IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図1
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図2
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図3
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図4
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図5
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図6
  • 特許-ポペット式流量制御弁 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ポペット式流量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20221207BHJP
   F16K 31/50 20060101ALI20221207BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F16K31/04 K
F16K31/50 A
F16K37/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018085463
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019190594
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 英泰
(72)【発明者】
【氏名】田中 英紀
(72)【発明者】
【氏名】清水 博明
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-057771(JP,A)
【文献】特開2016-156447(JP,A)
【文献】特開2003-014152(JP,A)
【文献】特開平02-283986(JP,A)
【文献】特開昭62-188878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
F16K 31/50
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口流路、出口流路、前記入口流路と前記出口流路の間に設けられた弁室、および、前記弁室に設けられた弁座を有する弁ハウジングと、
前記弁ハウジング内に収容され、前記弁座に対し進退する弁体と、
前記弁体が進退する進退方向に前記弁体と一体的に移動する移動部材と、
回転駆動時に前記弁ハウジングに対し前記進退方向に移動しない出力軸を有する電動モータと、
前記電動モータの出力軸の回転角度を検出する位置検出器と、
前記電動モータの出力軸の回転量を、前記出力軸に対する前記移動部材の前記進退方向の直動変位量に変換する直動変換機構と、
前記位置検出器により検出された前記出力軸の回転角度が、前記弁座と前記弁体の間の所定の目標間隔に対応した回転角度となるよう前記電動モータをフィードバック制御するコントローラと、を備え、
前記移動部材は、退行方向側に開口した筒部を有し、前記出力軸が前記筒部に内挿されている、ポペット式流量制御弁。
【請求項2】
前記弁ハウジング内における前記弁体の前記退行方向側に形成され、前記弁体によって前記弁室と隔てられた背圧室と、
前記入口流路と前記背圧室とを連通して、前記入口流路と前記背圧室の流体圧を等しくする連通路を備える、請求項1に記載のポペット式流量制御弁。
【請求項3】
前記弁座は、前記弁室に対する前記入口流路の開口の周囲に設けられており、
前記弁ハウジングおよび前記弁体は、前記背圧室側の前記弁体の受圧面積が、前記入口流路側の前記弁体の受圧面積より大きくなるように形成されている、請求項2に記載のポペット式流量制御弁。
【請求項4】
前記連通路は、前記弁体に形成されている、請求項2または3に記載のポペット式流量制御弁。
【請求項5】
前記弁体および前記移動部材は、前記移動部材に対し前記弁体が前記進退方向に所定の範囲内で相対移動可能となるように互いに係合している、請求項1~4のいずれか1項に記載のポペット式流量制御弁。
【請求項6】
入口流路、出口流路、前記入口流路と前記出口流路の間に設けられた弁室、および、前記弁室に設けられた弁座を有する弁ハウジングと、
前記弁ハウジング内に収容され、前記弁座に対し進退する弁体と、
前記弁体が進退する進退方向に前記弁体と一体的に移動する移動部材と、
電動モータと、
前記電動モータの出力軸の回転角度を検出する位置検出器と、
前記電動モータの出力軸の回転量を前記移動部材の前記進退方向の直動変位量に変換する直動変換機構と、
前記位置検出器により検出された前記出力軸の回転角度が、前記弁座と前記弁体の間の所定の目標間隔に対応した回転角度となるよう前記電動モータをフィードバック制御するコントローラと、
前記弁体に対し前記進行方向に付勢力を付与する付勢部材と、を備え、
前記弁体は、前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧を下回って、前記弁体に対し前記退行方向に作用する力が前記弁体に対し前記進行方向に作用する力を超えた場合、前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動する、ポペット式流量制御弁。
