(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】農薬組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20221207BHJP
A01N 47/30 20060101ALI20221207BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N47/30 B
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2017101977
(22)【出願日】2017-05-23
【審査請求日】2020-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】前川 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】岡田 恵理子
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】齋藤 恵
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-291811(JP,A)
【文献】特開2004-035435(JP,A)
【文献】特開平03-145402(JP,A)
【文献】特開昭61-180701(JP,A)
【文献】特開平10-007504(JP,A)
【文献】特開2006-143610(JP,A)
【文献】特開平02-295907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分10~30質量%、イオン性界面活性剤1~5質量%、IOB値が3.5以下の水溶性高分子0.1~0.5質量%、非イオン性界面活性剤0~5質量%および水を含有し、置換フェノール類を含有
せず、
イオン性界面活性剤が、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、ヤシアルキル-ジメチルベンジル-アンモニウムクロライド、テトラデシルアミン酢酸塩、ラウリルベタイン、ヤシ油ジメチル-アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、イミダゾリン型ベタイン、および水添大豆リン脂質からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、多糖類、およびポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
水溶性高分子は、重量平均分子量が1万以上であり、且つ25℃の水に対する溶解度が好ましくは0.01重量%以上である、
農薬組成物。
【請求項2】
イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、ドデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、ヤシアルキル-ジメチルベンジル-アンモニウムクロライド、テトラデシルアミン酢酸塩、ラウリルベタイン、ヤシ油ジメチル-アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、イミダゾリン型ベタイン、および水添大豆リン脂質からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項3】
イオン性界面活性剤が、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、またはリグニンスルホン酸ナトリウム塩である、請求項
1に記載の農薬組成物。
【請求項4】
水溶性高分子が、ポリエチレンイミン、エチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースである、請求項1~3のいずれかひとつに記載の農薬組成物。
【請求項5】
防腐剤をさらに含有する、請求項1~4のいずれかひとつに記載の農薬組成物。
【請求項6】
有機高分子化合物からなる増粘剤をさらに含有する、請求項1~5のいずれかひとつに記載の農薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬組成物に関する。詳しくは、水中に分散させた農薬活性成分の結晶成長の抑制された、農薬活性成分の安定な分散状態を維持する農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中に水難溶性農薬活性成分を分散させてなる農薬組成物、例えば、SC剤(suspension concentrate)、SE剤(Suspo-emulsion)、EW剤(Emulsion, oil in water)などのフロアブル剤(flowable)などが知られている。水中に分散させた農薬活性成分は、長期間保管している間に分散粒子の大きさが増大し、分散状態が不安定になることがある。
【0003】
水性懸濁農薬組成物として、例えば、特許文献1は、水への溶解度が20℃において5w/w%以上である塩の形態の1又は2以上の第一農薬成分、水への溶解度が20℃において1w/w%以下であり且つ最大粒子径が20ミクロン未満である1又は2以上の第二農薬成分、無機鉱物からなる群から選ばれる1又は2以上の増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの1又は2以上の水溶性高分子、および組成物100質量部に対して0.1~5質量部の1又は2以上のアニオン界面活性剤を含み、20℃における組成物の粘度が回転数30rpmで200~850mPa・sである農薬組成物を開示している。
特許文献2は、25℃で固体のスルホニルウレア系除草活性化合物、ショ糖脂肪酸エステル、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、モンモリロナイト系鉱物質微粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子分散剤及び水を含有する水性懸濁状農薬組成物を開示している。
