(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】駐車管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20221207BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221207BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221207BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G07B15/00 L
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018121979
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392014117
【氏名又は名称】シー・ティ・マシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502091490
【氏名又は名称】株式会社デジタルラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】花山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】川俣 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純也
(72)【発明者】
【氏名】北城 敬之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 淳矢
(72)【発明者】
【氏名】南中 昌二
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-41398(JP,A)
【文献】特開2004-110721(JP,A)
【文献】特開2016-184218(JP,A)
【文献】特開2017-130174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G07B 11/00 - 17/04
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の車室を所定時間ごとに撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像データに基づき、前記車室への車両の入庫を検知する検知部と、
前記撮像部によって撮像された前記車両の過去の画像データを、履歴画像データとして記憶する記憶部と、
前記車室への前記車両の入庫が検知された場合に、前記画像データを用いて、入庫された前記車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を実行し、認識結果を出力する認識部とを備え、
前記検知部は、
前記画像データに基づき、前記車室への前記車両の進入を検知し、かつ、前記車両の進入を一定回数以上連続して検知した場合に、前記車室に前記車両が入庫したと判断し、
前記認識部は、
前記車両のナンバープレートから、前記ナンバープレート情報の全体の認識率を導出し、導出した全体の認識率から認識に成功したか否かを判断し、認識に失敗したと判断した場合には、前記記憶部に記憶されている前記車両の履歴画像データを用いて、前記車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を再度実行し、認識結果を出力する、駐車管理装置。
【請求項2】
前記認識部は、
前記車両の履歴画像データを用いた前記ナンバープレート情報の認識処理を実行してもなお、認識に失敗したと判断した場合には、前記車両の画像データを前記認識結果に含めてコールセンタに出力する、請求項1に記載の駐車管理装置。
【請求項3】
前記認識部は、
前記車両のナンバープレートから、当該車両の管轄地域をあらわす地域情報、当該車両の種別をあらわす分類情報、当該車両の用途をあらわす用途情報、当該車両の車両番号をあらわす車両番号情報の認識処理を実行し、それぞれの情報の認識率をもとに、前記ナンバープレート情報の全体の認識率を導出し、導出した全体の認識率を前記認識結果に含めて出力する、請求項1
または2に記載の駐車管理装置。
【請求項4】
前記ナンバープレート情報の認識結果を管理サーバに送信する送信部と、
前記管理サーバから、前記ナンバープレート情報の認識結果に基づく前記車両への対応指示を受信する受信部とをさらに具備する請求項1から
3のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
【請求項5】
