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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】油揚の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20221207BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20221207BHJP
   A23L 11/45 20210101ALI20221207BHJP
【FI】
G01N21/89 T
B65G47/52 A
A23L11/45 108A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022115463
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392017048
【氏名又は名称】株式会社ティー・エム・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一雄
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-008924(JP,A)
【文献】特開2022-001883(JP,A)
【文献】特開2021-179418(JP,A)
【文献】特開2021-177754(JP,A)
【文献】特開2012-127936(JP,A)
【文献】特開2021-009086(JP,A)
【文献】特開2021-016932(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261193(WO,A1)
【文献】米国特許第05878868(US,A)
【文献】株式会社松浦電弘社,油揚形状検品装置 Type MAC-145,2018年10月22日,https://www.ipros.jp/catalog/detail/436511/,検索日 2022/09/05
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
B07C 5/00
B65G 47/52
A23L 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油揚の表面を検査するための表面検査部と前記油揚の裏面を検査する裏面検査部とを備え、前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置において、
前記油揚の搬送方向の後段側に第1後端部を有し、前記油揚の前記裏面が第1ベルトの上面側に接した状態で前記油揚を前記後段側に設けられた前記第1後端部の方へ搬送する前記第1ベルトを、備えた第1ベルトコンベアと、
前記第1ベルトコンベアの後段に設けられ、前段である前記第1ベルトコンベアの側に第2前端部を有し、前記油揚の前記表面を第2ベルトの下面側に吸着した状態で前記油揚を前記第2前端部の側からさらに後段の方へ搬送する前記第2ベルトを備えた、第2ベルトコンベアと、
空気を吸引する吸引装置と、
をさらに有しており、
前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトには多数の小孔が形成されており、
さらに前記第1ベルトコンベアの前記第1後端部の上に前記第2ベルトコンベアの前記第2前端部が配置された状態で、前記第1後端部と前記第2前端部とが互いに重なり合った状態で配置されており、
互いに重なり合う前記第1後端部と前記第2前端部とにおいて、前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトの前記上面側と前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの前記下面側とが、互いに対向する状態となり、
前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトにより搬送されてきた前記油揚が、互いに対向する配置状態の前記第1ベルトの前記上面側と前記第2ベルトの前記下面側との間に導かれて挟み込まれ、前記油揚が前記第1ベルトと前記第2ベルトとにより押圧され、
前記油揚が前記第1ベルトの前記上面側と前記第2ベルトの前記下面側との間に挟み込まれて押圧された状態で、前記吸引装置により前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された前記多数の小孔を介して空気が吸引されることにより、前記油揚の前記表面が前記第2ベルトの前記下面側に吸着された状態となって、前記第2ベルトの移動に基づいて前記油揚が移動し、
前記油揚の前記表面が前記第2ベルトの前記下面側に吸着した状態で前記第2ベルトと共に移動する前記油揚の前記裏面が、前記裏面検査部により検査される、ことを特徴とする、
前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置において、
前記第1ベルトコンベアの前記第1後端部と重なり合うように配置された前記第2ベルトコンベアの前記第2前端部から、前記油揚の前記表面が前記第2ベルトの前記下面側に吸着した状態で、前記第2ベルトの移動に基づいて前記油揚が移動することにより、前記油揚の前記裏面が開放状態となり、
開放状態となった前記油揚の前記裏面が、前記裏面検査部により検査される、ことを特徴とする、
前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の、前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置において、