特許文献3は、農薬活性成分、ポリビニルアルコール、水溶性セルロースエーテル類などの保護コロイド剤、溶解度パラメータ(SP値)が6~9(cal/mL)1/2の溶剤および水を、上記保護コロイド剤に対する上記溶剤の重量比が1~20の範囲の量となるように混合してなる、水性懸濁製剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-035435号公報
【文献】特開2011-79740号公報
【文献】特開2010-95498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水中に分散させた農薬活性成分の結晶成長の抑制された、農薬活性成分の安定な分散状態を維持する農薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成することができる本発明は以下の形態を包含する。
〔1〕 農薬活性成分、イオン性界面活性剤、IOB値が3.5以下の水溶性高分子および水を含有する農薬組成物。
【0007】
〔2〕 イオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくともひとつである、〔1〕に記載の農薬組成物。
〔3〕 イオン性界面活性剤がポリカルボン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、ヤシアルキル-ジメチルベンジル-アンモニウムクロライド、テトラデシルアミン酢酸塩、ラウリルベタイン、ヤシ油ジメチル-アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、イミダゾリン型ベタイン、および水添大豆リン脂質からなる群から選ばれる少なくとも一つである、〔1〕又は〔2〕に記載の農薬組成物。
【0008】
〔4〕 水溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、多糖類、およびポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくともひとつである、〔1〕~〔3〕のいずれかひとつに記載の農薬組成物。
【0009】
〔5〕 農薬活性成分がリニュロンである、〔1〕~〔4〕のいずれかひとつに記載の農薬組成物。
〔6〕 前記〔1〕~〔5〕のいずれかひとつに記載の農薬組成物を含有するフロアブル剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の農薬組成物は、水中に分散させた農薬活性成分の結晶成長が抑制され、農薬活性成分の安定な分散状態を維持できる。本発明の農薬組成物はフロアブル剤またはSC剤に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の農薬組成物は、農薬活性成分、イオン性界面活性剤、水溶性高分子、および水を含有する。また、本発明の組成物には、前記成分の他にその他成分を含有することができる。
【0012】
本発明に用いられる農薬活性成分は、農薬活性を有する化合物である。農薬活性を有する化合物は、農薬登録された化合物、またはそれと同等の活性を有する化合物であることができる。また、農薬活性成分は、化合物形態、結晶形態などによって制限されず、例えば、塩を形成したものであってもよいし、2種以上の農薬活性成分からなる共結晶、1種以上の農薬活性成分と他の化合物とからなる共結晶などであってもよい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、マグネシウム塩などを挙げることができる。
【0013】
農薬活性成分としては、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調整剤などを挙げることができる。農薬活性成分のより具体的な例としては、シプロジニル、メパニピリムなどのアニリノピリミジン系殺菌剤; イソチアニル、エタボキサム、シフルフェナミド、チフルザミド、フェンピラザミン、フェンヘキサミド、フラメトピル、フルオピコリド、フルキサピロキサド、フルトラニル、ペンチオピラド、ペンフルフェン、ボスカリド、マンジプロパミド、メタラキシル、メタラキシルM、メプロニルなどのアミド系殺菌剤; イプロジオン、プロシミドンなどのジカルボキシイミド系殺菌剤; イプコナゾール、イミベンコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シメコナゾール、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリフルミゾール、トリホリン、フェナリモル、フェンブコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール、ペフラゾエート、ミクロブタニル、メトコナゾールなどのステロール生合成阻害剤; アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、ファモキサドン、メトミノストロビンなどのストロビルリン系殺菌剤; TPN、アミスルブロム、アメトクトラジン、イミノクタジン、オキソリニック酸、キャプタン、シアゾファミド、ジチアノン、ジメトモルフ、シモキサニル、フェリムゾン、フルジオキソニル、フルチアニル、プロパモカルブ塩酸塩、プロベナゾール、ペンシクロン、ベンチアバリカルブイソプロピルなどのその他の合成殺菌剤・天然物由来の殺菌剤; ジエトフェンカルブ、チオファネートメチルなどのベンゾイミダゾール系殺菌剤; トリシクラゾール、ピロキロン、フサライドなどのメラニン生合成阻害剤; イミノクタジンなどの忌避剤・その他の合成殺菌剤・天然物由来の殺菌剤; オキシテトラサイクリン、カスガマイシン、ストレプトマイシン、バリダマイシン、ポリオキシンなどの抗生物質殺菌剤; イソプロチオランなどの昆虫成長制御剤・その他の植物成長調整剤・忌避剤・その他の合成殺菌剤・天然物由来の殺菌剤; フルアジナムなどの殺ダニ剤・その他の合成殺菌剤・天然物由来の殺菌剤; ベノミルなどの殺線虫剤・ベンゾイミダゾール系殺菌剤; ダゾメットなどの殺線虫剤・土壌殺菌剤・ダイアジン系除草剤; フルスルファミドなどの土壌殺菌剤; トルクロホスメチル、ホセチルなどの有機リン系殺菌剤; アンバム、マンゼブ、マンネブなどの有機硫黄殺菌剤; チウラムなどの有機硫黄殺菌剤・忌避剤;