駐車場の車室を所定時間ごとに撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された車両の過去の画像データを、履歴画像データとして記憶する記憶部とを備えた駐車管理装置によって実行されるプログラムであって、
前記駐車管理装置を、
前記撮像部によって撮像された画像データに基づき、前記車室への車両の入庫を検知する検知部
であって、前記画像データに基づき、前記車室への前記車両の進入を検知し、かつ、前記車両の進入を一定回数以上連続して検知した場合に、前記車室に前記車両が入庫したと判断する検知部と、
前記車室への前記車両の入庫が検知された場合に、前記画像データを用いて、入庫された前記車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を実行し、認識結果を出力する認識部であって、前記車両のナンバープレートから、前記ナンバープレート情報の全体の認識率を導出し、導出した全体の認識率から認識に成功したか否かを判断し、認識に失敗したと判断した場合には、前記記憶部に記憶されている前記車両の履歴画像データを用いて、前記車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を再度実行し、認識結果を出力する認識部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場を効率よく管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コインパーキングをはじめとする有料の駐車場においては、駐車料金を課すために課金装置が設置されている。課金装置には、精算機やロック板などの阻止機構が設けられており、駐車場の各駐車スペース(いわゆる車室)に車両が入庫すると、阻止機構が作動し、車両をロックする。その後、車両の運転手等(以下、「ユーザ」と総称する。)によって精算が行われると、阻止機構によるロックが解除され、車両の出庫が可能になる。
【0003】
また、駐車場に入庫した車両を識別するために、ナンバープレートを読み取るカメラを備えた駐車場システムが提案されている。例えば、下記特許文献1には、駐車場の入り口ゲート付近にカメラを設け、入庫した車両のナンバープレートを読み取ることで、車両が駐車されていた時間に応じて自動的に料金を算出する駐車管理システムが開示されている。
【0004】
かかる構成によれば、駐車券などの媒体を使用することなく、自動で料金徴収を行うことが可能となり、駐車券を発行する従来の駐車管理システムに比べて管理費のコストダウンを図ることが可能となる。さらに、駐車場を利用するユーザにとっては、入庫時に駐車券を受け取るといった煩雑な作業が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、実際の駐車場においては、駐車場に車両を入庫するつもりはないものの、車両の切り返し等のために、駐車場の車室へ進入せざるを得ない場合がある。従来の駐車管理システムにおいては、このような場合についても、当該車両を駐車対象の車両として判断してしまう可能性がある等の問題が懸念されていた。
【0007】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、駐車場に進入した車両が駐車しようとしている否かを的確に判断し、判断結果に応じて車両のナンバープレートの認識処理を行うことが可能な駐車管理装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る駐車管理装置は、駐車場の車室を所定時間ごとに撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像データに基づき、車室への車両の入庫を検知する検知部と、撮像部によって撮像された車両の過去の画像データを、履歴画像データとして記憶する記憶部と、車室への車両の入庫が検知された場合に、画像データを用いて、入庫された車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を実行し、認識結果を出力する認識部とを備え、検知部は、画像データに基づき、車室への車両の進入を検知し、かつ、車両の進入を一定回数以上連続して検知した場合に、車室に車両が入庫したと判断することを要旨とする。
【0009】