前記油揚を吸着して移動する、前記多数の小孔が形成された前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの上面側に近接して、前記吸引装置が設けられ、
前記吸引装置の前記第2ベルトの側に吸着板が設けられ、
前記吸引装置の前記吸着板には、前記第2ベルトの移動方向に沿って伸びる多数の長形孔が形成されていて、
前記長形孔の、前記第2ベルトの移動方向に於ける長さは、前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された前記小孔の複数個に相当した長さを有している、ことを特徴とする、
前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の、前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置において、
前記第1ベルトコンベアの前記第1後端部と前記第2ベルトコンベアの前記第2前端部との、前記第2ベルトコンベアの移動方向に於ける重なりの長さが、10mm以上となるように前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとが配置され、
前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとの前記重なりの部分では、前記油揚が前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとにより、挟み込まれて押圧された状態で移動する、ことを特徴とする、
前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の、前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置において、
前記表面検査部は画像を撮影する表面カメラで構成され、また前記裏面検査部は画像を撮影する裏面カメラを有しており、
前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトにより前記油揚が搬送されている状態において、前記表面検査部により前記油揚の上から前記油揚の前記表面および前記表面に繋がる側面に関する上側画像が撮影され、
前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの前記下面側に前記油揚の前記表面が吸着した状態で前記油揚が搬送されている状態において、前記油揚の下から前記油揚の前記裏面および前記裏面に繋がる側面に関する下側画像が前記裏面検査部により撮影され、
前記油揚の上から撮影した前記上側画像と前記油揚の下から撮影した前記下側画像とを組み合わせて、前記油揚の前記表面と前記裏面とに加えて、前記油揚の前記側面の検査を行う、ことを特徴とする、
前記油揚の少なくとも前記表面および前記裏面の検査を行う油揚の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油揚の製造に於いて、製品の出荷前に油揚の少なくとも表面と裏面の両面を検査することが求められる。一般的な食品を含む製品について、製品の表面および裏面の両面の検査を行う技術が、以下に記載する特許文献1や特許文献2に開示されている。例えば特許文献1の図5には検査対象の食品を反転させて裏面を検査する技術が開示されている。また特許文献2の図1には検査対象製品の表面を吸い上げて搬送ベルトに吸着し、裏面を検査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2008-541007号公報
【文献】特許第5886405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、検査対象物である食品機器20の表面および裏面を検査するための装置が図5に記載されており、その説明が特許文献1の明細書の段落「0032」に記載されている。この記載によれば、図5に記載のコンベア11Aで食品機器20の表面が検査される。次に検査対象物である食品20の表面と裏面とを反転する食品反転手段28で、食品20の表面と裏面とを反転し、コンベア11Bで食品機器20の裏面を検査する、ことが開示されている。
【0005】
特許文献1に開示の方法を、本願発明の対象の検査装置である、油揚の検査装置に適用しようとすると、油揚を反転させなければならない。油揚を反転させる場合に色々な課題があり、結果として検査速度を上げることができない問題がある。言い換えるとこの方式は、油揚の検査装置には適していない。
【0006】
特許文献2には、検査対象物である積層シートの裏面を検査する方法が図1および明細書の段落「0010」や段落「0012」に開示されている。具体的には、検査対象である積層シートの表面を搬送ベルトの下面側に吸着し、積層シートの裏面を検査する方式である。特許文献2に記載の方式は、検査対象の形状が固定されていて簡単にはその形状が変形しない物を対象とした場合に有効である。
【0007】
しかし特許文献2に記載されている技術を、本願発明が検査対象としている油揚の検査装置に適用しようとした場合に、大きな課題を有している。上述したように特許文献2に記載の検査対象物は、自重などでは簡単に形状が変化しないものに対して適用が可能である。しかし油揚の場合は、自重でそれ自身の形状が変化する。このため、特許文献2に開示されている構成を、油揚の検査装置に適用することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、少なくとも油揚の表面および裏面の検査を行う検査装置において、検査対象である油揚の裏面の検査を行うために、油揚の表面を搬送用のベルトコンベアのベルトの下面に吸引することが可能な、油揚の検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔第1の発明〕
