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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ズームレンズ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/06 20210101AFI20221207BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20221207BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20221207BHJP
【FI】
G03B9/06
G02B7/02 H
G02B7/10 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018158047
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020034588
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊貴
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-234075(JP,A)
【文献】特開2017-097243(JP,A)
【文献】米国特許第05663839(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153412(US,A1)
【文献】特開2013-246429(JP,A)
【文献】特開昭61-095325(JP,A)
【文献】米国特許第06161966(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/00-9/07
G02B 7/02
G02B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定筒と、
前記固定筒と同心同軸に配置された回転筒と、
前記固定筒に対して前記回転筒が回転されることにより、光軸方向に移動される複数のレンズ群と、
前記複数のレンズ群の間に配置され、同心配置されたカム座及び動輪を備えた絞り機構であって、前記カム座及び前記動輪が相対的に回転されることにより、中央の開口の径が変更される絞り機構と、
を備えたズームレンズ装置であって、
さらに、前記固定筒に対して前記回転筒が回転されると回転する絞り連動リングを備え、当該絞り連動リングの回転が前記動輪又はカム座に伝達され、
前記回転筒は、半径の異なる複数の部位が段状に接続されてなり、
前記絞り連動リングは、前記回転筒の内側の段差部に配置されている、ことを特徴とするズームレンズ装置。
【請求項2】
前記回転筒は前記固定筒の半径方向内側に配置されている、請求項1に記載のズームレンズ装置。
【請求項3】
前記絞り連動リングは、前記固定筒に形成された第1の溝と、前記回転筒に形成された第2の溝とに係合するコマを有し、前記固定筒に対して前記回転筒が回転されることにより、前記コマが前記第1の溝及び第2の溝により案内されて、前記絞り連動リングが回転する、請求項1又は2に記載のズームレンズ装置。
【請求項4】
前記ズームレンズ装置はレンズ鏡筒である、請求項1~3の何れか1項に記載のズームレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズ鏡筒に設けられた絞り装置は、複数の絞り羽根と動輪とを備え、動輪を回転させることにより、絞り羽根を開閉させて光量を調整する。近年、ズーム動作による光量の大きな変化に追従するために、ズーム動作に合わせて絞り羽根を開閉させることができるようなズームレンズ鏡筒が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、絞り機構の動輪に、カム溝が形成されたカム板を光軸方向に延びるように設け、このカム溝にレンズ群鏡筒に設けられたカムフォロアを係合させ、絞り機構に対してレンズ群鏡筒が移動することにより、動輪を回転させて絞り羽根を開閉させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-83565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたズームレンズ装置では、絞り機構から延びるカム板を設けなければならず、絞り機構を設ける際にスペースの制約を受ける。