本発明の他の形態に係るプログラムは、駐車場の車室を所定時間ごとに撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された車両の過去の画像データを、履歴画像データとして記憶する記憶部とを備えた駐車管理装置によって実行されるプログラムであって、駐車管理装置を、撮像部によって撮像された画像データに基づき、車室への車両の入庫を検知する検知部であって、画像データに基づき、車室への車両の進入を検知し、かつ、車両の進入を一定回数以上連続して検知した場合に、車室に車両が入庫したと判断する検知部と、車室への車両の入庫が検知された場合に、画像データを用いて、入庫された車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を実行し、認識結果を出力する認識部として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駐車場に進入した車両が駐車しようとしている否かを的確に判断し、判断結果に応じて車両のナンバープレートの認識処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る駐車管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】ユーザ管理テーブルの登録内容を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
A.本実施形態
A-1.構成
図1は、本実施形態に係る駐車管理システム1000の概略構成を示す図である。
図1に示す駐車管理システム1000は、複数の車室を有する駐車場を管理するシステムであり、車室ごとに設けられた駐車管理装置100と、車室の状況を管理する管理サーバ200と、ユーザが所持する携帯端末300とを備えて構成される。
図1では説明の便宜上、駐車場が1つの場合を例示しているが、複数の駐車場であってもよいのはもちろんである。また、本実施形態では、駐車される車両として自動車を想定するが、自動二輪車など、ナンバープレートを有する様々な乗り物に適用可能である。
【0014】
駐車管理装置100、管理サーバ200、携帯端末300は、それぞれ通信ネットワークNを介して相互通信可能となっている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0015】
[駐車管理装置100]
図2は、駐車管理装置100の構成を示すブロック図であり、
図3は、駐車管理装置100の外観を示す図である。
駐車管理装置100は、車室ごとに設けられ、車室に車両が入庫したか否かを検知する機能と、車室に入庫した車両のナンバープレートに表示されている様々な情報(以下、「ナンバープレート情報」と総称する。)を認識する機能を備えている。駐車管理装置100は、撮像部110、記憶部120、制御部130、通信部140、出力部150などを具備している。
【0016】
撮像部110は、カメラ(例えばRGBカメラや赤外線カメラなど)Caを備えて構成される。カメラCaは、車室全体を撮像することが可能な画角(例えば100度)を有しており、
図3に示す車室ポールPの所定位置、高さに設置されている。車室ポールPは、車室後方の左サイドまたは右サイドに設置されている。これにより、カメラCaは、車室に進入してくる車両のナンバープレートを撮像することが可能となっている。カメラCaは、一定時間毎(例えば、1秒毎)に車室を撮像し、車室の画像データを生成し、記憶部120、制御部130に出力する。なお、カメラCaが車室を撮像する時間間隔等は、システム設計等に応じて設定・変更可能である。
【0017】
記憶部120は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体及び記録媒体のドライブ装置を含んで構成される。記憶部120には、駐車管理装置100を統括的に制御するにあたって必要なプログラムやデータなどが、更新可能に記憶されるほか、カメラCaから供給される一定期間分の画像データが、履歴画像データとして記憶される。
【0018】
制御部130は、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品とするMCU(Micro Control Unit)などを備えており、ROMやRAMに格納された各種プログラム等を実行することにより、駐車管理装置100の各部を統括的に制御する。
【0019】
制御部130は、検知部135Aと認識部135Bとを備えている。
検知部135Aは、カメラCaによって撮像された画像データに基づき、車室に車両が入庫したか否かを検知する。検知部135Aは、車室に車両が入庫したことを検知すると、車室を特定する情報(例えば、A駐車場の5番など)とともに、車両の入庫を検知した旨を認識部135Bに通知する。検知部135Aによる入庫検知方法の詳細は、後に詳述する。
【0020】
なお、検知部135Aには、車室に進入した物体が車両であるか否かの認識精度を向上させるための学習エンジンが搭載されている。学習エンジンとしては、様々なアルゴリズムを利用することができ、一例としてニューラルネット学習アルゴリズムを利用することができる。
【0021】