第1の発明は、油揚の検査装置であって、
前記油揚の裏面が第1ベルトの上面側に密着した状態で前記油揚を搬送する第1ベルトコンベアと、
前記油揚の表面が第2ベルトの下面側に吸着した状態で前記油揚を搬送する第2ベルトコンベアと、
前記油揚の前記裏面を検査する裏面検査部と、
空気を吸引する吸引装置と、を有し、
前記第1ベルトコンベアの端部と、前記第2ベルトコンベアの端部とが互いに重なり合い、さらに前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトと前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトとの間隔が、前記油揚の最大厚さより狭くなるように、前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部とが配置され、
前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトには多数の小孔が形成され、
前記吸引装置により前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された前記多数の小孔を介して空気が吸引されることにより、前記油揚の前記表面が前記第2ベルトの前記下面側に吸着した状態となり、前記裏面検査部により、前記油揚の前記裏面を検査する、ことを特徴とする油揚の検査装置である。
【0010】
〔第1の発明の作用効果〕
前記油揚の前記裏面を検査するために、前記油揚の前記表面を前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの前記下面側に吸着させる場合には、特許文献2に開示された検査対象物を含む一般的な検査対象物では考慮する必要のない新たな課題を解決することが必要となる。一般の検査対象物では自重でそれ自身の形状が変化することがないし、一般の検査対象物はその形状が簡単に変化しない。また吸引力が作用することにより、簡単にその形状が変形することもない。言い換えるとそれ自身の形状の変化が簡単には起こらない、十分な強度を有している。このため、一般の検査対象物では、吸引力を強くすることにより、検査対象物の表面を搬送用ベルトの下面側に簡単に吸着させることができる。
【0011】
しかし本発明の検査対象物である前記油揚の前記表面を、前記第2ベルトの前記下面側に吸着しようとした場合には、状況が異なり、新たな課題を解決することが必要となる。先ず前記油揚の表面および裏面は、平面ではなく、凹凸がある。さらに吸引力が作用すると、前記表面および前記裏面が変形する。それだけでなく前記油揚の全体形状が変形する。また作用する圧力がさらに大きくなると、形状変形に止まらず、破損し易くなる。このため、前記油揚の前記表面に作用する圧力が比較的小さく、また前記油揚を前記第2ベルトコンベアの第2ベルトの下面側に安定して吸着可能となることが望まれる。
【0012】
第1の発明では、第1ベルトコンベアの端部の第1ベルトと、第2ベルトコンベアの端部の第2ベルトと、の間隔を、前記油揚の最大厚みより狭くし、第1ベルトコンベアの第1ベルトと第2ベルトコンベアの第2ベルトとで前記油揚を挟み込んだ状態となるようにする。このようにした状態で、前記油揚の前記表面に対して第2ベルトコンベアの第2ベルトの上面側から吸引のための負圧を作用させる。この負圧の作用により、前記油揚の前記表面を、第2ベルトコンベアの第2ベルトの下面側に、安定した状態で吸着することができる。このようにすることにより、短時間に多くの前記油揚を確実に安定して前記第2ベルトの下面側に吸着させ、効率よく、前記油揚の前記裏面を検査することができる。
【0013】
〔第2の発明〕
第2の発明は、第1の発明の油揚の検査装置において、
前記油揚の前記表面には凹部と凸部があり、
前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部とが互いに重なり合う位置において、前記油揚の前記表面の前記凸部が、前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトにより押圧された状態となり、
前記吸引装置により前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された前記多数の小孔を介して空気が吸引されることにより、前記油揚の前記表面が前記第2ベルトの下面側に吸着され、前記油揚が前記第2ベルトと共に移動する、ことを特徴とする油揚の検査装置である。
【0014】
〔第2の発明の作用効果〕
上述したように小さな圧により簡単に変形し、さらに傷つき易い前記油揚を、確実にしかも傷つけることなく前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの下面側に吸着させるためには、前記油揚に特有の表面の凹凸に対処することが重要な解決策となる。前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトと前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトとの間隔を、前記油揚の凸部の厚みより狭くすることが重要である。このことにより、前記第1ベルトの上面側と前記第2ベルトの下面側とで油揚を挟み込み、前記油揚の前記表面の前記凸部がやや変形する程度に押圧して、前記油揚の前記表面を前記第2ベルト密着させることが望ましい。このようにすることで、前記油揚の前記表面を確実にしかも安定して前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの下面側に吸着させることができる。
