(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20221207BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221207BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/38 130
H02J3/46
(21)【出願番号】P 2019191963
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 充博
(72)【発明者】
【氏名】脇 昌裕
(72)【発明者】
【氏名】松本 誠
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-140166(JP,A)
【文献】特開2013-207862(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150376(WO,A1)
【文献】特許第6427708(JP,B1)
【文献】特開2020-058186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/38
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1太陽光発電装置と第1電力変換装置とを有し、連系点を介して電力系統と接続され、前記第1太陽光発電装置から出力された直流電力を前記第1電力変換装置で交流電力に変換して電力系統に出力する第1電力変換部と、
第2太陽光発電装置と
、前記第1電力変換装置と仕様の異なる第2電力変換装置と
、を有し、前記連系点を介して前記電力系統と接続され、前記第2太陽光発電装置から出力された直流電力を前記第2電力変換装置で交流電力に変換して前記電力系統に出力する第2電力変換部と、
前記連系点の電力を計測する計測装置と、
前記第1電力変換部及び前記第2電力変換部から前記電力系統に出力する全体目標値を基に、前記第2電力変換部の起動又は停止を決定するとともに、前記第1電力変換部の分担電力を決定する監視装置と、
前記第1電力変換装置の出力制御を行うことができ、前記仕様の異なる前記第2電力変換装置の出力制御を行うことができない出力制御装置であって、前記全体目標値及び前記分担電力を前記監視装置から取得するとともに、前記連系点の電力の計測値を前記計測装置から取得し、前記連系点の電力が前記全体目標値に近づくように、前記第1電力変換部の出力制御を行う出力制御装置と、
を備えた太陽光発電システム。
【請求項2】
複数の前記第2電力変換部を備え、
前記監視装置は、前記全体目標値を基に、複数の前記第2電力変換部毎に起動又は停止を決定し、前記全体目標値に応じた数の前記第2電力変換部を起動させる請求項1記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
複数の前記第1電力変換部を備え、
前記監視装置は、前記全体目標値から起動する前記第2電力変換部の出力電力を差し引いた差分を、複数の前記第1電力変換部の数で割ることにより、複数の前記第1電力変換部のそれぞれの前記分担電力を決定する請求項1又は2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記出力制御装置は、前記全体目標値と前記計測値との差分を複数の前記第1電力変換部の数で割ることにより、複数の前記第1電力変換部の出力電力の調整量を演算し、前記分担電力と前記調整量とに基づいて複数の前記第1電力変換部の出力制御を行う請求項3記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
複数の前記第1電力変換部を備え、
前記監視装置は、複数の前記第1電力変換部のそれぞれの定格出力の比率に基づく複数の係数を有し、前記全体目標値から起動する前記第2電力変換部の出力電力を差し引いた差分に、前記複数の係数を掛けることにより、複数の前記第1電力変換部のそれぞれの前記分担電力を決定する請求項1又は2に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記出力制御装置は、前記全体目標値と前記計測値との差分に、前記複数の係数を掛けることにより、複数の前記第1電力変換部の出力電力の調整量を演算し、前記分担電力と前記調整量とに基づいて複数の前記第1電力変換部の出力制御を行う請求項5記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統における電力の需要と供給のバランスを保つため、太陽光発電所においても電力系統に出力する電力を制御することが要求される場合がある。例えば、出力上限値を変更する時刻及び変更後の出力上限値に関する情報を含む緊急要請を受けて連系点電力を制御することで、電力系統の安定化に貢献することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