【0014】
アジムスルフロン、イマゾスルフロン、エトキシスルフロン、クロリムロンエチル、シクロスルファムロン、チフェンスルフロンメチル、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ニコスルフロン、ハロスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、ベンスルフロンメチル、ホラムスルフロン、メタゾスルフロン、ヨードスルフロンメチルナトリウム塩、リムスルフロンなどのアセト乳酸合成阻害除草剤(スルホニアウレア系); ビスピリバックナトリウム塩、ピリフタリド、ピリミスルファン、ピリミノバックメチル、フロラスラム、ペノキススラムなどの他のアセト乳酸合成阻害除草剤; アシュラム、アラクロール、イソキサベン、イプフェンカルバゾン、エトベンザニド、カフェンストロール、ジフルフェニカン、ジメテナミド、ジメテナミドP、ナプロパミド、ブタクロール、フルフェナセット、フルポキサム、プレチラクロール、プロピザミド、ブロモブチド、メトラクロール、S-メトラクロール、メフェナセットなどのアミド系除草剤; グリホサート、グルホシネート、グルホシネートPなどのアミノ酸系除草剤; IPC、エスプロカルブ、ピリブチカルブ、プロスルホカルブ、ベンチオカーブ、モリネートなどのカーバメート系除草剤; クレトジム、セトキシジムなどのシクロヘキサンジオン系除草剤; オリザリン、トリフルラリン、プロジアミン、ベスロジンなどのジニトロアニリン系除草剤; ペンディメタリンなどのジニトロアニリン系除草剤・その他の植物成長調整剤; ターバシル、ブロマシル、ベンタゾン、レナシルなどのダイアジン系除草剤; アトラジン、インダジフラム、シアナジン、ジメタメトリン、シメトリン、トリアジフラムなどのトリアジン系除草剤; テフリルトリオン、ベンゾビシクロン、メソトリオンなどのトリケトン系除草剤; DBNなどのニトリル系除草剤; トプラメゾン、ピラゾキシフェン、ピラゾレートなどのピラゾール系除草剤; クロルフタリムなどのフェニルフタルイミド系除草剤; 2、4-PA、MCPA、MCPB、MCPP、キザロホップエチル、クロメプロップ、シハロホップブチル、トリクロピル、フルアジホップ、フルアジホップP、メコプロップP、メタミホップなどのフェノキシ酸系除草剤; DCMU、ダイムロン、リニュロンなどの尿素系除草剤; ACN、MDBA、インダノファン、オキサジアゾン、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、ジチオピル、ピラクロニル、ピラフルフェンエチル、ピロキサスルホン、フェノキサスルホン、フェントラザミド、ブタミホス、ペントキサゾン、ベンフレセートなどのその他の合成除草剤・天然物由来の除草剤;
【0015】
BPMC、MIPC、アラニカルブ、オキサミル、カルボスルファン、チオジカルブ、ベンフラカルブ、メソミルなどのカーバメート系殺虫剤; クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルベンジアミドなどのジアミド系殺虫剤; スピネトラム、スピノサドなどのスピノシン系殺虫剤; インドキサカルブ、インドキサカルブMP、クロルフェナピル、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、フロニカミド、メタアルデヒド、メタフルミゾンなどのその他の合成殺虫剤; アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムなどのネオニコチノイド系殺虫剤; カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップなどのネライストキシン系殺虫剤; アクリナトリン、エトフェンプロックス、シハロトリン、シペルメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、フルバリネート、ペルメトリンなどのピレスロイド系殺虫剤; エチプロール、フィプロニルなどのフェニルピラゾール系殺虫剤; アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチンなどのマクロライド系殺虫剤; ミルベメクチンなどのマクロライド系殺虫剤・殺ダニ剤; クロマフェノジド、クロルフルアズロン、シロマジン、テブフェノジド、テフルベンズロン、ノバルロン、ピリプロキシフェン、ブプロフェジン、フルフェノクスロン、メトキシフェノジド、ルフェヌロンなどの昆虫成長制御剤; BPPS、アセキノシル、アミトラズ、エトキサゾール、ジエノクロル、シエノピラフェン、シフルメトフェン、スピロジクロフェン、スピロテトラマト、スピロメシフェン、テトラジホン、テブフェンピラド、ビフェナゼート、ピフルブミド、ピリダベン、ピリミジフェン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクスなどの殺ダニ剤; カーバムナトリウム塩、カズサホス、ネマデクチン、ホスチアゼート、酒石酸モランテルなどの殺線虫剤; CYAP、DMTP、MEP、MPP、PAP、アセフェート、イソキサチオン、エチルチオメトン、クロルピリホス、ダイアジノン、ピリミホスメチル、プロチオホス、プロフェノホス、マラソンなどの有機リン系殺虫剤;などを挙げることができる。
【0016】
本発明においては、これら農薬活性成分のうち、リニュロンが好ましく用いられる。
リニュロン(化合物名:3―(3,4―ジクロロフェニル)―1―メトキシ―1―メチル尿素)は、除草活性を有し、融点が93~94℃である。
【0017】
本発明の農薬組成物に含まれる農薬活性成分の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0018】