【0015】
〔第3の発明〕
第3の発明は、第2の発明の油揚の検査装置において、
前記油揚を吸着するための、前記多数の小孔が形成された前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの上面側に近接して、前記吸引装置が設けられ、
前記吸引装置の前記第2ベルトの側に吸着板が設けられ、
前記吸引装置の前記吸着板には、前記第2ベルトの移動方向に沿って伸びる多数の長形孔が形成されていて、
前記長形孔の、前記第2ベルトの移動方向に於ける長さは、前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された前記小孔の2個に相当した長さよりも長い、ことを特徴とする油揚の検査装置である。
【0016】
〔第3の発明の作用効果〕
前記油揚の表面を前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに、傷つけることなく、しかも確実に吸着することが大切である。吸着対象の前記油揚は、前記吸引装置の吸引力が広範囲に渡りできるだけ均一となるように、前記油揚が直接吸着する前記第2ベルトには、多数の小孔が形成されている。一方前記吸引装置は、その前記第2ベルトの側である下側に、前記長形孔を多数形成した前記吸着板を有している。
【0017】
前記吸着板に設けられた前記長形孔は、前記第2ベルトの移動方向に長く、前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに形成された小孔の2倍以上の長さを有している。前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトに、形成された前記多数の小孔は、上述したように前記油揚に負圧が均一に加わるように作用する。またそれに加えて、前記吸引装置の前記吸着板に、細長い形状の長径孔を形成することで、前記吸引装置からの吸着のための負圧が滑らかに前記油揚に作用するようにしている。この構成により、比較的小さい負圧にも拘らず確実に前記油揚を安定した状態で吸着でき、搬送することができる。
【0018】
〔第4の発明〕
第4の発明は、第2の発明の油揚の検査装置において、
前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部との、前記第2ベルトコンベアの移動方向に於ける重なりの長さが、10mm以上となるように前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとが配置され、
前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとの前記重なりの部分では、前記油揚が前記第1ベルトコンベアと前記第2ベルトコンベアとにより、挟み込まれた状態で移動する、ことを特徴とする油揚の検査装置である。
【0019】
〔第4の発明の作用効果〕
前記第1ベルトコンベアでは、前記油揚はその裏面が前記第1ベルトの前記上面側に載った状態で移動し、前記油揚の重みが前記油揚の前記裏面に作用する。一方前記油揚の表面が前記第2ベルトコンベアに吸着された状態では、前記油揚の重みが、前記第2ベルトコンベアの前記下面側に吸着する前記油揚の前記表面に作用する。前記第1ベルトコンベアに前記油揚が載った状態から、前記第2ベルトコンベアの前記下面側に吸着した状態で前記油揚が移動する状態に変わることにより、前記油揚の重みが作用する面が、前記油揚の裏面から表面に変化する。前記油揚自身は変形しやすく、その表面およびその裏面も、凹凸の形状が変化する。
【0020】
第4の発明に記載の構成では、前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部とを互いに重なり合う配置関係とし、さらにこの互いに重なり合う部分では、前記油揚が挟み込まれた状態となり、前記油揚の前記表面の凹凸が変化した状態となる。前記油揚の前記表面の凹凸が変化した状態で、前記吸引装置の吸引による負圧により、前記油揚の前記表面が前記第2ベルトコンベアの下面側に吸着する。
【0021】
上述のとおり、前記油揚を前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部とで挟み込んで、前記油揚の前記表面の凹凸を整え、その上で変形した前記油揚の前記表面を前記吸引装置の吸引による負圧により、前記第2ベルトコンベアの下面側に吸着する。このような前記油揚の変形動作と、変形した前記油揚の前記表面を前記第2ベルトコンベアの下面側に吸着する動作とが、滑らかにさらに安定して行われるように、第4の発明では、前記第1ベルトコンベアの前記端部と前記第2ベルトコンベアの前記端部とが互いに重なり合う長さを、明記した。
【0022】
〔第5の発明〕
第5の発明は、第4の発明の油揚の検査装置において、
前記第1ベルトコンベアの前記第1ベルトにより前記油揚が搬送されている状態において、前記油揚の上から前記油揚の前記表面および前記表面に繋がる側面を撮影し、
前記第2ベルトコンベアの前記第2ベルトの前記下面側に前記油揚の前記表面が吸着された状態で前記油揚が搬送されている状態において、前記油揚の下から前記油揚の前記裏面および前記裏面に繋がる側面を撮影し、
前記油揚の上から撮影した画像と前記油揚の下から撮影した画像とを組み合わせて、前記油揚の前記表面と前記裏面とに加え、前記側面の画像を使用して検査を行う、ことを特徴とする油揚の検査装置である。
【0023】
〔第5の発明の作用効果〕