【請求項7】
入口流路、出口流路、前記入口流路と前記出口流路の間に設けられた弁室、および、前記弁室に設けられた弁座を有する弁ハウジングと、
前記弁ハウジング内に収容され、前記弁座に対し進退する弁体と、
前記弁体が進退する進退方向に前記弁体と一体的に移動する移動部材と、
電動モータと、
前記電動モータの出力軸の回転角度を検出する位置検出器と、
前記電動モータの出力軸の回転量を前記移動部材の前記進退方向の直動変位量に変換する直動変換機構と、
前記位置検出器により検出された前記出力軸の回転角度が、前記弁座と前記弁体の間の所定の目標間隔に対応した回転角度となるよう前記電動モータをフィードバック制御するコントローラと、
前記弁ハウジング内における前記弁体の前記退行方向側に形成され、前記弁体によって前記弁室と隔てられた背圧室と、
前記入口流路と前記背圧室とを連通して、前記入口流路と前記背圧室の流体圧を等しくする連通路と、
前記弁体に対し前記進行方向に付勢力を付与する付勢部材と、を備え、
前記弁体は、前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧を下回って、前記弁体に対し前記退行方向に作用する力が前記弁体に対し前記進行方向に作用する力を超えた場合、前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動する、ポペット式流量制御弁。
【請求項8】
前記移動部材は、前記弁体と係合するための係合部を有し、
前記弁体は、前記係合部に前記進行方向側から当接される当接部を有し、
前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧より高い場合、前記係合部が前記当接部に当接した状態が維持され、
前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧を下回って、前記弁体に対し前記退行方向に作用する力が前記弁体に対し前記進行方向に作用する力を超えた場合、前記当接部が前記係合部から離間して、前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動する、請求項7に記載のポペット式流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポペット式の流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁体が弁座に対し進退することにより当該弁体と弁座の間を通過する流体の流量を制御する、いわゆるポペット式の流量制御弁が種々開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、弁体に対し弁座とは反対側に設けられた制御チャンバの圧力を制御することにより、第1及び第2ポート間の流量を選択的に制御するパイロット動作型のポペット式流量制御弁が開示されている。このポペット式流量制御弁は、制御チャンバと第2ポートを連通するパイロット通路と、パイロット通路を開閉するように動作するパイロットバルブ素子を有する。パイロットバルブ素子がソレノイドアクチュエータにより動作すると、パイロット通路の開口部が調整される。パイロット通路の開口部が所定の大きさに達すると、弁体は弁座から離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-239996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のポペット式流量制御弁では、弁体と弁座の間を通過する流体の流量制御を行うために、パイロット通路を通過する流体の流量制御、すなわち、小流量域の流量制御を行って、制御チャンバの圧力を制御する。しかしながら、小流量域の流量制御は、僅かな流量変動により制御チャンバ内の圧力が変動しやすく、精度の良い制御が難しい。弁体の高精度な位置決めを行うために、制御チャンバの圧力制御に代わる別の方法を採用したポペット式流量制御弁が望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、弁体の位置決めをより高精度に行うことができるポペット式流量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るポペット式流量制御弁は、入口流路、出口流路、前記入口流路と前記出口流路の間に設けられた弁室、および、前記弁室に設けられた弁座を有する弁ハウジングと、前記弁ハウジング内に収容され、前記弁座に対し進退する弁体と、前記弁体が進退する進退方向に前記弁体と一体的に移動する移動部材と、電動モータと、前記電動モータの出力軸の回転角度を検出する位置検出器と、前記電動モータの出力軸の回転量を前記移動部材の前記進退方向の直動変位量に変換する直動変換機構と、前記位置検出器により検出された前記出力軸の回転角度が、前記弁座と前記弁体の間の所定の目標間隔に対応した回転角度となるよう前記電動モータをフィードバック制御するコントローラと、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、電動モータのフィードバック制御によって弁体の位置決めを行うため、弁座に対する弁体の位置決めを高精度に行うことができる。
【0009】