本発明に用いられるイオン性界面活性剤は、アニオン性基およびカチオン性基からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する界面活性剤である。すなわち、イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両イオン性界面活性剤を包含する概念である。本発明に用いられるイオン性界面活性剤は、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値が3より大きく20以下であるものが好ましい。
【0019】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート(C12~18、Na、NH4、アルカノールアミン)、POEアルキルエーテルサルフェート(C12~18、Na、NH4、アルカノールアミン)、POEアルキルフェニルエーテルサルフェート(C12~18、NH4、アルカノールアミン、Ca)、POEベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート(Na、NH4、アルカノールアミン)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェート(Na、NH4、アルカノールアミン)などのサルフェート型界面活性剤、 パラフィン(アルカン)スルホネート(C12~22、Na、Ca、アルカノールアミン)、AOS(C14~16、Na、アルカノールアミン)、ジアルキルスルホサクシネート(C8~12、Na、Ca、Mg)、アルキルベンゼンスルホネート(C12、Na、Ca、Mg、NH4、アルキルアミン、アルカノール、アミン、シクロヘキシルアミン)、モノまたはジアルキル(C3~6)ナフタレンスルホネート(Na、NH4、アルカノールアミン、Ca、Mg)、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物(Na、NH4)、アルキル(C8~12)ジフェニルエーテルジスルホネート(Na、NH4)、リグニンスルホネート(Na、Ca)、POEアルキル(C8~12)フェニルエーテルスルホネート(Na)、POEアルキル(C12~18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル(Na)などのスルホネート型界面活性剤、 カルボン酸型脂肪酸塩(C12~18、Na、K、NH4、アルカノールアミン)、N-メチル-脂肪酸サルコシネート(C12~18、Na)、樹脂酸塩(Na、K)などPOEアルキル(C12~18)エーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、POEモノまたはジアルキル(C8~12)フェニルエーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、POEベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート(Na、アルカノールアミン)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(Na、アルカノールアミン)、ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキル(C8~12)ホスフェートなどのホスフェート型界面活性剤等を例示することができる。
【0020】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド(C12~18)、メチル・ポリオキシエチレン・アルキルアンモニウムクロライド(C12~18)、アルキル・N-メチルピリジウムブロマイド(C12~18)、モノまたはジアルキル(C12~18)メチル化アンモニウムクロライド、アルキル(C12~18)ペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム型界面活性剤、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド(C12~18)、ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム型界面活性剤等を例示することできる。
【0021】
両イオン性界面活性剤としては、ジアルキル(C8~12)ジアミノエチルベタイン、アルキル(C12~18)ジメチルベンジルベタイン、アルキル(C12~18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型界面活性剤、ジアルキル(C8~12)ジアミノエチルグリシン、アルキル(C12~18)ジメチルベンジルグリシンなどのグリシン型界面活性剤等を例示することができる。
【0022】
これらイオン性界面活性剤のうち、脂肪酸塩(C12~18、Na、K、NH4、アルカノールアミン)、N-メチル-脂肪酸サルコシネート(C12~18、Na)、ジアルキルスルホサクシネート(C8~12、Na、Ca、Mg)、アルキルベンゼンスルホネート(C12、Na、Ca、Mg、NH4、アルキルアミン、アルカノール、アミン、シクロヘキシルアミン)、モノまたはジアルキル(C3~6)ナフタレンスルホネート(Na、NH4、アルカノールアミン、Ca、Mg)、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物(Na、NH4)、アルキル(C8~12)ジフェニルエーテルジスルホネート(Na、NH4)、リグニンスルホネート(Na、Ca)、及びPOEアルキルフェニルエーテルサルフェート(C12~18、NH4、アルカノールアミン、Ca)が好ましく; ポリカルボン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、リグニンスルホン酸ナトリウム塩、及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩がより好ましく; ドデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、ヤシアルキル-ジメチルベンジル-アンモニウムクロライド、テトラデシルアミン酢酸塩、ラウリルベタイン、ヤシ油ジメチル-アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、イミダゾリン型ベタイン、及び水添大豆リン脂質がさらに好ましい。