本願発明に於いては、吸着対象物が油揚であるにも関わらず前記油揚の前記表面を前記第2ベルトの前記下面側に吸着することが可能となった。これにより前記油揚の上からと下からの撮影が可能となった。前記油揚はその前記表面とその前記裏面との間が膨らむ特徴を有している。上下の内の一方面からのみの撮影では側面全体の撮影が困難であった。しかし本願では、上からの前記油揚の前記表面の撮影と、下からの前記裏面の撮影とが可能となり、側面の情報を得ることが可能となった。前記側面の撮影情報を利用することで、制度の高い検査が可能となった。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、油揚の検査装置に於いて、前記油揚の一方面を吸引することにより、前記油揚の他方面を開放状態とし、前記他方面の検査を可能とした、油揚の検査装置を得ることができる。さらにこの検査方式を可能としてことで、油揚の検査速度を上げることが可能となる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】油揚の製造から出荷までの工程を説明する説明図である。
図2】油揚の検査装置の構成を説明する説明図である。
図3図2に記載の第1ベルトと第2ベルトとの重なり部分の拡大図である。
図4】検査装置を第1ベルト側から油揚の移動方向に沿って見たときの構成の配置関係を説明する説明図である。
図5】油揚の表面の検出に加え、側面を検出する方法を説明する説明図である。
図6】油揚の裏面の検査に加え、側面を検出する方法を説明する説明図である。
図7】吸引装置の負圧を油揚の表面に作用させる構成を説明する説明図である。
図8】吸引装置の構成の概要を説明する説明図である。
図9】第2ベルトに形成された多数の小孔を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明が適用された油揚50の検査装置100について、実施例を用いて説明する。なお以下の実施例で、同一符号は同様の作用を為し、同様の効果を奏する。説明の煩雑さを避けるために、同一符号に対する作用や効果を含む説明を省略することがある。
【0027】
図1は、油揚50の製造から出荷までの工程を説明する説明図である。製造工程10で製造された油揚50は、検査工程20で検査され、検査に合格した油揚50が出荷工程30で、例えば袋詰めされて、出荷される。検査工程20では、製造工程10で製造された油揚50について、裂け目等の傷の有無や異物の検査が行われる。実施例では、油揚50の少なくとも表面56と裏面58の2面について、望ましくは各側面を含めた、油揚50の6面について検査が行われる。
【0028】
図2は、油揚50の表面56および裏面58の検査を行う検査装置100の構成を示す。油揚50の検査の開始を、表面56と裏面58のどちらから先に行っても良いが、この実施例では表面56から先に開始した例を示す。なお油揚50の移動方向を逆にした場合には、油揚50の裏面58の検査が先に行われることなり、次に油揚50の表面56の検査を行うことになる。
【0029】
実際に検査結果を得る場合に、油揚50の表面56の画像や裏面58の画像、その他側面を含めた画像を取り込んだ後に、油揚50の検査の判定を出す方法がとられる。しかし検査のために必要となる基礎情報の取り込みは、順に行われる。この実施例で、検査の開始である画像の取り込みは、定められた順に行われる。上述した油揚50の表面56の検査とは、表面56の検査のための情報の取り込み、具体的には画像情報の取り込みを表しており、裏面58の検査とは、油揚50の検査のための裏面58の画像情報の取り込みを意味している。油揚50検査結果の判断は、取り込んだ画像の順に行っても良いが、この実施例では油揚50に関する全画像が揃った後に行っている。
【0030】
図2で、油揚50が製造されると油揚50の不要な油を落とした後に、検査工程20で第1ベルトコンベア120の第1ベルト122に載せられ。第1ベルト122は矢印127に示す方向に移動しているので、第1ベルト122により油揚50が表面検査部210の設置位置に導かれる。この状態では油揚50の下側である裏面58が第1ベルト122に密着し、油揚50の表面56が開放状態となっている。油揚50の表面56および裏面58は平らではなく、凹凸があるが、油揚50の自重により、裏面58の凹凸が平らな形状に近づくように変形した状態で、第1ベルトコンベア120の第1ベルト122の上面側124に保持される。
【0031】
第1ベルトコンベア120は第1ベルト122と第1ベルト122を回転するための複数の第1プーリ126を有し、第1プーリ126は矢印で示す方向に回転し、第1ベルト122が矢印127で示す方向に移動し、油揚を搬送する。第1ベルト122の上面側124に載せられた油揚50は、その表面56の画像が、表面検査部210を構成する表面カメラ212により撮影され、以下に記載の画像処理装置270に送られ、画像処理されて、以下で記載する異常検出装置280で傷等や異物の有無が検査される。
【0032】
第1ベルトコンベア120の後段に第2ベルトコンベア140が設けられ、第2ベルトコンベア140では、油揚50の裏面58の検査のための撮像が裏面検査部230により行われる。第2ベルトコンベア140では油揚50はその表面56が第2ベルト142の下面側144に吸着し、油揚50の裏面58が開放状態となる。この実施例で特徴的なことは、第1ベルトコンベア120の端部128と後段の第2ベルトコンベア140の端部148とが互いに重なり合うように配置され、油揚50がこの重なり合う部分に移動した状態で、第1ベルトコンベア120の第1ベルト122と第2ベルトコンベア140の第2ベルト142とにより、油揚50が挟み込まれた状態となり、油揚50がこの挟み込まれた状態になった後、油揚50に対して負圧を作用させて、第2ベルト142に吸着させることである。