認識部135Bは、検知部135Aから車両の入庫が検知された旨の通知を受け取ると、カメラCaから供給される画像データに基づき、入庫された車両のナンバープレートに表示されている情報(すなわち、ナンバープレート情報)の認識処理を行い、ナンバープレート情報の認識結果を通信部140に出力する(詳細は後述)。
【0022】
通信部140は、様々な通信規格に準拠した通信インタフェースを備え、通信ネットワークNを介して、管理サーバ200やユーザが所持する携帯端末300など外部機器との間でデータの授受を行う。通信部(送信部、受信部)140は、認識部135Bから供給されるナンバープレート情報の認識結果を管理サーバ200に送信する一方、管理サーバ200から車室への進入が検知された車両への対応指示(例えば、駐車を許可または禁止するなど)を受信する。通信部140は、管理サーバ200から受信した対応指示を出力部150に供給する。なお、通信部140は、ナンバープレート情報の認識結果を管理サーバ200に送信する際、駐車場及び車室の位置情報、自身の駐車管理装置100を一意に特定する駐車管理装置IDなどを、ナンバープレート情報の認識結果に付加する。
【0023】
出力部150は、液晶パネルなどの表示装置Plを備えている。表示装置Plは、カメラCaと同様、
図3に示す車室ポールPに設けられている。出力部150は、制御部130による制御のもと、管理サーバ200から供給される、車室への進入が検知された車両への対応指示に従い、表示装置Plに「駐車許可」や「駐車禁止」といったメッセージを表示する。ユーザは、表示装置Plに表示されるメッセージに従い、正常に駐車できたか否か等を把握することが可能となる。なお、表示装置Plには、「駐車許可」や「駐車禁止」といったメッセージのほか、現時点での車室のステータス(例えば、「駐車」や「空室」など)も表示される。また、本実施形態では、車室ごとに表示装置Plを設ける態様を例示したが、駐車場内のすべての車室のステータス等を一覧表示することができる表示装置を、駐車場内に設けるようにしてもよい。また、出力部150については、表示装置Plに加えて(または代えて)、音声メッセージを出力するためのスピーカユニットや表示灯、ブザーなどを設けてもよい。
【0024】
[管理サーバ200]
管理サーバ200は、管理下にある全駐車場について、各車室の入出庫の管理や課金処理などを行う装置である。
図1に示すように、管理サーバ200は、通信部210、制御部220、記憶部230を備えている。
【0025】
通信部210は、様々な通信規格に準拠した通信インタフェースを備えている。通信部210は、通信ネットワークNを介して、駐車管理装置100やユーザが所持する携帯端末300など外部機器との間でデータの授受を行う。
【0026】
制御部220は、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品とするMCU(Micro Control Unit)などを備えており、ROMやRAMに格納された各種プログラム等を実行することにより、管理サーバ200の各部を統括的に制御する。
【0027】
具体的には、駐車管理装置100から送信されるナンバープレート情報の認識結果に基づき、各車室に入出庫される車両の管理を行う処理(詳細は後述)、駐車料金の課金を行う処理などを行う。
【0028】
記憶部230は、例えばフラッシュメモリなどにより構成され、生成した情報(例えば、各車室のステータスをあらわす情報や課金情報等)を一時的に記憶する。記憶部230には、駐車管理システム1000を利用するユーザの個人情報と、各ユーザが利用する車両のナンバープレート情報(すなわち、ナンバープレートに表示される情報)とが紐付けられたユーザ管理テーブルTAが記憶される。
【0029】
図4は、ユーザ管理テーブルTAの登録内容を例示した図である。
図4に示すように、ユーザ管理テーブルTAには、各ユーザの車両のナンバープレート情報と、各ユーザを一意に特定するためのユニークなユーザIDとが対応付けて登録されている。
図4に示す例では、ナンバープレート情報として「足立 300 い 15-66」、ユーザIDとして「A001」などがユーザ管理テーブルTAに登録されている。登録ユーザIDは、例えば駐車料金を課金する際などに用いられる。制御部220は、駐車管理装置100からナンバープレート情報の認識結果を受信すると、受信したナンバープレート情報の認識結果を検索キーとして、ユーザ管理テーブルTAを検索することにより、当該ナンバープレート情報に紐付けられたユーザを特定する。
【0030】
[携帯端末300]
携帯端末300は、駐車場を利用するユーザが所持等する端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末や、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPCなどである。
【0031】
A-2.動作
以下、駐車管理装置100の主要動作について説明する。