また、絞り機構を操作するために、絞り機構とレンズ群鏡筒との移動差が必要になり、レンズ群の移動に制約が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、スペースや、レンズ群の移動の制約を受けることなく、ズーム動作に合わせて絞り羽根を開閉させることができるズームレンズ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のズームレンズ装置は、固定筒と、固定筒と同心同軸に配置された回転筒と、固定筒に対して回転筒が回転されることにより、光軸方向に移動される複数のレンズ群と、複数のレンズ群の間に配置され、同心配置されたカム座及び動輪を備えた絞り機構であって、カム座及び動輪が相対的に回転されることにより、中央の開口の径が変更される絞り機構と、を備えたズームレンズ装置であって、さらに、固定筒に対して回転筒が回転されると回転する絞り連動リングを備え、絞り連動リングの回転が動輪又はカム座に伝達される、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成の本発明によれば、絞り連動リングの回転により絞り機構を開閉するため、絞り連動リングを空きスペースに配置することができ、スペースの制約を受けることがなく、また、レンズ群の移動の制約を受けることがない。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、回転筒は固定筒の半径方向内側に配置されている。
【0010】
本発明の絞り連動リングは、固定筒に対して回転筒が回転されると回転する。このため、回転筒は固定筒の半径方向内側に配置されていても、絞り連動リングが回転し、絞り機構を操作することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、回転筒は、半径の異なる複数の部位が段状に接続されてなり、絞り連動リングは、回転筒の内側の段差部に配置されている。
【0012】
上記構成の本発明によれば、固定筒の段差部に絞り連動リングを配置し、空きスペースを有効活用することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、絞り連動リングは、固定筒に形成された第1の溝と、回転筒に形成された第2の溝とに係合するコマを有し、固定筒に対して回転筒が回転されることにより、コマが第1の溝及び第2の溝により案内されて、絞り連動リングが回転する。
【0014】
上記構成の本発明によれば、第1の溝及び第2の溝の形状を適宜設計することにより、各ズーム操作状態に応じた適切な絞りを実現できる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、ズームレンズ装置はレンズ鏡筒である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スペースや、レンズ群の移動に制約が生じることなく、ズーム動作に合わせて絞り羽根を開閉させることができるズームレンズ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、広角状態を示す。
図2】第1実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、望遠状態を示す。
図3図1に示すズームレンズ鏡筒の内側固定筒及び第1回転筒を示す斜視図である。
図4図1に示すズームレンズ鏡筒における第1摺動筒、外筒、第2回転筒及び、固定筒を示す斜視図である。
図5図1に示すズームレンズ鏡筒の絞り機構の構成を示す分解斜視図である。
図6】第2実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、広角状態を示す。
図7】第2実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、望遠状態を示す。
図8】第2実施形態のズームレンズ鏡筒の絞り機構を示す斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のズームレンズ装置の一実施形態を、ズームレンズ鏡筒に適用した場合について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、ズームレンズ装置としてカメラに取り付けられて用いられるレンズ鏡筒に適用した場合について説明するが、本発明はプロジェクターのズームレンズ装置等にも適用可能である。
【0019】
図1及び図2は、第1実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、図1は広角状態を示し、図2は望遠状態を示す。