【0033】
具体的には、第1ベルト122と第2ベルト142との間の間隔L1が、油揚50の少なくとも凸部の厚さよりも狭く設定されている。このため第1ベルト122と第2ベルト142との間に油揚50が導かれると、油揚50の少なくとも凸部で油揚50が第1ベルト122と第2ベルト142との間に挟み込まれた状態となる。油揚50の表面56は凹凸形状であり、少なくとも表面56の凸部では、油揚50が第1ベルト122と第2ベルト142とにより押圧されて平たくなる方向に変形する。
【0034】
上述のように間隔L1を狭くすることにより、油揚50に適度の押圧が加わり、油揚50の表面56および裏面58の凹凸形状がなだらかな方向に変形される。また油揚50の表面56と第2ベルトコンベア140の第2ベルト142との間からの空気の漏れを少なくでき、望ましくはほとんど漏れを無くすることができる。これにより油揚50の表面56と第2ベルト142の下面側144との密着度が改善され、結果的には低い負圧で油揚50を第2ベルト142に確実に吸着することができる。油揚50は変形し易いだけでなく、傷つき易いので、できるだけ低い負圧で、しかもできるだけ均等に負圧が作用するようにして、油揚50を吸着することが好ましい。これらの観点からも、油揚50の表面56および裏面58の凹凸形状を、挟み込むことにより、できるだけなだらかにすることが好ましい。また油揚50と第2ベルトコンベア140とを密着させ、その上で負圧を作用させることが望ましい。
【0035】
油揚50が第1ベルト122に載せられて搬送される状態では、油揚50には自重が加わるだけであり、油揚50が傷つくことはない。しかし油揚50が吸引されて第2ベルト142に吸着された状態では、自重よりはるかに大きな負圧が油揚50の吸着面に作用する。従って作用する負圧の最大値をできるだけ押さえ、しかも上記負圧が油揚50の広範囲に渡ったできるだけ均等に作用するようにすることが重要である。この観点から、第1ベルト122と第2ベルト142との間隔L1を、油揚50の少なくとも凸部の厚さより薄くし、油揚50を挟み込む構成とすることがたいへん重要である。
【0036】
裏面検査部230が有する裏面カメラ232で、油揚50の裏面58の画像を撮影する。上述したように、第1ベルト122と第2ベルト142とで油揚50を挟み込む状態にするので、油揚50はその凹凸が減少する方向に変形する。このため裏面カメラ232による油揚50の裏面58の画像では、凹凸形状に伴う影などに関する画像ノイズを小さくできる効果がある。従って傷や異物等の有無の判定を行い易い効果がある。
【0037】
裏面検査部230による画像取り込み動作が終了すると、例えば再び油揚50の裏面58がベルトに接する状態で、搬送するための第3ベルトコンベア160の第3ベルト162に油揚50が載せられる。第2ベルトコンベア140による搬送では、油揚50の表面56に自重が作用しているが、第3ベルトコンベア160では、油揚50の裏面58に自重が作用するように変わる。第2ベルトコンベア140から第3ベルトコンベア160への変わり目で、油揚50が傷付かないように、第3ベルトコンベア160の第3ベルト162と第2ベルトコンベア140の第2ベルト142とで挟み込み、この状態で下面側144に吸着させるための負圧が作用する領域から油揚50を上記負圧が作用しない領域に移動する。このようにすることで、より安全に油揚50を搬送することができる。
【0038】
図2に記載の第1ベルト122と第2ベルト142との重なり部分の拡大図を、図3に示す。油揚50は凹凸部として例えば凸部52や凹部54を有する。第1ベルト122と第2ベルト142との間隔L1は、上述のとおり、油揚50の凸部の厚さL4より狭くなるように、第1ベルトコンベア120と第2ベルトコンベア140が配置されている。油揚50における第1ベルト122と第2ベルト142とによって挟まれた状態では、凸部が押しつぶされ、平らな方向に変形する。吸引装置180から負圧が第2ベルト142を介して作用するため、油揚50の端部が移動して、吸引装置180の負圧が作用する領域に到達すると、油揚50の表面56に負圧が作用し、油揚50の表面56が第2ベルト142の下面側144に吸着する。しかしもともと油揚50に最初に負圧が作用する部分は、第1ベルト122と第2ベルト142とにより挟まれている部分なので、上記負圧が作用しても、負圧による変形が抑えられる。このため、油揚50に負圧が作用することによる損傷が生じることがない。第1ベルト122が存在する位置から矢印方向にさらに移動すると、第1ベルト122と第2ベルト142とにより挟まれた領域から外れ、挟まれたことによる油揚50に作用する力が無くなり、負圧による力で油揚50が第2ベルト142に吸着された状態となる。この切り替わり時における油揚50に生じる変形が、このような構造により、抑制される。
【0039】
上述したように、第1ベルトコンベア120の第1ベルト122と第2ベルトコンベア140の第2ベルト142による油揚50の挟み込み作用は、たいへん重要である。図3において、第1ベルト122と第2ベルト142とで油揚50を挟むための、第1ベルト122と第2ベルト142との重なり合う部分の長さL5は、短すぎては効果が不十分となる。長さL5は、油揚50の周辺部に生じる凹凸の幅を考慮して定めることが好ましい。このような観点から、長さL5は少なくとも10mm以上、油揚50の搬送方向に掛かる傾き等を考慮し、安定した動作を考慮すると、好ましくは15mm以上あることが望ましい。この長さL5はより長い方が安定した効果が期待できる。例えば20mm以上であればさらに安定した効果がは対できる。
【0040】
