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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】トッピングシートの検査方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/38 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B29D30/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018049526
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019155859
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000200334
【氏名又は名称】JFEプラントエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池地 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝之
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-167797(JP,A)
【文献】特開2011-127899(JP,A)
【文献】特開2014-213411(JP,A)
【文献】特開平08-156132(JP,A)
【文献】特開2008-221719(JP,A)
【文献】特開昭57-125805(JP,A)
【文献】特開2014-044095(JP,A)
【文献】特開2017-003331(JP,A)
【文献】特開平06-222002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
B60C 1/00-19/12
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G01N 21/00-21/958
B29C 39/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆して帯状に形成されるトッピングシートの検査方法であって、
上記トッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で、上記トッピングシートをカメラで撮影する撮影工程と、
制御装置が、上記カメラが撮影した画像において並列に並べられた複数の前記コードの位置を輝度の周期的変化特定し、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端と間の領域を耳部として特定する耳部特定工程と
を備え、
上記撮影工程において、上記トッピングシートの幅方向端が上記カメラが撮影する反対側からバックライトで照らされている、トッピングシートの検査方法。
【請求項2】
上記耳部特定工程において、上記制御装置が輝度の周期的変化を上記トッピングシートの幅方向において特定している、請求項1に記載のトッピングシートの検査方法。
【請求項3】
上記耳部特定工程において、上記制御装置が、上記トッピングシートの長手方向の複数の位置で、輝度の周期的変化を特定している、請求項1又は2に記載のトッピングシートの検査方法。
【請求項4】
上記制御装置が上記耳部の幅が基準幅を超えるときに不良判定をする良否判定工程と、
警報装置が、上記不良判定がされた場合に不良判定がされたことを知らせる報知工程と
を備えている請求項1から3のいずれかに記載の検査方法。
【請求項5】
並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆した帯状のトッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で上記トッピングシートを撮影するカメラと、
上記カメラが撮影する上記トッピングシートの幅方向端を上記カメラが撮影する反対側から照らすバックライトと、
上記カメラが撮影した画像から上記トッピングシートの耳部を特定する制御装置と
を備えており、
上記制御装置が、上記画像において並列に並べられた複数の前記コードの位置を輝度の周期的変化特定する機能と、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端との間の領域を耳部として特定する機能とを備えている、トッピングシートの検査装置。
【請求項6】
並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆して帯状のトッピングシートを形成するカレンダー工程と、
上記トッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で、上記トッピングシートをカメラで撮影する撮影工程と、
制御装置が、上記カメラが撮影した画像において並列に並べられた複数の前記コードの位置を輝度の周期的変化特定し、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端との間の領域を耳部として特定する耳部特定工程と、