【0032】
[入庫検知処理]
図5は、駐車管理装置100の検知部135Aによって間欠的に実行される入庫検知処理を示すフローチャートである。なお、以下では、ある1つの車室を例にとって説明を行うが、駐車場内のすべての車室について同様な処理が行われる。
【0033】
検知部135Aは、カメラCaから供給される画像データに基づき、車室に車両が進入したか否かを検知する(ステップS1)。検知部135Aは、車室に車両が進入していないと判断すると(ステップS1;NO)、車室への車両の入庫はないと判断し、処理を終了する。一方、検知部135Aは、車室に車両が進入していると判断すると(ステップS1;YES)、連続してN回(例えば、N=5)、車両の進入を検知できるか否かを判断する(ステップS2)。検知部135Aは、連続してN回の車両の進入が検知できない場合には(ステップS2;NO)、当該車両は、入庫のために車室に進入したのではなく、他の理由(例えば、車両の切り返しなど)のために車室に進入したのだと判断し、処理を終了する。
【0034】
一方、検知部135Aは、連続してN回の車両の進入を検知すると(ステップS2;YES)、当該車両は、入庫のために車室に進入したのだと判断し、当該車室を特定する情報(例えば、A駐車場の5番など)とともに、車両の入庫を検知した旨を認識部135Bに通知し(ステップS3)、処理を終了する。なお、本実施形態では、車両の入庫を正確に判断するために、車両の進入を連続してN回検出することを条件としたが、他の条件を設定してもよい。また、N=5は一例にすぎず、Nをいかなる値に設定するかは任意である。
【0035】
[車番認識処理]
図6は、駐車管理装置100の認識部135Bによって間欠的に実行される車番認識処理を示すフローチャートである。
認識部135Bは、検知部135Aから、車両の入庫を検知した旨の通知があるか否かを判断する(ステップSA1)。認識部135Bは、車両の入庫を検知した旨の通知を受け取っていない場合には(ステップSA1;NO)、ステップSA1を繰り返し実行する。一方、認識部135Bは、車両の入庫を検知した旨の通知があると(ステップSA1;YES)、カメラCaから供給される画像データに基づき、入庫された車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を行う(ステップSA2)。詳述すると、認識部135Bは、画像データからナンバープレートに対応する画像(以下、「ナンバープレート画像」という。)を切り出し、切り出したナンバープレート画像をさらに4つの部分画像に分割したうえで、ナンバープレート情報の認識処理を行う。
【0036】
図7は、ナンバープレート画像を例示した図である。
図7に示すように、ナンバープレート画像は、4つの部分画像Pp1~Pp4を含んで構成される。部分画像Pp1には、車両の管轄地域をあらわす地域情報が表示され、部分画像Pp2には、車両の種別(例えば、普通乗用車、大型特殊自動車など)をあらわす分類情報が表示され、部分画像Pp3には、車両の用途(例えば、自家用車、レンタカーなど)をあらわす用途情報が表示され、部分画像Pp4には、車両の車両番号をあらわす車両番号情報が表示される。
図7に示す例では、「足立 300 い 15-66」というナンバープレート画像から、地域情報として「足立」、分類情報として「300」、用途情報として「い」、車両番号情報として「15-66」といったナンバープレート情報が取得され得る。
【0037】
認識部135Bは、ナンバープレート画像から、地域情報、分類情報、用途情報、車両番号情報の認識処理を行うと、それぞれの情報の認識率をもとに、ナンバープレート情報の全体の認識率を導出する(ステップSA3)。一例を挙げて説明すると、認識部135Bは、地域情報、分類情報、用途情報、車両番号情報のそれぞれの認識率の最大値を50%、ナンバープレート情報の全体の認識率の最大値を200%として、今回のナンバープレート情報の全体の認識率(例えば、「150%」など)を導出する。認識部135Bは、ナンバープレート情報の全体の認識率を、設定された閾値(例えば、「80%」)と比較し、ナンバープレート情報の認識に成功したか(認識OK)、あるいはナンバープレート情報の認識に失敗したか(認識NG)を判断する(ステップSA4)。認識部135Bは、例えば、ナンバープレート情報の全体の認識率が「150%」であり、ナンバープレート情報の認識に成功したと判断すると、ナンバープレート情報の認識結果とともに、導出した全体の認識率を含めて通信部140に出力し(ステップSA5)、処理を終了する。通信部140は、ナンバープレート情報の認識結果を受け取ると、駐車場及び車室の位置情報、自身の駐車管理装置100を一意に特定する駐車管理装置IDなどをナンバープレート情報の認識結果に付加し、管理サーバ200に送信する。
【0038】