図1及び図2に示すように、本実施形態の鏡筒1は、第1レンズ群A、第2レンズ群B、第3レンズ群C、第4レンズ群D、及び第5レンズ群Eを備える。第4レンズ群Dは、手振れ防止のために光軸と直交する方向へシフトされるシフトレンズ群を含む。
【0020】
ズームレンズ鏡筒1は、カメラボディーに取り付けられるマウント2と、このマウント2に一体の外側固定筒4及び内側固定筒6と、内側固定筒6の内側に配置された第1回転筒10と、を有する。外側固定筒4は結像側の後方外側固定筒4Aと、被写体側の前方外側固定筒4Bとが接続されて構成されている。前方外側固定筒4Bの外周には、ズーム操作リング22が回転可能に配置されている。また、後方外側固定筒4Aの外周にはフォーカス操作リング20が回転可能に配置されている。
【0021】
図3は、図1に示すズームレンズ鏡筒の内側固定筒及び第1回転筒を示す斜視図である。同図に示すように、内側固定筒6は、被写体側の前方円筒部6Aと、結像側の後方円筒部6Bとが接続されてなる。前方円筒部6Aは後方円筒部6Bよりも径が大きく、前方円筒部6Aと後方円筒部6Bとは段状に接続されている。また、第1回転筒10は被写体側の前方円筒部10Aと、結像側の後方円筒部10Cと、前方円筒部10A及び後方円筒部10Cとの間の中間円筒部10Bとが接続されてなる。前方円筒部10Aは中間円筒部10Bよりも径が大きく、前方円筒部10Aと中間円筒部10Bとは段状に接続されおり、中間円筒部10Bは後方円筒部10Cよりも径が大きく、中間円筒部10Bと後方円筒部10Cとは段状に接続されている。
【0022】
また、図1及び図2に示すように、内側固定筒6の外側には、第2回転筒8が配置され、第2回転筒8の外側には、第1摺動筒12が配置されている。また、第1摺動筒12の外側、かつ、前方外側固定筒4Bの内側には外筒14が配置されている。第1回転筒10と第2回転筒8とは先端部で連結されており、第1回転筒10及び第2回転筒8は連動して回転しながら進退する。
【0023】
図4は、図1に示すズームレンズ鏡筒における第1摺動筒、外筒、第2回転筒及び、固定筒を示す斜視図である。
第2回転筒8の結像側端部の内面にはコマ8Dが立設されている。また、内側固定筒6の前方円筒部6Aには被写体側に向かって周方向に所定の方向に傾斜するカム溝6aが形成されている。第2回転筒8のコマ8Dは、内側固定筒6のカム溝6aに嵌まり込んでいる(係合している)。これにより、ズーム操作リング22が回転されると、ズーム操作リング22に連動して、内側固定筒6に対して第1回転筒10及び第2回転筒8が回転し、光軸方向に進退する。
【0024】
外筒14は後端部の外面に直進コマ14Aが形成されており、この直進コマ14Aは外側固定筒4の前方外側固定筒4Bの内面に形成された光軸方向に延びる縦溝に嵌まり込んでいる。これにより、外筒14は、回転が拘束されるとともに、前後方向に進退可能である。
【0025】
第1摺動筒12は後端部の外面に直進コマ12Aが形成されており、この直進コマ12Aは外筒14の内面に形成された光軸方向に延びる縦溝14Bに嵌まり込んでいる。これにより、第1摺動筒12は、回転が拘束されるとともに、外筒14に対して前後方向に進退可能である。
【0026】
第2回転筒8は外面に、被写体側に向かって所定の周方向に傾斜して延びるようにカム溝8Aが形成されている。このカム溝8Aには第1摺動筒12の後端部の内面に立設されたコマ12Bが嵌まり込んでいる。また、第2回転筒8の後端部には周方向に延びる横溝8Bが形成されている。この横溝8Bには、外筒14の後端部の内面に立設されたコマ14Cが嵌まり込んでいる。
【0027】
このような構成により、第1回転筒10に連動して第2回転筒8が回転すると、第2回転筒8は外筒14とともに光軸方向に移動し、さらに、第1摺動筒12が第2回転筒8に対して光軸方向に進退する。
【0028】
図1及び図2に示すように、第1レンズ群Aは、第1レンズ枠30により囲まれて保持されている。第1レンズ枠30は第1摺動筒12の先端部の内側に取り付けられている。上述の通り、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転されると、第2回転筒8が光軸方向に進退するとともに、第1摺動筒12が第2回転筒8に対して進退する。
【0029】
第2レンズ群Bは、第2レンズ枠32により囲まれて保持されている。第2レンズ枠32の外周面にはコマ32Aが立設されている。コマ32Aは、第1回転筒10に形成された縦溝10aと、内側固定筒6のカム溝6cに入り込んでいる。これにより、第2レンズ枠32は、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転しながら進退すると、第1回転筒10と連動して回転するとともに、第1回転筒10に対して進退する。