上記耳部の幅が基準幅以下であるトッピングシートからタイヤの一部を形成するタイヤ部材が形成されるタイヤ部材形成工程と、
上記タイヤ部材とタイヤの各部を形成する他のタイヤ部材とが組み合わされてローカバーが形成される予備成形工程と、
上記ローカバーが加硫成形されてローカバーからタイヤが得られる加硫工程と
を備え、
上記撮影工程において、上記トッピングシートの幅方向端が上記カメラが撮影する反対側からバックライトで照らされている、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに用いられるトッピングシートの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造方法では、帯状のトッピングシートが用いられる。このトッピングシートは、コードとこのコードを覆うトッピングゴムを備える。このトッピングシートは、タイヤのベルトを形成するベルト部材や、カーカスを形成するカーカス部材等、タイヤの各部を形成するタイヤ部材に加工される。
【0003】
特開2016-13635号公報には、このトッピングシートの製造方法が開示されている。この製造方法では、並列に並べられた複数のコードに、トッピングゴムが被覆されている。この被覆されたトッピングゴムの余分なエッジ部分がカットされて、トッピングシートが形成されている。このトッピングシートは、コードが内在する領域の幅方向端からトッピングシートの幅方向端までの耳部を備えている。前述に様に、余分なエッジ部分がカットされることで、この耳部の幅が所定の幅になる様に、トッピングシートの端は切り揃えられている。このトッピングシートの端が適切に切り揃えられていることを、作業者が目視検査している。これにより、トッピングシートから適正な形状のタイヤ部材が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-13635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のトッピングシートの製造方法においても、材料の不良や装置のトラブル等の種々の要因によって、耳部の幅が適正な幅にならないことがありうる。前述の様に、この様な不良の有無は、作業者が目視検査している。しかし、作業者の目視検査では、見逃しが発生することがありうる。この不良が後工程に流出すると、この不良の有無を広範囲に検査する必要が生じる。また、この不良が後工程で発見されると、中間製品や製品を廃棄する必要が生じる。この様に、この不良が見逃されると、タイヤの生産性が損なわれる。
【0006】
本発明の目的は、耳部を高精度に管理できるトッピングシートの検査方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る検査方法は、並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆して帯状に形成されるトッピングシートを検査する方法である。この検査方法は、
上記トッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で、上記トッピングシートをカメラで撮影する撮影工程と、
制御装置が、上記カメラが撮影した画像において輝度の周期的変化を特定し、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端と間の領域を耳部として特定する耳部特定工程と
を備えている。
【0008】
好ましくは、上記耳部特定工程において、上記制御装置は、輝度の周期的変化を、上記トッピングシートの幅方向において特定している。
【0009】
好ましくは、上記耳部特定工程において、上記制御装置は、上記トッピングシートの長手方向の複数の位置で、輝度の周期的変化を特定している。
【0010】
好ましくは、この検査方法は、
上記制御装置が上記耳部の幅が基準幅を超えるときに不良判定をする良否判定工程と、
警報装置が、上記不良判定がされた場合に不良判定がされたことを知らせる報知工程と
を備えている。
【0011】
本発明に係るトッピングシートの検査装置は、並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆された帯状のトッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で、上記トッピングシートを撮影するカメラと、上記カメラが撮影した画像から上記トッピングシートの耳部を特定する制御装置とを備えている。
上記制御装置は、上記画像において輝度の周期的変化を特定する機能と、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端との間の領域を耳部として特定する機能とを備えている。
【0012】
本発明に係るタイヤの製造方法は、
並列に並べられた複数のコードをトッピングゴムで被覆して帯状のトッピングシートを形成するカレンダー工程と、
上記トッピングシートの幅方向端を含む所定の撮影範囲で、上記トッピングシートをカメラで撮影する撮影工程と、
制御装置が、上記カメラが撮影した画像において輝度の周期的変化を特定し、この周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端との間の領域を耳部として特定する耳部特定工程と、