太陽光発電所には、複数の太陽光発電装置、及び複数の太陽光発電装置のそれぞれに対応する複数の電力変換装置(パワーコンディショナ)が設けられる場合がある。この際、複数の電力変換装置において、機種やメーカなど、複数の電力変換装置の仕様が異なる場合がある。この場合、指令値の入力方法や通信規格が異なるなど、複数の電力変換装置の出力制御を一括して行うことが難しい。このため、仕様の異なる電力変換装置毎に別々に出力制御を行わなければならないなど、太陽光発電所の構成が複雑になったり、出力制御を行うためのコストの増加を招いてしまう可能性がある。
【0004】
このため、太陽光発電システムでは、複数の電力変換装置の仕様が異なる場合にも、簡単な構成で出力制御を行えるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、複数の電力変換装置の仕様が異なる場合にも、簡単な構成で出力制御を行うことができる太陽光発電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る太陽光発電システムは、第1太陽光発電装置と第1電力変換装置とを有し、連系点を介して電力系統と接続され、前記第1太陽光発電装置から出力された直流電力を前記第1電力変換装置で交流電力に変換して電力系統に出力する第1電力変換部と、第2太陽光発電装置と、前記第1電力変換装置と仕様の異なる第2電力変換装置と、を有し、前記連系点を介して前記電力系統と接続され、前記第2太陽光発電装置から出力された直流電力を前記第2電力変換装置で交流電力に変換して前記電力系統に出力する第2電力変換部と、前記連系点の電力を計測する計測装置と、前記第1電力変換部及び前記第2電力変換部から前記電力系統に出力する全体目標値を基に、前記第2電力変換部の起動又は停止を決定するとともに、前記第1電力変換部の分担電力を決定する監視装置と、前記第1電力変換装置の出力制御を行うことができ、前記仕様の異なる前記第2電力変換装置の出力制御を行うことができない出力制御装置であって、前記全体目標値及び前記分担電力を前記監視装置から取得するとともに、前記連系点の電力の計測値を前記計測装置から取得し、前記連系点の電力が前記全体目標値に近づくように、前記第1電力変換部の出力制御を行う出力制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態では、複数の電力変換装置の仕様が異なる場合にも、簡単な構成で出力制御を行うことができる太陽光発電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(d)は、監視装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、出力制御装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、出力制御装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、監視装置及び出力制御装置の動作の変形例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、太陽光発電システム10は、第1電力変換部11と、第2電力変換部12と、計測装置14と、監視装置16と、出力制御装置18と、を備える。
【0012】
第1電力変換部11は、第1太陽光発電装置21と第1電力変換装置31とを有する。第1電力変換部11は、連係点LPを介して電力系統2と接続され、第1太陽光発電装置21から出力された直流電力を第1電力変換装置31で交流電力に変換して電力系統2に出力する。
【0013】
第2電力変換部12は、第2太陽光発電装置22と第2電力変換装置32とを有する。第2電力変換部12は、連係点LPを介して電力系統2と接続され、第2太陽光発電装置22から出力された直流電力を第2電力変換装置32で交流電力に変換して電力系統2に出力する。
【0014】
第1太陽光発電装置21及び第2太陽光発電装置22は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換することにより、直流電力を生成する。第1太陽光発電装置21及び第2太陽光発電装置22は、多数のセル(太陽電池素子)を並べて構成される太陽電池モジュールを直列に複数枚並べた複数の太陽電池ストリングである。第1太陽光発電装置21及び第2太陽光発電装置22は、太陽電池ストリングに限ることなく、例えば、単体の太陽電池モジュールを並列接続するものなどでもよい。
【0015】
なお、第2太陽光発電装置22の構成は、第1太陽光発電装置21の構成と同じでもよいし、異なってもよい。例えば、第2太陽光発電装置22の定格出力は、第1太陽光発電装置21の定格出力と同じでもよいし、異なってもよい。
【0016】