また、上記のポペット式流量制御弁は、前記弁ハウジング内における前記弁体の前記退行方向側に形成され、前記弁体によって前記弁室と隔てられた背圧室と、前記入口流路と前記背圧室とを連通して、前記入口流路と前記背圧室の流体圧を等しくする連通路を備えてもよい。この構成によれば、弁体に対して退行方向に作用する力に抗した力を、入口流路内の流体圧と等しい背圧室内の流体圧により進行方向に作用させることができる。このため、弁体に対して進行方向に作用させるのに必要な電動モータの推力を低減することができる。
【0010】
また、上記のポペット式流量制御弁において、前記弁座は、前記弁室に対する前記入口流路の開口の周囲に設けられており、前記弁ハウジングおよび前記弁体は、前記背圧室側の前記弁体の受圧面積が、前記入口流路側の前記弁体の受圧面積より大きくなるように形成されていてもよい。この構成によれば、背圧室内の流体圧により進行方向に弁体に作用する力を、入口流路内の流体圧により退行方向に弁体に作用する力より大きくすることができる。これにより、弁座が弁室に対する入口流路の開口の周囲に設けられている場合であっても、弁体を背圧室内の流体圧により進行方向に作用させることができる。また、弁体が弁座に当接している閉弁状態を維持する場合に、電動モータの推力が不要となるため、消費電力をほぼゼロとすることができる。
【0011】
また、上記のポペット式流量制御弁において、前記連通路は、前記弁体に形成されていてもよい。この構成によれば、弁ハウジングの構成を簡略化して、ポペット式流量制御弁全体の大型化を防止することができる。
【0012】
また、上記のポペット式流量制御弁は、前記弁体に対し前記進行方向に付勢力を付与する付勢部材を備え、前記弁体は、前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧を下回って、前記弁体に対し前記退行方向に作用する力が前記弁体に対し前記進行方向に作用する力を超えた場合、前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動してもよい。
【0013】
例えばショベルのブームなど自重のかかる要素を駆動する油圧シリンダの制御に流量制御弁を用いる場合、油圧シリンダへの供給流量が不足するとその流量制御弁の入口圧と出口圧の高低が逆転して、入口圧が出口圧より低圧になることがある。上記の構成によれば、油圧シリンダへの供給流量が不足する時に入口圧が出口圧より低圧になることにより、弁体に対し退行方向に作用する力が弁体に対し進行方向に作用する力を超えた場合に、弁体が退行方向に移動して弁座から離間し、出口流路の流体を入口流路に補給することができる。
【0014】
前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動する上記のポペット式流量制御弁において、前記移動部材は、前記弁体と係合するための係合部を有し、前記弁体は、前記係合部に前記進行方向側から当接される当接部を有し、前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧より高い場合、前記係合部が前記当接部に当接した状態が維持され、前記入口流路内の流体圧が前記出口流路内の流体圧を下回って、前記弁体に対し前記退行方向に作用する力が前記弁体に対し前記進行方向に作用する力を超えた場合、前記当接部が前記係合部から離間して、前記移動部材に対し前記弁体が前記退行方向に相対移動してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁体の位置決めをより高精度に行うことができるポペット式流量制御弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を示す図である。
図2図1に示す弁ハウジングおよび弁体の拡大図であり、(A)は閉弁状態を示す図であり、(B)は開弁状態を示す図である。
図3図1に示すポペット式流量制御弁のアンチキャビテーション機能について説明するための図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を示す図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を示す図である。
図6】本発明の第4実施形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を示す図である。
図7】本発明の第5実施形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態に係るポペット式流量制御弁の概略構成を説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るポペット式流量制御弁(以下、「流量制御弁」)1の概略構成を示す図である。流量制御弁1Aは、弁ハウジング10と、ポペット式の弁体20と、弁体駆動装置30とを備えている。
【0019】
弁ハウジング10は、入口ポートの流路である入口流路11、出口ポートの流路である出口流路12、および入口流路11と出口流路12の間に介在する弁室13を有する。弁室13には、弁座Sが設けられており、弁ハウジング10内には、当該弁座Sに対し進退する略円柱状の弁体20が収容されている。弁体20は、弁座Sに対し直交する方向に進退する。入口流路11は、弁体20が弁座Sに向かう方向に弁室13から延びており、出口流路12は、弁体20が弁座Sに向かう方向に対して直交する方向に弁室13から延びている。弁座Sは、弁室13に対する入口流路11の開口の周囲に設けられている。本実施形態では、弁ハウジング10内に、弁体20の進退方向Dに摺動可能に当該弁体20を支持する円筒状の摺動面14が形成されている。