一方、認識部135Bは、例えば、ナンバープレート情報の全体の認識率が「60%」であり、ナンバープレート情報の認識に失敗したと判断すると、ナンバープレート情報の認識に失敗した回数が規定回数M(例えば、M=60)を超えたか否かを判断する(ステップSA6)。認識部135Bは、失敗した回数が未だ「1回」であり、規定回数Mに達していないと判断すると(ステップSA6;NO)、記憶部120にアクセスし、当該車両の履歴画像データを取得し(ステップSA7)、ステップSA2に戻る。そして、認識部135Bは、取得した履歴画像データを利用し、再度、入庫された車両のナンバープレートに表示されているナンバープレート情報の認識処理を行い(ステップSA2)、ナンバープレート情報の全体の認識率を導出する(ステップSA3)。認識部135Bは、前回と同様、ナンバープレート情報の全体の認識率を、設定された閾値と比較し、ナンバープレート情報の認識に成功したか(認識OK)、あるいはナンバープレート情報の認識に失敗したか(認識NG)を判断する(ステップSA4)。認識部135Bは、当該車両の履歴画像データを利用することで、ナンバープレート情報の全体の認識率が「100%」に上がり、ナンバープレート情報の認識に成功したと判断すると、ナンバープレート情報の認識結果とともに、導出した全体の認識率を含めて通信部140に出力し(ステップSA5)、処理を終了する。なお、ナンバープレート情報の認識結果を通信部140に出力した後の動作は、既に説明したため割愛する。
【0039】
一方、認識部135Bは、再びナンバープレート情報の認識に失敗したと判断すると、前回と同様、ステップSA6に進み、ナンバープレート情報の認識に失敗した回数が規定回数Mを超えたか否かを判断する。認識部135Bは、ステップSA6→ステップSA7→ステップSA2→ステップSA3→ステップSA4→ステップSA6といった一連の処理を繰り返し実行している間に、ナンバープレート情報の認識に失敗した回数が規定回数Mを超えたと判断すると(ステップSA6;YES)、認識部135Bは、コールセンタ(図示略)にアクセスし(ステップSA8)、駐車管理装置100を特定する情報(例えば、駐車場及び車室の位置情報、駐車管理装置100を一意に特定する駐車管理装置ID、カメラCaから供給される画像データなど)を送信する。そして、認識部135Bは、コールセンタからユーザに、直接ナンバープレートの問い合わせを行うべき旨の指示を送り(ステップSA9)、処理を終了する。
【0040】
これを受け、コールセンタは、対応する駐車管理装置100にアクセスし、直接、ユーザにナンバープレート情報の問い合わせ(「ナンバープレートの情報が読み取れませんでした。お手数ですが、ナンバープレートに表示されているナンバープレート情報をご教示ください。」など)を行う。コールセンタにてナンバープレート情報の認識結果が取得されると、取得されたナンバープレート情報の認識結果に、駐車場及び車室の位置情報、駐車管理装置100を一意に特定する駐車管理装置IDなどを付加して管理サーバ200に送信する。なお、規定回数Mについては、システム設計等に応じて適宜設定・変更可能である。
【0041】
[駐車管理処理]
図8は、管理サーバ200の制御部220によって間欠的に実行される車番認識処理を示すフローチャートである。
【0042】
制御部220は、駐車管理装置100(またはコールセンタ)からナンバープレート情報の認識結果を受信すると(ステップSB1)、受信したナンバープレート情報の認識結果を検索キーとして、ユーザ管理テーブルTAを検索することにより、当該ナンバープレート情報に紐付けられたユーザの特定が可能か否かを判断する(ステップSB2)。制御部220は、ナンバープレート情報に紐付けられたユーザが特定できた場合には、既登録ユーザであると判断し(ステップSB2;YES)、車室への入庫を認める(すなわち、駐車を許可する)旨の対応指示を、駐車管理装置100に送信し(ステップSB3)、処理を終了する。
【0043】
一方、制御部220は、ナンバープレート情報に紐付けられたユーザが特定できない場合には、ユーザは未登録ユーザであると判断し(ステップSB2;NO)、車室への入庫を認めない(すなわち、駐車を禁止する)旨の対応指示を、駐車管理装置100に送信し(ステップSB4)、処理を終了する。なお、制御部220は、ステップSB4において、単に車室への駐車を認めない旨の対応指示を送信する代わりに(あるいは加えて)、ユーザ登録を促す対応指示を、駐車管理装置100に送信してもよい。
【0044】