上記耳部の幅が基準幅以下であるトッピングシートからタイヤの一部を形成するタイヤ部材が形成されるタイヤ部材形成工程と、
上記タイヤ部材とタイヤの各部を形成する他のタイヤ部材とが組み合わされてローカバーが形成される予備成形工程と、
上記ローカバーが加硫成形されてローカバーからタイヤが得られる加硫工程と
を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトッピングシートの検査方法では、画像において輝度が周期的変化をする領域の幅方向端と上記トッピングシートの幅方向端と間の領域を耳部として特定する。制御装置によって耳部が特定されることで、客観的にかつ確実に、耳部の幅が特定される。この検査方法は、トッピングシートの耳部を高精度に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るトッピングシートの製造方法のための製造設備が示された概念図である。
図2図2は、図1の製造設備の検査装置の一部が示された斜視図である。
図3図3は、図2の線分III-IIIに沿った断面が示された説明図である。
図4図4は、トッピングシートのある長手方向位置での画像データのイメージ図が示された説明図である。
図5図5は、図4の画像データの線分V-Vに沿った、幅方向位置と輝度との関係が示されたグラフである。
図6図6は、トッピングシートの他の長手方向位置での画像データのイメージ図が示された説明図である。
図7図7は、図6の画像データの線分VII-VIIに沿った、幅方向位置と輝度との関係が示されたグラフである。
図8図8は、他のトッピングシートの画像データのイメージ図が示された説明図である。
図9図9は、図8の画像データの線分VIII-VIIIに沿った、幅方向位置と輝度との関係が示されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1には、トッピングシート2の製造設備4が示されている。この製造設備4は、コード供給装置6、第一フェスツーン8、予熱装置10、カレンダー装置12、検査装置14、冷却装置16、第二フェスツーン18及び巻き取り装置20を備えている。
【0017】
このトッピングシート2は、複数のコード22とトッピングゴム24とから形成されている。このトッピングシート2は、並列に並べられた複数のコード22をトッピングゴム24で被覆して形成されている。このトッピングシート2は、帯状の形状を備えている。このトッピングシート2は、タイヤの一部を形成するタイヤ部材に加工される。このコード22の材質は、例えば、有機繊維やスチールである。
【0018】
ここでは、タイヤのベルト部材を形成するトッピングシート2を例に説明がされる。このベルト部材は、タイヤのベルトを形成するタイヤ部材である。このトッピングシート2が形成するタイヤ部材は、このベルト部材に限られない。このタイヤ部材は、カーカスを形成するカーカス部材、ベルトに積層されてバンドを形成するバンド部材等であってもよい。
【0019】
コード供給装置6は、複数のコード22を並列に並べて配列する機能を備えている。コード供給装置6は、複数のコード22を供給する機能を備えている。第一フェスツーン8は、コード供給装置6と予熱装置10の間に位置している。第一フェスツーン8は、一時的に複数のコード22を貯留する機能を備えている。予熱装置10は、複数のコード22を予熱する機能を備えている。
【0020】
カレンダー装置12は、カレンダーロール部26と、図示されないトリミング装置を備えている。カレンダーロール部26は、複数のコード22にトッピングゴム24を被覆する機能を備えている。このトッピングゴム24は、未加硫ゴムからなる。トリミング装置は、被覆されたトッピングゴム24の、余分な幅方向端部を切り揃える機能を備えている。この様にして、複数のコード22とトッピングゴム24とを備えるトッピングシート2が成形される。
【0021】
検査装置14は、トッピングシート2を検査する機能を備えている。冷却装置16は、トッピングシート2を冷却する機能を備えている。第二フェスツーン18は、冷却装置16と巻き取り装置20との間に位置している。第二フェスツーン18は、トッピングシート2を一時的に貯留する機能を備えている。巻き取り装置20は、トッピングシート2をライナー28と重ね合わせて、リール30に巻き取る機能を備えている。
【0022】
図2に示される様に、前述の検査装置14は、カメラ32、照明34及び制御装置36を備えている。このカメラ32として、例えば、30万画素のモノクロカメラが用いられる。このカメラ32は、画像を撮影する機能と、撮影した画像を画像データに変換する機能とを備えている。この画像データは、画像の各画素の輝度データを含んでいる。この照明34は、カメラ32が撮影する領域を照らす機能を備えている。照明34として、例えば、高輝度ライン照明が用いられる。更に、この制御装置14は、トッピングシート2を下から照らすバックライト37を備えている。
【0023】
