IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユリウス モンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-物質交換機 図1
  • 特許-物質交換機 図2
  • 特許-物質交換機 図3
  • 特許-物質交換機 図4
  • 特許-物質交換機 図5
  • 特許-物質交換機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】物質交換機
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/30 20060101AFI20221207BHJP
   B01J 19/32 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B01D3/30 Z
B01J19/32
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018153457
(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公開番号】P2019037972
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】10 2017 007 861.0
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592096502
【氏名又は名称】ユリウス モンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】エゴン ツィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】トーステン エーリック アレクサンダー フーゲン
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5363909(US,A)
【文献】特開昭58-136678(JP,A)
【文献】特表平3-500983(JP,A)
【文献】特公昭33-5411(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/00-3/42
B01J 19/28-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッキングを備えて構成されるロータの内側で液体とガスの間の物質交換を生じるための装置であって、前記液体が前記ロータの中央で運ばれ、前記ロータの回転によって生じた遠心力によって前記パッキングを通って外方へ移動させられ、前記ガスが前記ロータの周りにあって前記ロータにおける前記液体の流れと反対に前記ガスによって前記ロータを通って内方へ移動させられる、装置において、
前記ロータの内側に位置した前記パッキングが、合わさって円板を形成する個々のパッキングセクタに分かれていて、各パッキングセクタは、金属、またはプラスチック若しくはガラス繊維から構成された複数の重畳した織り状、編み状、メッシュ状若しくは格子状の構造表面を備えて構成される少なくとも1つの構造パッキングによって形成され、前記複数の構造表面に対して前記ロータの回転軸が垂直に延びていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記構造表面が、互いに平行におかれた各構造表面の波打ちでもって、波形に起伏していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構造表面の前記波形がジグザクの断面であることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
1つの構造表面の前記波形が隣接する構造表面の前記波形に対して斜めに配置され、交差する流れ経路が2つの構造表面の間に存在していることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記構造表面が属及び/又はプラスチックワイヤ、又はシート金属の細片、又はガラス繊維から構成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
金属及び/又はプラスチックの前記ワイヤが0.1~0.5mmの径を有していることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ロータ内に位置する前記構造パッキングが2~64のパッキングセクタから組み立てられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記パッキングセクタの内側端部が内側の、円筒形同軸環状空間を形成し、この空間から流れ経路が始まり、この空間内へ前記液体が運び込まれることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記パッキングセクタの外側端部が外側の円筒形リングを形成し、ここに前記パッキングセクタの流れ経路が終端することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記パッキングセクタ3~150の重畳した構造表面から組み立てられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
パッキングセクタの構造表面が、互いにスポット溶接されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ロータの前記構造パッキングが、互いに同軸の複数の構造パッキングリングを備えて構成され、これら構造パッキングリングが個々の環状セクタに分けられていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ロータが2つの離間する円形側面を備えて構成され、これらに対して前記ロータの回転軸が垂直に延び、これら円形側面がそれらの間にパッキングセクタによって満たされた空間を形成することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記パッキングセクタが5~25の重畳した構造表面から組み立てられていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキングを有するロータ内で液体とガスの間の物質交換を生じるための装置に関するもので、液体はロータの中央で運ばれ、ロータの回転によって生じた遠心力によってパッキングを通って外方へ移動させられ、ガスはロータの周りにあってロータにおける液体の流れと反対にガス圧によってロータを通って内方へ移動させられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2は、2つの側面を有するロータを備えた物質交換機を開示する。その際、両側面の間の空間に、ロータが回転する際に中央に運ばれた液体を外方へ移動するパッキングが位置している。ここで、ロータはガスによって取り囲まれ、液体とガスの間の物質交換を生じるために、ガスはガス圧のために液体と反対にローラを通って流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO 2015/101826 A1