【0030】
第3レンズ群Cは、第3レンズ枠34により囲まれて保持されている。第3レンズ枠34の外周面にはコマ34Aが立設されている。コマ34Aは、第1回転筒10に形成されたカム溝10bに入り込んでいる。また、第3レンズ群Cは、第4レンズ群Dから延びるガイド部材(図示せず)により回転が拘束されている。これにより、第3レンズ枠34は、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転しながら進退すると、回転することなく、第1回転筒10に対して進退するように構成されている。
【0031】
第4レンズ群Dは、第4レンズ枠36により囲まれて保持されている。第4レンズ枠36の外周面にはコマ36Aが立設されている。コマ36Aは、第1回転筒10に形成された横溝10cと、内側固定筒6の内面に形成された縦溝(図示せず)に入り込んでいる。これにより、第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転しながら進退すると、第4レンズ枠36は回転することなく、第1回転筒10とともに進退する。
【0032】
第5レンズ群は、第5レンズ枠38により囲まれて保持されている。第5レンズ枠38の外周面にはコマ38Aが立設されている。コマ38Aは、第1回転筒10に形成されたカム溝10dと、第4レンズ枠36に形成された縦溝(図示せず)に入り込んでいる。これにより、第5レンズ枠38は、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転されると、回転することなく、第1回転筒10に対して進退するように構成されている。
【0033】
また、ズームレンズ鏡筒1は、第2レンズ群Bと第3レンズ群Cとの間に配置された絞り機構40を備える。図5は、図1に示すズームレンズ鏡筒の絞り機構の構成を示す分解斜視図である。なお、図5には、説明のため、第3レンズ枠も示している。図5に示すように、絞り機構40は、同心配置され、被写体側から順に並ぶ、絞り連動リング50と、動輪押え48と、動輪46と、絞り羽根44と、カム座42とを備える。
【0034】
カム座42は、円環状のプレートからなる。カム座42は半径方向外側に向かって所定の周方向に傾斜するような複数のカム溝42Aが形成されている。また、カム座42の外周部には半径方向外側に突出する突出部42Bが形成されている。カム座42は、回動可能に第3レンズ枠34に保持されている。
【0035】
絞り羽根44は、周方向に延びる複数の羽根部材44Aを備える。各羽根部材44Aの表面(図5の手前側の面)の周方向の一端には表面突部44Bが形成されている。各羽根部材44Aは、表面突部44Bを中心に回動可能に保持されている。また、各羽根部材44Aの裏面には裏面突部44Cが形成されている。各裏面突部44Cは、カム座42のカム溝42A内に配置されている。
【0036】
動輪46は、円環状のプレートから構成される。動輪46には、複数の開口部46Aが形成されており、各開口部46Aには羽根部材44Aの表面突部44Bが嵌合している。また、動輪46の表面にはギア46Bが形成されている。
【0037】
動輪押え48は円環状であり、出力軸が裏面に突出するようにステッピングモータ48Aが設けられている。ステッピングモータ48Aの出力軸にはギアが取り付けられており、このギアは動輪46のギア46Bとかみ合っている。
【0038】
絞り連動リング50は、円環状のプレートからなり、外周に向かってコマ50Aが立設されている。図1及び図2に示すように、絞り連動リング50は、第1回転筒10の前方円筒部10Aと中間円筒部10Bとの段状の接続部の前方円筒部10Aの後端部(段差部)に配置されている。絞り連動リング50は、コマ50Aが、第1回転筒10の前方円筒部10Aの結像側端部に周方向に延びるように形成された横溝10eと、内側固定筒6に光軸方向に傾斜して延びるように形成されたカム溝6bに嵌まり込んで保持されている。このため、第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転しながら進退すると、絞り連動リング50は第1回転筒10に対して光軸方向に移動することなく、回転する。
【0039】