図4は、検査装置100を第1ベルト122の方から油揚50の移動方向に沿って見た状態における構成の配置関係を示す説明図である。第1ベルト122を有する第1ベルトコンベア120と第2ベルト142を有する第2ベルトコンベア140とはそれぞれ第1支持装置252や第2支持装置254により、その高さが調整可能に設定される。第1ベルトコンベア120と第2ベルトコンベア140との高さを、間隔調整機構250により、それぞれ調整することが可能である。この調整機能により、第1ベルト122と第2ベルト142とが重なり合う部分の間隔L1を調整することができる。油揚50は量産状態においてはその形状が安定しているので、間隔調整機構250により、間隔L1を設定するとその設定の条件で、多くの油揚50を検査することが可能である。しかし油揚50の種類が変わるなどの場合には、新たな油揚50の厚みに対応して、間隔L1が最適な値となるように、間隔調整機構250により調整することが望ましい。
【0041】
第1ベルトコンベア120に載せられて運ばれる油揚50は、その表面56は開放状態であり、表面検査部210によって表面56の画像が取り込まれ、画像処理装置270へ送られる。また第2ベルトコンベア140の第2ベルト142により運ばれる状態では、油揚50の表面56が第2ベルト142の下面側144に吸着した状態であり、油揚50の裏面58が開放状態である。油揚50の裏面58の画像が鏡234を介して裏面検査部230により取り込まれる。油揚50の裏面58の画像は、裏面検査部230から画像処理装置270へ送られる。画像処理装置270は、表面検査部210や裏面検査部230の画像データを基に、油揚50の少なくとも2面の画像、この実施例では油揚50の6面の画像を作成する。作成された油揚50の6面の画像から、異常検出装置280により、傷や異物の有無などの検査が行われ、商品としてふさわしくない油揚50の有無が検出される。異常検出装置280の検査結果に基づき、商品としてふさわしくない油揚50が図示しない装置により排除され、商品として合格した油揚50のみが出荷される。
【0042】
図4で、油揚50の裏面58の画像取り込みに鏡234を使用している理由は、油揚50からの油による汚れの対策のためである。油揚50は油が垂れないように、油切りの対策をしてから検査工程20に導かれるが、それでも油揚50の下方は、汚れが生じ易い。鏡234は定期的な洗浄や交換が容易である。しかし裏面検査部230は洗浄や交換が簡単ではない。このため鏡234が使用される。
【0043】
油揚50の表面56を第2ベルト142の下面側144に吸着させるために、負圧発生装置190が設けられ、吸引装置180に吸引管192からの負圧が作用し、吸引装置180の内部が外気に対して負圧となることにより、油揚50の表面56が第2ベルト142の下面側144に吸引され、吸着する。この作用効果について、以下で詳述する。
【0044】
図5図6は、油揚50の表面56および裏面58だけでなく、側面の画像をも併せて取り込む方法を説明する説明図である。先ず図5を用いて。油揚50の裏面58および裏面58に繋がる側面の画像の取り込みを説明する。
【0045】
油揚50が表面検査部210の撮影領域に入り込む状態の油揚50を油揚50AT1で示す。油揚50AT1に対して、表面検査部210はその先頭の側面、以下前面と記す、を上から撮影しさらに左右両側面の前面側を上から撮影する。これらの画像は表面検査部210から画像処理装置270に送信される。次に油揚50AT1の全体が表面検査部210の撮影領域に入った状態を図5に油揚50AT2として示す。油揚50AT2に対して、表面検査部210は油揚50AT2の表面56の全体画像およびそれに加えて、表面56に繋がる前後および左右の側面画像を上から撮影し、画像処理装置270へ撮影画像を送る。油揚50AT2がさらに移動すると、油揚50AT3の位置で、表面検査部210は油揚50AT3の後方の画像を上から撮影して画像処理装置270へ送る。
【0046】
次に図6を用いて、油揚50の裏面58側からの裏面検査部230による撮影を説明する。油揚50が第1ベルトコンベア120により搬送される状態から第2ベルトコンベア140により搬送される状態に変わり、油揚50の前面が裏面検査部230の撮影領域に入った状態を50BT1として示す。また油揚50の全体が裏面検査部230の撮影領域に入った状態を50BT2として示し、油揚50の前面が裏面検査部230の撮影領域から外れ、油揚50の後面が裏面検査部230の撮影領域に残る状態を50BT3として示す。
【0047】
50BT1に対して、裏面検査部230はその前面と裏面58の一部および左右側面の前側を、下から撮影して、その画像を画像処理装置270へ送る。50BT2に対しては、その裏面58の全体および裏面58に繋がる左右および前後の側面を下から撮影して、その画像を画像処理装置270へ送る。また50BT2から50BT3の状態になった時点で、裏面58の後方側およびそれに続く後方側の左右を含めた側面の画像を撮影して、画像処理装置270へ送る。
【0048】
油揚50の表面56およびそれに続く前後左右の側面に関する上からの画像を表面検査部210から画像処理装置270が受け取る。また裏面58およびそれに続く前後左右の側面の下からの画像を画像処理装置270が受け取る。表面検査部210からの上から撮影した画像と、裏面検査部230からの下から撮影した画像とを組み合わせることで、検査対象の油揚50に関する6面図が画像処理装置270により作られる。この油揚50に関する6面図を基に、異常検出装置280で傷や異物の検査を行うことにより、より正確な検査が可能となる。油揚50は一般的に表面56と裏面58とを繋ぐ前後および左右の側面が外に向かって膨らんでいる。さらな表面56や裏面58の外周部分が凸条となっていることが多い。従って上述のように、表面検査部210による上からの撮影画像と裏面検査部230による下からの撮影画像を組み合わせて、側面の画像を作ることが有効であり、より正確な検査につながる。