第1電力変換装置31は、第1太陽光発電装置21と接続されるとともに連系点LPを介して電力系統2と接続される。第1電力変換装置31は、例えば、遮断器40、変圧器42、50などを介して連系点LPに接続される。第1電力変換装置31は、第1太陽光発電装置21から出力された直流電力を交流電力に変換して電力系統2に出力する。
【0017】
第2電力変換装置32は、第2太陽光発電装置22と接続されるとともに連系点LPを介して電力系統2と接続される。第2電力変換装置32は、例えば、遮断器44、変圧器46、50などを介して連系点LPに接続される。第2電力変換装置32は、第2太陽光発電装置22から出力された直流電力を交流電力に変換して電力系統2に出力する。
【0018】
電力系統2の交流電力は、例えば、三相交流電力である。第1電力変換装置31及び第2電力変換装置32は、直流電力を電力系統2に応じた三相交流電力に変換し、電力系統2に出力する。但し、電力系統2の交流電力は、単相交流電力などでもよい。第1電力変換装置31及び第2電力変換装置32は、直流電力を電力系統2に応じた任意の交流電力に変換すればよい。
【0019】
第2電力変換装置32の仕様は、第1電力変換装置31の仕様と異なる。ここで、「仕様が異なる」とは、例えば、機種や製造メーカなどが異なり、指令値の入力方法や通信規格が異なるなど、第1電力変換装置31に入力する制御信号と同じ態様の制御信号では、第2電力変換装置32の動作を制御することができないことをいう。
【0020】
第1電力変換部11は、複数の第1太陽光発電装置21と、複数の第1電力変換装置31と、を有する。この例では、第1電力変換部11は、2台の第1太陽光発電装置21と、2台の第1電力変換装置31と、を有する。複数の第1電力変換装置31は、複数の第1太陽光発電装置21のそれぞれに対応して設けられる。
【0021】
第2電力変換部12は、複数の第2太陽光発電装置22と、1台の第2電力変換装置32と、を有する。この例では、第2電力変換部12は、2台の第2太陽光発電装置22と、1台の第2電力変換装置32と、を有する。第2電力変換装置32は、複数の第2太陽光発電装置22に共通に用いられている。
【0022】
第1電力変換部11に設けられる第1太陽光発電装置21の数、及び第1電力変換装置31の数は、任意の数でよい。第1太陽光発電装置21の数、及び第1電力変換装置31の数は、1台でもよい。第1電力変換装置31に接続される第1太陽光発電装置21の数は、1台でもよいし、複数でもよい。換言すれば、第1電力変換装置31は、1台の第1太陽光発電装置21に用いてもよいし、複数の第1太陽光発電装置21に共通に用いてもよい。第1電力変換装置31に接続する第1太陽光発電装置21の数は、第1太陽光発電装置21の定格出力や第1電力変換装置31の定格出力に応じて適宜設定すればよい。これらは、第2電力変換部12についても同様である。
【0023】
また、太陽光発電システム10は、複数の第1電力変換部11と複数の第2電力変換部12とを備えている。複数の第1電力変換部11及び複数の第2電力変換部12は、例えば、異なる場所に設置される。複数の第1電力変換部11及び複数の第2電力変換部12は、例えば、サイトやバンクなどと呼ばれる場合もある。
【0024】
但し、太陽光発電システム10に設けられる第1電力変換部11の数及び第2電力変換部12の数は、任意の数でよい。第1電力変換部11の数は、第2電力変換部12の数と同じでもよいし、異なってもよい。
【0025】
複数の第1電力変換部11を設ける場合、第1太陽光発電装置21の数、及び第1電力変換装置31の数は、複数の第1電力変換部11のそれぞれで同じでもよいし、異なってもよい。換言すれば、複数の第1電力変換部11の定格出力は、同じでもよいし、異なってもよい。これらは、第2電力変換部12についても同様である。
【0026】
計測装置14は、連系点LPの電力を計測する。より具体的には、計測装置14は、連系点LPの有効電力を計測する。
【0027】
監視装置16には、第1電力変換部11及び第2電力変換部12から電力系統2に出力する全体目標値が設定される。全体目標値は、より具体的には、複数の第1電力変換部11及び複数の第2電力変換部12から電力系統2に出力する合計の電力の目標値である。
【0028】
全体目標値は、例えば、上位のコントローラなどからネットワークを介して監視装置16に入力される。全体目標値は、操作部の操作により、監視装置16のオペレータなどから監視装置16に入力できるようにしてもよい。全体目標値は、予め設定された固定値でもよい。全体目標値の設定方法は、監視装置16に設定可能な任意の方法でよい。
【0029】
監視装置16は、設定された全体目標値を基に、第2電力変換部12の起動又は停止を決定するとともに、第1電力変換装置31の分担電力を決定する。
【0030】
この例で表しているように、太陽光発電システム10が複数の第2電力変換部12を備えている場合、監視装置16は、全体目標値を基に、複数の第2電力変換部12毎に起動又は停止を決定し、全体目標値に応じた台数の第2電力変換部12を起動させる。