絞り連動リング50は結像側に向かって延びる腕部50Bを備える。腕部50Bはカム座42まで延びており、カム座42の突出部42Bに係合している。このような構成により、カム座42及び動輪46の一方が、他方に対して回転すると、絞り羽根44の各羽根部材44Aが回動し、絞り羽根44の中央の開口の径が変更される。また、絞り連動リング50が回転すると、絞り連動リング50の回転が腕部50Bを介してカム座42に伝達され、カム座42が回転する。なお、本実施形態では、絞り連動リング50の腕部50Bはカム座42に回転を伝達するが、これに限らず、動輪46に回転を伝達してもよい。
【0040】
撮影時には、シャッターを半押しすると、カメラボディーの受光素子により受光された光量に応じて、ステッピングモータ48Aが駆動し、動輪46が回転される。これにより、絞り羽根44の中央の開口の径が変更される。
【0041】
以下、本実施形態のズームレンズ鏡筒におけるズーミング操作について説明する。
ズームレンズ鏡筒1は、マウント2をカメラボディーに取り付けて使用される。マウント2をカメラボディーに取り付けることにより、外側固定筒4及び内側固定筒6がカメラボディーに対して固定される。ズーム操作は、ズーム操作リング22を回転させることにより行うことができる。ズーム操作リング22を回転させると、これと連動して第1回転筒10及び第2回転筒8が回転する。
【0042】
第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転されると、第1回転筒10は光軸方向に移動する。また、第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転されると、第2、第3、第4、第5レンズ枠32、34、36、38がそれぞれ、光軸方向に移動する。
【0043】
さらに、第2回転筒8が回転すると、第2回転筒8は外筒14とともに光軸方向に移動し、さらに、第1摺動筒12が第2回転筒8に対して光軸方向に進退する。これにより、第1レンズ枠30が光軸方向に移動する。
これにより、各レンズ群が光軸方向に移動し、ズーミングが行われる。
【0044】
また、第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転しながら進退すると、絞り連動リング50が回転する。この絞り連動リング50の回転は、腕部50Bを介してカム座42に伝達される。そして、カム座42が動輪46に対して回転するため、絞り羽根44の中央の開口の径が変更される。
【0045】
なお、上記の実施形態では、絞り機構が一つの絞り羽根を備えた場合について説明したが、これに限らず、絞り機構が二つの絞り羽根を備えた場合にも本発明を適用することができる。以下、本発明の第2実施形態であるズームレンズ鏡筒について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0046】
図6及び図7は、第2実施形態のズームレンズ鏡筒を示す光軸に沿った縦断面図であり、図6は広角状態を示し、図7は望遠状態を示す。図6及び図7に示すように、第2実施形態のズームレンズ鏡筒1は、絞り機構140及び第3レンズ枠134の構成が第1実施形態と異なるものの、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0047】
図8は、第2実施形態のズームレンズ鏡筒の絞り機構を示す斜視分解図である。図8には、説明のため、第3レンズ枠も示している。図8に示すように、絞り機構140は、同心配置され、被写体側から順に並ぶ、絞り連動リング150と、第1動輪押え148と、第1動輪146と、第1絞り羽根144と、カム座142と、第2動輪押え132と、第2動輪130と、第2絞り羽根128と、を備える。また、第3レンズ枠は、第3レンズ群Cの前方のレンズC1を保持する前方第3レンズ枠134aと、第3レンズ群Cの後方のレンズC2を保持する後方第3レンズ枠134bとが一体となって構成されている。
【0048】
カム座142は、円環状のプレートからなる。カム座142は半径方向外側に向かって所定の周方向に傾斜するような複数のカム溝142Aが形成されている。また、カム座42の外周部には結像側に向かって延びる腕部142Cが設けられている。カム座142は、回動可能に前方第3レンズ枠134a保持されている。
【0049】
第1絞り羽根144は、周方向に延びる複数の羽根部材144Aを備える。各羽根部材144Aの表面(図8の手前側の面)の周方向の一端には表面突部144Bが形成されている。各羽根部材144Aは、表面突部144Bを中心に回動可能に保持されている。また、各羽根部材144Aの裏面には裏面突部144Cが形成されている。各裏面突部144Cは、カム座142のカム溝142A内に配置されている。
【0050】