制御装置36は、カメラ32が撮影した画像データを受信する機能と、この画像データを記憶する機能と、この画像データの輝度データから輝度(明暗)の周期的変化を判定する機能と、この周期的変化をする領域の幅方向端とトッピングシート2の幅方向端との間を耳部と判定する機能と、この耳部の幅が基準幅を超えるときに不良判定する機能と、不良判定をした場合に警報装置を用いて知らせる機能とを備えている。
【0024】
図2の二点鎖線Acで囲まれた領域は、カメラ32の撮影範囲を表している。二点鎖線Aiで囲まれた領域は、照明34が照らす範囲を表している。この撮影範囲Ac及び範囲Aiは、トッピングシート2の表面2a上に拡がる仮想平面Sv上で特定される(図3参照)。両矢印Wcは、撮影範囲Acの横幅を表している。両矢印Dcは、撮影範囲Acの縦幅を表している。矢印Fは、トッピングシート2の送られる向きを表している。
【0025】
このカメラ32の撮影範囲Acは、トッピングシート2の幅方向端2eを含んでいる。この撮影範囲Acの横幅Wcは例えば200(mm)であり、縦幅Dcは例えば200(mm)である。照明34の照らす範囲Aiは、撮影範囲Acより広い。この範囲Aiは、撮影範囲Acを含む範囲に設定されている。
【0026】
図3は、トッピングシートが送られる向きに垂直な断面が示されている。図3の一点鎖線Lcは、カメラ32の光軸を表している。両矢印θcは、この光軸Lcとトッピングシート2の表面2aとのなす傾斜角度を表している。この検査装置14では、カメラ32の光軸Lcの傾斜角度θcは、例えば43°にされる。一点鎖線Liは、照明34の光軸を表している。両矢印θiは、この光軸Liとトッピングシート2の表面2aとのなす傾斜角度を表している。この検査装置14では、照明34の光軸Liの傾斜角度θiは、例えば43°にされる。二点鎖線のカメラ32の位置は、仮想位置を表している。カメラ32の位置は、この仮想位置で有ってもよい。一点鎖線Lc’は、仮想位置でのカメラ32の光軸を表している。両矢印θc’は、この光軸Lc’とトッピングシート2の表面2aとのなす傾斜角度を表している。この仮想位置では、カメラ32の光軸Lc’の傾斜角度θc’は、例えば-43°にされる。
【0027】
カメラ32は、照明34の光の正反射成分(鏡面反射成分)を撮影することが好ましい。正反射成分を撮影することで、ゴムの黒色の影響を受け難くできる。この観点から、図3に示される様に、傾斜角度θc(傾斜角度θc’)の絶対値と傾斜角度θiの絶対値とは同じ大きさにされることが好ましい。
【0028】
図4には、カメラ32によって撮影された画像データのイメージ図が示されている。この画像データは、トッピングシート2の長手方向のある位置を撮影して得られたものである。この画像データは、この撮影範囲Acの各画素の輝度データを面の明暗として表している。図4において、左右方向がトッピングシート2の長手方向であり、上下方向がトッピングシート2の幅方向である。図4の符号2aは、画像データのイメージ図における、トッピングシート2の表面2aを表している。符号2eは、このイメージ図における、トッピングシート2の幅方向端2eを表している。図4に示される様に、このトッピングシート2の表面2aでは、幅方向において、輝度値の高い明るい部分と輝度値の低い暗い部分とが繰り返し現れている。この表面2aでは、幅方向において、明暗が周期的に変化している。
【0029】
図4の線分V-Vは、トッピングシート2の幅方向に延びている。画像の明暗の周期的変化は、この線分V-Vに沿って特定される。ここでは、輝度(明暗)の周期的変化は、幅方向において特定されるが、これに限られない。コード22の延びる方向と交差する方向において、特定されればよい。
【0030】
図5には、図4の線分VーVの位置での、輝度の周期的変化がグラフに表されている。このグラフの横軸は、線分V-Vに沿ったトッピングシート2の幅方向である。縦軸は、この画像データの、幅方向に並んだ各画素の輝度値である。このグラフでは、輝度値は0から255までの256段階の数値で表されている。この数値が大きいほど明るい。図5の直線Leは、トッピングシート2の幅方向端2eの位置を表している。このトッピングシート2の幅方向端2eは、バックライト37によって下から照らされている。この幅方向端2eは、輝度値が一定である端として特定される。直線Laは、輝度が周期的に変化する領域の幅方向端の位置を表している。この周期的に変化する領域とは、周期的変化の幅方向距離が一定である領域を意味する。この直線Leと直線Laとの間の領域が、トッピングシート2の耳部である。両矢印Weは、耳部の幅を表している。この幅Weは、この直線Leから直線Laまでの幅方向の距離として特定される。
【0031】
図6には、カメラ32によって撮影された他の画像データのイメージ図が示されている。この画像データは、トッピングシート2の長手方向の他の位置を撮影して得られたものである。図6においても、左右方向がトッピングシート2の長手方向であり、上下方向がトッピングシート2の幅方向である。図6の符号2aは、このイメージ図における、トッピングシート2の表面2aを表している。符号2eは、このイメージ図における、トッピングシート2の幅方向端2eを表している。図6に示される様に、この画像データでは、幅方向において、輝度が周期的に変化している領域と、その幅方向外側で輝度が非周期的に変化している領域とが形成されている。
【0032】