【0031】
太陽光発電システム10は、制御装置34をさらに備えている。監視装置16は、複数の第2電力変換部12の起動又は停止の決定の結果を制御装置34に入力する。制御装置34は、監視装置16から入力された起動又は停止の決定の結果を基に、複数の第2電力変換部12の起動又は停止を制御する。
【0032】
なお、この例では、1台の制御装置34で複数の第2電力変換部12のそれぞれの起動又は停止を制御している。これに限ることなく、複数の制御装置34を設け、複数の制御装置34で複数の第2電力変換部12の起動又は停止を制御してもよい。また、起動又は停止の決定の結果は、制御装置34を介することなく、監視装置16から第2電力変換部12に直接的に入力してもよい。このように、制御装置34は、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、第2電力変換部12を監視装置16で直接的に制御できない場合には、制御装置34を設けることで、第2電力変換部12の起動又は停止の制御を可能とすることができる。
【0033】
出力制御装置18は、計測装置14及び監視装置16と通信可能に接続されている。出力制御装置18は、全体目標値及び分担電力を監視装置16から取得するとともに、連系点LPの電力の計測値を計測装置14から取得し、分担電力及び計測値を基に、連系点LPの電力が全体目標値に近づくように、第1電力変換部11の出力制御を行う。
【0034】
第1電力変換装置31は、換言すれば、出力制御装置18の制御に基づいて出力制御を行うことが可能な電力変換装置である。第2電力変換装置32は、換言すれば、第1電力変換装置31とは仕様が異なり、出力制御装置18の制御では出力制御を行うことができない電力変換装置である。
【0035】
複数の第1電力変換装置31は、少なくとも出力制御装置18の制御に基づいて出力制御を行うことが可能であればよく、例えば、定格出力などは、複数の第1電力変換装置31のそれぞれで異なってもよい。同様に、複数の第2電力変換装置32は、少なくとも出力制御装置18の制御では出力制御を行うことができなければよく、例えば、定格出力などは、複数の第2電力変換装置32のそれぞれで異なってもよい。
【0036】
太陽光発電システム10は、例えば、複数の出力制御装置18を備え、複数の出力制御装置18によって複数の第1電力変換部11の出力制御を行う。1台の出力制御装置18は、例えば、1つの第1電力変換部11に設けられた複数の第1電力変換装置31の出力制御を行う。但し、出力制御装置18は、複数の第1電力変換部11に対して共通に設けてもよい。出力制御装置18は、複数の第1電力変換部11の出力制御を行ってもよい。出力制御装置18の台数は、1台でもよい。
【0037】
この例で表しているように、太陽光発電システム10が複数の第1電力変換部11を備えている場合、監視装置16は、複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力を決定する。この場合、分担電力は、換言すれば、複数の第1電力変換部11から電力系統2に出力される交流電力の個別の目標値である。
【0038】
監視装置16は、複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力を決定し、決定した分担電力を各出力制御装置18に入力する。各出力制御装置18は、各第1電力変換部11から分担電力に応じた交流電力が電力系統2に出力されるように、各第1電力変換部11(各第1電力変換装置31)の出力制御を行う。これにより、連系点LPの電力を全体目標値に近付けることができる。
【0039】
図2(a)~
図2(d)は、監視装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図2(a)~
図2(d)は、監視装置16による複数の第2電力変換部12の起動又は停止の決定方法の一例を模式的に表す。この例では、2つの第1電力変換部11及び2つの第2電力変換部12のそれぞれの定格出力を10MW(実効値)として説明を行う。この場合、各第1電力変換部11及び各第2電力変換部12から電力系統2に出力される交流電力の合計は、40MWである。従って、この場合、全体目標値は、0MW~40MWの間で設定される。
【0040】
図2(a)に表したように、全体目標値が40MWである場合には、監視装置16は、2つの第2電力変換部12の起動を決定するとともに、2つの第1電力変換部11のそれぞれの分担電力を10MWと決定する。これにより、連系点LPの電力を40MWの全体目標値に近付けることができる。
【0041】
図2(b)に表したように、全体目標値が20MW以上40MW未満である場合には、監視装置16は、2つの第2電力変換部12の起動を決定するとともに、残りの電力の半分を2つの第1電力変換部11の分担電力と決定する。例えば、全体目標値が30MWであり、各第2電力変換部11から20MWの電力が出力される場合、残りの電力は、10MWである。従って、この場合、監視装置16は、残り10MWの半分の5MWを各第1電力変換部11の分担電力と決定する。これにより、連系点LPの電力を20MW以上40MW未満の全体目標値に近付けることができる。