第1動輪146は、円環状のプレートから構成される。第1動輪146には、複数の開口部146Aが形成されており、各開口部146Aには羽根部材144Aの表面突部144Bが嵌合している。また、第1動輪146の表面にはギア146Bが形成されている。
【0051】
第1動輪押え148は円環状であり、出力軸が裏面に突出するようにステッピングモータ148Aが設けられている。ステッピングモータ148Aの出力軸にはギアが取り付けられており、このギアは第1動輪46のギア146Bとかみ合っている。
【0052】
後方第3レンズ枠134bの表面には、半径方向外側に向かって所定の周方向に傾斜するような複数のカム溝134b1が形成されている。
【0053】
第2絞り羽根128は、周方向に延びる複数の羽根部材128Aを備える。各羽根部材128Aの表面(図8の手前側の面)の周方向の一端には表面突部128Bが形成されている。各羽根部材128Aは、表面突部128Bを中心に回動可能に保持されている。また、各羽根部材128Aの裏面には裏面突部128Cが形成されている。各裏面突部128Cは、後方第3レンズ枠134bのカム溝134b1内に配置されている。
【0054】
第2動輪130は、円環状のプレートから構成される。第2動輪130には、複数の開口部130Aが形成されており、各開口部130Aには羽根部材128Aの表面突部128Bが嵌合している。また、第2動輪130の外周部には、所定の角度間隔をあけて径方向に突出する第1突出部130B及び第2突出部130Cが形成されている。
第2動輪押え132は円環状のプレートからなる。
【0055】
絞り連動リング150は、円環状のプレートからなり、外周に向かってコマ150Aが立設されている。図6及び図7に示すように、絞り連動リング150は、第1回転筒10の前方円筒部10Aと中間円筒部10Bとの段状の接続部の前方円筒部10Aの後端部(段差部)に配置されている。絞り連動リング150は、コマ150Aが、第1回転筒10の前方円筒部10Aの結像側端部に周方向に延びるように形成された横溝10eと、内側固定筒6に光軸方向に傾斜して延びるように形成されたカム溝6bに嵌まり込んで保持されている。このため、第1回転筒10が内側固定筒6に対して回転しながら進退すると、絞り連動リング150は第1回転筒10に対して光軸方向に移動することなく、回転する。
【0056】
絞り連動リング150は結像側に向かって延びる腕部150Bを備える。腕部150Bは第2動輪130まで延びており、第2動輪130の第2突出部130Cに係合している。また、カム座142の腕部142Cは、第2動輪130まで延びており、第2動輪130の第1突出部130Bに係合している。
【0057】
ズーミング操作時に、ズーム操作リング22を回転させると、これと連動して第1回転筒10及び第2回転筒8が回転し、絞り連動リング150が回転する。絞り連動リング150が回転すると、腕部150Bを介して第2動輪130に回転が伝えられる。第2動輪130が回転すると、第2絞り羽根128の裏面突部128Cが後方第3レンズ枠134bのカム溝134b1に沿って移動し、これにより第2絞り羽根128の中央の開口の径が変更される。また、第2動輪130が回転すると、腕部142Cを介してカム座142に回転が伝えられる。カム座142が回転すると、第1絞り羽根144の裏面突部144Cがカム溝142Bに沿って移動し、これにより第1絞り羽根144の中央の開口の径が変更される。
【0058】
また、撮影時には、シャッターを半押しすると、カメラボディーの受光素子により受光された光量に応じて、ステッピングモータ148Aが駆動し、第1動輪146が回転される。これにより、第1絞り羽根144の中央の開口の径が変更される。
【0059】
以上説明したように、上記各実施形態では、絞り連動リング50、150の回転により絞り機構40,140を開閉するため、絞り連動リング50、150を空きスペースに配置することができ、スペースの制約を受けることがなく、また、レンズ群の移動の制約を受けることがない。
【0060】
また、上記各実施形態では、第1回転筒10が内側固定筒6の半径方向内側に配置されている。絞り連動リング50、150は、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転されると回転する。このため、第1回転筒10は内側固定筒6の半径方向内側に配置されていても、絞り連動リング50、150が回転し、絞り機構40、140を操作することができる。
【0061】
また、上記各実施形態では、第1回転筒10は、半径の異なる前方円筒部10A、中間円筒部10B、及び、後方円筒部10Cが段状に接続されてなり、絞り連動リング50、150が、第1回転筒10の内側の段差部に配置されている。このように、第1回転筒10の段差部に絞り連動リング50、150を配置することで、空きスペースを有効活用することができる。
