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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/08 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
G04B37/08 S
G04B37/08 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019011018
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020118582
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 茂
(72)【発明者】
【氏名】小島 勝宏
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167446(JP,A)
【文献】実開昭61-45474(JP,U)
【文献】特開2006-71333(JP,A)
【文献】実開昭58-17584(JP,U)
【文献】特開2008-235226(JP,A)
【文献】特開2017-59664(JP,A)
【文献】特開2009-135852(JP,A)
【文献】特開平9-36623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/00-47/06
H05K 5/06
G01D 11/24-11/26
G12B 9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風防が露出されるフロントケースと、バックケースと、を備えるケース本体と、
前記ケース本体の内部に設けられ、前面に前記風防が設けられ、背面にムーブメントが設けられ、該ムーブメントの外周に環状壁が形成される前板と、
前記環状壁を覆うキャップ状のカバーパッキンと、
を有し、
前記カバーパッキンは、該カバーパッキンの開口部外周に形成されて前記環状壁の外側に位置するスカート部と、該スカート部から内寸が縮小するよう形成されて前記環状壁の端部に位置する環状段部と、を備え、
前記バックケースの内面には、前記環状段部に突き当て可能に形成される環状リブが形成されることを特徴とする時計。
【請求項2】
前記ムーブメントの高さは、前記環状壁の端部よりも高いことを特徴とする請求項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の気密性を高めた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、風呂場等における使用を想定して、ムーブメント等の精密な部位の気密性を高めた時計が提案されている。例えば、特許文献1には、前板と裏蓋とで挟持されるリング状の中板を備えて、この中板と風防ガラスとの間、及び、中板とバックケースとの間にリング状の防水パッキンを設けて気密性を高めた時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-237648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッキンは、通常、ゴム材料により形成される。このようなパッキンは、経年劣化し、気密性能が低下することがある。特に、高温・多湿の環境下においては、パッキンの経年劣化が早まることがある。そして、特許文献1に開示される時計のパッキンは、風防ガラスやバックケースに直接接して保持されるため、高温・多湿の環境下の使用時に温度上昇した風防ガラスやバックケースの熱がパッキンに伝わりやすく、従ってパッキンの劣化が早まる懸念があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、パッキンの経年劣化による機密性能の低下を低減した時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計は、風防が露出されるフロントケースと、バックケースと、を備えるケース本体と、前記ケース本体の内部に設けられ、前面に前記風防が設けられ、背面にムーブメントが設けられ、該ムーブメントの外周に環状壁が形成される前板と、前記環状壁を覆うキャップ状のカバーパッキンと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パッキンの経年劣化による機密性能の低下を低減した時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る時計の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る時計を背面側から見た分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る時計のカバーパッキンを内面側から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るバックケースを内面側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る時計の図1のV-V断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る時計の図1のVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図1に示す時計10は、丸型に形成される。時計10は、外装体であるケース本体11を備える。ケース本体11は、フロントケース11aとバックケース11bを備える。フロントケース11aは、風防12が露出されるよう略環状に形成される。バックケース11bは、フロントケース11aの背面側に設けられる。
【0010】
バックケース11bは、背面側を閉塞するようシェル状に形成される。図2に示すように、バックケース11bには、吊り下げ用のフック11b1が背面側に収納される。フック11b1は、基端部に回動自在の支持軸が形成される。フック11b1は、使用しないときにはバックケース11bの背面に収納され、使用時にはフック11b1をバックケース11bの収納部から起すようにして回動して使用することができる。