【0042】
図2(c)に表したように、全体目標値が10MW以上20MW未満である場合には、監視装置16は、一方の第2電力変換部12の起動を決定するとともに、他方の第2電力変換部12の停止を決定し、残りの電力の半分を各第1電力変換部11の分担電力と決定する。例えば、全体目標値が19MWであり、一方の第2電力変換部12から10MWの電力が出力される場合、残りの電力は、9MWである。従って、この場合、監視装置16は、残り9MWの半分の4.5MWを各第1電力変換部11の分担電力と決定する。これにより、連系点LPの電力を10MW以上20MW未満の全体目標値に近付けることができる。
【0043】
図2(d)に表したように、全体目標値が10MW未満である場合には、監視装置16は、2つの第2電力変換部12の停止を決定するとともに、残りの電力の半分を各第1電力変換部11の分担電力と決定する。例えば、全体目標値が9MWである場合、残りの電力は、9MWである。従って、この場合、監視装置16は、残り9MWの半分の4.5MWを各第1電力変換部11の分担電力と決定する。これにより、連系点LPの電力を10MW未満の全体目標値に近付けることができる。
【0044】
このように、監視装置16は、全体目標値が複数の第1電力変換部11の出力制御の範囲内に入るように、複数の第2電力変換部12の起動又は停止を決定する。複数の第2電力変換部12の中で停止させる第2電力変換部12の順序は、予め決めておけばよい。例えば、停止させる第2電力変換部12を複数の第2電力変換部12の中で順次入れ替えることにより、複数の第2電力変換部12の動作時間に偏りが生じないようにしてもよい。複数の第2電力変換部12の定格出力が異なる場合には、複数の第1電力変換部11の出力制御をし易くできるように、停止させる第2電力変換部12を決定してもよい。
【0045】
また、監視装置16は、全体目標値から起動する第2電力変換部12の出力電力を差し引いた差分を、複数の第1電力変換部11の数で割ることにより、複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力を決定する。
【0046】
上記のように、第1電力変換部11の数が2つで、差分が9MWである場合には、4.5MWを複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力と決定する。例えば、第1電力変換部11の数が3つで、差分が9MWである場合には、3MWを複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力と決定する。
【0047】
図3(a)~
図3(c)、
図4(a)、及び
図4(b)は、出力制御装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図3(a)~
図3(c)、
図4(a)、及び
図4(b)は、出力制御装置18による複数の第1電力変換部11の出力制御の一例を模式的に表す。この例においても、2つの第1電力変換部11及び2つの第2電力変換部12のそれぞれの定格出力を10MW(実効値)として説明を行う。
【0048】
全体目標値が30MWである場合、監視装置16は、前述のように、2つの第2電力変換部12の起動を決定し、残り10MWの半分の5MWを各第1電力変換部11の分担電力と決定する。この際、2つの第2電力変換部12の出力電力が、気象条件の影響などにより、それぞれ9MWであったとする。
【0049】
この場合、出力制御装置18は、
図3(a)に表したように、不足分の2MWを2つの第1電力変換部11のそれぞれに分担させ、2つの第1電力変換部11の出力電力を6MWに制御する。これにより、連系点LPの電力が、全体目標値に近づくように、2つの第1電力変換部11の出力制御を行うことができる。
【0050】
さらに、
図3(b)に表したように、気象条件の影響などにより、一方の第1電力変換部11の出力電力が、3MWに低下したとする。
【0051】
この場合、出力制御装置18は、不足分の3MWを2(第1電力変換部11の数)で割った1.5MWを調整量とし、これを基の6Wに加えた7.5MWを2つの第1電力変換部11の出力電力の指令値とし、2つの第1電力変換部11の出力制御を行う。
【0052】
この場合、
図3(c)に表したように、余裕のある第1電力変換部11の出力電力は、7.5MWに上昇するが、雲などの影響を受けた第1電力変換部11の出力電力は、3MWのままである。
【0053】
出力制御装置18は、所定時間の経過の後、不足分の1.5MWを2(第1電力変換部11の数)で割った0.75MWを調整量とし、これを基の7.5Wに加えた8.25MWを2つの第1電力変換部11の出力電力の指令値とし、2つの第1電力変換部11の出力制御を行う。
