であり、レベリングを遂行することによって製品の品質を向上させ得る効果がある。
【0080】
図6は、図1にある電極リード製造段階を第1例として説明するフローチャートである。
【0081】
図6を参照すると、電極リード製造段階S200は、摩擦溶接過程S210、ビード除去過程S220、熱処理過程S230、鍛造過程S240、第1ヒーティング過程S290、第1圧延過程S250、第2ヒーティング過程S291、第2圧延過程S260、レベリング過程S270、スリッティング過程S280を含む。ここで、摩擦溶接過程S210、ビード除去過程S220、熱処理過程S230、鍛造過程S240、第1圧延過程S250、第2圧延過程S260、レベリング過程S270、スリッティング過程S280は図4の過程と類似しているため説明を省略し、他の部分についてのみ以下で説明する。
【0082】
第1ヒーティング過程S290は、第3ヒーティング機h3を利用して300~400℃の温度で銅200を加熱し、第4ヒーティング機h4を利用して200~300℃の温度でアルミニウム300を加熱する。
【0083】
一実施例において、第1ヒーティング過程S290は、図7に図示された通り、第3ヒーティング機h3が、銅200とアルミニウム300が第1ロール圧延機r1に移動する経路で銅200の一側または上側方向に設置されて、銅200を加熱して熱処理することができる。
【0084】
一実施例において、第1ヒーティング過程S290は、図7に図示された通り、第4ヒーティング機h4が、銅200とアルミニウム300が第1ロール圧延機r1に移動する経路でアルミニウム300の一側または上側方向に設置されて、アルミニウム300を加熱して熱処理することができる。
【0085】
第2ヒーティング過程S291は、第5ヒーティング機h5を利用して250~350℃の温度で銅200を加熱し、第6ヒーティング機h6を利用して150~250℃の温度でアルミニウム300を加熱する。
【0086】
一実施例において、第2ヒーティング過程S291は、図7に図示された通り、第5ヒーティング機h5が、銅200とアルミニウム300が第2ロール圧延機r2に移動する経路で銅200の一側または上側方向に設置されて、銅200を加熱して熱処理することができる。
【0087】
一実施例において、第2ヒーティング過程S291は、図7に図示された通り、第6ヒーティング機h6が、銅200とアルミニウム300が第2ロール圧延機r2に移動する経路でアルミニウム300の一側または上側方向に設置されて、アルミニウム300を加熱して熱処理することができる。
【0088】
前述したような過程を含む電極リード製造段階によると、ロール圧延前に銅200とアルミニウム300を互いに異なる温度でそれぞれ加熱することによって生産性を向上させて、成形性が優秀であることはもちろん、第2ヒーティング過程S291で第1ヒーティング過程S290より低い温度で加熱することによって、銅200とアルミニウム300の強度が弱くならないようにする。
【0089】
以上、本発明の実施例は前述した装置および/または運用方法を通じてのみ具現されるものではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を具現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体等を通じて具現されてもよく、このような具現は前述した実施例の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に具現できるものである。
【0090】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0091】
101:電極板
102:電極タブ
103:分離膜
200:銅
300:アルミニウム
400:シーリングフィルム
500:パウチケース
600:バッテリーセル
700:センシングバスバー
r1:第1ロール圧延機
r2:第2ロール圧延機
h1:第1ヒーティング機
h2:第2ヒーティング機
h3:第3ヒーティング機
h4:第4ヒーティング機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7