【0023】
本発明の農薬組成物に含まれるイオン性界面活性剤の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。
【0024】
本発明に用いられる水溶性高分子はIOB値が3.5以下である。IOB値(Inorganicity Organicity Balance)は、無機性値(Inorganicity)を有機性値(Organicity)で除した値である。無機性値および有機性値は、新版 有機概念図-基礎と応用(三共出版株式会社、1984年5月10日発行)に記載された方法で算出することができる。
なお、本発明に用いられる水溶性高分子は、重量平均分子量が好ましくは1万以上であり、また25℃の水に対する溶解度が好ましくは0.01重量%以上である。
【0025】
IOB値が3.5以下である水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(IOB値:3.22)、ポリビニルピロリドン(IOB値:1.75)、メチルセルロース(IOB値:1.88)、エチルセルロース(IOB値:1.50)、ヒドロキシプロピルセルロース(IOB値:2.08)、ポリビニルアルコール(IOB値:2.50)、ヒドロキシエチルセルロース(IOB値:2.50)、多糖類(IOB値:1.33)およびポリエチレンイミン(IOB値:1.75)などを挙げることができる。
【0026】
本発明の農薬組成物に含まれるIOB値3.5以下の水溶性高分子の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0027】
本発明の農薬組成物は、その他成分として、顔料、染料、非イオン性界面活性剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤、増粘剤、IOB値が3.5を超える水溶性高分子等をさらに含有してもよい。
本発明の農薬組成物に含まれるその他成分の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、さらに好ましくは0.1~4質量%である。
【0028】
増粘剤はそれを添加することによって液の粘度を高くすることができるものである。但し、本発明に用いられる増粘剤はIOB値3.5以下の水溶性高分子を除く。本発明に用いられる増粘剤は、濃度1重量%の水溶液における粘度が800mPa・s(25℃、30rpm)以上となるものが好ましい。増粘剤は、無機化合物からなるものであってもよいし、有機化合物からなるものであってもよい。増粘剤は有機高分子化合物であることが好ましい。本発明に用いられる増粘剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、プルラン、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、カラギーナン等を例示することができる。また、増粘剤として、IOB値が3.5を超える水溶性高分子を用いることができる。IOB値が3.5を超える水溶性高分子としては、例えば、アルギン酸ナトリウム(IOB値:8.42)、α化澱粉(IOB値:3.83)、カルボキシメチルセルロース(IOB値:4.56)、キサンタンガム(IOB値:4.22)、結晶セルロース(IOB値:3.83)、ヒアルロン酸(IOB値:3.82)、タピオカ澱粉(IOB値:3.83)などを挙げることができる。
なお、粘度は、単一円筒型粘度計(B型粘度計)またはコーンプレート型粘度計(E型粘度計)で25℃、30rpmの条件にて測定した値である。
【0029】
顔料又は染料は、農薬組成物の着色のために使用されるものであれば特に制限されない。顔料又は染料としては、オーカー、クロム酸亜鉛、クロム酸鉛、群青、紺青、ベンガラ、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、グラファイト等の無機顔料、又は、アゾ系顔料、アゾ系分散染料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系分散染料等の有機染顔料等を例示することができる。本発明の農薬組成物に含まれる顔料または染料の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0030】
非イオン性界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステル(C12~18)、POEソルビタン脂肪酸エステル(C12~18)、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖エステル型界面活性剤;POE脂肪酸エステル(C12~18)、POE樹脂酸エステル、POE脂肪酸ジエステル(C12~18)などの脂肪酸エステル型界面活性剤;POEアルキルエーテル(C12~18)等のアルコール型界面活性剤;POEアルキル(C8~12)フェニルエーテル、POEジアルキル(C8~12)フェニルエーテル、POEアルキル(C8~12)フェニルエーテルホルマリン縮合物などのアルキルフェノール型界面活性剤;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(C12~18)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型界面活性剤;POEアルキルアミン(C12~18)、POE脂肪酸アミド(C12~18)などのアルキルアミン型界面活性剤;POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどのビスフェノール型界面活性剤;POAベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、POAスチリルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテルなどの多芳香環型界面活性剤;POEエーテル型シリコン系界面活性剤、エステル型シリコン系界面活性剤などのシリコン系界面活性剤;POEエーテル型フッ素系界面活性剤、エステル型フッ素系界面活性剤などのフッ素系界面活性剤;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油などの植物油型界面活性剤等を例示することができる。本発明に用いられる非イオン性界面活性剤は、HLB値が3より大きく20以下であるものが好ましい。