【0011】
また、フロントケース11aの外周であって、バックケース11bのフック11b1の基端部の回動支持軸と反対側には、係止フック15が設けられる(図1,2参照)。係止フック15は、図5に示すように、小片の略板状に形成されて、一方の平面がフロントケース11aの外周壁に対向するよう設けられる。
【0012】
具体的には、係止フック15は、図5の側面視において略中央で内径側に折れ曲がるように形成される。係止フック15は、ケース11に向かって突出する係止部15aが形成される。係止部15aは、係止フック15の幅方向を長手方向として形成される(図2も参照)。一方、バックケース11bには、係止フック15に対応する位置に係止部15aと係止する被係止部11b2が形成される。係止フック15の係止部15aが被係止部11b2に係止することにより、フロントケース11aとバックケース11bが互いに組付けられる。
【0013】
ケース11の内部には、前板20が設けられる。前板20の前面には、円環状壁部21が形成される。円環状壁部21の内側には、後述のムーブメント30と接続される指針31と、文字盤16が配置される。円環状壁21の外周における前板20には、円環状のOリング溝22が形成されて、このOリング溝22にOリング18が設けられる。
【0014】
一方、風防12は、円環状の縁壁を有する皿状に形成されており、その縁壁の開口側には円環状突起12aが形成される。図6に示すように、風防12は、複数のねじ3により前板20に取り付けられる(図2も参照)。円環状突起12aは、Oリング溝22に対応して形成される。従って、風防12をねじ3により前板20へ取り付けることにより、円環状突起12aは、Oリング溝22を押し付けて、前板20の前面と風防12の内側で形成される空間が気密にされる。
【0015】
前板20の背面側にはムーブメント30が設けられる。図2,5,6に示すように、本実施形態においては、ムーブメント30は、略直方体状に形成される。ムーブメント30の外周側における前板20には、環状壁23がムーブメント30を囲むよう連続して形成される。なお、ムーブメント30の高さは、環状壁23の端部23aよりも高く形成される。従って、後述のカバーパッキン40の内面とムーブメント30の上面とを近接又は接触させることができるので、カバーパッキン40の内面とムーブメント30の上面との間の空間が熱膨張してカバーパッキン40を膨張させてしまうことを低減することができる。
【0016】
前板20の背面側であって、さらにムーブメント30の背面側には、環状壁23を覆うキャップ状のカバーパッキン40が設けられる。図2,3にも示すように、カバーパッキン40は、ムーブメント30や環状壁23に倣って略矩形に形成される。カバーパッキン40は、軟質のエラストマーやNBR等のゴム材料により形成される。
【0017】
カバーパッキン40の開口部外周には壁状のスカート部41が環状に形成される。カバーパッキン40の前板20への取付時において、スカート部41は、前板20の環状壁23の外側に位置される。そして、スカート部41には、スカート部41の内寸(換言すれば、スカート部41の内側領域)を縮小するように段部42が形成される。そして、段部42からカバーパッキン40の底部である平板面部43に向けて、平板面部43と段部42とを接続する壁状の接続部44が環状に形成される。平板面部43には、ムーブメント30の上面から突出する円柱状部30aに対応して、カバーパッキン40の内部で凹状に形成される円柱状凹部43aが形成される。
【0018】
また、図4に示すように、バックケース11bの内面には、環状リブ11b3が形成される。環状リブ11b3は、カバーパッキン40の段部42に突き当て可能に形成される。すなわち、図5,6における断面視では、カバーパッキン40の段部42は、環状リブ11b3と環状壁23で挟持される。環状リブ11b3と環状壁23によりカバーパッキン40の段部42が挟持される部分(挟持部45)は、ムーブメント30周りに環状に形成される。
【0019】
このようにして、カバーパッキン40の段部42を挟み込む挟持部45がムーブメント30周りに形成されることで、カバーパッキン40の内側が気密となる。従って、風呂場等での使用においてフロントケース11aとバックケース11bとの接合部分から水が入っても、カバーパッキン40の挟持部45により、カバーパッキン40の内部に水が浸入することは無い。そして、カバーパッキン40は、ケース11の内部に収納されるので、カバーパッキン40に直接熱が伝わることが無いので、カバーパッキン40の劣化の早さを低減することができる。
【0020】
また、Oリング等のパッキンを用いた従来の時計では、組立時においてOリング溝への嵌め込みが煩雑であり、捩れ等の組立不良が発生する場合があるのに比べて、カバーパッキン40は、ムーブメント30に対して被せるだけで組立ができるので、組立性が向上する。
【0021】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態においては、挟持部45が連続して形成されるように、環状リブ11b3も連続して形成されるが、カバーパッキン40内部がある程度気密に保たれる程度においては、環状リブ11b3に間欠する切欠きを設けることもできる。
【符号の説明】
【0022】
3 ねじ 10 時計
11 ケース 11 ケース本体
11a フロントケース 11b バックケース
11b1 フック 11b2 被係止部
11b3 環状リブ 12 風防
12a 円環状突起 15 係止フック
15a 係止部 16 文字盤
18 Oリング 20 前板
21 円環状壁 21 円環状壁部
22 Oリング溝 23 環状壁
23a 端部 30 ムーブメント
30a 円柱状部 31 指針
40 カバーパッキン 41 スカート部
42 段部 43 平板面部
43a 円柱状凹部 44 接続部
45 挟持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6