図7には、図6の線分VII-VIIの位置での、輝度の周期的変化がグラフに表されている。図7の直線Leは、トッピングシート2の幅方向端2eの位置を表している。直線Laは、幅方向において輝度が周期的に変化する領域の幅方向端の位置を表している。この直線Leと直線Laとの間の領域が、この画像データにおけるトッピングシート2の耳部である。この直線Leと直線Laとの幅方向の距離が、耳部の幅Weである。この画像データでの耳部の幅Weは、図5の画像データでのそれに比べて大きい。
【0033】
本発明にかかる検査方法は、撮影工程、耳部特定工程、良否判定工程及び報知工程を備えている。ここでは、図2から図7を参照しつつ、この検査装置14を用いて、トッピングシート2の検査方法が説明される。
【0034】
撮影工程では、トッピングシート2が、カレンダー装置12から巻き取り装置20に向かって送られている。図2に示される様に、照明34は、領域Aiを照らしている。カメラ32は、トッピングシート2の撮影範囲Acを撮影する。この撮影範囲Acは、軸方向端2eを含んでいる。この撮影範囲Acの画像が画像データに変換される。カメラ32は、この画像データを制御装置36に送信する。
【0035】
耳部特定工程では、制御装置36は、カメラ32が撮影した画像データを受信する。制御装置36は、図4のイメージ図に示された画像データを記憶する。この画像データは、各画素の輝度のデータを含んでいる。制御装置36は、図4の線分V-Vに沿った幅方向に、輝度の周期的変化を特定する。制御装置36は、トッピングシート2の幅方向端2eを特定する。制御装置36は、周期的変化をする領域の幅方向端を特定する。制御装置36は、このトッピングシート2の幅方向端2eとこの周期的変化をする領域の幅方向端との間の領域を耳部として特定する。
【0036】
良否判定工程では、制御装置36は、記憶している耳部の基準幅と、図4の画像データの耳部の幅Weとを比較する。画像データの耳部の幅が基準幅以下であるとき、良好判定をする。この検査方法では、良好判定のとき、報知工程が省略される。この検査方法では、良好判定がされた場合に、報知工程を省略せずに、良好判定が報知されてもよい。
【0037】
ここでは、トッピングシート2の一方の幅方向端2eについて、この検査方法が説明されたが、他方の幅方向端2eについても、この検査方法が実施される。
【0038】
この検査方法は、長手方向に送られるトッピングシート2で、長手方向に位置を変えて、複数回実行される。カメラ32の撮影位置は、トッピングシート2の長手方向に一定のピッチで変えられてもよいし、ランダムに変えてもよい。
【0039】
図6には、図4と異なる長手方向位置で得られた画像データのイメージ図が示されている。耳部特定工程では、制御装置36は、図6のイメージ図に示された画像データを記憶する。図7に示される様に、制御装置36は、図6の線分VII-VIIに沿った幅方向に、輝度の周期的変化を特定する。制御装置36は、トッピングシート2の幅方向端2eを特定する。制御装置36は、周期的変化をする領域の幅方向端を特定する。制御装置36は、このトッピングシート2の幅方向端2eとこの周期的変化をする領域の幅方向端との間の領域を耳部として特定する。
【0040】
良否判定工程では、制御装置36は、記憶している耳部の基準幅と、図7の耳部の幅Weとを比較する。画像データの耳部の幅Weが基準幅を超えるとき、不良判定をする。
【0041】
報知工程では、制御装置36は、この不良判定を報知する。例えば、制御装置36は、図示されない警報装置に警報信号を送信する。警報信号を受信した警報装置は、警報灯及び警報音で不良判定を作業員に報知する。また、制御装置36は、不良判定がされた部分の位置情報を記憶し、その位置情報を後工程に送信してもよい。
【0042】
次に、図1を参照しつつ、本発明にかかるタイヤの製造方法が説明される。この製造方法は、コード供給工程、カレンダー工程、耳部検査工程、巻き取り工程、タイヤ部材形成工程、予備成形工程及び加硫工程を備えている。
【0043】
コード供給工程では、コード供給装置6が複数のコード22を並べて供給する。カレンダー工程では、予熱装置10がコード22を予熱する。カレンダー装置12のカレンダーロール部26が、トッピングゴム24でコード22を覆う。図示されないトリミング装置は、被覆されたトッピングゴム24の、余分な幅方向端部を切り揃える。これにより、トッピングシート2が形成される。
【0044】
耳部検査工程では、このトッピングシート2の検査がされる。この耳部検査工程は、前述の検査方法と同様であり、その説明は省略される。
【0045】
巻き取り工程では、巻き取り装置20が、トッピングシート2をリール30に巻き取る。このトッピングシート2は、ライナー28と共にリール30に巻き取られる。リール30に巻き取られたトッピングシート2は、タイヤ部材形成工程に送られる。
【0046】
タイヤ部材形成工程では、このトッピングシート2が裁断され、加工されて、タイヤ部材としてのベルト部材が形成される。このタイヤ部材形成工程では、トッピングシート2の良好判定がされた部分で、ベルト部材が形成される。不良判定がされた部分は、排除される。この不良判定がされた部分の排除は、前述の警報工程からこのタイヤ部材形成工程巻き取り工程までの間でされてもよい。予備成形工程では、このベルト部材が他のタイヤ部材と組み合わされて、ローカバーが形成される。加硫工程では、このローカバーが金型内で加硫成形されて、このローカバーからタイヤが得られる。