本発明の農薬組成物に含まれる非イオン性界面活性剤の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0~5質量%、より好ましくは0~2質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%である。
【0031】
消泡剤は発泡を抑制することができるものである。本発明に用いられる消泡剤は、HLBが1以上3以下であるものが好ましい。消泡剤は、その性状により、オイル型、溶液型、粉末型、エマルジョン型などに分類される。消泡剤としてはシリコーン消泡剤が好ましい。シリコーン消泡剤として、シリコーンSM5512(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、アンチフォームE-20(花王社製)、SILFOAM SE39(旭化成ワッカーシリコーン社製)などが市販されている。
本発明の農薬組成物に含まれる消泡剤の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0~5質量%、より好ましくは0~1質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0032】
防腐剤は殺菌剤のように細菌やカビを殺すものではなく、繁殖を防止するために使用されるものであり、防腐剤として用いることができれば特に制限されない。防腐剤としては、メチルイソチアゾリノン(MIT、MI)、クロロメチルイソチアゾリノン(CMIT、CMI)、オクチルイソチアゾリノン(OIT、OI)、ジクロロオクチルイソチアゾリノン(DCOIT、DCOI)、ベンズイソチアゾリノン(BIT)等のイソチアゾリン系防腐剤、ヘキサメチレンテトラミン、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、亜硫酸水、パラホルムアルデヒド、安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、安息香酸ナトリウム、ナトリウム=1,1’-ビフェニル-2-オラート等を例示することができる。また、市販の防腐剤としては、レジェンドMK(ローム&ハース社製)、デニサイドBIT-20N(ナガセケムテックス社製)、プロキセルGXL(Avecia社製)、ケーソンCG(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)等を例示することができる。
本発明の農薬組成物に含まれる防腐剤の量は、農薬組成物の質量に対して、好ましくは0~5質量%、より好ましくは0.01~1質量%、さらに好ましくは0.05~0.5量%である。
【0033】
本発明の農薬組成物に用いられる水は、硬度によって制限されず、軟水および硬水のいずれであってもよい。水としては、水道水、工業用水、地表水、地下水などを用いることができる。
【0034】
本発明の農薬組成物は、その調製の仕方によって特に制限されない。例えば、水に、農薬活性成分、イオン性界面活性剤、および水溶性高分子並びに他の成分を添加して混ぜ合わせ、得られた混合物をビーズミルなどの粉砕機で粉砕処理することによって得られる。粉砕処理された混合物には、粘度などを調整するために、増粘剤溶液を添加することができる。増粘剤溶液は、水に増粘剤を添加して溶解させることによって得ることができる。
【0035】
(用途)
本発明の農薬組成物は、畑地、水田、果樹園、ゴルフ場、公園、道路等の除草に施用することができ、そのまま散布しても水に希釈して散布しても良い。また、直接植物に散布しても、土壌に散布してもよく、施用方法について特に限定する必要はなく、含有するリニュロンおよびリニュロン以外の除草剤の特性に合わせた施用ができる。
【0036】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
【0037】
農薬活性成分の結晶成長の抑制度合いを以下の試験にて評価した。
調製直後の農薬組成物を蒸留水にて100倍に希釈し、レーザー回折式粒度分布測定器((株)島津製作所、SALD-2200)を用いて、農薬組成物中の農薬活性成分の体積基準50%粒子径d0を測定した。
農薬組成物を54℃の恒温槽内に2週間静置した。その後、蒸留水にて100倍に希釈し、レーザー回折式粒度分布測定器((株)島津製作所、SALD-2200)を用いて、農薬組成物中の農薬活性成分の体積基準50%粒子径d1を測定した。
【0038】
実施例1
リニュロン(Tessendero Kerley , Inc製)15質量部、アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)0.5質量部、水溶性高分子(メトローズ HPMC、IOB値=3.22、越化学工業社製)0.5質量部、水31.05質量部、凍結防止剤5質量部、消泡剤0.1質量部、および防腐剤0.1質量部を混合し、ビーズミルを用いて粉砕処理して、農薬活性成分液とした。
増粘剤0.3質量部、水46.95質量部、および防腐剤0.1質量部を混合して増粘剤液とした。
前記農薬活性成分液と前記増粘剤液を混合して農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0039】
実施例2
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(ポリビニルピロリドン K-30、IOB値=1.75、日本触媒社製)に変えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0040】
実施例3