【文献】WO 2016/038480 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、物質交換と物質の搬送を根本的に改善し運転時間を減らす前記タイプの装置を創出することにある。該装置は更に、製造、組み立て及び使用が容易であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これら課題は、ロータの内側に位置したパッキングが円板を共に形成する個々のパッキングセクタに分けられることで解決される。環状扇形をした各パッキングセクタは、ロータの回転軸が垂直に延び且つ金属、特にシート金属片又はプラスチック繊維若しくはガラス繊維から構成された複数の重畳した織り構造表面、編み構造表面、メッシュ構造表面又は格子構造表面を有する少なくとも1つの構造付与されたパッキング(構造パッキング)によって形成されている。
【0006】
ロータ内に位置したパッキングを織り構造、編み構造、メッシュ構造又は格子構造を有する個々のパッキングセクタに分けることによって、運転時間を短くして物質交換と搬送における根本的な改善がなされる。ばらばらの構造付与された表面(構造表面)から組み立てられた個々のパッキングセクタからそのようなロータを組み立てることは、また製造プロセスを特に容易にし、更に、構造表面の構造とタイプと寸法において構造パッキングが特定の条件に非常に正確に適合可能であるという利点をもたらす。
【0007】
ここで、互いに平行にある各構造表面の波打ち/アンジュレーションでもって構造表面が波形に起伏しているならば、特に有利である。構造表面の波打ちがジグザク形状の横断面であるならば作用に関してと、製造に関しての両方で有利であることも判明した。加えて、1つの構造表面の波打ちが隣接する構造表面の波打ちに対して斜めに、特に直角に配置されることで、交差する流れ経路が2つの構造表面の間に存することも提案される。
【0008】
好ましくは、構造表面が金属ワイヤ及び/又はプラスチックワイヤ又はシート金属片又はガラス繊維から構成されることが提案される。ここで、金属ワイヤ及び/又はプラスチックワイヤは0.1~0.5mm、好ましくは0.15~0.2mmの径を有していてもよい。
【0009】
ロータ内に位置した構造パッキングが2~64個のパッキングセクタ、好ましくは4~16個のパッキングセクタから組み立てられているのが有利である。設計に関して、それらパッキングセクタの内側端部が内側の円筒形同軸環状空間を形成し、これから流れ経路が進み出て、ここへ液体が運ばれることが提案される。このために、それらパッキングセクタの外側端部が外側の円筒形リングを形成し、ここでパッキングセクタの流れ経路が終端することも提案される。
【0010】
パッキングセクタが3~10の、好ましくは5~8の重畳した構造表面から組み立てられるのが特に有利であることが判明した。パッキングセクタの構造表面が、特にレーザビームによって、互いにスポット溶接されてもよい
【0011】
ロータの構造パッキングが、個々の環状セクタに分かれ且つ互いに同軸の構造パッキングリングを備えて構成されるならば、大きい径のロータの製造が容易である。ロータが2つの円形側面を備えて構成され、これら円形側面に対しロータの回転軸が垂直に延び、且つこれら円形側面がこれらの間にパッキングセクタによって満たされた空間を形成することも提案される。
本発明の有利な展開は、図面に示され、以下でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る物質交換機のロータを通る断面図である。
図2】構造表面から組み立てられたパッキングセクタの斜視図である。
図3】構造表面の上面図である。
図4図3の構造表面を通る矢示IV-IVにしたがう断面図である。
図5】個々の環状セクタから構成される構造パッキングリングを有するロータを通る断面図である。
図6】個々の環状セクタから構成される構造パッキングリングを有するロータを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
物質交換機は、互いに平行に配置された2つの同軸円形側面2を有するロータ1を備えて構成され、前記側面の間の空間はパッキングによって満たされている。ここで、パッキングは環状扇形の形態をした個々のパッキングセクタ3を備えて構成されており、パッキングセクタ3の内側端部は、液体が運ばれる内側の円筒形同軸若しくは円筒形環状空間4を形成する。パッキングセクタの外側の湾曲した端部は、パッキングセクタの流れ経路6が終端する外側円筒形リング5を形成する。
【0014】
図2に示されるように、各パッキングセクタ3はばらばらの重畳した構造表面7から構成されており、この構造表面7は波打って起伏した形状である。ここで、波打ち/起伏は、図4に示されるようにそれらがジクザグ形状の横断面であるように設計されていてもよく、あるいは丸められた波打ちで構成されていてもよい。
【0015】
各構造表面7の平行な波打ちは、それらの谷部において流れ経路6を形成し、隣接する構造表面が互いにねじられて、それによって互いに斜めに、特に直角に配置されて、図2から分かるように、2つの流れ経路が2つの構造表面の間で互いに交差している。
【0016】
パッキングセクタは各々、3~150の、好ましくは5~25の重畳した構造表面から組み立てられる。更に、ロータに位置した構造パッキングは図1に示されるように、2~64のパッキングセクタから組み立てられる。しかしながら、代替的にロータの構造パッキングは、図5図6に示すように、それぞれが個々の環状セクタに分かれた同軸の構造パッキングリングを備えて構成されていてもよい。
【0017】
構造表面7は、固体金属の細片、織り構造若しくは編み構造のいずれか、及び/又はプラスチックワイヤやガラス繊維から構成され、その際、ワイヤは好ましくは0.1~0.5mmの径を、好ましくは0.15~0.2mmの径を有する。しかしながら、代替的に、構造表面7が金属製若しくはプラスチック製のメッシュ若しくは格子から形成されてもよい。
【0018】
パッキングセクタ3の構造表面7は好ましくはレーザビームによって互いにスポット溶接される。
【符号の説明】
【0019】
1 ロータ
2 側面
3 パッキングセクタ
4 環状空間
5 円筒形リング
6 流れ経路
7 構造表面
10 構造パッキングリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6