【0020】
以下の説明では、弁体20の進退方向Dのうち、弁体20が弁座Sに向かう方向を「進行方向D1」といい、進行方向D1と相対する方向を「退行方向D2」ということとする。
【0021】
流量制御弁1Aでは、定常時の弁体20は、図1に示すように弁座Sに着座(当接)した閉弁状態にある。本実施形態では、弁体20の進行方向D1側の端部が、進行方向D1にいくにつれ縮径するテーパ状に形成されている。この弁体20のテーパ面20aが弁座Sに当接することにより、弁室13に対し入口流路11が閉塞され、その結果、入口流路11から出口流路12への流体の流れが禁止される。
【0022】
また、弁ハウジング10内における弁体20の退行方向D2側には、弁体20によって弁室13と隔てられた背圧室15が形成されている。すなわち、弁体20は、弁室13と背圧室15の間にある。背圧室15の内部には、入口流路11から流体が導かれる。より詳しくは、弁体20には、弁体20が弁座Sに当接している場合に入口流路11と背圧室15とを連通する連通路21が形成されている。
【0023】
連通路21は、入口流路11と背圧室15とを連通し、入口流路11から背圧室15に流体を供給する。これにより、連通路21は、入口流路11と背圧室15の流体圧を等しくする。
【0024】
本実施形態では、弁ハウジング10および弁体20が、背圧室15側の弁体20の受圧面積S1が、弁体20が弁座Sに当接している場合の入口流路11側の弁体20の受圧面積S2より大きくなるように形成されている。
【0025】
より詳しくは、弁ハウジング10および弁体20は、弁体20が弁座Sに当接している場合に、背圧室15内の流体圧を受けて進行方向D1に作用する荷重が付与される弁体20の受圧面積S1が、入口流路11内の流体圧を受けて退行方向D2に作用する荷重を付与される弁体20の受圧面積S2より大きくなるように形成されている。言い換えれば、弁体20の進退方向Dに垂直に切断した背圧室15の断面積から後述の軸部42の断面積を減算した値は、弁体20の進退方向Dに垂直に切断した入口流路11の断面積に比べて大きい。このため、弁体20が弁座Sに当接したときに、背圧室15内の流体圧によって進行方向D1に弁体20に作用する力を、入口流路11内の流体圧により退行方向D2に弁体20に作用する力より大きくしている。
【0026】
なお、弁体20が弁座Sに当接している場合だけでなく、弁体20が弁座Sから離間する距離が微小な場合にも、流体圧によって進行方向D1に弁体20に作用する力が、流体圧により退行方向D2に弁体20に作用する力より大きくなる。これは、弁体20が弁座Sから離間する距離が微小な場合には、入口流路11と出口流路12の間に圧力差があり、結果として、弁体20における退行方向D2側の受圧面積S2に比べて、弁体20における進行方向D1側に作用する受圧面積S1が大きくなるためである。
【0027】
また、背圧室15内には、弁体20に対し進行方向D1に付勢力を付与する付勢部材16が設けられている。付勢部材16は、例えば圧縮コイルばねである。
【0028】
弁体駆動装置30は、弁座Sに当接した状態にある弁体20を退行方向D2に駆動させて、弁体20の位置を制御する。弁座Sに当接した状態にある弁体20が、退行方向D2に移動して弁座Sから離間すると、弁体20と弁座Sの間隔に応じた流量で、入口流路11から弁室13を介して出口流路12へ流体が流れる。
【0029】
弁体駆動装置30は、電動モータ31と、電動モータ31の出力軸32の回転角度を検出する位置検出器33と、位置検出器33から出力された検出値に基づき電動モータ31をサーボ制御するコントローラ34とを備える。つまり、電動モータ31は、サーボモータである。位置検出器33は、例えばレゾルバである。ただし、位置検出器33は、レゾルバに限定されず、例えばエンコーダあるいはホール素子などでもよい。
【0030】
さらに、弁体駆動装置30は、進退方向Dに弁体20と一体的に移動するピストン(本発明の「移動部材」に相当)40と、電動モータ31の出力軸32の回転量をピストン40の進退方向Dの直動変位量に変換する直動変換機構50を備えている。
【0031】
ピストン40は、全体として進退方向Dと平行に延びる円柱形状を呈し、退行方向D2側に設けられた筒部41と、進行方向D1側に設けられた軸部42とが一体的に形成されている。
【0032】
ピストン40の筒部41は、退行方向D2側に開口した大略有底筒状に形成されている。筒部41は、弁ハウジング10と結合された略円筒状のシリンダ43に内挿されている。具体的に、シリンダ43は、背圧室15の退行方向D2側を閉塞する壁部10aに結合されている。なお、シリンダ43の内周面とピストン40の外周面とは当接していなくてもよく、シリンダ43の内周面とピストン40の外周面の間に隙間が設けられていてもよい。
【0033】
シリンダ43の退行方向D2側の端部は、電動モータ31のフランジと結合されている。電動モータ31の出力軸32は、進退方向Dに延伸し、ピストン40の筒部41に内挿されている。出力軸32は、外周面に雄ネジ51が形成されたネジ軸となっている。また、ピストン40の筒部41の内周壁にはナット52が固定されている。ナット52の内壁に形成された雌ネジ53には、出力軸32の雄ネジ51が螺入されている。