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(メチルセルロース 25Cp、IOB値=1.88、和光純薬工業社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0041】
実施例4
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(エチルセルロース 10cps、IOB値=1.5、和光純薬工業社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0042】
実施例5
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(HPC-L ヒドロキシプロピルセルロース、IOB値=2.08、日本曹達社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0043】
実施例6
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(ゴーセノール GL-05S ポリビニルアルコール、IOB値=2.5、日本合成化学社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0044】
実施例7
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(SANHEC L ヒドロキシエチルセルロース、IOB値=2.5、三晶株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0045】
実施例8
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(プルラン 多糖類、IOB値=1.33、株式会社林原製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0046】
実施例9
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(エポミン P-1000 ポリエチレンイミン、IOB値=1.75、株式会社日本触媒製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0047】
【0048】
実施例10
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-EP-70G ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0049】
実施例11
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-SX-C アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0050】
実施例12
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-BX-C アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0051】
実施例13
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-PS-P ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0052】
実施例14
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-FS-75PG ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0053】
実施例15
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をアニオン性界面活性剤(NK-RX-B リグニンスルホン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表2に示す。
【0054】
【0055】
実施例16
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をカチオン性界面活性剤(ニッサンカチオンBB ドデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、日油株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表1に示す。
【0056】
実施例17
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をカチオン性界面活性剤(ニッサンカチオンF2-50R ヤシアルキル-ジメチルベンジル-アンモニウムクロライド、日油株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表3に示す。
【0057】
実施例18
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をカチオン性界面活性剤(ニッサンカチオンMA テトラデシルアミン酢酸塩、日油株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表3に示す。
【0058】
【0059】
実施例19
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)を両イオン性界面活性剤(アンヒトール24B ラウリルベタイン、花王株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表4に示す。
【0060】
実施例20
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)を両イオン性界面活性剤(ニッサンアノンBF ヤシ油ジメチル-アミノ酢酸ベタイン、日油株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表4に示す。
【0061】
実施例21