【0062】
また、上記各実施形態では、絞り連動リング50、150は、内側固定筒6に形成されたカム溝6bと、第1回転筒10に形成された横溝10eとに係合するコマ50Aを有し、内側固定筒6に対して第1回転筒10が回転しながら進退することにより、コマ50Aがカム溝6b及び横溝10eにより案内されて、絞り連動リング50、150が回転する。このような構成により、カム溝6b及び横溝10eの形状を適宜設計することにより、各ズーム操作状態に応じた適切な絞りを実現できる。
【0063】
なお、上記実施形態では、内側固定筒6の内側に第1回転筒10が配置され、第1回転筒10の内側に絞り連動リング50、150及び絞り機構40、140を配置した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、固定筒の外側に回転筒を配置することも可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、第1回転筒10の横溝10e及び内側固定筒6のカム溝6bに絞り連動リング50のコマ50Aが係合することにより、絞り連動リング50を回転させていたが、第1回転筒10に縦溝を形成し、内側固定筒6にカム溝を形成し、これら縦溝及びカム溝にコマを係合させてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第1回転筒10が回転することにより、内側固定筒6に対して進退する構成としているが、これに限らず、第1回転筒が進退しない構成としてもよく、この場合、第1固定筒10には横溝10eに代えて縦溝を形成すればよい。
【0066】
また、上記実施形態では、本発明をズームレンズ鏡筒に適用した場合について説明したが、これに限らず、プロジェクター等の投影装置のズームレンズにも適用可能である。
【0067】
また、上記の第2実施形態では、絞り連動リング150の回転が第2動輪130に伝えられ、さらに、第2動輪130の回転がカム座142に伝えられ、第1絞り羽根144及び第2絞り羽根128を開閉させたが本発明はこれに限られない。例えば、絞り連動リング150の回転を、カム座142に伝え、カム座142の回転を第2動輪130に伝える構成や、絞り連動リング150の回転を、カム座142及び第2動輪130にそれぞれ伝えてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ズームレンズ鏡筒
2 マウント
4 外側固定筒
4A 後方外側固定筒
4B 前方外側固定筒
6 内側固定筒
6A 前方円筒部
6B 後方円筒部
6a カム溝
6b カム溝
8 第2回転筒
8A カム溝
8B 横溝
8D コマ
10 第1回転筒
10A 前方円筒部
10B 中間円筒部
10C 後方円筒部
10a 縦溝
10b カム溝
10c 横溝
10d カム溝
10e 横溝
12 第1摺動筒
12A 直進コマ
12B コマ
14 外筒
14A 直進コマ
14B 縦溝
14C コマ
20 フォーカス操作リング
22 ズーム操作リング
30 第1レンズ枠
32 第2レンズ枠
32A コマ
34 第3レンズ枠
34A コマ
36 第4レンズ枠
36A コマ
38 第5レンズ枠
38A コマ
40 絞り機構
42 カム座
42A カム溝
42B 突出部
44 絞り羽根
44A 羽根部材
44B 表面突部
44C 裏面突部
46 動輪
46A 開口部
46B ギア
48 動輪押え
48A ステッピングモータ
50 絞り連動リング
50A コマ
50B 腕部
128 第2絞り羽根
128A 羽根部材
128B 表面突部
128C 裏面突部
130 第2動輪
130A 開口部
130B 第1突出部
130C 第2突出部
132 第2動輪押え
134 第3レンズ枠
134a 前方第3レンズ枠
134b 後方第3レンズ枠
134b1 カム溝
140 絞り機構
142 カム座
142A カム溝
142B カム溝
142C 腕部
144 第1絞り羽根
144A 羽根部材
144B 表面突部
144C 裏面突部
146 第1動輪
146A 開口部
146B ギア
148 第1動輪押え
148A ステッピングモータ
150 絞り連動リング
150A コマ
150B 腕部
A 第1レンズ群
B 第2レンズ群
C 第3レンズ群
C1 レンズ
C2 レンズ
D 第4レンズ群
E 第5レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8