【0034】
また、直動変換機構50は、シリンダ43に対してピストン40の軸まわりの回転を防止する図略の回転防止機構を備える。具体的には、筒部41の外周面には、径方向に突設した突起部が形成されており、また、シリンダ43の内周面には、進退方向Dと平行な溝部が形成されている(いずれも図示略)。回転防止機構は、これら突起部および溝部により構成されており、筒部41の外周面の突起部が、シリンダ43の内周面の溝部に嵌り込むことで、シリンダ43に対するピストン40の出力軸32まわりの回転が防止される。ただし、回転防止機構は、このような構成に限られず、例えば、筒部41の外周面に、溝部が形成され、シリンダ43の内周面に、当該溝部に嵌まる突起部が形成されてもよい。
【0035】
このように、ピストン40のシリンダ43に対する回転が防止されているため、電動モータ31の出力軸32が回動すると、雌ネジ53に対する雄ネジ51の相対的回動により、ナット52およびピストン40が一体的に出力軸32に沿って直動する。つまり、直動変換機構50は、出力軸32の雄ネジ51とナット52とを有するボールねじ機構である。ただし、本発明に適用され得る直動変換機構はこれに限定されない。直動変換機構は、例えば、台形ネジ、滑りネジ、または、ラックアンドピニオンなどであってもよい。
【0036】
ピストン40の軸部42は、筒部41から進行方向D1に延び、弁ハウジング10の壁部10aに形成された孔10bを挿通している。軸部42は、進行方向D1の端部で弁体20と係合している。以下、本実施形態におけるピストン40の軸部42と弁体20の係合態様について、図2(A)および図2(B)を参照して説明する。
【0037】
図2(A)および図2(B)は、図1に示す弁体20および弁ハウジング10の拡大図である。図2(A)は、図1と同様に、流量制御弁1Aにおける閉弁状態を示す。図2(B)は、流量制御弁1Aにおける弁体20が弁座Sから離間した開弁状態を示す。
【0038】
ピストン40の軸部42の進行方向D1における先端部には、ピストン40が弁体20と係合するための係合部42aが設けられている。本実施形態では、係合部42aは、軸部42から径方向外方に突き出ており、軸部42の径より拡径した略円柱状を呈している。弁体20には、係合部42aを収容する収容室22が形成されている。収容室22は、弁体20に形成された進退方向Dに延びる貫通孔23により背圧室15とつながっており、この貫通孔23を軸部42が挿通している。この貫通孔23の径は係合部42aより径が小さいため、係合部42aは、収容室22から脱出不能となっている。
【0039】
本実施形態では、弁体20は、ピストン40に対し進退方向Dに所定の範囲内で相対移動可能である。具体的には、収容室22における退行方向D2側の壁部22aと進行方向D1側の壁部22bの間の間隔は、略円柱状である係合部42aの進退方向Dの長さより長く、収容室22は、当該収容室22における壁部22aと壁部22bの間で係合部42aが進退方向Dに摺動可能に形成されている。
【0040】
本実施形態では、弁体20は、少なくとも付勢部材16の付勢力により進行方向D1に押圧されているため、収容室22の壁部22aが、係合部42aに押し付けられており、係合部42aと収容室22の壁部22bとの間には、隙間gが形成されている。収容室22の壁部22aは、係合部42aに進行方向D1側から(言い換えれば、退行方向D2側に)当接される本発明の当接部に相当する。
【0041】
このように、基本的に、付勢部材16によって、収容室22の壁部22aが係合部42aに当接された状態にあるため、弁体20とピストン40とは、進退方向Dに一体的に移動する。なお、後述するように、所定の条件が満たされた場合には、弁体20がピストン40に対して退行方向D2に相対移動する。
【0042】
なお、図2(A)および図2(B)に示すように、上述した連通路21は、弁体20における進行方向D1側の端面20bから退行方向D2に延びて収容室22につながっている。具体的には、連通路21は、第1流路21aと、第2流路21bとを有する。第1流路21aは、弁体20の端面20bから収容室22の壁部22bへと延びる。第2流路21bは、第1流路21aの退行方向D2側の端部から、弁体20の退行方向D2側の端面20cへと延びる。第2流路21bは、収容室22を取り囲む壁部および貫通孔23の内周面に形成された溝である。
【0043】
次に、流量制御弁1Aにおける弁体20の位置制御について説明する。本実施形態では、コントローラ34は、位置検出器33により検出された出力軸32の回転角度が、弁座Sと弁体20の間の所定の目標間隔(すなわち、所定の目標流量)に対応した回転角度となるよう電動モータ31をフィードバック制御する。
【0044】
より詳しくは、本実施形態では、直動変換機構50が、出力軸32の回転量をピストン40の進退方向Dの直動変位量に変換するため、ピストン40の位置は、出力軸32の回転角度に対応した位置となる。また、上述したように、弁体20とピストン40とは進退方向Dに一体的に移動する。このため、弁体20は、出力軸32の回転量に応じた直動変位量だけ進退方向Dに移動する。
【0045】
従って、本実施形態では、弁体20の位置決めを、コントローラ34による電動モータ31の出力軸32の回転角度のフィードバック制御により行うことが可能である。コントローラ34は、ピストン40に規定された或る点(例えばピストン40の進行方向D1先端)を基準点とし、その基準点の位置が所定の目標流量に対応した目標位置へ至るように、電動モータ31をフィードバック制御する。