【0054】
この場合、
図4(a)に表したように、余裕のある第1電力変換部11の出力電力は、8.25MWに上昇するが、雲などの影響を受けた第1電力変換部11の出力電力は、3MWのままである。
【0055】
出力制御装置18は、所定時間の経過の後、不足分の0.75MWを2(第1電力変換部11の数)で割った0.375MWを調整量とし、これを基の8.25Wに加えた8.625MWを2つの第1電力変換部11の出力電力の指令値とし、2つの第1電力変換部11の出力制御を行う。これにより、
図4(b)に表したように、余裕のある第1電力変換部11の出力電力は、8.625MWに上昇する。出力制御装置18は、以下、同様の処理を繰り返す。
【0056】
このように、出力制御装置18は、全体目標値と計測値との差分を複数の第1電力変換部11の数で割ることにより、複数の第1電力変換部11の出力電力の調整量を演算し、分担電力と調整量とに基づいて複数の第1電力変換部11の出力制御を行う。出力制御装置18は、例えば、所定時間の経過毎に調整量を演算し、調整量を指令値に順次加算することによって複数の第1電力変換部11の出力制御を行う。
【0057】
このように、調整量を演算して複数の第1電力変換部11の出力制御を行うことにより、全体目標値と計測値(複数の第1電力変換部11及び複数の第2電力変換部12の出力電力の合計)との間に差が生じた場合にも、連系点LPの電力が急激に変化してしまうことを抑制しつつ、連系点LPの電力を全体目標値に近付けることができる。
【0058】
図5(a)及び
図5(b)は、監視装置及び出力制御装置の動作の変形例を模式的に表す説明図である。
図5(a)に表したように、この例では、2つの第1電力変換部11の一方の定格出力が15MWであり、他方の定格出力が5MWである。このように、複数の第1電力変換部11のそれぞれの定格出力が異なる場合などには、監視装置16は、複数の第1電力変換部11のそれぞれの定格出力の比率に基づく複数の係数を有する。
【0059】
この例において、2つの第1電力変換部11の定格出力の比率は、3:1である。従って、監視装置16は、この比率に応じ、15MWの定格出力の第1電力変換部11の係数を0.75とし、5MWの定格出力の第1電力変換部11の係数を0.25とする。
【0060】
図5(b)に表したように、監視装置16は、全体目標値から起動する第2電力変換部12の出力電力を差し引いた差分に、複数の係数を掛けることにより、複数の第1電力変換部11のそれぞれの分担電力を決定する。
【0061】
図5(b)に表したように、全体目標値を30MWとし、各第2電力変換部12の出力電力を9MWとした場合、全体目標値から起動する第2電力変換部12の出力電力を差し引いた差分は、12MWである。この場合、監視装置16は、12MWに係数0.75を掛けた9MWを15MWの定格出力の第1電力変換部11の分担電力として決定し、12MWに係数0.25を掛けた3MWを5MWの定格出力の第1電力変換部11の分担電力として決定する。これにより、複数の第1電力変換部11のそれぞれの定格出力が異なる場合においても、定格出力の違いに応じた適切な分担電力を決定することができる。
【0062】
また、この場合、出力制御装置18は、全体目標値と計測値との差分に、複数の係数を掛けることにより、複数の第1電力変換部11の出力電力の調整量を演算し、分担電力と調整量とに基づいて複数の第1電力変換部11の出力制御を行う。
【0063】
例えば、
図5(b)に表したように分担電力を決定して出力制御を行った結果、全体目標値と計測値との差分が、2MWであったとする。この場合、出力制御装置18は、2MWに係数0.75を掛けた1.5MWを調整量とし、分担電力の9MWに調整量1.5MWを加算した10.5MWを15MWの定格出力の第1電力変換部11の出力電力の指令値として出力制御を行う。
【0064】
そして、出力制御装置18は、2MWに係数0.25を掛けた0.5MWを調整量とし、分担電力の3MWに調整量0.5MWを加算した3.5MWを5MWの定格出力の第1電力変換部11の出力電力の指令値として出力制御を行う。
【0065】
これにより、複数の第1電力変換部11のそれぞれの定格出力が異なる場合においても、定格出力の違いに応じた適切な調整量を演算し、調整量に基づいて複数の第1電力変換部11の出力制御をより適切に行うことができる。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
2 電力系統、 10 太陽光発電システム、 11 第1電力変換部、 12 第2電力変換部、 14 計測装置、 16 監視装置、 18 出力制御装置、 21 第1太陽光発電装置、 22 第2太陽光発電装置、 31 第1電力変換装置、 32 第2電力変換装置、 34 制御装置、 40 遮断器、 42 変圧器、 44 遮断器、 46 変圧器、 50 変圧器