【0049】
油揚50を検査対象とした場合に、上述のとおり、油揚50の表面56を第2ベルトコンベア140の第2ベルト142の下面側144にスムーズに吸着させることが好ましい。このために、詳述したように第1ベルトコンベア120の第1ベルト122と第2ベルトコンベア140の第2ベルト142とで油揚50を挟んだ状態で、油揚50の表面56に負圧を作用させる。図7は、負圧を油揚50に印加する吸引装置180と第2ベルト142との配置関係を示している。また図8は、吸引装置180および吸引装置180が有する吸引板182の構成の概要を示す。また図9は、第2ベルトコンベア140の第2ベルト142に形成された、負圧を油揚50の表面56に作用させるための多数の小孔150を示す。
【0050】
図7および図8図9に於いて、負圧発生装置190で作られた大気より低い圧力である負圧が、吸引管192およびフィルタ194を介して吸引装置180に作用する。吸引装置180はその第2ベルト142の側に吸引板182を有している。吸引板182は長形孔184を多数有している。吸引装置180の負圧は吸引板182に形成された長形孔184を介して第2ベルト142に作用し、さらに第2ベルト142に形成された多数の小孔150を介して油揚50の表面56に作用し、油揚50の表面56が第2ベルト142の下面側144に吸着する。なお、吸引板182に形成された長形孔184の全てに符号を付すべきであるが、符号を省略している。また小孔150についても同様であり、全てに符号を付すべきであるが、省略している。
【0051】
第2ベルトコンベア140の第2ベルト142に形成された多数の小孔150は、等間隔に配置されており、一つの列と次の列とで小孔150の位置をずらせている。このようにすることで油揚50の表面56に、ほぼ均一に負圧を作用させる働きをする。小孔150が大きいと、小孔150らエッジ部分の油揚50の表面56に応力が集中する恐れがある。さらに応力の集中を避けるために小孔150は角が無い形状となっている。仮に四角形状であると角の部分に応力が集中し、傷つく恐れがある。この実施例では円形である。
【0052】
図7において、第2ベルト142の上面側145と吸引板182の下面側との間に隙間が生じないようにしている。第2ベルト142の上面側145と吸引板182の下面側との間からの空気の漏れを防止することで、吸引装置180内の負圧を低減でき、油揚50への作用を小さくできる。また吸引板182には長形孔184が形成されている。長形孔184は細くて長い形状であり、その長さは第2ベルト142に形成された小孔150の2倍以上であるが、小孔150に対して、隣り合う長形孔184との間の間隔が広い。負圧発生装置190の負圧は、フィルタ194でその脈動等の変動が抑えられ、さらに吸引板182の長形孔184で脈動が抑えられ、小孔150から油揚50に作用する。
【0053】
フィルタ194は、油揚50からの油の粒子が負圧発生装置190へ吸い寄せられるのを防止しているが、その作用に加えて、負圧変動が油揚50に与える衝撃を緩和する作用をもなしている。
【0054】
上述の実施例は、変形しやすく損傷し易い油揚50の裏面58の検査を高速で行うことができる効果を有している。そのために、上記実施例は、油揚50の表面56を第2ベルトコンベア140の第2ベルト142の下面側144に、確実にしかも衝撃を低減できる構成で、吸着することができる効果を有している。上記実施例は、先に油揚50の表面56の撮影を行い、次に油揚50の裏面58の撮影を行っているが、順序を逆にしても全く問題が生じない。
【符号の説明】
【0055】
10・・・製造工程、20・・・検査工程、30・・・出荷工程、50・・・油揚、52・・・凸部、56・・・表面、58・・・裏面、100・・・検査装置、120・・・第1ベルトコンベア、122・・・第1ベルト、124・・・上面側、126・・・第1プーリ、128・・・端部、140・・・第2ベルトコンベア、142・・・第2ベルト、144・・・下面側、145・・・上面側、146・・・第2プーリ、148・・・端部、150・・・小孔、160・・・第3ベルトコンベア、162・・・第3ベルト、166・・・第3プーリ、180・・・吸引装置、182・・・吸引板、184・・・長形孔、190・・・負圧発生装置、192・・・吸引管、194・・・フィルタ、210・・・表面検査部、212・・・表面カメラ、230・・・裏面検査部、232・・・裏面カメラ、234・・・鏡、250・・・間隔調整機構、252・・・第1支持装置、254・・・第2支持装置、270・・・画像処理装置、280・・・異常検出装置。
【要約】      (修正有)
【課題】検査対象である油揚の裏面の検査を可能にするために、油揚の表面を搬送用のベルトコンベアのベルトの下面に吸引することが可能な、油揚の検査装置を提供すること。
【解決手段】油揚50の表面56を検査する第1ベルトコンベア120の端部端部128と、油揚50の裏面58を検査する前記第2ベルトコンベア140の端部148とが互いに重なり合い、第1ベルトコンベア120の前記第1ベルト122と第2ベルトコンベア140の前記第2ベルト142との間隔が、前記油揚50の最大厚さより狭くなるようにし、前記第1ベルト122と前記第2ベルト142で前記油揚50を挟み込んだ状態で、負圧を作用させて、油揚50を第2ベルト142の下面側144に吸着させることにより、解放された油揚50の裏面58の検査を行う、油揚50の検査装置。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9