【0046】
本実施形態では、流量制御弁1Aを閉弁状態にする場合、図2(A)に示すように、コントローラ34は、ピストン40の位置を、弁体20が弁座Sに当接し、且つ、壁部22aが係合部42aに当接した状態となる位置に制御する。
【0047】
また、図2(B)に示すように、流量制御弁1Aを開弁して出口流路12から流出する流量を所定の流量に制御する場合、コントローラ34は、弁座Sと弁体20の間の所定の目標間隔(すなわち、所定の目標流量)に対応した位置にピストン40が至るよう、電動モータ31をフィードバック制御する。
【0048】
さらに、本実施形態の流量制御弁1Aは、図2(A)に示す閉弁状態において、入口流路11の流体圧が出口流路12の流体圧より低くなった場合に、弁体20を弁座Sから離間させて、出口流路12から入口流路11の作動液を補給して、入口流路11の流体圧が負圧になることを防止するアンチキャビテーション機能を備えている。
【0049】
図2(A)および図3を参照して、流量制御弁1Aのアンチキャビテーション機能について説明する。
【0050】
図2(A)に示す閉弁状態では、弁体20が、弁体20に流体圧により進行方向D1側に作用する力と退行方向D2側に作用する力の差分により作用する力と、付勢部材16の付勢力とによって、弁座Sに対し押圧された状態にある。定常時では、入口流路11内の流体圧が出口流路12内の流体圧より高く、この場合、係合部42aが壁部22aに当接した状態が維持される。
【0051】
ところが、例えばショベルのブーム下げなど自重のかかる要素を駆動する油圧シリンダの制御に流量制御弁1Aを用いる場合、油圧シリンダへの供給流量が不足すると、流量制御弁1Aの入口圧と出口圧の高低が逆転して、入口圧が出口圧より低圧になることがある。この場合、弁体20に作用する力のうち、弁体20のテーパ面20aが出口流路12の流体圧を受けて弁体20に退行方向D2側に作用する力が、相対的に大きくなる。
【0052】
こうして、入口流路11内の流体圧が出口流路12内の流体圧を下回って、弁体20に対し退行方向D2に作用する力が弁体20に対し進行方向D1に作用する力を超えた場合、図3に示すように、壁部22aが係合部42aから離間して、ピストン40に対し弁体20が退行方向D2に相対移動する。こうして、出口流路12の流体を入口流路11に補給することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、弁体20のテーパ面20aが出口流路12の流体圧を受けて弁体20に退行方向D2側に力が作用したが、弁体20はテーパ面20aを有するものに限定されない。すなわち、弁体20は、出口流路12の流体圧を受けて、総合して弁体20に退行方向D2側に力が作用するように構成されていればよい。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態に係る流量制御弁1Aによれば、電動モータ31のフィードバック制御によって弁体20の位置決めを行うため、弁座Sに対する弁体20の位置決めを高精度に行うことができる。特に、本実施形態に係る流量制御弁1Aでは、弁体Sの位置決めをフローフォースの影響を受け易い高圧且つ大流量の条件においても、より高精度且つ高応答に行うことができる。例えば、建設機械(主に油圧ショベル)のメインコントロールバルブのような高圧且つ大流量の用途においても、高精度に流量を制御することができる。
【0055】
ところで、電動モータで弁体を位置決めする方法としては、ステッピングモータを用いて入力パルス数により弁体を位置決めする方法が考えられる。しかしながら、ステッピングモータは、ステータおよびロータの機械的精度やステータ巻線の抵抗のばらつきなどに起因した静止角度誤差を有するため、本実施形態のような弁体の高精度な位置決めを行うことが困難である。さらに、本実施形態では、サーボモータである電動モータ31の回転制御に使用される位置検出器33が、弁体20の位置決めにも兼用される。このため、弁体20の位置決めをシンプルな構成で実現することができる。
【0056】
また、本実施形態では、連通路21により入口流路11と背圧室15の流体圧を等しくするため、弁体20に対して、入口流路11内の流体圧により退行方向D2に作用する力に抗した力を、入口流路11内の流体圧と等しい背圧室15内の流体圧により進行方向に作用させることができる。このため、弁体20に対して進行方向D1に作用させるために必要な電動モータ31の推力、例えば弁体20を弁座Sに当接させるために必要な電動モータ31の推力を低減することができる。
【0057】
また、弁ハウジング10および弁体20は、背圧室15側の弁体20の受圧面積S1が、弁体20が弁座Sに当接している場合の入口流路11側の弁体20の受圧面積S2より大きくなるように形成されている。このため、弁体20が弁座Sに当接している場合において、背圧室15内の流体圧により進行方向D1に弁体20に作用する力を、入口流路11内の流体圧により退行方向D2に弁体20に作用する力より大きくすることができる。これにより、弁座Sが弁室13に対する入口流路11の開口の周囲に設けられている場合であっても、弁体20を背圧室15内の流体圧により進行方向D1に作用させることができる。従って、電動モータ31を駆動することなく、背圧室15内の流体圧によって閉弁状態を維持することができ、その結果、閉弁状態の維持に電動モータ31の推力が不要となるため、消費電力を低減することができる。また、流量制御弁1Aは、背圧室側の弁体の受圧面積が、弁体が弁座に当接している場合の入口流路側の弁体の受圧面積と等しい流量制御弁に比べ、付勢部材16の付勢力を小さくすることもできる。