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)を両イオン性界面活性剤(Lauramidopropyl Betaine ラウリルアミドプロピルベタイン、C&G社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表4に示す。
【0062】
実施例22
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)を両イオン性界面活性剤(Sodium Coco Amphoacetate イミダゾリン型ベタイン、C&G社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表4に示す。
【0063】
実施例23
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)を両イオン性界面活性剤(レシノールS-10 水添大豆リン脂質、日光ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表4に示す。
【0064】
【0065】
比較例1
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(SUNALGIN アルギン酸ナトリウム、IOB値=8.42、三晶株式会社社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0066】
比較例2
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(コーンアルファーY α化澱粉、IOB値=3.83、王子コーンスターチ株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0067】
比較例3
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(セロゲン 6A カルボキシメチルセルロース、IOB値=4.56、第一工業製薬社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0068】
比較例4
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(KELZAN AP キサンタンガム、IOB値=4.22、三晶株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0069】
比較例5
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(セオラス P-301 結晶セルロース、IOB値=3.83、旭化成ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0070】
比較例6
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(ヒアルロン酸 L ヒアルロン酸、IOB値=3.82、株式会社FAPジャパン製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0071】
比較例7
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)を水溶性高分子(EHSIZE 10 タピオカ澱粉、IOB値=3.83、ELAMHENG MODIFIED STARCH CO.,LTD製)に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表5に示す。
【0072】
【0073】
比較例8
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をノニオン性界面活性剤(SORPOL T-15 POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業社製))に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表6に示す。
【0074】
比較例9
アニオン性界面活性剤(NK-WG-5 ポリカルボン酸ナトリウム塩、竹本油脂株式会社製)をノニオン性界面活性剤(SORPOL T-15 POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業社製))に代えた以外は実施例2と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表6に示す。
【0075】
比較例10
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)をノニオン性界面活性剤(Pluronic PE10500 PO/EOブロックコポリマー(BASF社製))に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表6に示す。
【0076】
比較例11
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)をノニオン性界面活性剤(SORPOL T-15 POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業社製))に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表6に示す。
【0077】
比較例12
水溶性高分子(メトローズ HPMC、越化学工業社製)をノニオン性界面活性剤(NIKKOL GO-440V POEソルビット脂肪酸エステル(日光ケミカルズ社製))に代えた以外は実施例1と同じ方法で農薬組成物を得た。体積基準50%粒子径d0と体積基準50%粒子径d1を表6に示す。
【0078】
【0079】
以上の結果から、本願発明の農薬組成物は、調製直後における農薬活性成分の粒子径d0に対する54℃2週間静置した後における農薬活性成分の粒子径d1の比が、比較例において調製した組成物に比べて小さいことがわかる。