駐車管理装置100の出力部150は、管理サーバ200から供給される、車室への進入が検知された車両への対応指示に従い、表示装置Plに「駐車許可」や「駐車禁止」といったメッセージを表示する。ユーザは、表示装置Plに表示されるメッセージに従い、正常に駐車できたか否か等を把握することができる。例えば、未登録ユーザであるために、駐車が禁止されたユーザであれば、自身の携帯端末300を操作し、管理サーバ200にユーザ登録を行うことで駐車場を利用することが可能となる。なお、駐車が認められると、管理サーバ200は、駐車管理装置100から当該ユーザの車両の入庫日時を取得し、課金処理等を開始する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、車室への車両の進入を1回検知しただけでは、車両の入庫があったとは判断せず、車室への車両の進入を検知し、かつ、車両の進入を一定回数以上連続検知してはじめて、車両の入庫があったと判断する。よって、車両の切り返し等のために、一時的に車室に車両が進入したとしても入庫とは判断されず、車室に進入した車両が駐車しようとしている否かを的確に判断することが可能となる。
【0046】
B.変形例
上述した本実施形態では、
図4を参照して車室に車両が入庫される場合を例に説明したが、車室から車両が出庫される場合も同様に適用可能である。
【0047】
[出庫検知処理]
図9は、駐車管理装置100の検知部135Aによって間欠的に実行される出庫検知処理を示すフローチャートである。なお、以下では、ある1つの車室を例に説明を行うが、本来は駐車場内のすべての車室について同様な処理が行われる。
【0048】
検知部135Aは、カメラCaから供給される画像データに基づき、車室から車両が退避したか否かを検知する(ステップSC1)。検知部135Aは、車室から車両が退避していないと判断すると(ステップSC1;NO)、車室から車両の出庫はないと判断し、処理を終了する。一方、検知部135Aは、車室から車両が退避していると判断すると(ステップSC1;YES)、連続してN回(例えば、N=5)、車両の退避を検知できるか否かを判断する(ステップS2)。検知部135Aは、連続してN回の車両の退避が検知できない場合(例えば、車両の退避が2回しか検出できない場合)には、当該車両は、出庫のために車室から退避したのではなく、他の理由(例えば、車両の動作確認など)のために車室から退避したのだと判断し、処理を終了する。
【0049】
一方、検知部135Aは、連続してN回の車両の退避を検知すると、当該車両は、出庫のために車室から退避したのだと判断し、当該車室を特定する情報(例えば、A駐車場の5番など)とともに、車両の出庫を検知した旨を認識部135Bに通知し(ステップSC3)、処理を終了する。なお、本実施形態では、車両の出庫を正確に判断するために、車両の退避を連続してN回検出することを条件としたが、他の条件を設定してもよい。また、N=5は一例にすぎず、Nをいかなる値に設定するかは任意である。
【0050】
C.その他
本発明は、上述した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【0051】
また、本明細書において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その「部」が実行する処理をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」が実行する処理を2つ以上の物理的構成や装置により実現されても、2つ以上の「部」が実行する処理を1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0052】
また、上述した本実施形態では、ナンバープレート画像から、地域情報、分類情報、用途情報、車両番号情報の認識処理を行い、それぞれの情報の認識率をもとに、ナンバープレート情報の全体の認識率を導出したが、いかなる方法でナンバープレート情報の全体の認識率を導出するかは任意に設定・変更可能である。さらに、本実施形態では、ナンバープレート情報の全体の認識率が、設定された閾値と比較することで、認識に成功したか否かを判断したが、認識に成功したか否かの判断基準は任意に設定・変更可能である。
【0053】
本明細書において説明した各処理を実施するプログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、駐車管理装置100を構成するコンピュータに、上記プログラムをインストールすることができる。ここで、上記プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば、CD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1000…駐車管理システム、N…通信ネットワーク、100…駐車管理装置、110…撮像部、Ca…カメラ、120…記憶部、130…制御部、135A…検知部、135B…認識部、140…通信部、150…出力部、Pl…表示装置、200…管理サーバ、210…通信部、220…制御部、230…記憶部、TA…ユーザ管理テーブル、300…携帯端末。