【0058】
また、本実施形態では、連通路21は、弁体20に形成されているため、弁ハウジング10の構成を簡略化して、流量制御弁1A全体の大型化を防止することができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る流量制御弁1Bについて、図4を参照して説明する。なお、本実施形態および後述する実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。また、以降の図4図7において、コントローラ34の図示は省略する。
【0060】
本実施形態の流量制御弁1Bでは、係合部42aの進退方向Dにおける両側には軸部42との隙間は形成されておらず、弁体20とピストン40とは、互いに相対移動不能となっており、常に一体的に移動する。
【0061】
また、本実施形態では、連通路21の一部が、ピストン40の軸部42にも形成されている。具体的には、本実施形態では、連通路21が、弁体20に形成された弁体側流路21cと、軸部42に形成された、当該弁体側流路21cにつながる軸部側流路21dとを有する。弁体側流路21cは、弁体20の端面20bから軸部42の進行方向D1側端部へと延びている。軸部側流路21dは、軸部42の進行方向D1側端部から軸部42内を退行方向D2へ延び、途中で背圧室15に面する軸部42の外周面へ径方向に延びる。
【0062】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、電動モータ31のフィードバック制御によって弁体20の位置決めを行うため、弁座Sに対する弁体20の位置決めを高精度に行うことができる。
【0063】
なお、本実施形態では、入口流路11と背圧室15を連通する連通路21が軸部側流路21dを有していたが、連通路21はこれに限定されない。例えば、連通路21は、弁体20にのみ形成されていてもよい。具体的には、弁体20の中心軸からずれた位置に連通路21を設けることで、軸部42に通路を設けずに入口流路11と背圧室15を連通してもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、弁体20とピストン40とは、互いに相対移動不能であったが、このような構成であっても、直動変換機構50に進退の両方向に低抵抗の機構を用いることで、第1実施形態と同様の効果をもたらすアンチキャビテーション機能を備えることができる。すなわち、流量制御弁1Bの閉弁時にその流量制御弁1Bの入口圧と出口圧の高低が逆転して、入口圧が出口圧より低圧になり、退行方向D2側に作用する力が、相対的に大きくなった場合、弁体20、ピストン40が一体となって、退行方向D2に相対移動する。こうして、出口流路12の流体を入口流路11に補給することができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る流量制御弁1Cについて、図5を参照して説明する。
【0066】
本実施形態の流量制御弁1Cは、入口流路11と背圧室15とを連通する方法以外は第2実施形態と同じである。但し、本実施形態の流量制御弁1Cは、弁体20が弁座Sに当接している場合に入口流路11と背圧室15とを連通する連通路61が、弁体20ではなく弁ハウジング10内に形成されている点で、第2実施形態と異なる。
【0067】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、電動モータ31のフィードバック制御によって弁体20の位置決めを行うため、弁座Sに対する弁体20の位置決めを高精度に行うことができる。
【0068】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る流量制御弁1Dについて、図6を参照して説明する。
【0069】
本実施形態では、上記実施形態の流量制御弁1A~1Cとは、弁ハウジング10における入口流路11の位置および出口流路12の位置が異なる。より詳しくは、入口流路11は、弁体20の進行方向D1に対して直交する方向に弁室13から延びており、出口流路12は、弁体20の進行方向D1に弁室13から延びている。そして、弁座Sが、弁室13に対する入口流路11の開口の周囲に設けられる代わりに、弁室13に対する出口流路12の開口の周囲に設けられている。このため、弁体20が弁座Sに当接することにより、弁室13に対し出口流路12が閉塞される。
【0070】
また、本実施形態では、上記実施形態の流量制御弁1A~1Cとは異なり、弁体20が弁ハウジング10内の摺動面14に支持されておらず、弁体20の径方向の外周面と弁ハウジング10の内壁との間に隙間が設けられている。このため、本実施形態では、弁ハウジング10内に弁室13と隔てられた背圧室15が存在せず、弁室13は、弁体20全体を収容するように形成されている。
【0071】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、電動モータ31のフィードバック制御によって弁体20の位置決めを行うため、弁座Sに対する弁体20の位置決めを高精度に行うことができる。
【0072】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る流量制御弁1Eについて、図7を参照して説明する。