【0047】
本発明にかかるトッピングシート2の検査方法では、制御装置36が、画像データにおける輝度の周期的変化を特定している。制御装置36は、この周期的変化をする領域の幅方向端とトッピングシート2の幅方向端と間の領域を、耳部として特定している。これにより、制御装置36は、画像データから高精度にかつ簡易に耳部を特定しうる。
【0048】
この検査方法では、検査装置14の制御装置36が、トッピングシート2の耳部を特定している。制御部36が耳部を特定することで、確実にかつ高精度に耳部を特定できる。作業者の目視の様に主観的でなく、客観的に画一的に耳部を特定できる。
【0049】
この検査方法では、制御装置36は、輝度の周期的変化を、トッピングシート2の幅方向に特定している。これにより、周期的変化をする領域の幅方向端を高精度に特定できる。
【0050】
この検査方法では、制御装置36は、トッピングシート2の長手方向の複数の位置で、幅方向の輝度の周期的変化を特定している。これにより、並列に並べられた複数のコード22の間隔の乱れも検査しうる。
【0051】
この検査方法では、良否判定工程を備えているので、耳部の不良を確実にかつ高精度に判定しうる。この検査方法では、報知工程を備えているので、耳部不良のトッピングシート2を流出させることをより確実に防止しうる。
【0052】
このトッピングシート2の表面2aでは、コード22が位置する部分が凸状に盛り上がっている。コード22が延びる部分が長手方向に延びることで、撮影画像には、幅方向に輝度の周期的変化が生じている。この検査方法では、画像の周期的変化の特定に用いられるのは、この輝度に限られない。コード22が延びる部分によって、撮影画像に、画素の明暗で識別可能な変化が生じるものであればよい。例えば、撮影画像の彩度等であってもよい。
【0053】
この検査方法では、照明34がトッピングシート2を範囲Aiで照らしている。コード22が位置する部分の凸状の盛り上がりによって、照明34に照らされる部分と陰になる部分との明暗が強調される。これにより、トッピングシート2の表面2aの明暗が強調されている。この明暗を強調する観点から、トッピングシート2の表面2a(仮想平面Sv)に直交する向きに見たときに、この照明34の光軸Liは、コード22が延びる方向と交差していることが好ましい。また、図3に示された光軸Liの傾斜角度θiは、好ましくは30°以上であり、更に好ましくは40°以上である。この傾斜角度θiは、好ましくは60°以下であり、更に好ましくは50°以下である。
【0054】
この検査方法では、撮影範囲Acが設定されている。この検査方法では、カメラ32は、トッピングシート2の表面2aを比較的に広範囲で撮影する。これにより、トッピングシート2が幅方向に振れたとしても、カメラ32及び照明34の位置を変えることなく、カメラ32は幅方向端2eを含む表面2aを撮影しうる。
【0055】
図8には、他のトッピングシート38の画像データのイメージ図が示されている。図8において、左右方向がトッピングシート38の長手方向であり、上下方向がトッピングシート38の幅方向である。図8の符号38aは、このイメージ図における、トッピングシート38の表面38aを表している。符号38eは、このイメージ図における、トッピングシート38の幅方向端38eを表している。図8に示される様に、このトッピングシート38の表面38aでは、長手方向に傾斜して延びる部分が繰り返し現れている。この長手方向に傾斜して延びる部分は交差して延びている。このトッピングシート38では、複数のコードが長手方向に傾斜して延びている。更に、複数のコードが交差して延びている。
【0056】
図9には、図8の線分VIII-VIIIの位置での、輝度の周期的変化がグラフに表されている。横軸は、線分VIII-VIIIに沿ったトッピングシート38の幅方向である。縦軸には、この幅方向に並んだ各画素の輝度値が表されている。図9の直線Leは、トッピングシート38の幅方向端38eの位置を表している。この幅方向端38eは、輝度値が一定である端として特定される。直線Laは、幅方向において輝度が周期的に変化する領域の幅方向端の位置を表している。この直線Leと直線Laとの間の領域が、トッピングシート38の耳部である。この直線Leと直線Laとの幅方向の距離が、耳部の幅Weである。
【0057】
この図8及び図9に示される様に、この検査方法は、複数のコードが長手方向に傾斜して延びている場合にも適用しうる。更に、この検査方法は、コードが交差して伸びる場合にも適用しうる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明された検査方法は、複数のコードが並列に並べられたトッピングシートの検査に広く適用できる。
【符号の説明】
【0059】
2、38・・・トッピングシート
4・・・製造設備
12・・・カレンダー装置
14・・・検査装置
16・・・冷却装置
22・・・コード
24・・・トッピングゴム
26・・・カレンダーロール部
32・・・カメラ
34・・・照明
36・・・制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9