【0073】
本実施形態では、弁ハウジング10における入口流路11の位置および出口流路12の位置については、第4実施形態と同様である。
【0074】
また、弁ハウジング10には、背圧室15と外部のタンク71とを連通する連通路72が形成されている。連通路72により、出口流路12と背圧室15の流体圧は概ね等しくなっている。ただし、入口流路12の流体圧が弁体20(本実施形態では、テーパ面20a)に退行方向D2に作用するため、閉弁状態を維持するためには、付勢部材16の付勢力を、この流体圧による力に打ち勝つように設定する必要がある。あるいは、電動モータ31を常時駆動することにより、閉弁状態を維持してもよい。
【0075】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、電動モータ31のフィードバック制御によって弁体20の位置決めを行うため、弁座Sに対する弁体20の位置決めを高精度に行うことができる。
【0076】
<その他の実施形態>
本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0077】
例えば、第1~第5実施形態の構成は、適宜組合せ可能である。
【0078】
例えば、第1~第3実施形態の流量制御弁1A~1Cにおいて、弁ハウジング10における入口流路11の位置と出口流路12の位置とが逆であってもよい。すなわち、第1~第3実施形態の流量制御弁1A~1Cにおいて、入口流路11は、弁体20の進行方向D1に対して直交する方向に弁室13から延び、出口流路12は、弁体20の進行方向D1に弁室13から延びてもよい。また、第4および第5実施形態の流量制御弁1D,1Eにおいても、弁ハウジング10における入口流路11の位置と出口流路12の位置とが逆であってもよい。すなわち、第4および第5実施形態の流量制御弁1D,1Eにおいて、入口流路11は、弁体20の進行方向D1に弁室13から延び、出口流路12は、弁体20の進行方向D1に対して直交する方向に弁室13から延びてもよい。例えば、第1実施形態の流量制御弁1Aにおいて、入口流路11が進行方向D1に対して直交する方向に延びており、出口流路12が進行方向D1に延びている場合、例えば連通路21の一端部は、弁体20が弁座Sに当接している場合に当該連通路21が入口流路11と背圧室15とを連通するように、端面20bではなく、弁体20の外周面に設けられてもよい。
【0079】
また、上記第1~第3実施形態では、背圧室15側の弁体20の受圧面積S1が、弁体20が弁座Sに当接している場合の入口流路11側の弁体20の受圧面積S2より大きくなるように形成されていたが、本発明は、これに限定されない。例えば、受圧面積S1,S2は互いに等しくてもよい。この場合、例えば付勢部材16の付勢力により、閉弁状態を維持してもよい。また、例えば、第2~第5実施形態のように、弁体20がピストン40に対し相対移動不能に係合しており、且つアンチキャビテーション機能が不要な場合には、付勢部材16の付勢力に加えてまたは代わりに、電動モータ31を駆動させることにより閉弁状態を維持してもよい。
【0080】
また、第1実施形態では、弁体20に形成された連通路21は、収容室22につながっていたが、本発明の連通路はこれに限定されず、例えば、連通路は、収容室22とはつながらずに、収容室22の径方向外方側で進退方向Dに直線状に延びるように形成されていてもよい。
【0081】
また、第3実施形態では、背圧室15の流体圧と入口流路11内の流体圧と等しくするための連通路61が、弁ハウジング10に形成されていたが、弁ハウジング10の外部に、別途背圧室15の流体圧と入口流路11内の流体圧と等しくする流路を設けてもよい。
【0082】
また、第1実施形態におけるアンチキャビテーション機能を備えるための構成は、図1図3に示した構成に限定されない。例えば、ピストン40の軸部42に設けられた係合部は、径方向内方に突設するように形成されていてもよい。
【0083】
また、第1実施形態において、弁体20が弁座Sから離間しているときに、例えば背圧室15を弁室13の圧力より高くするなど別の手段により、係合部42aが壁部22a(当接部)に当接した状態を維持できる場合には、付勢部材16はなくてもよい。また、第2~第5の実施形態においても、付勢部材16はなくてもよい。
【0084】
また、上記第1~第5実施形態では、付勢部材16は背圧室15に設けられていたが、付勢部材16の位置はこれに限定されない。例えば、シリンダ43の内周面とピストン40の外周面との間に隙間を設け、この隙間に、ピストン40に対して進行方向D1に付勢力を付与するように付勢部材16を設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1A~1E:流量制御弁
10 :弁ハウジング
11 :入口流路
12 :出口流路
13 :弁室
15 :背圧室
16 :付勢部材
20 :弁体
21 :連通路
22a :壁部(当接部)
31 :電動モータ
32 :出力軸
33 :位置検出器
34 :コントローラ
40 :ピストン(移動部材)
42 :軸部
42a :係合部
50 :直動変換機構
D :進退方向
D1 :進行方向
D2 :退行方向
S :弁座
S1 :受圧面積
S2 :受圧面積
g :隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7